以下で、図面を参照して、本発明の実施形態による光電変換素子および光電変換素子の製造方法を説明する。なお、本発明は以下で例示する実施形態に限られない。以下の図面において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、その説明を省略することがある。
(実施形態1)
図1(a)に、本実施形態におけるDSC(セル)100Aを示す。図1(a)は、DSC100Aを模式的に示す断面図である。ここでは、DSCの単位構造であるDSCセルの構造を説明する。
図1(a)に示すように、DSC100Aは、絶縁性の主面12sを有する透光性基板12と、絶縁性の主面12s上に互いに分離して形成された第1導電層14aおよび第2導電層14bと、第1導電層14aに接続された第1電極と、第2導電層14bに接続され、第1電極の対極となる第2電極とを有する。第1電極は、色素が担持された多孔質半導体層16を含む。第1電極は、光電極ともいう。第2電極は、対極導電層26を含む。DSC100Aは、第1電極と第2電極との間に形成された第1多孔質絶縁層24と、第1電極と第2電極との間に充填された電解質媒体42とを有する。DSC100Aは、モノリシック型集積構造を有する。
増感色素を担持した多孔質半導体層16は光電変換層と呼ばれることがある。なお、多孔質半導体層16が有する光増感剤は、増感色素に限られない。
第1導電層14aおよび第2導電層14bは、それぞれ独立に、透明導電性材料から形成されていてもよいし、透明でない導電性材料から形成されていてもよい。以下では、透明導電性材料から形成された第1透明導電層14aおよび第2透明導電層14bの例を説明する。ただし、本実施形態はこれに限られない。
DSC100Aは、基板32と、電解質媒体42を封止する封止部52とをさらに有する。電解質媒体42は、基板12および32の間に充填されている。電解質媒体42は、典型的には、電解液(電解質溶液)である。電解液は、メディエータ(酸化還元種)を含む。電解質媒体42は、多孔質半導体層16内、および、多孔質半導体層16と対極導電層26との間に設けられた第1多孔質絶縁層24内に侵入し、多孔質半導体層16および第1多孔質絶縁層24に保持された電解質媒体42は、キャリア輸送層として機能する。第1多孔質絶縁層24によって、多孔質半導体層16と対極導電層26とは直接接しない構造となっている。すなわち、第1多孔質絶縁層24によって、第1電極と第2電極とは直接接しない構造となっている。
図示するように、DSC100Aは、モノリシック型集積構造を有する。多孔質半導体層16は、例えば、第1透明導電層14aの少なくとも一部を覆うように設けられている。第1多孔質絶縁層24は、例えば、多孔質半導体層16の少なくとも一部を覆うように設けられている。対極導電層26は、例えば、第1多孔質絶縁層24を介して多孔質半導体層16と対向する部分を有する。対極導電層26は、例えば、第1多孔質絶縁層24の一部を覆うように配置されている。
DSC100Aは、透光性基板12の絶縁性の主面12sにおいて少なくとも第1透明導電層14aと第2透明導電層14bとの間に形成された第2多孔質絶縁層22を有する。第2多孔質絶縁層22は、少なくとも多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺の全体と対向する領域に配置されている。第2多孔質絶縁層22の空隙率は、40%以上であることが好ましい。第2多孔質絶縁層22の空隙率は、例えば、50%より大きく70%以下であってもよい。ここで、第2多孔質絶縁層22の空隙率とは、第2多孔質絶縁層22の表面において、開孔が単位面積あたりに占める面積の割合をいう。
DSC100Aが有する第2多孔質絶縁層22を形成する焼成工程は、特許文献1のDSC900が有する絶縁層922を形成する焼成工程よりも低い温度で行うことができる。これにより、DSC100Aおよびその製造方法は、透光性基板12に反りが生じるという問題の発生を抑制することができる。従って、DSC100Aは、量産性に優れている。また、DSC100Aは、特許文献1のDSC900に比べて、製造コストを低減することができる。
本実施形態は、例えば、面積の大きい透光性基板12を用いる場合に好適である。例えば、複数のDSCセル100Aを有するDSCモジュールを製造する場合に好適である。DSCの用途によっては、面積の大きいDSCセルまたはDSCモジュールを製造する場合がある(例えば、30cm×30cm)。このとき、面積の大きい透光性基板12を用いる。あるいは、複数のDSCモジュールを含むマザー基板として、面積の大きい透光性基板12を用いる場合もある。透光性基板12は、例えば、一辺の長さが300mm以上および/または対角420mm以上であってもよい。ただし、当然ながら、本実施形態は面積の大きい透光性基板12を用いる場合に限定されるものではない。
さらに、DSC100Aは、図4および図5を参照して後述する製造方法を用いて製造することができるので、透光性基板12の絶縁性の主面12sにおける電極間領域12iにおいて優れた絶縁性を有する。従って、DSC100Aは、多孔質半導体層16と対極導電層26との間の絶縁性に優れている。すなわち、DSC100Aは、第1電極と第2電極との間の絶縁性に優れている。DSC100Aは、信頼性に優れている。詳細は後述する。
本明細書では、透光性基板12の絶縁性の主面12sにおける、第1透明導電層14aおよび多孔質半導体層16のうち第2透明導電層14bに近い方と、第2透明導電層14bとの間の領域を電極間領域12iということにする。また、本明細書では、透光性基板12の絶縁性の主面12sにおける第1透明導電層14aと第2透明導電層14bとの間の領域を透明電極間領域14iということにする。電極間領域12iと透明電極間領域14iとは、必ずしも一致しない。電極間領域12iおよび透明電極間領域14iについては、図2(a)を参照して後述する。
DSC100Aは、電極基板10A1を含む。本明細書では、透光性基板12と、第1透明導電層14aと、第2透明導電層14bと、多孔質半導体層16と、第2多孔質絶縁層22とを有する構成を電極基板ということにする。電極基板10A1については、図2(a)を参照して後述する。
DSC100Aは、求められる出力電圧に応じて直列に接続され、モジュールとして用いられ得る。図1(b)に複数のDSC100Aを有するDSCモジュール200の模式的な断面構造を示す。
図1(b)に例示するDSCモジュール200は、2以上の電気的に直列に接続されたDSC100Aを含み、一体にパッケージ化されている。複数のDSC100Aは透光性基板12を共有している。各DSC100Aの電解質媒体42は、封止部52によって互いに分離され、密閉されている。DSCモジュール200の全体も透光性基板12と基板32とを互いに接着、固定する封止材によって、封止されている。ここで示す例では、複数のDSC100Aは基板32をも共有している。
透光性基板12上には、DSC100Aごとに、第1透明導電層14aおよび第2透明導電層14bと、多孔質半導体層16と、第1多孔質絶縁層24と、第2多孔質絶縁層22と、対極導電層26とが形成されている。あるDSC100Aの対極導電層26に電気的に接続された第2透明導電層14bは、隣接するDSC100Aの第1透明導電層14aと電気的に接続されており、そのことによって、あるDSC100Aと隣接するDSC100Aとは電気的に直列に接続されている。例えば、あるDSC100Aが有する第2透明導電層14bと、隣接するDSC100Aが有する第1透明導電層14aとは、一体として形成されていてもよい。DSCモジュール200内で直列に接続されるDSC100Aの数は、要求される出力電圧に応じて適宜設定される。
再び図1(a)を参照して、DSC100Aの構造をより詳細に説明する。
絶縁性の主面12sを有する透光性基板12は、ガラス基板やプラスチック基板など、公知の透明な基板を用いることができる。透光性基板12は、DSC100Aの光増感剤を励起する波長の光を十分に透過するように選択されればよい。透光性基板12の厚さは、例えば0.2mm以上5mm以下である。ガラス基板としては、例えば、ソーダガラス、溶融石英ガラスまたは結晶石英ガラスなどから形成されたガラス基板を用いることができる。
