以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
(形状計測装置の説明)
図1は、本発明の第1実施形態に係る形状計測装置を示す模式図である。第1実施形態では、被検物は、開角の大きい(例えば30°以上)、回転対称性を持つ非球面の表面を有する光学素子である被検レンズ(レンズ)12である。
被検レンズ12は、不図示の成形装置により成形される成形工程を経た後、図1に示す形状計測装置100により被検面12aの形状を計測し、計測結果を用いて被検レンズ12の検査を行う検査工程を経る製造方法にて製造される。この検査工程では、人又はコンピュータが、計測結果に基づいて、被検レンズ12の良否を判定する。また、その後には、計測結果に基づいて不図示の研磨装置により被検面12aを修正研磨する修正研磨工程を設けても良い。
図1に示す被検レンズ12は、非球面軸12bに対して対称な設計形状z’0(x’,y’)に基づく凸非球面である被検面12aを有する。形状計測装置100は、被検レンズ12の被検面12aの形状z’s(x’,y’)を計測する。ここで、非球面軸12bに対して直交する方向をx’、y’方向としており、非球面軸12bの位置はx’=y’=0である。また、非球面軸12bに対して平行な方向をz’方向としており、z’0やz’sは、z’方向の位置を表している。被検面12aを計測する際には、基準面11aが形成された基準物である基準レンズ11を基準として用いる。被検面12aの基準とするため、基準面11aは被検面12aの設計形状z’0(x’,y’)に基づいて形成されている。
形状計測装置100は、光源1、レンズ4,5、ステージ装置7、ステージコントローラー(以下、単に「コントローラー」という)7a、ハーフミラー8、検出面を有する検出部9、処理部(制御部)10及び測長器15を備える。
レンズ4は、光源1の照明光によって基準面11a又は被検面12aを照明するための光学系を構成する。また、レンズ4,5及びハーフミラー8は、被検レンズ12の被検面12aからの反射光を検出部9に導く光学系14を構成する。
ステージ装置7は、コントローラー7aからの指令に基づき、基準レンズ11(基準面11a)や被検レンズ12(被検面12a)を、図1に定義したxyzθxθyθzの6軸方向に駆動させることができる。
処理部10は、コントローラー7aに、ステージ装置7に出力する指令を生成するための制御を行う。即ち、処理部10は、コントローラー7aを介してステージ装置7の駆動(動作)を制御する。
ステージ装置7は、基準レンズ11や被検レンズ12を保持する保持台705、xyz方向に駆動するxyzステージ701、θx方向に駆動するステージ702、θy方向に駆動するステージ703、及び回転ステージ704から構成される。
回転ステージ704は、直進の3軸方向及び回転の3軸方向からなる6軸方向のうち、設置された被検レンズ12(又は基準レンズ11)を駆動方向である回転軸704aを中心とする回転方向に走査させる第1ステージである。また、ステージ701〜703は、回転ステージ704の駆動方向とは異なる方向、即ち、残りの5軸方向に被検レンズ12(又は基準レンズ11)を移動させる第2ステージである。
具体的に説明すると、回転ステージ704は、回転軸704aを中心に回転するステージで、ステージ703上に設置されている。ステージ702とステージ703が傾斜していないときには、回転軸704aはz軸に平行に配置され、回転ステージ704は基準レンズ11や被検レンズ12をθz方向に駆動させることとなる。保持台705は、基準レンズ11の側面や被検レンズ12の側面を突き当てるピン(不図示)、目印としてのけがき線(不図示)などの位置決め機構を備える。これにより、保持台705は、非球面軸12bや非球面軸11bが回転軸704aとなるべく一致した状態で被検レンズ12や基準レンズ11を保持できる。なお、このようなステージ構成は一形態であり、基準面11aや被検面12aをxyzθxθyθz方向の6軸方向に駆動できる形態であれば、これに限定するものではない。
光源1は、例えば単色のレーザーであるが、発光ダイオードなどでもよい。光源1は、測定光である照明光を出力するものである。光源1からの照明光は、シングルモードファイバー1aを介してファイバーコネクタ1bから、測定光軸13に対して軸対称な球面波として出射され、ハーフミラー8を通過し、レンズ4を透過して測定光軸13に対して軸対称な収束光となる。この収束光は、基準面11a又は被検面12aで反射される。基準面11a又は被検面12aで反射した反射光は、レンズ4を透過し、ハーフミラー8で反射されてレンズ5でおおよそ平行な光に変換され、検出部9に入射する。この時、基準面11a又は被検面12aの反射光はレンズ4,5及びハーフミラー8で検出部9に結像されている。これらの素子4,5,8により結像光学系14が構成されている。検出部9及び結像光学系14は、基準面11a又は被検面12aからの反射光の波面を計測する手段となる。
レンズ4と被検レンズ12との距離は、レンズ4からの光が被検面12aにおける近軸領域の曲率中心近傍に収束するように設定する。ただし、被検面12aで反射される光の角度は、被検面12aの非球面量(球面からの偏差)や形状誤差に依存する。したがって、被検面12aの非球面量が大きい場合には、被検面12aで反射される光の角度は被検面12aに入射する光の角度と大きく異なる角度となる。
測長器15は、通常、基準面11aや被検面12aへの入射光やこれらからの反射光をさえぎることのない位置に設置されているが、被検面12aのz方向の位置を計測する際には被検面12aとレンズ4の間に挿入される。挿入後には、被検面12aと測定光軸13とが交わる点の、z方向の位置を計測することとなる。測長器15の形態としては、例えば三角測量の原理を用いたものでもよいし、白色干渉計やレーザー測長器など他の形態のものでもよい。
検出部9は、波面センサ、例えばシャックハルトマンセンサで構成されている。シャックハルトマンセンサは、デジタルデータ処理との相性がよく、簡単且つ安価に検出部9を構成することができる。シャックハルトマンセンサによる検出部9は、多数の微小集光レンズ6をマトリックス状に配列したマイクロレンズアレイ2と、2次元光センサ、例えばCCDセンサなどから成る受光センサ3とで構成される。検出部9に入射した光は、マイクロレンズアレイ2を透過する際に微小集光レンズ6ごとに分割され、受光センサ3に集光される。検出部9の検出面を構成する受光センサ3に入射する光線の角度の分布は、微小集光レンズ6で集光されるスポットの位置と微小集光レンズ6の各光軸位置との差を検出することで求めることができる。微小集光レンズ6の各光軸位置については、例えば平行光を入射したときのスポット位置を計測するなどして、予め校正しておく。
一般に光の波面とは、光を電磁波として考えたときの等位相面であり、シャックハルトマンセンサで得られる光線角度分布を2次元積分して得られるものである。但し、等位相面の法線が光線であり、等位相面と光線角度分布は一対一に対応する。したがって、検出部9の受光センサ3に入射される光線角度分布を検出することは、等位相面を検出することと等価であり、波面を検出することと等価と考えることができる。
また、波面センサからなる検出部9の検出面は、結像光学系14によって形成される結像面に配置される。すなわち、検出部9の検出面と被検面12aは、互いに共役な位置関係となる。検出部9の検出面上では、測定光軸13と被検面12a又は基準面11aの交点と共役な位置を原点とし、図1の様な(ξ,η)座標系を定義する。なお、検出部9は、シャックハルトマンセンサに限定されるものではなく、波面又は光線角度分布を検出することができるセンサであれば検出部9として用いることができる。例えば、検出部9は、回折格子とCCDセンサを用いたシアリング干渉計やタルボ干渉計であってもよい。また、検出部9を単なる受光センサとし、レンズ4と被検レンズ12の間に参照面を備えてフィゾー型干渉計を構成することで、被検面12aの反射光の波面を干渉縞として検出するようにしてもよい。
制御部である処理部10は、コンピュータで構成されており、CPU501、ROM502及びRAM503などのメモリ、並びにフレームグラバー506を備えている。ROM502には、プログラム508が格納されている。フレームグラバー506は、検出部9の受光センサ3の出力信号を入力して画像データを構成してCPU501に出力する。また、CPU501は、コントローラー7aに対して基準レンズ11又は被検レンズ12の位置制御情報を出力する。
