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JP6695053B2 - 電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料及び電子レンジ対応食器 - Google Patents
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電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料及び電子レンジ対応食器 Download PDF

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Description

本発明は、電子レンジによる加熱に対応可能な食器を製造するための成形材料として用いられる電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料及びこれを用いて製造された電子レンジ対応食器に関する。
電子レンジ対応食器を製造するにあたって、陶器やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が代表的な材料として用いられている。しかし、陶器は破損しやすく、またPET樹脂成形材料は着色しにくいといった欠点を有している。
一方、上記のような欠点がない材料として、メラミン樹脂が知られている。メラミン樹脂成形材料は硬度が大きく、着色が自由にできるほか、耐水性や耐薬品性などに優れており、食器用として好適に用いることができる。
従来、食器を製造するためのメラミン樹脂成形材料として、粉末パルプを含有して調製されたものが用いられてきた(例えば特許文献1)。また綿粉を補強材として含有するメラミン樹脂成形材料も提案されている(例えば特許文献2)。
特開2000−129083号公報 特許第3815346号公報
しかしながら、従来のメラミン樹脂成形材料で製造された食器は、メラミン樹脂の比率が高いため、耐熱性が不足し、電子レンジでの加熱に対する耐久性が低く、クラックが発生するという現象が起こり得る。
そこで、特許文献1のように粉末パルプを多めに配合してメラミン樹脂の比率を下げる方法も考えられる。ところが粉末パルプは水分を吸収しやすい。そのため、粉末パルプを含有するメラミン樹脂成形材料で製造された食器を電子レンジで加熱すると、粉末パルプが吸収した水分が加熱されて蒸発し、これにより食器にクラックが生じるという問題点がある。
また特許文献2では綿粉を使用することで上記の問題点の解決を試みているが、特に電子レンジ高周波適正性などの耐久性を含む全体的な特性を満足するには至っていない。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、特に電子レンジ高周波適正性に優れ、かつ電子レンジ対応食器に要求される全体的な諸特性を満足する電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料及び電子レンジ対応食器を提供することを目的とする。
本発明に係る電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料は、
メラミン樹脂と、
充填材と、
シリコーンエラストマーと、
を含有し、
前記電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料全体に対して、前記シリコーンエラストマーの含有量が1〜29.5質量%であることを特徴とする。
前記メラミン樹脂にメラミン樹脂硬化物粉末が含有されていることが好ましい。
前記電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料全体に対して、前記メラミン樹脂硬化物粉末の含有量が4〜15質量%であることが好ましい。
前記シリコーンエラストマーの形態は粉末であり、この粉末の平均粒径は1μm以上10μm以下であることが望ましい。
本発明に係る電子レンジ対応食器は、
前記電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料の成形品であることを特徴とする。
本発明に係る電子レンジ対応食器は、
前記電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料の成形品である、電子レンジ対応食器であって、前記電子レンジ対応食器は、少なくとも食器の形状を構成するメラミンベース部と、このメラミンベース部の表面に形成されたグレーズ部とを有し、メラミンベース部における前記シリコーンエラストマーの含有量が1質量%以上29.5質量%以下であることが好ましい。
