以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
[実施形態1]実施形態1を説明する。本実施形態では、例えば、二輪車自動車の燃料タンク内の燃料を内燃機関いわゆるエンジンに供給する燃料ポンプモジュールに用いられる燃料フィルタを例示する。図1は燃料ポンプモジュールを後方から見下ろした斜視図、図2は同じく一部破断して示す後面図である。また、図中の矢印は、燃料ポンプモジュールの前後左右上下方向を示している。上下方向は、車両の燃料タンクに搭載された状態での重力方向いわゆる天地方向に対応する。また、前後左右方向は特定するものではない。
燃料ポンプモジュールの概要から説明する。図2に示すように、燃料ポンプモジュール10は、燃料タンク12の上壁部12aに装着される、いわゆる上付けタイプの燃料ポンプモジュールである。燃料タンク12は、例えば金属製の中空状の容器で、上壁部12a及び底壁部12bを有している。上壁部12aには、円形状の開口孔13が形成されている。燃料タンク12内には、エンジン用の燃料、例えばガソリン等の液体燃料が貯留されている。
燃料ポンプモジュール10は、セットプレート14、ポンプ保持部材16、燃料ポンプ18、燃料フィルタ20、プレッシャーレギュレータ22、及び、センダゲージ24等がモジュール化されてなる。セットプレート14は、樹脂製で、円板状に形成されたプレート本体部26を主体として形成されている。プレート本体部26には、燃料吐出ポート27、電源用コネクタ28、及び、信号用コネクタ29が設けられている(図1参照)。
プレート本体部26の下面には、ポンプ保持部材16を連結するための円筒状の連結部30が設けられている。ポンプ保持部材16は、樹脂製で、有底円筒状に形成されている。ポンプ保持部材16は、セットプレート14の連結部30にスナップフィット係合等によって取付けられている。ポンプ保持部材16の底部には、吸入ポート32が形成されている。
燃料ポンプ18は、ポンプ保持部材16内に縦置き状に配置すなわち収容されている。燃料ポンプ18は、燃料タンク12内の燃料を吸入しかつ加圧して吐出するウエスコ型の電動式燃料ポンプである。燃料ポンプ18のモータ用電気配線34は、セットプレート14の電源用コネクタ28に電気的に接続されている。なお、燃料ポンプ18の下端部に設けられた燃料吸入口(不図示)は、ポンプ保持部材16の吸入ポート32内に接続されている。燃料ポンプ18の上端部に設けられた燃料吐出口(不図示)は、ポンプ保持部材16に設けられた流通路(不図示)を介して、セットプレート14の燃料吐出ポート27に接続されている。
燃料フィルタ20は、燃料を濾過する袋形状のフィルタ部材36と、フィルタ部材36内に配置されてフィルタ部材36を内側から膨大状態に保持するボーン部材38と、ボーン部材38に接続されたボデー部材40と、を備えている。ボデー部材40は、ポンプ保持部材16にスナップフィット係合等によって取付けられている。ボデー部材40は、ポンプ保持部材16の吸入ポート32とフィルタ部材36の内部空間37とを連通している。これによって、フィルタ部材36内の燃料は、燃料ポンプ18の燃料吸入口側(燃料吸入側)に導入される。なお、燃料フィルタ20は後で説明する。
プレッシャーレギュレータ22は、セットプレート14の連結部30に組み込まれている。連結部30には、プレッシャーレギュレータ22を抜け止めするための抜け止め部材42がスナップフィット係合等によって取付けられている。プレッシャーレギュレータ22は、燃料吐出ポート27内の燃料の圧力を調整しかつ余剰燃料を余剰燃料吐出口(不図示)から燃料タンク12内に排出する。
センダゲージ24は、燃料計センサで、ポンプ保持部材16に装着されたゲージ本体44と、ゲージ本体44の回動部材に片持ち状に支持されたアーム45と、アーム45の自由端に取付けられたフロート46とを備えている。ゲージ本体44は、燃料タンク12内の燃料残量に応じて上下するフロート46の位置を燃料残量信号として出力する。センダゲージ24の信号用電気配線47は、セットプレート14の信号用コネクタ29に電気的に接続されている。
