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JP6692269B2 - 内燃機関制御装置 - Google Patents
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Description

本発明は、発電機等の汎用機や自動二輪車等の車両に適用される内燃機関制御装置に関する。
近年、発電機等の汎用機や小型自動二輪車等の車両においては、キャブレタシステムでは今後より厳しくなる排気ガス規制に対応することが困難になるため、排気ガスの低減を目的として燃料噴射システムの採用が推進されている。しかしながら、発電機等の汎用機や小型自動二輪車等の車両の販売価格は大型自動二輪車や四輪自動車等の車両の販売価格と比較して安価であるために、このような販売価格を考えた場合、キャブレタシステムと比較して高コストな燃料噴射システムをそのまま発電機等の汎用機や小型自動二輪車等の車両に採用することは困難である。このため、発電機等の汎用機や小型自動二輪車等の車両においては、燃料噴射システムに関する部品、特にセンサ類については、コストの低減が求められている。
ここで、例えば燃料噴射システムにおける吸気温度センサは、内燃機関に吸気される空気密度の演算に用いられることが一般的である。具体的には、燃料噴射システムは、吸気温度センサの出力に基づいて内燃機関の吸気温度を算出し、算出した内燃機関の吸気温度に基づいて内燃機関に吸気される空気密度を検出して、点火時期及び燃料噴射の制御を行っている。このため、燃料噴射システムを採用する場合には、内燃機関に吸気温度センサを装着する必要がある。更に、内燃機関に吸気温度センサを設置する際には、配線用のワイヤやカプラを設置する必要がある上に、吸気温度センサを設置する内燃機関の部位を加工する必要がある。この結果、販売価格における燃料噴射システムのコストの割合はキャブレタシステムのものと比較して高くなる。このため、特に発電機等の汎用機や小型自動二輪車等の車両において燃料噴射システムを制御する内燃機関制御装置においては、コストダウンを目的として燃料噴射システムから吸気温度センサを省略することが求められている。
かかる状況下で、特許文献1は、燃料噴射量を設定するために内燃機関1の吸気温度を推定する内燃機関の吸気温度推定装置に関し、外気温度と、エンジンルームから機関の吸気系への熱伝達量と、エンジンルームから機関の吸気系への熱伝導量と、を推定し、これらの推定結果に基づいて、内燃機関1の吸気温度を推定する構成を開示する。かかる外気温度は、冷却用ファンのON又はOFFの時間と、機関の発熱量と、車速と、を用いて推定される。また、エンジンルームから機関の吸気系への熱伝達量は、機関の発熱量と、エンジンルームの放熱量と、を用いて推定される。更に、エンジンルームから機関の吸気系への熱伝導量は、機関の発熱量と、機関の温度と、を用いて推定される。
特開平9−189256号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1の構成により内燃機関の吸気温度を推定する場合には、手法が複雑であるために実際に車両に搭載することが困難であると共に、制御装置のROM等の記憶手段の容量が増加するためにコストの増大を招く。また、特許文献1の構成のようにエンジンルームから機関の吸気系への熱伝達量、及びエンジンルームから機関の吸気系への熱伝導量を推定する場合に、エンジンルームという概念のない二輪車には適用できない。また、特許文献1の構成のように車速又は冷却用ファンのON又はOFFの時間を用いて外気温度を推定する場合に、安価な二輪車等には車速検知手段及び冷却ファンが搭載されていないものも存在しているため適用できない。更に、特許文献1の構成で吸気温度を推定するために用いられる外気温度と、エンジンルームから機関の吸気系への熱伝達量と、エンジンルームから機関の吸気系への熱伝導量と、は推定値であるため、吸気温度を精度よく推定できない可能性が考えられる。