また、処理部10のCPU501は、検出部9での検出結果に基づいて、被検面12aの面形状を求めるための処理(計測処理)、即ち形状計測方法の各工程を、プログラム508に従って実行する。計測処理を行うためには、ファイバーコネクタ1bの配置と、検出部9の配置と、結像光学系14を構成するレンズ4,5及びハーフミラー8の形状と配置に関する情報が必要となる。これらのデータは例えばROM502(又はRAM503)の所定領域に格納しておく。さらに、処理部10は、例えばIEEE802.3規格のネットワークインターフェースなどから構成される通信部504を有する。CPU501は、例えば後述の被検面12aの形状計測結果、又はそれに基づく被検レンズ12の評価結果を、通信部504を介して形状計測装置100が設置された製造プラントの他の機器に送信することができる。
なお、第1実施形態では、コンピュータ読み取り可能な記録媒体がROM502であり、ROM502にプログラム508が格納される場合について説明するが、これに限定するものではない。プログラム508は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であれば、いかなる記録媒体に記録されていてもよい。例えば、プログラム508を供給するための記録媒体としては、RAM503や、不図示の記録ディスク、不図示の外部記憶装置等を用いてもよい。具体例を挙げて説明すると、記録媒体として、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性メモリ等を用いることができる。
基準レンズ11は、被検レンズ12と同じ設計値で同一の設計形状を有するよう製作されたレンズである。基準レンズ11上に形成された基準面11aは、予め形状計測装置100と異なる他の計測装置、例えばプローブ式の計測装置などで高精度に計測しておく。計測した基準面11aの形状データz’b(x’,y’)は、ROM502(又はRAM503)に格納しておく。
(スティッチング計測の概要と部分領域の配置についての説明)
第1実施形態における被検面12aは、大開角のレンズ12上に形成された凸の非球面である。
仮に、この面形状を一括で計測するためには、大開角の収束光で被検面の全面を照明する必要がある。ところが、この場合には被検面と検出部の共役関係を保つことが難しくなり、計測できる非球面の非球面量が制限される。また、被検面に投光するためのレンズ(例えばレンズ4)に面積の大きなものを用いる必要が生じ、装置コストが増大する。
そこで第1実施形態では、レンズ4の面積とパワーを抑制することで被検面12aに照射される収束光(測定光)の開角を抑制し、測定光を照射する照射面積は被検面12aの面積より小さくする。即ち、被検面12aの面積は、光源1からの測定光の照射面積よりも大きい。
計測時には、処理部10のCPU501は、ステージ装置7を制御することで、被検レンズ12をステージ装置7で走査しながら被検面12aの複数の部分領域に順次測定光を照射し、それぞれの部分領域からの反射光の波面を検出部9から取得する。CPU501は、各部分領域からの反射光の波面のデータから部分形状データを算出し、各部分形状データを繋ぎ合わせることで被検面12a全面の形状データを形成する。第1実施形態では、一括で照明される部分領域の半径が、被検面12aの半径の2/3程度の場合について示す。
図2(a)は、第1実施形態における被検レンズの被検面上での部分領域の配置を示す説明図である。ここでは、非球面軸12bを中心として、半径r0が被検面12aの半径の半分程度である円12cを考える。各部分領域SA1〜SA8の中心P1〜P8を円12c上に配置し、かつ各部分領域SA1〜SA8を非球面軸12b中心に45°ずつ回転した位置に配置している。各部分領域SA1〜SA8を計測する際には、各部分領域SA1〜SA8の中心P1〜P8が測定光軸13と一致することとなる。
即ち、測定光軸13が各部分領域SA1〜SA8の中心P1〜P8を通過するような被検面12aの軌道(理想軌道)が予め処理部10(ROM502又はRAM503)に設定されている。具体的には、被検面12aの軌道として、測定光軸13が各部分領域SA1〜SA8の中心P1〜P8と一致するときの被検面12aの設計上の理想の位置(設計位置)のデータが、ROM502又はRAM503に予め格納されている。図2(a)に示すような部分領域SA1〜SA8の配置であれば、それぞれの部分形状データを繋ぎ合わせることで被検面12a全面の形状データを得ることができる。
また、部分領域SA1〜SA8は、被検面12aの軌道に沿うよう被検面12aの対称軸である非球面軸12bまわりのθ’z方向に沿って配置されている。回転ステージ704の回転軸704aは、被検面12aの対称軸である非球面軸12bとおおよそ一致している。したがって、回転ステージ704を駆動することで、被検面12aをほぼ非球面軸12bを中心に回転させ、測定光軸13と非球面軸12bとの関係をおおよそ保ちつつ測定する部分領域を切り替えることが可能となる。
図2(b)は、第1実施形態における基準レンズの基準面上での部分領域の配置を示す説明図である。被検面12aの部分領域SA1〜SA8での設計形状は共通なので、それぞれの形状を計測する時に発生する系統誤差も共通となる。その結果、この系統誤差の補正に必要となる基準面11aからの反射光の波面計測は、円12cの半径だけ非球面軸12bから離れた点Psを中心とする部分領域SAsからの反射光についての1回だけで済む。基準面11aを計測する際には、部分領域の中心Psが測定光軸13と一致することとなる。
第1実施形態では、8つの部分領域SA1〜SA8の形状データを繋ぎ合わせる場合について示すが、部分領域の数はこれに限定されない。計測精度を向上したい場合には部分領域の数を増やせばよいし、計測時間を短縮したい場合には部分領域の数を減らせばよい。
(パート単位での計測手順の説明)
図3は、本発明の第1実施形態に係る形状計測方法を示すフローチャートである。CPU501は、プログラム508を読み出して、形状計測方法の各工程を実行する。形状計測方法は、大きく分けて、系統誤差を計測するパートS331、非球面軸12bと回転軸704aとのずれを計測するパートS332、被検面12aの形状を計測するパートS333の3つの工程からなる。まずは、図3のフローチャートに従い、第1実施形態における計測手順をパート単位で説明する。
パートS331では、CPU501は、形状が既知の基準面11aからの反射光の波面を検出部9で検出し、検出結果から形状計測装置100の系統誤差のデータを算出する。この系統誤差は、結像光学系14の収差や、検出部9の誤差を含んでいる。即ち、系統誤差は、検出部9の検出結果に含まれている。なお、パートS331は、新たな被検レンズを計測する度に必ずしも毎回実施する必要はなく、系統誤差の変動周期に合わせて定期的に行っても良い。
パートS332では、CPU501は、非球面軸12bと回転軸704aとの軸ずれ量を計測する。このパートS332では、CPU501は、回転ステージ704を回転させながら複数の位置(少なくとも2つの位置)で被検面12aからの反射光の波面をそれぞれ計測し、これらの波面から軸ずれ量(軸ずれの大きさ)を算出する。
パートS333では、CPU501は、被検面12aからの反射光の波面を検出部9で検出し、パートS331で取得した系統誤差データを用いて、系統誤差が補正された被検面の形状データを算出する。
ここで、系統誤差が正しく補正されるためには、パートS331で基準面11aからの反射光が通過した光路を、被検面12aの反射光が通過している必要がある。そのためには、全ての部分領域の形状計測において、被検面12aが、系統誤差計測工程(S331)での基準面11aと同じ位置に配置されている必要がある。ところが、保持台705の位置決め機構のずれやレンズ12の外形の中心と非球面軸12bの不一致などにより、非球面軸12bと回転軸704aには、位置にして数十〜数百μm、角度にして数百μradのずれが発生する。このずれがあると、例えパートS331での基準面11aと同じ位置に被検面12aを一旦配置しても、その後回転ステージ704を回転して測定領域を切り替えた時に非球面軸12bが移動し、被検面12aがずれて配置されることとなる。
