JP6656766B2 - フィルタベント用充填剤、及びフィルタベント装置 - Google Patents
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Description
X型ゼオライトを造粒してなるフィルタベント用充填剤であって、
前記X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの一部が銀で置換され、残部が鉛、ニッケル、及び銅からなる群から選択される少なくとも一種の金属で置換され、
前記イオン交換サイトのうち、銀で置換されたイオン交換サイト(a)と、銀以外の金属で置換されたイオン交換サイト(b)との構成比率(a/b)が、60/40〜80/20に設定されていることにある。
本発明に係るフィルタベント用充填剤では、ゼオライトの中でも比較的大きな細孔径を有するX型ゼオライトを用いており、X型ゼオライトのイオン交換サイトの一部が銀で置換され、残部が鉛、ニッケル、及び銅からなる群から選択される少なくとも一種の金属で置換されている(このようなゼオライトを本明細書では「AgMXゼオライト」と称する。)。さらに、このAgMXゼオライトが効果的に放射性ヨウ素の吸着能を発揮するための構成としては、X型ゼオライトのイオン交換サイトのうち、銀で置換されたイオン交換サイト(a)と、銀以外の金属で交換されたイオン交換サイト(b)との構成比率(a/b)を、60/40〜80/20に設定する必要があることも判明した。ここで、上記構成比率は、AgMXゼオライトに含まれる銀原子の数と、銀原子以外の金属原子の数との比率(原子比)に相当する。原子炉事故のような異常事態(シビアアクシデント)が起こった場合、放射性ヨウ素が周辺に飛散しないように、事故発生直後から迅速に処理することが重要である。そこで、上記の範囲に構成比率(原子比)を設定したAgMXゼオライトから構成されるフィルタベント用充填剤を使用すれば、確実に放射性ヨウ素を吸着し、原子炉施設外への放射性ヨウ素の飛散を防止することができる。なお、鉛、ニッケル、及び銅は、銀と比較すると安価な物質である。このため、X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの一部を鉛、ニッケル、及び銅からなる群から選択される少なくとも一種の金属で置換して得られるAgMXゼオライトは、コスト的に見ても有利である。
前記X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの一部が銀で置換され、残部が鉛で置換されていることが好ましい。
前記銀の含有量が17〜26重量%に設定されていることが好ましい。
連続的に放射性ヨウ素を処理するフィルタベント装置であって、
上記の何れか一のフィルタベント用充填剤の前段に、X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの略全てを銀で置換した銀含有充填剤が配置されていることにある。
そこで、本発明に係るフィルタベント装置では、AgMXゼオライトで構成されるフィルタベント用充填剤の前段に、X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの略全てを銀で置換した(このようなゼオライトを本明細書では「AgXゼオライト」と称する。)銀含有充填剤を配置する構成とした。このようにAgXゼオライトとAgMXゼオライトとの二段構成とすれば、フィルタベント装置に水素を含む高温の蒸気が流入すると、前段のAgXゼオライトにおいて、蒸気の大半が凝縮して水分が取り除かれるため、後段のAgMXゼオライトでは水分凝縮は殆ど起こらず、相対的な水素濃度や酸素濃度の上昇を回避することができる。しかも、前段のAgXゼオライトは、放射性ヨウ素だけでなく水素も良好に吸着できるため、相対的な水素濃度の上昇が抑制される。このため、水素爆発の危険性が低減する。また、後段のAgMXゼオライトを通過するガスは水素濃度が既に低減されたものとなっている。