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JP6645702B2 - 信号抽出処理装置および信号抽出処理方法 - Google Patents
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JP6645702B2 - 信号抽出処理装置および信号抽出処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は検出対象信号がノイズに埋もれている入力信号より当該検出対象信号を抽出するための信号抽出処理装置および信号抽出処理方法に関する。
ノイズに埋もれている入力信号より検出対象信号を注出する場合、確率共鳴現象が有用される。確率共鳴現象とは、ノイズに埋もれている入力信号に対し、更にノイズを付加しその後非線形処理を行うことにより、検出対象信号を強調させる現象である。特許文献1には、このような場合に、抽出結果の評価値が、付加するノイズの強度に応じて変化するという基本的な特徴が説明されている。つまり、確率共鳴現象を用いて検出対象信号を抽出しようとする場合には、ノイズ強度のチューニングを行うことが望まれる。
非特許文献1には、図1に示すように、入力信号I(x)をM個の岐路に分岐し、それぞれで異なるノイズN(x、n)を付加して非線形処理を施し、更にこれらの出力を合成することで、検出対象信号を安定した精度で検出する構成が開示されている。非特許文献1によれば、分岐の数Mを増やすほど相関係数は安定し、特許文献1で説明されるようなノイズ強度の最適値は存在しなくなり、結果としてノイズ強度のチューニングを行う必要がなくなることが説明されている。
また、特許文献2には、処理対象信号を処理する際に、確率共鳴現象を利用しながらも周辺の信号も反映させる方法が開示されている。具体的には、撮像して得られた複数の画素データから特異部を抽出するような場合に、確率共鳴現象を反映させる反応項と周辺画素のデータを反映させる拡散項とで構成される拡散反応方程式を用い、注目画素のデータ処理を行う。特許文献2の方法を採用すれば、画像内のエッジ検出や領域分割を行う場合に、注目画素が特異部に含まれているか否かをより高い精度で判断することが可能となる。
ところで、以上のような確率共鳴現象を用いた検出対象信号の抽出処理は、製品検査などに利用することができる。例えば、製造された製品を撮像し、得られた画像データに上述のような処理を行えば、製品に存在する傷のような特異部を抽出することができる。そして、このような抽出工程と、抽出された特異部をポップアップする工程と、ポップアップされた画像を検査者が確認し最終判断する工程を設ければ、検査者による目視判断のみの場合に比べて、検査時間を大幅に低減し検査精度を向上させることができる。さらに、このような特異部抽出機構は、生産現場における検査工程のみならず、製品そのものに搭載することもできる。具体例としては、パーソナルプリンタが印刷した画像を撮像し、不良な箇所が発生した場合にこれを自動で抽出する機能が挙げられる。
特開2002−221546号公報 特開2008−9549号公報
J.J.Collins, Carson C.Chow and Thomas T.Imhoff, "Stochasticresonance without tuning", NATURE, (UK), 20 July 1995, vol.376, p.236-238
しかしながら、非特許文献1の方法を採用して特異点を検出するための画像処理を行おうとすると、その効果を得るためには数百から千回程度の非線形処理を並列して行わなければならず、処理負荷が大きくなってしまう。また、特許文献2に開示されている反応拡散法的式を用いる場合も、微分方程式を用いて画素値を時間変化させるため、画像の時間変化をその都度観測し安定状態まで演算を繰り返さなければならず、やはり処理負荷は膨大となる。
本発明は上記問題点を解決するために成されたものである。よってその目的とするところは、比較的安易な構成のもと、周辺画素の情報を反映させながら確率共鳴現象を利用して画像内の特異点を抽出することが可能な画像処理装置および画像処理方法を提供することである。
そのために本発明は、2次元に配列する複数の画素信号のそれぞれに対し所定の確率共鳴処理を施すことにより、前記複数の画素信号で構成される画像データの中から特異部を抽出するための信号抽出処理装置であって、前記所定の確率共鳴処理は、前記複数の画素信号のそれぞれに対し、ノイズを付加した後に2値化処理を施す工程を複数並列して行った結果を合成する形態において、前記並列の数を無限大にしたときに得られる値を出力する処理であり、前記2値化処理は、ノイズが付加された前記画素信号を複数の閾値と比較して3値以上に量子化する第1の非線形処理と、処理対象となる画素信号および当該画素信号の周囲に位置する画素信号における前記第1の非線形処理の結果に基づいて、前記処理対象となる画素信号を“0”または“1”に2値化する第2の非線形処理とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、入力信号の中から検出対象信号を高精度且つ効率的に検出することが可能となる。
非特許文献1に記載の確率共鳴処理を示す図である。 (a)〜(d)は、本発明における信号抽出処理装置の形態例を示す図である。 信号抽出処理装置における制御の構成を説明するためのブロック図である。 インクジェット記録装置の概略構成図である。 (a)および(b)は、記録ヘッドと読み取りヘッドの構成図である。 (a)および(b)は、乱数Nを∞個発生させた場合のヒストグラムである。 (a)および(b)は、式7および式8をグラフで示した図である。 第1の実施形態で採用する確率共鳴処理の概念図である。 第2の非線形処理を説明するための模式図である。 (a)および(b)は、式13を満たす確率を説明する図である。 (a)および(b)はRate1、Rate0、RatePの相関図である。 J(x)を求めるための算出概念図である。 (a)〜(c)は、検出対象データおよび読み取りデータを示す図である。 (a)〜(c)は、確率共鳴処理を行った結果J(x)を示す図である。 (a)および(b)は、相関係数Cとノイズ強度Kの関係を示す図である。 特異部検出アルゴリズムのフローチャートである。 強度設定工程における処理を説明するためのフローチャートである。 (a)および(b)は、ノイズ強度Kを設定可能な範囲を示す図である。 相関係数の微分値を示す図である。 第2の実施形態で採用する確率共鳴処理の算出概念図である。 (a)および(b)は、J(x)のプロット図である。 第4の実施形態で採用する確率共鳴処理の算出概念図である。
図2(a)〜(d)は、本発明の信号抽出処理装置として使用可能な画像処理装置1の形態例を示す図である。本発明の画像処理装置は、記録された画像内の白スジなどをユーザが認識しやすくするためのポップアップ処理や装置自体が判別するための処理を、撮像された画像データに対し施すものであり、システムとしては様々な形態を取ることができる。
