JP6692337B2 - 発酵組成物の製造方法および発酵組成物 - Google Patents
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Description
本発明の発酵組成物の製造方法は、ショウガ科植物原料を酢酸菌または乳酸菌で発酵させる工程を有することを特徴とする。ショウガ科植物原料を酢酸菌または乳酸菌で発酵させる工程は、ショウガ科植物原料に酢酸菌または乳酸菌を作用させて、ショウガ科植物原料を発酵させる工程である。
本発明のショウガ発酵組成物は、前述した発酵工程直後の発酵組成物だけでなく、発酵工程後に、前述した1つ以上の工程を経て製造された発酵組成物も含む概念である。酢酸菌による発酵工程を経て得られた発酵組成物中には、たとえば、グルコース、グルコン酸、直糖、全糖、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、ジンゲロール、ショウガオールなどが含まれている。ホモ乳酸発酵を行う乳酸菌による発酵工程を経て得られた発酵組成物中には、前述のグルコン酸の代わりに乳酸が含まれており、また、ヘテロ乳酸発酵を行う乳酸菌による発酵工程を経て得られた発酵組成物中には、前述のグルコン酸の代わりに乳酸および酢酸が含まれている。これらのうち、グルコースは辛みを和らげる成分である。グルコン酸は、穏やかで、さわやかな酸味を有しており、食品の味・臭いを改善する機能を有することが知られている。乳酸はやわらかいコク味と穏やかな酸味を有している。酢酸は強い刺激臭のある酸味を有している。直糖は直接還元糖の略であって、組成物中に存在する還元性を有する糖を意味する。全糖は組成物中に存在する全ての糖類を意味し、酸加水分解によって生じる還元糖を測定する。水溶性食物繊維は水溶性の食物繊維であって、炭水化物(糖質)の消化・吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ効果、コレステロールなどの余分な脂質を吸着し排出するなど、体への吸収を抑制する作用が知られている。不溶性食物繊維は水に溶けない食物繊維であって、便通促進効果やデトックス効果が知られている。ジンゲロールおよびショウガオールはともにショウガ原料中に含まれており、辛み成分であるとともに、殺菌作用、抗酸化作用、血行促進作用等の種々の効能があることが知られている。グルコン酸、乳酸、酢酸は、前述したように、発酵工程で含有量が増大する成分である。ジンゲロールは、前述したように、主として加熱することで、ショウガオールに容易に変換することができる。本発明では、発酵工程以外に、前述した種々の工程を組合せることにより、発酵組成物中の各成分量を適宜調整することができる。
ショウガ粉末:株式会社坂田信夫商店製「黄金生姜」
(微生物)
(酵素)
セルラーゼ1:協和化成株式会社製、「アクレモセルラーゼ KM」
セルラーゼ2:新日本化学工業株式会社製、「スミチーム X」
アミラーゼ1:ノボザイムズジャパン株式会社製、「BAN240L」
アミラーゼ2:新日本化学工業株式会社製、「スミチーム S」
リパーゼ1:天野エンザイム株式会社製、「リパーゼ AS」
グルコノバクター・オキシダンスの前培養液:30℃にて、好気条件で1日間培養したものを前培養液とした。
ラクトバチルス・アシドフィルスの前培養液:30℃にて、1日間静置培養したものを前培養液とした。
グルコース :グルコースオキシダーゼ法
グルコン酸 :F−kit「D−グルコン酸/D−グルコノδラクトン」法
乳酸 :HPLC法
酢酸 :HPLC法
直糖 :ソモギー法
全糖 :ソモギー法
ジンゲロール :HPLC法
ショウガオール :HPLC法
水溶性食物繊維 :Prosky変法
不溶性食物繊維 :Prosky変法