そのため、パートS333では、CPU501は、回転ステージ704を回転して測定領域を切り替えるごとに、被検面12aの配置誤差を修正するようにステージ701〜703を駆動する。すなわち、被検面12aをアライメントする。
ここで、被検面12aをアライメントするためには、被検面12aの軌道に対する配置誤差を定量的に求める必要がある。
特許文献1には、被検面の配置誤差を求める技術として、反射光の波面計測によってxyθxθy方向の配置誤差を求める技術と、測長器でz方向の配置誤差を計測する技術が公開されている。ところが、このような配置誤差計測を各部分領域SA1〜SA8の形状計測ごとに実施すると、多大な時間を要する。
配置誤差の主要因は、非球面軸12bと回転軸704aとの軸ずれであると考えられる。したがって、この軸ずれ量が分かれば、回転ステージ704を回転させた後の被検面12aの配置誤差を、直接計測せずとも推測できる。
パートS333では、CPU501は、算出した軸ずれ量(軸ずれの大きさ)から、回転ステージ704を回転させた後の配置誤差を推測し、この推測結果に基づいて被検面12aのアライメントを行う。この方法であれば、被検面12aの位置を部分領域の形状計測ごとに毎回計測する、即ち全ての部分領域SA1〜SA8について配置誤差を実測する必要がないため、短時間で被検面12aの形状を全面に亘って取得することができる。
(パートS331の計測手順についての、ステップ単位での説明)
図4は、パートS331の系統誤差の計測の手順を示すフローチャートである。以下、図4のフローチャートに従い、第1実施形態の計測手順をステップ単位で詳細に説明する。
まず、作業者が、基準レンズ11を保持台705に設置する(S301)。この作業は、不図示のロボットハンドを用いて自動で行っても良い。この時、理想的な配置は、部分領域SAsが検出部9の共役面上に、測定光軸13に対して垂直になるように配置され、その中心Psが測定光軸13と一致している状態である。
より具体的には、基準面11aと非球面軸11bとの交点が測定光軸13に対してx方向に−r0ずれた位置にあり、非球面軸11bが測定光軸13に対してθy方向に式(1)で表現されるΘだけ傾斜した状態である。以下、この状態を、基準面11aを「設計位置」へ配置した状態と称する。
そのため、基準面11aの非球面軸11bが測定光軸13に対してθ
y方向にΘだけおおよそ傾斜し、θ
x方向に傾斜角度がおおよそ0となるよう、ステージ703,702をそれぞれ駆動する。部分領域SAsの中心Psが測定光軸13におおよそ一致し、検出部9の共役面上におおよそ配置されるよう、ステージ701で基準レンズ11をxyz方向に駆動する。
ところが、このような方法では、基準面11aは機械精度でしか設置されず、設計位置に対し、xyz方向にして数十〜数百μm、角度にして数百μrad程度の配置誤差が発生する。
そこで、CPU501は、検出部9で検出した基準面11aからの反射光の波面のデータを検出部9から取得し、その波面のデータから、基準面11aの設計位置に対する配置誤差を計測(実測)する(S302:誤差計測工程)。
具体的にはCPU501は、まず、基準面11aを設計位置に配置した場合について、そこからの反射光が検出部9で形成する等位相面w0(ξ,η)を計算する。このときCPU501は、ROM502(又はRAM503)に格納されているファイバーコネクタ1b、結像光学系14、基準面11a、検出部9の情報に基づいてファイバーコネクタ1bから検出部9まで光線追跡を行い、検出部9での等位相面を計算する。ここでの基準面11aの情報としては、基準面11aの設計形状データz’0と、設計位置のデータを用いる。但し、基準面11aの形状データとしては、上述の、他の計測装置などで計測した形状データz’bを用いても良い。
次に基準面11aの配置がx,y,z,θx,θy方向へ単位量変化した時の、検出部9における反射光波面のそれぞれの変化Δwx(ξ,η),Δwy(ξ,η),Δwz(ξ,η),Δwθx(ξ,η),Δwθy(ξ,η)を、同じく光線追跡で算出する。第1実施形態では、基準面11aをθx,θy方向へ移動させる際の回転中心を、測定光軸13と、設計位置に配置された基準面11aの交点を中心に設定した上で、光線追跡を行う場合について述べるが、回転中心はこれと異なる位置に設定しても良い。上記の波面データw,Δwx,Δwy,Δwz,Δwθx,Δwθyの計算は、計測を開始する前に予め行っておいてもよく、その際には算出した波面データを処理部10のROM502(又はRAM503)に格納しておく。さらに、基準面からの反射光の等位相面w’(ξ,η)を検出部9で検出する。その後、CPU501は、式(2)で定義されるΔbが最小となるような配置誤差Δxb,Δyb,Δzb,Δθx,b,Δθy,bを算出する。ここで、配置誤差Δxb,Δybはそれぞれx、y方向の誤差であり、測定光の進行方向に垂直な方向の誤差に相当する。配置誤差Δzbはz方向の誤差であり、測定光の進行方向に平行な誤差に相当する。配置誤差Δθx,b,Δθy,bはそれぞれθx、θy方向の誤差であり、被検面12aの非球面軸12bの傾き誤差に相当する。
なお、配置誤差Δz
bについては、レンズ4と被検面12aの間に測長器15を挿入して計測しても良い。また、基準面11aを単位量移動する前後での波面の変化を実測し、これをΔw
x,Δw
y,Δw
z,Δw
θx,Δw
θyとしても良い。
CPU501は、ステップS302で算出した配置誤差を相殺するよう、配置誤差の分だけステージ701〜703を駆動する(S303)。この時、θx、θy方向にそれぞれΔθx,b,Δθy,b傾斜させる際には、ステップS301でΔwθx,Δwθyを算出した際の設定と同じく、測定光軸13と基準面11aの交点を回転中心とする必要がある。ところが、ステージ702とステージ703の回転中心がこれに一致しているとは限らない。両者がずれている状態でステージ702とステージ703を駆動させると、基準面11aは、θx,θy方向にそれぞれΔθx,b,Δθy,b傾斜するのに加え、xyz方向に余計な移動を示すこととなる。そこでステージ701は、xyz方向にそれぞれΔxb,Δyb,Δzb駆動させるのに加え、上記回転中心のずれによる余計な移動を補正する駆動を行う。その上で、ステージ702とステージ703を、θx,θy方向にそれぞれΔθx,b,Δθy,b傾斜する。これらのステージ駆動により、基準面11aは設計位置に配置されることとなる。即ち、CPU501は、ステップS302で求めた配置誤差を相殺する位置にステージ701〜703を制御して、基準面11aをアライメントする(基準面アライメント工程)。
次に、CPU501は、ステップS303の後、検出部9で検出した基準面11aからの反射光の波面に基づいて形状データを求め、この形状データと他の装置で取得した形状データとの差を取ることにより系統誤差を求める(S304:系統誤差算出工程)。
即ち、CPU501は、ステップS304では、まず、基準面11aの部分領域SAsからの反射光について、検出部9での光線角度分布を検出する。次に、CPU501は、この光線角度分布から逆方向に光線追跡を行い、基準面反射直後の光線について、z’方向を基準としたx’方向への傾斜の分布sx,out(x’,y’)とy’方向への傾斜の分布sy,out(x’,y’)を算出する。さらに、CPU501は、式(3)で基準面11aの傾斜分布(dz’’b(x’,y’)/dx’、dz’’b(x’,y’)/dy’)を算出する。
ここで、s
x,in(x’,y’)とs
y,in(x’,y’)はそれぞれ、基準面11aへの入射光線についての、z’方向を基準としたx’,y’方向への傾斜の分布である。これらの値は、予めレンズ4の形状や配置に基づいて計算し、ROM502(又はRAM503)に格納しておく。その後、CPU501は、基準面の傾斜角分布(dz’’
b(x’,y’)/dx’、dz’’
b(x’,y’)/dy’)を2次元に亘って積分し、基準面11aの形状データz’’
b(x’,y’)を算出する。この形状データには、基準面形状の情報に加えて形状計測装置100の系統誤差Δz’
sys(x’,y’)の情報が含まれている。したがって、CPU501は、式(4)で系統誤差の情報を抽出する。
以上により、系統誤差を計測するためのパートS331の処理が完了する。
(パートS332の計測手順についての、ステップ単位での説明)