図2(a)は、画像処理装置1が読み取り部2を備えている形態を示す。例えば、インクジェット記録装置によって所定の画像が記録されたシートが、画像処理装置1内の読み取り部2の読取台に設置されて光学センサなどによって撮像され、その画像データを画像処理部3が処理する場合がこれに相当する。画像処理部3は、CPUやこれよりも高速な処理が可能な画像処理アクセラレータを備え、読み取り部2による読み取り動作を制御したり、受け取った画像データに対し所定の検査処理を実行したりする。
図2(b)は、読み取り部2を備えた読み取り装置2Aに画像処理装置1が外部接続された形態を示している。例えば、スキャナにPCが接続されているようなシステムがこれに相当する。接続形式としては、USBやGigE、CameraLinkといった汎用的な接続方式で良い。読み取り部2が読み取った画像データはインターフェース4を介して画像処理部3に提供され、画像処理部3は受け取った画像データに対し所定の検査処理を実行する。なお、この形態の場合、画像処理装置1は、記録部5を備えた記録装置5Aに更に外部接続されていても良い。
図2(c)は、画像処理装置1が読み取り部2および記録部5を備えている形態を示している。例えばスキャナ機能、プリンタ機能、および画像処理機能を兼ね備えた複合機がこれに相当する。画像処理部3は、記録部5における記録動作、読み取り部2における読み取り動作、および読み取り部2が読み取った画像に対する検査処理などの全てを制御する。
図2(d)は、読み取り部2と記録部5とを備えた複合機6に画像処理装置1が外部接続された形態を示している。例えば、スキャナ機能とプリンタ機能とを兼ね備えた複合機にPCが接続されているようなシステムがこれに相当する。本発明の画像処理装置1は図2(a)〜(d)のいずれの形態も採ることができるが、以下では図2(d)の形態を採用した場合の画像検査装置を例に実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図3は、図2(d)の形態における制御の構成を説明するためのブロック図である。信号抽出処理装置としての画像処理装置1はホストPCなどからなり、CPU301は、HDD303に保持されるプログラムに従ってRAM302をワークエリアとしながら各種処理を実行する。例えばCPU301は、キーボード・マウスI/F 305を介してユーザより受信したコマンドやHDD303に保持されるプログラムに従って複合機6が記録可能な画像データを生成し、これを複合機6に転送する。また、データ転送I/F 304を介して複合機6から受信した画像データに対し、HDDに記憶されているプログラムに従って所定の処理を行い、その結果や様々な情報をディスプレイI/F 306を介して不図示のディスプレイに表示する。後述するような本実施形態の確率共鳴処理の対象となる画像データの個々の画素信号I(x)は、データ転送I/F 304を介して複合機6から受信する。
一方、複合機6において、CPU311は、ROM313に保持されるプログラムに従ってRAM312をワークエリアとしながら各種処理を実行する。更に、複合機6は、高速な画像処理を行うための画像処理アクセラレータ309、読み取り部2を制御するためのスキャナコントローラ307、記録部5を制御するためのヘッドコントローラ314を備えている。
画像処理アクセラレータ309は、CPU311よりも高速に画像処理を実行可能なハードウェアである。画像処理アクセラレータ309は、CPU311が画像処理に必要なパラメータとデータをRAM312の所定のアドレスに書き込むことにより起動され、上記パラメータとデータを読み込んだ後、上記データに対し所定の画像処理を実行する。但し、画像処理アクセラレータ309は必須な要素ではなく、同等の処理はCPU311で実行することができる。
ヘッドコントローラ314は、記録部5に備えられた記録ヘッド100に記録データを供給するとともに、記録ヘッド100の記録動作を制御する。ヘッドコントローラ314は、CPU311が、記録ヘッド100が記録可能な記録データと制御パラメータをRAM312の所定のアドレスに書き込むことにより起動され、当該記録データに従って吐出動作を実行する。
スキャナコントローラ307は、読み取り部2に配列する個々の読み取り素子を制御しつつ、これらから得られるRGBの輝度データをCPU311に出力する。CPU311は、得られたRGBの輝度データをデータ転送I/F310を介して画像処理装置1に転送する。画像処理装置1のデータ転送I/F 304および複合機6のデータ転送I/F310における接続方式としては、USB、IEEE1394、LAN等を用いることができる。
図4は、本実施形態の複合機6として使用可能なインクジェット記録装置(以下、単に記録装置とも言う)の概略構成図である。本実施形態の記録装置はフルラインタイプの記録装置であり、記録媒体や検査対象物となりうるシートPの幅と同等の幅を有する記録ヘッド100と読み取りヘッド107がY方向に並列配置されている。記録ヘッド100は、ブラック(K)、シアン(c)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクをそれぞれ吐出する4列の記録素子列101〜104を備え、これら記録素子列101〜104はシートPの搬送方向(Y方向)に並列配置されている。記録素子列101〜104の更に下流には、読み取りヘッド107が配備されている。読み取りヘッド107には、記録された画像を読み取るための読み取り素子がX方向に複数配列されている。
記録処理や読み取り処理を行う際、シートPは搬送ローラ105の回転に伴って図のY方向に所定の速度で搬送され、この搬送の最中、記録ヘッド100による記録処理や読み取りヘッド107による読み取り処理が行われる。記録ヘッド100による記録処理や読み取りヘッド107による読み取り処理が行われる位置のシートPは、平板からなるプラテン106によって下方から支えされ、記録ヘッド100や読み取りヘッド107からの距離と平滑性が維持されている。
図5(a)および(b)は、記録ヘッド100における記録素子の配列構成と読み取りヘッド107における読み取り素子の配列構成とを示す図である。記録ヘッド100において、各インク色に対応する記録素子列101〜104の夫々は、複数の記録素子108が一定のピッチで配列される記録素子基板201の複数が、オーバーラップ領域Dを設けながらX方向に連続するようにY方向に交互に配置されている。一定の速度でY方向に搬送されるシートPに対し、個々の記録素子108が記録データに従って一定の周波数でインクを吐出することにより、シートPには記録素子108の配列ピッチに相応する解像度の画像が記録される。但し、個々の記録ヘッドにおける記録素子108の配列密度は非常に高く、特にオーバーラップ領域Dには記録ヘッド100を製造時の誤差に起因する白スジが発生し易いことが懸念される。
一方、読み取りヘッド107には、複数の読み取りセンサ109がX方向に所定のピッチで配列されている。さらに、図では示していないが、個々の読み取りセンサ109は、読み取り画素の最小単位となり得る読み取り素子がX方向に複数配列して構成されている。一定の速度でY方向に搬送されるシートP上の画像を、個々の読み取りセンサ109の読み取り素子が所定の周波数で撮像することにより、シートPに記録された画像全体を読み取り素子の配列ピッチで読み取ることが出来る。
