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JP6657770B2 - 液体組成物およびこれを用いたエッチング方法 - Google Patents
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JP6657770B2 - 液体組成物およびこれを用いたエッチング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物(IGZO)上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物のエッチングに用いられ、IGZOへのダメージを抑えて銅または銅を主成分とする金属化合物をエッチングする液体組成物と、これを用いたエッチング方法、ならびにこの方法により製造された基板に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化および低消費電力化が進む中で、特に液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンスディスプレイ等表示デバイスの分野においては、半導体層の材料として、各種の酸化物半導体材料の開発が行われている。
酸化物半導体材料は、主にインジウム、ガリウム、亜鉛および錫等から構成され、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)、インジウム・ガリウム酸化物(IGO)、インジウム・錫・亜鉛酸化物(ITZO)、インジウム・ガリウム・亜鉛・錫酸化物(IGZTO)、ガリウム・亜鉛酸化物(GZO)、亜鉛・錫酸化物(ZTO)等、種々の組成が検討されている。この中でも特にIGZOについての検討が盛んに行われている。
前記IGZOを例えば、薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)等の電子素子として用いる場合、IGZOは、スパッタ法などの成膜プロセスを用いてガラス等の基板上に形成される。次いで、レジスト等をマスクにしてエッチングすることで電極パタ−ンが形成される。さらにその上に、銅(Cu)やモリブデン(Mo)等がスパッタ法などの成膜プロセスを用いて形成され、次いで、レジスト等をマスクにしてエッチングすることでソース・ドレイン配線が形成される。このエッチングする方法には湿式(ウェット)法と乾式(ドライ)法があるが、ウェット法ではエッチング液が使用される。
IGZOは酸やアルカリによって容易にエッチングされることが一般に知られており、これらのエッチング液を用いてソース・ドレイン配線を形成する際に下地であるIGZOが腐食しやすい傾向がある。このIGZOの腐食により、TFTの電気特性が劣化する場合がある。したがって、通常はIGZO上に保護層を形成した後、ソース・ドレイン配線を形成するエッチストッパ型構造(図1参照)が採用されているが、製造が煩雑となり、その結果としてコストの増大につながっている。そこで、保護層を必要としないバックチャネルエッチ型構造(図2参照)を採用するため、IGZOへのダメージを抑えて、各種配線材料をエッチング可能なエッチング液が望まれている。
特許文献1(国際公開第2011/021860号)では、(A)過酸化水素を5.0〜25.0重量%、(B)フッ素化合物を0.01〜1.0重量%、(C)アゾール化合物を0.1〜5.0重量%、(D)ホスホン酸誘導体またはその塩からなる群から選ばれた1種以上の化合物を0.1〜10.0重量%、(E)水、からなるエッチング液を用いて、銅を主成分とする金属膜をエッチングする方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されたエッチング液は、過酸化水素、フッ素化合物、アゾール化合物およびホスホン酸誘導体またはその塩からなるが、ホスホン酸誘導体またはその塩は過酸化水素の安定化のために添加しており、インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物(IGZO)へのダメージについては言及していない。過酸化水素、フッ素化合物、アゾール化合物および1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を配合した液体組成物についてはIGZOへのダメージが確認され(比較例13を参照)、IGZOへのダメージを抑えて金属化合物をエッチングする液体組成物としては不十分である。
特許文献2(国際公開第2009/066750号)では、アルカリを含有する水溶液からなるアルカリ性のエッチング液組成物を用いることにより、アモルファス酸化物膜と、アルミニウム(Al)、Al合金、銅(Cu)、Cu合金、銀(Ag)およびAg合金からなる群から選ばれた少なくとも1つからなる金属膜とを含む積層膜のエッチングにおいて、該金属膜を選択的にエッチングできるとしている。
しかしながら、特許文献2に開示されたエッチング液組成物は、アルカリを含有する水溶液からなるアルカリ性のエッチング液組成物としているが、過酸化水素、およびアンモニアを配合した液体組成物についてはIGZOへのダメージが確認され(比較例14を参照)、IGZOへのダメージを抑えて金属化合物をエッチングする液体組成物としては不十分である。
特許文献3(国際公開第2013/015322号)では、過酸化水素、硫酸または硝酸などの無機酸、コハク酸などの有機酸、エタノールアミンなどのアミン化合物、および、5−アミノ−1H−テトラゾールなどのアゾール類を含むエッチング液を用いることにより、半導体層へのダメージを低減させて銅/モリブデン系多層薄膜を選択的にエッチングできることが記載されている。
しかしながら、低pH領域ではIGZOなどの半導体層にダメージを与えてしまうため、特許文献3に開示されたエッチング液は、pH2.5〜5の範囲に調整して使用することを要している。
国際公開第2011/021860号 国際公開第2009/066750号 国際公開第2013/015322号
本発明の課題は、IGZOへのダメージを抑えて、IGZO上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物をエッチングする液体組成物と、これを用いてIGZO上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物に接触させることを特徴とするエッチング方法、ならびに該エッチング方法を適用して製造される基板を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するため検討を行った結果、(A)過酸化水素、(B)フッ素原子を含有しない酸、(C)ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる1種以上の化合物、および(D)水を含み、かつpH値が5以下であることを特徴とする液体組成物において、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物をエッチングする液体組成物であって、(A)過酸化水素、(B)フッ素原子を含有しない酸(C成分を除く)、(C)ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる1種以上の化合物、および(D)水を含み、かつpH値が5以下であることを特徴とする液体組成物。
