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JP6701895B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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JP6701895B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、スクロール圧縮機に関し、特に、可動スクロールに形成されている渦巻き状のラップの外周側端部が破損するのを抑制する技術に関するものである。
従来、スクロール圧縮機は、一般に、ケーシング内に圧縮機構と駆動機構とを備えている。圧縮機構は、固定スクロールと可動スクロールとを有し、固定スクロール及び可動スクロールは、それぞれ、互いに対向して配置される鏡板(固定側鏡板部及び可動側鏡板部)と、各鏡板に一体的に形成されて互いに噛み合う渦巻き状のラップ(固定側ラップ及び可動側ラップ)とを有している。
スクロール圧縮機の圧縮機構では、固定スクロールのラップ(固定側ラップ)と可動スクロールのラップ(可動側ラップ)が噛み合うことにより、固定スクロールと可動スクロールの間に圧縮室が形成されている。可動スクロールには、駆動機構に設けられているクランク軸(駆動軸)のクランクピンが連結されている。そして、クランク軸が回転することにより、可動スクロールが固定スクロールに対して旋回すると、圧縮室の容積が拡大と縮小を繰り返す。圧縮機構は、圧縮室の容積が拡大するときに冷媒を吸入し、縮小するときに冷媒を圧縮して吐出する。
ここで、スクロール圧縮機では、可動スクロールが遠心力によって固定スクロール側へ押し付けられるときの圧接力を利用してシール効果を得て、性能を向上させるようにしている場合が多い。しかし、可動側ラップの渦巻きの外周側端部の巻き終わり部分は構造的に弱いため、圧接力によって破損するおそれがあった。特に、上記可動側ラップの巻き終わり部分のうち、可動側鏡板部に対する付け根部分の強度が弱く、破損しやすい問題があった。
これに対して、特許文献1には、可動側ラップの巻き終わり部分の内周面と外周面が互いに近づくように該巻き終わり部分を他の部分よりもわずかに薄くしてシールポイント(固定側ラップと可動側ラップの接点)をラップの巻き始め方向へ少しの距離だけ移動させ、固定スクロールと可動スクロールの圧接力を分散させることによって可動側ラップの破損を抑制する技術が開示されている。また、特許文献2には、可動側ラップの巻き終わり部分に、固定側ラップと接触しない延長部を設ける技術が開示されている。
特開2014−231800号公報 特開2014−231750号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、固定スクロールと可動スクロールの圧接力を分散させる構成になっているので、圧接力はどうしても弱くなる。この点、特許文献1には、固定スクロールと可動スクロールのシール効果は固定側ラップと可動側ラップの間の潤滑油で確保できると記載されているものの、実際には圧接力が弱くなってもシール効果が低下しないようにするのは難しく、冷媒漏れによる圧縮効率の低下が生じるおそれがある。
また、特許文献2の技術では、可動側ラップの巻き終わり部分に延長部を設けることにより、可動側ラップの渦巻き形状に、本来必要なスペースよりも多くのスペースが必要となる。したがって、この特許文献2の技術では、圧縮機構が大型化するおそれがある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動スクロールの外周側端部の巻き終わり部分の破損を抑制しつつシール効果の低下を抑え、同時に圧縮機構の大型化も抑えることである。
第1の発明は、固定スクロール(40)及び可動スクロール(35)を有し、該固定スクロール(40)及び可動スクロール(35)が、それぞれ、互いに対向して配置される固定側鏡板部(41)及び可動側鏡板部(36)と、該固定側鏡板部(41)及び可動側鏡板部(36)に一体的に形成されて互いに噛み合う渦巻き状の固定側ラップ(42)及び可動側ラップ(37)とを有する圧縮機構(30)を備えたスクロール圧縮機を前提としている。