以下、本実施形態における特異部検出アルゴリズムについて具体的に説明する。本実施形態の特異部検出アルゴリズムは、既に記録された画像を撮像し、得られた画像データに対してオーバーラップ部のような特定位置に現れる白スジや黒スジのような特異部を、本発明の特徴的な確率共鳴処理を用いて高精度に検出するためのアルゴリズムである。本実施形態で採用するのは、複合機6としてのインクジェット記録装置でなくても構わないが、以下では複合機6の記録ヘッド100が記録した画像を同じ複合機の読み取りヘッド107で読み取る構成を前提に説明する。ここでまず、本実施形態で採用する確率共鳴処理について説明する。
非特許文献1にも開示されている確率共鳴現象を利用した処理の概念図として、再度図1を参照する。入力信号I(x)は、読み取りセンサ109によって読み取られた個々の画素に対応する画素信号値であり、xは画素位置を示す。入力信号I(x)はM個に分岐され、それぞれにおいて異なるノイズN(x,m)×Kが付加される。ここで、mはM個の分岐路のうちの1つを指し示すパラメータであり、1〜Mのいずれかの整数である。また、N(x,m)は画素位置xの分岐路mに対応する乱数であり、0〜1の範囲を有する。乱数N(x,m)に整数であるノイズ強度Kを積算した値N(x,m)×Kが、入力信号I(x)に付加される。すなわち、ノイズ付加後の信号値をi(x,m)とすると、
と表すことができる。
ノイズ付加後の信号値i(x,m)を所定の閾値Tと比較することによって非線形処理
(2値化処理)を行い、2値信号j(x,m)を得る。具体的には、
とする。
その後M個のj(x,m)を合成し平均処理を行ったものを、確率共鳴後の信号値Jとする。すなわち、
となる。
非特許文献1によれば、Mの値を大きくするほど好ましいことが説明されている。そして、Mの値を大きくするほど、信号値J(x)は、各画素の入力信号値I(x)が非線形処理において2値化閾値Tを超える確率を示す値に近づく。言い換えると、入力信号値I(x)が2値化閾値Tを超える確率を求める式を導き出すことができれば、図1に示したような多数のノイズ付加処理や非線形処理を行わなくとも、これと同等な検出処理を行うことが可能となる。このため、以下に入力信号値I(x)が2値化閾値Tを超える確率について説明する。
図6(a)および(b)は、乱数Nを∞個発生させた場合に収束するヒストグラムを示す。横軸が乱数Nであり0〜1の範囲を有する。縦軸は、それぞれの値Nが発生する確率f(N)を示す。図6(a)は平均値を0.5、3σ=1とした正規分布とした場合、同図(b)は乱数Nが0〜1の範囲で同頻度で発生する所謂ホワイトノイズとした場合、をそれぞれ示している。以下では、このような分布に基づいて乱数Nが生成されることを前提に説明する。
式1および式2より、個々の画素の2値化後の結果がj(x,m)=1となる確率は、I(x)+N(x,m)×K≧Tとなる確率に等しい。
ここで、K(強度)を正の値とすれば、上式は、
と表すことができる。右辺をAとすると、
となる。個々の画素の2値化後の結果j(x,m)がj(x,m)=1となる確率すなわち確率共鳴処理後の信号値J(x)は、式5が満たされる確率である。図6(a)および(b)のそれぞれにおいては、斜線部の面積が当該確率に相当する。式で表すと以下のようになる。
ここで乱数N発生のヒストグラムが図6(a)のような正規分布の場合、式6は以下のようになる。
さらに、ノイズNのヒストグラムが図6(a)のような±3σ=1の正規分布の場合、係数αはおよそα=10.8となる。定数Aを元の式{T−I(x,m)}/K に戻せば、式7のようになる。
一方、乱数N発生のヒストグラムが図6(b)のような場合、式6は、下式のように表すことが出来る。
ここで、定数Aを元の式{T−I(x)}/K に戻せば、式8のようになる。
図7(a)および(b)は、式7および式8をグラフで示した図である。いずれにしても、適切なノイズ強度Kと閾値Tのもとで式7または式8を用いれば、非特許文献1の方法を採用して入力信号値I(x)に対する分岐数Mを無限大にしたときと、同じ精度で特異点を抽出することができる。
但し、本発明では、背景技術の項でも説明したとおり、画素位置xが特異部に含まれているか否かを更に高精度に判断するために、周辺画素の情報も利用することを特徴とする。このため、本実施形態では、注目画素においてノイズを付加した値に対する第1の非線形処理の後に、周辺画素における第1の非線形処理の結果を反映させた第2の非線形処理を行う。
図8は、本実施形態で採用する確率共鳴処理の概念図である。図1で説明した非特許文献1と同様、入力信号I(x)はM個に分岐され、複数並列処理が施される。具体的にはまず、それぞれにおいて異なるノイズN(x,m)×Kが付加される。個々のノイズ付加後の信号値をi(x,m)とすると、信号値i(x,m)は既に説明した式1
i(x,m)=I(x)+N(x、m)
で表すことができる。
ここで、本実施形態では、まずStepAにて2つの閾値T1<T2とi(x,m)を比較し、第1の非線形処理として3値化値j´(x,m)を行う。具体的には、
とする。そして、続くStepBでは、第2の非線形処理として2値化処理を行う。具体的には、j´(x,m)=0またはj´(x,m)=1となっている画素については当該3値化値をそのまま2値化値とし、j´(x,m)=Pとされている画素についてのみ、“0”または“1”への2値化処理を行う。この際、Pから“0”または“1”への2値化処理は、周辺画素における3値化処理(第1の非線形処理)の結果に基づいて行う。
図9は、StepBにおける第2の非線形処理を説明するための模式図である。注目画素xの第1の非線形処理の結果が“P”である場合、本実施形態では注目画素xの周囲8方向に隣接する8つの画素の第1の非線形処理の結果に基づいて注目画素を2値化する。具体的には、8つの画素のうち第1の非線形処理の結果が“1”である画素が1つ以上存在する場合、注目画素は特異部に含まれている可能性が高いとみなし、j(x,m)=1とする。一方、8つの画素のうち第1の非線形処理の結果が“1”である画素が1つも存在しない場合は、注目画素は特異部に含まれている可能性が低いとみなし、j(x,m)=0とする。図9で示す例では、注目画素の右下に位置する画素の第1の非線形処理の結果が“1”であるため、第2の非線形処理ではj(x,m)=1となる。
そして、本実施形態においては、再度図8を参照するに、このようにして得られたj(x,m)をm=1〜Mについて更に合成し平均処理を行った値を求め、Mを無限大にした場合を、注目画素xにおける確率共鳴後の信号値J(x)とする。このような値J(x)は、入力信号値I(x、m)に対し図8で示す処理を行った場合に、任意のmにおいてj(x,m)=1となる確率に相当する。
以下、j(x,m)=1となる確率について説明する。まず、i(x,m)において、第1の非線形処理の結果が“1”となる確率をRate1、“0”となる確率をRate0、“P”となる確率をRatePとする。さらに、第1の非線形処理でj´(x,m)=Pとされた場合において、StepBでj(x,m)=1となる確率をRateP1とする。
すると、注目画素xの任意分岐路mにおいてj(x,m)=1となる確率J(x)は、
と表すことができる。つまり、Rate1、RateP、およびRateP1を求めれば、J(x)を算出することができる。