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、二輪車を含む実際の車両に搭載可能であり、簡素な構成であると共に制御装置のROM等の記憶手段の容量を削減可能であるために全体のコストを抑制することができ、実用上充分な精度で内燃機関の吸気温度を算出可能な内燃機関制御装置を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するべく、本発明は、第1の局面において、車両に搭載された内燃機関の運転状態を制御する制御部を備えた内燃機関制御装置において、前記制御部は、前記内燃機関の雰囲気温度を取得し、前記内燃機関のインジェクタの抵抗値から前記インジェクタの温度であるインジェクタ温度を取得し、前記雰囲気温度及び前記インジェクタ温度から前記内燃機関の吸気温度上昇量を算出し、前記内燃機関の単位時間あたりの燃料噴射量から噴射量補正値を算出し、前記吸気温度上昇量から前記噴射量補正値を減算して補正済吸気温度上昇量を算出し、前記雰囲気温度に前記補正済吸気温度上昇量を加算することで前記内燃機関の吸気温度を算出する内燃機関制御装置である。
本発明は、第1の局面に加えて、前記制御部は、前記インジェクタ温度と前記雰囲気温度との差分温度と、前記吸気温度上昇量と、の関係を規定した相関特性を用いて前記吸気温度上昇量を算出することを第2の局面とする。
本発明は、第1又は第2の局面に加えて、前記制御部は、算出した前記吸気温度をフィルタリング処理することを第の局面とする。
本発明は、第1から第の局面のいずれかに加えて、前記内燃機関制御装置の筐体内に配設された第1温度センサと、前記筐体内において前記第1温度センサから離間した位置に配設された第2温度センサと、を更に備え、前記制御部は、前記第1温度センサ及び前記第2温度センサの一方の検出温度を、前記第1温度センサ及び前記第2温度センサの他方の検出温度で補正することにより前記雰囲気温度を算出することを第の局面とする。
本発明の第1の局面にかかる内燃機関制御装置においては、車両に搭載された内燃機関の運転状態を制御する制御部を備えた内燃機関制御装置において、前記制御部は、前記内燃機関の雰囲気温度を取得し、前記内燃機関のインジェクタの抵抗値から前記インジェクタの温度であるインジェクタ温度を取得し、前記雰囲気温度及び前記インジェクタ温度から前記内燃機関の吸気温度上昇量を算出し、前記内燃機関の単位時間あたりの燃料噴射量から噴射量補正値を算出し、前記吸気温度上昇量から前記噴射量補正値を減算して補正済吸気温度上昇量を算出し、前記雰囲気温度に前記補正済吸気温度上昇量を加算することで前記内燃機関の吸気温度を算出するものであるため、二輪車を含む実際の車両に搭載可能であり、簡素な構成であると共に制御装置のROM等の記憶手段の容量を削減可能であるために全体のコストを抑制することができ、実用上充分な精度で内燃機関の吸気温度を算出することができる。また、車両の車速に応じた走行風による吸気温度の低下を考慮して吸気温度を算出することにより、吸気温度を精度よく算出することができる。
また、本発明の第2の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、制御部が、インジェクタ温度と雰囲気温度との差分温度と、吸気温度上昇量と、の関係を規定した相関特性を用いて吸気温度上昇量を算出するものであるため、インジェクタ温度とエンジンの雰囲気温度との差分温度と相関がある吸気温度上昇量を、差分温度と吸気温度上昇量との関係を規定した相関特性を用いて算出することができる。
また、本発明の第の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、制御部が、算出した吸気温度をフィルタリング処理するものであるため、インジェクタ温度の上昇特性と吸気温度の上昇特性とを一致させることにより、吸気温度を精度よく算出することができる。
また、本発明の第の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、内燃機関制御装置の筐体内に配設された第1温度センサと、筐体内において第1温度センサから離間した位置に配設された第2温度センサと、を更に備え、制御部が、第1温度センサ及び第2温度センサの一方の検出温度を、第1温度センサ及び第2温度センサの他方の検出温度で補正することにより雰囲気温度を算出するものであるため、雰囲気温度を精度よく算出することができる。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態における内燃機関制御装置の構成を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)中のインジェクタの構成を示す模式図である。 図2は、第1の実施形態における内燃機関制御装置の吸気温度算出処理の流れを示すフロー図である。 図3(a)は、第1の実施形態における内燃機関制御装置が参照する吸気温度上昇量テーブルを示す図であり、図3(b)は、第1の実施形態における内燃機関制御装置が呈する吸気温度の推移を示す図である。 図4は、第2の実施形態における内燃機関制御装置の構成を示す模式図である。