そして、このスクロール圧縮機は、上記固定側ラップ(42)における上記可動側ラップ(37)の外周側端部が当接する部分に、弾性部(85)を形成するための凹部(80)が形成されていることを特徴としている。
この第1の発明では、可動スクロール(35)が固定スクロール(40)に対して公転するときに、可動側ラップ(37)の外周側端部の渦巻きの巻き終わり部分が固定側ラップ(42)に当接すると、固定側ラップ(42)に形成されている弾性部(85)が弾性的に変形する。そのため、可動側ラップ(37)の外周側端部に強い力が加わるのが抑制される。
さらに、第1の発明は、上記凹部(80)が圧縮室(31)の最外周端部と非連通であり、上記固定側ラップ(42)の弾性部は、上記可動側ラップ(37)の外周側端部が当接する部分の肉厚が、該可動側ラップ(37)の外周側端部が当接しない部分よりも薄い薄肉部(85)により構成されていることを特徴としている。
この第1の発明では、可動スクロール(35)が固定スクロール(40)に対して公転するときに、可動側ラップ(37)の外周側端部の渦巻きの巻き終わり部分が固定側ラップ(42)に当接すると、薄肉部(85)が弾性的に変形して、可動側ラップ(37)の外周側端部に強い力が加わるのが抑制される。
第2の発明は、固定スクロール(40)及び可動スクロール(35)を有し、該固定スクロール(40)及び可動スクロール(35)が、それぞれ、互いに対向して配置される固定側鏡板部(41)及び可動側鏡板部(36)と、該固定側鏡板部(41)及び可動側鏡板部(36)に一体的に形成されて互いに噛み合う渦巻き状の固定側ラップ(42)及び可動側ラップ(37)とを有する圧縮機構(30)を備えたスクロール圧縮機であって、上記固定側ラップ(42)には、上記可動側ラップ(37)の外周側端部が当接する部分に弾性部(85)を形成するための凹部(80)が形成され、上記凹部(80)及び弾性部(85)が、上記可動側ラップ(37)の外周側端部に対して径方向内側に位置する固定側ラップ(42)に形成されていることを特徴としている。
この第2の発明では、上記可動側ラップ(37)の外周側端部に対して径方向内側に位置する固定側ラップ(42)に上記凹部(80)及び弾性部(85)が形成されているので、該弾性部(85)が可動スクロール(35)の公転時に弾性的に変形し、可動側ラップ(37)の外周側端部に強い力が加わるのが抑制される。
第3の発明は、第1または第2の発明において、上記凹部(80)が、上記固定側ラップ(42)の渦巻きの巻き方向へのびる溝であることを特徴としている。
この第3の発明では、可動スクロール(35)が固定スクロール(40)に対して公転するときに、可動側ラップ(37)の外周側端部の巻き終わり部分が固定側ラップ(42)に当接すると、上記凹部(80)である溝により固定側ラップ(42)に形成された弾性部(85)が弾性的に変形し、可動側ラップ(37)の外周側端部に強い力が加わるのが抑制される。
第4の発明は、第1,第2または第3の発明において、上記凹部(80)及び弾性部(85)が、上記可動側ラップ(37)の外周側端部に対して径方向外側に位置する固定側ラップ(42)に形成されていることを特徴としている。
この第4の発明では、上記可動側ラップ(37)の外周側端部に対して径方向外側に位置する固定側ラップ(42)に上記凹部(80)及び弾性部(85)が形成されているので、該弾性部(85)が可動スクロール(35)の公転時に弾性的に変形し、可動側ラップ(37)の外周側端部に強い力が加わるのが抑制される。
第5の発明は、第1から第4の発明の何れか1つにおいて、上記凹部(80)が、上記固定側ラップ(42)の巻き終わり位置を基準として、固定側ラップ(42)の中心角度で巻き始め方向に5°以上、巻き始め方向と反対の方向に0°以上の範囲に形成されていることを特徴としている。
第6の発明は、第1から第5の発明の何れか1つにおいて、上記固定側ラップ(42)の高さ寸法(H)と上記凹部(80)の深さ寸法(H’)が、0.1≦H’/H≦0.5の関係を満たしていることを特徴としている。
