JP6694982B2 - 音響透過性材料 - Google Patents
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Description
(1)前記酸化処理SUS繊維(b)の表面におけるFe酸化成分の原子濃度>前記SUS繊維(a)の表面におけるFe酸化成分の原子濃度
(2)前記酸化処理SUS繊維(b)におけるFe成分の原子濃度がFe酸化成分の原子濃度よりも高くなる深度>前記SUS繊維(a)におけるFe成分の原子濃度がFe酸化成分の原子濃度よりも高くなる深度
(3)前記酸化処理SUS繊維(b)におけるCr酸化成分の最大原子濃度地点深度>前記SUS繊維(a)におけるCr酸化成分の最大原子濃度地点深度
本発明(II)は、前記酸化処理SUS繊維(b)におけるFe酸化成分の最大原子濃度地点深度<前記酸化処理SUS繊維(b)におけるCr酸化成分の最大原子濃度地点深度の関係にある、ことを特徴とする前記発明(I)の音響透過性材料である。
本発明(III)は、少なくとも一部の前記酸化処理SUS繊維(b)同士が焼結している、ことを特徴とする前記発明(I)又は(II)の音響透過性材料である。
本発明(III)によれば、焼結後の金属繊維材料の強度を高めることができるという効果を奏する。
1)音響透過性材料
1−1)原料
1−2)SUS繊維シート
1−2−1)SUS繊維シートの構造
1−2−2)SUS繊維シートの製造方法
1−3)SUS繊維板
1−3−1)SUS繊維板の構造
1−3−2)SUS繊維板の製造方法
1−4)酸化処理方法
2)音響透過性材料の物性
2−1)SUS繊維表面の原子濃度分布
2−2)音響特性
2−3)音響透過のばらつきの低減
2−4)ポップノイズの低減
3)音響透過性材料の用途
本発明に係る音響透過性材料は、SUS繊維を酸化処理することにより得られた酸化処理SUS繊維が互いに交絡してなる音響透過性材料であって、その最表面の原子濃度比が特定の組成を有する音響透過性材料である。
本発明に係る音響性透過材料の原料は、ステンレスである。ステンレスであれば、本発明の効果を奏する限り、特に限定されない。尚、本発明において規定している原子濃度比は、Fe、Cr及びその酸化物についてのみであるが、それらの原子にステンレスを構成する元素が限定されるものではない。その他に一種、又は、二種以上の遷移金属元素を更に含有するものであってもよい。例えば、Mo、Ni、Al、Ti、Cu又はNb等が挙げられる。
(SUS繊維シートの構造)
当該SUS繊維シートは、金属繊維が互いに交絡した構造を採っている。また、当該SUS繊維シートを構成するSUS繊維の繊維径は、1μm〜50μmが好適であり、より好適には8μm〜20μmであり、かつアスペクト比が500〜3000のものが好ましく、更に好ましくは、アスペクト比が1000〜2000のものである。このようなSUS繊維であれば、SUS繊維同士を交絡させるのに好適であり、また、このようなSUS繊維同士を交絡させることにより、表面がけば立ちの少ないSUS繊維シートとすることが可能となる。尚、当該金属繊維シート及びその製造方法として、特開2000−80591、特許2649768及び特許2562761の記載内容も本明細書に組み込まれているものとする。
本発明に係るSUS繊維シートの製造方法は、1種又は2種以上のSUS繊維を含んで構成されるスラリーを湿式抄造法によりシート形成する際に、網上の水分を含んだシートを形成している前記SUS繊維を互いに交絡させる繊維交絡処理工程を含んで構成される。ここで、繊維交絡処理工程としては、例えば、抄紙後のSUS繊維シート面に高圧ジェット水流を噴射する繊維交絡処理工程を採用するのが好ましく、具体的には、シートの流れ方向に直交する方向に複数のノズルを配列し、この複数のノズルから同時に高圧ジェット水流を噴射することにより、シート全体に亘ってSUS繊維同士を交絡させることが可能である。即ち、湿式抄紙により平面方向に不規則に交差したSUS繊維で構成されるシートに、例えば、高圧ジェット水流をシートのZ軸方向に噴射することにより、高圧ジェット水流が噴射された部分のSUS繊維がZ軸方向に配向する。このZ軸方向に配向したSUS繊維が平面方向に不規則に配向したSUS繊維間に絡みつき、各繊維が互いに三次元的に絡み合った状態、即ち交絡することで物理的強度を得ることができるものである。また、抄造方法は、例えば、長網抄紙、円網抄紙、傾斜ワイヤ抄紙等、必要に応じて種々の方法を採用することができる。