[2]インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物とをエッチングすることを特徴とする第1項に記載の液体組成物。
[3](B)フッ素原子を含有しない酸が硝酸、硫酸、リン酸、塩酸、メタンスルホン酸、アミド硫酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸およびクエン酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物である第1項に記載の液体組成物。
[4](C)ホスホン酸類がアミノメチルホスホン酸、n−ヘキシルホスホン酸、1−オクチルホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチリデン−1,1−ビスホスホン酸、N,N,N',N'−エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、1,2−プロパンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、およびペンタエチレンヘキサミンオクタ(メチレンホスホン酸)からなる群より選ばれる1種以上の化合物である第1項に記載の液体組成物。
[5](C)リン酸エステル類がモノエチルホスフェート、ジエチルホスフェートおよびエチレングリコールホスフェートからなる群より選ばれる1種以上の化合物である第1項に記載の液体組成物。
[6]さらに過酸化水素安定剤としてフェニル尿素、フェニルグリコール、フェニルエチレングリコール、フェノールスルホン酸、アセトアニリド、フェナセチン、アセトアミドフェノール、ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−アミノフェノール、3,5−ジアミノ安息香酸、スルファニル酸、アニリン、N−メチルアニリン、8−ヒドロキシキノリン、o−アセトトルイド、m−アセトトルイド、ジフェニルアミン、フェノール、アニソールからなる群より選ばれる1種以上のフェニル基を有する過酸化水素安定剤を含む第1項に記載の液体組成物。
[7]第1項〜第6項のいずれかに記載の液体組成物をインジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物に接触させ、銅または銅を主成分とする金属化合物をエッチングする方法。
[8]第1項〜第6項のいずれかに記載の液体組成物をインジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物に接触させ、銅または銅を主成分とする金属化合物と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物をエッチングする方法。
[9]第7項に記載のエッチング方法を適用して、インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物をエッチングすることにより製造される基板。
[10]第8項に記載のエッチング方法を適用して、インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物をエッチングすることにより製造される基板。
本発明の好ましい態様は下記のとおりである。
[1]インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物をエッチングするための液体組成物であって、(A)過酸化水素、(B)フッ素原子を含有しない酸(C成分を除く)、(C)ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる1種以上の化合物、および(D)水を含み、かつpH値が5以下であることを特徴とする液体組成物。
[2](B)フッ素原子を含有しない酸が、(B1)硝酸、硫酸、リン酸および塩酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、[1]に記載の液体組成物。
[3](B)フッ素原子を含有しない酸が、(B1)硝酸、硫酸、リン酸および塩酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、(B2)メタンスルホン酸、アミド硫酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸およびクエン酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物との組み合わせである、[1]に記載の液体組成物。
[4]前記液体組成物中の(C)ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる1種以上の化合物の含有量が、0.001質量%〜0.1質量%の範囲内である、[1]から[3]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[5]前記液体組成物中の(A)過酸化水素の含有量が、2質量%〜10質量%の範囲内である、[1]から[4]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[6]前記液体組成物中の(B)フッ素原子を含有しない酸(C成分を除く)の含有量が、1質量%〜10質量%の範囲内である、[1]から[5]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[7](C)ホスホン酸類がアミノメチルホスホン酸、n−ヘキシルホスホン酸、1−オクチルホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチリデン−1,1−ビスホスホン酸、N,N,N',N'−エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、1,2−プロパンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、およびペンタエチレンヘキサミンオクタ(メチレンホスホン酸)からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、[1]から[6]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