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JP6661963B2 - ブドウ球菌を検出する方法 - Google Patents
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Description

本発明は、ブドウ球菌の検出方法及びそのための組成物に関する。
ブドウ球菌とは、ブドウ球菌属(Staphylococcus属)(以下、微生物名を属とその下位分類(種など)とで表す場合は、属名をS.と略記する。)に属するグラム陽性球菌である。特に、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)はヒトに対して病原性を持つとともに臨床分離される数も多い(非特許文献1)。
さらに、S. aureusやS. epidermidisはメチシリン耐性遺伝子(mecA)などの薬剤耐性遺伝子を持つことで薬剤耐性を示すことが知られている(特許文献1)。したがって、治療薬の選択、感染拡大防止、食中毒予防等を目的として、これらの菌を迅速に検出、分類できる方法が求められている。
特開2013−048620 特表2013−535951 特表2001−518283 特表2003−511015
Genome biology and evolution,7(5),1313−1328
核酸同定による複数種のブドウ球菌の検出方法が公知技術として知られているが、従来技術では菌種を分類するために複数のプライマーセットを用意する必要があるため(特許文献2、特許文献4)、操作が複雑であるとともにコストがかかるという問題があった。
また、ユニバーサルプライマーを用いて複数種のブドウ球菌を検出する方法もあるが、該手法では電気泳動によるブドウ球菌の種の同定までは困難であった(特許文献3、特許文献4)。該手法で菌種の同定を行うには、さらに検出用プローブを反応系に加える必要があった。
本発明は、1つのプライマーセットを使用することで、複数種のブドウ球菌を互いに区別して簡便に検出する方法及びそのための組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の塩基配列を有する1つのプライマーセットを使用した核酸同定により、複数種のブドウ球菌を互いに区別して簡便に検出できることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明の概要は以下の通りである。
[項1]
以下の(1)および(2)の工程を含む、試料中の複数種のブドウ球菌を互いに区別して検出する方法。
(1)下記(A)で示されるフォワードプライマーおよび下記(B)で示されるリバースプライマーからなる1つのプライマーセットを用いて核酸増幅を行い増幅産物を得る工程
(A)以下の(A1)から(A4)のいずれかの塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
(A1)配列番号1で示される塩基配列
(A2)配列番号2で示される塩基配列
(A3)配列番号1の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(A4)配列番号2の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(B)以下の(B1)から(B4)のいずれかの塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
(B1)配列番号3で示される塩基配列
(B2)配列番号4で示される塩基配列
(B3)配列番号3の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(B4)配列番号4の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(2)(1)の工程で得られた増幅産物を検出する工程
[項2]
項1の方法において、工程(2)で増幅産物を長さの差によって互いに区別して検出する方法。
[項3]
項1の方法において、工程(2)で増幅産物を塩基配列の差によって互いに区別して検出する方法。
[項4]
複数種のブドウ球菌が、S. aureusおよびS. epidermidisの2種類のブドウ球菌である項1から項3のいずれかに記載の方法。
[項5]
複数種のブドウ球菌が、S. aureus、S. epidermidisおよびS. capitisの3種類のブドウ球菌である項1から項4のいずれかに記載の方法。
[項6]
1つのプライマーセットが、(A2)または(A4)で示されるフォワードプライマーおよび(B2)または(B4)で示されるリバースプライマーである項1から項5のいずれかに記載の方法。
[項7]
下記(A)で示されるフォワードプライマーおよび下記(B)で示されるリバースプライマーからなるプライマーセット。
(A)以下の(A1)から(A4)のいずれかの塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
