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JP6691817B2 - 織編物 - Google Patents
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JP6691817B2 - 織編物 - Google Patents

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近年熱中症が急増傾向にあるが、本発明は、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服に使用可能な織編物に関するものである。
日本国内において、熱中症患者数及びそれによる死者数は、地球温暖化の影響もあり、1990年代中頃から急激に増加し、今後も増加していくと予測されている。これを受けて各省庁は熱中症予防管理についての指針を発行し、熱中症対策に取り組んでいる。
熱中症予防管理に関する指針の多くには、WBGT(℃)で示す暑さ指数という指標(日なた等の太陽放射がある場合は式(1)、屋内や日かげ等の太陽放射が無い場合は式(2))が採用されている。高WBGT値の場合は、運動または作業等の原則禁止、やや高い場合は水分や塩分の補給、一定時間ごとの涼しい場所での休憩等を奨励している。下式からも分かるように、WBGT値は湿球、すなわち湿度の寄与度が非常に高い。
式(1) WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×湿球温度
式(2) WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度
熱中症対策としては、頸部、腋窩、股間などの太い動脈が体表近くを通る部分を冷却することが検討されている(例えば、特許文献1〜3、非特許文献1参照)。さらには、頭頂部を冷却する防護服も検討されている(例えば、非特許文献2参照)。
特開2004−76240号公報 特開2002−119530号公報 特開2006−57189号公報
実用新案登録第3166764号公報 実用新案登録第3124210号公報
特許文献1〜3、非特許文献1〜2に開示されている対策は、熱中症に対し一定の効果を有するもののいずれも熱中症となった後の症状を和らげるものであった。また、いずれも保冷剤を装着する必要があるため、運動性に制約が生じ、作業、運動等によっては使用できないという問題があった。さらには、ファッション性の高い衣服に適することも困難であるとの問題があった。
本発明は、保冷剤等を使用することなく、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服に使用可能な織編物を提供することを技術課題とするものである。
本発明者らは、WBGT値が湿度の影響が大きいことに着目し検討を進めたところ、熱中症が環境由来の熱量や湿度だけでなく、衣服内環境において発生する熱量や湿度によっても熱中症となり得ることを見出した。さらに、衣服内環境の急激な変化や繰り返しの変化によっても熱中症を発症し得ることを見出した。そして、それらを基にさらに検討を重ねたところ、従来の保冷剤等を用いて積極的に冷却するという手法を備えた織編物ではなく、衣服内環境を平常に近く保つという織編物が、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服に使用可能であることを見出した。具体的には、衣服内における湿度(吸放湿性)、人体表面における熱量の放出(接触冷感)、べとつき感(引き上げ荷重低減)を適度に制御することが、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服に使用可能であることを見出し、吸放湿性、接触冷感性及びべとつき感を適度に制御した織編物である本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(4)を要旨とする織編物である。
(1)吸放湿成分を含有するポリアミド繊維を含む織編物であって、以下の(i)〜(iv)を満足することを特徴とする織編物。
(i)前記織編物が、25℃、60%RH環境下で平衡水分率に達した状態から、34℃、90%RH環境下に30分間放置したときの吸湿性が0.8%以上。
(ii)前記織編物が、34℃、90%RH環境下で平衡水分率に達した状態から、25℃、60%RH環境下に30分間放置したときの放湿性が0.9%以上。