図5は、パートS332の軸ずれの計測の手順を示すフローチャートである。以下、図5のフローチャートに従い、第1実施形態の計測手順をステップ単位で詳細に説明する。
作業者は、保持台705から基準レンズ11を退け、代わりに被検レンズ12を設置する(S305)。この作業は、不図示のロボットハンドを用いて自動で行っても良い。このとき、CPU501は、回転ステージ704を所定の回転位置に回転させて、被検面12aを移動させる(移動工程)。即ち、部分領域SA1〜SA8のそれぞれの反射光の波面を検出部9により検出する際に移動させる回転ステージ704の回転方向に沿う8つの計測位置のうちの1つの計測位置に回転ステージ704の位置を制御する。第1実施形態では、部分領域SA1の形状を計測する際の回転ステージ704の位置(計測位置)に制御する。その計測位置は0[rad]である。この時にも、基準レンズ11を設置したときと同様に、保持台705の位置決め機構を利用してなるべく設計位置に配置されるようにする。ところが、ステップS305が完了した時点では、上記の位置決め機構の誤差などにより、被検面12aが設計位置、すなわちステップS303で基準面11aを設置した位置と同じ位置に正しく配置されるとは限らない。
第1実施形態では、CPU501は、被検面12aの部分領域SA1の形状を計測する際の回転ステージ704の計測位置(0[rad])における被検面12aの軌道(設計位置)に対する配置誤差を実測する(S306:実測工程)。x,y,θx,θy方向の配置誤差Δxs,1,Δys,1,Δθx,s,1,Δθy,s,1については、被検面12aからの反射光を利用して検出する。すなわち、CPU501が、被検面12aからの反射光の等位相面w(ξ,η)を検出部9で計測し、式(5)でΔsを最小とする配置誤差Δxs,1,Δys,1,Δθx,s,1,Δθy,s,1を算出する。配置誤差Δxs,1,Δys,1は、測定光の進行方向に垂直な方向の誤差成分であり、配置誤差Δθx,s,1,Δθy,s,1は、被検面12aの非球面軸12bの傾き誤差成分である。
ここで、被検面12aの配置誤差を算出するのに用いた式(5)には、w
0、Δw
x、Δw
y、Δw
θx、Δw
θyが含まれている。これらのパラメータは、基準面11aの配置誤差の算出を目的として、基準面11aの設計形状z’
0に基づいて算出したデータであるが、被検面12aの設計形状は基準面11aの設計形状z’
0と共通である。したがって、被検面12aの配置誤差の算出にも適用することができる。
測定光の進行方向に平行な誤差成分である、z方向の配置誤差Δzs,1については、レンズ4と被検面12aとの間に測長器15を挿入して計測する。測長器15のゼロ点と設計位置との関係は、予め校正しておく。これにより、設計位置に対する現在の被検面12aのz方向のずれを、測長器15で検出することができる。
CPU501は、ステージ701〜703をx,y,z,θx,θy方向にそれぞれ−Δxs,1,−Δys,1,−Δzs,1,−Δθx,s,1,−Δθy,s,1だけ駆動させ、配置誤差を相殺する位置に被検レンズ12を移動させる。これにより被検面12aを設計位置に配置する(S307)。即ち、CPU501は、回転ステージ704を計測位置(0[rad])に制御した際に、計測位置(0)における被検面12aの配置誤差を相殺する位置に、ステージ701〜703を制御して、被検面12aをアライメントする(アライメント工程)。
次に、CPU501は、被検面12aの部分領域SA1での部分形状データz’s,1(x’,y’)を算出する(S308:部分形状データ算出工程)。このとき、CPU501は、ステップS304で算出した系統誤差のデータを用いて、系統誤差を含んだ部分形状データを補正して部分形状データz’s,1(x’,y’)を算出する。
次に、CPU501は、回転ステージ704をπ[rad]回転させ、被検面12aの部分領域SA2を照明する(S309:移動工程)。即ち、CPU501は、被検面12aの部分領域SA2の形状を計測する際の計測位置(π[rad])に回転ステージ704を制御して、被検面12aを移動させる。ステップS307の時点での回転ステージ704の方向をθz’=0とした時、このステップS309の時点での回転ステージ704の方向はθz’=πということになる。
この時、非球面軸12bと回転軸704aとが一致していれば、回転後も被検面12aに配置誤差が生じることはない。ところが、上述したように、両軸12b,704aにはずれがあるため、回転後には被検面12aに再び配置誤差が発生する。
CPU501は、ステップS306と同様の方法で、この時のx,y,θx,θy方向の配置誤差Δxs(θz’=π),Δys(θz’=π),Δθx,s(θz’=π),Δθy,s(θz’=π)を計測する(S310:実測工程)。
CPU501は、部分領域SA1を照明していた時の非球面軸12bと回転軸704aについて、x’,y’方向のずれδx,δyと、θ’x,θ’y方向の傾斜角度δθx,δθyを、式(6)に従って算出する(S311:推測工程)。
このように、θ
z’=0[rad]の状態からπ[rad]回転させて配置誤差を計測することにより、軸ずれ量の算出が式(6)のように簡略化でき、演算負荷が少なくなり、演算時間が短縮される。
式(6)では、ステップS310で計測したθz’=πでの配置誤差のみから軸ずれ量δx,δy,δθx,δθyを算出した。但しこの式は、θz’=0の時に、ステップS307で被検面12aを設計位置に配置したことを前提としている。被検面12aの設計位置への配置は、ステップS306で計測した配置誤差に基づいて行っている。
したがって、ステップS311では、軸ずれ量δx,δy,δθx,δθyを、ステップS310で計測したθz’=πでの配置誤差と、ステップS306で計測したθz’=0での配置誤差の両方に基づいて算出していることになる。
なお、本実施形態では、θz’=0で被検面12aの配置誤差を計測した後に、その分だけステージ701〜703を駆動するステップS307を実施するが、この工程は必ずしも必要ではない。ステップS307を実施しない場合には、軸ずれ量は、θz’=0での配置誤差とθz’=πでの配置誤差の平均値として求めれば良い。この場合には、ステップS307を簡略化できるため、計測時間を短縮することができる。更には、ステップS307を実施した上で、その後に再び被検面12aの配置誤差を計測し、この配置誤差とθz’=πでの配置誤差の平均値を軸ずれ量として求めても良い。この場合には、ステップS307の実施後の配置誤差も考慮して軸ずれ量を算出するため、より正確な軸ずれ量を取得することができる。
以上により、非球面軸12bと回転軸704aとのずれを計測するためのパートS332の処理が完了する。
(パートS333の計測手順についての、ステップ単位での説明)
図6は、パートS333の被検面の計測の手順を示すフローチャートである。以下、図6のフローチャートに従い、第1実施形態の計測手順をステップ単位で詳細に説明する。
CPU501は、被検面12aのz方向の配置誤差Δzs(π)を算出する(S312)。ステップS307で被検面12aを設計位置に配置した後に回転ステージ704を角度θ’z回転させたときの被検面12aの配置誤差を、Δxs(θ’z),Δys(θ’z),Δzs(θ’z),Δθx,s(θ’z),Δθy,s(θ’z)とする。これらは、式(6)の軸ずれ量を用いて、式(7)で表現される。
CPU501は、この式(7)にθ’
z=πを代入することにより、Δz
s(π)を算出する。
次に、CPU501は、ステージ701〜703を駆動させ、x,y,z,θx,θy方向にそれぞれ−Δxs(π),−Δys(π),−Δzs(π),−Δθx,s(π),−Δθy,s(π)だけ被検レンズ12を移動する。これにより被検面12aを設計位置に配置する(S313)。即ち、CPU501は、回転ステージ704を計測位置(π[rad])に制御した際に、計測位置(π)における被検面12aの配置誤差を相殺する位置に、ステージ701〜703を制御して、被検面12aをアライメントする(アライメント工程)。