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における内燃機関制御装置につき、詳細に説明する。
(第1の実施形態)
<内燃機関制御装置の構成>
まず、図1を参照して、第1の実施形態における内燃機関制御装置の構成について説明する。本実施形態における内燃機関制御装置は、典型的には、発電機等の汎用機や自動二輪車等の車両といった内燃機関搭載体に好適に搭載されるものであるが、以下、説明の便宜上、かかる内燃機関制御装置は、自動二輪車等の車両に搭載されるものとして説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態における内燃機関制御装置の構成を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)中のインジェクタの構成を示す模式図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態における内燃機関制御装置1は、いずれも図示を省略する車両に搭載されたガソリンエンジン等の内燃機関であるエンジンの機能部品の温度に基づいてエンジンの運転状態を制御するものであり、電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)10を備えている。
ECU10は、車両に搭載されたバッテリBからの電力を利用して動作するものであり、波形整形回路11、サーミスタ素子12、A/D変換器13、点火回路14、駆動回路15、抵抗値検出回路16、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)17、ROM(Read−Only Memory)18、RAM(Random Access Memory)19、タイマ20、及び中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)21を備えている。かかるECU10の各構成要素は、ECU10の筐体10a内に収容される。また、典型的には、ECU10及びエンジンは、それらの周囲が外気に触れており、かつ、ECU10は、エンジンの放射熱及びエンジンからの伝熱の影響を受けないようにそれから離間して配置されるものである。
波形整形回路11は、クランク角センサ2から出力されたエンジンのクランクシャフト3の回転角に対応するクランクパルス信号を整形してデジタルパルス信号を生成する。波形整形回路11は、このように生成したデジタルパルス信号をCPU21に出力する。
サーミスタ素子12は、ECU10の筐体10a内において、典型的には発熱素子である点火回路14から離間してECU10の雰囲気側の位置(例えば、筐体10aへの距離が数ミリメータ程度である筐体10aに近接した位置)に配置されたチップサーミスタであり、ECU10の筐体10a外の周囲の大気温度である雰囲気温度(外気温度)を検出する。具体的には、サーミスタ素子12は、その雰囲気温度に対応した電気抵抗値を呈して、その電気抵抗値に応じた電圧を示す電気信号をA/D変換器13に出力する。
なお、かかる電気信号を出力可能なものであれば、サーミスタ素子12を熱電対等の他の温度センサに代替してもよい。また、サーミスタ素子12が検出する温度は、エンジンの周囲の大気温度である雰囲気温度(外気温度)に等しいものである。更に、サーミスタ素子12はECU10の他の構成要素と同様に図示しない回路基板に配置されるため、別途配線を設けて、これを介してサーミスタ素子12を電気的に接続する必要がない。
A/D変換器13は、スロットル開度センサ4から出力されたエンジンのスロットルバルブの開度を示す電気信号、酸素センサ5から出力されたエンジンに吸気される大気中の酸素濃度を示す電気信号、及びサーミスタ素子12から出力された雰囲気温度を示す電気信号を、アナログ形態からデジタル形態に各々変換する。A/D変換器13は、このようにデジタル形態に変換したこれらの電気信号をCPU21に出力する。
点火回路14は、CPU21からの制御信号に従ってオン/オフ制御されるトランジスタ等のスイッチング素子を備え、このスイッチング素子がオン/オフ動作することによって、図示を省略する点火プラグを介してエンジン内の燃料及び空気の混合気に点火するための2次電圧を発生する点火コイル6の動作を制御する。また、点火回路14は、典型的には半導体素子であるドライバIC(Integrated Circuit)であり、筐体10a内で発熱量が最も大きい構成要素である。