各処理液を全量凍結乾燥して得られた乾燥物重量として示した。
参考例1
水90mlにショウガ粉末10gとCaCl2 0.5gを加えたショウガ懸濁液に、アミラーゼ1を100μl添加し、70℃で17時間酵素処理を行い、続いて65℃で6時間酵素処理(第2段目の酵素処理)を行い、さらにアミラーゼ2を0.2g添加し、55℃で24時間酵素処理を行った。酵素処理後、121℃で20分間の条件で酵素を失活させ、その後凍結乾燥して酵素処理物1を得た。
参考例1の第2段目の酵素処理の代わりに、セルラーゼ1を0.01g添加し、65℃で6時間酵素処理を行ったこと以外は参考例1と同様に行い、酵素処理物2を得た。
水90mlにショウガ粉末10gとCaCl2 0.5gを加えたショウガ懸濁液に、セルラーゼ1およびセルラーゼ2をそれぞれ0.02gおよび0.01g添加し、55℃で4時間酵素処理を行い、続いてアミラーゼ1を200μl添加し、70℃で8.5時間酵素処理を行い、さらにアミラーゼ2を0.4g添加し、55℃で16時間酵素処理を行った。酵素処理後、121℃で20分間の条件で酵素を失活させ、その後凍結乾燥して酵素処理物3を得た。
原料のショウガ粉末を使用した。
参考例4
水60mlにショウガ粉末5gを加えたショウガ懸濁液を85℃で28時間加熱し、この加熱処理液にグルコン酸を添加して、乾燥物中のグルコン酸濃度が5重量%程度になるようにした。そして、グルコン酸を含む加熱処理液を121℃で40分間殺菌し、その後凍結乾燥してグルコン酸を含む加熱処理物を得た。
グルコン酸を添加しないこと以外は参考例4と同様に行い、グルコン酸を含まない加熱処理物を得た。
実施例1
水50mlにショウガ粉末10gを加えたショウガ懸濁液に、セルラーゼ1、セルラーゼ2、CaCl2をそれぞれ0.02g、0.01g、0.5g添加し、55℃で4時間酵素処理を行い、続いてアミラーゼ1を200μl添加し、70℃で9時間酵素処理を行い、さらにアミラーゼ2を0.4g添加し、55℃で19時間酵素処理を行った。酵素処理後、121℃で20分間殺菌した後、室温まで冷却し、酵素処理液を得た。次いで、酵素処理液に、グルコノバクター・オキシダンス NBRC3292(独立行政法人製品評価技術基盤機構製)の前培養液が2重量%になるように植菌し、30℃、24時間、140rpmで培養した。培養後、121℃で20分間殺菌し、その後凍結乾燥してショウガ発酵組成物を得た。
アミラーゼ2の酵素処理時間を24時間としたこと以外は実施例1と同様に行い、ショウガ発酵組成物を得た。
実施例1で使用した酵素処理液の代わりに、水100mlにショウガ粉末0.5g、炭素源としてグルコース4gを加えた懸濁液を121℃で20分間殺菌し、その後室温まで冷却したグルコース含有ショウガ懸濁液を使用したこと以外は実施例1と同様に培養および殺菌を行った。なお、培養終了時に、グルコースとグルコン酸の濃度を測定した。殺菌後、培養液にショウガ粉末33.8gと水300mlを添加および混合し、その後凍結乾燥してショウガ発酵組成物を得た。
原料のショウガ粉末を使用した。
(辛みの評価基準)
1:辛みをほとんど感じない
2:辛みを少し感じる
3:辛みを感じる
4:辛みを少し強く感じる
5:比較例1のショウガ粉末と同程度に辛みが強い
(評定平均値の評価基準)
1:平均値1.5未満
2:平均値1.5以上2.5未満
3:平均値2.5以上3.5未満
4:平均値3.5以上4.5未満
5:平均値4.5以上
実施例4
水100mlにショウガ粉末0.5g、炭素源としてグルコース4gを加えた懸濁液の代わりに、水100mlにショウガ粉末1g、炭素源としてグルコース4gを加えた懸濁液を使用したこと、および、ショウガ粉末の後添加と凍結乾燥の間に85℃で6時間加熱したこと以外は実施例3と同様に行い、ショウガ発酵組成物を得た。
