JP6694425B2 - チキソトロピー性に優れる硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
これに対し、本発明者らは、硬化性エポキシ樹脂組成物において、チキソトロピー性が、コアシェルポリマーのシェル層成分やその量に応じて変化することを見出し、コアシェルポリマーのシェル層について鋭意検討することにした。
本発明は、上述の状況に鑑み、チキソトロピー性に優れ、さらに、得られる硬化物の接着性に優れる硬化性エポキシ樹脂組成物の提供を目的とする。
(A−1)ポリグリシジルエーテル、多価グリシジルアミン化合物、脂環式エポキシ樹脂等
本発明のエポキシ樹脂(A)は、エポキシ基を有する化合物であれば特に制限されないが、本発明に用いられるエポキシ樹脂はポリエポキシドとも言われるエポキシ樹脂であることが好ましい。前記のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA 、ビスフェノールF 、ビフェノール、フェノール類ノボラック等の多価フェノールとエピクロルヒドリンの付加反応生成物などのポリグリシジルエーテル(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等)、アニリン、ジアミノベンゼン、アミノフェノール、フェニレンジアミン、ジアミノフェニルエーテル等のモノアミンおよび多価アミンより誘導される多価グリシジルアミン化合物、シクロヘキシルエポキシ等の脂環式エポキシ構造を有する脂環式エポキシ樹脂、多価アルコール類とエピクロルヒドリンとの付加反応生成物、これらの一部の水素を臭素等のハロゲン元素で置換したハロゲン化エポキシ樹脂、アリルグリシジルエーテル等の不飽和モノエポキシドを含む単量体を重合して得られるホモポリマーもしくはコポリマーなどが例示される。多価フェノールより合成される多くのポリエポキシドは、例えば米国特許第4431782号に開示されている。ポリエポキシドの例としては更に、米国特許第3804735号、同第3892819号、同第3948698号、同第4014771号、及び、エポキシ樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社、昭和62年) に開示されているものが挙げられる。
また、本発明のエポキシ樹脂(A)としては、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリコールジグリシジルエーテル、脂肪族多塩基酸のジグリシジルエステル、二価以上の多価脂肪族アルコールのグリシジルエーテル、ジビニルベンゼンジオキシドも使用できる。これらは比較的低い粘度を有するエポキシ樹脂であり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂等の他のエポキシ樹脂と併用すると、反応性希釈剤として機能し、組成物の粘度と硬化物の物性のバランスを改良する事ができる。
さらに、本発明のエポキシ樹脂(A)としては、WO2010/098950号公報に記載されているような、エポキシ樹脂に多塩基酸類等を付加反応させて得られるエポキシ化合物も使用できる。例えば、トール油脂肪酸の二量体(ダイマー酸)とビスフェノールA型エポキシ樹脂との付加反応物が挙げられる。また、キレート変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、及び、ウレタン変性エポキシ樹脂も、エポキシ樹脂(A)成分として使用できる。
本発明のエポキシ樹脂(A)としては、キレート変性エポキシ樹脂が使用できる。キレート変性エポキシ樹脂はエポキシ樹脂とキレート官能基を含有する化合物(キレート配位子)との反応生成物であり、本発明の樹脂組成物に添加して車両用接着剤として用いた場合、油状物質で汚染された金属基材表面への接着性を改善できる。キレート官能基は、金属イオンへ配位可能な配位座を分子内に複数有する化合物の官能基であり、例えば、リン含有酸基(例えば、−PO(OH)2)、カルボン酸基(−CO2H)、硫黄含有酸基(例えば、−SO3H)、アミノ基及び水酸基(特に、芳香環において互いに隣接した水酸基)などが挙げられる。キレート配位子としては、エチレンジアミン、ビピリジン、エチレンジアミン四酢酸、フェナントロリン、ポルフィリン、クラウンエーテル、などが挙げられる。市販されているキレート変性エポキシ樹脂としては、ADEKA製アデカレジンEP−49−10N、などが挙げられる。エポキシ樹脂(A)成分100質量%中のキレート変性エポキシ樹脂の使用量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。
前記ゴム変性エポキシ樹脂は、ゴムとエポキシ基含有化合物とを反応させて得た、1分子当り平均して、エポキシ基を1.1個以上有する反応生成物であり、ゴムとしては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM)、ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム、ポリプロピレンオキシドやポリエチレンオキシドやポリテトラメチレンオキシド等のポリオキシアルキレンなどのゴム系重合体を挙げることができる。該ゴム系重合体は、アミノ基、ヒドロキシ基、またはカルボキシル基等の反応性基を末端に有するものが好ましい。これらのゴム系重合体とエポキシ樹脂とを公知の方法により適宜の配合比にて反応させた生成物を本発明に使用されるゴム変性エポキシ樹脂としてもよい。これらの中でも、アクリロニトリル−ブタジエンゴム変性エポキシ樹脂や、ポリオキシアルキレン変性エポキシ樹脂が、得られる樹脂組成物の接着性や耐衝撃剥離接着性の観点から好ましく、アクリロニトリル−ブタジエンゴム変性エポキシ樹脂がより好ましい。なお、アクリロニトリル−ブタジエンゴム変性エポキシ樹脂は、例えば、カルボキシル基末端NBR(CTBN)とビスフェノールA型エポキシ樹脂との反応により得られてもよい。また、ポリオキシアルキレン変性エポキシ樹脂は、例えば、アミノ基末端ポリオキシアルキレンとビスフェノールA型エポキシ樹脂との反応により得られてもよい。