[8](C)リン酸エステル類がモノエチルホスフェート、ジエチルホスフェートおよびエチレングリコールホスフェートからなる群より選ばれる1種以上の化合物である、[1]から[7]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[9]さらに過酸化水素安定剤としてフェニル尿素、フェニルグリコール、フェニルエチレングリコール、フェノールスルホン酸、アセトアニリド、フェナセチン、アセトアミドフェノール、ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−アミノフェノール、3,5−ジアミノ安息香酸、スルファニル酸、アニリン、N−メチルアニリン、8−ヒドロキシキノリン、o−アセトトルイド、m−アセトトルイド、ジフェニルアミン、フェノール、アニソールからなる群より選ばれる1種以上のフェニル基を有する過酸化水素安定剤を含む、[1]から[8]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[10]インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物とをエッチングするためのものである、[1]から[9]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[11]インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物をエッチングする方法であって、(A)過酸化水素、(B)フッ素原子を含有しない酸(C成分を除く)、(C)ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる1種以上の化合物、および(D)水を含み、かつpH値が5以下である液体組成物を、インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物に接触させ、銅または銅を主成分とする金属化合物をエッチングする方法。
[12]インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に保護層を介することなく形成された銅または銅を主成分とする金属化合物をエッチングする方法である、[11]に記載の方法。
[13]インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された、銅または銅を主成分とする金属化合物と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物とをエッチングする方法であって、(A)過酸化水素、(B)フッ素原子を含有しない酸(C成分を除く)、(C)ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる1種以上の化合物、および(D)水を含み、かつpH値が5以下である液体組成物をインジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物に接触させ、銅または銅を主成分とする金属化合物と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物をエッチングする方法。
[14]インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に保護層を介することなく形成された銅または銅を主成分とする金属化合物と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物とをエッチングする方法である、[13]に記載の方法。
[15](B)フッ素原子を含有しない酸が、(B1)硝酸、硫酸、リン酸および塩酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、[11]から[14]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[16](B)フッ素原子を含有しない酸が、(B1)硝酸、硫酸、リン酸および塩酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、(B2)メタンスルホン酸、アミド硫酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸およびクエン酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物との組み合わせである、[11]から[14]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[17]前記液体組成物中の(C)ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる1種以上の化合物の含有量が、0.001質量%〜0.1質量%の範囲内である、[11]から[16]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[18]前記液体組成物中の(A)過酸化水素の含有量が、2質量%〜10質量%の範囲内である、[11]から[17]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[19]前記液体組成物中の(B)フッ素原子を含有しない酸(C成分を除く)の含有量が、1質量%〜10質量%の範囲内である、[11]から[18]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[20](C)ホスホン酸類がアミノメチルホスホン酸、n−ヘキシルホスホン酸、1−オクチルホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチリデン−1,1−ビスホスホン酸、N,N,N',N'−エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、1,2−プロパンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、およびペンタエチレンヘキサミンオクタ(メチレンホスホン酸)からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、[11]から[19]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[21](C)リン酸エステル類がモノエチルホスフェート、ジエチルホスフェートおよびエチレングリコールホスフェートからなる群より選ばれる1種以上の化合物である、[11]から[20]のいずれか一項に記載の液体組成物。