第7の発明は、第1から第6の発明の何れか1つにおいて、上記固定側ラップ(42)の厚さ寸法(T)と、上記固定側ラップ(42)の弾性部を構成するように上記可動側ラップ(37)の外周側端部が当接する部分の肉厚を該可動側ラップ(37)の外周側端部が当接しない部分よりも薄くした薄肉部(85)の厚さ寸法(T’)が、0.2≦T’/T≦0.5の関係を満たしていることを特徴としている。
本発明によれば、可動スクロール(35)が固定スクロール(40)に対して公転するときに、可動側ラップ(37)の外周側端部の渦巻きの巻き終わり部分が固定側ラップ(42)に当接すると、固定側ラップ(42)に形成されている弾性部(85)が弾性的に変形するため、可動側ラップ(37)の外周側端部に強い力が加わるのが抑制される。したがって、可動側ラップ(37)の外周側端部が、特に可動側鏡板部(36)に対する付け根の部分において、破損するのを抑えられる。また、本発明によれば、シールポイントの位置を変更する必要はなく、固定側ラップ(42)と可動側ラップ(37)は弾性部(85)が弾性変形しながらも確実に圧接するので、シール効果が低下するのも抑えられる。さらに、本発明によれば、可動側ラップ(37)の長さを渦巻きの巻き終わり方向に長くする必要がないので、渦巻きが大きくなることもない。したがって、本発明によれば、圧縮機構(30)の大型化を防止でき、ひいてはスクロール圧縮機の大型化も防止できる。
上記第1の発明によれば、さらに、可動側ラップ(37)の外周端部に外力が加わったときに薄肉部(85)が弾性変形する。
上記第2の発明によれば、上記可動側ラップ(37)の外周側端部に対して径方向内側に位置する固定側ラップ(42)に形成した上記凹部(80)及び弾性部(85)により、可動側ラップ(37)の外周側端部が破損するのを抑えつつ、シール効果の低下や機構の大型化を抑えられる。特に、上記可動側ラップ(37)の外周側端部に対して径方向外側に位置する固定側ラップ(42)と径方向内側に位置する固定側ラップ(42)の両方に上記凹部(80)及び弾性部(85)を形成すると、可動側ラップ(37)の外周側端部が破損するのをより確実に抑えられる。
上記第3の発明によれば、上記固定側ラップ(42)の弾性部(85)を形成するための凹部(80)を溝にしているので、請求項1の効果を簡単な構成で得ることができる。
上記第4の発明によれば、上記可動側ラップ(37)の外周側端部に対して径方向外側に位置する固定側ラップ(42)に形成した上記凹部(80)及び弾性部(85)により、可動側ラップ(37)の外周側端部が破損するのを抑えつつ、シール効果の低下や機構の大型化を抑えられる。
上記第5の発明によれば、上記凹部(80)を、上記固定側ラップ(42)の巻き終わり位置を基準として、固定側ラップ(42)中心角度で巻き始め方向に5°以上、巻き始め方向と反対の方向に0°以上の範囲に形成しており、範囲がそれよりも狭いと可動側ラップ(37)の外周側端部が破損するのを抑制する効果が小さくなることが考えられるのに対して、破損抑制効果を確実に得ることができる。
上記第6の発明によれば、上記固定側ラップ(42)の高さ寸法(H)と上記凹部(80)の深さ寸法(H’)を、0.1≦H’/H≦0.5の関係を満たすようにしており、可動側ラップ(37)の破損抑制に好適な寸法で上記凹部(80)を形成することができる。
上記第7の発明によれば、上記固定側ラップ(42)の厚さ寸法(T)と上記薄肉部(85)の厚さ寸法(T’)を、0.2≦T’/T≦0.5の関係を満たすようにしており、可動側ラップ(37)の破損抑制に好適な寸法で上記薄肉部(85)を形成することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機の構成を示す縦断面図である。 図2は、図1のII−II線断面図である。 図3は、図2の部分拡大図である。 図4は、固定スクロールの部分破断斜視図である。 図5は、図4の部分拡大図である。 図6は、実施形態の変形例1の固定スクロールの底面図である。 図7は、図6の部分拡大図である。 図8は、実施形態の変形例2の固定スクロールの底面図である。 図9は、図8の部分拡大図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機の構成を示す縦断面図、図2は図1のII−II線断面図である。スクロール圧縮機(10)は、例えば、空気調和装置で蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続されるものである。スクロール圧縮機(10)は、ケーシング(11)と、回転式の圧縮機構(30)と、圧縮機構(30)を回転駆動する駆動機構(20)とを備えている。