前記アクリロニトリル−ブタジエンゴム100質量%中のアクリロニトリル単量体成分の含有量は、得られる樹脂組成物の接着性や耐衝撃剥離接着性の観点から、5〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%が更に好ましい。得られる樹脂組成物のチキソトロピー性の観点から、20〜30質量%が特に好ましい。
ゴム変性エポキシ樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記ウレタン変性エポキシ樹脂は、イソシアネート基との反応性を有する基とエポキシ基とを含有する化合物と、イソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーを反応させて得た、1分子当り平均して、エポキシ基を1.1個以上有する反応生成物である。例えば、ヒドロキシ基含有エポキシ化合物とウレタンプレポリマーを反応させることにより、ウレタン変性エポキシ樹脂が得られる。
ウレタン変性エポキシ樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のコアシェルポリマー(B)は、コア層とシェル層の少なくとも2層からなる。また、本発明のコアシェルポリマー(B)は、コア層と中間層とシェル層の3層からなるものでもよい。本発明のコアシェルポリマー(B)の体積平均粒子径は、0.03〜2.10μmが好ましく、0.05〜1.10μmがより好ましく、0.05〜0.30μmがさらに好ましく、0.08〜0.30μmが特に好ましい。体積平均粒子径が0.03μm未満のものを安定的に得ることは難しい場合が多く、2.10μmを超えると最終成形体の耐熱性や耐衝撃性が悪くなる恐れがある。
(コア層)
コア層は、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、ポリシロキサン系ゴムのいずれかを使用する。
本発明のコアシェルポリマー(B)のコア層は、天然ゴムやジエン系モノマー(共役ジエン系モノマー)および(メタ)アクリレート系モノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマー(第1モノマー)を50〜100質量%、および他の共重合可能なビニル系モノマー(第2モノマー)を0〜50質量%含んで構成されるゴム弾性体や、ポリシロキサンゴム系弾性体、あるいはこれらを併用したものが挙げられる。コアシェルポリマー(B)のコア層は、得られる硬化物の靱性改良効果および耐衝撃剥離接着性改良効果が高い点、および、マトリックス樹脂との親和性が低い為にコア層の膨潤による経時での粘度上昇が起こり難い点から、ジエン系モノマーを用いたジエン系ゴムが好ましい。多種のモノマーの組合せにより、幅広いポリマー設計が可能なことから、(メタ)アクリレート系ゴムが好ましい。また、硬化物の耐熱性を低下させることなく、低温での耐衝撃性を向上しようとする場合には、弾性コア層はポリシロキサン系ゴムであることが好ましい。なお、本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
第1モノマーの前記ジエン系モノマー(共役ジエン系モノマー)としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらのジエン系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、第1モノマーの前記(メタ)アクリレート系ゴムモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環含有(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアルキル(メタ)アクリレートなどのグリシジル(メタ)アクリレート類;アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;アリル(メタ)アクリレート、アリルアルキル(メタ)アクリレートなどのアリルアルキル(メタ)アクリレート類;モノエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に好ましくはエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
前記他の共重合可能なビニル系モノマー(第2モノマー)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレンなどのビニルアレーン類;アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアン類;塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのアルケン類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーなどが挙げられる。これらのビニル系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に好ましくはスチレンである。
また、前記ポリシロキサン系ゴムとしては、例えば、ジメチルシリルオキシ、ジエチルシリルオキシ、メチルフェニルシリルオキシ、ジフェニルシリルオキシ、ジメチルシリルオキシ−ジフェニルシリルオキシなどの、アルキル或いはアリール2置換シリルオキシ単位から構成されるポリシロキサン系ポリマーや、側鎖のアルキルの一部が水素原子に置換されたオルガノハイドロジェンシリルオキシなどの、アルキル或いはアリール1置換シリルオキシ単位から構成されるポリシロキサン系ポリマーが挙げられる。これらのポリシロキサン系ポリマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ジメチルシリルオキシ、メチルフェニルシリルオキシ、ジメチルシリルオキシ−ジフェニルシリルオキシが硬化物に耐熱性を付与する上で好ましく、ジメチルシリルオキシが容易に入手できて経済的でもあることから最も好ましい。コア層がポリシロキサン系ゴムから形成される態様において、ポリシロキサン系ポリマー部位は、硬化物の耐熱性を損なわないために、ゴム弾性体全体を100質量%として80質量%以上(より好ましくは90質量%以上)含有していることが好ましい。