[22]さらに過酸化水素安定剤としてフェニル尿素、フェニルグリコール、フェニルエチレングリコール、フェノールスルホン酸、アセトアニリド、フェナセチン、アセトアミドフェノール、ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−アミノフェノール、3,5−ジアミノ安息香酸、スルファニル酸、アニリン、N−メチルアニリン、8−ヒドロキシキノリン、o−アセトトルイド、m−アセトトルイド、ジフェニルアミン、フェノール、アニソールからなる群より選ばれる1種以上のフェニル基を有する過酸化水素安定剤を含む、[11]から[21]のいずれか一項に記載の液体組成物。
本発明によれば、インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物(IGZO)へのダメージを抑えて、IGZO上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物をエッチングする液体組成物と、これをIGZO上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物に接触させることを特徴とするエッチング方法、ならびに該エッチング方法を適用して製造される基板を提供することができる。また、該エッチング方法はIGZOへのダメージを抑えることが可能なため、IGZO上への保護層の形成が不要となることから、製造工程の簡略化と製造コストを大幅に低減することができ、高い生産性を実現することができる。本発明の液体組成物は、低pH領域(pH値5以下、好ましくは0〜5)においてもIGZOへのダメージを抑えながら、IGZO上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物をエッチングすることができる。低pH領域で本発明の液体組成物を使用すると、銅の溶解能力が高く、薬液の液寿命がより長くなることが期待される。
エッチストッパ型TFT断面構造の模式図である。図1では、ガラス基板1上に、ゲート電極2及びゲート絶縁膜3が形成され、その上にIGZO半導体層9、エッチングストッパ層10、ソース電極6a及びドレイン電極6bが形成され、さらにその上に保護層7及び透明電極8が形成されている。 バックチャネルエッチ型TFT断面構造の模式図である。図2では、ガラス基板1上に、ゲート電極2及びゲート絶縁膜3が形成され、その上にIGZO半導体層9、ソース電極6a及びドレイン電極6bが形成され、さらにその上に保護層7及び透明電極8が形成されている。ここでは、IGZO半導体層9上にエッチングストッパ層などの保護層を介することなく配線材料が形成され、エッチング処理によりソース電極6a及びドレイン電極6bが形成されている。
<液体組成物>
本発明の液体組成物は、(A)過酸化水素、(B)フッ素原子を含有しない酸(C成分を除く)、(C)ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる1種以上の化合物、および(D)水を含み、かつpH値が5以下であることを特徴とする。
(A)過酸化水素
本発明の液体組成物において、過酸化水素(以下、A成分ということがある)は酸化剤として銅を酸化する機能を有し、またモリブデンに対しては酸化溶解する機能を有する。該液体組成物中の過酸化水素の含有量は、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは8質量%以下である。例えば、該液体組成物中の過酸化水素の含有量は、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは2〜10質量%、特に好ましくは3〜8質量%である。過酸化水素の含有量が上記の範囲内であれば、銅およびモリブデン等を含む金属化合物に対して良好なエッチングレートが確保でき、金属化合物のエッチング量の制御が容易となるので好ましい。
(B)フッ素原子を含有しない酸
本発明の液体組成物において、フッ素原子を含有しない酸(以下、B成分ということがある。ただし、C成分を除く)は、(A)過酸化水素により酸化した銅を溶解させるものである。
B成分としては、硝酸、硫酸、リン酸、塩酸、メタンスルホン酸、アミド硫酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などが好ましく挙げられ、さらに好ましくは硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、アミド硫酸、酢酸であり、なかでも硝酸、硫酸が特に好ましい。
これらを単独で、あるいは複数を混合して用いることができる。
これらの中でも、本発明において、(B)フッ素原子を含有しない酸は、(B1)硝酸、硫酸、リン酸および塩酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含むことが好ましい。また、(B)フッ素原子を含有しない酸は、(B1)硝酸、硫酸、リン酸および塩酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、(B2)メタンスルホン酸、アミド硫酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸およびクエン酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物との組み合わせであることが好ましい。
該液体組成物中のB成分の含有量は、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、特に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以下である。例えば、該液体組成物中のB成分の含有量は、好ましくは0.01〜30質量%であり、より好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜15質量%であり、特に好ましくは1〜10質量%である。B成分の含有量が上記の範囲内であれば、金属に対する良好なエッチングレートならびに良好な銅の溶解性を得ることができる。
(C)ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる化合物
本発明の液体組成物において、ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる化合物(以下、C成分ということがある)は、IGZOのエッチングレートを抑制する効果がある。そのため、該液体組成物を用いてIGZO上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物をエッチングする際に、IGZOへのダメージを抑えることができる。
これらの中でも、本発明においては、(C)成分として、ホスホン酸類及びリン酸エステル類を用いることが好ましく、ホスホン酸類を用いることが特に好ましい。一般的に、低pH領域では、IGZOが腐食しやすいことが知られているが、ホスホン酸類を用いることにより、pHが2.5以下という低pH領域においてもIGZOへのダメージを効果的に抑制することができる。