駆動回路15は、CPU21からの制御信号に従ってオン/オフ制御されるトランジスタ等のスイッチング素子を備え、このスイッチング素子がオン/オフ動作することによって、エンジンに燃料を供給するインジェクタ7のコイル7aの通電/非通電状態を切り換える。ここで、インジェクタ7は、エンジンの図示を省略する吸気管やシリンダヘッドに装着され、エンジンから生じる熱が伝熱される。また、特に図1(b)に示すように、インジェクタ7のコイル7aの等価回路7bは、インダクタンス成分Lと電気抵抗成分Rとから成る直列回路で表される。かかるコイル7aは、インジェクタ7のソレノイド7cを電気的に駆動するための構成部品であり、コイル7aの通電状態においてソレノイド7cが動作することにより、インジェクタ7から燃料が噴出されるものである。
抵抗値検出回路16は、インジェクタ7のコイル7aの電気抵抗成分に依存して変動する物理量である電気抵抗値(抵抗値)を測定し、このように測定した抵抗値を示す電気信号をCPU21に出力する。
EEPROM17は、燃料噴射量学習値やスロットル基準位置学習値といった各種学習値に関するデータ等を記憶する。なお、このような各種学習値に関するデータ等を記憶可能なものであれば、EEPROM17をデータフラッシュ等の他の記憶媒体に代替してもよい。
ROM18は、不揮発性の記憶装置によって構成され、後述する吸気温度算出処理用の制御プログラム、吸気温度算出処理で用いられる吸気温度上昇量テーブルに関するデータ、インジェクタ噴射量減算値算出テーブルに関するデータ及びインジェクタ温度テーブルに関するデータ等の各種制御データを格納している。
RAM19は、揮発性の記憶装置によって構成され、CPU21のワーキングエリアとして機能する。
タイマ20は、CPU21からの制御信号に従って計時処理を実行する。
制御部としてのCPU21は、ECU10全体の動作を制御する。本実施形態では、CPU21は、ROM18内に格納されている吸気温度算出処理用の制御プログラムを実行することにより、ROM18内に格納されている吸気温度上昇量テーブルやインジェクタ噴射量減算値算出テーブルを参照しながら、吸気温度を算出する。CPU21は、このように算出した吸気温度や別途検出したエンジン温度に基づいて点火回路14及び駆動回路15を制御することによって、エンジンの運転状態を制御する。
このような構成を有する内燃機関制御装置1は、以下に示す吸気温度算出処理を実行することによって、吸気温度を算出する。以下、本実施形態における吸気温度算出処理について、より具体的に説明する。
<吸気温度算出処理>
図2及び図3を参照して、本実施形態に吸気温度算出処理の具体的な流れについて詳しく説明する。
図2は、第1の実施形態における内燃機関制御装置の吸気温度算出処理の流れを示すフロー図である。図3(a)は、第1の実施形態における内燃機関制御装置が参照する吸気温度上昇量テーブルを示す図であり、図3(b)は、第1の実施形態における内燃機関制御装置が呈する吸気温度の推移を示す図である。
内燃機関への吸入空気の温度は、外気の吸入口において外気温度と略同等であるが、吸入経路から受熱して上昇する。この際の吸気温度上昇量と、吸入経路の温度と外気温度との差と、には相関関係がある。従って、吸気温度上昇量は、吸入経路の温度及び雰囲気温度を用いて演算により求めることができる。また、吸入経路の温度は、インジェクタ温度Tinjで代表できるため、インジェクタ温度Tinjと同一とみなすことができる。
図2に示すフロー図は、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられてCPU21が稼働したタイミングで開始となり、吸気温度算出処理はステップS1の処理に進む。かかる吸気温度算出処理は、車両のイグニッションスイッチがオン状態でCPU21が稼働している間、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
ステップS1の処理では、CPU21が、サーミスタ素子12及びA/D変換器13を介してエンジンの雰囲気温度(サーミスタ温度Tthr)を検出する。これにより、ステップS1の処理は完了し、吸気温度算出処理はステップS2の処理に進む。