第1透明導電層14aおよび第2透明導電層14bは、それぞれ独立に、例えば、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、インジウム錫複合酸化物(ITO)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などの透明導電性酸化物(TCO)から形成される。第1透明導電層14aおよび第2透明導電層14bの厚さは、それぞれ独立に、例えば0.02μm以上5μm以下である。第1透明導電層14aおよび第2透明導電層14bの電気抵抗は、低いほど好ましく、それぞれ独立に、例えば40Ω/□以下であることが好ましい。第1透明導電層14aおよび第2透明導電層14bは、共通の透明導電膜から形成されていてもよい。
多孔質半導体層16は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化亜鉛、リン化インジウム、銅−インジウム硫化物(CuInS2)、CuAlO2およびSrCu2O2からなる群から選択される少なくとも1つから形成される。高い安定性を有する観点から、多孔質半導体層16は、酸化チタンから形成されることが好ましい。
多孔質半導体層16の形成に用いられる酸化チタンとしては、たとえば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの各種の狭義の酸化チタン、水酸化チタンまたは含水酸化チタンなどを単独で、または混合して用いることができる。アナターゼ型およびルチル型の2種類の結晶系酸化チタンは、その製法および熱履歴によりいずれの形態にもなり得るが、一般的に結晶系酸化チタンはアナターゼ型である。酸化チタンとしては、アナターゼ型の含有率の高いもの、たとえばアナターゼ型の含有率が80%以上である酸化チタンを用いることが色素増感の観点から好ましい。
半導体の形態は、単結晶または多結晶のいずれであってもよい。安定性、結晶成長の容易さおよび製造コストなどの観点からは多結晶であることが好ましく、多結晶からなるナノスケールまたはマイクロスケールの半導体微粒子を用いることが好ましい。したがって、多孔質半導体層16の原材料としては、酸化チタンの微粒子を用いることが好ましい。
酸化チタンの微粒子は、たとえば、水熱合成法若しくは硫酸法などの液相法、または気相法などの方法により製造することができる。また、デグサ(Degussa)社が開発した塩化物を高温加水分解することによっても製造することができる。
半導体微粒子としては、同一または異なる半導体化合物からなる2種類以上の粒子径の微粒子を混合したものを用いてもよい。粒子径の大きな半導体微粒子は入射光を散乱させることによって光捕捉率の向上に寄与し、粒子径の小さな半導体微粒子は吸着点をより多くすることによって増感色素の吸着量の向上に寄与すると考えられる。
粒子径の異なる微粒子が混合された半導体微粒子を用いる場合には、微粒子同士の平均粒径の比率が10倍以上であることが好ましい。粒子径の大きな微粒子の平均粒径は、たとえば、100nm以上500nm以下とすることができる。粒子径の小さな微粒子の平均粒径は、たとえば、5nm以上50nm以下とすることができる。異なる半導体化合物が混合された半導体微粒子を用いる場合には、吸着作用の強い半導体化合物の粒子の径を小さくすることが有効である。
多孔質半導体層16の厚さは、例えば0.1μm以上100μm以下である。また、多孔質半導体層16の比表面積は、10m2/g以上200m2/g以下であることが好ましい。多孔質半導体層16の空隙率は、例えば40%以上75%以下である。ここで、多孔質半導体層16の空隙率とは、多孔質半導体層16の表面において、開孔が単位面積あたりに占める面積の割合をいう。多孔質半導体層16は、積層構造を有していてもよい。
多孔質半導体層16に担持される増感色素としては、可視光領域または赤外光領域に吸収を有する種々の有機色素および金属錯体色素の1種または2種以上を選択的に用いることができる。
有機色素としては、たとえば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素およびナフタロシアニン系色素からなる群から選択される少なくとも1つを用いることができる。有機色素の吸光係数は、一般に、遷移金属に分子が配位結合した形態をとる金属錯体色素の吸光係数に比べて大きくなる。
金属錯体色素は、分子に金属が配位結合することによって構成されている。分子としては、たとえば、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素またはルテニウム系色素などを挙げることができる。金属としては、たとえば、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、TA、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、TeおよびRhからなる群から選択される少なくとも1つを挙げることができる。なかでも、金属錯体色素として、フタロシアニン系色素またはルテニウム系色素に金属が配位したものを用いることが好ましく、ルテニウム系金属錯体色素を用いることが特に好ましい。
ルテニウム系金属錯体色素としては、たとえば、Solaronix社製の商品名Ruthenizer535色素、Ruthenizer535−bisTBA色素、またはRuthenizer620−1H3TBA色素などの市販のルテニウム系金属錯体色素を用いることができる。
また、多孔質半導体層16に共吸着剤が担持されていることもある。共吸着剤は、増感色素の会合や凝集を抑制し、増感色素を多孔質半導体層16の表面に均一に分散させることができる。共吸着剤としては、当該分野における一般的な材料の中から、組み合わせる増感色素に応じて適宜選択することができる。例えば、デオキシコール酸などの有機カルボン酸が挙げられる。
第1多孔質絶縁層24は、例えば、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびチタン酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1つを用いて形成することができる。第1多孔質絶縁層24は、ルチル型酸化チタンから形成されることが好ましい。ルチル型酸化チタンを用いて第1多孔質絶縁層24を形成する場合、ルチル型酸化チタンの平均粒径は5nm以上600nm以下であることが好ましく、50nm以上600nm以下であることがより好ましい。第1多孔質絶縁層24の空隙率は、40%以上であることが好ましく、60%以上90%以下であることがさらに好ましい。
第2多孔質絶縁層22は、例えば、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびチタン酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1つを用いて形成することができる。第2多孔質絶縁層22は、例えば第1多孔質絶縁層24と同じ材料から形成されていてもよい。
第2多孔質絶縁層22の厚さは、例えば0.1μm以上150μm以下である。第2多孔質絶縁層22の比表面積は、例えば10m2/g以上100m2/g以下である。
第2多孔質絶縁層22の高さは、例えば、多孔質半導体層16の高さと同じである。ここで、第2多孔質絶縁層22の高さとは、透光性基板12の法線方向における、透光性基板12の絶縁性の主面12sから第2多孔質絶縁層22の電解質媒体42側の表面までの距離をいう。多孔質半導体層16の高さとは、透光性基板12の法線方向における、透光性基板12の絶縁性の主面12sから多孔質半導体層16の電解質媒体42側の表面までの距離をいう。
第2多孔質絶縁層22の空隙率は、例えば40%以上であることが好ましい。第2多孔質絶縁層22の空隙率が40%以上であっても、本実施形態によるDSCの製造方法によると、第1電極と第2電極との間の絶縁性を向上させることができる。本実施形態によるDSCの製造方法については、図4および図5を参照して後述する。ただし、第2多孔質絶縁層22の空隙率は、70%以下であることが好ましい。また、第2多孔質絶縁層22の空隙率が50%超であると、第2多孔質絶縁層22に入射した光を散乱させ、多孔質半導体層16へ反射させることができるので、光の利用効率が向上される。