(A1)配列番号1で示される塩基配列
(A2)配列番号2で示される塩基配列
(A3)配列番号1の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(A4)配列番号2の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(B)以下の(B1)から(B4)のいずれかの塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
(B1)配列番号3で示される塩基配列
(B2)配列番号4で示される塩基配列
(B3)配列番号3の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(B4)配列番号4の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
[項8]
項7に記載のプライマーセットを含む、試料中の複数種のブドウ球菌を互いに区別して検出するための組成物。
[項9]
項7に記載のプライマーセットを含む、試料中の複数種のブドウ球菌を互いに区別して検出するためのキット。
本発明により、1つのプライマーセットを使用することで複数種のブドウ球菌(例えば、S. aureusおよびS. epidermidis、さらには、前記2種にコアグラーゼ陰性ブドウ球菌属の1つであるS. capitisを加えた3種)を互いに区別して簡便に検出できる方法及びそのための組成物を提供することができた。該方法及び該組成物を使用することで、ブドウ球菌感染症に対する治療薬の選択、感染拡大防止、食中毒予防等に大きく貢献できる。
S.aureus、S.epidermidis、S.capitisのゲノムDNA配列をアライメントした図である。フォワードプライマーの設計はこの領域から行った。 S.aureus、S.epidermidis、S.capitisのゲノムDNA配列をアライメントした図である。リバースプライマーの設計はこの領域から行った。 実施例1の結果を示す図である。左から、マーカー、S.aureus、S.epidermidis、S.capitis、E.faecalis、マーカーである。 実施例2の電気泳動結果を示す図である。左端、右端はマーカーである。 実施例2の電気泳動で得られた約280bpのバンドのシークエンス解析結果を示す。この塩基配列はS.aureusと高い相同性を示した。 実施例2の電気泳動で得られた約400bpのバンドのシークエンス解析結果を示す。この塩基配列はS.epidermidisと高い相同性を示した。 実施例2の電気泳動で得られた約180bpのバンドのシークエンス解析結果を示す。この塩基配列はS.capitisと高い相同性を示した。
本発明の実施態様の一つは、以下の(1)および(2)の工程を含む、試料中の複数種のブドウ球菌を互いに区別して検出する方法である。
(1)下記(A)で示されるフォワードプライマーおよび下記(B)で示されるリバースプライマーからなる1つのプライマーセットを用いて核酸増幅を行い増幅産物を得る工程
(A)以下の(A1)から(A4)のいずれかの塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
(A1)配列番号1で示される塩基配列
(A2)配列番号2で示される塩基配列
(A3)配列番号1の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(A4)配列番号2の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(B)以下の(B1)から(B4)のいずれかの塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
(B1)配列番号3で示される塩基配列
(B2)配列番号4で示される塩基配列
(B3)配列番号3の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(B4)配列番号4の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(2)(1)の工程で得られた増幅産物を検出する工程
[検出対象について]
[ブドウ球菌]
本発明の、検出方法の対象となるブドウ球菌は、ブドウ球菌属に属するグラム陽性球菌であれば特に限定されない。例えば、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌の1つであるS. capitisなどが挙げられる。S. capitisは、ヒトの頭皮に多く分布するブドウ球菌であり、ときには心内膜炎や髄膜炎を引き起こすことがある。