燃料ポンプモジュール10は、燃料タンク12の開口孔13から挿入され、セットプレート14が開口孔13を閉鎖するように上壁部12aに装着されることによって、燃料タンク12に設置されている。また、燃料フィルタ20のフィルタ部材36の下面部は、燃料タンク12の底壁部12bに当接又は近接されている。なお、図示しないが、セットプレート14の燃料吐出ポート27には、エンジンにつながる燃料供給配管が接続される。また、電源用コネクタ28には、外部電源につながる外部コネクタが接続される。また、信号用コネクタ29には、制御装置につながる外部コネクタが接続される。
燃料ポンプモジュール10の作動について説明する。外部電源により燃料ポンプ18が駆動されると、燃料タンク12内の燃料が燃料フィルタ20により濾過されてクリーンな燃料とされた後、燃料ポンプ18に吸入される。燃料ポンプ18によって加圧された燃料は、セットプレート14の燃料吐出ポート27から吐出される。その燃料は、燃料供給配管を介してエンジンに供給される。エンジンに供給される燃料の圧力は、プレッシャーレギュレータ22により所定の圧力に調整され、余剰燃料は燃料タンク12内に戻される。また、燃料タンク12内の燃料残量は、センダゲージ24によって検出される。
次に、燃料フィルタ20を説明する。図3は燃料フィルタを示す上面図、図4は図3のIV−IV線矢視断面図、図5は図3のV−V線矢視断面図、図6は図5の要部を示す拡大図、図7はボーン部材とボデー部材との接続部を示す下面図である。図4に示すように、燃料フィルタ20は、前出のフィルタ部材36とボーン部材38とボデー部材40とを備えている。
フィルタ部材36は、燃料を濾過するシート状の濾材50により形成されている。濾材50は、例えば、樹脂製の不織布を複数枚積層することによって構成されている。1枚の濾材50を直線状の折り曲げ部50cで二つ折りすることによって、上面部51aと下面部51bとが形成されている。上面部51aと下面部51bとの外周縁部同士が溶着(溶着部52参照)により接合されている(図4及び図5参照)。これによって、フィルタ部材36が、上下方向に扁平な袋形状、すなわち一つの面すなわち水平面に沿って扁平な袋形状に形成されている。フィルタ部材36は、平面視(図3参照)において左右方向を長くする横長四角形状に形成されている。フィルタ部材36の前縁部の左端部は、左方へ向かって後方へ斜めに傾斜している。また、溶着部52は、フィルタ部材36の上下方向(高さ方向)の中間位置において水平状に形成されている。
フィルタ部材36の上面部51aの前側左端部には、円形孔状の開口部53が形成されている。開口部53の内周面は、溶融固化部54によって全面的に覆われている。開口部53の周辺部を孔縁部55という。
図8はボーン部材とボデー部材を分解して前方から見下ろした斜視図、図9は同じく前方から見上げた斜視図、図10はボーン部材とボデー部材を分解して示す正断面図、図11は同じく側断面図、図12はボーン部材の接続部を示す上面図、図13はボデー部材を示す下面図である。図8に示すように、ボーン部材38は、樹脂製で骨格構造を有している。ボーン部材38は、一つの面すなわち水平面に沿って扁平に形成されたベースフレーム56と、ベースフレーム56の下面に脚状に突出された複数のフレームリブ57とを有している。
ベースフレーム56は、平面視で左右方向を長くする長四角形状に形成されている。ベースフレーム56は、長手方向(左右方向)に延びる複数(例えば3本)の横フレーム部56aと、短手方向(前後方向)に延びる複数(例えば4本)の縦フレーム部56bとによって格子板状に形成されている。フレームリブ57は、横フレーム部56aと縦フレーム部56bとが交差する箇所に配置されている(図9参照)。
図4に示すように、ボーン部材38は、フィルタ部材36内に配置されている。ベースフレーム56は、濾材50の上面部51aを内側から支持する。各フレームリブ57は、濾材50の下面部51bを内側から支持する。これによって、フィルタ部材36の上面部51aと下面部51bとが所定の間隔を隔てた膨大状態に支持されている。ベースフレーム56の左側前部には、ボデー部材40を接続するための接続部58(後述する)が形成されている(図8参照)。