(SUS繊維板の構造)
当該SUS繊維板においても、繊維が互いに交絡した構造を採っている。また、SUS繊維板が自立性を有するためには、テーバーこわさが5mN・m以上、曲げ抗力が100mN以上であることが好適である。また、このように、自立性を有する音響透過性材料において、空隙率を50%以上、厚さ3mm以下が好適であり、この範囲に設定することで、高い音響透過性を有する材料が得られる。尚、当該SUS繊維板及びその製造方法として、特開2013−061406の記載内容も本明細書に組み込まれているものとする。
空隙率(%)=(1−音響透過性材料の重量/(音響透過性材料の体積×繊維の比重))×100
なお、空隙率の値は、当業者の知識に基づいて、使用する繊維の太さ、量や、繊維が交絡した材料の密度や、圧縮成形における圧力によって調整することができる。
製造方法は、上述の繊維を含んで構成される原料を湿式抄造法によっても得られるが、自立性を付与するためには、より、圧縮成形により製造することが好適である。圧縮成形により、金属繊維を用いて本発明の音響透過性材料を製造する場合には、まずは繊維をまとめ、予備的に圧縮等することでウェブを形成する。又は繊維間の結合を付与するために繊維間にバインダーを含浸させてもよい。かかるバインダーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤などの有機系バインダーの他に、コロイダルシリカ、水ガラス、ケイ酸ソーダなどの無機質接着剤を用いることができる。なお、バインダーを含浸する代わりに、繊維の表面に熱接着性樹脂を予め被覆しておき、金属繊維の集合体を積層した後に加熱し接着してもよい。バインダーの含浸量は、シートの面重量1000g/m2に対して、5〜130gが好適であり、20〜70gがより好適である。
本発明に係るSUS繊維の酸化処理方法について、以下、装置の構成、酸化処理工程、次に、酸化条件について順に説明する。本発明に係るSUS繊維の表面元素濃度分布と同様の構成が形成される限り、その酸化方法は特に限定されない。以下、一例として酸素雰囲気下の熱処理について詳述するが、例えば、酸化剤を含む溶液中への浸漬や電解溶液中での陽極酸化による酸化処理を行うことも可能である。
酸化処理に用いる装置の構成としては、長手方向の両端が入口及び出口として開口した筒型ヒーターと、SUS繊維を移送して、筒型ヒーター内を通過させる線材移動手段と、ヒーター内に入口側から不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段と、ヒーター内の酸素ガスの濃度を調整する酸素濃度調整手段と、繊維の移動速度を調整する移送速度調整手段を備えることが好適である。
上記の構成の酸化処理装置を使用してSUS繊維を熱処理、本発明においては低温焼き鈍しをする場合、ヒーター内を満たす酸化性ガス(空気と窒素ガス)中の酸素ガスの濃度が均一化された中に低温のSUS繊維が移送されてくることになる。この過程におけるヒーター温度、窒素導入量、SUS繊維の移送速度の3つのパラメータを調整することで、所望の厚さの酸化皮膜を均一にSUS繊維の表面に形成することができる。なお、SUS繊維の移送中に、酸素濃度などの条件を変えてもよい。
酸化条件については、以下、ヒーター温度、窒素導入量、次に、線材(SUS繊維)の移動速度について順に説明する。
ヒーター温度は、特に限定されないが、300〜700℃とすることが好適である。より好適には、400℃〜600℃であり、形成する酸化皮膜の態様に応じて適宜調節が可能である。
窒素導入量は、特に限定されないが、0.10L〜1.00L/分を導入することが好適である。より好適には、0.20〜0.80L/分であり、形成する酸化皮膜の態様に応じて適宜調節が可能である。