ケーシング(11)は、両端が閉塞された縦長円筒状の密閉容器で構成されており、円筒状の胴部(12)と、胴部(12)の上端側に固定された上部鏡板(13)と、胴部(12)の下端側に固定された下部鏡板(14)とを備えている。
ケーシング(11)の内部は、ケーシング(11)の内周面に接合されたハウジング(50)によって上下に区画されている。ハウジング(50)よりも上側の空間が上部空間部(15)を構成し、ハウジング(50)よりも下側の空間が下部空間部(16)を構成する。
ケーシング(11)における下部空間部(16)の底部には、スクロール圧縮機(10)の摺動部分を潤滑する油が貯留される油溜まり部(17)が設けられている。
ケーシング(11)には、吸入管(18)及び吐出管(19)が取り付けられている。この吸入管(18)の一端部は、吸入管継手(47)に接続されている。吐出管(19)は、胴部(12)を貫通している。この吐出管(19)の端部は、ケーシング(11)の下部空間部(16)に開口している。
駆動機構(20)は、モータ(21)と、駆動軸(23)とを備えている。モータ(21)は、ケーシング(11)の下部空間部(16)に収容されている。モータ(21)は、円筒状に形成されたステータ(21a)及びロータ(21b)を備えている。ステータ(21a)は、ケーシング(11)の胴部(12)に固定されている。ステータ(21a)の中空部には、ロータ(21b)が配置されている。ロータ(21b)の中空部には、ロータ(21b)を貫通するように駆動軸(23)が固定されており、ロータ(21b)と駆動軸(23)が一体で回転するようになっている。
また、駆動軸(23)の下端部には、油を吸い上げるための吸入部材としての吸入ノズル(61)が設けられている。吸入ノズル(61)は容積式のポンプを構成している。なお、この実施形態はポンプ形式を限定するものではなく、遠心式ポンプや差圧ポンプなどであってもよい。吸入ノズル(61)の吸入口(61a)は、ケーシング(11)の油溜まり部(17)に開口している。吸入ノズル(61)の吐出口は、駆動軸(23)の給油路(27)に連通するように接続されている。吸入ノズル(61)によって油溜まり部(17)から吸い上げられた油は、給油路(27)を流通してスクロール圧縮機(10)の摺動部分へ供給される。
圧縮機構(30)は、可動スクロール(35)と、固定スクロール(40)と、ハウジング(50)とを備えた、いわゆるスクロール型の圧縮機構である。ハウジング(50)及び固定スクロール(40)は、互いにボルトで締結されており、その間に可動スクロール(35)が収容されている。
可動スクロール(35)は、略円板状の可動側鏡板部(36)を有している。この可動側鏡板部(36)の上面に可動側ラップ(37)が立設され、可動側ラップ(37)は可動側鏡板部(36)と一体的に形成されている。この可動側ラップ(37)は、図2に示すように、可動側鏡板部(36)の中心付近から径方向外方へインボリュート曲線に沿って渦巻き状に延びる壁体である。また、可動側鏡板部(36)の下面にボス部(軸受部)(38)が突設されている。
固定スクロール(40)は、略円板状の固定側鏡板部(41)を有している。この固定側鏡板部(41)の下面に固定側ラップ(42)が立設され、固定側ラップ(42)は固定側鏡板部(41)と一体的に形成されている。この固定側ラップ(42)は、図2に示すように、固定側鏡板部(41)の中心付近から径方向外方へインボリュート曲線に沿って渦巻き状に延び、且つ可動スクロール(35)の可動側ラップ(37)と噛み合うように形成された壁体である。上記固定側鏡板部(41)及び可動側鏡板部(36)は互いに対向して配置されている。そして、上記固定側ラップ(42)と可動側ラップ(37)との間に圧縮室(31)が形成されている。