第2多孔質絶縁層22の空隙率は、第1多孔質絶縁層24の空隙率よりも低くてもよい。第2多孔質絶縁層22の空隙率が、第1多孔質絶縁層24の空隙率よりも低いと、第1多孔質絶縁層24と第2多孔質絶縁層22との界面において電解質媒体の浸透速度を変えることで、第1電極と第2電極との間の絶縁性を向上させることができる。
対極導電層26は、触媒としての機能と、導電層としての機能とを有する。すなわち、対極導電層26は、電解質媒体(キャリア輸送層)42中の正孔を還元するとともに、電子を収集し、隣接する光電変換素子や外部端子と電気的に接続される。
対極導電層26は、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレンなど、触媒能と導電性を兼ね備えた導電性炭素材料を用いて形成することができる。図13を参照して後述するように、対極導電層26は、導電層と触媒層との積層構造を有していてもよい。
電解質媒体42は、イオンを輸送可能な導電性材料であることが好ましく、例えば、液体電解質、固体電解質、ゲル電解質、または溶融塩ゲル電解質などであることが好ましい。
液体電解質は、酸化還元種を含む液状物であることが好ましく、一般に電池または太陽電池などにおいて使用できるものであれば特に限定されない。具体的には、液体電解質は、酸化還元種と酸化還元種を溶解可能な溶剤とからなるもの、酸化還元種と酸化還元種を溶解可能な溶融塩とからなるもの、または酸化還元種と上記溶剤と上記溶融塩からなるものであることが好ましい。
酸化還元種としては、たとえばI-/I3 -系、Br2 -/Br3 -系、Fe2+/Fe3+系、またはキノン/ハイドロキノン系などが挙げられる。なかでも、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化カルシウム(CaI2)などの金属ヨウ化物とヨウ素(I2)との組み合わせ、テトラエチルアンモニウムアイオダイド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)、テトラヘキシルアンモニウムアイオダイド(THAI)などのテトラアルキルアンモニウム塩とヨウ素との組み合わせ、または臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、臭化カルシウム(CaBr2)などの金属臭化物と臭素との組み合わせを用いることが好ましく、なかでも、LiIとI2との組み合わせを用いることが特に好ましい。
液体電解質中の酸化還元種の濃度は、0.02M以上0.05M以下であることが好ましい。
溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、エタノール等のアルコール系溶媒、γ―ブチロラクトンなどのラクトン化合物などが挙げられる。これらの中でも、カーボネート系溶媒やニトリル系溶媒が好ましく、これらの溶媒は2種類以上を混合して用いることもできる。なお、発電特性の観点からニトリル系溶媒が特に好ましく、DSCを設置する温度環境などに応じて溶媒粘度や電解質の溶解度などの観点から総合的に溶媒を選定する。
上記の電解質には、必要に応じて添加剤を加えてもよい。このような添加剤としては、t−ブチルピリジン(TBP)などの含窒素芳香族化合物、ジメチルイミダゾールアイオダイド(DMII)、メチルプロピルイミダゾールアイオダイド(MPII)、エチルメチルイミダゾールアイオダイド(EMII)、エチルイミダゾールアイオダイド(EII)、ヘキシルメチルイミダゾールアイオダイド(HMII)などのイミダゾール塩が挙げられる。
基板32は、透明であっても、透明でなくてもよい。ただし、基板32側からも光が入射する環境下で使用される場合には、光増感剤へ到達する光量を増加させるために、基板32も透明な方が好ましい。
封止部52は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ホットメルト樹脂およびガラスフリット等のガラス系材料からなる群から選択される少なくとも1つを含む材料を用いて形成することができる。具体的には、例えば、スリーボンド社型番:31X−101、スリーボンド社製型番:31X−088および一般に市販されているエポキシ樹脂などを用いて封止部52を形成することができる。
図2および図3を参照して、透光性基板12の法線方向から見たときの、第2多孔質絶縁層22と、電極間領域12iおよび透明電極間領域14iとの位置関係を説明する。図2(a)は、DSC100Aに含まれる電極基板10A1の模式的な平面図であり、図2(b)〜(d)および図3は、それぞれ、本実施形態におけるDSCに含まれる他の電極基板10A2〜10A5の模式的な平面図である。
まず、図2(a)を参照する。既に述べたように、第2多孔質絶縁層22は、透明電極間領域14iに設けられている。第2多孔質絶縁層22は、透光性基板12の法線方向から見たとき、少なくとも多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bの全体と対向する領域に配置されている。
図示する例においては、透明電極間領域14iは、第2透明導電層14bの第1透明導電層14a側の辺14b_e1と、第1透明導電層14aの第2透明導電層14b側の辺14a_e1とによって規定される。これに対して、電極間領域12iは、第2透明導電層14bの第1透明導電層14a側の辺14b_e1と、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bおよび第1透明導電層14aの第2透明導電層14b側の辺14a_e1のうち、第2透明導電層14bに近い方とによって規定される。
図2(a)に示す電極基板10A1では、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bの方が、第1透明導電層14aの第2透明導電層14b側の辺14a_e1よりも、第2透明導電層14bに近い。従って、電極間領域12iは、第2透明導電層14bの第1透明導電層14a側の辺14b_e1と、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bとによって規定される。
透明電極間領域14iが延びる方向を第1方向とし、第1方向に直交する方向を第2方向とする。電極基板10A1において、第2多孔質絶縁層22の第1方向における長さは、多孔質半導体層16の第1方向における長さと同じか、または、多孔質半導体層16の第1方向における長さよりも大きい。図2(a)に示す例では、第2多孔質絶縁層22の第1方向における長さは、多孔質半導体層16の第1方向における長さよりも大きい。
電極基板10A1においては、図2(a)に示すように、透光性基板12の法線方向から見たとき、第2多孔質絶縁層22は、多孔質半導体層16および第2透明導電層14bと重なって配置されている。電極基板10A1においては、第2多孔質絶縁層22は、第1透明導電層14aとは重ならず、第1透明導電層14aと対向するように配置されている。電極基板10A1においては、透光性基板12の法線方向から見たとき、多孔質半導体層16は、第1透明導電層14aと、透明電極間領域14iとに重なって配置されている。
本実施形態におけるDSCは、図2(b)に示す電極基板10A2を含んでいてもよい。
電極基板10A2においては、図2(b)に示すように、透光性基板12の法線方向から見たとき、第2多孔質絶縁層22は、多孔質半導体層16と重ならず、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bの全体と対向するように配置されている。第2多孔質絶縁層22の全体は、透光性基板12の法線方向から見たとき、第2透明導電層14bと重なって配置されている。図2(b)に示す電極基板10A2では、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bよりも、第1透明導電層14aの第2透明導電層14b側の辺14a_e1の方が、第2透明導電層14bに近い。従って、電極間領域12iは、第2透明導電層14bの第1透明導電層14a側の辺14b_e1と、第1透明導電層14aの第2透明導電層14b側の辺14a_e1とによって規定される。