加熱時の線材の移動速度は、特に限定されないが、0.10m〜1.00m/分であることが好適である。より好適には、0.20〜0.80m/分であり、形成する酸化皮膜の態様に応じて適宜調節が可能である。
酸化処理工程を施す時期としては、特に限定されない。繊維を交絡させ、シート状や板状にする前でもよく、後でもよい。但し、焼結されたSUS繊維は、本発明に好適であるが、焼結の条件によっては、表面元素濃度分布に影響を与えるため、その条件と酸化時期については、考慮する必要がある。
<SUS繊維表面の原子濃度分布>
上述の酸化処理工程を経ることにより、本発明のSUS繊維の深さ方向の表面プロファイルは、大きく変化するという特徴を有する。通常、ステンレスは、その表面が、空気中の酸素によって酸化されて厚さ数nm程度の極めて薄い不動態膜(Crに酸素、水酸基、水が結合した化合物)が形成されている。本発明においては、上述の酸素雰囲気下、酸化処理を施すことで、この不動態膜の更に表面側にFe酸化成分を主な構成要素とする酸化皮膜を形成することが可能となる。
SUS繊維表面の深さ方向に対する解析は、下記スパッタ条件によりSUS繊維表面層を微量に削りながら下記測定条件によりエッチングESCA法により測定する。
分析装置 : Quantera SXM(アルバック・ファイ社製)
X線光源 : 単色化AlKα
X線出力、X線照射径 : 25.0W、φ100μm
測定領域 : Point 100μm2
光電子取込み角 :45deg
Narrow Scan:140eV;0.125eV/Step
加速電圧・電流 : 2.0kV
スパッタレート : 5.4nm/min(SiO2 換算)
(音響透過性)
本発明に係る音響透過性材料は、以下の測定方法1に従い測定された周波数特性の差(以下、「挿入損失」とする。)が中心周波数63Hz〜8kHzの各1/1オクターブ帯域で5dB以内(好適には2dB以内)となる性質を有することが好適である。なお、音響透過性材料は、中心周波数31.5Hz〜16kHzの各1/3オクターブ帯域で6dB以内(好適には3dB以内)、であることが好適である。連続正弦波スイープを用いる場合は1/3オクターブ帯域で評価する場合に準じるものとする。
本発明の音響透過性材料はその表面において、特定の表面元素濃度分布を有することにより、音響透過のばらつきを低減する効果を有する。ここで、一般に音を通す音響透過材料は、材料の空隙や材料の表面状態及び比重によって、音の通しやすさが左右される。即ち、空隙が小さく、材料表面がやわらかく、もしくは比重が小さくなると音は通りにくい傾向となる。これは音がそのような材料に当たった時に、その材料によって、反射・吸収される事で、音の透過を阻害するからである。
評価対象とする音響透過性材料(例えば、n=10)について、上述した挿入損失Δ(dB)を測定し、その平均値、標準偏差から変動係数を算出して評価する。
ポップ音による雑音(ポップノイズ)はマイクが取り込む低周波域の雑音である。有声音とは別に直近風源からの衝撃風(空気の移動)をマイクロホンユニットが感知してしまうことにより生じる。この衝撃風は直近風源からの風であるという点で、自然風、室内空調、又は扇風機などのファン風とは異なる。従来品である酸化処理を行わない音響透過性材料においても、このポップ音を低減させる効果が認められていた。しかし、本発明の音響透過性材料はこのポップノイズを更に低減する効果を有する。
以下、図面を参照して本発明に使用できるポップノイズ測定方法及びノイズ測定装置の説明をする。また、以下説明では、図4及び図5における右側をX側と称し、左側を−X側と称することがある。
本発明の音響透過性材料が、ポップノイズを大きく低減させる理由については、明らかではないが、以下の原理が推定される。
本発明の音響透過性材料の用途としては、一般的には文化施設や住宅の壁、博物館や美術館や室内プールの天井、又は、マイクロフォン用風防若しくは映画スクリーン等が挙げられる。
SUS繊維(ステンレスAISI316L、繊維径30μm)を均一になるように重ね合わせて綿状のウェブを作成した。このウェブを目付けが950g/m2になるように量り取り、厚みが800μmになるように平板間で圧縮した。この圧縮し、板状になったものを焼結炉に入れ、真空雰囲気中で1100℃に加熱し、焼結させSUS繊維板1を得た。