固定スクロール(40)は、固定側ラップ(42)の最外周壁から径方向外方へ連続する外縁部(43)を有している。この外縁部(43)の下端面がハウジング(50)の上端面に固定される。また、この外縁部(43)には、上方へ開口する開口部(44)が形成されている。そして、この開口部(44)の内部と圧縮室(31)の最外周端とを連通する吸入ポート(34)が外縁部(43)に形成されている。この吸入ポート(34)は、圧縮室(31)の吸入位置に開口している。なお、この外縁部(43)の開口部(44)には、上述した吸入管継手(47)が接続されている。
また、固定スクロール(40)の固定側鏡板部(41)には、固定側ラップ(42)の中心付近に位置して上下方向へ貫通する吐出ポート(32)が形成されている。この吐出ポート(32)の下端は、圧縮室(31)の吐出位置に開口している。吐出ポート(32)の上端は、固定スクロール(40)の上部に区画された吐出室(46)に開口している。また、図示しないが、この吐出室(46)は、ケーシング(11)の下部空間部(16)に連通している。
固定スクロール(40)の底面形状と可動側ラップ(37)の渦巻き形状を示す図(図1のII−II線断面図)である図2と、図2の部分拡大図である図3と、固定スクロール(40)の部分破断斜視図である図4と、図4の部分拡大図である図5に示すように、上記固定側ラップ(42)には、上記可動側ラップ(37)の外周側端部が当接する部分に弾性部を形成するための凹部(80)が形成されている。上記固定側ラップ(42)の弾性部は、上記可動側ラップ(37)の外周側端部が当接する部分の肉厚が、該可動側ラップ(37)の外周側端部が当接しない部分よりも薄い薄肉部(85)により構成されている。
この実施形態において、上記凹部(80)は、上記固定側ラップ(42)の渦巻きの巻き方向へのびる溝により構成されている。この凹部(80)は、図2に示すように、固定側ラップ(42)の渦巻き(インボリュート)の巻き終わり位置を基準として、巻き始め方向へ角度θの範囲に形成されている。上記凹部(80)が形成される角度θの範囲は、具体的には、図2に示すように、上記固定側ラップ(42)の巻き終わり位置を基準(点O)として、中心角度で巻き始め方向に5°以上(角度α)、巻き始め方向と反対の方向に0°以上(角度β)の範囲である。図示した例では、β=0°、θ=αにした例である。
上記凹部(80)は、上記可動側ラップ(37)の外周側端部に対して径方向外側に位置する固定側ラップ(42)に形成された外側凹部(81)と、上記可動側ラップ(37)の外周側端部に対して径方向内側に位置する固定側ラップ(42)に形成された内側凹部(82)とを含んでいる。
図5に示すように、上記固定側ラップ(42)の高さ寸法(H)と上記凹部(80)の深さ寸法(H’)とは、0.1≦H’/H≦0.5 の関係を満たしている。
また、上記固定側ラップの厚さ寸法(T)と上記薄肉部(85)の厚さ寸法(T’)とは、0.2≦T’/T≦0.5 の関係を満たしている。
上記ハウジング(50)は、略円筒状に形成されている。ハウジング(50)の外周面は、その下側部分に対して上側部分が大径になるように形成されている。そして、この外周面の上側部分がケーシング(11)の内周面に固定されている。
上記ハウジング(50)の中空部には、駆動軸(23)が挿入されている。また、この中空部は、中空部の下側部分に対して上側部分(クランク室(54))が大径になるように形成されている。中空部の下側部分に軸受部(53)が形成されている。この軸受部(53)が駆動軸(23)における主軸部(24)の上端部分を回転支持する。また、中空部の上側部分はシール部材(55)に仕切られて背圧空間を構成する。背圧空間は可動スクロール(35)の背面に面している。ハウジング(50)の上面と可動スクロール(35)の背面との間には、上記シール部材(55)が嵌合している。また、この背圧空間には、可動スクロール(35)のボス部(38)が位置している。このボス部(38)には、軸受部(53)の上端から突出した駆動軸(23)の偏心部(クランクピン)(25)が係合していて、圧縮機構(20)が駆動軸(23)で回転駆動される。
駆動軸(23)の偏心部(25)は、可動スクロール(35)のボス部(38)に、軸受(29a