コアシェルポリマー(B)のコア層には、硬化性エポキシ樹脂組成物中での分散安定性を保持する観点から、架橋構造が導入されていることが好ましい。架橋構造の導入方法としては、例えば、ポリマー成分に多官能性モノマーやメルカプト基含有化合物等の架橋性モノマーを添加し、次いで重合する方法などが挙げられる。また、ポリシロキサン系ポリマーに架橋構造を導入する方法としては、重合時に多官能性のアルコキシシラン化合物を一部併用する方法や、ビニル反応性基、メルカプト基などの反応性基をポリシロキサン系ポリマーに導入し、その後ビニル重合性のモノマーあるいは有機過酸化物などを添加してラジカル反応させる方法、あるいは、ポリシロキサン系ポリマーに多官能性モノマーやメルカプト基含有化合物などの架橋性モノマーを添加し、次いで重合する方法などが挙げられる。
前記多官能性モノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、アリルアルキル(メタ)アクリレート等のアリルアルキル(メタ)アクリレート類;アリルオキシアルキル(メタ)アクリレート類;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。特に好ましくはアリルメタアクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、及びジビニルベンゼンである。
本発明のコアシェルポリマー(B)のコア層は、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の靱性を高める為に、ゴムとしての性質を有することが好ましい。本発明のコアシェルポリマー(B)のコア層のゲル含量は、硬化物の靭性の観点から、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。ゲル含量とは、凝固、乾燥により得られたコアシェルポリマー0.5gをトルエン100gに浸漬し、23℃で24時間静置した後に不溶分と可溶分を分別したときの、不溶分と可溶分の合計量に対する不溶分の比率を意味する。
本発明において、コアシェルポリマー(B)のコア層のガラス転移温度(以下、単に「Tg」と称する場合がある)は、得られる硬化物の靱性を高める為に、0℃以下であることが好ましく、−20℃以下がより好ましく、−40℃以下が更に好ましく、−60℃以下であることが特に好ましい。
本発明のコアシェルポリマー(B)のコア層の体積平均粒子径は、0.03〜2μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましい。体積平均粒子径が0.03μm未満のものを安定的に得ることは難しい場合が多く、2μmを超えると最終成形体の耐熱性や耐衝撃性が悪くなる恐れがある。
本発明のコアシェルポリマー(B)のコア層は、コアシェルポリマー全体を100質量%として40〜97質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜93質量%が更に好ましく、80〜90質量%が特に好ましい。コア層が40質量%未満では硬化物の靱性改良効果が低下する場合がある。コア層が97質量%よりも大きいとポリマー微粒子が凝集し易くなり、硬化性エポキシ樹脂組成物が高粘度となり取り扱い難い場合がある。
本発明において、コア層は多層構造であってもよい。また、コア層が多層構造の場合は、各層のポリマー組成が各々相違していてもよい。
本発明のコアシェルポリマー(B)は、コア層とシェル層の間に中間層を有してもよい。特に、中間層として、以下のゴム表面架橋層を形成させてもよい。得られる硬化物の靱性改良効果および耐衝撃剥離接着性改良効果の点からは、中間層として、以下のゴム表面架橋層を含有しないことが好ましい。
前記多官能性モノマーの具体例としては、上述の多官能性モノマーと同じモノマーが例示されるが、好ましくはアリルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートである。
コアシェルポリマー(B)のシェル層は、シェル形成用モノマーを重合したものであるが、本発明に係る、コアシェルポリマー(B)成分とエポキシ樹脂(A)成分との相溶性を向上させ、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物、又はその硬化物中においてコアシェルポリマーが一次粒子の状態で分散することを可能にする役割を担うシェルポリマーからなる。
シェル層のグラフト率は、70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上)であることが好ましい。グラフト率が70%未満の場合には、液状樹脂組成物の粘度が上昇する場合がある。グラフト率の算出方法は、先ず、コアシェルポリマーを含有する水性ラテックスを凝固・脱水し、最後に乾燥してコアシェルポリマーのパウダーを得る。次いで、コアシェルポリマーのパウダー2gをメチルエチルケトン(MEK)100gに23℃で24時間浸漬した後にMEK可溶分をMEK不溶分と分離し、さらにMEK可溶分からメタノール不溶分を分離する。そして、MEK不溶分とメタノール不溶分との合計量に対するMEK不溶分の比率を求めることによって算出する。
本発明で用いるコアシェルポリマーを構成するコア層を形成するポリマーが、ジエン系モノマー(共役ジエン系モノマー)および(メタ)アクリレート系モノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマー(第1モノマー)を含んで構成される場合には、コア層の形成は、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などによって製造することができ、例えばWO2005/028546号公報に記載の方法を用いることができる。
乳化重合法を採用する場合には、公知の開始剤、すなわち2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどを熱分解型開始剤として用いることができる。