図8に示すように、ボデー部材40は、樹脂製で、円筒状の筒状部60と、筒状部60の一端部(上端部)に設けられた装着部61とを有している。装着部61は、ポンプ保持部材16の下端部にスナップフィット係合等によって連結可能に形成されている(図1及び図2参照)。図4及び図5に示すように、筒状部60の上端部は、接続口63とされている。接続口63は、ポンプ保持部材16の吸入ポート32に嵌合可能に形成されている。また、筒状部60は、フィルタ部材36の内部空間37と、ポンプ保持部材16の吸入ポート32とを連通する部材である。筒状部60の他端部(下端部)には、ボーン部材38を接続するための接続部(「被接続部」という)62(後述する)が形成されている(図9参照)。
次に、ボーン部材38の接続部58を説明する。図8に示すように、接続部58は、ボーン部材38のベースフレーム56の前側左端部に一体で形成されている。接続部58は、円環板状に形成された内側挟持部64を有している。内側挟持部64の下面には、多数のリブ状の支持突起65が突出されている(図7及び図9参照)。支持突起65は、内側挟持部64の下面に放射状に複数(図7及び図9では4個を示す)と、内側挟持部64の下面の外周部に複数(図7及び図9では6個を示す)配置されている。支持突起65は、各フレームリブ57と協働してフィルタ部材36の下面部51bを支持する(図4及び図5参照)。なお、支持突起65の形状、個数、配置等は適宜変更してもよい。
内側挟持部64の上面には、円環状でリブ状の環状凸部66が同心状に突出されている(図12参照)。内側挟持部64の上面は、環状凸部66により内周側の上面(符号、67aを付す)と外周側の上面(符号、67bを付す)とに分割されている。外周側の上面67bは、内周側の上面67aよりも一段高く形成されている(図10及び図11参照)。
図12に示すように、内側挟持部64の中央部には、前後方向を長くする長四角形状の貫通孔69が形成されている(図8参照)。貫通孔69の左右両側辺の中央部には、四角溝状の左右の両嵌合溝70,71が対向状に形成されている(図10参照)。左側の嵌合溝70は、右側の嵌合溝71の前後方向の溝幅よりも小さい溝幅で形成されている。なお、両嵌合溝70,71の前後両壁面の上端部は、上方に向かって次第に前後方向に拡開するテーパ状に形成されている(図8参照)。
貫通孔69の前後両側辺の中央部には、対向状をなす前後一対の係合凸部73が前後対称状に形成されている(図10及び図11参照)。係合凸部73は、左右方向に延在しかつ水平状の下面と、斜め上方に面する斜面74とを有する横向き直角三角柱状に形成されている(図6参照)。
図6に示すように、係合凸部73は、基端部に比べ先端部が下方へ傾く鉤爪状に形成されている。係合凸部73の先端部の下面には、左右方向(図6において紙面表裏方向)に延在する抜け止め面75が形成されている。抜け止め面75は、内側挟持部64の軸線に直交する平面で形成されている。係合凸部73の抜け止め面75よりも基部側には、抜け止め面75から基部側(図6において左方)に向かって次第に上方へ傾く傾斜面からなる逃がし面76が形成されている。
次に、ボデー部材40の被接続部62を説明する。図9に示すように、被接続部62は、ボデー部材40に一体で形成されている。被接続部62は、筒状部60の下端部から径方向外方へ張り出す円環板状に形成された外側挟持部78と、筒状部60の下端部から下方へ延出された左右一対の両嵌合片80,81、及び、前後一対の両係合片83と、を有している(図13参照)。
図13に示すように、両嵌合片80,81は、左右方向を板厚方向としかつ相互に平行をなす四角形板状に形成されている(図10参照)。両嵌合片80,81の下端部には、前後方向の幅を狭くする嵌合凸部80a,81aが形成されている。左側の嵌合凸部80aは、右側の嵌合凸部81aの前後方向の幅よりも小さい幅で形成されている。
外側挟持部78には、両係合片83を取り囲むようにして上方へ凹む凹部85が形成されている(図9及び図11参照)。凹部85の天井面は、外側挟持部78の軸線に直交する平面に形成されている。このため、両係合片83は、凹部85の天井面から下方へ突出されている。両係合片83は、前後方向を板厚方向としかつ相互に平行をなす四角形板状に形成されている。係合片83の下部には、前後方向に貫通する横長四角孔状の係合孔部87が形成されている(図10及び図11参照)。係合孔部87の下側の内壁面には、被抜け止め面88が形成されている(図6参照)。被抜け止め面88は、外側挟持部78の軸線に直交する平面で形成されている。なお、両係合片83の外側面の下端部は、下方に向かって次第に左右方向に縮小するテーパ状に形成されている(図11参照)。また、係合片83の前後両側面の下端部は、下方に向かって次第に前後方向に縮小するテーパ状に形成されている(図9及び図10参照)。