)を介して回転自在に支持されている。また、駆動軸(23)の主軸部(24)は、ハウジング(50)が有する軸受部(53)に、軸受(29b)を介して回転自在に支持されている。さらに、駆動軸(23)の主軸部の下側部分である下部主軸部(26)は、ケーシング(11)における胴部(12)の下端付近に固定された下部軸受部(28)に、軸受(29c)を介して回転自在に支持されている。
上述したように、上記ハウジング(50)の中空部の上側部分は、圧縮機構(30)と駆動軸(23)の偏心部(25)との連結部分が収納されるクランク室(54)になっている。ハウジング(50)には、クランク室(54)からハウジング(50)の外周面までのび、外周面のところで下方へのびる排油通路(70)が形成されている。ハウジング(50)の排油溝(73)の下方には、油を油溜まりへ導くための油戻しガイド(75)が設けられている。
−運転動作−
次に、上述したスクロール圧縮機(10)の運転動作について説明する。スクロール圧縮機(10)のモータ(21)へ通電されると、ロータ(21b)とともに駆動軸(23)が回転し、可動スクロール(35)が公転運動する。この可動スクロール(35)の公転運動に伴って、圧縮室(31)の容積が周期的に増減を繰り返す。
具体的に、駆動軸(23)が回転すると、吸入ポート(34)から圧縮室(31)へ冷媒が吸入される。そして、駆動軸(23)の回転に伴い、圧縮室(31)が閉じ切られる。さらに、駆動軸(23)の回転が進むことで、圧縮室(31)の容積が縮小し始め、圧縮室(31)における冷媒の圧縮が開始される。
その後、圧縮室(31)の容積がさらに縮小し、この圧縮室(31)の容積が所定容積まで縮小したときに、吐出ポート(32)が開く。この吐出ポート(32)を通じて、圧縮室(31)で圧縮された冷媒が固定スクロール(40)の吐出室(46)へ吐出される。この吐出室(46)の冷媒は、ケーシング(11)の下部空間部(16)を介して吐出管(19)から吐出される。なお、上述したように、下部空間部(16)は背圧空間と連通しており、この背圧空間の冷媒圧力で、可動スクロール(35)が固定スクロール(40)へ押し付けられる。
圧縮機(10)の運転中には、油溜まり部(17)の油が吸入ノズル(61)でくみ上げられて給油路(27)を上昇し、各摺動部分に供給される。偏心部(25)と軸受(29a)の摺動面に供給された潤滑油は、その摺動面から流れ出してクランク室(54)に溜まっていく。クランク室(54)に入った潤滑油(65)は、排油通路(70)を通ってクランク室(54)から流出し、油溜まり部(17)に戻る。
また、可動スクロール(35)の公転運動中には、図3に示すように、可動側ラップ(37)の外周側端部の巻き終わり部分が、その径方向外側に位置する固定側ラップ(42)と、径方向内側に位置する固定側ラップ(42)とに交互に圧接する。
ここで、本実施形態では、固定側ラップ(42)には、可動側ラップ(37)の外周側端部が当接する部分に弾性を有する薄肉部(85)を形成するための凹部(80)を上記の所定の範囲(角度θの範囲)に形成しているので、可動側ラップ(37)の外周側端部が薄肉部(85)に当接すると、該薄肉部(85)が弾性変形する。したがって、可動側ラップ(37)の外周側端部の渦巻きの巻き終わり部分に強い力が加わるのを抑制できる。
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、可動スクロール(35)が固定スクロール(40)に対して公転するときに、可動側ラップ(37)の外周側端部の渦巻きの巻き終わり部分が固定側ラップ(42)に当接すると、固定側ラップ(42)に形成されている薄肉部(85)が弾性的に変形するため、可動側ラップ(37)の外周側端部に強い力が加わるのが抑制される。したがって、可動側ラップ(37)の外周側端部、特に固定側鏡板部(36)に対する付け根の部分が破損するのを抑えられる。
しかも、本実施形態によれば、シールポイントの位置を変更する必要はなく、固定側ラップ(42)と可動側ラップ(37)は薄肉部(85)が弾性変形しながらも確実に圧接するので、シール効果が低下するのも抑えられる。