SUS繊維(ステンレスAISI316L、繊維径30μm)を厚さ50μmにした点を除いては特許2562761の実施例1と同様の手法で、SUS繊維シート1を製造した。
SUS繊維板1及びSUS繊維シート1を表1に示す条件でそれぞれ酸化処理を行った。比較例1〜2及び実施例1〜7の酸化処理SUS繊維板及びシートを得た。
比較例1及び実施例1〜6について、エッチングESCA法により、上述した条件に従って、深さ方向の表面元素濃度分布について測定を行った。測定対象は、Fe成分、Fe酸化成分、Cr成分、Cr酸化成分、酸素原子及びNiであった。比較例1の測定結果を図1に、実施例1〜6についての測定結果をそれぞれ図2A〜図2Fに示した。尚、比較例1は酸化処理前のSUS繊維板1についての測定結果を記載したが、酸化処理後のSUS繊維板について上述した酸処理を施したものについての測定結果も略同一であった。更に、SUS繊維シートについても、酸化未処理、酸処理後及び酸化処理後の表面元素濃度分布において、同様の結果が得られた。
・測定方法
本願明細書中で説明した測定方法1に基づいて、音響透過性を評価した。伝送周波数特性については連続正弦波スイープ・FM短音・定常態ピンクノイズ・FM震音を用いるなど種々の方法があるが、ここでは図3に示すように、有効径10数cmのスピーカaを取り付けた約2250cm3の発音装置から連続正弦波スイープ音を放出し、その前面に、各実施例及び各比較例の音響透過性材料bを設置して、スピーカa前面より約1500mmの位置に設置したマイクcで測定される音圧応答の実効値を伝送周波数特性としレベルレコーダ等に記録した。その状態で音響透過性材料bの有り、無しの変化を挿入損失△(dB)として測定・確認した。スピーカaから放出した音源には、20Hzから20kHzまで、周波数変調を掛けない連続正弦波スイープを信号として用いた。ここで使用する音は、バックグラウンドノイズに対してS/N比で20dB以上とした。挿入損失は下記の式により求めた。
挿入損失△(dB)=試料の無い時のマイクロホンの周波数応答(dB)−試料を置いた時の周波数応答(dB)
実施例1〜7及び比較例1〜2のそれぞれ10個について、上述した試験方法により、挿入損失△(dB)を測定し、変動係数を算出した。算出した音響透過材の音響透過性の変動係数が0.5以下の場合は◎、1以下の場合は○、1以上の場合は×とした。
ポップノイズを上述した方法に従い、実施例1〜7及び比較例1〜2のそれぞれ10個について測定した。そのポップノイズの減衰量の平均値が、40dBを下回る場合は×、40dB以上は○、43dB以上は◎とした。
5cm角の試料の端部を持って逆の端部を持ちあげて、折曲がらない場合には自立性「有」とし、折れ曲がる場合には自立性「無」として評価した。
b サンプル
c マイク
1・・・・・音響透過材
2・・・・・ノイズ測定装置
3・・・・・無音衝撃風発生装置コントロール装置
4・・・・・直流結合サウンドカード
5・・・・・直流パワーアンプ
6・・・・・無音衝撃風発生装置
7・・・・・収音装置
8・・・・・スピーカボックス
9・・・・・グラスウール
61・・・・ハイコンプライアンスロールエッジスピーカ
62・・・・衝撃風スピードアップアダプタ
101・・・風防
621・・・第一スピードアップアダプタ
622・・・第二スピードアップアダプタ
623・・・パイプ
624・・・機械インピーダンス調整部材
Claims (2)
- SUS繊維が互いに交絡してなる音響透過性材料であって、
前記SUS繊維のエッチングESCA法による最表面のFe酸化成分の原子濃度が、15Atom%以上40Atom%以下であり、
前記SUS繊維のエッチングESCA法による最表面のCr酸化成分の原子濃度が10Atom%以下であることを特徴とする音響透過性材料。 - 少なくとも一部の前記SUS繊維同士が焼結している、ことを特徴とする請求項1記載の音響透過性材料。
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