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JP6701801B2 - リチウムイオン二次電池用正極活物質、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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JP6701801B2 - リチウムイオン二次電池用正極活物質、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極活物質、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池に関する。
現近年、携帯電話、ビデオカメラ、ノートパソコンなどの携帯情報電子機器の普及に伴い、機器の高性能化、小型化、軽量化が急速に発展している。
これらの機器に使用される電源には、経済性、高性能、小型軽量などの総合的なバランスの良さから、二次電池、特にリチウムイオン二次電池の需要が伸びている。さらにリチウムイオン二次電池は、一部のハイブリッドカーや電気自動車にまで使用されている。これらの電子機器は更なる高性能化及び小型化が進められており、リチウムイオン二次電池に関しても高密度エネルギー要求、長寿命化、安全性信頼性の向上が要求されている。
リチウムイオン二次電池用途に適する正極活物質として、数多くのものが提案されているが、一般的にリチウムコバルト酸化物(LiCoO)やリチウムニッケル酸化物(LiNiO、Li(NiCoAl)O、Li(CoNiMn)O)、オリビン型構造に代表されるようなポリアニオン化合物(LiFePO、LiVOPO)がある。その中でもリチウムニッケル酸化物は高容量であり、対リチウム放電電圧も3.8V程度と高いが、充放電に伴う構造安定性が低く、遷移金属が溶出し易いため、セパレータや負極表面への付着、析出が原因となり、サイクル特性の低下等の問題があるとされている。
最近では特許文献1のように、リン酸バナジウムリチウムを活物質に被覆することで、酸素や遷移金属の溶出を抑制し、且つ、高温時でも結晶構造の安定性と放電エネルギーを向上させられる活物質が提案されている。また、特許文献2のように、カーボンをリン酸バナジウムリチウム及びリチウムニッケル複合酸化物に被覆し混合し、且つ、正極と負極の初期充放電量の関係性を規定することで、サイクル特性を向上させる手法も提案されている。
しかしながら、世の中の要求はとどまることを知らず、更なるサイクル特性の改善が求められている。
特開2008−277152号公報 特開2013−084566号公報
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、サイクル特性が更に良好なリチウムイオン二次電池用正極活物質、それを用いたリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質は、組成式(1)LiwNix(M1)y(M2)z 〔M1はCo、Mnから選ばれる少なくとも1種、M2はAl、Fe、Cr、Ba、MnおよびMgから選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.0<w<1.1、2.0<(w+x+y+z)≦2.1、0.3<x<0.95、0.01<y<0.4、0.001<z<0.2〕で表される第1化合物と、
組成式(2)Liw(M3)xVyOz 〔M3はNi、Co、Mnから選ばれる少なくとも一種であり、1≦w≦3、0≦x≦2、1≦y≦6、1≦z≦13〕、または組成式(3)Liw(M3)xPyOz 〔M3はNi、Co、Mnから選ばれる少なくとも一種であり、1≦w≦3、0≦x≦3、1≦y≦6、0≦z≦10〕から選ばれる少なくとも一種の第2化合物とを含有することを特徴とする。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質を用いることにより、高電位での充放電をする際、V及び、Pを含む結晶構造の安定な化合物が存在することにより、充放電を繰り返し行った場合での、活物質の劣化を抑制することができ、さらに、リチウムイオン二次電池用正極活物質より溶出する遷移金属を捕捉し、セパレータや負極表面への付着・析出も抑制することができ、サイクル特性が改善することができると考えられる。
上記本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の第2化合物は、前記第1化合物からなる粒子の少なくとも一部の表面を被覆していることが好ましい。
これにより、更にリチウムイオン二次電池用正極活物質より溶出する遷移金属を捕捉し易くなり、セパレータや負極表面への付着・析出も抑制することで、サイクル特性を改善することができる。
上記本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の第2化合物は、前記組成式(2)の化合物と前記組成式(3)の化合物とを含有することが好ましい。