さらに、本実施形態によれば、可動側ラップ(37)の長さを渦巻きの巻き終わり方向に長くする必要がないので、渦巻きの形状が大きくなることもない。したがって、圧縮機構(30)ひいてはスクロール圧縮機の大型化も防止できる。
また、本実施形態によれば、上記固定側ラップ(42)の薄肉部(85)を形成するための凹部(80)を溝にしているので、請求項1の効果を簡単な構成で得ることができる。
また、本実施形態によれば、上記可動側ラップ(37)の外周側端部に対して径方向外側に位置する固定側ラップ(42)と径方向内側に位置する固定側ラップ(42)の両方に上記凹部(80)及び薄肉部(85)を形成しているので、可動側ラップ(37)の外周側端部が破損するおそれを確実に低減できる。
さらに、本実施形態によれば、上記凹部(80)を、上記固定側ラップ(42)の巻き終わり位置を基準として、中心角度で巻き始め方向に5°以上、巻き始め方向と反対の方向に0°以上の範囲に形成しており、範囲がそれよりも狭いと可動側ラップ(37)の外周側端部の渦巻きの巻き終わり部分が破損するのを抑制する効果が小さくなることが考えられるのに対して、破損抑制効果を確実に得ることができる。
また、本実施形態によれば、上記固定側ラップ(42)の高さ寸法(H)と上記凹部(80)の深さ寸法(H’)を、0.1≦H’/H≦0.5の関係を満たすようにしており、上記数式の範囲外であれば、可動側ラップ(37)の破損を抑制する効果が小さくなったり固定側ラップ(42)の強度が弱くなったりすることが考えられるのに対して、上記凹部(80)を好適な寸法で形成することができる。
また、本実施形態によれば、上記固定側ラップ(42)の厚さ寸法(T)と上記薄肉部(85)の厚さ寸法(T’)を、0.2≦T’/T≦0.5の関係を満たすようにしており、上記数式の範囲外であれば、破損抑制効果が小さくなったり固定側ラップ(42)の強度が弱くなったりすることが考えられるのに対して、上記薄肉部(85)を好適な寸法で形成することができる。
−実施形態の変形例−
<変形例1>
図6は実施形態の変形例1の固定スクロールの底面図であり、図7は図6の部分拡大図である。
この例では、上記凹部(80)を、固定側ラップ(42)の巻き終わり位置を基準として、巻き始め方向へ図2の実施形態よりも狭い範囲に形成し、巻き始め方向と反対の方向へは図2の実施形態よりも広い範囲に形成している。つまり、上記凹部(80)は、図2の実施形態と比較して、全体的に渦巻きの巻き終わり方向に寄った位置に形成されている。
上記凹部(80)をこのように形成しても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
<変形例2>
図8は実施形態の変形例2の固定スクロールの底面図であり、図9は図8の部分拡大図である。
この例では、上記凹部(80)は、上記変形例1とほぼ同じ範囲に形成されているが、この変形例2の凹部(80)は、変形例1とは違って溝ではなく、複数の孔により構成されている。
上記凹部(80)をこのように構成すると、上記実施形態と同様の効果を奏することができるのに加えて、凹部をドリルによる機械加工で形成できるから、固定スクロール(40)の製造を容易に行うことができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
例えば、上記実施形態では、凹部(80)を可動側ラップ(37)の径方向外側に位置する固定側ラップ(42)と径方向内側に位置する固定側ラップ(42)の両方に形成しているが、外側の固定側ラップ(42)のみ、または内側の固定側ラップ(42)のみに形成してもよい。
また、上記実施形態では、凹部(80)及び薄肉部(85)の好適な寸法範囲として、
0.1≦H’/H≦0.5 の関係や、 0.2≦T’/T≦0.5 の関係を満たす寸法を例示したが、弾性を有する薄肉部を形成することができる寸法であれば、上記凹部(80)や博肉部(85)の寸法は必ずしもこの範囲に限定されるものではない。
また、上記実施形態は、固定側ラップ(42)と可動側ラップ(37)の渦巻きの長さが異なる非対称渦巻き構造のスクロール圧縮機(40)に本発明を適用したものであるが、本発明は、固定側ラップ(42)と可動側ラップ(37)の渦巻きの長さが同じになる対称渦巻き構造のスクロール圧縮機に適用してもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、スクロール圧縮機において可動スクロールのラップ(渦巻き状の壁)の外周側端部の破損を抑制する技術について有用である。