本発明の方法によれば、複数種のブドウ球菌を互いに区別して検出することができ、その組合せは特に限定されない。例えば、少なくともS. aureusおよびS. epidermidisの2種類のブドウ球菌を含む試料から、その両種を互いに区別して検出することができる。また、少なくとも前記2種にS. capitisを加えた3種類のブドウ球菌を含む試料から、その3種を互いに区別して検出することができる。また、S. aureus、S. epidermidisおよびS. capitisからなる群のうちいずれか1つ以上を含む試料から、前記3種のうちどのブドウ球菌が含まれているかを判別することができる。
[試料について]
本発明において使用できる測定試料は、生体試料や食品だけでなく、調製した核酸等を用いることができるが、これらに限定されない。
生体試料としては、特に制限されないが、血液、血液培養液、膿、髄液、胸水、咽頭拭い液、鼻腔拭い液、喀痰、組織切片、皮膚、吐瀉物、糞便、分離培養コロニー、カテーテル洗浄液等が挙げられる。生体試料を測定試料とする場合、各生体試料に応じて、希釈や懸濁などの前処理を行ってもよい。
食品としては、水、アルコール飲料、清涼飲料水、加工食品、野菜、畜産物、海産物、卵、乳製品、生肉、生魚、惣菜等が挙げられるが、これらに限定されない。食品を測定試料とする場合、その食品の一部あるいは全部を使用できるだけでなく、食品表面を拭き取ったものも使用できるが、これらに限定されない。また、試料によって細かく破砕する、精製水に懸濁させる等の前処理を行ってもよい。
また、調理器具やドアノブを拭き取った材料あるいはそれらを洗浄した液も試料として用いることができる。
調製した核酸とは、各試料から抽出したDNAやRNA、人工合成した核酸等を指すが、これらに限定されない。核酸抽出には、各メーカーから販売されているキットを使用してもよい。
試料の採取方法、調製方法等は、特に制限されず、試料の種類、目的に応じて公知の方法を用いることができる。
[第一の工程(増幅工程)について]
[プライマーセット(の配列)]
本発明の方法の第一の工程においては、1つのプライマーセットを用いて核酸増幅を行い増幅産物を得る。本発明で用いるプライマーセットの態様としては、下記(A)で示されるフォワードプライマーおよび下記(B)で示されるリバースプライマーからなるプライマーセットが挙げられる。
(A)以下の(A1)から(A4)のいずれかの塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
(A1)配列番号1で示される塩基配列
(A2)配列番号2で示される塩基配列
(A3)配列番号1の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(A4)配列番号2の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(B)以下の(B1)から(B4)のいずれかの塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
(B1)配列番号3で示される塩基配列
(B2)配列番号4で示される塩基配列
(B3)配列番号3の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
(B4)配列番号4の最も3’末端側の6塩基の配列を、その一部に含む配列
ここで、(A1)(A2)(B1)(B2)の各プライマー、すなわち配列番号1ないし4で表される塩基配列は、S. aureus、S. epidermidisおよびS. capitisのゲノム配列に対してアライメントを行った場合、共通して同一性が高い部分である。
図1および図2に、配列番号1ないし4で表される塩基配列と、S. aureus strain FCFHV36,complete genome(GenBank:CP011147.1)、S. epidermidis strain 949_S8 genome(GenBank:CP010942.1)およびS. capitis subsp.capitis strain AYP1020,complete genome(GenBank:CP007601.1)の3種類のブドウ球菌のゲノム配列とのアライメントを示す。
(A3)(A4)(B3)(B4)の各プライマーは、それぞれ、配列番号1ないし4で表される塩基配列の最も3’末端側の6塩基の配列をその一部に含む配列であることを特徴とする。
一般に、特異性の高いプライマーは、3’末端がターゲット配列に対して相補的であることが重要であり、言い換えれば、3’末端が相補的であれば5’末端が相補的でなくとも有効なプライマーとしてはたらくとされている。このことから、本明細書に記載のプライマーも3’末端がゲノム配列に対して相補的な配列を有するように設計することが好ましい。すなわち、本明細書に記載のプライマーは3’末端の塩基配列が特に重要であり、該塩基配列であることで、ブドウ球菌の検出、分類が可能となったと考えられる。