ステップS2の処理では、CPU21が、抵抗値検出回路16を介してインジェクタ7の抵抗値(INJ抵抗値)を検出する。ここで、インジェクタ7の抵抗値は温度に比例して上昇する特性を有するため、この特性を利用してインジェクタ温度Tinjを求めることができる。CPU21は、ROM18に予め格納されているインジェクタ7の抵抗値とインジェクタ温度Tinjの値との関係を示すインジェクタ温度テーブルから、検出されたインジェクタ7の抵抗値に対応するインジェクタ温度Tinjの値を算出する。これにより、ステップS2の処理は完了し、吸気温度算出処理はステップS3の処理に進む。
ステップS3の処理では、CPU21が、ROM18に予め格納されている図3(a)に示す吸気温度上昇量テーブルを検索して、インジェクタ温度Tinjとエンジンの雰囲気温度との差分温度(インジェクタ温度Tinj−エンジンの雰囲気温度Tthr)に対応する吸気温度上昇量ΔTAの値を求める。ここで、本発明者の検討によれば、吸気温度及び上記の差分温度は、インジェクタ温度Tinjの上昇に伴って上昇し、上記の差分温度と吸気温度上昇量ΔTAとには強い相関関係があるため、図3(a)に示す吸気温度上昇量テーブルのデータは上記の差分温度と吸気温度上昇量ΔTAとの関係を規定した相関特性曲線となり、上記の差分温度を用いて吸気温度上昇量ΔTAを求めることができる。これにより、ステップS3の処理は完了し、吸気温度算出処理はステップS4の処理に進む。
ステップS4の処理では、CPU21が、ROM18に予め格納されている所定の単位時間あたりの燃料噴射量とインジェクタ噴射量減算値との関係を規定したインジェクタ噴射量減算値算出テーブルを検索して、所定の単位時間あたりの燃料噴射量に対応するインジェクタ噴射量減算値(噴射量補正値)を求める。ここで、燃料噴射量は、インジェクタ7の燃料噴射時間を換算して求めるか又はインジェクタ7の燃料噴射時間をそのまま用いる。そして、CPU21は、ステップS3の処理において算出された吸気温度上昇量ΔTAからインジェクタ噴射量減算値を減算して補正済吸気温度上昇量ΔTBを算出する。内燃機関の高負荷時等において燃料噴射量(燃料噴射時間)が増大した際には車両の車速が速くなって車両が受ける走行風が増大するため、吸入空気が通過する吸入経路が冷やされ、実際の吸気温度の雰囲気温度からの上昇量はインジェクタ温度Tinjから算出した吸気温度上昇量ΔTAよりも低くなる。従って、CPU21は、吸気温度上昇量ΔTAから、走行風により冷却されて低下した吸気温度であるインジェクタ噴射量減算値を減算することにより、実際の吸気温度の雰囲気温度からの上昇量に相当する補正済吸気温度上昇量ΔTBを求める。これにより、ステップS4の処理は完了し、吸気温度算出処理はステップS5の処理に進む。
ステップS5の処理では、CPU21が、ステップS1の処理において検出されたエンジンの雰囲気温度にステップS4の処理において算出された補正済吸気温度上昇量ΔTBを加算した値を吸気温度TAとして算出する。これにより、ステップS5の処理は完了し、吸気温度算出処理はステップS6の処理に進む。
ステップS6の処理では、CPU21が、ステップS5の処理において算出された吸気温度TAをフィルタリング処理して吸気温度の変化を遅らせる。フィルタリング処理は、典型的には荷重平均又は移動平均を求める処理である。これにより、ステップS6の処理は完了し、今回の一連の吸気温度算出処理は終了する。
CPU21は、上記の吸気温度算出処理を実行することにより推定した吸気温度に基づいて点火回路14を制御して、図示しない点火プラグを介してエンジン内の燃料及び空気の混合気に点火させる。また、CPU21は、上記の吸気温度算出処理を実行することにより推定した吸気温度に基づいて駆動回路15を制御して、インジェクタ7よりエンジンに燃料を供給させる。
このように、内燃機関制御装置1より吸気温度センサを削除することができるため、廉価なシステムで点火時期及び燃料噴射を制御することができる。
また、燃料噴射システムを用いて点火時期及び燃料噴射の制御を行うことにより、キャブレタシステムと比較して、排気ガスを低減することができる。
更に、開発段階において、キャブレタシステムから燃料噴射システムへ移行する際に、車両に対するスロットルボディ、インジェクタ及び燃料ポンプ等の搭載位置の設計、及び、クランクセンサ、リラクタ及び点火コイルの変更等の開発項目が多岐にわたることとなるが、吸気温度センサの搭載について開発を行う必要がないため、キャブレタシステムから燃料噴射システムへの置換が容易になる。
図3(b)は、本実施形態における内燃機関制御装置が呈する吸気温度の推移を示す図である。図3(b)は、スロットルバルブの全開時の吸気温度の推移を示している。