C成分のうち、ホスホン酸類としては、アミノメチルホスホン酸、n−ヘキシルホスホン酸、1−オクチルホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチリデン−1,1−ビスホスホン酸、N,N,N',N'−エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、1,2−プロパンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ペンタエチレンヘキサミンオクタ(メチレンホスホン酸)などが好ましく挙げられる。
C成分のうち、リン酸エステル類としては、モノエチルホスフェート、ジエチルホスフェート、エチレングリコールホスフェートなどが好ましく挙げられる。
ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸、4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる化合物は単独で、あるいは複数を混合して用いることができる。好ましくは、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1,2−プロパンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)であり、なかでもアミノトリ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)が好ましい。
該液体組成物中のC成分の含有量は、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.02質量%以上であり、特に好ましくは0.05質量%以上である。C成分の含有量が上記の場合には、インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物へのダメージを抑えることができる。また一方で、C成分の含有量は経済的な観点から、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以下である。
(D)水
本発明の液体組成物で用いられる水としては、特に制限されることはないが、蒸留、イオン交換処理、フイルター処理、各種吸着処理などによって、金属イオンや有機不純物、パーティクル粒子などが除去された水が好ましく、特に純水、または超純水が好ましい。
本発明の液体組成物は、必要に応じて過酸化水素安定剤を含有することができる。過酸化水素安定剤としては、通常、過酸化水素の安定剤として用いられるものであれば制限なく使用することが可能であるが、フェニル基を有する過酸化水素安定剤が好ましい。
フェニル基を有する過酸化水素安定剤としては、フェニル尿素、フェニルグリコール、フェニルエチレングリコール、フェノールスルホン酸、アセトアニリド、フェナセチン、アセトアミドフェノール、ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−アミノフェノール、3,5−ジアミノ安息香酸、スルファニル酸、アニリン、N−メチルアニリン、8−ヒドロキシキノリン、o−アセトトルイド、m−アセトトルイド、ジフェニルアミン、フェノール、アニソールが好ましく挙げられ、さらに好ましくはフェニル尿素、フェニルグリコール、フェニルエチレングリコール、フェノールスルホン酸であり、なかでもフェニル尿素、フェニルグリコールが特に好ましい。
これらを単独で、あるいは複数を混合して用いることができる。
過酸化水素安定剤の含有量は、その添加効果が十分に得られれば良く、特に制限はないが、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、さらに好ましくは0.03質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下である。例えば、過酸化水素安定剤の含有量は、好ましくは0.01〜0.5質量%であり、より好ましくは0.02〜0.3質量%、さらに好ましくは0.03〜0.1質量%である。
本発明の液体組成物は、所望のpH値を得るため、必要に応じてpH調整剤を含有することができる。pH調整剤としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどが好ましく挙げられ、これらを単独で、あるいは複数を混合して用いることができる。
本発明の液体組成物のpH値の上限は5以下である。pH値が5を上回る場合には、過酸化水素の安定性が低下し、また銅または銅を主成分とする金属化合物のエッチングレートが低下するため好ましくない。また本発明の液体組成物のpH値の下限には、制限は無いが、装置材質や周辺部材へのダメージを抑える観点から、好ましくはpH値が0以上、より好ましくは1以上である。pH値が上記の場合であれば、銅または銅を主成分とする金属化合物、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物に対して良好なエッチングレートを得ることができる。
本発明のエッチング液は、上記した成分のほか、エッチング液に通常用いられる各種添加剤をエッチング液の効果を害しない範囲で含むことができる。例えば、アゾール化合物やpH緩衝剤などを用いることができる。
<エッチング方法>
本発明のエッチング方法におけるエッチング対象物は、IGZO上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物である。本発明のエッチング方法によれば、IGZOへのダメージを抑えて、銅または銅を主成分とする金属化合物を良好なエッチングレートでエッチングすることができる。
また、本発明のエッチング方法におけるエッチング対象物は、IGZO上に形成されたモリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物である。本発明のエッチング方法によればIGZOへのダメージを抑えて、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物を良好なエッチングレートでエッチングすることができる。
なお、本明細書において、「銅を主成分とする金属化合物」とは、銅を金属化合物中に50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する金属化合物を意味する。また、「モリブデンを主成分とする金属化合物」とは、モリブデンを金属化合物中に50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する金属化合物を意味する。