したがって、(A3)(A4)(B3)(B4)の各プライマーを使用するときは、配列番号1ないし4で表される塩基配列の最も3’末端側の6塩基の配列を、各プライマーの3’末端側の10塩基の配列の一部に含めることが好ましい。より好ましくは、各プライマーの3’末端側の8塩基の配列の一部に含めることであり、さらに好ましくは、各プライマーの3’末端側の7塩基の配列の一部に含めることであり、最も好ましくは、各プライマーの3’末端側の6塩基の配列に含めることである。
また、(A3)(A4)(B3)(B4)の各プライマーの塩基数は、プライマーとして十分に機能する塩基数の範囲であればよい。核酸増幅に使用するプライマーの塩基数は、その核酸増幅法によって異なるが、好ましい上限は50塩基であり、より好ましくは30塩基であり、さらに好ましくは25塩基である。一方、塩基数の好ましい下限は10塩基であり、より好ましくは15塩基である。短いプライマーは十分な特異性が得られないことがあり、長いプライマーは非特異産物の増加、アニーリング効率の低下が発生することがある。
なお、前記プライマーセットも本願発明の一つの態様である。
[増幅に関して、プライマーセット以外について]
核酸増幅は、本発明において請求項に記載の事項以外は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、PCR、リアルタイムPCR、デジタルPCR、定量PCR(qPCR)、LA−PCR(Long and Accurate PCR)、ABC−PCRを含む競合的PCR、In situ PCR、RNA−primered PCR、multiplex PCR、シャトルPCR、PCR/GC−calmp法、Immuno PCR、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応、NASBA法、TMA法、SDA法、LAMP法等が挙げられる。なお、本発明において各方法における増幅反応の条件は特に制限されず、各方法の条件にて行うことができる。
本発明の組成物には、実施する核酸増幅方法及び検出分類方法に応じていくつかの成分が必要である。一例として、PCRを用いた核酸増幅方法においては、測定試料、DNAポリメラーゼ、プライマー、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTPs)、反応バッファー、マグネシウム塩が一般的に必要である。また、目的に応じてUNG(Uracil−N−Glycosylase)、BSA、DMSO、ベタイン、グリセロール、糖類、アミノ酸、ペプチド、アミン、カリウム塩等を添加物として含めてもよいが、本発明においてこれらに限定されない。
核酸増幅方法にPCRを用いる場合、使用するDNAポリメラーゼは特に制限されない。例えば、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、KODポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ等が挙げられるが、本発明においてこれらに限定されない。また、DNAポリメラーゼは、天然由来酵素だけでなく、人工的にアミノ酸配列を改変した組換え体酵素を使用してもよい。
上記の考え方で設計したフォワードプライマー及びリバースプライマーを1つのプライマーセットとして核酸増幅を行うことにより、後述の実施例1で例示するように、S.aureus、S.epidermidis、S.capitisでそれぞれ約280bp、約400bp、約180bpの増幅産物を確認することができる。
[第二の工程(増幅産物を区別して検出する工程)について]
本発明の方法の第二の工程は、前記第一の工程で得られた増幅産物を区別して検出する工程である。
増幅産物を互いに区別して検出する方法は、本発明において請求項に記載の事項以外は特に限定されず、公知の核酸検出方法を用いることができる。例えば、増幅産物を長さの差によって区別する方法や、塩基配列の差によって区別する方法を用いることができる。具体的には、融解曲線解析、電気泳動、DNAプローブ法、インターカレーター法、核酸ハイブリダイゼーション、ノーザンブロッティング、質量分析、DNAシークエンシング、次世代シークエンシング、オートラジオグラフィー等が挙げられるが、本発明ではこれらに限定されない。
増幅産物を互いに区別して検出する方法にDNAプローブ法を用いる場合、前記組成物にさらにDNAプローブを加えてもよい。DNAプローブには、Taqman(R)プローブ、FRETプローブ、モレキュラービーコン、スコーピオン、QProbe等が挙げられるが、本発明においてこれらに限定されない。
なお、リアルタイムPCR、SDA法、LAMP法を採用する場合は、「増幅」と「区別して検出」を同時に実施することが可能である。
一例として、Taqman(R)プローブを使用したリアルタイムPCRを行う場合、Taqポリメラーゼの濃度は0.001〜1.0U/μL、より好ましくは0.01〜0.1U/μLであり、プライマー濃度は0.01〜10μM、より好ましくは0.1μM〜2μMであり、dNTPs濃度は0.01〜2mM、より好ましくは0.1〜0.5mMであり、反応バッファーのpHは2〜13、より好ましくは4〜10であり、マグネシウム塩濃度は0.1〜10mM、より好ましくは1.0〜5mMであり、Taqman(R)プローブ濃度は、0.01〜1μM、より好ましくは0.02〜0.6μMである。リアルタイムPCRは、公知の条件にて行うことができる。また、Taqman(R)プローブは測定に応じて複数種類加えてもよい。