電極基板10A2を含むDSCも、DSC100Aと同様の効果を有する。
本実施形態におけるDSCは、図2(c)に示す電極基板10A3を含んでいてもよい。
電極基板10A3において、図2(c)に示すように、透光性基板12の法線方向から見たとき、第2多孔質絶縁層22は、多孔質半導体層16と重ならず、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bの全体と対向するように配置されている。また、透光性基板12の法線方向から見たとき、第2多孔質絶縁層22は、第2透明導電層14bと重ならず、第2透明導電層14bと対向するように配置されている。
電極基板10A3を含むDSCも、DSC100Aと同様の効果を有する。
本実施形態におけるDSCは、図2(d)に示す電極基板10A4を含んでいてもよい。
電極基板10A4において、図2(d)に示すように、透光性基板12の法線方向から見たとき、第2多孔質絶縁層22は、第1透明導電層14aおよび第2透明導電層14bと重なって配置されている。透光性基板12の法線方向から見たとき、多孔質半導体層16は、第1透明導電層14aと、透明電極間領域14iとに重なって配置されている。
電極基板10A4を含むDSCも、DSC100Aと同様の効果を有する。
図2(a)〜(d)には多孔質半導体層16が矩形状である例を示したが、本実施形態はこれに限られない。本実施形態におけるDSCは、図3に示す電極基板10A5を有していてもよい。電極基板10A5は、丸みを帯びた角を有する形状を有する多孔質半導体層16を有する点において、電極基板10Aと異なる。
電極基板10A5においては、第2多孔質絶縁層22は、透光性基板12の法線方向から見たとき、少なくとも多孔質半導体層16の第1方向における第2透明導電層14b側の辺(直線部分)16e1bの全体と対向する領域に配置されていることが好ましい。第2多孔質絶縁層22の第1方向における長さは、多孔質半導体層16の第1方向における長さと同じか、または、多孔質半導体層16の第1方向における長さよりも大きいことがさらに好ましい。
電極基板10A5を含むDSCも、DSC100Aと同様の効果を有する。
図2(a)〜(d)および図3に例示したように、第2多孔質絶縁層22は、第1透明導電層14aと第2透明導電層14bとの間の透明電極間領域14iに配置されている。第2多孔質絶縁層22は、透光性基板12の法線方向から見たとき、透明電極間領域14iのうち、少なくとも多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bの全体と対向する領域に配置されている。第2多孔質絶縁層22は、第2透明導電層14bに重なって配置されていることが好ましい。
図4(a)〜(e)および図5(a)〜(b)を参照して、本実施形態におけるDSC100Aを製造する方法を説明する。図4(a)〜(e)および図5(a)〜(b)は、本実施形態におけるDSCの製造方法を説明するための工程断面図である。本実施形態におけるDSCの製造方法は、第2多孔質絶縁層22および多孔質半導体層16の形成方法を除いて、公知の方法と同じであってもよい。例えば、本出願人による国際公開第2015/133030号公報にDSCの製造方法が開示されている。
まず、図4(a)に示すように、透光性基板12および透明導電膜14’を用意する。透光性基板12は、絶縁性の主面12sを有し、絶縁性の主面12s上に透明導電膜14’が形成されている。具体的には、透光性基板12を用意した後、透光性基板12の絶縁性の主面12s上に、透明導電膜14’を形成してもよい。透明導電膜14’の形成には、例えばスパッタリング法またはスプレー法などの方法を用いることができる。あるいは、絶縁性の主面12s上に透明導電膜14’が形成されている透光性基板12を用意してもよい。
次いで、透明導電膜14’をパターニングすることにより、図4(b)に示すように、第1透明導電層14aおよび第2透明導電層14bを有する透明導電層を形成する。このようにして、第1透明導電層14aおよび第2透明導電層14bが絶縁性の主面12s上に形成された透光性基板12を用意することができる。第1透明導電層14aと第2透明導電層14bとの間の透明電極間領域14iにおいて、透光性基板12の絶縁性の主面12sが露出されている。透明導電膜14’のパターニングは、例えば、公知のレーザースクライブ法を用いることによって行ってもよいし、公知のフォトリソグラフィ法を用いることによって行ってもよい。
続いて、第1透明導電層14a上に多孔質半導体層16を形成するとともに、第1透明導電層14aと第2透明導電層14bとの間の透明電極間領域14iに第2多孔質絶縁層22を形成する。これにより、DSC100Aに含まれる電極基板10A1を製造することができる。
具体的には、まず、図4(c)に示すように、第1透明導電層14a上に、半導体粒子と溶媒とバインダーとを含む第1ペースト15を付与する。次に、図4(d)に示すように、少なくとも透明電極間領域14iの一部に、絶縁体粒子と溶媒とバインダーとを含む第2ペースト21を付与する。次に、図4(e)に示すように、第1ペースト15を焼成することによって、多孔質半導体層16を形成する。また、第2ペースト21を焼成することによって、第2多孔質絶縁層22を形成する。ここで、第1ペースト15の焼成および第2ペースト21の焼成を同時に行う。
第1ペースト15および第2ペースト21の焼成工程は、例えば550℃未満で行うことが好ましい。これによって、透光性基板12に反りが生じるという問題が発生することを抑制することができる。第1ペースト15および第2ペースト21の焼成は、例えば、大気圧下で行う。第1ペースト15および第2ペースト21の焼成は、例えば、室温から500℃まで、約1時間かけて昇温し、500℃を約1時間維持し、その後自然に室温まで降温することによって行う。
第1ペースト15は、例えば、半導体粒子とバインダーと溶媒とを混合することによって得ることができる。第1ペースト15は、多孔質半導体層を形成するためのペーストを得る方法として公知のものを用いて得ることができる。溶媒として、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、イソプロピルアルコール/トルエンなどのアルコール系混合溶剤または水などを用いることができる。バインダーとして、例えば、エチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)などの高分子化合物を用いることができる。また、第1ペースト15として、市販の酸化チタンペースト(例えば、Solaronix社製、Ti−nanoxide、T、D、T/SP、D/SP)を用いることもできる。
第1ペースト15は、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法等の方法を用いて、第1透明導電層14a上に付与される。第1ペースト15の粘度は、例えば、100cP〜1000cPである。
第1ペースト15を第1透明導電層14a上に付与した後、第1ペースト15を焼成するまでの間に、第1ペースト15を乾燥させる工程を適宜行ってもよい。
第2ペースト21は、例えば、絶縁体粒子とバインダーと溶媒とを混合することによって得る。第2ペースト21は、多孔質絶縁層を形成するためのペーストを得る方法として公知のものを用いて得ることができる。溶媒として、第1ペースト15に含まれる溶媒と同じものを用いることができる。バインダーとして、例えば、エチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)などの高分子化合物を用いることができる。第2ペースト21は、多孔質絶縁層を形成するためのペーストとして公知のものを用いてもよい。
