JP6695259B2 - 複合成形体及びその製造方法、並びに複合成形体製造用金型 - Google Patents
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Description
しかしながら、樹脂は溶融状態から冷却されて固化する際に収縮するため、射出成形法で得られた成形体には凹みや穴などのヒケが生じる場合がある。そのため、射出成形法では、ヒケを防いで寸法精度良く成形体を得るための工夫が必要となる。例えば、樹脂の収縮率を見込んで金型を設計したり、射出時の圧力を上げて金型への樹脂の充填量を高くして収縮を起こりにくくしたり、無機充填剤を添加して樹脂の収縮の影響を抑える等の工夫がなされている。特に、厚肉部分を有する成形体を得る場合は、厚肉部分を構成する樹脂の使用量が多いことで収縮の絶対量も大きくなるため、寸法精度良く成形体を得ることがさらに難しくなる。そこで、厚肉部分を有する成形体の寸法精度を向上させるための方法として、内層を一次成形しその周囲に薄肉の外層を二次成形する二段階の射出成形(二重成形)により厚肉の複合成形体とする技術がある(特許文献1〜3)。
1.2≦b/a≦2.0 ...I
0.5mm≦a≦2.0mm ...II
0.6mm≦b≦3.0mm ...III
1.2≦b/a≦2.0 ...I
0.5mm≦a≦2.0mm ...II
0.6mm≦b≦3.0mm ...III
1.2≦b/a≦2.0 ...I
0.5mm≦a≦2.0mm ...II
0.6mm≦b≦3.0mm ...III
図1に、本実施形態の複合成形体100の模式図を示す。複合成形体100は、図1に示すように、内層部材1からなる内層と外層2とを有する。なお、「寸法精度がよい(優れている、高い)」とは、ここでは、複合成形体に求められる大きさ及び形状等と実際に成形された複合成形体の大きさ及び形状等の差が小さいことを意味している。以下に詳述する本実施形態の複合成形体100は、特に外層の樹脂注入口側(外層形成用金型の樹脂注入口側)とその反対側(樹脂の流動末端側)とで大きさや平面位置がずれてしまうことが抑制されており、寸法精度が従来よりも優れている。
内層部材1は、複合成形体100の内層を構成するインサート部材である。内層部材1(内層)は、図1(B)に示すように、互いに反対側を向く面1a及び面1bを少なくとも一つ有している。なお、以下において、「面」は平面又は略平面であることが好ましい。「略平面」とは、例えば、平面上に多少の凹凸を有していてもよいことを意味している。内層部材1の形状は、得られる複合成形体100に求められる形状の基礎となるように、複合成形体100の形状と同じ形状とすることができる。例えば、互いに反対側を向く面1a,1bを有する形状としては、円柱状や角柱状の他、上面や下面が階段状に形成されている柱状であってもよい。内層部材1の寸法は、複合成形体100に求められる寸法から後述する外層2の肉厚を差し引いた大きさとする。
外層2は、複合成形体100の外層(アウター部材)を構成する射出成形体であり、内層部材1(内層)の少なくとも一部を覆うように形成されている。外層2は、内層部材1の全体を覆うように構成することもできる。外層2は、射出成形体であるので、図1(B)に示すように、いずれかの面に、外層形成用金型の樹脂注入口の痕跡3を少なくとも一つ有している。外層2は、少なくとも、この樹脂注入口の痕跡3を有する面2a(以下、「樹脂注入口側の面2a」又は、単に「面2a」ともいう。)及び該面2aと反対側を向く面2b(以下、「樹脂の流動末端側の面2b」又は、単に「面2b」ともいう。)を有している。樹脂注入口の痕跡3が複数形成される場合は、面2a及び面2bは、複数存在することがある。面2aは内層部材1(内層)の面1aの少なくとも一部を覆い、面2bは内層部材1(内層)の面1bの少なくとも一部を覆っている。面2a及び面2bは、それぞれ、面1a及び面1bの全体を覆っていることが好ましい。
1.2≦b/a≦2.0 ...I
0.5mm≦a≦2.0mm ...II