係合片83は、板厚方向(前後方向)に弾性変形いわゆる撓み変形可能に形成されている(図11中、二点鎖線83参照)。係合片83は、ボーン部材38の係合凸部73に対して弾性変形を利用してスナップフィット係合可能に形成されている。係合凸部73と係合片83とにより係合手段89が構成されている。係合凸部73は、本明細書でいう「係合部」に相当する。また、係合片83は、本明細書でいう「被係合部」に相当する。
次に、燃料フィルタ20の製造方法を説明する。まず、フィルタ部材36を形成する濾材50から説明する。図14は濾材を示す上面図である。図14に示すように、濾材50は、展開状態よりも一回り大きい横長四角形状に裁断されており、所定の位置には開口部53が形成されている。開口部53は、レーザー光を用いたレーザ溶断によって形成されている。これにより、開口部53の内周面を全面的に覆う溶融固化部54が形成されている。図15は濾材の孔あけ工程を示す断面図である。
図15に示すように、濾材50の開口予定部位90の周縁部を、上下一対のリング状の挟持治具91,92によって圧縮状態で挟持する。この状態で、上側の挟持治具91の内周面に沿ってレーザ光照射装置94によりレーザ光(図15中、矢印参照)を照射し、濾材50の開口予定部位90をレーザ溶断する。これにより、濾材50に開口部53が形成されるとともに、開口部53の内周面を全面的に覆う溶融固化部54が形成される(図14参照)。なお、両挟持治具91,92による濾材50の挟持を解放すると、濾材50が弾性復元することにより、開口部53の表裏面の開口縁部に面取り状の傾斜部53aが形成される(図10及び図11参照)。
次に、濾材50(図14参照)の折り曲げ部50cの右側の半分(上面部51aとなる部分)をボーン部材38の上面側に重ね、濾材50の開口部53をボーン部材38の接続部58上に同心状に配置する(図10及び図11参照)。続いて、濾材50の開口部53内に、その上方からボデー部材40の両係合片83及び両嵌合片80,81を挿入しつつ、ボーン部材38とボデー部材40とを対向方向に押圧する。
これにより、ボーン部材38の左右の両嵌合溝70,71とボデー部材40の左右の両嵌合片80,81の嵌合凸部80a,81aとが嵌合される(図7参照)。これにより、ボーン部材38とボデー部材40とが前後方向に位置決めされる。また、ボーン部材38の貫通孔69内にボデー部材40の両係合片83がそれぞれ嵌合される(図7参照)。これにより、ボーン部材38とボデー部材40とが左右方向に位置決めされる。したがって、ボーン部材38とボデー部材40との接続部(接続部58及び被接続部62が相当する)が同一軸線上に位置決めされるとともに軸回り方向に回り止めされる。
また、両係合片83の下端部が両係合凸部73の斜面74(図6参照)に当接しかつ摺動することにより、両係合片83が対向方向へ弾性変形させられる(図11中、二点鎖線83参照)。続いて、両係合片83の下端部が両係合凸部73を乗り越えると、両係合片83が弾性復元することによって、両係合孔部87と両係合凸部73とがスナップフィット係合される(図7参照)。これにより、ボーン部材38とボデー部材40とが濾材50を介して接続された半製品96が得られる(図16参照)。図16は燃料フィルタの半製品を示す平面図である。
また、ボーン部材38の内側挟持部64とボデー部材40の外側挟持部78との間には、濾材50の開口部53の孔縁部55が軸方向すなわちスラスト方向に圧縮状態で挟持される(図4及び図5参照)。これにより、濾材50の孔縁部55がシールされる。なお、内側挟持部64と外側挟持部78とによって、フィルタ部材36の孔縁部55を挟持する「フィルタシール手段」が構成されている。なお、内側挟持部64の上面(67a,67bを含む)、及び、外側挟持部78の下面は本明細書でいう「フィルタ部材の開口部の孔縁部を挟持する面」に相当する。
また、内側挟持部64の内周側の上面67aと外側挟持部78(詳しくは下面)との間の圧縮量をC1、内側挟持部64の環状凸部66と外側挟持部78との間の圧縮量をC2、内側挟持部64の外周側の上面67bと外側挟持部78(詳しくは下面)との間の圧縮量をC3とする。この場合、圧縮量C1,C2,C3の関係は、
