JP6696776B2 - 発酵装置及び方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記事情に鑑み、発酵装置において、中和剤の所要量を減らし、ひいては中和剤が系内に蓄積されるのを抑制又は防止することを目的とする。
培養液中の微生物によって有価有機物を発酵生成する少なくとも1つの主発酵槽を含む生成手段と、
前記生成手段から取り出した培養液から前記有価有機物を抽出する抽出手段と、
前記抽出後の液中の残留有機物を微生物によって発酵分解する分解手段と、
前記主発酵槽における前記培養液のpHを測定する測定手段と、
前記抽出手段から前記分解手段の出口部までにおける1又は複数箇所から液の一部を前記主発酵槽へ送る送液手段と、
前記pHの測定値に基づいて、前記送液手段の送液流量を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする。
本発明方法は、液中の微生物によって有機物を発酵処理する発酵方法において、
培養液中の微生物によって有価有機物を発酵生成する生成工程と、
前記生成工程後の培養液から前記有価有機物を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程後の液中の残留有機物を微生物によって発酵分解する分解工程と、
前記生成工程における前記培養液のpHを測定する測定工程と、
前記抽出工程から前記分解工程後までにおける1又は複数時点の液の一部を前記生成工程へ送る送液工程と、
前記pHの測定値に基づいて、前記送液工程の送液流量を制御する制御工程と
を備えたことを特徴とする。
前記抽出工程後かつ前記分解工程前、並びに前記分解工程の途中及び後のうち1又は複数時点の液の一部を、前記pHの測定値に基づいて流量制御しながら前記生成工程へ送ることが好ましい。
これによって、培養液のpHが所望の値になるよう調節できる。
前記分解工程が、前記抽出工程後の液を酸発酵させる酸発酵工程と、前記酸発酵工程後の液をメタン発酵させるメタン発酵工程とを含むことが好ましい。前記酸発酵工程後かつ前記メタン発酵工程前、及び前記メタン発酵工程後のうち1つ又は両方の時点の液の一部を、前記pHの測定値に基づいて流量制御しながら前記生成工程へ送ることが好ましい。
これによって、培養液のpHが確実に所望の値になるよう調節できる。
前記培養方法が、前記メタン発酵後の液の他の一部を前記酸発酵前の液に混合する還流工程を、更に備えていることが好ましい。
メタン発酵後の液は、酸発酵前の液よりもpHが高い。この高pH液を酸発酵槽に戻すことによって、酸発酵槽(酸発酵工程中の液)のpHが必要以上に低くなるのを抑えることができる。これによって、酸発酵槽(酸発酵工程中の液)に中和剤を別途投入しなくても、良好な酸発酵を行わせることができる。別途の中和剤が不要であるから、それが蓄積されることもない。
前記制御工程においては、前記pHの測定値に基づいて、前記送液流量及び前記原液の供給流量を制御することが好ましい。
これによって、主発酵槽(生成工程)の培養液のpHを所望になるよう制御できるだけでなく、主発酵槽(生成工程)への液供給流量を一定に保持することができる。ひいては、系の液流路を流れる液流量を一定に保つことができる。
前記抽出工程後かつ前記分解工程前の液から固形物を分離して排出する分離排出工程と、
を更に備え、
前記分解工程が、嫌気処理工程と、前記嫌気処理工程後の好気処理工程とを含み、
前記中和剤の添加量を、前記分離排出工程において排出される排出物中の前記中和剤の量と、前記好気処理工程に入る液中の前記中和剤の量との和と一致させることが好ましい。
これによって、中和剤が系内に蓄積されるのを一層確実に防止できる。前記好気処理工程に入る液中に前記中和剤由来のアンモニア等が含まれていたとしても、好気処理によってこれを分解することができる。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る発酵装置1を示したものである。発酵装置1は、原液供給手段2と、生成手段10と、抽出手段20と、固液分離手段30と、分解手段40と、これらを繋ぐ液流路9とを備えている。液流路9の流れ方向に沿って、原液供給手段2、生成手段10、抽出手段20、固液分離手段30、分解手段40の順に配置されている。液流路9は、隣り合う2つの手段2,10,20,30,40間の液路9a,9b,9c,9d、並びに分解手段40の内部及び下流側の液路9e,9f,9gを含む。