スロットル開度の全開時においてエンジンの負荷が大きくなるため、インジェクタ7の自己発熱はエミッション走行モード時等に比べて多くなる。これより、図2に示す吸気温度算出処理のステップS3の処理において算出された吸気温度上昇量ΔTAをエンジンの雰囲気温度に加算した加算値の推移P1は、図3(b)において実線で示す吸気温度の実測値の推移P0と乖離する。本実施形態では、ステップS4の処理において、吸気温度上昇量ΔTAからインジェクタ噴射量減算値を減算して補正済吸気温度上昇量ΔTBを算出し、ステップS5の処理において、雰囲気温度に補正済吸気温度上昇量ΔTBを加算して吸気温度TAを算出する。これにより、雰囲気温度に補正済吸気温度上昇量ΔTBを加算して求めた吸気温度TAの推移P2は、図3(b)に示すように、吸気温度の実測値の推移P0と略一致する。
しかしながら、インジェクタ温度の上昇特性より吸気温度の上昇特性の方が遅いため、吸気温度TAは、立ち上がりにおいて吸気温度の実測値P0と乖離する。本実施形態では、更にステップS6の処理において、インジェクタ温度の上昇特性と吸気温度の上昇特性とを一致させるために吸気温度TAをフィルタリング処理して、吸気温度TAの上昇特性を遅らせる補正を行う。これにより、補正された吸気温度TAの推移P3は、図3(b)に示すように、立ち上がりにおいて吸気温度の実測値P0に一致する。
以上の本実施形態における内燃機関制御装置では、内燃機関の雰囲気温度を取得し、インジェクタ7のコイル7aの抵抗値からインジェクタ7の温度であるインジェクタ温度を取得し、内燃機関の雰囲気温度及びインジェクタ温度から内燃機関の吸気温度上昇量を算出し、雰囲気温度に吸気温度上昇量を加算することで内燃機関の吸気温度を算出するものであるため、二輪車を含む実際の車両に搭載可能であり、簡素な構成であると共に制御装置のROM等の記憶手段の容量を削減可能であるために全体のコストを抑制することができ、実用上充分な精度で内燃機関の吸気温度を算出することができる。
また、本実施形態における内燃機関制御装置では、インジェクタ温度と雰囲気温度との差分温度と、吸気温度上昇量と、の関係を規定した相関特性を用いて吸気温度上昇量を算出するものであるため、インジェクタ温度とエンジンの雰囲気温度との差分温度と相関がある吸気温度上昇量を、差分温度と吸気温度上昇量との関係を規定した相関特性を用いて算出することができる。
また、本実施形態における内燃機関制御装置では、内燃機関の単位時間あたりの燃料噴射量からインジェクタ7の噴射量補正値を算出し、吸気温度上昇量から噴射量補正値を減算して補正済吸気温度上昇量を算出し、雰囲気温度に補正済吸気温度上昇量を加算することで吸気温度を算出するものであるため、車両の車速に応じた走行風による吸気温度の低下を考慮して吸気温度を算出することにより、吸気温度を精度よく算出することができる。
また、本実施形態における内燃機関制御装置では、算出した吸気温度をフィルタリング処理するものであるため、インジェクタ温度の上昇特性と吸気温度の上昇特性とを一致させることにより、吸気温度を精度よく算出することができる。
また、本実施形態における内燃機関制御装置では、エンジンの雰囲気温度を内燃機関制御装置内の温度センサにより算出することにより、装置外に外気温度センサを別途設ける必要をなくすることができ、簡素な構成で更なるコストダウンを図ることができる。
(第2の実施形態)
<内燃機関制御装置の構成>
図4を参照して、本実施形態における内燃機関制御装置の構成について説明する。本実施形態における内燃機関制御装置は、典型的には、発電機等の汎用機や自動二輪車等の車両といった内燃機関搭載体に好適に搭載されるものであるが、以下、説明の便宜上、かかる内燃機関制御装置は、自動二輪車等の車両に搭載されるものとして説明する。
なお、図4において、図1と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
第1温度センサとしてのサーミスタ素子12aは、ECU10の筐体10a内で最も高温となる領域(典型的には点火回路14である発熱素子への距離が数ミリメータ程度である発熱素子に近接した領域)に配置されたチップサーミスタであり、その温度に対応した電気抵抗値を呈して、その電気抵抗値に応じた電圧を示す電気信号をA/D変換器13に出力する。なお、かかる電気信号を出力可能なものであれば、サーミスタ素子12aを熱電対等の他の温度センサに代替してもよい。