0.6mm≦b≦3.0mm ...III
複合成形体100は、内層部材1からなる内層及び外層2を有し、少なくとも一部の肉厚が5.0mm以上である。複合成形体100は、少なくとも一部の肉厚が8.0mm以上であるように構成することもできる。複合成形体100は、肉厚が5.0mm以上である厚肉部分を有しているにもかかわらず、内層と外層との複数の層で構成されていることに加えて、外層に覆われている内層の位置を適切に調整しているので、寸法精度が従来よりも優れている。
図2は、複合成形体100の製造方法を示す概略説明図である。本実施形態の複合成形体100の製造方法は、内層部材1の存在下、第1の樹脂組成物(樹脂組成物B)を射出成形して内層部材の少なくとも一部を覆う外層2を形成し複合成形体100を得る外層形成工程(図2(D)〜(F))を有する。内層及び外層2を連続で形成する場合は、外層形成工程の前に、第2の樹脂組成物(樹脂組成物A)を射出成形して内層部材1を形成する内層形成工程(図2(A)〜(C))を有していてもよい。なお、樹脂組成物A,B、内層部材1及び外層2については、上記のとおりであるから、ここでは記載を省略する。以下、内層形成工程、外層形成工程の順に説明する。
内層形成工程では、まず、複合成形体100の内層となる内層部材1を成形するための内層形成用金型10を用意する(図2(A))。内層形成用金型10の構成については後述する。そして、内層形成用金型10を取り付けた射出成形機から、内層形成用金型10の樹脂注入口11を通して内層形成用金型10の空洞部12内に樹脂組成物Aを射出充填し、冷却して、内層部材1を形成する(図2(B))。その後、パーティングラインPL1で内層形成用金型10を分割して内層部材1を取り出すことで、内層部材1を得る(図2(C))。射出成形の条件は、用いる樹脂によって適宜選択することができる。
外層形成工程では、まず、外層2を成形するための外層形成用金型20を射出成形機に取り付ける(図2(D))。外層形成用金型20の構成については後述する。内層形成工程で得られた内層部材1又は別に準備した内層部材1の、少なくとも一部、好ましくは全体を、外層形成用金型20の空洞部22内に配置し、射出成形機から、外層形成用金型20の樹脂注入口21を通して樹脂組成物Bを外層形成用金型20の空洞部22内に射出充填し、冷却して、内層部材1と一体化した外層2を形成する(図2(E))。射出成形の条件は、用いる樹脂によって適宜選択することができる。その後、パーティングラインPL2で外層形成用金型20を分割して外層2が形成された成形体を取り出すことで、内層部材1からなる内層及び外層2が一体化された複合成形体100を得る(図2(F))。
1.2≦b/a≦2.0 ...I
0.5mm≦a≦2.0mm ...II
0.6mm≦b≦3.0mm ...III
本実施形態の複合成形体の製造方法は、必要に応じて、さらに金属部品をインサート成形する工程、内層部材及び/又は複合成形体を、切削する工程、他の部材と嵌合及び/又は接着する工程、他の樹脂成形体と溶着する工程等の他の工程を有していてもよい。
本実施形態の複合成形体製造用金型は、図2(D)に示すように、樹脂組成物Bを含む外層2を射出成形するための外層形成用金型20を有する。複合成形体製造用金型は、さらに、図2(A)に示すように、樹脂組成物Aを含む内層部材1を射出成形するための内層形成用金型10を有していてもよい。樹脂部材A,B、内層部材1及び外層2については、上記のとおりであるから、ここでは記載を省略する。以下、内層形成用金型10、外層形成用金型20の順に説明する。
内層形成用金型10は、内層部材1の形成用の金型であり、図2(A)に示すように、射出成形機から樹脂注入口11を通して樹脂組成物Aが充填される空洞部12を有する。本実施形態において、空洞部12は、キャビティブロック14及び可動式のコアブロック15で構成されている。
外層形成用金型20は、外層の形成用の金型であり、図2(D)に示すように、樹脂組成物Aを含む内層部材1の少なくとも一部を覆うように、射出成形機から外層形成用金型20の樹脂注入口21を通して樹脂組成物Bが充填される空洞部22と、内層部材を該空洞部内に保持する保持部23と、を有する。