次に、CPU501は、部分領域SA2の部分形状データz’s,2(x’,y’)を算出する(S314:部分形状データ算出工程)。具体的に説明すると、まず、被検面12aの部分領域SA2からの反射光の光線傾斜角分布を、波面として検出部9で検出する。次に、CPU501は、結像光学系14の情報に基づいて光線を逆方向に追跡し、被検面12a上での光線角度分布を算出する。さらに、CPU501は、この光線角度分布から式(3)と同様に被検面12aの傾斜分布(dz’’s,2(x’,y’)/dx’,dz’’s,2(x’,y’)/dy’)を算出し、これを2次元に亘って積分する。これにより、CPU501は、部分領域SA2の部分形状データz’’s,2(x’,y’)を算出する。この部分形状データには形状計測装置100の系統誤差が含まれているので、CPU501は、ステップS304で算出した系統誤差のデータを用いて式(8)で補正し、補正された部分形状データz’s,2(x’,y’)を算出する。
なお、第1実施形態では、ステップS304とS309において、基準面や被検面の座標系(x’,y’)で光線角度分布を取得し、その後同じく(x’,y’)座標系で形状データを算出したが、光線角度分布は装置座標系(x,y)で取得しても良い。この場合には、被検面の部分形状データも一旦(x,y)座標系で算出し、その後被検面の座標系(x’,y’)に変換すれば良い。
以降のステップS315〜S321では、被検面12aにおける各部分領域SA3〜SA8での部分形状データを計測する。
ここで、ステップS307が完了した時点で部分領域SA1が照明されており、かつ被検面12aは設計位置に配置されている。この直後に部分領域SA1の形状を計測しておけば、改めて回転ステージ704を回転させたりステージ701〜703を駆動して配置誤差を抑制したりする必要が無い、効率のよい手順となる。そこでステップS307の直後には、ステップS314と同様の手順で、部分領域SA1の補正された部分形状データz’s,1(x’,y’)を計測しておく。この工程が、上述のステップS308に相当する。すなわち、パートS332は、非球面軸12bと回転軸704aの軸ずれ量を計測することを目的として設けられた工程ではあるが、効率的な計測を実現するために、被検面12aにおける部分領域SA1の部分形状データを取得する工程も兼ねている。
再び、パートS333の計測工程の説明に戻る。ステップS314が完了した後は、CPU501は、図6のフローチャートに従い、残りの部分領域SA3〜SA8について、補正された部分形状データz’s,3(x’,y’)〜z’s,8(x’,y’)を計測する。
具体的には、CPU501は、カウント値を示す変数iを3に設定する(S315)。次に、CPU501は、回転ステージ704を回転制御して、所望の部分領域SAiを照明する(S316)。即ち、CPU501は、部分領域SAiの反射光の波面を検出部9により検出する際に移動させる計測位置に回転ステージ704を制御する。
次に、CPU501は、式(9)に従って配置誤差Δxs,i,Δys,i,Δzs,i,Δθx,s,i,Δθy,s,iを算出する(S317:推測工程)。即ち、CPU501は、複数(8つ)の計測位置のうち2つの計測位置(0,π[rad])以外の位置について、被検面12aの軌道に対するそれぞれの配置誤差を式(9)により推測する。配置誤差Δxs,i,Δys,iは、測定光の進行方向に垂直な方向の誤差成分である。配置誤差Δzs,iは、測定光の進行方向に平行な誤差成分である。配置誤差Δθx,s,i,Δθy,s,iは、被検面12aの非球面軸12bの傾き誤差成分である。
ここで、i=3,4,5,6,7,8であり、θ’
z,2=π,θ’
z,3=5π/4,θ’
z,4=3π/2,θ’
z,5=7π/4,θ’
z,6=π/4,θ’
z,7=π/2,θ’
z,8=3π/4である。Δx
s,Δy
s,Δz
s,Δθ
x,s,Δθ
y,sは、式(7)で求める。
CPU501は、ステージ701〜703を駆動させ、x,y,z,θx,θy方向にそれぞれ−Δxs,i,−Δys,i,−Δzs,i,−Δθx,s,i,−Δθy,s,iだけ被検レンズ12を移動し、被検面12aを設計位置に配置する(S318)。即ち、CPU501は、回転ステージ704を計測位置に制御した際に、その計測位置における被検面12aの配置誤差を相殺する位置に、ステージ701〜703を制御して、被検面12aをアライメントする(アライメント工程)。
CPU501は、ステップS314と同様の手順で、被検面12aの各部分領域について、補正された部分形状データz’s,i(x’,y’)を算出する(S319:部分形状データ算出工程)。
次に、CPU501は、変数iを1だけインクリメントし(S320)、変数iが9に達したか否かを判断する(S321)。判断の結果、変数iが9に達していない場合は、ステップS316の処理に戻り、変数iが9に達している場合は次のステップS322の処理に移行する。即ち、CPU501は、これらのステップS316〜S319の処理を、i=3〜8について繰り返す。
なお、ステップS316の前にステップS317を行い、ステップS316とステップS318とを同時に行ってもよい。この手順であれば、ステップS318に要する時間分だけ、計測時間を短縮することができる。
次にCPU501は、得られた部分形状データz’s,i(x’,y’)を繋ぎ合わせることにより、全面に亘る被検面12aの形状データz’s(x’,y’)を取得する(S322)。繋ぎ合わせる際には、例えば特開2013−160680号公報に記載の周知の方法を用いることで高精度に繋ぎ合わせることができる。以上によりパートS333が完了すると共に、全計測工程が完了する。
第1実施形態では、CPU501は、被検面12aにおける複数(8つ)の部分領域SA1〜SA8のそれぞれの形状を計測する際には、回転ステージ704を、駆動方向(回転方向)に沿う複数(8つ)の計測位置に移動させる。つまり、回転ステージ704を、回転軸704aまわりに0,π/4,π/2,3π/4,π,5π/4,3π/2,7π/4[rad]の8つの計測位置に制御する。
そして、ステップS305では、回転ステージ704を、部分領域SA1に対応する計測位置(第1の位置:0[rad])に制御している。また、ステップS309では、回転ステージ704を、部分領域SA2に対応する計測位置(第2の位置:π[rad])に制御している。つまり、回転ステージ704を、少なくとも2つの位置として、これら複数(8つ)の計測位置のうち2つの計測位置に制御して、被検面12aの配置誤差を計測している。
即ち、CPU501は、ステップS305,S309で、ステージ704を、複数(8つ)の計測位置のうち2つの計測位置(第1の位置及び第2の位置)に制御して、被検面12aを移動させている(移動工程)。第2の位置は、第1の位置に対して回転ステージ704の回転軸704aを中心に回転方向にπ[rad]回転させた位置である。
また、CPU501は、ステップS306,S310で、回転ステージ704が2つの計測位置にそれぞれ移動した状態で検出部9により検出された波面に基づいて、2つの計測位置におけるそれぞれの配置誤差を実測している。
また、CPU501は、ステップS311,S317で、ステップS306,S310にて実測した配置誤差に基づいて、複数の部分領域SA1〜SA8のうち部分領域SA1,SA2に対応する2つの計測位置以外の6つの計測位置での配置誤差を推測する。即ち、CPU501は、部分領域SA3〜SA8に対応する計測位置での配置誤差を式(9)を用いて推測する。特に、ステップS311では、CPU501は、2つの計測位置(0,π[rad])において実測した配置誤差に基づいて、回転ステージ704の回転軸704aに対する被検面12aの非球面軸12bの軸ずれ量を求めている。そして、ステップS317では、CPU501は、軸ずれ量に基づいて(つまり、式(9)を用いて)、6つの計測位置での軌道に対するそれぞれの配置誤差を求めている。
また、CPU501は、部分形状データの算出用に検出部9により部分領域SA1〜SA8それぞれの反射光の波面を検出するときの各検出の前に、ステップS305,S309,S316で、ステージ704を各計測位置に制御する。更に、CPU501は、ステップS307,S313,S318で、ステージ701〜703を、それぞれの計測位置における配置誤差を相殺する位置に制御して、被検面12aをアライメントする(アライメント工程)。