得られる硬化性樹脂組成物の取扱いやすさと、得られる硬化物の靱性改良効果のバランスから、コアシェルポリマー(B)の量は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましく、10〜35質量部が特に好ましい。
本発明では、ブロックドイソシアネート(C)は、靭性、耐衝撃性、せん断接着性、及び、T字剥離接着性などの性能を更に向上させる目的で添加する。ブロックドイソシアネート(C)成分は、コアシェルポリマー(B)成分と併用することで上記性能の向上に寄与する。
A−(NR2−C(=O)−X)a (1)
(式中、a個のR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基である。aはキャップされたイソシアネート基の1分子当たりの平均数を表し、1.1個以上が好ましく、1.5〜8個がより好ましく、1.7〜6個が更に好ましく、2〜4個が特に好ましい。Xは、後述するブロック剤から活性水素原子を除いた残基である。Aは、イソシアネート末端化プレポリマーから末端イソシアネート基を除いた残基である。)で表される。
末端に活性水素含有基を有する有機重合体を構成する主鎖骨格としては、ポリエーテル系重合体、ポリアクリル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリジエン系重合体、飽和炭化水素系重合体(ポリオレフィン)、ポリチオエーテル系重合体などが挙げられる。
末端に活性水素含有基を有する有機重合体を構成する活性水素含有基としては、水酸基、アミノ基、イミノ基、チオール基が挙げられる。これらの中でも、入手性の点から、水酸基、アミノ基、イミノ基が好ましく、更に得られるブロックドイソシアネートの取扱い易さ(粘度)の点から、水酸基がより好ましい。
前記ポリエーテル系重合体は、本質的に一般式(2):
−R1−O− (2)
(式中、R1は、炭素原子数1から14の直鎖状もしくは分岐アルキレン基である。)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、一般式(2)におけるR1は、炭素原子数1から14の、好ましくは2から4の、直鎖状もしくは分岐状アルキレン基が好ましい。一般式(2)で示される繰り返し単位の具体例としては、−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(C2H5)O−、−CH2C(CH3)2O−、−CH2CH2CH2CH2O−等が挙げられる。ポリエーテル系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特に、プロピレンオキシドの繰り返し単位を50質量%以上有するポリプロピレングリコールを主成分とする重合体から成るものは、T字剥離接着強さの観点で好ましい。また、テトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレングリコール(PTMG)は、動的割裂抵抗力の観点で、好ましい。
また、コアシェルポリマー(B)成分と併用する際には、得られる硬化性エポキシ樹脂組成物のチキソトロピー性の観点から、コアシェルポリマー(B)成分とブロックドイソシアネート(C)成分の比率は0.1〜10であることが好ましく、0.2〜5であることがさらに好ましく、0.3〜1であることが特に好ましい。
前記ポリエーテルポリオールは、末端に水酸基を有するポリエーテル系重合体であり、前記ポリエーテルアミンは、末端にアミノ基またはイミノ基を有するポリエーテル系重合体である。
前記ポリアクリルポリオールとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合体を骨格とし、かつ、分子内に水酸基を有するポリオールを挙げることができる。特に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを共重合して得られるポリアクリルポリオールが好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸等の多塩基酸およびその酸無水物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコールとを、エステル化触媒の存在下、150〜270℃の温度範囲で重縮合させて得られる重合体が挙げられる。また、ε−カプロラクトン、バレロラクトン等の開環重合物やポリカーボネートジオールやヒマシ油等の活性水素を2個以上有する活性水素化合物等も挙げられる。
前記ポリジエンポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリクロロプレンポリオールなどを挙げることができ、特に、ポリブタジエンポリオールが好ましい。
前記ポリオレフィンポリオールとしては、ポリイソブチレンポリオール、水添ポリブタジエンポリオールなどを挙げることができる。
前記ポリイソシアネート化合物の具体例としては、トルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化トルエンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートなどを挙げることができる。これらの中でも、耐熱性の点から、脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく、更に入手性の点から、イソフォロンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネートがより好ましい。
前記ブロック剤は、例えば、第一級アミン系ブロック剤、第二級アミン系ブロック剤、オキシム系ブロック剤、ラクタム系ブロック剤、活性メチレン系ブロック剤、アルコール系ブロック剤、メルカプタン系ブロック剤、アミド系ブロック剤、イミド系ブロック剤、複素環式芳香族化合物系ブロック剤、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート系ブロック剤、フェノール系ブロック剤が挙げられる。これらの中でも、オキシム系ブロック剤、ラクタム系ブロック剤、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート系ブロック剤、フェノール系ブロック剤が好ましく、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート系ブロック剤、フェノール系ブロック剤がより好ましく、フェノール系ブロック剤が更に好ましい。