1.2≦b/a≦2.0 ...I
0.5mm≦a≦2.0mm ...II
0.6mm≦b≦3.0mm ...III
第1の樹脂組成物(樹脂組成物B)及び第2の樹脂組成物(樹脂組成物A)として以下の樹脂組成物を用いて、後述する方法により内層部材及び外層を有する複合成形体を得た。
第1の樹脂組成物(樹脂組成物B):ポリプラスチック株式会社製「ジュラファイドPPS(登録商標)0220A9」、繊維状無機充填剤を含有しないポリフェニレンサルファイド樹脂
第2の樹脂組成物(樹脂組成物A):70質量%の上記樹脂組成物Bと、タルク(粒子径D50:3μm)30質量%とを配合したもの
キャビティ及びコアブロックにより空洞部を形成する内層形成用の金型を準備した。コアブロックに直径2.5mmのピンを3mm突出させた状態で、金型を射出成形機(ファナック株式会社製)に取り付け、射出成形機のノズルから上記樹脂組成物Aを金型の空洞部に射出し、直径6mm×高さ9mmの円柱形状の内層部材を得た。なお、内層部材は、樹脂の流動末端側の端面から3mmの深さでピンに保持された状態となっている。射出成形の条件を以下に示す。
予備乾燥:120℃、6時間
シリンダー温度:320℃
金型温度:140℃
射出速度:50mm/sec
保圧:50MPa(500kg/cm2)
キャビティブロック及びコアブロックにより空洞部を形成する外層形成用の金型を準備した。内層部材を、コアブロックのピンで保持した状態で外層形成用の金型の空洞部内に移動した。内層部材を保持した状態のピンをさらに突き出すように高さを調整して、得られる外層の厚さ(以下のa,b)が表1に示す値となるようにピンの突き出る高さを調整して内層部材を金型の空洞内に配置した。
a:外層の樹脂注入口の痕跡を有する面と該面に近接する内層部材の面(上面)との距離(mm)
b:外層の樹脂注入口の痕跡を有する面の反対側の面と該面に近接する内層部材1の面(下面)との距離(mm)
(樹脂注入口側の厚さ及びその反対側の厚さ)
実施例及び比較例で得られた複合成形体について、図1に示すP−P線で切断し、外層の樹脂注入口側の面2a及びその反対側の面2bから、それぞれ内層部材の面のうち樹脂注入口側から樹脂の流動末端側に向かう方向において最も近い面までの距離a,bを計測した。結果を表1に示した。
図1(B)及び図3を参照して、複合成形体の寸法X,Yの測定方法を説明する。実施例及び比較例で得られた複合成形体について、上記のように測定した距離a,bにおける最小外接円200a,200bを作成し、その直径X,Yを計測してその差Y−Xを算出した。結果を表1に示した。
Y−Xの値が負の場合、その複合成形体は樹脂注入口側の部分が、反対側よりも太いことを意味している。一方、Y−Xの値が正の場合、樹脂注入口側の反対側の部分が、樹脂注入口側の部分よりも太いことを意味している。よって、Y−Xの値が0に近い程、均一な太さの複合成形体が得られていると評価できる。
図3を参照して、円筒度の測定方法を説明する。ここでいう円筒度は、上記の最小外接円200a,200bを、鉛直線M方向から見た場合のずれ(差)tの最大値を算出したものである。tの値が小さい程、複合成形体の樹脂注入行側の部分の平面位置と、樹脂注入口の反対側の部分の平面位置とのずれが少なく均一に形成されており、寸法精度が高いと評価できる。一方、tの値が大きい程、複合成形体の樹脂注入行側の部分の平面位置と、樹脂注入口の反対側の部分の平面位置とがずれて形成されており、寸法精度が低いと評価できる。
2 外層
3 樹脂注入口の痕跡
4 保持部の痕跡
10 内層形成用金型
20 外層形成用金型
11,21 樹脂注入口
12,22 空洞部
13,23 保持部
14,24 キャビティブロック
15,25 コアブロック
PL1,PL2 パーティングライン
100 複合成形体
A 樹脂組成物A
B 樹脂組成物B
Claims (11)