第2ペースト21は、第1ペースト15と同じ方法で、透光性基板12上に付与することができる。第2ペースト21の粘度は、例えば、100cP〜1000cPである。第2ペースト21についても第1ペースト15と同様に、第2ペースト21を透明電極間領域14iに付与した後、第2ペースト21を焼成するまでの間に、第2ペースト21を乾燥させる工程を適宜行ってもよい。第1ペースト15の乾燥工程と第2ペースト21の乾燥工程とを同時に行ってもよい。
第1ペースト15を付与する工程によって、透光性基板12の絶縁性の主面12sに電極間領域12iが規定される。焼成工程によって、透光性基板12の法線方向から見たときのペーストの大きさは変わらないためである。すなわち、透光性基板12の法線方向から見たとき、第1ペースト15を焼成することによって形成される多孔質半導体層16の形状は、第1ペースト15の形状と同じである。従って、例えば、電極間領域12iは、第2透明導電層14bの第1透明導電層14a側の辺14b_e1と、第1ペースト15の第2透明導電層14b側の辺および第1透明導電層14aの第2透明導電層14b側の辺14a_e1のうち、第2透明導電層14bに近い方とによって規定される。
次に、図5(a)に示すように、多孔質半導体層16の少なくとも一部を覆うように、第1多孔質絶縁層24を形成する。第1多孔質絶縁層24の形成方法は、例えば、第2多孔質絶縁層22の形成方法と同様であってもよい。第1多孔質絶縁層24を形成するための、絶縁体粒子と溶媒とバインダーとを含む第3ペーストを用意し、第3ペーストを多孔質半導体層16上に付与し、第3ペーストを焼成することによって形成することができる。
第1多孔質絶縁層24と第2多孔質絶縁層22とが同じ材料から形成される場合、第2ペースト21と第3ペーストとは、同じ絶縁体粒子を含む。第1多孔質絶縁層24と第2多孔質絶縁層22とが同じ材料から形成される場合、第1多孔質絶縁層24は、第2多孔質絶縁層22を形成するための第2ペースト21に含まれる絶縁体粒子を含む。
第3ペーストを焼成する工程は、第2多孔質絶縁層22の空隙率を低下させる工程を含み得る。すなわち、第3ペーストを焼成する工程の後の第2多孔質絶縁層22の空隙率は、第3ペーストを焼成する工程の前よりも低い場合がある。第3ペーストを焼成する工程において、第2多孔質絶縁層22も焼成されるためである。
続いて、図5(b)に示すように、第1多孔質絶縁層24上および第2透明導電層14b上に、対極導電層26を形成する。対極導電層26は、例えば、スクリーン印刷法、スパッタ法またはスプレー法などの方法を用いて形成することができる。対極導電層26は、第2透明導電層14bと接していてもよい。
この後、多孔質半導体層16に増感色素を吸着させる。封止部52を形成する封止材料を、基板32にディスペンサ法を用いて付与した後、透光性基板12と基板32とを貼り合わせて封止材料を硬化することによって、封止部52を形成する。透光性基板12と基板32との間に、例えば注入法によって電解質媒体42を充填する。
以上の工程によって、DSC100Aを製造することができる。
本実施形態におけるDSCの製造方法では、第2多孔質絶縁層22を形成する焼成工程を、特許文献1のDSC900が有する絶縁層922を形成する焼成工程よりも低い温度で行うことができる。本実施形態におけるDSCの製造方法では、第2多孔質絶縁層22を形成するための第2ペースト21の焼成を例えば550℃未満で行うことができる。これにより、本実施形態におけるDSCの製造方法は、透光性基板12に反りが生じるという問題の発生を抑制することができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によると、量産性に優れたDSCを得ることができる。また、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、製造コストを低減することができる。
さらに、本実施形態におけるDSCの製造方法では、第1ペースト15の焼成と第2ペースト21の焼成とを同時に行うので、電極間領域12iの絶縁性が低下することを抑制することができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によって製造されたDSC100Aは、電極間領域12iの絶縁性に優れている。従って、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、多孔質半導体層16と対極導電層26との間の絶縁性に優れたDSC100Aを得ることができる。すなわち、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、第1電極と第2電極との間の絶縁性に優れたDSC100Aを得ることができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によると、信頼性に優れたDSC100Aを得ることができる。
ここで、図14および図15を参照して比較例1のDSCの製造方法および比較例2のDSCの製造方法を説明しながら、本実施形態におけるDSCの製造方法の効果をより具体的に説明する。特に、第1ペースト15の焼成と第2ペースト21の焼成とを同時に行うことによる、本実施形態におけるDSCの製造方法の効果を具体的に説明する。図14(a)〜(d)は、比較例1のDSCの製造方法を説明するための工程断面図であり、比較例1のDSCの製造方法によって製造されるDSCに含まれる電極基板90Aを製造する工程を示す。図15(a)〜(d)は、比較例2のDSCの製造方法を説明するための工程断面図であり、比較例2のDSCの製造方法によって製造されるDSCに含まれる電極基板90Bを製造する工程を示す。
比較例1および比較例2のDSCの製造方法は、多孔質半導体層16および第2多孔質絶縁層22を形成する工程において、本実施形態におけるDSCの製造方法と異なる。本実施形態におけるDSCの製造方法と異なる部分を中心に説明する。
本発明者の検討によると、比較例1および比較例2の製造方法で製造されたDSCは、第1電極と第2電極との間の絶縁性が十分でないことがあった。これは、透光性基板12の絶縁性の主面12sにおける電極間領域12iの絶縁性が十分でないことに起因していることが分かった。
比較例1のDSCの製造方法においては、まず、図14(a)に示すように、第1透明導電層14a上に、半導体粒子と溶媒とバインダーとを含む第1ペースト15を付与する。その後、図14(b)に示すように、第1ペースト15を焼成することによって、多孔質半導体層16を形成する。次に、図14(c)に示すように、少なくとも透明電極間領域14iの一部に、絶縁体粒子と溶媒とバインダーとを含む第2ペースト21を付与する。その後、図14(d)に示すように、第2ペースト21を焼成することによって、第2多孔質絶縁層22を形成する。以上の工程によって、電極基板90Aが製造される。
後に実験例を示すように、比較例1の製造方法によって製造されたDSCにおいては、透光性基板12の絶縁性の主面12sにおける電極間領域12iの絶縁性が十分でないことがあった。
比較例1のDSCの製造方法においては、第1ペースト15の焼成時に、電極間領域12iが絶縁層によって覆われていない。第1ペースト15の焼成工程は、第1ペースト15を加熱処理することによって、第1ペースト15に含まれる溶媒およびバインダーを除去し、半導体層を形成する工程である。このとき、第1ペースト15に含まれるバインダー中の炭素(C)に由来する導電性不純物(すす)が、電極間領域12iに付着することによって、電極間領域12iの絶縁性が十分に保たれなかったと考えられる。
比較例2のDSCの製造方法においては、まず、図15(a)に示すように、少なくとも透明電極間領域14iの一部に、絶縁体粒子と溶媒とバインダーとを含む第2ペースト21を付与する。その後、図15(b)に示すように、第2ペースト21を焼成することによって、第2多孔質絶縁層22を形成する。次に、図15(c)に示すように、第1透明導電層14a上に、半導体粒子と溶媒とバインダーとを含む第1ペースト15を付与する。その後、図15(d)に示すように、第1ペースト15を焼成することによって、多孔質半導体層16を形成する。以上の工程によって、電極基板90Bが製造される。