図示は省略するが、各液路9a〜9gには送液ポンプが設けられている。
原液供給手段2と生成手段10とが、原液供給路9aによって接続されている。
抽出手段20は、1又は複数段の蒸留塔21を含む。最終段の蒸留塔21からの留出蒸気路22が、精製装置(図示省略)へ延びている。また、缶出液出口23からの抽出残液路9cが、固液分離手段30へ延びている。
固液分離手段30の液出口と分解手段40とが、分離済液路9dによって接続されている。
<供給工程>
原液供給手段2から培養原液90を主発酵槽11へ供給する。この原液90が、主発酵槽11内の培養液91に注ぎ足される。
主発酵槽11の培養液91において、本発酵用嫌気性微生物を培養する。本発酵用嫌気性微生物は、エタノール(C2H5OH)等の有価有機物を発酵生成する。副産物として、酢酸等の酸性有機化合物も生成される。したがって、培養液91のpHは低くなる傾向がある。
この培養液91に中和剤添加手段60から適量の中和剤を添加する。これによって、培養液91のpHが必要以上に低下するのを防止でき、本発酵用嫌気性微生物の発酵活動を促進できる。
<抽出工程>
蒸留塔21においては、培養液91を蒸留することでエタノール(有価有機物)を抽出する。抽出したエタノールを留出蒸気路22から取り出し、更に精製して種々の利用に供する。
フィルター脱水機31においては、抽出残液92を圧搾して固液分離する。固形物は、脱水ケーキ状態となって固形物排出路34から系外へ排出される。固形物を含む排出物には、前記中和剤の一部が混じっている。
固形物分離後の液93を、分離済液路9dによって分解手段40へ送る。
分解手段40では、嫌気処理部41において嫌気処理工程を行ない、その後、好気処理部44において好気処理工程を行なう。嫌気処理工程としては、先ず酸発酵槽42において酸発酵工程を行ない、次に、メタン発酵槽43においてメタン発酵工程を行なう。
酸発酵槽42では、酸発酵菌の酸発酵によって液93中の残留有機物を分解する。このとき、酸が生成されるため、酸発酵槽42のpHは、メタン発酵槽43よりも低い。
酸発酵処理後の液94を、酸発酵済液路9eによってメタン発酵槽43へ送る。
メタン発酵槽43では、メタン発酵菌のメタン発酵によって液94中の残留有機物を分解する。このとき、炭酸ガスやメタンが生成されるために、メタン発酵槽43のpHは比較的高い。
酸発酵処理及びメタン発酵処理によってCODを低下させることができる。メタン発酵処理後の液95のうち後記還流液95bを除く液95aを、メタン発酵済液路9fによって好気処理部44へ送る。
好気処理部44では、好気性微生物によって液95a中の有機物を好気的に分解処理する。これによって、CODを環境放出基準まで低下させることができる。液95a中に中和剤添加手段60からの中和剤由来のアンモニアが含まれていたとしても、好気処理によってこれを分解することができる。
<液放出工程>
好気処理後の廃液96が、廃液路9gによって系外に下水として放出される。廃液96には、前記中和剤の一部が混じっている。これによって、前記分離排出工程における中和剤排出及び好気処理による分解等と相俟って、中和剤が発酵装置1の系内に蓄積されるのを防止できる。
好ましくは、固形物排出路34からの排出物中の中和剤の流量Q34と、好気処理部44に入る液95a中の中和剤の流量Q95aとの和が、中和剤添加手段60の中和剤添加流量Q60とほぼ等しくなるように設定する。
Q34+Q95a≒Q60 (式1)
これによって、発酵装置1内における中和剤量を平衡に維持することができる。また、添加流量Q60を一定に保持でき、主発酵槽11のpH値を中和剤添加手段60にフィードバックする必要が無い。
<測定工程>
詳しくは、pH測定器55によって主発酵槽11のpHを測定する。測定結果をコントローラ59に入力する。
<制御工程>
コントローラ59は、pH測定器55のpH測定値に基づいて送液ポンプ53の出力を制御する。
<送液工程>
送液ポンプ53の駆動によって、メタン発酵処理後の液95の一部(還流液95b)が送液路52へ分流される。さらに、送液ポンプ53の出力調節によって、還流液95bの流量が制御される。還流液95bは、原液供給路9aにおいて原液供給手段2からの培養原液90と合流して、培養原液90と共に主発酵槽11へ供給される。
しかも、還流液95bが中和剤の代わりになるから、中和剤添加手段60からの中和剤の供給流量Q60を十分に小さくできる。したがって、発酵装置1内に中和剤が蓄積されるのを一層確実に抑制又は防止することができる。