前記ブロック剤は、それが結合する末端がもはや反応性基を有しないような態様で、ウレタンプレポリマーのポリマー鎖の末端に結合していることが好ましい。
前記ブロック剤は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
前記ブロックドイソシアネートは、架橋剤の残基、鎖延長剤の残基、または、その両方を含有していてもよい。
ポリプロピレングリコール構造を含むウレタンプレポリマーをブロック剤(好ましくはフェノール系ブロック剤)でキャップした化合物は、T字剥離接着強さを改善する観点から使用されてもよく、ポリテトラメチレングリコール構造を含むウレタンプレポリマーをブロック剤(好ましくはフェノール系ブロック剤)でキャップした化合物は、動的割裂抵抗力を改善する観点から使用されてもよい。
前記架橋剤の分子量は750以下が好ましく、より好ましくは50〜500であり、かつ、1分子当たり少なくとも3個のヒドロキシル基、アミノ基および/またはイミノ基を有するポリオールまたはポリアミン化合物である。架橋剤はブロックドイソシアネートに分岐を付与し、ブロックドイソシアネートの官能価(即ち、キャップされたイソシアネート基の1分子当たりの数)を増加させるのに有用である。
前記鎖延長剤の分子量は750以下が好ましく、より好ましくは50〜500であり、かつ、1分子当たり2個のヒドロキシル基、アミノ基および/またはイミノ基を有するポリオールまたはポリアミン化合物である。鎖延長剤は、官能価を増加させずにブロックドイソシアネートの分子量を上げるのに有用である。
ブロックドイソシアネートの量は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましく、10〜35質量部が特に好ましい。1質量部未満では、靱性、耐衝撃性、接着性などの改質効果が十分ではない場合があり、50質量部より多いと、得られる硬化物の弾性率が低くなる場合がある。ブロックドイソシアネートは単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、必要に応じてエポキシ硬化剤(D)を使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を仮に一成分型接着剤として使用する場合、80℃以上、好ましくは140℃以上の温度まで加熱すると接着剤が急速に硬化するようにエポキシ硬化剤(D)成分を選択するのが好ましい。逆に、室温(約22℃)や少なくとも50℃までの温度では硬化するとしても非常にゆっくりとなるよう、エポキシ硬化剤(D)成分および後述の(E)成分を選択するのが好ましい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、硬化促進剤(E)を使用することができる。
硬化促進剤(E)成分は、エポキシ基と、硬化剤や接着剤の他の成分上のエポキシド反応性基との反応)を促進するための触媒である。
硬化促進剤(E)成分としては、尿素類、例えば、p−クロロフェニル−N,N−ジメチル尿素(Monuron)、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素(Phenuron)、3,4−ジクロロフェニル−N,N−ジメチル尿素(Diuron)、N−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−N’,N’−ジメチル尿素(Chlortoluron)、tert−アクリル−またはアルキレンアミン、例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ポリ(p−ビニルフェノール)マトリックスに組み込まれた2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ピペリジンまたはこれらの誘導体、イミダゾール誘導体、一般にC1−C12アルキレンイミダゾールまたはN−アリールイミダゾール、例えば、2−エチル−2−メチルイミダゾールまたはN−ブチルイミダゾール、6−カプロラクタム、等が挙げられる。触媒は封入されていてもよく、あるいは、温度を上げた場合にのみ活性となる潜在的なものでもよい。硬化促進剤(E)成分は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤を使用することができる。充填剤の具体例としては、ポリジメチルシロキサンで表面処理した疎水性ヒュームドシリカなどの乾式シリカ、湿式シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ドロマイトおよびカーボンブラックの如き補強性充填材;タルクやウォラストナイト等の板状フィラー;膠質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華等が挙げられる。また、200μmまでの平均粒子径と0.2g/ccまでの密度を有するマイクロバルーンも使用できる。粒子径は好ましくは約25〜150μmであり、密度は好ましくは約0.05〜約0.15g/ccである。市販されているマイクロバルーンとしては、Dualite Corporation製Dualite、アクゾノーベル社製Expancel、松本油脂製薬製マイクロスフェアーなどが挙げられる。
また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、必要に応じ、反応性希釈剤として、モノエポキシド、例えば、脂肪族グリシジルエーテル、例えばブチルグリシジルエーテル、あるいはフェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C8−C10アルキルグリシジルエーテル、C12−C14アルキルグリシジルエーテル、p−tertブチルフェニルグリシジルエーテル、ネオデカン酸モノグリシジルエーテルを含んでいてもよい。