後に実験例を示すように、比較例2の製造方法によって製造されたDSCにおいても、透光性基板12の絶縁性の主面12sにおける電極間領域12iの絶縁性が十分でないことがあった。
比較例2の製造方法においては、第1ペースト15の焼成時に、電極間領域12iに第2多孔質絶縁層22が形成されている。しかしながら、第2多孔質絶縁層22の空隙率が高いので(例えば40%超なので)、第1ペースト15に含まれるバインダー中の炭素(C)に由来する導電性不純物(すす)が透光性基板12の絶縁性の主面12sにおける電極間領域12iに付着することを十分に防ぐことができなかったと考えられる。これにより、電極間領域12iにおいて十分な絶縁性が得られなかったと考えられる。
比較例2の製造方法によって電極間領域12iの十分な絶縁性が得られなかったのは、第2多孔質絶縁層22が高い空隙率を有することに起因していると考えられる。第2多孔質絶縁層22の空隙率は、例えば40%超である。
本実施形態におけるDSCの製造方法においては、第1ペースト15の焼成と第2ペースト21の焼成とを同時に行う。第1ペースト15の焼成工程において、第2ペースト21も同時に加熱処理され、第2ペースト21に含まれる溶媒およびバインダーが除去され、第2多孔質絶縁層22が形成される。これにより、第1ペースト15および第2ペースト21に含まれるバインダー中の炭素(C)に由来する導電性不純物(すす)が、透光性基板12の絶縁性の主面12sにおける、電極間領域12iに付着することを十分に防ぐことができる。これにより、電極間領域12iの絶縁性が低下することを抑制することができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によると、信頼性に優れたDSC100Aを得ることができる。
図6(a)〜(c)を参照して、本実施形態におけるDSCの製造方法の改変例を説明する。図6(a)〜(c)は、本実施形態におけるDSCの製造方法の改変例を説明するための工程断面図であり、本実施形態におけるDSCの製造方法の改変例によって製造されるDSCに含まれる電極基板10A6を製造する工程を示す。
図4および図5を参照して説明したDSC100Aの製造方法においては、多孔質半導体層16を形成するための第1ペースト15を透光性基板12上に付与した後に、第2多孔質絶縁層22を形成するための第2ペースト21を透光性基板12上に付与する。これに対して、改変例においては、多孔質半導体層16および第2多孔質絶縁層22の形成を以下の順序で行う。まず、図6(a)に示すように、少なくとも透明電極間領域14iの一部に、絶縁体粒子と溶媒とバインダーとを含む第2ペースト21を付与する。次に、図6(b)に示すように、第1透明導電層14a上に、半導体粒子と溶媒とバインダーとを含む第1ペースト15を付与する。次に、図6(c)に示すように、第1ペースト15および第2ペースト21を同時に焼成することによって、多孔質半導体層16および第2多孔質絶縁層22を形成する。以上の工程によって、電極基板10A6を作製することができる。
このような工程およびこのような工程によって製造されたDSCも、DSC100Aの製造方法およびDSC100Aと同様の効果を有する。
(実施形態2)
図7に、本実施形態におけるDSC100Bを示す。図7は、DSC100Bを模式的に示す断面図である。なお、以下の説明では、DSC100Bが実施形態1におけるDSC100Aと異なる点を中心に説明を行う。以降においても同様である。
DSC100Bは、図7に示すように、第2多孔質絶縁層22の高さh22が多孔質半導体層16の高さh16よりも大きい点において実施形態1におけるDSC100Aと異なる。DSC100Bは、電極基板10Bを含む。
DSC100Bが有する第2多孔質絶縁層22を形成する焼成工程は、特許文献1のDSC900が有する絶縁層922を形成する焼成工程よりも低い温度(例えば550℃未満)で行うことができる。これにより、DSC100Bおよびその製造方法は、透光性基板12に反りが生じるという問題の発生を抑制することができる。従って、DSC100Bは、量産性に優れている。また、DSC100Bは、特許文献1のDSC900に比べて、製造コストを低減することができる。
図8(a)〜(c)を参照して、本実施形態におけるDSC100Bを製造する方法を説明する。図8(a)〜(c)は、本実施形態におけるDSCの製造方法を説明するための工程断面図であり、電極基板10Bを製造する工程を示す。
DSC100Bの製造方法は、多孔質半導体層16および第2多孔質絶縁層22を形成するための第1ペースト15および第2ペースト21の高さを除いて、実施形態1におけるDSCの製造方法を同じであってよい。
本実施形態におけるDSCの製造方法においては、図8(a)および(b)に示すように、第2ペースト21の高さh21が第1ペースト15の高さh15よりも大きい点において、実施形態1におけるDSC100Aと異なっている。ここで、第1ペースト15の高さh15とは、透光性基板12の法線方向における、透光性基板12の絶縁性の主面12sから第1ペースト15の透光性基板12と反対側の表面までの距離をいう。第2ペースト21の高さh21とは、透光性基板12の法線方向における、透光性基板12の絶縁性の主面12sから第2ペースト21の透光性基板12と反対側の表面までの距離をいう。
本実施形態におけるDSCの製造方法では、第1ペースト15の焼成と第2ペースト21の焼成とを同時に行うので、電極間領域12iの絶縁性が低下することを抑制することができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によって製造されたDSC100Bは、電極間領域12iの絶縁性に優れている。従って、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、多孔質半導体層16と対極導電層26との間の絶縁性に優れたDSC100Bを得ることができる。すなわち、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、第1電極と第2電極との間の絶縁性に優れたDSC100Bを得ることができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によると、信頼性に優れたDSC100Bを得ることができる。
第1ペースト15を焼成することによって形成される多孔質半導体層16の高さh16は、第1ペースト15の高さh15よりも小さいことがある。同様に、第2ペースト21を焼成することによって形成される第2多孔質絶縁層22の高さh22は、第2ペースト21の高さh21よりも小さいことがある。焼成工程において、ペーストに含まれる溶媒およびバインダーが除去されるためである。しかしながら、第1ペースト15および第2ペースト21の高さの大小関係は、第1ペースト15および第2ペースト21の焼成工程を経ても変化しない。すなわち、第2ペースト21の高さh21が第1ペースト15の高さh15よりも大きい場合、焼成工程によって形成される多孔質半導体層16および第2多孔質絶縁層22は、第2多孔質絶縁層22の高さh22が多孔質半導体層16の高さh16よりも大きいという関係を有する。
なお、焼成工程によって、透光性基板12の法線方向から見たときのペーストの大きさは変わらない。すなわち、透光性基板12の法線方向から見たとき、第1ペースト15を焼成することによって形成される多孔質半導体層16の形状は、第1ペースト15の形状と同じである。同様に、透光性基板12の法線方向から見たとき、第2ペースト21を焼成することによって形成される第2多孔質絶縁層22の形状は、第2ペースト21の形状と同じである。例えば、図8(c)の場合、電極間領域12iは、第2透明導電層14bの第1透明導電層14a側の辺と、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺とによって規定される。図8(c)における電極間領域12iは、図8(b)に示すように、多孔質半導体層16に代えて第1ペースト15を用いて規定することもできる。つまり、図8(b)に示すように、電極間領域12iは、第2透明導電層14bの第1透明導電層14a側の辺と、第1ペースト15の第2透明導電層14b側の辺とによって規定することもできる。