まず、Rate1については、I(x)>T2となる確率であるので、式7や式8のTをT2に置き換えることによって求めることができる。例えば乱数がホワイトノイズの場合は、式8に倣い、
となる。
Rate0については、I(x)<T1となる確率、すなわちI(x)≧T1となる確率を1から減算した値である。よって、式7や式8のTをT1に置き換えた値を1から減算することによって求めることができる。例えば乱数がホワイトノイズの場合は、式8を用い、
となる。
RatePについては、式9にも示すように、
となる確率である。上式の全辺からI(x)を差し引いてさらに強度K(≠0)で除算すると、
となる。ここで、左辺をA1、右辺をA2とすると
となる。
図10(a)および(b)は、図6(a)および(b)と同様のヒストグラムを用いて、式13を満たす確率を説明する図である。斜線を示した領域の面積が当該確率に相当する。式で表すと式14のようになる。
(A2−A1>1のとき)
(A2−A1≦1のとき)
ここで、乱数N発生のヒストグラムが図8(b)のようなホワイトノイズの場合、式14、15はそれぞれ式16、17のようになる。
(T2−T1>Kのとき)
(T2−T1<Kのとき)
なお、RatePについては、式11および式12を用い、Rate0とRate1を1から減算して求めることもできる。
RateP=1−(Rate1+Rate0)
図11(a)および(b)は、上述した確率Rate1、Rate0、RatePをグラフ化した図である。図11(a)は、T2−T1>Kの場合を式11、12および16に基づいて示したグラフである。一方、図11(b)は、T2−T1<Kの場合を式11、12および17に基づいて示したグラフである。いずれも、横軸は入力信号値I(x)、縦軸は確率を示している。
一方、RateP1、すなわちStepAにおいてj´(x,m)=Pとされた注目画素xがStepBでj(x,m)=1となる確率は、注目画素xに隣接する8画素のうちStepAで“1”と判断される画素が1つ以上存在する確率である。そして、このような確率は、「上記8画素の全てにおいて、その3値化値が“0”または“P”となる確率を1より減算した値」に等しい。また、「上記8画素の全てにおいて、その3値化値が“0”または“P”となる確率」は、個々の画素の3値化値が“0”または“P”となる確率の上記8画素分の積算値として求めることができる。
以上のように、注目画素xの任意の分岐回路mにおけるRate1、Rate0、RateP、およびRateP1のそれぞれは、入力信号値I(x)、二つの閾値T1、T2およびノイズ強度Kより算出することができる。結果、注目画素xの任意の分岐回路mにおいてj(x,m)=1となる確率、すなわち注目画素xの確率共鳴処理の結果J(x)は、式10に基づいて算出することができる。
図12は、J(x)を求めるための算出概念図である。複数画素のそれぞれについて、式11に従ってRate1を、式12に従ってRate0を、さらに式14に従ってRatePを求める。また、これらRate1、Rate0およびRatePを用いて「第1の非線形処理の結果が“P”または“0”となる確率」RatePor0を求める。この際、RatePor0はRate0およびRatePの和から求めても良いし、1からRate1を減算して求めても良い。
すなわち、
RatePor0=Rate0+RateP
又は
RatePor0=1−Rate1
とすれば良い。
注目画素xについては、その周囲8画素分のRatePor0を積算することにより、「8画素の全ての3値化値が“0”または“P”となる確率」RateNbhPor0を算出する。さらに、このRateNbhPor0を1から減算することにより、注目画素のRateP1、すなわちStepBにおいて2値化値が1となる確率を求める。
RateP1=1−RateNbhPor0
これにより、注目画素におけるRate1、RatePおよびRateP1が揃い、式10に従って、RatePとRateP1の積をRate1に加算することにより、J(x)を求めることができる。
以上のようなJ(x)の算出方法は、非特許文献1において入力信号値I(x)に対する分岐数Mを無限大にした場合に加え、周辺画素の情報を更に加味した形態となる。このため、非特許文献1において入力信号値I(x)に対する分岐数Mを無限大にした場合よりも、更に高い精度で注目画素が特異点に位置しているか否かを判断できることが期待される。すなわち、本実施形態によれば、比較的安易な処理で、確率共鳴現象を利用して画像内の特異点を高精度に抽出することができる。
以下、以上説明したような本実施形態の確率共鳴処理を利用する具体例について説明する。本実施形態では、図4および図5で説明したインクジェット記録装置において、オーバーラップ部Dに白スジが存在した場合にこれを検出することを目的とする。この際、このような白スジは、記録ヘッド100に一様な画像を記録させ、記録された画像を読み取りヘッド107で読み取ることによって検出する。すなわち、このような白スジを検出のターゲットとする。
図13(a)〜(c)は、所定の位置に白スジが発生した状態の検出対象データと、白スジが所定の位置に発生している実画像を読み取りヘッド107で読み取った結果と、各画素の読み取り結果をX方向の位置に対応づけて示した図である。図13(a)は2次元配列する個々の画素において、白く示した画素が白スジに相当する画素、斜線模様で示した画素が白スジに相当しない画素をそれぞれ示している。
図13(b)は、読み取りヘッド107が読み取った結果の入力データ(以下、読み取りデータ)を示している。ここでは、個々の読み取り素子が受光したアナログ信号を8ビット(256値)に量子化した結果を輝度値として示している。輝度値が高いほど画像の明度が高いすなわち白スジの可能性が高いことを示している。
また、図13(c)は、各画素の輝度値をX方向の位置に対応づけてプロットしたグラフである。白スジの位置にある画素の輝度値が他の領域に比べて相対的に高くなっているのがわかる。この図から判断すると、白スジの位置にある画素の輝度値は大きさ20であり、それが大きさ40のノイズに埋もれた状態となっている。本実施形態において、白スジを高精度に抽出可能とするためには、図13(b)のような生の読み取りデータに対し所定の確率共鳴処理を行うことにより、図13(a)の検出対象データになるべく似通った結果が得られるようにすることが望まれる。
図14(a)および(b)は、図13(b)に対し、式10、式11、式12、式16、式17に示すホワイトノイズを想定した確率共鳴処理を行った結果J(x)を示す図である。図14(a)は、ノイズ強度をK=40、2つの閾値をT2=90、T1=70とした場合を示している。一方、図14(b)は、2つの閾値T1およびT2は図14(a)と等しく、ノイズ強度のみをK=55とした場合を示している。両図の間では、J(x)の大小関係およびXY平面における分布が互いに異なっていることがわかる。すなわち、本実施形態の確率共鳴処理における検出対象データとの相関はノイズ強度Kに依存する。
ここで、画像全体における検出対象データに対する相関の程度を示す相関係数Cを定義する。本実施形態において相関係数Cは、図13(a)で示す検出対象データと、図14(a)や(b)で示す確率共鳴処理後の相関の度合いを示す検出性能の評価値であり、以下の式18で表すことができる。