ショウガ粉末の後添加と加熱工程の間にセルラーゼ1およびセルラーゼ2をそれぞれ8.3mgおよび4.4mg添加し、40℃で50時間セルラーゼ処理を行った後に121℃で20分間加熱し、酵素を失活させたこと以外は実施例4と同様に行い、ショウガ発酵組成物を得た。
セルラーゼ処理において、リパーゼ1を17mg、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween80)を4ml添加したこと以外は実施例5と同様に行い、ショウガ発酵組成物を得た。
セルラーゼ処理の後の85℃で6時間加熱を行わなかったこと以外は実施例5と同様に行い、ショウガ発酵組成物を得た。
実施例8
水3Lにショウガ粉末30gとグルコース120gを加えた懸濁液を105℃で30分間殺菌し、その後室温まで冷却したグルコース含有ショウガ懸濁液に、グルコノバクター・オキシダンス NBRC 3292(独立行政法人製品評価基盤機構製)の前培養液が2重量%になるように植菌し、30℃、48時間、350rpm、0.4vvmで培養した。培養後、121℃で20分間殺菌した。殺菌後、培養液3,010gに対してショウガ粉末833gと水8,470mlを添加および混合し、ショウガ粉末を後添加した混合物にセルラーゼ1およびセルラーゼ2をそれぞれ2.07gおよび1.10g添加し、40℃で96時間酵素処理を行った。酵素処理後、121℃で20分間加熱し、酵素を失活させ、続いて85℃で24時間加熱し、その後凍結乾燥してショウガ発酵組成物を得た。
セルラーゼ処理において、リパーゼ1を0.43g、Tween80を6.4ml添加したこと以外は実施例8と同様に行い、ショウガ発酵組成物を得た。
セルラーゼ処理および酵素失活処理を行わず、また、凍結乾燥前に85℃で24時間加熱する代わりに85℃で35時間加熱したこと以外は実施例8と同様に行い、ショウガ発酵組成物を得た。
セルラーゼ処理において、セルラーゼ1およびセルラーゼ2を使用してそれぞれを3.2gおよび1.7g添加し、また、凍結乾燥前に85℃で24時間加熱する代わりに85℃で35時間加熱したこと以外は実施例9と同様に行い、ショウガ発酵組成物を得た。
還元糖の溶解率(%)=(直糖/全糖)×100
実施例7〜11で得られた発酵組成物および比較例1で用いたショウガ粉末について、それぞれの3%水溶液を被験液として、電子味覚システム(Astree、Alpha M.O.S社)の7種類のセンサーの応答値を測定した(n=3)。そして、得られたセンサー応答値、グルコン酸含量、グルコース含量、ジンゲロール含量、ショウガオール含量、辛み評価結果を用いて主成分分析を行った。結果を図1に示す。
前述した主成分分析で、発酵組成物中の糖類による影響があることが示唆されたが、糖類としては、まずグルコースが考えられる。たとえば実施例9の発酵組成物におけるグルコースの含有量は、比較例1と比べて大きく増大する一方、不溶性食物繊維の含有量は、比較例1と比べて大きく減少している。これは、発酵工程後のセルラーゼ処理で不溶性食物繊維が分解され、グルコースが生成することを意味している。ここで、不溶性食物繊維はグルコース以外の構成糖も含むため、グルコース以外の糖類も生成している可能性がある。そこで、実施例9の発酵組成物について、HPLC法を用いて単糖類(フルクトース、グルコース、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトース、ガラクツロン酸)、二糖類(スクロース、マルトース、セロビオース)の定量分析を行った。結果を表6に示す。
実施例12