本発明では、必要に応じて、その他の配合成分を使用することができる。その他の配合成分としては、酸化カルシウムなどの脱水剤、顔料や染料等の着色剤、体質顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定化剤(ゲル化防止剤)、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、減粘剤、低収縮剤、有機質充填剤、熱可塑性樹脂、乾燥剤、分散剤等が挙げられる。
本発明には、上記硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化した硬化物が含まれる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、チキソトロピー性に優れ、一液型接着剤として使用できる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、車両や航空機向けの構造用接着剤などの接着剤、塗料、ガラス繊維との積層用材料、炭素繊維との積層用材料、プリント配線基板、電気絶縁材料等の用途に好ましく用いられる。特に、車両用の構造接着剤として有用である。
製造例に記載されたポリブタジエンゴムラテックス中のポリブタジエンゴム粒子、コアシェルポリマーラテックス中のコアシェルポリマー粒子について、それぞれの平均粒子径の測定方法を以下に記載する。
ポリブタジエンゴムラテックス中のポリブタジエンゴム粒子、コアシェルポリマーラテックス中のコアシェルポリマー粒子について、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて、体積平均粒子径を測定した。
E型粘度計を用いて、ずり速度を1(s-1)とした条件で測定した硬化性エポキシ樹脂組成物の粘度をηaとし、ずり速度を2(s-1)とした条件で測定した硬化性エポキシ樹脂組成物の粘度をηbとし、ηbを1としたηaの倍率で評価した。ηbを1としたηaの倍率が高いほど、チキソトロピー性が良好である。
E型粘度計は、BROOKFIELD社製デジタル粘度計DV−II+Pro型を用いて測定した。スピンドルCPE−52を使用し、23℃で測定した。
E型粘度計を用いて、ずり速度を2(s-1)とした条件で測定した硬化性エポキシ樹脂組成物の貯蔵前粘度をη0とし、40℃で7日間貯蔵した貯蔵後粘度をη1とし、η0を1としたη1の倍率で評価した。η0を1としたη1の倍率が低いほど、貯蔵安定性が良好である。E型粘度計は、BROOKFIELD社製デジタル粘度計DV−II+Pro型を用いて測定した。スピンドルCPE−52を使用し、23℃で測定した。
JIS K 6850に準じてせん断接着強さを評価した。幅25mm×長さ100mm×厚み1.6mmの2枚のSPCC鋼板に、硬化性エポキシ樹脂組成物を塗布し、接着層が幅25mm×長さ12.5mm×厚み0.13mmとなるように貼りあわせ、170℃の条件下で1時間硬化させ試験体を作製した。
測定温度を23℃、テストスピードを1.3mm/minとした測定条件で、単位をMPaとしたせん断接着強さを測定した。
JIS K 6854に準じてT字剥離接着強さを評価した。幅25mm×長さ200mm×厚み0.5mmの2枚のSPCC鋼板に、硬化性エポキシ樹脂組成物を塗布し、接着層が幅25mm×長さ150mm×厚み0.26mmとなるように貼り合わせ、170℃の条件下1時間硬化させ、試験体を作製した。測定温度を23℃、テストスピードを254mm/minとした測定条件で、単位をN/25mmとしたT字剥離接着強さを測定した。
ISO 11343に準じて動的割裂抵抗力を評価した。幅20mm×長さ90mm×厚み0.8mmの2枚のSPCC鋼板に、硬化性エポキシ樹脂組成物を塗布し、接着層が幅20mm×長さ30mm×厚み0.26mmとなるように貼りあわせ、170℃の条件下で1時間硬化させ試験体を作製した。
測定温度を23℃、衝撃エネルギーを50J、衝撃スピードを2m/sとした測定条件で、単位をkN/mとした動的割裂抵抗力を測定した。
製造例1−1および製造例1−2に、コアシェルポリマーのコア層であるポリブタジエンゴムを含むポリブタジエンゴムラテックス(R−1)および(R−2)の調製方法を記載した。製造例2−1から製造例2−10に、コアシェルポリマーラテックス(L−1)〜(L−10)の調製方法を記載した。製造例3−1から製造例3−10に、コアシェルポリマーが分散しているエポキシ樹脂(N)の調製方法を記載した。
耐圧重合機中に、脱イオン水200質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.002質量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部、及び、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)1.55質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ブタジエン(Bd)100質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.03質量部、続いてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.10質量部を投入し重合を開始した。重合開始から3、5、7時間目それぞれに、パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.025質量部を投入した。また、重合開始4、6、8時間目それぞれに、EDTA0.0006質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.003質量部を投入した。重合15時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリブタジエンゴムを主成分とするポリブタジエンゴムラテックス(R−1)を得た。得られたラテックスに含まれるポリブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は0.08μmであった。