図15(a)および(b)は、閾値をT1=70、T2=90に固定しておきながら、ノイズ強度Kを0〜200の範囲で変化させた場合の相関係数Cを示す図である。図15(a)は式10、式11、式12、式16、式17に従った理論値を示し、同図(b)は、図14(b)の結果に対し、並列処理の分岐数Mを様々に振った場合について示している。
図15(a)においては、ノイズ強度Kが30を超えた辺りより相関係数Cが0より大きくなり、K=55で最大値をとり、55を超えた辺りから再び下降しその後安定している。すなわち、図13(a)によれば、最も高い相関を得るための適切なノイズ強度Kが存在することがわかる。
一方、図15(b)においては、並列処理の分岐数Mが増えるほど(すなわちMが無限大に近づくほど)、理論値に近づいていることが分かる。このように、式10、式11、式12、式16、式17を用いることでMが無限大のときの確率共鳴処理の結果を簡単に求めることができる。
図16は、本実施形態の特異部検出アルゴリズムにおいて、画像処理装置1のCPU301が実行する処理を説明するためのフローチャートである。本処理が開始されると、CPU301は、まず、ステップS1601にて、図13(b)で示すような読み取りデータI(x)を取得する。具体的には、記録ヘッド100によって記録された画像を、スキャナコントローラ307を介して読み取りヘッド107に読み取らせ、個々の画素に対応づけた輝度値としてI(x)を取得する。ここでxは画素位置を示す。
続くステップS1602にて、CPU301は、図13(a)で示す検出対象データt(x)を取得する。検出対象データは、抽出するべき対象の種類(白スジ、濃度ムラ等)ごとに用意され、HDD303に予め記憶されていても良いし、必要に応じて外部から取得しても良い。
ステップS1603にて、CPU301は、閾値T1およびT2を決定する。閾値T1およびT2は、T1<T2の条件を満たしながら、図13(a)に示す検出対象データにおいて信号値が「1」であるような画素位置xのうち、図13(b)に示す読み取りデータが最大となる最大信号値SigMaxより大きい値に設定する。図13(b)の場合、左から5列目の下から3段目と左から17列目の下から2段目の輝度値「60」が最大信号値SigMaxとなる。そして、ここでは例として、最大信号値SigMax=60より大きな値T2=90、T1=70を2つの閾値として設定する。
この際、閾値T1は、ノイズが加算された後の輝度信号が当該閾値を超えた場合、その画素位置が明らかに特異点(白スジ)に位置していると判断できる程度の値に設定する。一方、閾値T2は、ノイズが加算された後の輝度信号が当該閾値を超えた場合、その画素位置が特異点(白スジ)に位置している可能性はあるが確定はできない程度の値に設定する。
ステップS1604において、CPU301は、最適なノイズ強度Kを設定する。具体的には、式18で示した相関係数Cをノイズ強度Kで微分し、その微分値が0となるようなノイズ強度Kを最適なノイズ強度としこれを設定する。微分値が0となるときに相関係数Cが極大且つ最大値となることが、図15より分かっているからである。以下、詳しく説明する。
図17は、ステップS1604のノイズ強度設定工程において、CPU301が実行する処理を説明するためのフローチャートである。本処理が開始されると、CPU301はまずステップS1701にて、相関係数Cを示す式18に、図13(a)で示す検出対象信号t(x)を入力し、更にJ(x)には式10、式11、式12、式16、式17を代入する。これにより、相関係数Cをノイズ強度Kのみの関数とする。ステップS1702では、ステップS1701で得られた関数C(K)を微分する範囲a≦K≦bを設定する。
図18(a)は、微分範囲a≦K≦bを説明するための図である。相関係数C(K)は、ある値以下のKではC(K)=0となり、当該値を超えるとC(K)>0となる。このような境界となるKの値は、式11を参照するに、全ての画素xでT2>I(x)+Kを満たすKと、たった1画素でもT2≦I(x)+Kを満たすようになるKの境界値である。言い換えると、式11での条件2つ目に全画素が該当する場合と、1画素でも条件3つ目に該当するようになる境界である。このようなKの値は、全画素のうちのI(x)の最大信号値SigMaxを用い、T2−SigMaxと表すことができる。本実施形態ではこのようなKの値を微分の下限値a=T2−SigMaxに設定する。
一方、相関係数C(K)は、ある値以上のKで収束し一定値となる。収束するときのKの値は、式11を参照するに、全ての画素xでT2<I(x)+Kが満たされる場合、すなわち式11での条件1つ目か3つ目に全画素が該当し、入力信号I(x)の最小値でさえもT2を超える場合である。このようなKの値は、全画素のうちのI(x)の最小信号値SigMinを用い、T2−SigMinと表すことができる。本実施形態ではこのようなKの値を微分の下限値b=T−SigMinに設定する。本例の場合、T2=90、SigMax=60、およびSigMin=0であるので、a=30、b=90となる。関数C(K)はa≦K≦bの範囲に1点のみ極大値を持つことがわかっている。
続くステップS1703において、CPU301は、ステップS1701で求めた相関係数C(K)を、a≦K≦bの範囲においてノイズ強度Kで微分する。図19は相関係数C(K)の微分値C´(K)をa≦K≦bの範囲で示した図である。K=55近辺で微分値が正から負へ転換し、C(K)がこの位置で極大値を有しているのがわかる。CPU301は、C´(K)=0となるKを求め、これを最適なノイズ強度K=55に設定する。以上で本処理は終了する。
図16のフローチャートに戻る。ステップS1604にて、最適なノイズ強度が設定されると、CPU301はステップS1605に進み、所定の確率共鳴処理を実行する。具体的には設定された閾値T1、T2、設定されたノイズ強度K、ステップS1601で取得した読み取りデータI(x)を、式10、式11、式12、式16、式17に代入し個々の画素についてJ(x)を求める。
図14(b)は、図13(b)に示す読み取りデータI(x)に対し、T2=90、T1=70、ノイズ強度K=55として、式10、式11、式12、式16、式17に基づいて算出したJ(x)を示している。閾値T2=90、T1=70、ノイズ強度K=40とした場合の図14(a)と比較して、図13(a)に示す検出対象データt(x)に、より近い結果が得られている。
ステップS1606において、CPU301は、ステップS1605にて好適な条件の下で確率共鳴処理が施された結果に基づいて、判断処理を行う。具体的には、所定の画素値以上の値が得られた画素を、図14(b)のようにポップアップして検査員に通知しても良いし、所定の画素値以上の値が得られた画素の数が所定以上の場合にCPU301が検査対象の画像を不良と判断しても良い。以上で本処理は終了する。
なお、このようにして得られた検出結果は、その後記録装置固有の情報として保存し、その後の記録制御に利用されるようにしても良い。例えば、白スジが発生する位置を複合機6のROM313に記憶し、実際の記録動作時において白スジ近傍に位置する記録素子の吐出回数を通常よりも増加させるようにすれば、画像内の白スジを目立たなくすることができる。