従って、本構成のフィルタベント装置であれば、シビアアクシデントの初期段階から水素及び放射性ヨウ素を効果的に低減することができる。また、所定時間経過後、仮に、前段のAgXゼオライトの処理能力が低下してきても、後段のAgMXゼオライトは水素の存在下でも放射性ヨウ素を吸着できるため、長時間に亘ってシビアアクシデントへの対応が可能となる。このように、フィルタベント装置において、AgXゼオライト、及びAgMXゼオライトを二段階で設置すれば、フィルタベント装置内での水素濃度の上昇を抑制できるとともに、周辺環境に放射性ヨウ素が飛散することを確実に防止し、安全性をより向上させることができる。
まず、本発明のフィルタベント用充填剤のベースとなるX型ゼオライトについて説明する。ゼオライトはケイ酸塩の一種であり、構造の基本単位は四面体構造の(SiO4)4−及び(AlO4)5−であり、この基本単位が次々と三次元的に連結して結晶構造を形成する。基本単位の連結の形式によって種々の結晶構造が形成され、形成される結晶構造ごとに固有の均一な細孔径を有する。この均一な細孔径を有するため、ゼオライトには分子篩や吸着、イオン交換能といった特性が備わることとなる。本発明のフィルタベント用充填剤は、ゼオライトの一種であるX型ゼオライトをベースとするものであり、特に13X型ゼオライトを好適に使用することができる。13X型ゼオライトは工業的に広く用いられているゼオライトであり、その組成は、Na86[(AlO2)86(SiO2)106]・276H2Oである。この13X型ゼオライトのイオン交換サイトであるナトリウムサイトの一部を銀で置換し、残部を鉛、ニッケル、及び銅からなる群から選択される少なくとも一種の金属、好ましくは鉛で置換することにより、本発明のフィルタベント用充填剤が調製される。このようなフィルタベント用充填剤を本明細書では「AgMXゼオライト」と称する。
本発明のフィルタベント装置では、後述の実施形態で説明するように、上記AgMXゼオライトの前段にX型ゼオライト中のナトリウムサイトの略全てを銀でイオン交換したAgXゼオライトを配置する。AgXゼオライトのベースとなるX型ゼオライトは、AgMXゼオライトと同様に、13X型ゼオライトが好適に使用される。銀でイオン交換された13X型ゼオライトは、元の13X型ゼオライトよりも細孔径のサイズが小さくなる。具体的には、銀でイオン交換される前のナトリウムサイトを有する13X型ゼオライトの細孔径(約0.4nm)は、水素分子(分子径:約0.29nm)を捕捉するには大き過ぎるサイズであるが、ナトリウムサイトを銀でイオン交換すると、水素分子がぴったりと収まる最適な細孔径(約0.29nm)となる。その結果、銀でイオン交換された13X型ゼオライトは、放射性ヨウ素だけでなく、水素分子についても高効率で効果的に吸着することが可能となる。
[第一実施形態]
上記のように調製したAgMXゼオライト、及びAgXゼオライトを用いた本発明のフィルタベント装置に関して説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係るフィルタベント装置50を備える沸騰水型炉100の概略構成図である。沸騰水型炉100は、図1に示すように、フィルタベント装置50、原子炉建屋3、原子炉格納容器4、及び原子炉圧力容器5から構成されている。フィルタベント装置50は、フィルタベント用充填剤1、及びフィルタベント部2を備えている。本実施形態のフィルタベント部2は、スクラバー方式によるウェットベントシステムを採用している。フィルタベント装置50は、原子炉に事故が起こり、原子炉格納容器4が損傷した場合に備えて、原子炉建屋3の外側に設置されている。原子炉格納容器4の内部圧力が上昇した場合、図1の実線矢印で示すように、原子炉格納容器4内の蒸気が配管6を通じてフィルタベント装置50へ送られる。フィルタベント装置50においては、蒸気中の放射性ヨウ素がフィルタベント部2によって捕集され、その後、フィルタベント用充填剤1を通って排気筒から外部に排出される。