(iii)前記織編物が、20℃、60%RH環境下での接触冷感q-max(x)の値が0.10W/cm2以上および34℃、90%RH環境下での接触冷感q-max(y)の値が0.1
1W/cm2以上。
(iv)前記織編物の引き上げ荷重(滴下水分量320ml/m2)が、400cN/m2以下。
(2)前記吸放湿成分を含有するポリアミド繊維の混用率が20質量%以上であることを特徴とする(1)記載の織編物。
(3)前記接触冷感値の差(q-max(y)-q-max(x))が、0.015W/cm2以上あることを特徴とする(1)または(2)に記載の織編物。
(4)前記引き上げ荷重が200cN/m2以下であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の織編物。
本発明の織編物は、衣服内における湿度(吸放湿性)、人体表面における熱量の放出(接触冷感)、べとつき感(引き上げ荷重低減)を適度に制御する機能を有するものであり、高WBGT値すなわち高温多湿の環境下においては、吸湿性、接触冷感の効果を示し、また、一定時間おきの涼しい場所での休憩時すなわち、比較的低WBGT値(低温乾燥)環境下ではすばやく放湿するため、気化熱による冷却性及びべとつき感の低減効果を示し、さらには繰り返しの環境変化においても衣服内環境を平常に近く保つことにより、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服に好適に使用可能な織編物となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の織編物は、吸放湿成分を含有するポリアミド繊維を含むものである。本発明における吸放湿成分を含有するポリアミド繊維は、後述する織編物の特性を有するものであれば特に限定されないが、25℃、60%RH環境下での平衡水分率に達したポリアミド繊維を34℃×90%RH環境下に30分間放置したときの吸湿性が1.5%以上であるポリアミド繊維が好ましく、2.0%以上であるポリアミド繊維がより好ましい。さらには、34℃、90%RH環境下で平衡水分率に達した前記ポリアミド繊維を25℃、60%RH環境下に30分間放置したときの放湿性が1.5%以上であるポリアミド繊維が好ましく、2.0%以上であるポリアミド繊維がより好ましい。
前記吸放湿成分としては特に限定されないが、例えば、ポリアルキレンオキサイドとポリオール及び脂肪族ジイソシアネート化合物との反応によって得られるポリアルキレンオキサイド変性物が挙げられる。
前記ポリアルキレンオキサイドとしてはポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド及び両者の共重合体、前記ポリオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、前記脂肪族ジイソシアネートとしては、脂環族ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記ポリアミド繊維の形状は特に限定されないが、前記吸放湿成分を芯部に含んだ芯鞘型複合繊維が好ましい。該芯鞘型複合繊維の芯鞘割合(芯/鞘)は、20/80〜60/40(質量比)が好ましい。
前記ポリアミド繊維の断面形状は特に限定されないが、前記円形断面の他に、楕円形断面、三角断面、星形断面等が挙げられ、必要に応じて着色剤、難燃剤、酸化防止剤等の添加剤を含有させることができる。
前記ポリアミド繊維の形態は特に限定されないが、フィラメント糸、ステープルによる紡績糸、あるいはフィラメント糸と紡績糸との複合糸等、任意の形態でも良く、また熱による捲縮加工等の高次加工処理を施しても良い。
本発明の織編物に用いる他の繊維としては特に限定されないが、他の混用繊維としては、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる合成繊維、レーヨン、リヨセル等からなる再生セルロース繊維、アセテート等からなる半合成繊維、さらには、木綿、麻等の天然セルロース繊維、羊毛、シルク等天然タンパク質繊維等、あらゆる繊維が適用可能であり、高い吸湿性の観点から、ポリアミド繊維、セルロース繊維、再生セルロース繊維が好ましい。ただし、セルロース繊維、再生セルロース繊維は、吸湿性が高い反面放湿性が低いことから、本発明の織編物においてセルロース繊維を混用する際は、該織編物の放湿性を向上させる観点から、吸放湿成分を含有するポリアミド繊維を20質量%以上含むことが好ましい。