以上説明した本実施形態によれば、特定の位置に現れる白スジのような特異部の有無を精度の高い状態で判断することが可能となる。例えば、白スジが発生していない画像に対し、図16に示す一連のフローチャートを実行した場合であっても、ステップS1603およびステップS1604では、最適な閾値T1、T2と最適なノイズ強度Kは設定される。しかしながら、この様な場合には、検査対象データt(x)との相関性は低く、図14(a)や(b)で示したような、所定の画素値以上の値が特定の位置で分布するような結果は得られない。このため、ステップS1606の判断処理では、検査員がポップアップされた画像の状態から白スジは発生していないと判断することができる。また、所定の画素値以上の値の画素が所定の個数よりも少ないことから、白スジは発生していないとCPU301が判断することもできる。
ところで以上では、C(K)が極大値をとるときのノイズ強度Kを、ステップS1605で実行する確率共鳴処理のためのノイズ強度Kとしたが、必ずしも極大値をとるときのノイズ強度Kを用いなくても、検出精度を向上させることは出来る。具体的には、検出対象データt(x)に対する読み取りデータI(x)そのままの相関係数Cよりも、高い値の相関係数Cを得ることができれば、確率共鳴処理を行わない場合に比べ検出精度を向上させていることになる。具体的には、図13(b)に示す読み取りデータの場合は、図13(a)の検出対象データに対する相関係数Cは0.47であるから、これよりも大きな相関係数Cが得られるような、確率共鳴処理を行うことができればよい。
例えば、図14(a)と同図(b)を比較すれば、図14(b)の方が図14(a)に示す検出対象データとの相関がより高く、高精度な検出を行えることは既に説明した。しかし、ノイズ強度K=40とした図14(a)の場合であっても、この場合の相関係数Cは0.52であり、確率共鳴処理を施さない場合の相関係数(C=0.47)に比べれば、高い値になっており、確率共鳴処理の効果を得ることが出来る。
図18(b)は、このような相関係数Cが得られるノイズ強度Kの範囲を説明するための図である。ノイズ強度Kがbよりも大きくなると、確率共鳴処理の効果はなくなり、相関係数Cは検出対象データt(x)に対する読み取りデータI(x)そのままの相関係数C=0.47となる。すなわち、確率共鳴処理の効果を得るためには、ノイズ強度KはK<bである必要がある。一方、相関係数Cは0<K<bの範囲で、1つの極大値を持つことが判っているため、C(K)=0.47となるもう一つのKがK≦bの範囲に存在する。これをcとする(C(b)=C(c)=0.47)。すなわち、c<K<bを満たすKをノイズ強度Kとして設定し、上述した確率共鳴処理を行えば、確率共鳴処理を行わない場合に比べて、相関係数および検出精度を向上させることが出来る。
但し、検査システムにおいては、上記範囲であっても、ノイズ強度Kは、C´(K)=0となる値(本例の場合はK=55)よりも大きい値に設定するのが好ましい。検査システムの場合、特異部の可能性がある画素を抽出できない「未検出」が致命的であり、正常な画素を多めに特異部として抽出する「過検出」の状態にしておくことが重要だからである。c≦K≦55の範囲でノイズ強度Kを設定する場合よりも55≦K≦bの範囲で設定し、各画素において2値化後の結果が1となる確率を高くしておけば「未検出」を積極的に回避することができる。
以上では白スジを例に説明して来たが、既に説明したように、本実施形態は別の特徴を有する特異点を検出することもできる。そのような場合には、抽出するべき特異点の種類(白スジ、濃度ムラ等)ごとに検出対象データt(x)を予め用意しておけば良い。この際、第2の非線形処理において周囲の画素の第1の非線形処理の結果をどの程度反映させるか、すなわち確率RateP1については、特異点の種類に応じて調整されることが好ましい。また、図16で示したフローチャートを、白スジ、濃度ムラと言った異なる特徴の特異点を検出するために、検出対象データt(x)を交換しながら繰り返し実行しても良い。更に、同一の記録データに従って同じ種類の記録媒体に、異なる記録ヘッドを用いて記録した複数のテストパターンを連続して検査するような場合には、最適な閾値T1、T2とノイズ強度Kを複数のテストパターンで共有化することも出来る。このような場合には、例えば最初のテストパターンのステップS1603およびS1604で得られた閾値T1、T2とノイズ強度Kを一時的に保存し、これ以降のテストパターンではステップS1603およびS1604を省略すればよい。このようにすれば、同種類の特異点に対する検査工程を短縮することができる。
以上説明した本実施形態によれば、多数の非線形回路を搭載すること無く、検出対象データに対して効果的なノイズ強度を設定した上で確率共鳴処理を行うことが出来るので、目標とする特異部を高精度且つ効率的に検出することが可能となる。
(第2の実施形態)
図20は、本実施形態におけるJ(x)を求めるための算出概念図である。第1の実施形態では、図12で説明したように、個々の画素についてのRate1、Rate0、およびRatePを利用して注目画素のRateP1を算出する形態とした。これに対し、本実施形態では、注目画素xに隣接する8つの画素それぞれに対応する8つの入力信号に基づいて、これら8つの画素における第1の非線形処理の最大値が1となる確率を算出し、これをRateP1とする。そして、このようにして得られたRate1、RatePおよびRateP1を用い、式10に従ってRatePとRateP1の積をRate1に加算することにより、J(x)を求める。このような本実施形態においても、第1の実施形態と同様、比較的安易な処理で画像内の特異点を高精度に抽出することができる。
(第3の実施形態)
上記実施形態では、図9に示したように、第2の非線形処理における注目画素の2値化処理を、注目画素xの周囲8方向に隣接する8つの画素の第1の非線形処理の結果に基づいて行った。しかしながら、本実施形態のようにY方向に延在する白スジを抽出するような場合は、StepBで参照する画素を、白スジが延在するY方向に隣接する画素のみとしたほうが効果的な場合がある。このため、本実施形態では、注目画素の第2の非線形処理を行う際に、注目画素xのY方向に隣接する2つの画素のみの第1の非線形処理の結果を参照するものとする。
図14(c)は、第1の実施形態で説明した図14(b)に対し、StepBで参照する画素を、Y方向において注目画素の両側に隣接する2つの画素に変更した場合を示す図である。
また、図21(a)および(b)は、J(x)の値をX方向の位置に対応づけてプロットしたグラフである。図21(a)は、第1の実施形態のように8つ隣接画素の第1の非線形処理の結果を反映させた場合、同図(b)は本実施形態のようにY方向に隣接する2つの画素の第1の非線形処理の結果を反映させた場合をそれぞれ示している。いずれの図においても、図13(c)に示した生データに比べると、白スジの位置が明確に現れているのが分かる。その上で、本実施形態に相当する図21(b)の方が、第1の実施形態に相当する同図(a)に比べて、更にその精度すなわち図13(a)に示すデータとの相関性が高いことがわかる。すなわち、本実施形態によれば、比較的安易な処理で画像内の特異点をさらに高精度に抽出することができる。なお、StepBにおいて注目画素の2値化のために参照する画素は、注目画素に隣接する画素のみでなく、Y方向に連続する複数の画素としても良い。