これにより、V及び、Pを含む結晶構造の安定な化合物が存在するため、より、リチウムイオン二次電池用正極活物質より溶出する遷移金属を捕捉し、セパレータや負極表面への付着・析出も抑制することで、更なるサイクル特性の改善することができる。
上記本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質の組成式(2)の化合物中のVの含有量は、前記リチウムイオン二次電池用正極活物質全体に対し0.1〜10at%以下であり、組成式(3)の化合物中のPの含有量は前記リチウムイオン二次電池用正極活物質全体に対し0.1〜5at%以下で存在することが好ましい。
これにより、正極活物質を保護すると共に、充電電圧を上昇させた際のリチウムイオンの移動を妨げることなく充放電時の活物質の構造安定性を高めることで、サイクル特性を改善することができる。
上記本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質は、組成式(4)Li(M4)PO〔M4はFe,Cu,Zn,MgおよびVOからなる群より選ばれた少なくとも一種〕からなる第3化合物がさらに混合していることが好ましい。
これにより、より優れたサイクル特性を得ることができ、且つ高容量とすることができる。これは、第3化合物が充放電に伴う構造の変化が少ないためであると考えられる。
上記本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質は、組成式(1)で表される第1化合物と前記組成式(4)からなる第3化合物の質量比率が60:40〜95:5の範囲内であることが好ましい。
これにより、リチウムイオン二次電池用正極活物質が有する充放電の容量をより効率的に得ることができ、リン酸系ポリアニオン化合物との混合による容量の低下を抑えつつ、高いレベルで両立させることができる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極は、上記リチウムイオン二次電池用正極活物質を含むことを特徴とする。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオ二次電池用正極と、負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在されるセパレータと電解液と、を備えてなることを特徴とする。
本発明によれば、サイクル特性が従来に比し、更に良好なリチウムイオン二次電池用正極活物質、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供することができる。
リチウムイオン二次電池の模式断面図である。
本発明にかかるリチウムイオン二次電池の好適な実施の一例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明のリチウムイオン二次電池は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
<リチウムイオン二次電池>
本実施形態に係る電極、及びリチウムイオン二次電池について図2を参照して簡単に説明する。リチウムイオン二次電池100は、主として、積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60,62を備えている。また図示されていないが、積層体40とともに電解液をケース50に収容している。
積層体40は、正極20、負極30がセパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。正極活物質層24及び負極活物質層34がセパレータ10の両側にそれぞれ接触している。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード62,60が接続されており、リード60,62の端部はケース50の外部にまで延びている。
<正極活物質層>
正極活物質層14は、少なくとも本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質と導電助剤とを含有する。正極活物質層14は正極活物質及び導電助剤を結着するバインダーを含んでもよい。
<導電助剤>
導電助剤としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
<バインダー>
バインダーは、リチウムイオン二次電池用正極活物質と導電助剤とを正極集電体12に結着することができれば特に限定されず、公知の結着剤を使用できる。バインダーの材質としては、上述の結着が可能であればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド、セルロース、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリアクリル酸とその塩、アルギン酸とその塩等を用いてもよい。また、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子を用いてもよい。更に、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン(炭素数2〜12)共重合体等を用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電材の機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等の高分子化合物にリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。