本発明によれば、電子レンジ対応食器に要求される全体的な諸特性を満足することができる。
図1は、従来例1(シリコーンエラストマーの含有量が0質量%、メラミン硬化物粉末の含有量が0質量%の成形品)の断面をFT−IRで分析して得られるチャートである。 図2は、実施例8(シリコーンエラストマーの含有量が24.3質量%、メラミン硬化物粉末の含有量が19.4質量%の成形品)の断面をFT−IRで分析して得られるチャートである。 図3は、図1に示すチャート(点線)と図2に示すチャート(実線)とを重ね書きしたチャートである。 図4は、従来例1と実施例8の透過率の差を示すグラフである。 図5は、図4に示した透過率差(実線)と、シリコーンエラストマー単体をFT−IRで分析して得られるチャート(点線)とを重ね書きしたグラフである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態の電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料(以下単に「メラミン樹脂成形材料」ともいう。)は、メラミン樹脂と、充填材と、シリコーンエラストマーとを含有する。前記メラミン樹脂成形材料は、成形品の中でも特に電子レンジ対応食器の製造に好適に用いられる。
前記メラミン樹脂は、アルカリ性条件下でのメラミンとホルムアルデヒドとの反応により得られるメチロールメラミンを重縮合させることにより得られる合成樹脂である。メラミンに対するホルムアルデヒドのモル比は例えば1.2〜3である。前記メラミン樹脂の具体例としては、メチロール化メラミン樹脂、メチロール化メラミン−フェノール共縮合樹脂、メチロール化メラミン−ユリア共縮合樹脂、メチロール化メラミン−エポキシ共縮合樹脂、粉末状メラミンホルムアルデヒド縮重合樹脂(例えばパナソニック株式会社製「CP9012」)を挙げることができる。
前記メラミン樹脂の含有量は、前記メラミン樹脂、前記充填材及び前記シリコーンエラストマーの合計質量(100質量%)に対して、63〜70質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲内であると、成形品中に残留する未反応のメラミン樹脂の含有量を減少させることができ、この成形品を電子レンジによって加熱した場合に縮合水の発生を抑制することが可能となり、縮合水に起因するクラックの発生を防止することができる。
前記メラミン樹脂にはメラミン樹脂硬化物粉末が含有されていることが好ましい。すなわち、前記メラミン樹脂には、前記メラミン樹脂硬化物粉末と、未硬化のメラミン樹脂との両方が含有されていることが好ましい。前記メラミン樹脂硬化物粉末は、未硬化のメラミン樹脂を加熱して硬化させて得られた硬化物を粉砕することによって得ることができる。前記メラミン樹脂が未硬化のメラミン樹脂のみからなると、成形時に生じる縮合水がそのまま成形品に残留するおそれがある。しかし、前記メラミン樹脂の一部が前記メラミン樹脂硬化物粉末であると、成形時に生じる縮合水を減量することができ、電子レンジによる加熱の際に成形品にクラックが発生することをさらに抑制することができる。
前記メラミン樹脂硬化物粉末の含有量は、前記電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料全体(100質量%)に対して、4〜15質量%の範囲内であることが好ましい。前記メラミン樹脂硬化物粉末の含有量が5質量%以上であることにより、未硬化のメラミン
樹脂の含有量を相対的に減少させて縮合水の発生を抑制することができる。前記メラミン樹脂硬化物粉末の含有量が15質量%以下であることにより、成形品の製造に必要な量の未硬化のメラミン樹脂を確保することができる。
前記充填材には、有機充填材及び無機充填材が含まれる。有機充填材の具体例としては、粉末セルロースを挙げることができる。無機充填材の具体例としては、硫酸バリウムを挙げることができる。前記メラミン樹脂成形材料には、有機充填材及び無機充填材の両方が含有されていてもよいし、いずれか一方のみが含有されていてもよい。