水100mlにショウガ粉末1gとグルコース4gを加えた懸濁液を121℃で20分間殺菌し、その後室温まで冷却したグルコース含有ショウガ懸濁液に、グルコノバクター・オキシダンス NBRC3292(独立行政法人製品評価技術基盤機構製)の前培養液が2重量%になるように植菌し、30℃、24時間、140rpmで培養した。培養後、121℃で20分間殺菌した。殺菌後、培養液100mlに対してショウガ粉末29gを添加および混合し、該ショウガ粉末を後添加した混合物に、セルラーゼ1、2、水をそれぞれ79mg、46mg、240ml添加し、40℃で96時間酵素処理を行った。酵素処理後、121℃で20分間加熱し、酵素を失活させ、続いて85℃で24時間加熱し、その後凍結乾燥してショウガ発酵組成物を得た。
ショウガ粉末の添加量を18gとし、酵素処理におけるセルラーゼ1および2の添加量をそれぞれ53mgおよび32mgとし、水の添加量を130mlとしたこと以外は、実施例12と同様に行い、ショウガ発酵組成物を得た。
ショウガ粉末の添加量を13gとし、酵素処理におけるセルラーゼ1および2の添加量をそれぞれ42mgおよび25mgとし、水の添加量を80mlとしたこと以外は、実施例12と同様に行い、ショウガ発酵組成物を得た。
実施例15
水400mlにショウガ粉末12gとグルコース8gを加えた懸濁液を121℃で20分間殺菌し、その後室温まで冷却したグルコース含有ショウガ懸濁液に、ラクトバチルス・アシドフィルス NBRC 13951(独立行政法人製品評価基盤機構製)の前培養液が2重量%になるように植菌し、30℃、48時間で静置培養した。培養後、121℃で20分間殺菌した。殺菌後、培養液100mlに対してショウガ粉末68gを添加および混合し、該ショウガ粉末を後添加した混合物に、セルラーゼ1、セルラーゼ2、リパーゼ1、Tween80、水をそれぞれ170mg、100mg、32mg、450μl、500ml添加し、40℃で96時間酵素処理を行った。酵素処理後、121℃で20分間加熱し、酵素を失活させ、続いて85℃で35時間加熱し、その後凍結乾燥してショウガ発酵組成物を得た。
ショウガ粉末の添加量を20gとし、酵素処理におけるセルラーゼ1、セルラーゼ2、リパーゼ1、Tween80、水の添加量をそれぞれ55mg、32mg、10mg、145μl、100mlとしたこと以外は、実施例15と同様に行い、ショウガ発酵組成物を得た。
ショウガ粉末の後添加において、培養液200mlに対してショウガ粉末14.5gを添加したこと、および、酵素処理において、セルラーゼ1、セルラーゼ2、リパーゼ1、Tween80の添加量をそれぞれ50mg、29mg、9mg、150μlとし、水を添加しなかったこと以外は実施例15と同様に行い、ショウガ発酵組成物を得た。
表8より、実施例15〜17で得られた発酵組成物は、比較例1のショウガ粉末に比べて
辛みが低減していた。これは不溶性食物繊維が分解されて生成するグルコース、直糖の含有量が高いことによるものと推測される。
Claims (4)
- ショウガ科植物原料をアミラーゼおよびセルラーゼにより40〜100℃で処理し、前記処理物をグルコノバクター属微生物である酢酸菌で発酵させ(ただし、エタノールを0.5重量%以上含む条件での発酵を除く)た後、50〜130℃で加熱する工程、または、
ショウガ科植物原料をグルコースの存在下でグルコノバクター属微生物である酢酸菌で発酵させ(ただし、エタノールを0.5重量%以上含む条件での発酵を除く)、前記発酵物に第2のショウガ科植物原料を添加し、85〜121℃で加熱する工程を含む、
発酵組成物の製造方法。 - グルコノバクター属微生物がグルコノバクター・エスピーである、請求項1に記載の製造方法。
- さらに、酵素処理工程を有する、請求項1または2に記載の製造方法。
- 酵素処理が、セルラーゼ、アミラーゼまたはリパーゼによる処理である、請求項3に記載の製造方法。
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