(実施形態3)
図9を参照して、本実施形態におけるDSCを説明する。図9に、本実施形態におけるDSCに含まれる電極基板10Cを示す。図9は、電極基板10Cの模式的な平面図である。
電極基板10Cは、図9に示すように、第2多孔質絶縁層22の形状において実施形態1におけるDSC100Aに含まれる電極基板10A1と異なる。図9に示すように、電極基板10Cの第2多孔質絶縁層22は、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bと直交する辺16e2aおよび16e2bの全体と対向する領域にさらに配置されている。
本実施形態におけるDSCの製造方法は、第2多孔質絶縁層22を形成するための第2ペーストの形状を除いて、実施形態1または2におけるDSCの製造方法を同じであってよい。
電極基板10Cが有する第2多孔質絶縁層22を形成する焼成工程は、特許文献1のDSC900が有する絶縁層922を形成する焼成工程よりも低い温度(例えば550℃未満)で行うことができる。これにより、電極基板10Cを有する本実施形態におけるDSCおよびその製造方法は、透光性基板12に反りが生じるという問題の発生を抑制することができる。従って、本実施形態におけるDSCは、量産性に優れている。また、本実施形態におけるDSCは、特許文献1のDSC900に比べて、製造コストを低減することができる。
さらに、本実施形態におけるDSCの製造方法では、第1ペーストの焼成と第2ペーストの焼成とを同時に行うので、電極間領域12iの絶縁性が低下することを抑制することができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によって製造されたDSCは、電極間領域12iの絶縁性に優れている。従って、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、多孔質半導体層16と対極導電層との間の絶縁性に優れたDSCを得ることができる。すなわち、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、第1電極と第2電極との間の絶縁性に優れたDSCを得ることができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によると、信頼性に優れたDSCを得ることができる。
本実施形態におけるDSCにおいて、第2多孔質絶縁層22は、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bの全体と対向する領域に加えて、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bと直交する辺16e2aおよび16e2bの全体と対向する領域にも配置されている。これにより、電極間領域12iにおける絶縁性をより効果的に保持することができる。
(実施形態4)
図10を参照して、本実施形態におけるDSCを説明する。図10に、本実施形態におけるDSCに含まれる電極基板10Dを示す。図10は、電極基板10Dの模式的な平面図である。
電極基板10Dは、図10に示すように、第2多孔質絶縁層22の形状において実施形態1におけるDSC100Aに含まれる電極基板10A1と異なる。図10に示すように、電極基板10Dの第2多孔質絶縁層22は、多孔質半導体層16の第1透明導電層14a側の辺16e1aの全体と対向する領域にさらに配置されている。
本実施形態におけるDSCの製造方法は、第2多孔質絶縁層22を形成するための第2ペーストの形状を除いて、実施形態1または2におけるDSCの製造方法を同じであってよい。
電極基板10Dが有する第2多孔質絶縁層22を形成する焼成工程は、特許文献1のDSC900が有する絶縁層922を形成する焼成工程よりも低い温度(例えば550℃未満)で行うことができる。これにより、電極基板10Dを有する本実施形態におけるDSCおよびその製造方法は、透光性基板12に反りが生じるという問題の発生を抑制することができる。従って、本実施形態におけるDSCは、量産性に優れている。また、本実施形態におけるDSCは、特許文献1のDSC900に比べて、製造コストを低減することができる。
さらに、本実施形態におけるDSCの製造方法では、第1ペーストの焼成と第2ペーストの焼成とを同時に行うので、電極間領域12iの絶縁性が低下することを抑制することができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によって製造されたDSCは、電極間領域12iの絶縁性に優れている。従って、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、多孔質半導体層16と対極導電層との間の絶縁性に優れたDSCを得ることができる。すなわち、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、第1電極と第2電極との間の絶縁性に優れたDSCを得ることができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によると、信頼性に優れたDSCを得ることができる。
本実施形態におけるDSCにおいて、第2多孔質絶縁層22は、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bの全体と対向する領域に加えて、多孔質半導体層16の第1透明導電層14a側の辺16e1aの全体と対向する領域にも配置されている。これにより、電極間領域12iにおける絶縁性をより効果的に保持することができる。
(実施形態5)
図11を参照して、本実施形態におけるDSCを説明する。図11に、本実施形態におけるDSCに含まれる電極基板10Eを示す。図11は、電極基板10Eの模式的な平面図である。
電極基板10Eは、図11に示すように、第2多孔質絶縁層22の形状において実施形態1におけるDSC100Aに含まれる電極基板10A1と異なる。図11に示すように、電極基板10Eの第2多孔質絶縁層22は、多孔質半導体層16の第1透明導電層14a側の辺16e1aの全体と対向する領域にさらに配置されている。
本実施形態におけるDSCの製造方法は、第2多孔質絶縁層22を形成するための第2ペーストの形状を除いて、実施形態1または2におけるDSCの製造方法を同じであってよい。
電極基板10Eが有する第2多孔質絶縁層22を形成する焼成工程は、特許文献1のDSC900が有する絶縁層922を形成する焼成工程よりも低い温度(例えば550℃未満)で行うことができる。これにより、電極基板10Eを有する本実施形態におけるDSCおよびその製造方法は、透光性基板12に反りが生じるという問題の発生を抑制することができる。従って、電極基板10Eを有する本実施形態におけるDSCは、量産性に優れている。また、本実施形態におけるDSCは、特許文献1のDSC900に比べて、製造コストを低減することができる。
さらに、本実施形態におけるDSCの製造方法では、第1ペーストの焼成と第2ペーストの焼成とを同時に行うので、電極間領域12iの絶縁性が低下することを抑制することができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によって製造されたDSCは、電極間領域12iの絶縁性に優れている。従って、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、多孔質半導体層16と対極導電層との間の絶縁性に優れたDSCを得ることができる。すなわち、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、第1電極と第2電極との間の絶縁性に優れたDSCを得ることができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によると、信頼性に優れたDSCを得ることができる。