図2は、本発明の第二実施形態に係るフィルタベント装置50を備える沸騰水型炉100の概略構成図である。上記の第一実施形態では、フィルタベント装置50において、フィルタベント用充填剤1及び銀含有充填剤8を収納するケース7が原子炉格納容器4に直接隣接しない位置、すなわち、フィルタベント部2の下流側に配置した。これに対し、第二実施形態では、図2に示すように、フィルタベント装置50において、銀含有充填剤8及びフィルタベント用充填剤1を収納するケース7が原子炉格納容器4と隣接する位置に設置するようにした。このとき、原子炉格納容器4から排出される蒸気には、放射性ヨウ素の他に水素も含まれ、蒸気は図2の実線矢印で示すように、配管6を通じてフィルタベント装置50に送られる。第二実施形態では、フィルタベント部2による処理の前に、蒸気がケース7内の銀含有充填剤8を通流し、その次にフィルタベント用充填剤1を通流する。このようにフィルタベント装置50を構成した場合、フィルタベント部2へ蒸気を送る前に放射性ヨウ素の吸着及び水素の処理が行われるため、銀含有充填剤8及びフィルタベント用充填剤1を収容するケース7から出てきたガスは負荷が低減されたものとなり、フィルタベント部2によってスムーズに処理することが可能となる。
上記の第一実施形態ないし第二実施形態は、いずれも沸騰水型炉についての実施形態であったが、本発明のフィルタベント用充填剤1は、加圧水型炉においても適用可能である。沸騰水型炉と同様に、シビアアクシデントにより原子炉が損傷した場合の対策として、フィルタベント用充填剤1と銀含有充填剤8とをケース7に収納してフィルタベント部2の後段に接続するように配置したフィルタベント装置50を加圧水型炉に設置することもでき、また、フィルタベント装置50において、銀含有充填剤8及びフィルタベント用充填剤1を収納したケース7を、加圧水型炉の原子炉格納容器4と隣接する位置に設置することもできる(図示せず)。さらに、本発明のフィルタベント用充填剤1は、上記の各実施形態で説明したフィルタベント部2がスクラバー方式となっているウェットベントシステムだけでなく、例えば、メタルファイバーフィルタやサンドフィルタと組み合わせたドライベントシステムにも適用可能である。
銀濃度63.2g/L、及び鉛濃度42.2g/Lの硝酸塩混合水溶液を調製し、この混合水溶液に適量の13X型ゼオライトを投入し、室温に維持して約1日間攪拌することにより、イオン交換処理を行った。イオン交換処理を終えた13X型ゼオライトを濾別し、純水で洗浄後、乾燥させてAgMXゼオライトを得た。このAgMXゼオライトをフッ酸と硝酸との混合液で加熱溶解後、ICP発光分光分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製のICP発光分光分析装置 iCAP−6200Duo)で銀及び鉛の含有量を分析したところ、銀の含有量(乾燥重量)は23.6重量%、鉛の含有量は15.8重量%であった。13X型ゼオライトのイオン交換サイトを構成する銀及び鉛の比率(原子比)は、74/26であった。
銀濃度52.6g/L、及び鉛濃度52.6g/Lの硝酸塩混合水溶液を調製し、この混合水溶液に適量の13X型ゼオライトを投入し、室温に維持して約1日間攪拌することにより、イオン交換処理を行った。イオン交換処理を終えた13X型ゼオライトを濾別し、純水で洗浄後、乾燥させてAgMXゼオライトを得た。このAgMXゼオライトをフッ酸と硝酸との混合液で加熱溶解後、ICP発光分光分析装置で銀及び鉛の含有量を分析したところ、銀の含有量(乾燥重量)は19.7重量%、鉛の含有量は19.3重量%であった。13X型ゼオライトのイオン交換サイトを構成する銀及び鉛の比率は、66/34であった。