前記他の繊維の断面形状は特に限定されないが、発汗等による水分を織編地表面に移送し、織編地表面における拡散、発散機能をより効率よく行わせるために、異型断面形状とすることが好ましく、楕円形断面、三角断面、星形断面、三葉形以上の多葉形、W形、井形等がより好ましい。
前記ポリアミド繊維と他の繊維との混用方法は、混繊、混紡、合撚、引き揃え等、糸での混用、あるいは、交織、交編等、織編物での混用等、既存のあらゆる混用方法が適用できる。
本発明の織編物は、前述の吸放湿成分を含有するポリアミド繊維の混用率を15質量%以上とすることが好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上がよりいっそう好ましく、60質量%以上が特に好ましい。前記混用率を15質量%以上またはセルロース繊維と混用する際は20質量%以上とすることにより、吸放湿性、接触冷感性及びべとつき感が一定以上制御された織編物となるだけでなく、該織編物の放湿性をいっそう向上させることにより、繰り返しの涼感性もいっそう優れたものとなる。
本発明の織編物の形態としては、平織、綾織、朱子織、あるいはそれらの派生的組織も含むあらゆる組織が適用可能であり、また、編物の形態としても同様に、丸編み、横編み、タック編み等の緯編み、ラッセル、トリコット等の経編み等あらゆる組織が適用可能である。
本発明の織編物は、25℃、60%RH環境下で平衡水分率に達した状態から、34℃、90%RH環境下に30分間放置したときの吸湿性が0.8 % 以上であることが必要であり、1.0%以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。
さらに、本発明の織編物は、34℃、90%RHの環境下で平衡水分率に達した状態から、25℃、60% RHの環境下に30分間放置したときの放湿性が0.9%以上であ
ることが必要であり、1.1%以上が好ましく、2.0%以上がより好ましい。
前述の25℃、60%RHの温湿度条件は、比較的低WBGT値(太陽放射の無い室内においてはWBGT値が23℃相当)の衣服内環境を想定したものであり、前述の34℃、90%RHの温湿度条件は、高WBGT値(太陽放射の無い室内においてはWBGT値が36℃相当)の衣服内環境を想定したものである。ここで、25℃、60%RH環境下で平衡水分率に達した状態から34℃、90%RHの環境下に30分間放置したときの吸湿性が0.8%未満である場合は、前述の環境湿度の増大に連動して衣服内の湿度が増加するため、衣服内環境を平常に保ち難くなり蒸れ感が顕著となる。一方、該値が0.8%以上となると、環境由来の湿度や人体から排出される水蒸気の汗をすばやく吸湿することにより他の素材からなる織編物に比べて、衣服内環境(例えば、温湿度等)を平常に近く保つこととなる。また、34℃、90%RHの環境下で平衡水分率に達した合成繊維を25℃、60%RHの環境下に30分間放置したときの放湿性が0.9%未満の場合は、前述の環境湿度が低下しても衣服内の湿度が平常に戻りきらず蒸れ感が解消するための時間を要する。一方、該値が0.9%以上となると、吸湿したポリアミド繊維が衣服内空間から衣服外の空間へと繊維内部の水分をすばやく放湿することにより他の素材からなる織編物に比べて、衣服内環境(例えば、温湿度等)を平常に近く保つこととなる。
さらに、前述のポリアミド繊維による好適な吸放湿特性は、繰り返しの環境変化において特に顕著な効果を示すものである。具体的には、34℃、90%RHの環境から25℃、60%RHの環境に移動した後の衣服内の湿度等が平常に戻りきっていない状態で、再度34℃、90%RHの環境下に暴露されると、他の素材からなる織編物では、いっそう短時間でムレ感を感じるが、本発明の織編物は、他の素材からなる織編物に比べて衣服内環境を平常に近く保つこととなり、さらには、後述する接触冷感やべとつき感の好適な特性とも相乗して、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服にいっそう好適に使用可能な織編物となる。
本発明の接触冷感q-maxの値は、物体と物体を接触させた時の瞬間的な熱の移動量(W
/cm2)を示すものであり、具体的には、カトーテック株式会社製のKES-F7サーモラボ
II試験機を用い、以下の式(1)、(2)に示す条件にて測定して得られた数値である。