前記シリコーンエラストマーは、シリコーンポリマーを三次元網目状に形成した架橋ポリマーであって、例えばジメチルポリシロキサンを架橋させたエラストマーパウダーが使用可能である。シリコーンエラストマーは、一般的なゴム等のエラストマーに比べて耐水性や耐スチーム性、耐熱性に優れているので食器素材として有用である。特に、スキンケアやメイクアップ化粧品等に用いられるシリコーンエラストマーはプレス成形性や粉体の流動性に優れており、これらスキンケアやメイクアップ化粧品に使われるシリコーンエラストマーを本実施の形態で用いることは有用である。
前記シリコーンエラストマーの含有量は、前記電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料全体(100質量%)に対して、1〜29.5質量%の範囲内である。このように、前記メラミン樹脂成形材料に上記の含有量の前記シリコーンエラストマーが含有されていることで、成形品の電子レンジ高周波適正性、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐変色性を向上させることができる。特に電子レンジ高周波適正性については、例えば、成形品を電子レンジで定格高周波出力750Wとして加熱し、成形品にクラックが発生するまでの加熱時間を計測した場合に、この加熱時間が170秒以上であれば電子レンジ高周波適正性が向上したといえる。さらに前記メラミン樹脂成形材料に前記メラミン樹脂硬化物粉末が含有されていれば、上記の加熱時間が300秒以上となり、成形品の電子レンジ高周波適正性がさらに向上するので好ましい。
なおシリコーンエラストマーの含有量が電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料全体に対して、1質量%未満の場合、シリコーンエラストマーの添加効果が低い場合があり、電子レンジ対応食器の電子レンジ高周波適正性が低くなるなどの影響を与える場合がある。またシリコーンエラストマーの含有量が電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料全体に対して、29.5質量%を超えた場合、所望の形状に成形しにくいなどの成形性が低くなるという影響を与える場合があったり、成形品(電子レンジ対応食器)が高価になるなどの価格に影響を与える場合がある。
なお、電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料に含まれているシリコーンエラストマーの含有量は、電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料全量に対して、望ましくは5質量%以上、更には10質量%以上とすることで、電子レンジ対応食器の電子レンジ高周波適正性を高めることができる。また電子レンジ高周波適正性は、使用する食器の大きさや形状、意匠等の影響を受ける場合は、電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料全量に対するシリコーンエラストマーの含有量を増加することが望ましい。
シリコーンエラストマーの形態は粉末であることが好ましい。このシリコーンエラストマーの粉末の平均粒径は1μm以上10μm以下であることが好ましい。またシリコーンエラストマーの粉末は多数個の粒子の集合体であるが、一粒一粒の粒子の形態は球状であってもよいし、不定形であってもよい。シリコーンエラストマーの粉末の平均粒径が1μm未満のものは高価であり、メラミン樹脂成形材料中での分散性が低い場合がある。シリコーンエラストマーの粉末の平均粒径が10μmを超えると、電子レンジ対応食器の外観等に影響を与える場合がある。なお、シリコーンエラストマーの粉末の平均粒径の測定は、セラミック粉等の粒径測定に用いられるレーザー光を用いた測定方法や、電子顕微鏡写真等を元にした画像解析法による測定方法等から、適宜選択すれば良い。シリコーンエラストマーとして粉末状のものを用いることでメラミン樹脂組成物全体への分散性を高めることができる。またシリコーンエラストマーの粉末を構成する粒子の形状は球状でも、不定形でも、それぞれ用途に応じて使い分けすることができる。
シリコーンエラストマーの粉末は、嵩比重が0.05以上0.50以下、更には0.1以上0.3以下のものを用いることが望ましい。シリコーンエラストマーの粉末の嵩比重が0.05以下のものは取扱性に影響を与える場合がある。またシリコーンエラストマーの粉末の嵩比重が0.50を超えた場合、分散性に影響を与える場合がある。シリコーンエラストマーの粉末の真比重は0.90以上1.10以下、更には、0.95以上1.05以下が望ましい。真比重が0.90未満や1.10を超えるシリコーンエラストマーの粉末は誘電率に影響を与える添加物が含まれている場合がある。なおシリコーンエラストマーの嵩比重や真比重の測定方法は、JIS Z 8807を用いれば良い。またシリコーンエラストマーは、白色(JIS Z 8715等での白色度90%以上)のものを用いることが望ましい。白色度が90%未満のシリコーンエラストマーは電子レンジ対応食器の絵柄等に影響を与える場合がある。