銀濃度63.8g/L、及び銅濃度42.1g/Lの硝酸塩混合水溶液を調製し、この混合水溶液に適量の13X型ゼオライトを投入し、室温に維持して約1日間攪拌することにより、イオン交換処理を行った。イオン交換処理を終えた13X型ゼオライトを濾別し、純水で洗浄後、乾燥させてAgMXゼオライトを得た。このAgMXゼオライトをフッ酸と硝酸との混合液で加熱溶解後、ICP発光分光分析装置で銀及び銅の含有量を分析したところ、銀の含有量(乾燥重量)は25.4重量%、銅の含有量は4.7重量%であった。13X型ゼオライトのイオン交換サイトを構成する銀及び銅の比率は、76/24であった。
銀濃度78.9g/L、及び鉛濃度26.3g/Lの硝酸塩混合水溶液を調製し、この混合水溶液に適量の13X型ゼオライトを投入し、室温に維持して約1日間攪拌することにより、イオン交換処理を行った。イオン交換処理を終えた13X型ゼオライトを濾別し、純水で洗浄後、乾燥させて銀−鉛ゼオライトを得た。この銀−鉛ゼオライトをフッ酸と硝酸との混合液で加熱溶解後、ICP発光分光分析装置で銀及び鉛の含有量を分析したところ、銀の含有量(乾燥重量)は28.2重量%、鉛の含有量は10.0重量%であった。13X型ゼオライトのイオン交換サイトを構成する銀及び鉛の比率は、84/16であった。
続いて、実施例1〜3で調製したAgMXゼオライト、及び比較例1で調製した銀−鉛ゼオライトに対し、水素を含むガスを通流させたときの温度変化を測定した。試験条件は、次のとおりである。
約150℃に加熱した実施例1〜2のAgMXゼオライトに対し、(A)通流開始から10分までの間は、ドライエアーのみを通流させ、(B)通流開始後10分から40分までの間は、ドライエアー、水蒸気、及び水素の混合ガスを通流させ、(C)通流開始後40分から50分までの間は、ドライエアーのみを通流させた。図3は、実施例1のAgMXゼオライトに水素を含むガスを通流させたときの温度変化の様子を示したグラフである。図4は、実施例2のAgMXゼオライトに水素を含むガスを通流させたときの温度変化の様子を示したグラフである。
約150℃に加熱した実施例3のAgMXゼオライトに対し、(A)通流開始から10分までの間は、ドライエアーのみを通流させ、(B)通流開始後10分から58分までの間は、ドライエアー、水蒸気、及び水素の混合ガスを通流させ、(C)通流開始後58分から70分までの間は、ドライエアーのみを通流させた。図5は、実施例3のAgMXゼオライトに水素を含むガスを通流させたときの温度変化の様子を示したグラフである。
約150℃に加熱した比較例1の銀−鉛ゼオライトに対し、(A)通流開始から10分までの間は、ドライエアーのみを通流させ、(B)通流開始後10分から40分までの間は、ドライエアー、水蒸気、及び水素の混合ガスを通流させ、(C)通流開始後40分から50分までの間は、ドライエアーのみを通流させた。図6は、比較例1の銀−鉛ゼオライトに水素を含むガスを通流させたときの温度変化の様子を示したグラフである。
2 フィルタベント部
3 原子炉建屋
4 原子炉格納容器
5 原子炉圧力容器
6 配管
7 ケース
8 銀含有充填剤
50 フィルタベント装置
100 沸騰水型炉
Claims (3)
- 水素の存在下でも放射性ヨウ素を吸着するX型ゼオライトを造粒してなるフィルタベント用充填剤であって、
前記X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの一部が銀で置換され、残部が鉛で置換され、
前記イオン交換サイトのうち、銀で置換されたイオン交換サイト(a)と、鉛で置換されたイオン交換サイト(b)との構成比率(a/b)が、60/40〜80/20に設定され、
摩耗度が10%以下(ASTM D−4058)であるフィルタベント用充填剤。 - 前記銀の含有量が17〜26重量%に設定されている請求項1に記載のフィルタベント用充填剤。
- 連続的に放射性ヨウ素を処理するフィルタベント装置であって、
請求項1又は2に記載のフィルタベント用充填剤の前段に、X型ゼオライトが有するイオン交換サイトの全てを銀で置換した銀含有充填剤が配置されているフィルタベント装置。
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