式(1) q-max(x) 熱板:30℃, 試料:20℃
式(2) q-max(y) 熱板:44℃, 試料:34℃
本発明の織編物は、20℃、60%RH環境下での接触冷感q-max(x)の値が0.10W/cm2以上、且つ、34℃、90%RH環境下での接触冷感q-max(y)の値が0.11W
/cm2以上が必要である。前記接触冷感q-max(x)の値は、0.11W/cm2以上が好ましく、0.12W/cm2以上がより好ましく、0.13W/cm2以上が特に好ましい。前記接触冷感q-max(y)の値は、0.13W/cm2以上が好ましく、0.14W/cm2以上がより好ましく、0.15W/cm2以上がよりいっそう好ましく、0.17W/cm2以上が特に好ましい。
前記接触冷感q-max(x)の値と前記接触冷感q-max(y)の値の差(q-max(y)- q-max(x))は、0.015W/cm2以上が好ましく、0.020W/cm2以上がより好ましく、0.030W/cm2以上がよりいっそう好ましく、0.040W/cm2以上が特に好ましい。
前記接触冷感q-max値は、数値が大きい程に触れた時に冷たく感じる値であるが、本発明の織編物は、q-max(x)を0.10W/cm2以上、且つ、q-max(y)を0.11W/cm2以上とすることにより、該織編物に接した皮膚等から熱中症を生じさせ得る過剰な熱量を効果的に除去することができ、体温の過度の上昇を防ぐことができるため、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服に好適に使用可能な織編物となる。さらには、前記接触冷感q-max(x)の値と前記接触冷感q-max(y)の値の差(q-max(y)- q-max(x))を、0.015W/cm2以上とすることにより、衣服内環境の急激な変化をよりいっそう抑制することができるため、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服によりいっそう好適に使用可能な織編物となる。該接触冷感q-max値は、ポリアミド繊維中の吸放湿成分の種類や量、織編物に用いられるポリアミド繊維の割合、織編物表面に露出している該ポリアミド繊維の量などにより調整することができる。
本発明の織編物は、滴下水分量320ml/m2での引き上げ荷重が、400cN/m2以下であり、200cN/m2以下が好ましく、150cN/m2以下がより好ましく、100cN/m2以下がよりいっそう好ましく、50cN/m2以下が特に好ましい。
前記引き上げ荷重は、カトーテック株式会社製KES-G5ハンディー圧縮試験機を用い測定したものである。具体的には、5cm×5cmの生地上に320ml/m2の水を滴下した後
、先端がゴム製の円状圧縮子(10cm2)を0.02cm/秒で圧縮し、試料への押圧
が4.9cN/cm2(5gf)となったところで引き上げ、試料と圧縮子が離れるためにかかった引き上げ荷重の最大値を測定し、その数値をcN/m2に換算したものである。
前記引き上げ荷重は、汗などにより生地が湿潤した際の皮膚からの肌離れのし易さを数値にて表わしたものである。該数値が小さいほど生地が湿潤した場合の皮膚とのへばり付き感が小さくなるため、湿潤した生地が皮膚に張り付くことによる局所的な不快感がより抑えられる。すなわち、衣服内環境の急激な変化をいっそう抑制することができる。該引き上げ荷重は、ポリアミド繊維中の吸放湿成分の種類や量、織編物に用いられるポリアミド繊維の割合、織編物表面に露出している該ポリアミド繊維の量などにより調整することができる。
本発明の織編物は、前述の吸湿性能、放湿性能、接触冷感q-max値及び引き上げ荷重値
を同時に満足することにより、高WBGT値、低WBGT値を示す環境の変化や繰り返しの環境の変化や、さらには衣服内環境の繰り返しの急激な変化においても、衣服内湿度を適度に吸放湿し、接触冷感値が高い素材を選択し且つ湿潤した織編物が皮膚へへばりつくなどの不快感を解消することで衣服内環境を平常に近く保つことにより、保冷剤等を使用することなく、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服に好適に使用可能な、吸放湿性、接触冷感性及びべとつき感を適度に制御した織編物を提供することができる。