本発明のエッチング方法は、本発明の液体組成物、すなわち(A)過酸化水素、(B)フッ素原子を含有しない酸、(C)ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる1種以上、および(D)水を含み、かつpH値が5以下であることを特徴とする液体組成物とエッチング対象物とを接触させる工程を有するものである。本発明の液体組成物については、<液体組成物>において述べたとおりである。
銅または銅を主成分とする金属化合物としては、銅(金属)や銅合金、あるいは酸化銅、窒化銅などが挙げられる。モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物としては、モリブデン(金属)やモリブデン合金、あるいは酸化モリブデン、窒化モリブデンなどが挙げられる。
本発明のエッチング方法において、エッチング対象物として銅または銅を主成分とする金属化合物を単独でエッチングしても良いし、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物を単独でエッチングしても良い。また、銅または銅を主成分とする金属化合物と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物とを一括で同時にエッチングしても良い。本発明のエッチング方法によれば、IGZOへのダメージを抑えて、銅または銅を主成分とする金属化合物と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物とを良好なエッチングレートで一括エッチングすることができる。
本発明のエッチング方法においてエッチング対象物である銅または銅を主成分とする金属化合物やモリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物は、その形状に制限はないが、銅または銅を主成分とする金属化合物やモリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物をフラットパネルディスプレイのTFTアレイパネル上の配線材料として用いる場合には、薄膜形状であることが好ましい。例えば、酸化ケイ素等の絶縁膜上にIGZOをパターニングした後、銅または銅を主成分とする金属化合物の薄膜を形成し、その上にレジストを塗布し、所望のパターンマスクを露光転写し、現像して所望のレジストパターンを形成したものをエッチング対象物とする。またエッチング対象物は、銅または銅を主成分とする金属化合物の薄膜と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物の薄膜とからなる積層構造であっても良い。その場合、銅または銅を主成分とする金属化合物の薄膜と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物の薄膜とからなる積層構造を一括で同時にエッチングすることができる。
本発明におけるIGZOは、本質的にインジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物であれば特に制限はない。インジウム、ガリウム、亜鉛の原子比にも特に制限はないが、通常、In/(In+Ga+Zn)=0.2〜0.8、Ga/(In+Ga+Zn)=0.05〜0.6、Zn/(In+Ga+Zn)=0.05〜0.6の範囲である。また、インジウムとガリウムと亜鉛および酸素以外の微量元素(Mとして表記)が含まれていても良いが、微量元素の原子比がM/(In+Ga+Zn+M)<0.05であることが好ましい。また、酸化物がアモルファス構造であっても結晶性を有していても良い。
エッチング対象物と液体組成物との接触温度は、10〜70℃の温度が好ましく、20〜60℃がより好ましく、20〜50℃が特に好ましい。10〜70℃の温度範囲の時、良好なエッチングレートが得られる。さらに上記温度範囲でのエッチング操作は装置の腐食を抑制することができる。液体組成物の温度を高くすることで、エッチングレートは上昇するが、水の蒸発等による液体組成物の組成変化が大きくなることなども考慮した上で、適宜最適な処理温度を決定すれば良い。
エッチング対象物に液体組成物を接触させる方法には特に制限はなく、例えば液体組成物を滴下(枚葉スピン処理)やスプレーなどの形式により対象物に接触させる方法や、対象物を液体組成物に浸漬させる方法など通常のウェットエッチング方法を採用することができる。
以下に本発明の実施例と比較例によりその実施形態と効果について具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.各種金属(配線材料)のエッチングレートの測定
ガラス基板上にスパッタ法により成膜した銅(Cu)/モリブデン(Mo)積層膜およびMo単層ベタ膜を用いて、表1および表2に示した液体組成物によるCu、Moのエッチングレートを測定した。エッチングは、上記基板を35℃に保った液体組成物に静置浸漬する方法で行った。エッチング前後の膜厚は蛍光X線分析装置SEA1200VX(Seiko Instruments Inc.製)を用いて測定し、その膜厚差をエッチング時間で除することによりエッチングレートを算出した。評価結果を以下の基準で表記した。
E:エッチングレート100〜1000nm/min未満
G:エッチングレート30〜100nm/min未満または1000〜5000nm/min未満
F:エッチングレート5〜30nm/min未満または5000〜10000nm/min未満
P:エッチングレート5nm/min未満または10000nm/min以上
なお、ここでの合格はE、GおよびFである。
2.IGZOのエッチングレートの測定
ガラス基板上にインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)および酸素(O)の元素比が1:1:1:4であるIGZO膜を膜厚500Åでスパッタ法により形成し、その後、表1および表2に示した液体組成物を用いてエッチングレート測定を実施した。エッチングは、上記基板を35℃に保った液体組成物に静置浸漬する方法で行った。エッチング前後の膜厚を光学式薄膜特性測定装置n&k Analyzer 1280(n&k Technology Inc.製)により測定し、その膜厚差をエッチング時間で除することによりエッチングレートを算出した。さらに、C成分として、ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる1種以上の化合物を添加したときのエッチングレートと、C成分を添加していないときのエッチングレートの比を算出した。評価結果を以下の基準で表記した。
E:エッチングレート比(C成分有/C成分無)=0.1未満
G:エッチングレート比(C成分有/C成分無)=0.1〜0.2未満
F:エッチングレート比(C成分有/C成分無)=0.2〜0.5未満
P:エッチングレート比(C成分有/C成分無)=0.5以上