また、1例として、QProbeを用いた融解曲線を行う場合、KODポリメラーゼの濃度は0.001〜1.0U/μL、より好ましくは0.01〜0.1U/μL、プライマー濃度は0.01〜10μM、より好ましくは0.1μM〜8μMであり、dNTPs濃度は0.01〜2mM、より好ましくは0.1〜0.5mMであり、反応バッファーのpHは2〜13、より好ましくは4〜10であり、マグネシウム塩濃度は0.1〜10mM、より好ましくは1.0〜5mMであり、QProbe濃度は、0.01〜2μM、より好ましくは0.1〜0.8μMである。PCRや融解曲線解析は、公知の条件にて行うことができる。また、QProbeは測定に応じて複数種類加えてもよい。
先行技術(特許文献2)は、S.aureusおよびS.epidermidisの2種類のブドウ球菌を検出するために少なくとも2つのプライマーセットを必要とするマルチプレックスアッセイであるのに対して、本発明では、1つのプライマーセットで前記2種類のブドウ球菌を区別して検出できる。さらに、本発明では、1つのプライマーセットで少なくともS.aureus、S.epidermidisおよびS.capitisの3種類のブドウ球菌を区別して検出できることから、本発明を用いることで、より簡便にブドウ球菌を検出、分類することが可能となった。
[複数種のブドウ球菌を互いに区別して検出するための組成物、キット]
本発明の別の態様としては、前記のプライマーセットを含む、試料中の複数種のブドウ球菌を互いに区別して検出するための組成物またはキットが挙げられる。
本発明の方法を実施するための、あるいは、本発明の組成物またはキットに含まれる組成としては、前記プライマーセット以外は、核酸の増幅・検出に必要な試薬を適宜用いれば特に限定されない。核酸の増幅・検出法としては、前記の種々の方法を用いることができ、これらの方法は既に当該技術分野において確立されている。したがって、公知の方法に従い、前記プライマーセットを用いて、各種試料中の複数種のブドウ球菌を互いに区別して検出することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1:ブドウ球菌の検出と分類
(1)方法
1つのプライマーセットとして、配列番号2に示すプライマーと配列番号4に示すプライマーを用いてブドウ球菌等の検出、分類を行った。具体的には、該プライマーを使用してBlend Taq(R) −Plus−(東洋紡社)でPCRを行って核酸増幅した後、電気泳動で増幅産物の有無とその大きさを比較した。測定試料は分離培養したコロニー(S.aureus、S.epidermidis、S.capitis、Enterococcus faecalis)を使用した。
(a)反応液の調製
反応液はBlend Taq(R) −Plus−の取扱説明書に従って以下のように調製した。また、測定試料は反応液の1/40容量に相当する量を加えた。
PCR Buffer for Blend Taq 1×
Blend Taq(R) −Plus− 0.025U/μL
プライマー 0.2μM each
dNTPs 0.2mM
(b)PCRサイクル条件
PCRは以下の条件で行った。
94℃ 2分
94℃ 1分 − 55℃ 30秒 − 72℃ 1分30秒 37サイクル
(c)電気泳動
得られた増幅産物を6×Loading Dye(東洋紡社)と混合してアガロース電気泳動を行った。アガロースゲルは3%を使用し、泳動条件は100V 30分、マーカーには100bp DNA Ladder(東洋紡社)を使用した。アガロースゲルをエチジウムブロマイド染色し、UV照射によって増幅産物の有無とその大きさを確認した。
(2)結果
測定結果を図3に示す。S.aureusは約280bp、S.epidermidisは約400bp、S.capitisは約180bpにバンドを確認した。また、ブドウ球菌でないE.faecalisはバンドが確認されなかった。この結果より、1つのプライマーセットを使用してS.aureus、S.epidermidis、S.capitisを検出、分類することができた。また、ブドウ球菌でない菌は検出しないことを確認した。
実施例2:生体試料の測定
(1)方法
1つのプライマーセットとして、配列番号2に示すプライマーと配列番号4に示すプライマーを用いて生体試料の測定を行った。具体的には、該プライマーを使用してBlend Taq(R) −Plus−(東洋紡社)でPCRを行って核酸増幅した後、電気泳動を行うとともにシークエンス解析を行った。生体試料には分離培養したコロニー16種類を使用した。
(a)反応液の調製
反応液はBlend Taq(R) −Plus−の取扱説明書に従って以下のように調製した。また、測定試料は反応液の1/40容量に相当する量を加えた。