以上、第1実施形態では、被検面12aを回転ステージ704で駆動させたときに発生する所定の軌道からのずれ(配置誤差)を推測し、このずれを相殺するように被検面12aをステージ701〜703で駆動することで、被検面12aをアライメントする。そのため、アライメント精度を維持しつつ、アライメントのための配置誤差の計測回数を低減することができ、アライメントに要する時間も低減することができる。
また、第1実施形態では、回転ステージ704を、部分領域SA1,SA2の部分形状を計測する際の2つの計測位置に制御して、被検面12aの配置誤差を実測している。つまり、第1実施形態では、各計測位置での被検面12aの配置誤差を推定するために実測する回転ステージ704の位置を、部分領域SA1,SA2の部分形状を計測する際の2つの計測位置としている。
このように、第1実施形態では、各計測位置での被検面12aの配置誤差を推測するための実測データ取りが、部分領域SA1,SA2の部分形状を計測する際の2つの計測位置における配置誤差の実測を兼ねている。これにより、部分領域SA1,SA2の形状計測のために、2つの計測位置における配置誤差を推測する必要がなく、よりアライメントに要する時間を低減することができる。
(系統誤差の補正方法に関する他の例)
第1実施形態では、ステップS304で系統誤差データとしてΔz’sys(x’,y’)を算出し、ステップS308,S314,S319で式(4)に従って部分形状データを補正した。但し、補正の方法はこれに限らない。
例えば、ステップS304では、基準面の傾斜分布データ(dz’’b(x’,y’)/dx’,dz’’b(x’,y’)/dy’)を算出するに留める。一方ステップS308,S314,S319では、各部分領域SAiでの被検面の傾斜分布(dz’’s,i(x’,y’)/dx’,dz’’s,i(x’,y’)/dy’)を算出した後、被検面と基準面の形状差Δz’iの傾斜分布を式(10)で求める。
但し、i=1〜8である。その後、CPU501は、(dΔz’
i(x’,y’)/dx’,dΔz’
i(x’,y’)/dy’)を2次元に亘って積分して被検面と基準面の形状差Δz’
i(x’,y’)を取得する。CPU501は、被検面の各部分領域での補正された形状データz’
s,i(x’,y’)を式(11)で算出する。
この方法では、系統誤差を直接算出することはない。但し、基準面の傾斜分布データ(dz’’
b/dx’,dz’’
b/dy’)には系統誤差が含まれており、式(10),(11)ではこれを用いて被検面の傾斜分布データ(dz’’
s,i/dx’,dz’’
s,i/dy’)に含まれる系統誤差を補正している。すなわち、この方法では、基準面の傾斜分布データ(dz’’
b/dx’,dz’’
b/dy’)が系統誤差データに相当し、これを用いて被検面データに含まれる系統誤差を補正していることになる。
また、第1実施形態では、基準面11aについて予め他の計測装置で形状データz’bを取得し、これを用いて本装置の系統誤差を補正した。但し、設計形状z’0との差が十分小さい基準面11aを用いれば、z’0を用いて系統誤差を補正しても良い。その場合には、式(4)と式(11)にz’b=z’0を代入した上で、これらの式を適用することとなる。
(実施例)
第1実施形態に従って、実験を行った。図3〜図6のフローチャートでステップS313とステップS318を実施しなかった場合、すなわち部分領域SA1の計測前以外に被検面のアライメントを行わなかった場合を比較例とした。比較例では、xy方向に約300[μm]、z方向に約20[μm]、θxθy方向に約0.05[°]の配置誤差が発生した。これに対し、ステップS313とステップS318を行った場合の実施例では、配置誤差は、xy方向で6[μm]、z方向で2[μm]、θxθy方向で0.001[°]まで抑制された。
また、被検面全面の形状を取得するのに要した時間は、配置誤差の計測時間分だけ短縮された。この実験結果から、第1実施形態を実施することにより、アライメント精度を維持しつつ、アライメントのためのレンズ位置計測時間を低減できることが実証された。
なお、第1実施形態では、回転方向に沿う複数(8つ)の計測位置(0〜7π/4[rad])のうち、2つの計測位置(0,π[rad])における配置誤差を実測する場合について説明したが、これに限定するものではない。被検面12aの配置誤差を実測するのは、回転軸704aまわりの0〜2π[rad]のうちいずれの位置であってもよい。この際、回転ステージ704の計測位置における被検面12aの配置誤差を推測するには、少なくとも2つの位置における配置誤差の実測データが必要である。また、実測する数は、計測位置の数(8)よりも少なければよい。また、配置誤差を実測した回転ステージ704の位置が計測位置の場合は、その実測した位置における配置誤差を推測する必要はない。
[第2実施形態]
第1実施形態では、被検面の非球面軸12bと回転ステージの回転軸704aのずれから、回転後の被検面12aの配置誤差を推測し、これを相殺する様にステージ701〜703を駆動した。第1実施形態では、回転ステージ704が回転軸704aを中心とした同心円状の軌道に沿って回転することを前提としている。ところが実際には、回転ステージ704は、回転軸704aを中心とした同心円状の軌道に対し、有限の駆動誤差を持って回転する(回転ステージ704の駆動誤差)。この駆動誤差が被検面に許容される配置精度よりも大きい場合には、この手順だけで被検面を十分な精度でアライメントすることはできない。
そこで第2実施形態では、回転ステージ704の駆動誤差を事前に校正し、被検面の各部分形状データを取得する前に、この駆動誤差を相殺する様にステージ701〜703を駆動する。図7は、本発明の第2実施形態に係る形状計測の手順を示すフローチャートである。第1実施形態に対し、回転ステージ704の駆動誤差を校正するステップS831として追加する。系統誤差を計測するステップS832、および、軸ずれを計測するステップS833は、それぞれ第1実施形態のステップS331、および、ステップS332と同様に実施する。被検面の形状計測を行うステップS834では、第1実施形態のステップS333の手順内に、回転ステージ704の駆動誤差を相殺する様にステージ701〜703を駆動する工程を追加する。なお、第2実施形態の形状計測装置は、上記第1実施形態の形状計測装置100と同様の構成である。
ステップS831で回転ステージ704の駆動誤差を校正する際には、指標物として、基準物である基準レンズ11を回転ステージ704に設置する。その上で、回転ステージ704を回転させながら指標面である基準面11aの配置誤差(=指標物の位置)を計測し、回転角度と駆動誤差の関係を駆動誤差データとして求める。ここで、基準面11aの非球面軸11bと回転ステージ704の回転軸704aのずれに起因する配置誤差については、回転ステージ704の駆動誤差に相当するものではないので、駆動誤差データに含むべきではない。そのため、ステップS831において、この軸ずれをあらかじめ計測する工程(後述のステップS802〜S805)と、この軸ずれに起因する配置誤差を相殺する様にステージ701〜703を駆動する工程(後述のステップS807、S808)を実行する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る形状計測方法における、回転ステージ704を校正するステップS831の詳細手順を示すフローチャートである。
まずは、回転ステージ704をθ’z=0°とした上で、基準レンズ11を保持台705に設置する(ステップS801)。この時、理想的な配置である「設計位置」は、基準面11aの非球面軸11bが測定光軸13に一致し、測定光軸13上で検出部9の共役面と基準面11aの位置が一致している状態である。基準面11aがおおよその設計位置に配置される様、ステージ701〜703を駆動する。
とはいえ、この時点で基準面11aは、機械精度で設計位置に設置されているに過ぎない。そこでCPU501は、第1実施形態のステップS302,S303と同様に、設計位置に対する基準面11aの配置誤差を計測し、その分だけステージ701〜703を駆動する(ステップS802)。これにより、基準面11aの配置誤差を抑制する。
その後CPU501は、回転ステージ704を180°回転させ(ステップS803)、第1実施形態のステップS302と同様の手順で基準面11aの配置誤差を計測する(ステップS804)。さらに、CPU501は、式(6)に従って、非球面軸11bと回転ステージ704の回転軸704aのずれ量を算出する(ステップS805)。