C1<C3<C2
をなしている。
また、濾材50の孔縁部55における弾性反力が、内側挟持部64と外側挟持部78との相反方向に作用することにより、係合凸部73の抜け止め面75と係合孔部87の被抜け止め面88とが面接触状に当接した状態に保持される(図6参照)。これにより、ボーン部材38とボデー部材40とが軸方向(スラスト方向)に抜け止めされる。また、抜け止め面75と被抜け止め面88とが面接触状に当接することにより、内側挟持部64と外側挟持部78との間に生じるがたつきを抑制することができる。また、係合凸部73の基部側に形成された逃がし面76と係合孔部87の被抜け止め面88との間には隙間98が形成される(図6参照)。
次に、半製品96(図16参照)の濾材50が折り曲げ部50cに沿って二つ折りされる。すなわち、濾材50の折り曲げ部50cの左側の半分(下面部51bとなる部分)がボーン部材38の下側へ折り返され、ボーン部材38の下面側に重ねられる。続いて、濾材50の上面部51aと下面部51bとの外周縁部同士が溶着(溶着部52参照)により接合されることによって、袋形状のフィルタ部材36が形成される(図3〜図5参照)。このようにして、燃料フィルタ20が製造される。なお、フィルタ部材36の外部と区画された内部空間37は、ボーン部材38の隣接する支持突起65の相互間の空間部、貫通孔69内の空間部、及び、ボデー部材40の筒状部60の中空部を介して外部と連通される(図4及び図5参照)。
前記した燃料フィルタ20において、ボデー部材40の装着部61が、燃料ポンプモジュール10のポンプ保持部材16にスナップフィット係合等によって取付けられる(図1及び図2参照)。これにともない、ポンプ保持部材16の吸入ポート32がボデー部材40の接続口63に接続されることによって、燃料ポンプ18(図2参照)の燃料吸入側がフィルタ部材36の内部空間37と連通される(図4及び図5参照)。
また、燃料ポンプ18の作動によって、その燃料ポンプ18に吸入される燃料タンク12内の燃料は、フィルタ部材36により濾過される。また、ボデー部材40の内側挟持部64とボーン部材38の外側挟持部78との間でフィルタ部材36の開口部53の孔縁部55がシールされている。このため、燃料タンク12内の燃料が、ボーン部材38の外側挟持部78とフィルタ部材36の開口部53の孔縁部55との間を抜けて、ボデー部材40の筒状部60内へ流入することが抑制される。すなわち、燃料ポンプ18への未濾過燃料の流入を抑制することができる。
前記した燃料フィルタ20によると、ボーン部材38の両係合凸部73とボデー部材40の係合片83とからなる係合手段89がスナップフィット係合される。これによって、ボーン部材38とボデー部材40とが接続されるとともに、ボーン部材38の内側挟持部64とボデー部材40の外側挟持部78との間にフィルタ部材36の開口部53の孔縁部55が軸方向(スラスト方向)に挟持される。
また、係合手段89は、ボーン部材38に設けられかつかつフィルタ部材36の挟持方向と交差する方向に延在する抜け止め面75を有する係合凸部73と、ボデー部材40に設けられかつ抜け止め面75と対面状に係合する被抜け止め面88を有する係合片83とからなる。このため、係合凸部73の抜け止め面75と係合片83の被抜け止め面88とが対面状に係合することによって、係合凸部73と係合片83との間のがたつき、特にフィルタ部材36の開口部53の軸方向のがたつきを抑制することができる。また、係合凸部73と係合片83とは、形状が簡素であるため、寸法管理が容易であり、精度良くスナップフィット係合させることができる。したがって、従来例と異なり、フィルタ部材36の開口部53の孔縁部55を円筒状に折り曲げる必要がなくなる。このため、ボーン部材38とボデー部材40との接続にかかる軸方向長さを短縮することができる。ひいては、フィルタ部材36の厚さ36t(図4参照)を低減し、燃料フィルタ20を小型化することができる。
また、係合凸部73及び係合片83は、形状が簡素であるため、燃料フィルタ20の小型化及びコスト低減に有利である。また、係合凸部73及び係合片83の寸法管理が容易になることで、係合にかかる寸法精度がよくなる。また、一定の寸法管理を必要とする内側挟持部64と係合手段89とを水平方向に並列的に配置することができる。このことは、フィルタ部材36の厚さ36t(図4参照)の低減に有利である。