第2温度センサとしてのサーミスタ素子12bは、ECU10の筐体10a内で最もECU10の筐体10a外の周囲の大気温度である雰囲気温度(外気温)、つまりエンジンの周囲の大気温度である雰囲気温度(外気温度)に近くなる領域(典型的には筐体10aへの距離が数ミリメータ程度である筐体10aに近接した領域)に配置されたチップサーミスタであり、その温度に対応した電気抵抗値を呈してその電気抵抗値に応じた電圧を示す電気信号をA/D変換器13に出力する。なお、かかる電気信号を出力可能なものであれば、サーミスタ素子12bを熱電対等の他の温度センサに代替してもよい。
A/D変換器13は、スロットル開度センサ4から出力されたエンジンのスロットルバルブの開度を示す電気信号、酸素センサ5から出力されたエンジンに吸気される大気中の酸素濃度を示す電気信号、及びサーミスタ素子12a、12bから出力された電気信号を、アナログ形態からデジタル形態に各々変換する。A/D変換器13は、このようにデジタル形態に変換したこれらの電気信号をCPU21に出力する。
<サーミスタ素子の配置位置>
次に、サーミスタ素子12a、12bの配置位置について、より具体的に説明する。
サーミスタ素子12a、12b及び点火回路14は、ECU10の各構成要素を収容する筐体10a内に配設されている。点火回路14は、典型的にはドライバICであり、筐体10a内で発熱量が最も大きい構成要素である。そして、サーミスタ素子12aは、筐体10a内で発熱量が最も大きい点火回路14に対して近接して配設され、サーミスタ素子12bは、サーミスタ素子12aよりも点火回路14から離隔されて配設されている。即ち、サーミスタ素子12aは、点火回路14の発熱の影響を最も直接的に受けて筐体10a内で最も高温となる位置に配設され、サーミスタ素子12bは、点火回路14の発熱の影響を最も受けにくくかつ筐体10aに近接した筐体10a外の大気温度(ECU10の雰囲気温度であってエンジンの雰囲気温度に相当する)の影響を最も受ける位置に配設されている。
このような構成を有する内燃機関制御装置1は、以下に示す雰囲気温度算出処理を実行することによって、エンジンの雰囲気温度を算出する。以下、本実施形態における雰囲気温度算出処理を実行する際の内燃機関制御装置1の動作について、より具体的に説明する。
<雰囲気温度算出処理>
まず、本実施形態における雰囲気温度算出処理では、前提として、サーミスタ素子12aの検出温度T1からサーミスタ素子12bの検出温度T2を減算した第1の差分温度ΔT12と、サーミスタ素子12bの検出温度T2から雰囲気温度Taを減算した第2の差分温度ΔT2aとの関係を予め規定した相関特性線を示すテーブルデータをROM18中に予め記憶させて用意する。
第1の差分温度ΔT12は、基本的には点火回路14の発熱量、即ちECU10の発熱量に対応するものである。また、第2の差分温度ΔT2aは、点火回路14の発熱量の影響等でサーミスタ素子12bの検出温度T2がエンジンの雰囲気温度Taから相違する場合があることを考慮し、サーミスタ素子12bの検出温度T2とエンジンの雰囲気温度Taとの差分温度に対応するものである。
本実施形態における雰囲気温度算出処理では、第1の差分温度ΔT12を算出し、相関特性線を示すテーブルデータを検索することにより、第1の差分温度ΔT12の値に対応する第2の差分温度ΔT2aの値を求める。そして、サーミスタ素子12bの検出温度T2から第2の差分温度ΔT2aを減算した値をエンジンの雰囲気温度Taとして算出する。これにより、サーミスタ素子12bの検出温度を、サーミスタ素子12aの検出温度で補正することにより雰囲気温度Taを算出するので、ECU10の発熱量の影響を排除して実用上の精度のよいエンジンの雰囲気温度Taを算出することができる。
以上の本実施形態における内燃機関制御装置では、内燃機関制御装置1の筐体内に配設されたサーミスタ素子12a、及び筐体内においてサーミスタ素子12aから離間した位置に配設されたサーミスタ素子12bの一方の検出温度を他方の検出温度で補正することにより雰囲気温度を算出するものであるため、上記第1の実施形態の効果に加えて、雰囲気温度を精度よく算出することができる。
なお、本実施形態において、サーミスタ素子12bの検出温度を、サーミスタ素子12aの検出温度で補正したが、テーブルデータを再設定して、再設定したテーブルデータを検索することにより、サーミスタ素子12aの検出温度を、サーミスタ素子12bの検出温度で補正してもよい。
本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範2囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