前記メラミン樹脂成形材料には、本発明の効果を損なわない範囲内において、さらにその他の添加剤が含有されていてもよい。前記添加剤の具体例としては、硬化剤(例えば無水フタル酸)、離型剤(例えばステアリン酸亜鉛)、可塑剤を挙げることができる。
前記メラミン樹脂成形材料は、次のようにして製造することができる。まず前記メラミン樹脂、前記充填材、前記シリコーンエラストマー、必要に応じて前記添加剤を配合し、これをボールミルで粉砕して均一に混合する。次にこの混合物をロールを用いてシート化し、得られたシートを粉砕することによって、粉粒状の前記メラミン樹脂成形材料を得ることができる。あるいは上記の混合物をニーダーやロールで加熱、混練した後に冷却固化し、得られた固化物を粉砕機で粉砕することによって、粉粒状の前記メラミン樹脂成形材料を得ることができる。
本実施形態の電子レンジ対応食器は、上記のようにして得られた前記メラミン樹脂成形材料を例えば圧縮成形により成形することによって製造することができる。前記電子レンジ対応食器は、前記メラミン樹脂成形材料で形成されているので、特に電子レンジ高周波適正性に優れ、かつ一般的に電子レンジ対応食器に要求される全体的な諸特性(例えば成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐変色性)を満足することができる。
また電子レンジ対応食器に含まれているシリコーンエラストマーの含有量は、電子レンジ対応食器全体に対して1質量%以上29.5質量%以下が望ましい。29.5質量%を超える場合、電子レンジ対応食器が高価となる場合がある。また電子レンジ対応食器に含まれているシリコーンエラストマーの含有量が1質量%未満の場合、電子レンジ対応食器の電子レンジへの対応性や耐熱性に影響を与える場合がある。
なお電子レンジ対応食器の用途や調理方法、洗浄方法、乾燥温度等によっては、加熱時の変色が課題になる場合も考えられる。こうした場合、加熱された食器等の変色が目立たないように、電子レンジ対応食器用メラミン樹脂形成材料そのものを予め着色すれば良い。加熱が繰り返されることで食器等が変色することを視覚的に目立たないようにするには、電子レンジ対応食器用メラミン樹脂形成材料そのものを着色すれば良い。食器用メラミン樹脂形成材料そのものを着色するには、市販の着色材を使用できる。
このように本実施の形態の電子レンジ対応食器用メラミン樹脂形成材料は、電子レンジ対応食器の形成に加えて、食器形状や食器の主要構造を構成するメラミンベース部の形成に好適である。例えば、本実施の形態の電子レンジ対応食器用メラミン樹脂形成材料を用いて、食器の形状や食器の主要部を構成するメラミンベース部を形成し、このメラミンベース部の表面に、従来から使われているような印刷紙による絵付け部を形成しても良い。更にメラミンベース部や、絵付け部を覆うように一般のメラミン食器に使われているグレーズ層(あるいはグレーズ部)を形成することで、食器の表面の品質を高められる。このように本実施の形態の電子レンジ対応食器用メラミン樹脂形成材料を用いて作成した電子レンジ対応食器は、その用途等に応じて従来から使われている絵付け部やグレーズ部等との組合わせが容易である。
電子レンジ対応食器用メラミン樹脂形成材料そのものを予め着色する以外にも、必要に応じて成形品(メラミンベース部)の表面に形成するグレーズ層等を着色することも有用である。さらに必要に応じて印刷紙による絵付け等を併用することも有用である。印刷紙による絵付け等を行う場合、印刷紙等に含まれる炭素成分等(例えば、導電性カーボン)の含有率が高い場合、電子レンジ中で、これら成分等に高周波が集中し温度上昇し、成形品においてクラックや変色等が発生する場合がある。そのため印刷紙による絵付けを併用する場合、印刷紙や印刷紙の絵付け部分に含まれる着色剤やインク等には、電子レンジによる加熱時に影響を与えないものを選択することが有用である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお本発明のメラミン樹脂成形材料については、表1では主に実験用食器における電子レンジ性について、表2では主にカラープレートにおける150℃オーブンでの耐熱性について、それぞれ評価する。