本発明の織編物は、たとえば、一般衣料やスポーツ衣料等に用いることができ、高温多湿下あるいは激しい運動時に使用する衣料に好ましく用いられ、さらには、皮膚に接するような衣料等により好ましく用いることができる。特には、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服に好適に使用可能な織編物として好ましく用いることができる。さらに具体的には、例えば、空調のない屋内作業者が着用する作業服、警備員等が着用する屋外作業者用ユニフォーム、シャツ類、パンツ類といったカジュアル衣料などに好ましく用いることができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。尚、本発明は以下に示す実施例には限定されない。なお、実施例、比較例における本発明の織編物の評価方法は下記の通りである。
(1)吸湿性
試料を温度105℃で2時間乾燥して質量W0(g)を測定した後、温度25℃、相対
湿度60%の条件下で平衡水分率に達した時の質量Wa(g)を測定し、さらにこのサンプルを温度34℃、相対湿度90%の条件下で30分間放置して吸湿させた後の質量Wb'(g)を測定し、下記吸湿性を算出する。
吸湿性(%)=(Wb'− Wa)/Wo ×100
(2)放湿性
試料を温度105℃で2時間乾燥して質量W0(g)を測定した後、温度34℃、相対
湿度90%の条件下で平衡水分率に達した時の質量Wa'(g)を測定し、さらに、このサンプルを温度25℃、相対湿度60%の条件下で30分間放置して放湿させた後の質量Wb(g)を測定し、下記放湿性を算出する。
放湿性(%)=(Wa'−Wb)/W0 ×100
(3)接触冷感(q-max)
カトーテック株式会社製のKES-F7サーモラボII試験機を用いて、下記2条件において、試料から試験機の熱板への熱の移動量(W/cm2)を測定した。
q-max(x) 熱板:30℃, 試料:20℃
q-max(y) 熱板:44℃, 試料:34℃
(4)引き上げ荷重
カトーテック株式会社製KES-G5ハンディー圧縮試験機を使用し、次の手順(i)〜(iii)で測定する。
(i)試料(5×5cm)を所定の場所に置き、320ml/m2の水を滴下する。
(ii)先端がゴムでできた円状でサイズ10cm2の圧縮子を0.02cm/秒で
圧縮し、試料への押圧が4.9cN/cm2(5gf/cm2)となったところで引き上げる。
(iii)試料と圧縮子が離れるためにかかった引き上げ荷重の最大値を測定し、その数値をcN/m2に換算する。なお、本試験における水の滴下量(320ml/m2)は、高温高湿時の大量発汗量を想定した数値である。
(5)涼感性
本実施例及び比較例で作成したTシャツ(全て同型、同サイズ)を着用し、まず34℃、90%RHで30分間安静姿勢にし、その後、同姿勢で25℃、65%RH30分間、さらに再度、同姿勢で34℃、90%RHの環境下で30分間過ごした際のそれぞれの涼感性を以下の指針にて評価した。
<評価>
○:涼感性に優れていた。
△:涼感性にやや優れていた。
×:涼感性に劣っていた。
<実施例1〜3>
吸放湿性成分としてポリエチレンオキサイド、1,4-ブタンジオール及びジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネートの反応物であるポリエチレンオキサイド変性物(住友精化製商品名「アクアコーク」、吸水能35g/g、溶融粘度4,000ポイズ)を30質量%、ポリアミド6を70質量%ブレンドしたものを芯部に配し、ポリアミド6を鞘部に配した芯鞘質量比(芯部/鞘部)が40/60のポリアミド繊維の半延伸糸を紡糸し、次いで常法による熱捲縮加工を施すことによりポリアミド繊維(A)(78dtex/24f)を得た。
次いで、表1に示す条件にて、ポリアミド繊維(A)の混用率100%、または該ポリアミド繊維(A)とポリエチレンテレフタレート繊維(85dtex/36f)を所定の割合で混用した後、タックメッシュ組織(ウエール密度42個/2.54cm、コース密度41個/2.54cm)にて編地を作成した(実施例1〜3)。
<比較例1>
ポリアミド繊維(A)(78dtex/24f)に代えて、ポリエチレンテレフタレート繊維(85dtex/36f)を用いた以外は、実施例1と同様にして編地を作成した。
<比較例2>
ポリアミド繊維(A)(78dtex/24f)に代えて、銅アンモニアレーヨン繊維(85dtex/48f)を用いた以外は、実施例2と同様にして編地を作成した。
<実施例4>
表2に示すように、経糸を綿糸(英式綿番手40番手)、緯糸をポリアミド繊維(A)とし、2/1綾織組織(経糸密度/緯糸密度=173本/89本)の織物を作成した。