なお、ここでの合格はE、GおよびFである。
実施例1
容量100mlのポリプロピレン容器に純水を79.99gおよび70%硝酸(和光純薬工業株式会社製)を2.86g投入した。さらに、アミノメチルホスホン酸(MP Biomedicals,Inc.製)を0.10g添加した後、35%過酸化水素(三菱ガス化学株式会社製)を14.29g加え、これを攪拌して各成分をよく混合した。最後にpH値が1.0になるように48%水酸化カリウム(関東化学株式会社製)を2.76g添加し、液体組成物を調製した。得られた液体組成物の過酸化水素の配合量は5質量%であり、硝酸の配合量は2質量%、アミノメチルホスホン酸の配合量は0.10質量%、水酸化カリウムの配合量は1.33質量%であった。
得られた液体組成物を用いて上記の評価を実施し、得られた結果を表1に示す。
実施例2〜13
実施例1において、C成分の種類とpH値を表1に示される通りとした以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、該液体組成物を用いて上記の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
実施例14〜18
実施例1において、過酸化水素濃度、硝酸濃度、C成分の種類および濃度を表1に示される通りとした以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、該液体組成物を用いて上記の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
実施例19、20
実施例1において、C成分の種類とpH値を表1に示される通りとし、さらに酢酸を添加した以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、該液体組成物を用いて上記の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
実施例21〜26
実施例1において、B成分を硫酸とし、C成分の種類とpH値を表1に示される通りとした以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、該液体組成物を用いて上記の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
実施例27、28
実施例1において、B成分を硫酸および酢酸とし、C成分の種類とpH値を表1に示される通りとした以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、該液体組成物を用いて上記の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
実施例29〜31
実施例1において、B成分を塩酸とし、C成分の種類を表1に示される通りとした以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、該液体組成物を用いて上記の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
実施例32
実施例1において、過酸化水素濃度、B成分およびC成分を表3に示される通りにし、その他の成分として、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、5−アミノ−1H−テトラゾールおよびフェニル尿素を添加した以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、該液体組成物を用いて上記の評価を実施した。
比較例1〜12
実施例1において、液体組成物の組成およびpH値を表2に示される組成とした以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、該液体組成物を用いて上記の評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
比較例13
実施例1において、過酸化水素濃度、C成分およびpH値を表2に示される通りとし、B成分を含有せず、フッ化アンモニウムおよび5−アミノ−1H−テトラゾールを添加した以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、該液体組成物を用いて上記の評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
比較例14
実施例1において、過酸化水素濃度およびpH値を表2に示される通りとし、B成分およびC成分を含有せず、アンモニア水を添加した以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、該液体組成物を用いて上記の評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
比較例15
C成分を添加せず、5−アミノ−1H−テトラゾールを添加した以外は、実施例1と同様にして液体組成物を調製し、該液体組成物を用いて上記の評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
比較例16
C成分を添加しなかった以外は、実施例32と同様にして液体組成物を調製し、該液体組成物を用いて上記の評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
上記実施例1〜32から、本発明の液体組成物は、インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物へのダメージを抑えて、インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物およびモリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属化合物を良好なエッチングレートでエッチングできることが分かる。
一方、上記比較例1〜12から、液体組成物がC成分を含有していないとインジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物へのダメージを十分に抑えられないことが分かる。また、上記比較例13から、液体組成物がC成分を含有していてもフッ化アンモニウムおよび5−アミノ−1H−テトラゾールを含有するとインジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物へのダメージを十分に抑えられないことが分かる。さらに、上記比較例14から、液体組成物がC成分を含有せず、アンモニアを含有し、pH値が高いとインジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物へのダメージを十分に抑えられないことが分かる。さらに、上記比較例15および16から、液体組成物がC成分を含有せず、5−アミノ−1H−テトラゾールを含有すると、インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物へのダメージを十分に抑えられないことが分かる。