次にCPU501は、回転ステージ704をθ’z=45°まで回転させ(ステップS806)、式(7)に従って軸ずれから配置誤差を算出し(ステップS807)、これを相殺する様にステージ701〜703を駆動する(ステップS808)。その上で、CPU501は、それでも残存する基準面11aの配置誤差を、回転ステージ704の駆動誤差データとして、第1実施形態のステップS302と同様に計測する(ステップS809)。すなわち、基準面11aの反射光の波面を検出部9で検出し、基準レンズ11の位置を求める。その後CPU501は、θ’zが315°になったか否かを判断する(S810)。CPU501は、θ’zが315°に達していない場合(S810:No)、θ’zが315°に達するまで(S810:Yes)、回転ステージ704を45°回転させ(ステップS811)、ステップS807〜S809を繰り返す。これにより、CPU501は、回転ステージ704について、0〜315°に亘って45°間隔で駆動誤差データを取得する(駆動誤差計測工程)。
第2実施形態では、部分領域と同じ角度間隔(=45°)で駆動誤差データを取得したが、より高精度な校正を実現するために、より細かい角度間隔で駆動誤差データを取得してスムージングしても良い。
被検面の形状計測を行うステップS834は、第1実施形態であるステップS333とほぼ同様の手順で行う。図9は、本発明の第2実施形態に係る形状計測方法における被検面の形状計測の手順を示すフローチャートである。図9に示す第2実施形態の被検面の形状計測では、図6に示す第1実施形態の被検面の形状計測に対して、駆動誤差計測工程を追加したものである。なお、図9において、図6と同様の工程(ステップ)は、同一符号を付している。CPU501は、ステップS319の直前には、回転ステージ704の駆動誤差を相殺する様に、ステップS831で取得した駆動誤差データの分だけ被検レンズを搭載したステージ701〜703を駆動する(S318−1:駆動誤差補正工程)。このステップS318−1を備える点が、第1実施形態とは異なる。なお、計測時間を短縮するために、このステップS318−1はステップS316やステップS318と同時に実施しても良い。
なお、第2実施形態では、ステップS831で回転ステージ704を校正する際には、指標物として、系統誤差の計測と同じく基準物である基準レンズ11を用いたが、指標となる光学面を指標面として備えているものであれば、基準物とは別のものでも良い。その指標面の設計形状は、基準面11aや被検面12aと同じでも良いし、異なっていても良い。また、被検面12aの形状が設計形状から大きくずれていないことが保証されている場合には、被検レンズ12を用いても良い。
また、回転ステージ704を校正するステップS831は、新たな被検レンズの形状を計測する度に必ずしも毎回実施する必要はなく、少なくとも形状計測装置100を構成した後に1回行えば良い。
以上、第2実施形態では、回転ステージ704の駆動誤差を事前に取得し、その分だけステージ701〜703で被検レンズを駆動している。これにより、第1実施形態と比較して、被検面12aの配置誤差を効果的に低減することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態では、第2実施形態と同様に、図1の形状計測装置100を用い、図7のフローチャートに従って形状計測を行う。但し、回転ステージ704を校正するステップS831の詳細手順が、第2実施形態とは異なる。第2実施形態では、回転ステージ704の駆動誤差データを取得するために、基準レンズ11を回転ステージ704で回転させながら基準面11aの配置誤差を計測した。その際には、軸ずれに由来する配置誤差を抑制するために、軸ずれに起因する配置誤差を相殺する様にステージ701〜703を駆動した。第3実施形態では、第2実施形態と同様に、基準レンズ11を回転ステージ704で回転させながら基準面11aの配置誤差を計測するが、その際にはステージ701〜703を駆動しない。ここで取得した配置誤差データをフィッティングすることで、軸ずれに由来する配置誤差を含まない駆動誤差データを取得する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る形状計測方法における、回転ステージを校正するステップS831の詳細手順を示すフローチャートである。まずは、第2実施形態のステップS801と同様に、回転ステージ704をθ’z=0°とした上で、基準レンズ11を保持台705に設置する(ステップS901)。次に、CPU501は、基準面11aの配置誤差Δxb(θ’z)、Δyb(θ’z)、Δzb(θ’z)、Δθx,b(θ’z)、Δθy,b(θ’z)を計測する(ステップS902)。CPU501は、θ’zが315°になったか否かを判断する(S903)。そして、CPU501は、θ’zが315°に達していない場合(S903:No)、回転ステージ704を45°回転させ(S904)、ステップS902の処理に戻る。このように、CPU501は、ステップS902の配置誤差の計測と、ステップS904の回転ステージ704の45°回転とを、θ’zが315°になるまで(S903:Yes)繰り返す。その後、CPU501は、得られた配置誤差データから、回転ステージの駆動誤差データΔxst(θ’z)、Δyst(θ’z)、Δzst(θ’z)、Δθx,st(θ’z)、Δθy,st(θ’z)を抽出する(ステップS905)。具体的には、まず、配置誤差データを式(12)でフィッティングし、パラメータr1、r2、θ1、θ2、x1、x2、y1、y2を求める。
その後、式(13)により、回転ステージの駆動誤差データΔx
st、Δy
st、Δz
st、Δθ
x,st、Δθ
y,stを求める。
ステップS834では、第2実施形態と同様に、回転ステージ704の駆動誤差を相殺する様に、取得した駆動誤差データの分だけ被検レンズをステージ701〜703で駆動する。
第3実施形態では、軸ずれ量を計測する工程と、軸ずれに由来する配置誤差分だけステージ701〜703を駆動する工程を備えないため、第2実施形態と比較して計測時間を短縮することができる。
[第4実施形態]
第4実施形態では、第2実施形態や第3実施形態と同様に、図1の形状計測装置100を用い、図7のフローチャートに従って形状計測を行う。但し、回転ステージ704を校正するステップS831の詳細手順が、第2実施形態や第3実施形態とは異なる。第2実施形態と第3実施形態では、回転ステージ704を回転させながら、指標物として、基準物である基準レンズ11の位置を非接触で計測することで、回転ステージ704の駆動誤差を求めた。第4実施形態では、指標物を接触式のプローブで計測する。
接触式のプローブとしては、例えばダイヤルゲージを使用する。この場合、指標物としては、第2、第3実施形態と同じくレンズを使用しても良いが、円柱状で金属製のピンを使用する方がより好ましい。手順としては、ピンの側面や上端にダイヤルゲージを接触させながら回転ステージを回転させ、回転角度とダイヤルゲージの出力の関係を取得する。このデータには、回転ステージの駆動誤差に加え、回転ステージの回転軸704aとピンの軸のずれに起因するピンの動きも含まれるので、これについては第3実施形態のステップS904の要領で除く。その結果、回転ステージ704の駆動誤差データを取得することができる。
ステップS834では、第2実施形態や第3実施形態と同様に、回転ステージ704の駆動誤差を相殺する様に、取得した駆動誤差の分だけステージ701〜703で被検レンズを駆動する。
第4実施形態では、回転ステージ704の駆動誤差を事前に取得し、これを相殺する様に被検レンズを駆動している。これにより、第1実施形態と比較して、被検面の配置誤差を効果的に低減することができる。
[第5実施形態]
第1〜4実施形態では、被検面の非球面軸12bと回転ステージの回転軸704aのずれから、回転後の被検面12aの配置誤差を推測し、これを相殺する様にステージ701〜703を駆動した。第2〜4実施形態では、回転ステージの駆動誤差を事前に取得し、この誤差も相殺する様にさらにステージ701〜703を駆動した。ところが、被検面に要求される配置精度が高く、ステージ701〜703の駆動精度が十分でなければ、これらの手順だけで被検面を十分な精度でアライメントすることはできない。