(メラミン樹脂成形材料)
メラミン樹脂として、メラミン樹脂硬化物粉末以外のもの(メラミンホルムアルデヒド縮重合樹脂、パナソニック株式会社製「CP9013」)とメラミン樹脂硬化物粉末とを用いた。メラミン樹脂硬化物粉末は、次のようにして調製した。メラミン2400gに対してホルムアルデヒドを40%ホルマリンで2157g、NaOHを0.25g加え、95℃で50分間付加、縮合反応させた後、8kPaで減圧し、200℃の蒸気で加熱して減圧加熱脱水することによって固形状のメラミン樹脂を得た。このメラミン樹脂をボールミルで10時間粉砕することによってメラミン樹脂硬化物粉末を得た。
充填材として、有機充填材(粉末セルロース、日本製紙株式会社製「KCフロック」)及び無機充填材(硫酸バリウム、堺化学工業株式会社製)を用いた。
シリコーンエラストマーとして、東レ・ダウコーニング株式会社製「EP−2601」を用いた。このシリコーンエラストマーの形態は粉末であり、平均粒径は2μm、嵩比重は0.1(見掛け比重は0.1g/mL)である。
添加剤として、硬化剤(無水フタル酸、東邦化学工業株式会社製)、離型剤(ステアリン酸亜鉛)、可塑剤を用いた。
上記のメラミン樹脂、充填材、シリコーンエラストマー、添加剤を表1に示す配合量で配合し、これをボールミルで2時間粉砕して均一に混合した。次にこの混合物をニーダーで加熱、混練した後に冷却固化し、得られた固化物を粉砕機で粉砕することによって、メラミン樹脂成形材料を得た。
(試験用食器)
上記のようにして得られたメラミン樹脂成形材料を温度160℃、圧力20MPa、成形時間90分の条件で圧縮成形することによって、試験用食器として直径120mmの皿を製造した。
(成形性試験)
試験用食器の圧縮成形時において、外観に異常が見られなかったものを「○」、実用上問題とならない外観異常が見られたものを「△」、未充填などの外観異常が見られたものを「×」として成形性を評価した。
(電子レンジ高周波適正性試験)
試験用食器を電子レンジの受け皿の上に載せ、定格高周波出力750Wで加熱を開始し、試験用食器にクラックが発生するまでの加熱時間を計測し、これを電子レンジ高周波適正性試験とした。
(電子レンジにおける耐変色性試験)
試験用食器を電子レンジの受け皿の上に載せて加熱した後、試験用食器の外観を目視によって観察した。変色(黄変)が見られなかったものを「○」、実用上問題がない程度の変色(黄変)が見られたものを「△」、変色(黄変)が目立って見られたものを「×」として耐変色性を評価した。
以上の試験結果を表1に示す。
Figure 0006695053
表1から明らかなように、実施例1〜9では電子レンジ高周波適正性に優れ、他の電子レンジ対応食器に要求される全体的な諸特性(成形性、耐変色性など)も満足することが確認された。
特にメラミン樹脂硬化物粉末が用いられた実施例5〜9では、実施例1〜4に比べて、さらに電子レンジ高周波適正性に優れていることが確認された。
これに対して、従来例1ではシリコーンエラストマーが用いられていないため、電子レンジ高周波適正性が劣っていることが確認された。
また実施例1(シリコーンエラストマーの添加量が1.0質量%)では成形性は○であったが、電子レンジ耐変色性は△の場合があった。同様に実施例9(シリコーンエラストマーの添加量が29.1質量%)では、成形性が○〜△の場合があった。なお成形性が△であっても成形条件等を最適化することで成形性を○に改善できる場合がある。しかしながら成形性や電子レンジ耐変色性に関しては、食器の形状に加え、食器の大きさや厚み等の影響を受ける場合も考えられるが、発明者らの実験では、シリコーンエラストマーの添加量を1.0質量%以上29.1質量%以下とすることで良い結果が得られた。なおシリコーンエラストマーの添加量を30質量%以上とした場合、食器の形状等によっては成形性が影響を受けて△〜×となったり、材料費が高価となる場合が考えられる。
このような成形性は、食器の形状(お皿やお茶碗等)や、その大きさ(お皿の直径や、お皿の肉厚等)にも依存することは言うまでも無い。こうした中、発明者らの実験では、シリコーンエラストマーの含有量を1〜29質量%、更には4.9質量%以上(四捨五入して5質量%以上)、25質量%以下、更には10質量%以上、20質量%以下とすることで、材料費を抑えながら、様々な食器に対応できることが判った。
(130℃オーブンにおける耐熱性試験)