10 スクロール圧縮機
30 圧縮機構
35 可動スクロール
36 可動側鏡板部
37 可動側ラップ
40 固定スクロール
41 固定側鏡板部
42 固定側ラップ
80 凹部
85 薄肉部

Claims (7)

  1. 固定スクロール(40)及び可動スクロール(35)を有し、該固定スクロール(40)及び可動スクロール(35)が、それぞれ、互いに対向して配置される固定側鏡板部(41)及び可動側鏡板部(36)と、該固定側鏡板部(41)及び可動側鏡板部(36)に一体的に形成されて互いに噛み合う渦巻き状の固定側ラップ(42)及び可動側ラップ(37)とを有する圧縮機構(30)を備えたスクロール圧縮機であって、
    上記固定側ラップ(42)には、上記可動側ラップ(37)の外周側端部が当接する部分に弾性部(85)を形成するための凹部(80)が形成され
    上記凹部(80)は圧縮室(31)の最外周端部と非連通であり、
    上記固定側ラップ(42)の弾性部は、上記可動側ラップ(37)の外周側端部が当接する部分の肉厚が、該可動側ラップ(37)の外周側端部が当接しない部分よりも薄い薄肉部(85)により構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 固定スクロール(40)及び可動スクロール(35)を有し、該固定スクロール(40)及び可動スクロール(35)が、それぞれ、互いに対向して配置される固定側鏡板部(41)及び可動側鏡板部(36)と、該固定側鏡板部(41)及び可動側鏡板部(36)に一体的に形成されて互いに噛み合う渦巻き状の固定側ラップ(42)及び可動側ラップ(37)とを有する圧縮機構(30)を備えたスクロール圧縮機であって、
    上記固定側ラップ(42)には、上記可動側ラップ(37)の外周側端部が当接する部分に弾性部(85)を形成するための凹部(80)が形成され、
    上記凹部(80)が、上記可動側ラップ(37)の外周側端部に対して径方向内側に位置する固定側ラップ(42)に形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項1または2において、
    上記凹部(80)が、上記固定側ラップ(42)の渦巻きの巻き方向へのびる溝であることを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 請求項1,2または3において、
    上記凹部(80)が、上記可動側ラップ(37)の外周側端部に対して径方向外側に位置する固定側ラップ(42)に形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 請求項1から4の何れか1つにおいて、
    上記凹部(80)は、上記固定側ラップ(42)の巻き終わり位置を基準として、固定側ラップ(42)の中心角度で巻き始め方向に5°以上、巻き始め方向と反対の方向に0°以上の範囲に形成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  6. 請求項1から5の何れか1つにおいて、
    上記固定側ラップ(42)の高さ寸法(H)と上記凹部(80)の深さ寸法(H’)が、
    0.1≦H’/H≦0.5
    の関係を満たしていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  7. 請求項1から6の何れか1つにおいて、
    上記固定側ラップ(42)の厚さ寸法(T)と、上記固定側ラップ(42)の弾性部を形成するように上記可動側ラップ(37)の外周側端部が当接する部分の肉厚を該可動側ラップ(37)の外周側端部が当接しない部分よりも薄くした薄肉部(85)の厚さ寸法(T’)が、
    0.2≦T’/T≦0.5
    の関係を満たしていることを特徴とするスクロール圧縮機。
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