耐圧重合機中に、製造例1−1で得たポリブタジエンゴムラテックス(R−1)を21質量部(ポリブタジエンゴム7質量部を含む)、脱イオン水185質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、EDTA0.002質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、Bd93質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。PHP0.02質量部、続いてSFS0.10質量部を投入し重合を開始した。重合開始から24時間目まで3時間おきに、それぞれ、PHP0.025質量部、及びEDTA0.0006質量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.003質量部を投入した。重合30時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリブタジエンゴムを主成分とするポリブタジエンゴムラテックス(R−2)を得た。得られたラテックスに含まれるポリブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は0.20μmであった。
表1に、コアシェルポリマー(L−1)〜(L−10)の製造例を製造例2−1〜製造例2−10として記した。
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及びモノマーの添加装置を有するガラス反応器に、製造例1で調製したポリブタジエンゴム粒子を83質量部含むポリブタジエンゴムラテックス(R−1)250質量部、及び、脱イオン水65質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.004質量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部、及びSFS0.2質量部を加えた後、シェル層を形成するグラフトモノマー17質量部(アクリロニトリル3.9質量部、スチレン5.4質量部、メチルメタクリレート7.7質量部)、およびクメンヒドロパーオキサイド0.04質量部の混合物を2時間かけて連続的に添加しグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させ、コアシェルポリマーのラテックス(L−1)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.10μmであった。
製造例2−1におけるポリブタジエンゴムラテックス、グラフトモノマーを、表1のような水準として、同様にコアシェルポリマーラテックスを調製した。表1に、コアシェルポリマー(L−1)〜(L−10)のそれぞれの体積平均粒子径を示す。
製造例3−1;コアシェルポリマーが分散しているエポキシ樹脂(N−1)の調製
25℃の1L混合槽に、メチルエチルケトン132gを導入し、撹拌しながら、製造例2−1で得られたコアシェルポリマー40gを含む水性ラテックス(L−1)を132g投入した。均一に混合後、水200gを80g/分の供給速度で投入した。水を供給した後、速やかに撹拌を停止したところ、浮上性の凝集体および有機溶媒を一部含む水相からなるスラリー液を得た。次に、一部の水相を含む凝集体を残し、水相360gを槽下部の払い出し口より排出させた。得られた凝集体にメチルエチルケトン90gを追加して均一に混合し、コアシェルポリマーが分散した溶液を得た。この溶液に、(A)成分であるエポキシ樹脂(A−1:三菱化学社製、JER828EL)80gを混合し、回転式の蒸発装置で揮発分を除去し、コアシェルポリマーが分散しているエポキシ樹脂(N−1)を得た。
製造例3−1のコアシェルポリマーの水性ラテックス(L−1)を、製造例3−2〜製造例3−10のコアシェルポリマーの水性ラテックス(L−2)〜(L−10)に置き換えて、製造例3−1と同様の方法にて、コアシェルポリマーが分散しているエポキシ樹脂(N−2)〜(N−10)を得た。
表2および表3に、(A)エポキシ樹脂、(N)コアシェルポリマーが分散しているエポキシ樹脂、(C)ブロックドイソシアネート、(D)エポキシ硬化剤、(E)硬化促進剤、その他配合原料を配合した硬化性エポキシ樹脂組成物の配合組成と、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の評価結果について示す。
表2には、(C)ブロックドイソシアネートとして、ポリプロピレングリコール構造を有するブロックドイソシアネートである(C−1)アデカレジンQR−9466を用いた。
なお、表2および表3において使用した配合原料を以下に示す。
(A)エポキシ樹脂
(A−1)JER828EL(三菱化学製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
(N)コアシェルポリマーが分散しているエポキシ樹脂組成物
(N−1)〜(N−10);製造例3−1〜3−10に記載した。
(B)コアシェルポリマー
(B−1)〜(B−10);製造例2−1から製造例2−10に記載したコアシェルポリマーラテックス(L−1)から(L−10)に含まれるコアシェルポリマーである。組成については、表1を参照のこと。
(C)ブロックドイソシアネート
(C−1)アデカレジンQR−9466(ADEKA製、ポリプロピレングリコール構造を含むブロックドイソシアネート、ブロックNCO当量220、粘度30000mPa・s/25℃)
(C−2)Flexibilizer DY 965(Huntsman製、ポリテトラメチレングリコール構造を含むブロックドイソシアネート、Epoxide Eq.Weight558−667[EEW,g/eq]、粘度 4400−12800cP/25℃)
(D)エポキシ硬化剤
(D−1)Dyhard 100S(AlzChem製、ジシアンジアミド)
(E)硬化促進剤
(E−1)Dyhard UR300(AlzChem製、1,1−ジメチル−3−フェニルウレア)
その他配合原料
(重質炭酸カルシウム)ホワイトンSB赤(白石カルシウム製、無処理重質炭酸カルシウム、平均粒子径:1.8μm)
(酸化カルシウム)CML#31(近江化学工業製)
(カーボンブラック)MONARCH 280(Cabot製)