実施例1〜8及び、従来例1、比較例1で作成した試験用食器について次のような耐熱性試験を行った。試験用食器を130℃の空気撹拌装置付き恒温槽(オーブン)に入れ、そのまま2時間保持した後、試験用食器を取り出して室温まで放冷した。その後、試験用食器の外観を目視によって観察したところ、実施例1〜8及び、従来例1、比較例1のいずれも、目視上では使用上欠点となるような異常は見られなかった。
次に、表1で用いた実施例8の組成を元に、カラープレートを作成し、このカラープレートを元に、150℃オーブンでの耐熱試験を行なった。この150℃オーブンでの耐熱試験の結果を、表2に示す。成形品として、カラープレートを用いることで、試験用食器を用いた場合に発生する可能性のある食器の大きさや厚み、形状等のバラツキを抑えらえる。
(150℃オーブンにおける変色性の評価)
実施例8と従来例1の電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料を調製した。実施例8は表1に示す配合であり、シリコーンエラストマーの含有量が24.3質量%、メラミン硬化物粉末19.4質量%である。従来例1の配合は、シリコーンエラストマーの含有量が0質量%、メラミン硬化物粉末0質量%である。実施例8及び従来例1のその他の構成は実施例1と同様である。
実施例8、従来例1のそれぞれから作成された短冊状のカラープレートを用いて、市販のオーブン中での耐熱変色性を評価した。カラープレートの作成は、実施例8及び従来例1のそれぞれを用いて120mm×80mm×3mmt、2mmtの2段カラープレートを26トン直圧プレスにて成形した。
このカラープレートを、150℃恒温機の中にセットし、試験開始から24時間毎にカラープレートを取り出し、色差計(分光色差計SE−6000型/日本電色工業株式会社製)にて色差を測定した。また150℃恒温機にセットする前(試験前)のカラープレートを基準(ブランク)とし、この基準からの変色度合いを色差とした測定結果の一例を表2に示す。なお、色差(ΔE)とは、JIS Z 8730やJIS L 0809等で定義されているものである。
Figure 0006695053
表2の結果より、シリコーンエラストマーの含有量が0質量%、メラミン硬化物粉末0質量%となるカラープレート(従来例1)は、試験開始から24時間後に色差12.4、48時間後に色差15.0、100時間後に色差18.6となり、150℃において変色することが判る。一方、表2の実施例8(シリコーンエラストマーの含有量が24.3質量%、メラミン硬化物粉末19.4質量%である実施例)から作成されたカラープレートでは、試験開始から24時間後の色差が7.3、24時間後の色差が9.6、100時間後の色差が13.1となった。
以上、表2の結果より、150℃の加熱時間が長くなるほど、カラープレートにおける変色度合い(または色差)が増加することが判る。またシリコーンエラストマーの含有率を増やすほど加熱時の色変化を小さくできること、加熱温度が高くなるほど色変化が大きくなること、加熱時間が長くなるほど色変化が大きくなることが判った。このように、電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料に含まれているシリコーンエラストマーの含有率が1質量%未満の場合、食器等における加熱時の変色性の低減効果が低い場合があった。また食器用メラミン樹脂成形材料に含まれているシリコーンエラストマーの含有率が30質量%を超えた場合、食器等の製品コストに影響を与える場合があった。
なお実施例8(シリコーンエラストマーの含有量が24.3質量%、メラミン硬化物粉末19.4質量%)の周辺組成での実施例として、表1におけるメラミン硬化物粉末以外を増やしてメラミン硬化物粉末を0質量%とした実施例でも、表1や表2に示す結果と同様な結果が得られた。また比較例1の周辺組成での比較例として、表1の従来例1においてメラミン硬化物粉末以外を減らして、メラミン樹脂硬化物粉末を増やした場合も、表1や表2に示す結果と同様な結果が得られた。
(フリーエ変換赤外分光法による分析)
食器用メラミン樹脂成形材料や、この食器用メラミン樹脂成形材料を用いて成形された食器に含まれているシリコーンエラストマーの分析についてはFT−IR(フリーエ変換赤外分光法)装置を使うことができる。図1〜図5は、電子レンジ対応食器用メラミン樹脂形成材料を用いて成形した成形品(電子レンジ対応食器)の断面をFT−IRで分析して得られるチャートである。図1〜5において横軸はWavenumbers(波数、単位はcm−1)、縦軸はTransmittance(透過率、単位は%)である。
