JP6665066B2 - 滑り案内面用潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、本発明者らの検討において、高湿度環境では低湿度環境に比べて滑り案内面における摩擦係数が増大し、加工精度に影響を及ぼす可能性があることが確認されている。
また、特許文献1又は2に記載される潤滑油組成物は、高湿度下における摩擦特性に着目するものではない。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
即ち、本発明の滑り案内面用潤滑油組成物においても含有される酸性リン酸エステルのモノエステル及びジエステルの混合物((A)成分)は、低湿度下において摩擦係数を大幅に低下させる効果を発揮する一方で、高湿度下においては摩擦係数を低下させる効果が減少する傾向がある。このことは、摺動面における摩擦係数の低下に寄与していると考えられる(A)成分により形成される皮膜が、高湿度下においては形成されないか或いは形成されても維持されないためであると推測される。その一方で、分岐鎖脂肪族モノアミン((B)成分)は、低湿度下においては摩擦係数を低減させる作用は有しないものの、潤滑油組成物中に(A)成分と共に特定量で含有されることで、高湿度下において、(A)成分による摺動面における皮膜形成作用を顕著に促進或いは維持することができることから、本発明の滑り案内面用潤滑油組成物は、低湿度下のみならず、高湿度下においても優れた摩擦特性を発揮すると推測している。
また、(B)成分である分岐鎖脂肪族モノアミンは、潤滑油基油に対して良好な溶解性を有することから、本発明の滑り案内面用潤滑油組成物は貯蔵安定性の向上をも期待できる。
本発明の滑り案内面用潤滑油組成物に用いる潤滑油基油としては特に制限はなく、鉱油系潤滑油基油であっても、合成油系潤滑油基油であってもよい。
上記鉱油系潤滑油基油及び合成系潤滑油基油は1種単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。
本明細書における基油の動粘度は、JIS K 2283:2000年「動粘度試験方法」により測定される値である。
本発明の滑り案内面用潤滑油組成物中には、下記一般式(1)で表される構造を有する酸性リン酸モノエステル及び酸性リン酸ジエステルからなる酸性リン酸エステル混合物((A)成分)が、組成物全量基準で0.12〜0.5質量%含まれる。
R1又はR2で表される直鎖脂肪炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよく、炭素数1〜30の直鎖アルキル基又は炭素数2〜30の直鎖アルケニル基であることが好ましい。
R1又はR2で表される直鎖アルケニル基の好適な例としては、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、オレイル基等が挙げられる。
(A)成分における酸性リン酸モノエステル(x)と酸性リン酸ジエステル(y)との混合比(x/y)は、摩擦特性の観点から、モル比で、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、30/70〜70/30がさらに好ましい。
酸性リン酸ジエステルの一分子中に存在する2つの直鎖脂肪族炭化水素基は、同一の直鎖脂肪族炭化水素基である。即ち、(A)成分である酸性リン酸エステル混合物においては、1種類又は2種類以上の酸性リン酸ジエステルが含まれ得るが、一分子の酸性リン酸ジエステルにおけるR1及びR2は同一の直鎖脂肪族炭化水素基である。
本態様の例としては、オクチル酸性リン酸エステルのモノ及びジエステルの混合物、オレイル酸性リン酸エステルのモノ及びジエステルの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
本態様の例としては、オクチル酸性リン酸エステルのモノ及びジエステルの混合物とオレイル酸性リン酸エステルのモノ及びジエステルの混合物との併用態様などが挙げられるが、これに限定されない。
本態様の例としては、オクチル酸性リン酸エステルのモノエステルとオレイル酸性リン酸ジエステルとの混合物、オレイル酸性リン酸エステルのモノエステルとオクチル酸性リン酸ジエステルとの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の滑り案内面用潤滑油組成物中には、分岐鎖脂肪族モノアミン((B)成分)が、組成物全量基準で0.015〜0.09質量%含まれる。