具体的には、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、ECU10内のサーミスタ素子12を用いて雰囲気温度を算出したが、ECU10内のリレー等の抵抗値を用いて雰囲気温度を算出してもよいし、別途外気温度センサを設けて外気温度を測定してもよい。
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、インジェクタ温度とエンジンの雰囲気温度との差分温度と、吸気温度上昇量ΔTAと、の関係を規定したテーブルを用いて吸気温度上昇量ΔTAを算出したが、インジェクタ温度とエンジンの雰囲気温度との差分温度と、吸気温度上昇量ΔTAと、の関係を規定した所定の演算式を用いて吸気温度上昇量ΔTAを算出してもよい。
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、雰囲気温度に補正済吸気温度上昇量ΔTBを加算して吸気温度を算出したが、吸気温度の要求される算出精度に応じて、雰囲気温度にインジェクタ温度とエンジンの雰囲気温度との差分温度に対応する吸気温度上昇量ΔTAを加算して吸気温度を算出してもよい。
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、吸気温度TAをフィルタリング処理したが、インジェクタ温度の上昇特性と吸気温度の上昇特性とを一致させる必要がない制御を行う場合には、気温度TAをフィルタリング処理しなくてもよい。
以上のように、本発明においては、二輪車を含む実際の車両に搭載可能であり、簡素な構成であると共に制御装置のROM等の記憶手段の容量を削減可能であるために全体のコストを抑制することができ、実用上充分な精度で内燃機関の吸気温度を算出可能な内燃機関制御装置を提供することができ、その汎用普遍的な性格から自動二輪車等の内燃機関制御装置に広範に適用され得るものと期待される。
1…内燃機関制御装置
2…クランク角センサ
3…クランクシャフト
4…スロットル開度センサ
5…酸素センサ
6…点火コイル
7…インジェクタ
7a…コイル
7b…コイルの等価回路
7c…ソレノイド
10…ECU
10a…筐体
11…波形整形回路
12…サーミスタ素子
12a…サーミスタ素子
12b…サーミスタ素子
13…A/D変換器
14…点火回路
15…駆動回路
16…抵抗値検出回路
17…EEPROM
18…ROM
19…RAM
20…タイマ
21…CPU
B…バッテリ

Claims (4)

  1. 車両に搭載された内燃機関の運転状態を制御する制御部を備えた内燃機関制御装置において、
    前記制御部は、
    前記内燃機関の雰囲気温度を取得し、
    前記内燃機関のインジェクタの抵抗値から前記インジェクタの温度であるインジェクタ温度を取得し、
    前記雰囲気温度及び前記インジェクタ温度から前記内燃機関の吸気温度上昇量を算出し、
    前記内燃機関の単位時間あたりの燃料噴射量から噴射量補正値を算出し、
    前記吸気温度上昇量から前記噴射量補正値を減算して補正済吸気温度上昇量を算出し、
    前記雰囲気温度に前記補正済吸気温度上昇量を加算することで前記内燃機関の吸気温度を算出する、
    ことを特徴とする内燃機関制御装置。
  2. 前記制御部は、
    前記インジェクタ温度と前記雰囲気温度との差分温度と、前記吸気温度上昇量と、の関係を規定した相関特性を用いて前記吸気温度上昇量を算出する、
    ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関制御装置。
  3. 前記制御部は、
    算出した前記吸気温度をフィルタリング処理する、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の内燃機関制御装置。
  4. 前記内燃機関制御装置の筐体内に配設された第1温度センサと、
    前記筐体内において前記第1温度センサから離間した位置に配設された第2温度センサと、
    を更に備え、
    前記制御部は、
    前記第1温度センサ及び前記第2温度センサの一方の検出温度を、前記第1温度センサ及び前記第2温度センサの他方の検出温度で補正することにより前記雰囲気温度を算出する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の内燃機関制御装置。
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