図1は、従来例1(シリコーンエラストマーの含有量が0質量%、メラミン硬化物粉末の含有率が0質量%の成形品)の断面をFT−IRで分析して得られるチャートである。
図2は、実施例8(シリコーンエラストマーの含有量が24.3質量%、メラミン硬化物粉末の含有量が19.4質量%の成形品)の断面をFT−IRで分析して得られるチャートである。
図3は、図1に示すチャート(点線)と図2に示すチャート(実線)とを重ね書きしたものである2つのFT−IRのチャートを比べると、Wavenumbersが600、800、1100、1300、3000付近等において透過率の差が比較的大きくなっていることが判る。
図4は、従来例1と実施例8の透過率の差を示すグラフである。図4から明らかなように、Wavenumbersが600、800、1100、1300、3000付近等において透過率の差が比較的大きくなっていることが判る。
図5は、図4に示した透過率(スペクトル)差(実線)と、シリコーンエラストマー単体をFT−IRで分析して得られるチャート(点線)とを重ね書きしたものである。図5より、図4に示した透過率の差のピークとシリコーンエラストマー単体でのピーク(例えば、Wavenumbersが600、800、1100、1300、3000付近のピーク)が、互いに重なっていることが判る。
このようにFT−IR装置を用いることで、食器用メラミン樹脂成形材料に含まれるシリコーンエラストマーの有無や、この電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料を用いて成形した電子レンジ対応食器に含まれるシリコーンエラストマーの有無を確認できる。また使用するFT−IR装置によっては、電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料に含まれるシリコーンエラストマーの有無や、この電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料を用いて成形した電子レンジ対応食器に含まれるシリコーンエラストマーの含有率の測定精度が低くなる場合があるが、この場合は、他の分析装置を使えば良い。

Claims (6)

  1. 電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料であって、
    前記電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料は、
    メラミン樹脂と、
    充填材と、
    シリコーンエラストマーと、
    を含有し、
    前記電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料全体に対して、前記シリコーンエラストマーの含有量が1〜29.5質量%である、
    電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料。
  2. 前記メラミン樹脂にメラミン樹脂硬化物粉末が含有されている、
    請求項1に記載の電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料。
  3. 前記電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料全体に対して、前記メラミン樹脂硬化物粉末の含有量が4〜15質量%である、
    請求項2に記載の電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料。
  4. 前記シリコーンエラストマーの形態は粉末であって、この粉末の平均粒径は1μm以上10μm以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料の成形品である、
    電子レンジ対応食器。
  6. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料の成形品である、電子レンジ対応食器であって、
    前記電子レンジ対応食器は、少なくとも食器の形状を構成するメラミンベース部と、このメラミンベース部の表面に形成されたグレーズ部とを有し、
    前記メラミンベース部が前記電子レンジ対応食器用メラミン樹脂成形材料で形成されている、
    電子レンジ対応食器。
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