(B)成分としては、R3及びR4が各々独立に炭素数3〜22の分岐鎖アルキル基であり、R5が水素原子である脂肪族モノアミンであることが好ましく、コストの観点から、R3及びR4がいずれもが炭素数3〜22の分岐鎖アルキル基から選択された同一の分岐鎖アルキル基である2級モノアミンであることが好ましい。
酸性リン酸エステル混合物が、前述の(1)の態様である場合、モル(A)は、酸性リン酸エステル混合物の含有量を、混合物に含まれる酸性リン酸モノエステル及び酸性リン酸ジエステルの平均分子量で除し、算出される。
酸性リン酸エステル混合物が、前述の(2)の態様である場合(即ち、R1及びR2が同一である酸性リン酸エステル混合物が2種類以上含まれる場合)、モル(A)は、各酸性リン酸エステル混合物のモルの和として算出される。
酸性リン酸エステル混合物が、前述の(3)の態様である場合、モル(A)は、混合物に含まれる1種の酸性リン酸モノエステルの含有量を、対応する酸性リン酸モノエステルの分子量で除したものと、混合物中に含まれる1種の酸性リン酸ジエステルの含有量を、対応する酸性リン酸ジエステルの分子量で除したもの、のそれぞれ1種又は2種以上の和として算出される。
分岐鎖脂肪族モノアミンのモル(B)は、分岐鎖脂肪族モノアミンの含有量を、分岐鎖脂肪族モノアミンの分子量で除し、算出される。よって、酸性リン酸エステル混合物と分岐鎖脂肪族モノアミンとのモル比(A/B)は、酸性リン酸エステル混合物のモル(A)を分岐鎖脂肪族モノアミンのモル(B)で除し、算出される。
2種以上の分岐鎖脂肪族モノアミンが含まれる場合、モル(B)は、各岐鎖脂肪族モノアミンのモルの和として算出される。
本発明の滑り案内面用潤滑油組成物中には、硫黄化合物(以下、「(C)成分」という場合がある。)を含有することもできる。このような硫黄化合物としては、炭化水素硫化物、硫化油脂等が挙げられる。
上記炭化水素硫化物としては、下記の一般式(3)又は一般式(4)で表される炭化水素硫化物が挙げられる。
また、一般式(3)中、R6及びR8で表される1価の炭化水素基の一方は、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基などの官能基を更に有する1価炭化水素基であってもよい。
R6又はR8で表される1価の炭化水素基の具体例としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ノニル基、ドデシル基、プロペニル基、ブテニル基、フェニル基、トリル基、ヘキシルフェニル基、ベンジル基などが挙げられる。
R7、R9又はR10で表される2価の炭化水素基の具体例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基などが挙げられる。
ここで、油脂としては、ラード、牛脂、鯨油、パーム油、ヤシ油、ナタネ油などの動植物油脂が挙げられる。
本発明の滑り案内面用潤滑油組成物中の(C)成分の含有量は、摩擦特性の観点から、組成物全量に対し、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.2〜5質量%である。
本発明の滑り案内面用潤滑油組成物には、さらに各種性能を高める目的で、さらに公知の潤滑油添加剤を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
かかる添加剤としては、脂肪酸、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール誘導体などの金属不活性化剤、スチレンーブタジエン水添加重合体、エチレンプロピレン重合体、ポリイソブチレン、ポリメタクリレートなどの流動点降下剤、ポリアクリレート、ポリジメチルシロキサンなどの消泡剤、エチレンオキシドープロピレンオキシド供重合体などの抗乳化剤、アルケニルコハク酸ハーフエステルなどの錆止め剤などが挙げられる。
・(A)成分1(オクチル酸性リン酸モノエステルとオクチル酸性リン酸ジエステルとの混合物、混合モル比(60〜50/40〜50)
・(A)成分2(オレイル酸性リン酸モノエステルとオレイル酸性リン酸ジエステルとの混合物、混合モル比(60〜50/40〜50)
・(B)成分1(2−エチルヘキシルアミン)
・(B)成分2(ジ2−エチルヘキシルアミン)
・(C)成分(硫化エステル、前掲の一般式(3)で表される炭化水素硫化物に包含される。)