正極活物質層14のリチウムイオン二次電池用正極活物質と導電助剤とバインダーの比率は特に限定されないが、正極活物質の比率が少ないと電極密度が小さくなる傾向にあり、正極活物質の比率は80質量%以上が好ましい。
<正極集電体>
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
<正極活物質>
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質は、組成式(1):LiwNix(M1)y(M2)z〔M1はCo、Mnから選ばれた少なくとも1種、M2はAl、Fe、Cr、Ba、MnおよびMgから選ばれた少なくとも1種の元素であり、1.0<w<1.1、2.0<(w+x+y+z)≦2.1、0.3<x<0.95、0.01<y<0.4、0.001<z<0.2〕で表される第1化合物と、
組成式(2):Liw(M3)xVyOz〔M3はNi、Co、Mnからなる少なくとも一種であり、1≦w≦3、0≦x≦2、1≦y≦6、1≦z≦13〕、
または組成式(3):Liw(M3)xPyOz〔M3はNi、Co、Mnからなる少なくとも一種であり、1≦w≦3、0≦x≦3、1≦y≦6、0≦z≦10〕から選ばれる少なくとも一種の第2化合物とを含有することを特徴とする。
第1化合物は、
組成式(1):LiwNix(M1)y(M2)z〔M1はCo、Mnから選ばれた少なくとも1種、M2はAl、Fe、Cr、Ba、MnおよびMgから選ばれた少なくとも1種の元素であり、1.0<w<1.1、2.0<(w+x+y+z)≦2.1、0.3<x<0.95、0.01<y<0.4、0.001<z<0.2〕で表される化合物であり、具体的には、Li1.0Ni0.8Co0.15Al0.05、Li1.0Ni0.87Co0.10Al0.03、Li1.0Ni0.83Co0.14Al0.03、Li1.0Ni0.78Co0.19Al0.03や、Li1.0Ni0.8Co0.1Mn0.1、Li1.0Ni0.5Co0.2Mn0.3、Li1.0Ni0.6Co0.2Mn0.2、Li1.0Ni0.3Co0.3Mn0.3などが挙げられる。中でもLi1.0Ni0.8Co0.15Al0.05を用いることが好ましい。これにより高容量が得られる。
第1化合物は平均一次粒子径が0.3〜5μmであることが好ましい。平均一次粒子径が0.3〜5μmの範囲である場合、第2化合物が十分に被覆され、かつ第1化合物が高い結晶性を持つため特にサイクル特性が向上する。
第2化合物としては組成式(2)と組成式(3)を用いることができる。
まず、組成式(2)は、Liw(M3)xVyOz〔M3はNi、Co、Mnからなる少なくとも一種であり、1≦w≦3、0≦x≦2、1≦y≦6、1≦z≦13〕で表される化合物であり、
具体的には、LiNiVO、LiMniVOやLiCoiVOが用いられ、好ましくは、LiNiVOがあげられる。また、遷移金属の元素の一部が他の遷移金属から選択される1以上の元素に置換されていても良い。
また、第2化合物としては、組成式(3):Liw(M3)xPyOz〔M3はNi、Co、Mnからなる少なくとも一種であり、1≦w≦3、0≦x≦3、1≦y≦6、0≦z≦10〕で表される化合物であり、具体的には、LiNi19、LiCo10やLiMnP好ましくはLiNi19があげられる。また、遷移金属の元素の一部が他の遷移金属から選択される1以上の元素に置換されていても良い。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質は、第2化合物が、前記第1化合物からなる粒子の少なくとも一部の表面を被覆していることが好ましい。
被覆部を持たせることによって、正極活物質中の容量を減少させることなく、且つ、遷移金属イオンの電解液への溶出を捕捉する効果と、電解液との界面における電子移動を防止する効果を効率的に得ることができ、高いサイクル特性を得ることができる。また上記第2化合物は、第1化合物に0.1〜10μmの厚みをもたせて、一部を覆うように被覆していることが好ましいが、厚みは不均一に被覆されていても良い。
被覆部の状態は特に限定されず、第1化合物の表面を島状や格子状に覆っていてもよい。
第2化合物は第1化合物の表面もしくは第2化合物の二次粒子の表面に付着していてもよく、導電助剤とともに第1化合物の表面近傍もしくは第2化合物の二次粒子の表面近傍にいてもよい。
上記被覆部は第1化合物の表面を20%以上覆っていることが好ましい。これによりサイクル特性が更に向上する。