更には、液95bを主発酵槽11へ戻すことによって培養液91のリサイクル率を高めることができる。したがって、培養原液90の供給流量を減らすことができる。
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態を示したものである。
発酵装置1Bにおいては、生成手段10が複数(図では2つ)の主発酵槽11,11を含む。これら主発酵槽11,11は、互いに並列に配置されている。原液供給路9aが複数に分岐して、各主発酵槽11に接続されている。各主発酵槽11に添加路62が接続されている。各主発酵槽11から培養液送出路9bが引き出されている。これら培養液送出路9b,9bが互いに合流して、抽出手段20に接続されている。
図3は、本発明の第3実施形態を示したものである。
発酵装置1Cにおいては、コントローラ59の制御信号線が、送液ポンプ53だけではなく、原液供給路9aの原液供給ポンプ2Pにも接続されている。(なお、他の実施形態(図1〜2,4〜5)においても、原液供給ポンプ2Pは存在するが、その図示が省略されている。)
図4に示すように、送液手段51の上流端は、抽出手段20から分離手段40までの液流路9(9c〜9f)の一箇所だけでなく、複数箇所に接続されていてもよい。抽出工程から分解工程までにおける複数時点の液92〜95の一部を主発酵槽11に戻してもよい。
図5は、本発明の第5実施形態を示したものである。
発酵装置1Eにおいては、送液手段51が、2つ(複数)の送液路52e,52fを含む。送液路52eは、酸発酵済液路9eから分岐されている。送液路52eの上流端が、酸発酵槽42とメタン発酵槽43との間(ないしは酸発酵槽42の出口部)に接続されている。送液路52fは、第1実施形態の送液路52と同じく、メタン発酵済液路9fから分岐されることで、メタン発酵槽43の出口部に接続されている。
例えば、第1実施形態(図1)において、送液路52の上流端は、液流路9における抽出手段20から分解手段40の出口部までの部分に接続されていればよく、メタン発酵済液路9fに限られず、抽出残液路9c(抽出手段20の出口部)、分離済液路9d(分離手段40の入口部)、酸発酵済液路9e(分離手段40の中途部)、又は廃液路9g(分離手段40の出口部)に接続されていてもよい。送液手段51が、メタン発酵工程後の液95の一部に代えて、抽出工程後かつ分離工程前の液92若しくは93の一部、分離工程の途中ないしは酸発酵工程後かつメタン発酵工程前の液94の一部、又は分離工程後の液96の一部を主発酵槽11へ送るようになっていてもよい。第2、第3実施形態等でも同様である。
第2実施形態(図2)において、コントローラ59が、pH測定器55及び送液ポンプ53ごとに設けられていてもよい。
第2実施形態において、複数の主発酵槽11,11が互いに直列に接続されていてもよい。
第5実施形態(図5)において、送液路52eの上流端が、液路9eに代えて、液路9c,9d,9fに接続されていてもよく、送液路52fの上流端が、液路9fに代えて、液路9d,9e,9gに接続されていてもよい。
第4、第5実施形態(図4〜図5)において、抽出手段20から分解手段40の出口部までの間の3以上の箇所の液92〜96の一部を主発酵槽11へ送ってもよい。つまり、抽出工程から分解工程後までにおける3つ以上の時点の液92〜96の一部を主発酵槽11へ送ってもよい。
抽出手段20が、複数段の蒸留塔を含む場合、ある段の蒸留塔から次の段の蒸留塔へ向かう液の一部を主発酵槽11へ送ってもよい。
有価有機物としては、エタノールの他、ブタノール、酢酸ないしはアセテート、その他の有機化合物であってもよい。
1B,1C,1D,1E 発酵装置
2 原液供給手段
2P 原液供給ポンプ
9 液流路
9a〜9g 液路
10 生成手段
11 主発酵槽
20 抽出手段
30 固液分離手段
34 固形物排出路
40 分解手段
41 嫌気処理部
42 酸発酵槽
43 メタン発酵槽
44 好気処理部
45 還流路
50 pH調節手段
51 送液手段
52 送液路
53 送液ポンプ
55 pH測定器(測定手段)
59 コントローラ(制御手段)
60 中和剤添加手段
52d,52e,52f 送液路
90 培養原液
91 培養液
92 抽出後残液(抽出工程後かつ分離工程前の液)
93b 還流液(抽出工程後かつ分離工程前の液の一部)
94b 還流液(分離工程の途中(酸発酵工程後かつメタン発酵工程前)の液の一部)
95d 他の還流液(メタン発酵工程後の液の他の一部)
92a 好気処理部(好気処理工程)に入る液
95b 還流液(分離工程の途中(メタン発酵工程後)の液の一部)