また、両嵌合溝70,71を含む貫通孔69と、両嵌合凸部80a,81aを含む両嵌合片80,81とを嵌合しつつ、係合手段89の係合凸部73と係合片83とを係合させることができる。このため、ボーン部材38とボデー部材40との組み付けを容易に行うことができる。例えば、従来例(図20参照)の係合手段によると、内筒部216と外筒部218とをずっこけない位置関係を保って係合しなければならず、高い組み付け精度が要求される。これに対し、本実施形態によると、高い組み付け精度が要求されないため、ボーン部材38とボデー部材40との組み付けを容易に行うことができる。
また、係合凸部73は、係合片83の被抜け止め面88に当接する被抜け止め面88を先端部に有する鉤爪状に形成されており、係合凸部73の抜け止め面75よりも基部側には、係合片83の被抜け止め面88との間に隙間98を形成する逃がし面76が形成されている(図6参照)。したがって、係合凸部73と係合片83との係合状態において、ボーン部材38とボデー部材40との間に抜け方向の荷重(図6中、矢印F1参照)が作用した場合、係合凸部73の抜け止め面75に対する係合片83の被抜け止め面88の荷重の重心を被抜け止め面88の奥側(図6において右側)に設定することができる。これにより、ボーン部材38とボデー部材40との間の抜け方向の荷重によるモーメント(図6中、矢印F2参照)を低減することができる。したがって、係合手段89の係合片83の係合解除方向への弾性変形を抑制し、ボーン部材38に対するボデー部材40の抜け外れを抑制することができる。このことは、係合凸部73及び係合片83の小型化に有利である。
詳しくは、一般的なスナップフィット係合の場合、係合凸部と係合孔部との面接触状のかかり代k(図6参照)は、小さい程、組付け時の係合片の弾性変形量(撓み量)が小さい。このため、係合片の撓み長(図6中、83L参照)を短縮することができ、小型化に有利になる。しかし、係合凸部と係合孔部との間に抜け方向の荷重(図6中、矢印F1参照)が作用した場合、係合凸部と係合孔部との間にモーメント(図6中、矢印F2参照)がかかり、係合片の少ない撓み量で係合が解除されることになる。そこで、係合凸部と係合孔部とのかかり代kを大きくし、それに伴って、係合片の撓み長(図6中、83L参照)を長くする必要があるため、小型化には不利である。
そこで、本実施形態では、係合凸部73に逃がし面76を形成することにより、係合凸部73と係合片83とのかかり代Kを低減し、かつ、荷重重心を被抜け止め面88の奥側(図6において右側)に設定している。これにより、係合凸部73と係合孔部87との間に作用する抜け方向の荷重(図6中、矢印F1参照)によるモーメント(図6中、矢印F2参照)による係合片83の係合解除方向への弾性変形を抑制することができる。したがって、係合片83の撓み長83Lを短くしつつ、係合凸部73と係合片83との係合を解除しにくくすることができる。
また、フィルタ部材36の開口部53の内周面が溶融固化部54によって全面的に覆われている(図6参照)。このため、フィルタ部材36の孔縁部55から開口部53内への燃料の流入を抑制し、その燃料の流入にともなうフィルタ部材36の開口部53の内周面からの異物の流入を抑制することができる。ひいては、燃料ポンプ18側への異物の侵入を抑制することができる。なお、フィルタ部材36が不織布製の場合であれば、繊維屑が異物に相当する。
また、濾材50に対するレーザ溶断によって、開口部53と溶融固化部54とを同時に形成することができる。このため、開口部53と溶融固化部54とを別工程で行う場合と比べて、生産効率を向上することができる。
また、ボーン部材38の内側挟持部64の上面には、フィルタ部材36の孔縁部55の一部を押圧するための環状凸部66が形成されている。したがって、環状凸部66によって、フィルタ部材36の孔縁部55の一部を強く押圧することができる。このため、フィルタ部材36の孔縁部55の位置ずれを抑制することができる。また、環状凸部66が内側挟持部64の上面に同心状に形成されているため、フィルタ部材36の孔縁部55のシール性を向上することができる。なお、環状凸部66は本明細書でいう「押圧凸部」に相当する。