被覆部の厚みは、0.1〜5μmであることが好ましい。この範囲内であると、被覆部の抵抗成分を増加させることなく、かつ、上記した被覆部の効果を効率的に得ることができるため、高いサイクル特性を得ることができる。
被覆する第2化合物は組成式(2)と組成式(3)と、両方が被覆している方が上記した効果を効率的に得ることができるため好ましいが、片方だけ混合し被覆していても良い。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質は、第2化合物が前記組成式(2)の化合物、及び前記組成式(3)の化合物とを含有することが好ましい。
上記第2化合物は組成式(2)と組成式(3)と両方を含有することにより、結晶構造の安定なV及びPの化合物を使用するため、より、リチウムイオン二次電池用正極活物質より溶出する遷移金属を捕捉し、セパレータや負極表面への付着・析出も抑制することができ、更なるサイクル特性の改善することができる。
V及びPの化合物比率は2:1にすることで、正極活物質中の遷移金属を効率的に捕捉でき、電解液への遷移金属の移動が妨げられると考えられる。すなわち、遷移金属の電解液への溶出が抑制されるため好ましい。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質は、組成式(2)の化合物中のVの含有量が、リチウムイオン二次電池用正極活物質全体に対し0.1〜10at%以下であり、組成式(3)の化合物中のPの含有量がリチウムイオン二次電池用正極活物質全体に対し0.1〜5at%以下で存在することが好ましい。
被覆部となる、組成式(2)の化合物中のVの含有量は、前記リチウムイオン二次電池用正極活物質全体に対し好ましくは0.1〜3.5at%以下であり、組成式(3)の化合物中のPの含有量は前記リチウムイオン二次電池用正極活物質全体に対し好ましくは0.1〜1.8at%以下で存在し、被覆部によって、遷移金属イオンの電解液への溶出を捕捉する効果と、電解液との界面における電子移動を防止する効果を効率的に得ることができ、高いサイクル特性を得ることができるため好ましい。
<正極活物質の製造方法>
本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、組成式(1)LiwNix(M1)y(M2)z〔M1はCo、Mnから選ばれた少なくとも1種、M2はAl、Fe、Cr、Ba、MnおよびMgから選ばれた少なくとも1種の元素であり、1.0<w<1.1、2.0<(w+x+y+z)≦2.1、0.3<x<0.95、0.01<y<0.4、0.001<z<0.2〕で表される化合物と、前記化合物の少なくとも一部が覆われるように組成式(2):Liw(M3)xVyOz〔M3はNi、Co、Mnからなる少なくとも一種であり、1≦w≦3、0≦x≦2、1≦y≦6、1≦z≦13〕、または組成式(3):Liw(M3)xPyOz〔M3はNi、Co、Mnからなる少なくとも一種であり、1≦w≦3、0≦x≦3、1≦y≦6、0≦z≦10〕からなる複合層でコーティングするコーティングステップを含む正極活物質の製造方法によって製造される。
製造ステップは、公知の固相合成、水熱合成、カーボサーマルリダクション法、共沈法、ゾルゲル過程などの様々な製造方法によって製造されることができ、特定の方法に限定されるものではない。
コーティングステップは、コーティングしようとする化合物粒子の表面に複合層をコーティングすることができれば、公知の表面コーティング方法すなわち、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ディップコーティング(dip coating)のような浸漬方法など汎用コーティング方法によって製造することができる。このようなコーティングの方法の中で最も簡便な方法は、単純に化合物粒子をコーティング溶液に添加して混合物を製造し(混合工程)、溶媒を除去し(溶媒除去工程)、乾燥させることによる浸漬法であるが、特定の方法に限定されるものではない。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質は、組成式(4):Li(M4)PO〔M4はFe,Cu,Zn,MgおよびVOからなる群より選ばれた少なくとも一種〕からなる第3化合物がさらに混合していることが好ましい。
第3化合物は具体的にはLiVOPOが挙げられ、結晶形態は特に問わず、一部非晶質状態となっていてもよいが、特に斜方晶系であるLiVOPOを第1化合物と混合する方が充放電による抵抗増加が抑制され容量低下を抑えることができ好ましい。
第3化合物の一次粒子径は、0.05〜1μmが好ましく、正極活物質重量中5%以上混合することが好ましい。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質は、組成式(1)で表される第1化合物と組成式(4)からなる第3化合物の質量比率が60:40〜95:5の範囲内であることが好ましい。