さらに、以上ではY方向に延在する白スジを例に説明したが、StepBで参照する画素の位置や数は、特異部の特性に応じて様々に変更することもできる。例えば、特異部が搬送方向と交差する方向すなわちX方向に延在する傾向がある場合には、注目画素xに対し、X方向に隣接する画素の3値化値に基づいて、注目画素の2値化処理を行うことが有効である。更に、いずれの方向にも特異部が延在しやすい場合は、その程度に応じてX方向またはY方向に偏った長方形としても良い。更にX方向およびY方向のそれぞれに1画素幅ずつを有する十字型の領域としても良い。いずれにしても、StepBにおいて注目画素の2値化のために参照する画素の位置や数は、抽出したい特異部の傾向に応じて適正化することが好ましい。
(第4の実施形態)
上記実施形態では、第1の非線形処理の結果が“0”または“1”である場合は、第2の非線形処理はスルー、即ちそのまま“0”、“1”とした。これに対し、本実施形態では、第1の非線形処理の結果が“0”または“1”であっても、第2の非線形処理では周囲画素の第1の非線形処理の結果に応じてその値を変更するものとする。
図22は、本実施形態におけるJ(x)を求めるための算出概念図である。本実施形態では、Rate1、Rate0、RatePのほかに、Rate11とRate01を用意する。Rate11は、第1の非線形処理の結果が“1”であった場合に第2の非線形処理の結果が“1”となる確率である。また、Rate01は、第1の非線形処理の結果が“0”であった場合に第2の非線形処理の結果が“1”となる確率である。なお、Rate11、RateP1およびRate01においては、当該順で小さくなる関係、すなわちRate11>RateP1>Rate01の関係が成り立っている。
具体的に説明する。例えば、注目画素の第1の非線形処理の結果が“1”であっても、周囲8画素の殆どにおいて第1の非線形処理の結果が“0”の場合、注目画素が特異部に含まれている可能性は低いと考えられる。よって、このような場合には第2の非線形処理において、注目画素の出力値を“0”に変更する。つまり本実施形態において、Rate11とは、例えば周囲8画素のうち第1の非線形処理の結果が“0”である画素の数がN1画素以下である確率などとすることができる。
一方、注目画素の第1の非線形処理の結果が“0”であっても、周囲8画素の殆どにおいて第1の非線形処理の結果が“1”の場合、注目画素は特異部に含まれている可能性が高いと考えられる。よって、このような場合には第2の非線形処理において、注目画素の出力値を“1”に変更する。つまり本実施形態において、Rate01とは、例えば周囲8画素のうち第1の非線形処理の結果が“1”である画素の数がN2(>N1)画素以上である確率などとすることができる。
本実施形態では、注目画素xの任意の分岐回路mにおいて、j(x,m)=1となる確率J(x)は、
と表すことができる。
このような本実施形態によれば、周辺画素の状況を上記実施形態よりも更に多く反映させながら、比較的安易な処理で画像内の特異点を高精度に抽出することができる。
なお、上記実施形態では、第1の非線形処理で3値に量子化し第2の非線形処理で2値に量子化する形態で説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。第2の非線形処理が注目画素と周辺画素における第1の非線形処理の結果に基づいて行われれば、第1の非線形処理については4値以上に量子化される形態としても良い。いずれにしても、第1の非線形処理で3値以上に量子化され、最終的にj(x,m)=1となる確率J(x)を算出することができれば、比較的安易な処理で画像内の特異点を高精度に抽出するという本発明の効果を得ることが出来る。
更に、以上では、図3に見るような複合機6と画像処理装置1が接続してなるシステムを例に説明してきたが、無論本発明はこのような形態に限定されるものではない。本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
1 画像処理装置(信号抽出処理装置)
3 画像処理部

Claims (21)

  1. 2次元に配列する複数の画素信号のそれぞれに対し所定の確率共鳴処理を施すことにより、前記複数の画素信号で構成される画像データの中から特異部を抽出するための信号抽出処理装置であって、
    前記所定の確率共鳴処理は、前記複数の画素信号のそれぞれに対し、ノイズを付加した後に2値化処理を施す工程を複数並列して行った結果を合成する形態において、前記並列の数を無限大にしたときに得られる値を出力する処理であり、
    前記2値化処理は、ノイズが付加された前記画素信号を複数の閾値と比較して3値以上に量子化する第1の非線形処理と、処理対象となる画素信号および当該画素信号の周囲に位置する画素信号における前記第1の非線形処理の結果に基づいて、前記処理対象となる画素信号を“0”または“1”に2値化する第2の非線形処理とを含むことを特徴とする信号抽出処理装置。
  2. 前記確率共鳴処理は、前記並列の数を無限大にしたときに得られる値として、前記工程を複数並列して行ったうちの任意の工程において、前記第2の非線形処理の結果が“1”になる確率を出力するものであり、
    前記第2の非線形処理の結果が“1”になる確率は、前記第1の非線形処理におけるそれぞれの量子化の結果が得られる確率に基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の信号抽出処理装置。
  3. 前記第1の非線形処理は、
    ノイズが付加された前記画素信号が第1の閾値より小さいときに“0”を、
    ノイズが付加された前記画素信号が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値よりも更に大きいときに“1”を、
    ノイズが付加された前記画素信号が前記第1の閾値以上で前記第2の閾値以下であるときに“P”を、
    出力するものであって、
    前記第2の非線形処理の結果が“1”になる確率は、前記第1の非線形処理の結果が“1”となる第1の確率と、前記第1の非線形処理の結果が“P”となる第2の確率と、前記第1の非線形処理の結果が“P”となった場合に前記第2の非線形処理の結果が“1”となる第3の確率と、に基づいて算出され、
    前記第3の確率は、前記処理対象の画素信号の周囲に位置する画素信号における前記第1の非線形処理の結果に基づいて求められることを特徴とする請求項2に記載の信号抽出処理装置。
  4. 前記第3の確率は、前記処理対象の画素信号の周囲に隣接する8つの画素信号のうち、前記第1の非線形処理の結果が“1”であるものが1つ以上存在する確率であることを特徴とする請求項3に記載の信号抽出処理装置。
  5. 前記第3の確率は、前記処理対象の画素信号の周囲に位置する画素信号のうち、所定の方向に隣接する画素信号のみの前記第1の非線形処理の結果に基づいて求められることを特徴とする請求項3に記載の信号抽出処理装置。
  6. 前記第1の非線形処理は、
    ノイズが付加された前記画素信号が第1の閾値より小さいときに“0”を、