[実施形態2]本実施形態は、実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図17は燃料フィルタを示す正断面図である。図17に示すように、本実施形態では、ボーン部材38の内側挟持部64の上面が、内周側の上面67aと同一面をなす一平面で形成されている。このため、実施形態1(図4参照)における環状凸部66及び外周側の上面67bが省略されている。この場合、ボーン部材38において、内側挟持部64における上面67aが本明細書でいう「フィルタ部材の開口部の孔縁部を挟持する面」に相当する。
[実施形態3]本実施形態は、実施形態2に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図18は燃料フィルタを示す正断面図である。図18に示すように、本実施形態では、実施形態2(図17参照)におけるボデー部材40の外側挟持部78の下面の外周部に、下方へ突出する円環状の挟持凸部100が形成されている。挟持凸部100は、ボーン部材38の内側挟持部64の上面の外周部に対向している。挟持凸部100は、例えば、断面四角形状に形成されている。なお、挟持凸部100は本明細書でいう「押圧凸部」に相当する。
[実施形態4]本実施形態は、実施形態2に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図19は燃料フィルタを示す正断面図である。図19に示すように、本実施形態では、実施形態2におけるボーン部材38の内側挟持部64の上面の外周部に、上方へ突出する円環状の支持凸部102が形成されている。支持凸部102は、ボデー部材40の外側挟持部78の下面の外周部に対向している。支持凸部102は、例えば、断面四角形状に形成されている。なお、支持凸部102は本明細書でいう「押圧凸部」に相当する。
[他の実施形態]本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明の燃料フィルタ20は、車両に限らず、船舶、産業機械等、種々の燃料ポンプモジュールの燃料フィルタに適用してもよい。また、燃料フィルタ20は、燃料タンク12の底面部に装着される底付けタイプの燃料ポンプモジュール10に適用してもよい。また、燃料フィルタ20は、燃料タンク12内の燃料吸入側が連通されるものであればよい。このため、例えば、燃料ポンプ18の燃料吸入口が、ボデー部材40の接続口63に、ポンプ保持部材16の吸入ポート32をを介することなく、直接的に接続されてもよい。
また、係合手段89は、1組又は3組以上設けてもよい。また、係合手段89の係合凸部73と係合片83とは、逆配置すなわち係合凸部73を被接続部62に配置し、係合片83を接続部58に配置してもよい。また、係合手段89の係合凸部73と係合片83とは、係合片83の弾性変形を利用してスナップフィット係合させる他、係合凸部73側の弾性変形を利用してスナップフィット係合させてもよいし、係合片83と係合凸部73側との両方の弾性変形を利用してスナップフィット係合させてもよい。また、係合片83の係合孔部87は、係合片83を貫通しない係合穴部に代えてもよい。また、係合凸部73の逃がし面76は省略してもよい。
また、フィルタ部材36は、袋形状であればよく、その外形形状は限定されない。また、フィルタ部材36に対するボーン部材38とボデー部材40との接続部の軸方向を変更してもよい。このため、例えば、水平面に沿う扁平なフィルタ部材36に対するボーン部材38とボデー部材40との接続部の軸方向を水平方向としてもよい。また、ボーン部材38のフレームリブ57は、ベースフレーム56の両面に突出してもよい。また、実施形態では、1枚の濾材50を二つ折りして周縁部同士を溶着したが、2枚の濾材の周縁部同士を全周に亘って溶着してもよい。また、濾材50には、開口部53と溶融固化部54とを別工程で形成してもよい。また、押圧凸部は、ボーン部材38の内側挟持部64の上面、及び、ボデー部材40外側挟持部78の下面に形成してもよい。また、押圧凸部の形状は、円環状以外の形状、例えば、楕円形状、C字形状、渦巻き形状に形成してもよいし、あるいは、突起形状として分散的に複数配置してもよい。また、押圧凸部の断面形状は、四角形、三角形、半円形等のように任意の形状に変更してもよい。