96 廃液(分離工程の出口部の液)
Claims (10)
- 液中の微生物によって有機物を発酵処理する発酵装置において、
培養液中の微生物によって有価有機物を発酵生成する少なくとも1つの主発酵槽を含む生成手段と、
前記培養液の原液の供給手段と前記生成手段とを接続する原液供給路と、
前記原液供給路に設けられた原液供給ポンプと、
前記生成手段から取り出した培養液から前記有価有機物を抽出する抽出手段と、
前記抽出後の液中の残留有機物を微生物によって発酵分解する分解手段と、
前記主発酵槽における前記培養液のpHを測定する測定手段と、
前記抽出手段から前記分解手段の出口部までにおける1又は複数箇所から液の一部を還流液として前記主発酵槽へ送る送液路及び送液ポンプを含む送液手段と、
前記pHの測定値に基づいて、前記主発酵槽内のpHが所定になり、かつ前記還流液及び前記原液の合計流量が一定になるよう、前記送液ポンプ及び前記原液供給ポンプを制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする発酵装置。 - 前記送液手段の上流端が、前記抽出手段の出口部、並びに前記分解手段の入口部、中途部、及び出口部のうち1又は複数箇所に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の発酵装置。
- 前記分解手段が、前記抽出手段に接続された酸発酵槽と、前記酸発酵槽の下流側に設けられたメタン発酵槽とを含み、
前記送液手段が、前記酸発酵槽と前記メタン発酵槽との間と、前記メタン発酵槽の出口部とのうち少なくとも一箇所に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の発酵装置。 - 前記分解手段が還流路を含み、前記還流路の上流端が、前記メタン発酵槽の出口部に接続され、かつ前記還流路の下流端が、前記酸発酵槽の入口部に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の発酵装置。
- 液中の微生物によって有機物を発酵処理する発酵方法において、
培養液中の微生物によって有価有機物を発酵生成する生成工程と、
前記培養液の原液を前記生成工程へ供給する供給工程と、
前記生成工程後の培養液から前記有価有機物を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程後の液中の残留有機物を微生物によって発酵分解する分解工程と、
前記生成工程における前記培養液のpHを測定する測定工程と、
前記抽出工程から前記分解工程後までにおける1又は複数時点の液の一部を還流液として前記生成工程へ送る送液工程と、
前記pHの測定値に基づいて、前記生成工程における前記培養液のpHが所定になり、かつ前記還流液及び前記原液の合計流量が一定になるよう、前記還流液の送液流量及び前記原液の供給流量を制御する制御工程と
を備えたことを特徴とする発酵方法。 - 前記還流液を、前記原液と合流させて前記原液と共に、前記生成工程を行なう主発酵槽へ供給することを特徴とする請求項5に記載の発酵方法。
- 前記抽出工程後かつ前記分解工程前、並びに前記分解工程の途中及び後のうち1又は複数時点の液の一部を、前記pHの測定値に基づいて流量制御しながら前記生成工程へ送ることを特徴とする請求項5又は6に記載の発酵方法。
- 前記分解工程が、前記抽出工程後の液を酸発酵させる酸発酵工程と、前記酸発酵工程後の液をメタン発酵させるメタン発酵工程とを含み、
前記酸発酵工程後かつ前記メタン発酵工程前、及び前記メタン発酵工程後のうち1つ又は両方の時点の液の一部を、前記pHの測定値に基づいて流量制御しながら前記生成工程へ送ることを特徴とする請求5又は6に記載の発酵方法。 - 前記メタン発酵工程後の液の他の一部を前記酸発酵工程前の液に混合する還流工程を、更に備えたことを特徴とする請求項8に記載の発酵方法。
- 前記生成工程の培養液に中和剤を添加する添加工程と
前記抽出工程後かつ前記分解工程前の液から固形物を分離して排出する分離排出工程と、
を更に備え、
前記分解工程が、嫌気処理工程と、前記嫌気処理工程後の好気処理工程とを含み、
前記中和剤の添加量を、前記分離排出工程において排出される排出物中の前記中和剤の量と、前記好気処理工程に入る液中の前記中和剤の量との和と一致させることを特徴とする請求項5〜9の何れか1項に記載の発酵方法。
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