本発明の液体組成物は、IGZOへのダメージを抑えて、IGZO上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物を良好なエッチングレートでエッチングできることから、TFT製造工程において、IGZO上に保護膜を設ける従来のエッチストッパ型構造から保護層を必要としないバックチャネルエッチ型構造に変更することが可能となるため、製造工程の簡略化と製造コストを大幅に低減することができ、高い生産性を実現することができる。
1:ガラス
2:ゲート電極
3:ゲート絶縁膜
6a:ソース電極
6b:ドレイン電極
7:保護層
8:透明電極
9:IGZO半導体層
10:エッチングストッパ層

Claims (14)

  1. インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物へのダメージを抑えて、インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属をエッチングするための液体組成物であって、(A)過酸化水素、(B)フッ素原子を含有しない酸(C成分を除く)、(C)ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる1種以上の化合物、および(D)水を含み、かつpH値が5以下であることを特徴とする液体組成物。
  2. (B)フッ素原子を含有しない酸が、(B1)硝酸、硫酸、リン酸および塩酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物である請求項1に記載の液体組成物。
  3. (B)フッ素原子を含有しない酸が、(B1)硝酸、硫酸、リン酸および塩酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、(B2)メタンスルホン酸、アミド硫酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸およびクエン酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物との組み合わせである、請求項1に記載の液体組成物。
  4. 前記液体組成物中の(C)ホスホン酸類、リン酸エステル類、1H−テトラゾール−1−酢酸、1H−テトラゾール−5−酢酸および4−アミノ−1,2,4−トリアゾールからなる群より選ばれる1種以上の化合物の含有量が、0.001質量%〜0.1質量%の範囲内である、請求項1から3のいずれか一項に記載の液体組成物。
  5. 前記液体組成物中の(A)過酸化水素の含有量が、2質量%〜10質量%の範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載の液体組成物。
  6. 前記液体組成物中の(B)フッ素原子を含有しない酸(C成分を除く)の含有量が、1質量%〜10質量%の範囲内である、請求項1から5のいずれか一項に記載の液体組成物。
  7. (C)ホスホン酸類がアミノメチルホスホン酸、n−ヘキシルホスホン酸、1−オクチルホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチリデン−1,1−ビスホスホン酸、N,N,N',N'−エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、1,2−プロパンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、およびペンタエチレンヘキサミンオクタ(メチレンホスホン酸)からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、請求項1から6のいずれか一項に記載の液体組成物。
  8. (C)リン酸エステル類がモノエチルホスフェート、ジエチルホスフェートおよびエチレングリコールホスフェートからなる群より選ばれる1種以上の化合物である、請求項1から7のいずれか一項に記載の液体組成物。
  9. さらに過酸化水素安定剤としてフェニル尿素、フェニルグリコール、フェニルエチレングリコール、フェノールスルホン酸、アセトアニリド、フェナセチン、アセトアミドフェノール、ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−アミノフェノール、3,5−ジアミノ安息香酸、スルファニル酸、アニリン、N−メチルアニリン、8−ヒドロキシキノリン、o−アセトトルイド、m−アセトトルイド、ジフェニルアミン、フェノール、アニソールからなる群より選ばれる1種以上のフェニル基を有する過酸化水素安定剤を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の液体組成物。
  10. インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属とをエッチングするためのものである、請求項1から9のいずれか一項に記載の液体組成物。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の液体組成物をインジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属に接触させ、銅または銅を主成分とする金属をエッチングする方法。
  12. インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に保護層を介することなく形成された銅または銅を主成分とする金属をエッチングする方法である、請求項11に記載の方法。
  13. 請求項1から10のいずれか一項に記載の液体組成物をインジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に形成された銅または銅を主成分とする金属化合物と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属に接触させ、銅または銅を主成分とする金属と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属をエッチングする方法。
  14. インジウムとガリウムと亜鉛および酸素からなる酸化物上に保護層を介することなく形成された銅または銅を主成分とする金属と、モリブデンまたはモリブデンを主成分とする金属とをエッチングする方法である、請求項13に記載の方法。
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