PCR Buffer for Blend Taq 1×
Blend Taq(R) −Plus− 0.025U/μL
プライマー 0.2μM each
dNTPs 0.2mM
(b)PCRサイクル条件
PCRは以下の条件で行った。
94℃ 2分
94℃ 1分 − 55℃ 30秒 − 72℃ 1分30秒 37サイクル
(c)電気泳動
得られた増幅産物を6×Loading Dye(東洋紡社)と混合してアガロース電気泳動を行った。アガロースゲルは3%を使用し、泳動条件は100V 30分、マーカーには100bp DNA Ladder(東洋紡社)を使用した。アガロースゲルをエチジウムブロマイド染色し、UV照射によって増幅産物の有無とその大きさを確認した。
(2)結果
電気泳動の結果を図4に示す。約180bp、約280bp、約400bpにバンドを確認した。バンドが見られた試料はシークエンス解析を行った。約280bp、約400bp、約180bpのバンドのシークエンス解析結果を図5、図6、図7にそれぞれ示す。各シークエンスを相同性検索したところ、それぞれS.aureus、S.epidermidis、S.capitisと高い相同性を示した。この結果より、本発明を用いて試料中に含まれるブドウ球菌を同定、検出できることを確認した。
本発明により、ブドウ球菌を検出するとともに、少なくともS.aureus、S.epidermidis、S.capitisを簡便に分類できる方法及びそのための組成物を提供することができた。該方法及び該組成物を使用することで、ブドウ球菌感染症に対する治療薬の選択、感染拡大防止、食中毒予防等に特に有用であり、研究用途のみならず臨床検査や環境検査、食品検査等にも用いることができる。

Claims (9)

  1. 以下の(1)および(2)の工程を含む、試料中においてS.aureusおよびS.epidermidisの2種類のブドウ球菌を互いに区別して検出する方法。
    (1)下記(A)で示されるフォワードプライマーおよび下記(B)で示されるリバースプライマーからなる1つのプライマーセットを用いて核酸増幅を行い増幅産物を得る工程
    (A配列番号2で示される塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
    (B配列番号4で示される塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
    (2)(1)の工程で得られた増幅産物を検出する工程
  2. 以下の(1)および(2)の工程を含む、試料中においてS.aureus、S.epidermidisおよびS.capitisの3種類のブドウ球菌を互いに区別して検出する方法。
    (1)下記(A2)で示されるフォワードプライマーおよび下記(B2)で示されるリバースプライマーからなる1つのプライマーセットを用いて核酸増幅を行い増幅産物を得る工程:
    (A2)配列番号2で示される塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
    (B2)配列番号4で示される塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
    (2)(1)の工程で得られた増幅産物を検出する工程
  3. 請求項1又は2に記載の方法において、工程(2)で増幅産物を長さの差によって互いに区別して検出する方法。
  4. 請求項1又は2に記載の方法において、工程(2)で増幅産物を塩基配列の差によって互いに区別して検出する方法。
  5. 下記(A)で示されるフォワードプライマーおよび下記(B)で示されるリバースプライマーからなるプライマーセット。
    (A配列番号2で示される塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
    (B配列番号4で示される塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド
  6. 請求項に記載のプライマーセットを含む、試料中においてS.aureusおよびS.epidermidisの2種類のブドウ球菌を互いに区別して検出するための組成物。
  7. 請求項5に記載のプライマーセットを含む、試料中においてS.aureus、S.epidermidisおよびS.capitisの3種類のブドウ球菌を互いに区別して検出するための組成物。
  8. 請求項に記載のプライマーセットを含む、試料中においてS.aureusおよびS.epidermidisの2種類のブドウ球菌を互いに区別して検出するためのキット。
  9. 請求項5に記載のプライマーセットを含む、試料中においてS.aureus、S.epidermidisおよびS.capitisの3種類のブドウ球菌を互いに区別して検出するためのキット。
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