正極活物質との質量比率が上記の範囲内である場合、正極活物質材料が有する充放電の容量をより効率的に得ることができ、リン酸系ポリアニオン化合物との混合による容量の低下を抑えつつ、高いレベルで両立させることができる。好ましくは90:10の範囲であることが、上記の効果を効率よく発揮でき、より好ましい。
第3化合物の製造方法は特に限定されないが、少なくとも原料調製工程及び焼成工程を備える。原料調製工程では、リチウム源と遷移金属物源とリン源及び水を攪拌、混合して、混合物(混合液)を調製する。原料調製工程により得た混合物を乾燥する乾燥工程を焼成工程前に実施してもよい。必要に応じて乾燥工程及び焼成工程前に水熱合成工程を実施してもよい。
リチウム源、遷移金属源、及びリン源の配合比は、例えば混合物中のLi、遷移金属元素及びPのモル比を、Li(M4)PO〔M4はFe,Cu,Zn,MgおよびVOからなる群より選ばれた少なくとも一種〕の化学量論比(1:1:1)になるように調整し、混合物を乾燥及び焼成することにより第3化合物を製造することができ、好ましくは高い充放電電圧を実現できるLiVOPOを使用することがよい。
なお、上述したリチウム源、遷移金属源、リン源等の化合物形態は、特に問わず、各原料の酸化物や塩など、プロセスに合わせ公知の材料が選択できる。
所望の粒子径を有する活物質材料の粉体を得るために、粉砕機や分級機を用いてもよい。例えば乳鉢、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には、水又はヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、ふるいや風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
<正極の製造方法>
正極10は、公知の方法、例えば、リチウムイオン二次電池用正極活物質、導電助剤及びバインダーを、それらの種類に応じた有機溶媒や水系溶媒に添加したスラリーを、正極集電体12の表面に塗布し、乾燥させることにより製造できる。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。
上記の有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン等が挙げられる。
上記の水系溶媒は、水または水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)との混合溶液であってもよい。
<負極活物質層>
負極活物質層24は、負極活物質、導電助剤、及び、バインダーを含むものを使用できる。
負極に用いるバインダー、導電助材は、それぞれ、正極と同様のものを使用できる。
<負極活物質>
本発明の負極活物質はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知の電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、二酸化シリコン、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。単位重量あたりの容量の高く、比較的安定な黒鉛を用いることが好ましい。
<負極の製造方法>
負極20の製造方法は、正極10の製造方法と同様にスラリーを調整して負極集電体22に塗布すればよい。
<セパレータ>
セパレータ18は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
<ケース>
ケース50は、その内部に発電要素40及び電解質溶液を密封するものである。ケース50は、電解質溶液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
<リード>
リード60,62は、アルミニウムやニッケル等の導電材料から形成されている。
<電解液>
本実施形態の電解液は、溶質と溶媒と添加剤にて構成される。
<溶質>
溶質としてはリチウムイオン二次電池の場合、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、特に限定されず公知の材料を用いることができるが、具体的には、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(SOF)、LiN(CFCFCO)等が挙げられる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。溶質としてはLiPF、LiBF、LiN(SOF)がサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、LiPFがより好ましい。溶質の濃度は1種の場合でも2種以上の場合でも、0.8〜1.5Mが好ましい。
<溶媒>
溶媒としては、特に限定されず公知の電気化学デバイスに使用されている溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキシレン、4−メチル−1,3−ジオキシレン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、スルホラン、2−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノンなどが挙げられる。これらの溶媒を単独もしくは複数種類併せて用いることができる。環状カーボネートや鎖状カーボネートがサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートがより好ましい。