本実施形態におけるDSCにおいて、第2多孔質絶縁層22は、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bの全体と対向する領域に加えて、多孔質半導体層16の第2透明導電層14b側の辺16e1bと直交する辺16e2aおよび16e2bの全体と対向する領域、および、多孔質半導体層16の第1透明導電層14a側の辺16e1aの全体と対向する領域にも配置されている。これにより、電極間領域12iにおける絶縁性をより効果的に保持することができる。
(実施形態6)
図13を参照して、本実施形態におけるDSCを説明する。図13は、本実施形態におけるDSC(セル)100Cを模式的に示す断面図である。ここでは、DSC単位構造であるDSCセル構造を説明する。
図13に示すように、DSC100Cは、導電性を有する導電層26aと、触媒能を有する触媒層26bとを含む積層構造を有する対極導電層26を有する点において、実施形態1におけるDSC100Aと異なる。
例えば図示するように、触媒層26bは、第1多孔質絶縁層24に接して配置されている。触媒層26bは、第1多孔質絶縁層24の一部を覆うように配置されている。第1多孔質絶縁層24上に、触媒層26bを間に介して、導電層26aが形成されている。導電層26aは、第2透明導電層14bと電気的に接続されている。
導電層26aに電気的に接続された第2透明導電層14bは、隣接するDSC100Cの第1透明導電層14aと電気的に接続されており、そのことによって隣接するDSC100Cと電気的に直列に接続されている。例えば、あるDSC100Cが有する第2透明導電層14bと、隣接するDSC100Cが有する第1透明導電層14aとは、一体として形成されていてもよい。
導電層26aは、一般に色素増感太陽電池に使用される、例えば、フッ素をドープした酸化錫(FTO)、インジウム錫複合酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物、チタン、タングステン、金、銀、銅、ニッケル等の金属材料等の導電性を有する材料を用いて形成することができる。触媒層26bは、例えば、白金またはカーボンを用いて形成することができる。カーボンの形態としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト、ガラス炭素、アモルファス炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンホイスカー、カーボンナノチューブ、フラーレン等が好ましい。
対極導電層26が有する積層構造は、図示するものに限られない。導電層26aと触媒層26bとの配置関係は逆であってもよい。
図13に示すDSC100Cは、電極基板10A1を含む。ただし、本実施形態はこれに限られず、上述した電極基板のいずれを含んでもよい。
DSC100Cの製造方法は、対極導電層26を形成する工程を除いて、実施形態1におけるDSCの製造方法を同じであってよい。DSC100Cの製造方法においては、第1多孔質絶縁層24上に触媒層26bを形成した後、触媒層26bの上に導電層26aを形成すればよい。導電層26aと触媒層26bとの配置関係が逆である場合は、第1多孔質絶縁層24上に導電層26aを形成した後、導電層26aの上に触媒層26bを形成すればよい。
DSC100Cが有する第2多孔質絶縁層22を形成する焼成工程は、特許文献1のDSC900が有する絶縁層922を形成する焼成工程よりも低い温度で行うことができる。これにより、DSC100Cおよびその製造方法は、透光性基板12に反りが生じるという問題の発生を抑制することができる。従って、DSC100Cは、量産性に優れている。また、DSC100Cは、特許文献1のDSC900に比べて、製造コストを低減することができる。
さらに、本実施形態におけるDSCの製造方法では、第1ペーストの焼成と第2ペーストの焼成とを同時に行うので、電極間領域12iの絶縁性が低下することを抑制することができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によって製造されたDSC100Cは、電極間領域12iの絶縁性に優れている。従って、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、多孔質半導体層16と対極導電層26との間の絶縁性に優れたDSC100Cを得ることができる。すなわち、本実施形態におけるDSCの製造方法によると、第1電極と第2電極との間の絶縁性に優れたDSC100Cを得ることができる。本実施形態におけるDSCの製造方法によると、信頼性に優れたDSC100Cを得ることができる。
(実験例)
以下に、実験例とともに、本発明の実施形態によるDSCが有する効果を示す。
実験では、以下の構成を有する実施例1〜実施例5の試料サンプルを作製した。実施例1〜実施例5の試料サンプルは、それぞれ、電極基板10A1(図2(a)参照)、電極基板10B(図8(c)参照)、電極基板10C(図9参照)、電極基板10D(図10参照)、電極基板10E(図11参照)と同様の構成を有する。
・透光性基板12および第1、第2透明導電層14a、14b
ガラス基板上にSnO2膜が形成されたFTO基板(フッ素ドープSnO2膜付ガラス基板、日本板硝子株式会社製)、厚さ:4mm
・第1ペースト15
酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名:Ti−Nanoxide T/SP)
・多孔質半導体層16
多孔質酸化チタン、厚さ:6μm、増感色素:Ruthenizer535−bisTBA(Solaronix社製)、濃度:3×10-4mol/L
・第2ペースト21
絶縁体粒子:平均一次粒径10nmおよび350nmのルチル型酸化チタン粒子の混合物(重量比1:9)、溶媒:テルピネオール、バインダー:エチレングリコール、厚さ:6μm
・第2多孔質絶縁層22
厚さ:6μm(実施例1および3〜5)、厚さ:10μm(実施例2)
実施例1〜実施例5の試料サンプルは、図4および図5を参照して説明した製造方法で作製した。第1ペースト15および第2ペースト21の焼成は、大気圧下で、室温から500℃まで、1時間かけて昇温し、500℃を1時間維持し、その後自然に室温まで降温することによって行った。
比較例1および比較例2の試料サンプルをあわせて作製した。比較例1および比較例2の試料サンプルは、それぞれ、電極基板90A(図14(d)参照)および電極基板90B(図15(d)参照)と同様の構成を有する。比較例1および比較例2の試料サンプルは、それぞれ、図14および図15を参照して説明した製造方法で作製した。比較例1および比較例2の試料サンプルの製造工程において、第1ペースト15および第2ペースト21の焼成は、大気圧下で、室温から500℃まで、1時間かけて昇温し、500℃を1時間維持し、その後自然に室温まで降温することによって行った。
実施例1〜5および比較例1〜2の試料サンプルについて、第1透明導電層14aと第2透明導電層14bとの間の電気抵抗を測定することで、透光性基板12の絶縁性の主面12sにおける電極間領域12iの電気抵抗を得た。電気抵抗は、カスタム社製デジタルマルチメータCDM−6000を用いて3回測定し、その平均値を計算することで得た。結果を表1に示す。
なお、それぞれの試料サンプルの製造工程において、透光性基板12上に第1透明導電層14aおよび第2透明導電層14bを形成した後、多孔質半導体層16および第2多孔質絶縁層22を形成する前に、第1透明導電層14aと第2透明導電層14bとの間の電気抵抗を測定すると、「O.L.」と表示された。これにより、多孔質半導体層16および第2多孔質絶縁層22を形成する前は、透光性基板12の絶縁性の主面12sにおいて、第1透明導電層14aと第2透明導電層14bとの間は完全に絶縁されていることが確認された。
表1に示すように、実施例1〜実施例5の試料サンプルにおいて、電極間領域12iの電気抵抗を測定すると、「O.L.」と表示された。すなわち、実施例1〜実施例5の試料サンプルでは、多孔質半導体層16および第2多孔質絶縁層22を形成した後においても、電極間領域12iの絶縁性が保たれていた。これに対して、比較例1および比較例2の試料サンプルでは、多孔質半導体層16および第2多孔質絶縁層22を形成した後、絶縁性が低下していた。