<比較例3>
ポリアミド繊維(A)(78dtex/24f)に代えて、ポリエチレンテレフタレート繊維(78dtex/24f)を用いた以外は、実施例4と同様にして織物を作成した。
編物、織物の作成条件及び得られた編物、織物の特性を評価した結果を表1、表2に示す。
表1、表2に示すように、吸湿性、放湿性、接触冷感値、引き上げ荷重が所定の数値を満足した実施例1〜4の織編物は、衣服内における湿度(吸放湿性)、人体表面における熱量の放出(接触冷感)、べとつき感(引き上げ荷重低減)を適度に制御した織編物であり、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服に好適に使用可能な織編物であった。特に、吸放湿成分を含有するポリアミド繊維を40質量%以上含む実施例1、2の織編物や、ポリアミド繊維を20質量%以上含み且つセルロース繊維(木綿)と混用した実施例4の織編物は、吸放湿性、接触冷感性及びべとつき感がより制御された織編物であり、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服にいっそう好適に使用可能な織編物であった。さらには、吸湿性能、放湿性能が一定以上であるポリアミド繊維を60%以上含む織編物とした実施例1の織編物は、吸放湿性、接触冷感性及びべとつき感が特に制御された織編物であり、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服に特に好適に使用可能な織編物であった。一方、比較例1の編地は、ポリエステル繊維のみで構成された編地であり、吸放湿性、接触冷感値が所定の数値を満足しない織編物であり、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服への使用に適さない織編物であった。比較例2の編地は、吸湿性の高い銅アンモニアレーヨン(再生セルロース繊維)を含むものの、ポリアミド繊維を20質量%以上含まなかったため、大量発汗を想定した320ml/m2の水を滴下した際に織編地がべとつき、引き上げ荷重が400cN/mを大きく超えるものとなり、さらには繰り返しの涼感性も劣るものであったため、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服への使用に適さない織編物であった。比較例3の織地は、吸湿性が高い綿(セルロース繊維)を含むものの、ポリエステル繊維との交織であったため、接触冷感値、引き上げ荷重を満足せず、さらには繰り返しの涼感性も劣るものであったため、熱中症になり得る環境の下、快適に過ごすことができる衣服への使用に適さない織編物であった。

Claims (4)

  1. 吸放湿成分を含有するポリアミド繊維を含む織編物であって、以下の(1)〜(4)を満足することを特徴とする織編物。
    (1)前記織編物が、25℃、60%RH環境下で平衡水分率に達した状態から、34℃
    、90%RH環境下に30分間放置したときの吸湿性が0.8%以上。
    (2)前記織編物が、34℃、90%RH環境下で平衡水分率に達した状態から、25℃
    、60%RH環境下に30分間放置したときの放湿性が0.9%以上。
    (3)前記織編物が、20℃、60%RH環境下での接触冷感q-max(x)の値が0.10W
    /cm2以上および34℃、90%RH環境下での接触冷感q-max(y)の値が0.1
    1W/cm2以上。
    (4)前記織編物の引き上げ荷重(滴下水分量320ml/m2)が、400cN/m2以下。
  2. 前記吸放湿成分を含有するポリアミド繊維の混用率が20質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の織編物。
  3. 前記接触冷感値の差(q-max(y)-q-max(x))が、0.015W/cm2以上あることを特徴とする請求項1または2に記載の織編物。
  4. 前記引き上げ荷重が200cN/m2以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の織編物。
JP2016101523A 2016-05-20 2016-05-20 織編物 Active JP6691817B2 (ja)

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