<添加剤>
また、添加剤として、公知の添加剤を加えてもよい。例えば、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2,−ジオキシド、エチレンサルファイトなどを0.01〜5質量%添加してもよい。
<セパレータ>
セパレータ18は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、リチウムイオン二次電池以外の電気化学素子の電極材料としても用いることができる。このような、電気化学素子としては、金属リチウム二次電池(正極に本実施形態の正極活物質を含む電極を用い、負極に金属リチウムを用いたもの)等のリチウムイオン二次電池以外の二次電池や、リチウムキャパシタ等の電気化学キャパシタ等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)<正極活物質の作製> 本実施形態におけるリチウムイオン二次電池用正極活物質において、第1化合物としてリチウムニッケル複合酸化物(Li1.0Ni0.8Co0.15Al0.05)と第2化合物にLiNiVOとLiNi19とをリチウムニッケル複合酸化物に対して、LiNiVOを10at%、LiNi19を5at%になるように秤量し、公知の水熱合成法にて合成した。
(第2化合物元素の形態の測定)
このように合成した化合物の組成について調べるために、FIB法(Focus Ion Beam)により正極から活物質を含むようにサンプリングしSTEM−EDS測定用の断面試料を作製した。この断面試料に対しSTEM−EDS法により活物質表面及び活物質表面より50nm内部を測定した。測定に用いたSTEMはJEOL社製JEM−2100Fで電子ビーム径は1nm、1点当たり30秒の溜め込み時間で測定した。LiNiVOを10at%、LiNi19を5at%の量が確認できた。
<正極の作製>
リチウムイオン二次電池用正極活物質には、前記、合成し、作製したリチウムニッケル複合酸化物(Li1.01Ni0.8Co0.15Al0.05)と、第3化合物として、斜方晶系のLiVOPOとを95:5の質量比率で秤量し、混合したものをリチウムイオン二次電池用正極活物質として用いた。そして、上記正極活物質粉末90質量部と、アセチレンブラック5質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ20μmのアルミ箔上に塗工し、温度140℃で30分間乾燥した後に、ロールプレス装置を用いて線圧1000kgf/cmでプレス処理することにより、正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質として天然黒鉛粉末90質量部と、PVDF10質量部をNMP中に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔上に塗工し、温度140℃で30分間減圧乾燥した後に、ロールプレス装置を用いてプレス処理することにより、負極を得た。
<電解液>
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒に、LiPFを1.0mol/Lとなるように溶解させた電解液を用意した。混合溶媒におけるECとDECとの体積比は、EC:DEC=30:70とした。
<セパレータ>
膜厚20μmのポリエチレン微多孔膜(空孔率:40%、シャットダウン温度:134℃)を用意した。
<電池の作製>
上記正極、負極、及びセパレータを積層させて発電要素を構成し、これと上記電解液とを用いて、実施例1の電池セルを作製した。
<電池特性の測定>
実施例1の評価用セルを、25℃で、0.1Cで4.3Vまで定電流定電圧方式で充電した後、0.1Cで2.8Vまで定電流方式で放電した。このとき、実施例1の放電容量は130mAh/gであった(初期放電容量)。この充放電サイクルを100サイクル繰返すサイクル試験を行った。実施例1の評価用セルの初期放電容量を100%とすると、100サイクル後の放電容量は92%であった。以下では、初期放電容量を100%としたときの、100サイクル後の放電容量の割合をサイクル特性という。サイクル特性が高いことは、電池が充放電サイクル耐久性に優れていることを示す。
(実施例2〜24)
実施例2〜24においては、第2化合物のLiNiVOとLiNi19との量を変更した以外は、実施例1と同様の方法で、評価用セルの作製および電池特性評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006701801
(実施例25〜27)