(反応性希釈剤)Cardula E10P(Momentive製、バーサチック酸グリシジルエステル)
図2、5は、コアシェルポリマーのシェル層のグリシジルメタクリレート(GMA)とT字剥離接着強さ(図中、T−Peelで示す。)及びせん断接着強さ(図中、Lap Shearで示す。)との関係を示し、シェル層にグリシジルメタクリレートが所定量(0質量%超20質量%未満)含まれると、これら特性を改善することができる(図2ではポリプロピレングリコール構造を含むブロックドイソシアネートを用いた(図中のGMA比率%は、実施例1、5、6、7、8で使用したものに対応する)。図5ではポリテトラメチレングリコ-ル構造を含むブロックドイソシアネートを用いた(図中のGMA比率%は、実施例10、12、13、14、15で使用したものに対応する)。)。
図3、6は、コアシェルポリマーのシェル層のグリシジルメタクリレート(GMA)と動的割裂抵抗力(図中、Impact Peelで示す。)との関係を示し、シェル層にグリシジルメタクリレートが所定量(0質量%超20質量%未満)含まれると、動的割裂抵抗力を改善することができる(図3ではポリプロピレングリコール構造を含むブロックドイソシアネートを用いた(図中のGMA比率%は、実施例1、5、6、7、8で使用したものに対応する)。図6ではポリテトラメチレングリコ-ル構造を含むブロックドイソシアネートを用いた(図中のGMA比率%は、実施例10、12、13、14、15で使用したものに対応する)。)。
ポリテトラメチレングリコール構造を含むウレタンプレポリマーをブロック剤(好ましくはフェノール系ブロック剤)でキャップした化合物は、ポリプロピレングリコール構造を含むウレタンプレポリマーをブロック剤(好ましくはフェノール系ブロック剤)でキャップした化合物よりも、貯蔵安定性、動的割裂抵抗力を改善することができる(実施例1〜16、図1、3、4、6参照)
Claims (15)
- エポキシ樹脂(A)100質量部に対し、
コアシェルポリマー(B)1〜50質量部および
ブロックドイソシアネート(C)1〜50質量部を含有する硬化性エポキシ樹脂組成物であって、
コアシェルポリマー(B)のコア層が、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、ポリシロキサン系ゴムのいずれかからなり、
コアシェルポリマー(B)のシェル層が、シェル層を構成するモノマー全量を100質量%とし、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー10〜95質量%、エポキシ基を有するモノマーを0〜50質量%、およびそれらと共重合可能なモノマー0〜90質量%からなることを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物。 - それらと共重合可能なモノマーが5〜90質量%である請求項1に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- コアシェルポリマー(B)のシェル層が、シェル層を構成するモノマー全量を100質量%とし、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー50〜95質量%、およびエポキシ基を有するモノマー5〜50質量%からなる請求項1に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- コアシェルポリマー(B)のシェル層が、シェル層を構成するモノマー全量を100質量%とし、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー90〜95質量%、およびエポキシ基を有するモノマー5〜10質量%からなる請求項1または3に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- エポキシ基を有するモノマーがグリシジルメタクリレートである請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- アルコキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーが2−メトキシエチルアクリレートである請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- コアシェルポリマー(B)のコア層が、ブタジエンゴム、および/または、ブタジエン−スチレンゴムからなる請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- コアシェルポリマー(B)の体積平均粒子径が0.05〜0.30μmである請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- ブロックドイソシアネート(C)が、ポリプロピレングリコール構造を含むウレタンプレポリマーをブロック剤でキャップした化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- ブロックドイソシアネート(C)が、ポリテトラメチレングリコール構造を含むウレタンプレポリマーをブロック剤でキャップした化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 更に、エポキシ硬化剤(D)1〜40質量部を含有する請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 更に、硬化促進剤(E)0.1〜10質量部を含有する請求項1〜11のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化した硬化物。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を用いてなる構造接着剤。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を用いてなる車両用構造接着剤。
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