- 内層部材の存在下、第1の樹脂組成物を射出成形して前記内層部材の少なくとも一部を覆う外層を形成し、前記内層部材からなる内層と前記外層とを有する複合成形体を得る外層形成工程を有し、
前記複合成形体の少なくとも一部の肉厚が5.0mm以上であり、
前記内層部材が、互いに反対側を向く面1a及び面1bを少なくとも一つ有し、
前記外層形成工程において、前記外層の樹脂注入口の痕跡が形成される面2aが前記面1aの少なくとも一部を覆い、前記面2aと反対側を向く面2bが前記面1bの少なくとも一部を覆い、かつ、前記面2aと該面2aに最も近い前記面1aとの距離をaとし、前記面2bと該面2bに最も近い前記面1bとの距離をbとした場合に、a及びbが、以下の式I〜IIIを満たすように、外層が形成されることを特徴とする、複合成形体の製造方法。
1.2≦b/a≦2.0 ...I
0.5mm≦a≦2.0mm ...II
0.6mm≦b≦3.0mm ...III - 前記外層形成工程の後に、前記複合成形体の寸法調整を行わない、請求項1に記載の複合成形体の製造方法。
- 前記外層形成工程の前に、第2の樹脂組成物を射出成形して、前記内層部材を形成する内層形成工程を有する、請求項1又は2に記載の複合成形体の製造方法。
- 前記第1の樹脂組成物及び前記第2の樹脂組成物が、熱融着性を有する、請求項3に記載の複合成形体の製造方法。
- 前記第1の樹脂組成物及び前記第2の樹脂組成物が、結晶性熱可塑性樹脂を含有する、請求項3又は4に記載の複合成形体の製造方法。
- 前記第2の樹脂組成物が無機充填剤を含有し、前記第1の樹脂組成物が繊維状無機充填剤を含有しない、請求項3から5のいずれか一項に記載の複合成形体の製造方法。
- 内層と、該内層の少なくとも一部を覆い第1の樹脂組成物を含む外層とを有する複合成形体であって、
少なくとも一部の肉厚が5.0mm以上であり、
前記内層が、互いに反対側を向く面1a及び面1bを少なくとも一つ有し、
前記外層が、樹脂注入口の痕跡を有する面2a及び該面2aと反対側を向く面2bを有し、
前記面2aが前記面1aの少なくとも一部を覆い、前記面2bが前記面1bの少なくとも一部を覆い、かつ、前記面2aと該面2aに最も近い前記面1aとの距離をaとし、前記面2bと該面2bに最も近い前記面1bとの距離をbとした場合、a及びbが以下の式I〜IIIを満たすことを特徴とする、複合成形体。
1.2≦b/a≦2.0 ...I
0.5mm≦a≦2.0mm ...II
0.6mm≦b≦3.0mm ...III - 前記内層が第2の樹脂組成物を含む、請求項7に記載の複合成形体。
- 複合成形体製造用金型であって、
内層部材の存在下、第1の樹脂組成物を射出成形して前記内層部材の少なくとも一部を覆う外層を形成するための外層形成用金型を有し、
前記外層形成用金型は、樹脂注入口を通して第1の樹脂組成物が充填される空洞部と、該空洞部内に前記内層部材を保持する保持部と、を有し、
前記空洞部の少なくとも一部の幅が5.0mm以上であり、
前記内層部材が、互いに反対側を向く面1a及び面1bを少なくとも一つ有し、
前記保持部は、得られる前記外層の樹脂注入口の痕跡が形成される面2aが前記面1aの少なくとも一部を覆い、前記面2aと反対側を向く面2bが前記面1bの少なくとも一部を覆う位置であって、かつ前記面2aと該面2aに最も近い前記面1aとの距離をaとし、前記面2bと該面2bに最も近い前記面1bとの距離をbとした場合に、a及びbが、以下の式I〜IIIを満たす位置に前記内層部材を保持することを特徴とする、複合成形体製造用金型。
1.2≦b/a≦2.0 ...I
0.5mm≦a≦2.0mm ...II
0.6mm≦b≦3.0mm ...III - 前記保持部が、前記内層部材の位置を変更可能とするように構成されている、請求項9に記載の複合成形体製造用金型。
- 第2の樹脂組成物を射出成形して前記内層部材を形成するための内層形成用金型を有する、請求項9又は10に記載の複合成形体製造用金型。
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