そこで第5実施形態では、第1実施形態に記載のアライメントを行った後、配置誤差の計測と被検面の駆動を繰り返し、必要精度まで被検面の配置誤差を抑制する。
図11は、本発明の第5実施形態に係る形状計測方法における系統誤差の計測の手順を示すフローチャートである。図12は、本発明の第5実施形態に係る形状計測方法における軸ずれの計測の手順を示すフローチャートである。図13は、本発明の第5実施形態に係る形状計測方法における被検面の計測の手順を示すフローチャートである。なお、第5実施形態の形状計測装置は、上記第1実施形態の形状計測装置100と同様の構成である。
図11のステップS401〜S403,S406では、図4のステップS301〜S304と同様の処理を行う。第5実施形態では、ステップS404,S405が追加されている。ステップS403で基準面11aをアライメントした後、ステップS404では、CPU501は、基準面11aの配置誤差を再び計測(実測)する。そして、ステップS405では、CPU501は、ステップS404で計測した配置誤差が閾値を下回っているか否かを判断する。つまり、CPU501は、基準面11aの配置誤差を相殺する位置に基準面11aを移動させるステージ701〜703の制御を、検出部9により検出された波面から基準面11aの配置誤差を求めて該配置誤差が予め設定した閾値を下回るまで、繰り返し行う。
更に、図12のステップS407〜S409,S412〜S415では、図5のステップS305〜S311と同様の処理を行う。また、図13のステップS416,S417,S420〜S424,S427〜S430は、図6のステップS312〜S322と同様の処理を行う。第5実施形態では、ステップS410,S411,S418,S419,S425,S426が追加されている。
即ち、部分領域SA1の形状計測のためにステップS409で被検面12aをアライメントした後、ステップS410では、CPU501は、被検面12aの配置誤差を再び計測(実測)する。そして、ステップS411では、CPU501は、ステップS410で計測した配置誤差が閾値を下回っているか否かを判断する。つまり、CPU501は、被検面12aの配置誤差を相殺する位置に被検面12aを移動させるステージ701〜703の制御を、検出部9により検出された波面から被検面12aの配置誤差を求めて該配置誤差が予め設定した閾値を下回るまで、繰り返し行う。
同様に、部分領域SA2の形状計測のためにステップS417で被検面12aをアライメントした後、ステップS418では、CPU501は、被検面12aの配置誤差を再び計測(実測)する。そして、ステップS419では、CPU501は、ステップS418で計測した配置誤差が閾値を下回っているか否かを判断する。つまり、CPU501は、被検面12aの配置誤差を相殺するように被検面12aを移動させるステージ701〜703の制御を、検出部9により検出された波面から被検面12aの配置誤差を求めて該配置誤差が予め設定した閾値を下回るまで、繰り返し行う。
更に、部分領域SAiの形状計測のためにステップS424で被検面12aをアライメントした後、ステップS425では、CPU501は、被検面12aの配置誤差を計測(実測)する。そして、ステップS426では、CPU501は、ステップS425で計測した配置誤差が閾値を下回っているか否かを判断する。つまり、CPU501は、被検面12aの配置誤差を相殺するように被検面12aを移動させるステージ701〜703の制御を、検出部9により検出された波面から被検面12aの配置誤差を求めて該配置誤差が予め設定した閾値を下回るまで、繰り返し行う。
このように第5実施形態では、配置誤差を計測するステップS404、S410、S418、S425を加え、配置誤差が閾値に収束するまでステージ701〜703を駆動するステップS403、S409、S417、S424を含めたループ構造としている。閾値は、所望の精度に設定する。これにより、第1〜第4実施形態と比較して、配置誤差を効果的に低減することができる。
第5実施形態では、第1実施形態と同様に、被検面12aの非球面軸12bと回転ステージの回転軸704aのずれを算出するステップS415と、そこから配置誤差を算出するS423を備えている。これらのステップを実施せず、従来技術に従って配置誤差の計測とステージ駆動を繰り返すだけで同じ精度まで配置誤差を低減する方法に比べ、第5実施形態の方法では配置誤差の計測回数が低減される。これに伴い、全体の計測時間を短縮することができる。
[第6実施形態]
被検面の半径に対する一括で照明される部分領域の半径の比が2/3程度の場合には、図2(a)の部分領域の配置で被検面全面を計測することができる。ところが、被検面の半径に対する一括で照明される部分領域の半径の比がこれを大幅に下回る場合には、この配置では全面を計測することはできなくなる。図14は、第6実施形態における被検レンズの被検面上での部分領域の配置を示す説明図である。
例えば、一括で照明される部分領域の半径が被検面の半径の半分程度であれば、図14に示すように部分領域SA11〜SA22を配置すればよい。ここでは、非球面軸12bを中心とする円C1と円C2を考え、円C1上に中心を持つ部分領域を8つ、円C2上に中心を持つ部分領域を4つ、計12個の部分領域を配置し、全面を覆っている。計測手順としては、部分領域SA11〜SA18の形状計測を図4及び図5のステップS301〜S308と同じ手順で行い、部分領域SA19〜SA22の形状計測についても別途同様に行う。最後に、部分領域SA11〜SA22の形状を繋ぎ合わせ、被検面12a全面の形状を得る。このような要領で部分領域の数を増やせば、一括で照明される部分領域が小さくとも、被検面全面の形状を得ることができる。
[第7実施形態]
上記第1〜6実施形態では、回転対称なレンズの形状計測について示したが、被検物が、並進対称性を持つシリンドリカルレンズの形状計測にも適用することができる。図15は、本発明の第7実施形態に係る形状計測装置を示す模式図である。
第7実施形態では、シリンドリカルレンズである被検レンズ16の形状計測例を示す。被検レンズ16は被検面16aを備え、被検面16aは、ほぼy方向に沿う対称軸16bに沿って並進対称性を有している。
図15に示す形状計測装置200は、おおよそ図1に示す形状計測装置100と同じであるが、レンズ4に代わってシリンドリカルレンズ41で収束光を生成して被検レンズ16を照明する。また、ステージ装置7に代わって、被検レンズ16をステージ装置71に搭載する。ステージ装置71は、被検レンズ16をxzθxθyθz方向に駆動するステージ711と、駆動方向としてy方向(直線方向)に駆動軸712aを持つ直動ステージ712と、被検レンズ16を保持する保持台713から構成される。
図16は、本発明の第7実施形態に係る形状計測装置200における、直動ステージ712の駆動軸712aと被検面16aの対称軸16bとの関係、及び計測する部分領域SA71〜SA79の配置を示す模式図である。
被検レンズ16を直動ステージ712に設置する際には、その対称軸16bが直動ステージ712の駆動軸712aになるべく一致するように設置するが、その設置には誤差が伴う。部分領域SA71〜SA79は、それぞれの中心PA71〜PA79が対称軸16bに一致する様に配置する。計測手順としては、おおよそ第1又は第2実施形態に従う。
すなわち、形状が既知の基準レンズ17で形状計測装置200の系統誤差を計測した後、被検面16aの部分領域SA71の形状を計測する。その後、直動ステージ712を駆動して部分領域SA72を照明し、その反射光の波面から、駆動軸712aと対称軸16bとのずれ量を算出する。この軸のずれ量に基づき、直動ステージ712で計測する部分領域を切り替えた時に発生する配置誤差を推測し、部分領域SA73〜79の形状を計測する前にはその分だけステージ711を駆動して、被検面16aをアライメントする。
以上、第7実施形態では、被検面16aをステージ712で駆動させたときに発生する所定の軌道からのずれ(配置誤差)を推測し、このずれを相殺するように被検面16aをステージ711で駆動することで、被検面12aをアライメントする。そのため、アライメント精度を維持しつつ、アライメントのための配置誤差の計測回数を低減することができ、アライメントに要する時間も低減することができる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。