    ノイズが付加された前記画素信号が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値よりも更に大きいときに“1”を、
    ノイズが付加された前記画素信号が前記第1の閾値以上で前記第2の閾値以下であるときに“P”を、
    出力するものであって、
    前記第2の非線形処理の結果が“1”になる確率は、
    前記第1の非線形処理の結果が“1”となる第1の確率と、前記第1の非線形処理の結果が“1”となった場合に前記第2の非線形処理の結果が“1”となる第2の確率と、
    前記第1の非線形処理の結果が“P”となる第3の確率と、前記第1の非線形処理の結果が“P”となった場合に前記第2の非線形処理の結果が“1”となる第4の確率と、
    前記第1の非線形処理の結果が“0”となる第5の確率と、前記第1の非線形処理の結果が“0”となった場合に前記第2の非線形処理の結果が“1”となる第6の確率と、に基づいて取得され、
    前記第2の確率、前記第4の確率、前記第6の確率は、当該順で小さくなることを特徴とする請求項2に記載の信号抽出処理装置。
  7. 前記ノイズは、ホワイトノイズであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の信号抽出処理装置。
  8. 前記ノイズは、正規分布を有するノイズであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の信号抽出処理装置。
  9. 前記確率共鳴処理によって抽出された前記特異部の存在を通知する手段を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の信号抽出処理装置。
  10. 画像を記録する記録手段と前記画像を読み取る読み取り手段とを有し、前記画像データは前記読み取り手段が読み取った結果の画像データであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の信号抽出処理装置。
  11. 2次元に配列する複数の画素信号のそれぞれに対し所定の確率共鳴処理を施すことにより、前記複数の画素信号で構成される画像データの中から特異部を抽出するための信号抽出処理方法であって、
    前記所定の確率共鳴処理は、前記複数の画素信号のそれぞれに対し、ノイズを付加した後に2値化処理を施す工程を複数並列して行った結果を合成する形態において、前記並列の数を無限大にしたときに得られる値を出力する処理であり、
    前記2値化処理は、ノイズが付加された前記画素信号を複数の閾値と比較して3値以上に量子化する第1の非線形処理と、処理対象となる画素信号および当該画素信号の周囲に位置する画素信号における前記第1の非線形処理の結果に基づいて、前記処理対象となる画素信号を“0”または“1”に2値化する第2の非線形処理とを含むことを特徴とする信号抽出処理方法。
  12. 前記確率共鳴処理は、前記並列の数を無限大にしたときに得られる値として、前記工程を複数並列して行ったうちの任意の工程において、前記第2の非線形処理の結果が“1”になる確率を出力するものであり、
    前記第2の非線形処理の結果が“1”になる確率は、前記第1の非線形処理におけるそれぞれの量子化の結果が得られる確率に基づいて算出されることを特徴とする請求項11に記載の信号抽出処理方法。
  13. 前記第1の非線形処理は、
    ノイズが付加された前記画素信号が第1の閾値より小さいときに“0”を、
    ノイズが付加された前記画素信号が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値よりも更に大きいときに“1”を、
    ノイズが付加された前記画素信号が前記第1の閾値以上で前記第2の閾値以下であるときに“P”を、
    出力するものであって、
    前記第2の非線形処理の結果が“1”になる確率は、前記第1の非線形処理の結果が“1”となる第1の確率と、前記第1の非線形処理の結果が“P”となる第2の確率と、前記第1の非線形処理の結果が“P”となった場合に前記第2の非線形処理の結果が“1”となる第3の確率と、に基づいて算出され、
    前記第3の確率は、前記処理対象の画素信号の周囲に位置する画素信号における前記第1の非線形処理の結果に基づいて求められることを特徴とする請求項12に記載の信号抽出処理方法。
  14. 前記第3の確率は、前記処理対象の画素信号の周囲に隣接する8つの画素信号のうち、前記第1の非線形処理の結果が“1”であるものが1つ以上存在する確率であることを特徴とする請求項13に記載の信号抽出処理方法。
  15. 前記第3の確率は、前記処理対象の画素信号の周囲に位置する画素信号のうち、所定の方向に隣接する画素信号のみの前記第1の非線形処理の結果に基づいて求められることを特徴とする請求項13に記載の信号抽出処理方法。
  16. 前記第1の非線形処理は、
    ノイズが付加された前記画素信号が第1の閾値より小さいときに“0”を、
    ノイズが付加された前記画素信号が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値よりも更に大きいときに“1”を、
    ノイズが付加された前記画素信号が前記第1の閾値以上で前記第2の閾値以下であるときに“P”を、
    出力するものであって、
    前記第2の非線形処理の結果が“1”になる確率は、
    前記第1の非線形処理の結果が“1”となる第1の確率と、前記第1の非線形処理の結果が“1”となった場合に前記第2の非線形処理の結果が“1”となる第2の確率と、
    前記第1の非線形処理の結果が“P”となる第3の確率と、前記第1の非線形処理の結果が“P”となった場合に前記第2の非線形処理の結果が“1”となる第4の確率と、
    前記第1の非線形処理の結果が“0”となる第5の確率と、前記第1の非線形処理の結果が“0”となった場合に前記第2の非線形処理の結果が“1”となる第6の確率と、に基づいて取得され、
    前記第2の確率、前記第4の確率、前記第6の確率は、当該順で小さくなることを特徴とする請求項12に記載の信号抽出処理方法。
  17. 前記ノイズは、ホワイトノイズであることを特徴とする請求項11ないし16のいずれか1項に記載の信号抽出処理方法。
  18. 前記ノイズは、正規分布を有するノイズであることを特徴とする請求項11ないし16のいずれか1項に記載の信号抽出処理方法。
  19. 前記確率共鳴処理によって抽出された前記特異部の存在を通知する工程を有することを特徴とする請求項11ないし18のいずれか1項に記載の信号抽出処理方法。
  20. 画像を記録する記録工程と前記画像を読み取る読み取り工程とを有し、前記画像データは前記読み取り工程で読み取った結果の画像データであることを特徴とする請求項11ないし19のいずれか1項に記載の信号抽出処理方法。
  21. 請求項11ないし20のいずれか1項に記載の信号抽出処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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