実施例25〜27においては、第1化合物をLi1.0Ni0.87Co0.10Al0.03、Li1.0Ni0.83Co0.14Al0.03、Li1.0Ni0.78Co0.19Al0.03に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、評価用セルの作製および電池特性評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006701801
(実施例28〜35)
実施例28〜35においては、第2化合物の種類のLiNiVOをLiMnVO、LiCoVOに、LiNi19をLiMnP、LiCo10に変更し、各組み合わせで確認した以外は、実施例1と同様の方法で、評価用セルの作製および電池特性評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006701801
(実施例36〜39)
実施例36〜39においては、第1化合物の種類をLi1.0Ni0.8Co0.1Mn0.1、Li1.0Ni0.5Co0.2Mn0.3、Li1.0Ni0.6Co0.2Mn0.2、Li1.0Ni0.3Co0.3Mn0.3に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、評価用セルの作製および電池特性評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例40〜44、比較例1)
実施例40〜44、比較例1においては、第3化合物の種類と比率を変更した以外は、実施例1と同様の方法で、評価用セルの作製および電池特性評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0006701801
表1〜4に示すとおり、実施例はサイクル特性が改善されている。以上に示すように、本発明によって、サイクル特性が更に良好なリチウムイオン二次電池用正極活物質、それを用いたリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質を用いることにより、より高いサイクル特性を得ることができる。したがって、本発明は、二次電池の分野において有用な技術である。
(符号の説明)
10・・・セパレータ、20・・・正極、22・・・正極集電体、24・・・正極活物質層、30・・・負極、32・・・負極集電体、34・・・負極活物質層、40・・・発電要素、50・・・ケース、52・・・金属箔、54・・・高分子膜、60,62・・・リード、100・・・リチウムイオン二次電池


Claims (7)

  1. 組成式(1):Liw1Nix1(M1)y1(M2)z1 〔M1はCo、Mnから選ばれた少なくとも1種、M2はAl、Fe、Cr、Ba、MnおよびMgから選ばれた少なくとも1種の元素であり、1.0<w1<1.1、2.0<(w1+x1+y1+z1)≦2.1、0.3<x1<0.95、0.01<y1<0.4、0.001<z1<0.2〕で表される第1化合物と、第2化合物とを含有し、
    前記第2化合物は、組成式(2):Liw2(M3)x2y2z2〔M3はNi、Co、Mnからなる少なくとも一種であり、1≦w2≦3、0≦x2≦2、1≦y2≦6、1≦z2≦13〕の化合物と、組成式(3):Liw3(M3)x3y3z3〔M3はNi、Co、Mnからなる少なくとも一種であり、1≦w3≦3、0≦x3≦3、1≦y3≦6、0≦z3≦10〕の化合物とを含有することを特徴とする、
    リチウムイオン二次電池用正極活物質。
  2. 前記第2化合物は、前記第1化合物からなる粒子の少なくとも一部の表面を被覆していることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  3. 前記組成式(2)の化合物中のVの量は、前記リチウムイオン二次電池用正極活物質全体に対し0.1〜10at%以下であり、組成式(3)の化合物中のPの量は前記リチウムイオン二次電池用正極活物質全体に対し0.1〜5at%以下で存在することを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  4. 前記リチウムイオン二次電池用正極活物質に、組成式(4):Li(M4)PO〔M4はFe,Cu,Zn,MgおよびVOからなる群より選ばれる少なくとも一種〕からなる第3化合物がさらに混合していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  5. 前記組成式(1)で表される第1化合物と前記組成式(4)からなる第3化合物の質量比率が60:40〜95:5の範囲内であることを特徴とする、請求項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池用正極。
  7. 請求項に記載の正極と、負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在されるセパレータと電解液と、を備えてなるリチウムイオン二次電池。
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