図1は、摩擦特性試験に用いた摩擦係数測定システムを示す概略構成図である。測定は、NC制御装置10によって、制御され、自動運転される。測定試験において生じた摩擦力は、ひずみゲージを使用し構成された潤滑性能評価装置20によって検出され、A/D変換機30を介し、PC(パーソナルコンピュータ)40に出力され、PC40に測定値が記録される。
図2に示すように、潤滑性能評価装置20は、基台(可動ベース1aと固定ベース1b及び1cと支柱a及びbとから構成される。)と、基台に固定されたサーボモータ2と、一端でサーボモータ2の回転が伝達され、他端に上部試験片Aを保持する回転体3aを取り付けた軸3と、軸3に取り付けたカップリング4と、上部試験試片Aの摩擦面と対向する位置で基台に対し昇降可能に設けられた可動ベース1aに設けられ摩擦面が上部試験片Aの摩擦面と対向する下部試験片Bと、上部試験片A及び下部試験片Bの間に潤滑油組成物(即ち、評価用サンプル)を供給する給油管5及び排出する排油管6と、上部試験片Aと下部試験片Bとを接触させた状態でサーボモータ4を回転させたときに試験片A及びB間に発生した摩擦力を検出する動力計7とからなる。
潤滑油組成物(評価用サンプル)は、ポンプ(不図示)によって下部試験片Bの下部より供給され、試験片中央部分から摩擦面へ送られる構造となっている。
上部試験片A及び下部試験片Bは、面−面接触をしながら回転し、発生した摩擦力は、ひずみゲージによって構成した動力計7によって摩擦トルクとして検出される。
評価は、実施例及び比較例の各潤滑油組成物について、ならし運転8もしくは16時間時、摺動速度0.01μm/s時の動摩擦係数を測定することにより行なった。
潤滑油基油に(A)成分である酸性リン酸エステル混合物及び(B)成分である分岐鎖脂肪族モノアミンを特定含有率(質量%)かつ特定モル比(以下、A/B比と称する。)で含有する、実施例1〜5の潤滑油組成物は、いずれも低湿度及び高湿度における摩擦特性に優れており、加工環境の湿度変化の影響が少ない滑り案内面用潤滑油として最適であることがわかる。
一方、(B)成分である分岐鎖脂肪族モノアミンを含有しない比較例1は、高湿度における摩擦特性が劣ることがわかる。
また、(B)成分である分岐鎖脂肪族モノアミンの含有量が、本発明における下限値である0.015質量%よりも低く、かつA/B比が6.5を超える比較例2においては、高湿度における摩擦特性が劣ることがわかる。
また、(B)成分である分岐鎖脂肪族モノアミンの含有量が、本発明における上限値である0.09質量%よりも僅かに高く、かつA/B比が1.0よりも小さい比較例3においては、低湿度、高湿度における摩擦特性が劣ることがわかる。
また、(A)成分である酸性リン酸エステル混合物及び(B)成分である分岐鎖脂肪族モノアミンの含有量がいずれも、本発明における上限値よりも高い比較例4においては、低湿度、高湿度における摩擦特性が劣ることがわかる。
また、(A)成分である酸性リン酸エステル混合物の含有量が、本発明における下限値である0.12質量%より低く、かつA/B比が1.0よりも小さい比較例5においては、低湿度及び高湿度のいずれにおいても摩擦特性が劣ることがわかる。
また、A/B比のみが1.0よりも小さく本発明の範囲外である比較例6においては、低湿度及び高湿度のいずれにおいても摩擦特性が劣ることがわかる。
20 潤滑性能評価装置
30 A/D変換機
40 PC(パーソナルコンピュータ)
1a 可動ベース、
1b、1c 固定ベース
a、b 支柱
2 サーボモータ
A 上部試験片
B 下部試験片
3 軸
3a 回転体3a
4 カップリング
5 給油管
6 排油管
7 動力計
Claims (2)
- 潤滑油基油と、組成物全量基準で0.12〜0.5質量%の下記一般式(1)で表される構造を有する酸性リン酸モノエステル及び酸性リン酸ジエステルからなる酸性リン酸エステル混合物と、組成物全量基準で0.015〜0.09質量%の分岐鎖脂肪族モノアミンとを含有し、組成物中における前記酸性リン酸エステル混合物(A)と前記分岐鎖脂肪族モノアミン(B)とのモル比(A/B)が1.0〜6.5である、滑り案内面用潤滑油組成物。
一般式(1)中、R1及びR2は、水素原子又は炭素数1〜30の飽和若しくは不飽和の直鎖脂肪族炭化水素基を表し、R1及びR2が同時に水素原子となることはない。 - さらに、組成物全量基準で0.1〜15質量%の硫黄化合物を含有する請求項1に記載の滑り案内面用潤滑油組成物。
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