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JP6710067B2 - ピン継手構造、ピン継手治具及びピン継手方法 - Google Patents
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JP6710067B2 - ピン継手構造、ピン継手治具及びピン継手方法 - Google Patents

ピン継手構造、ピン継手治具及びピン継手方法 Download PDF

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Description

本発明は、ピン継手構造、ピン継手治具及びピン継手方法に関する。
特許文献1には、パイプルーフ工法に利用される鋼管の連結方法が開示されている。この方法では、外側継手管が設けられた一方の鋼管に内側継手管が設けられた他方の鋼管を嵌め合せる。外側継手管及び内側継手管は、中心軸線が一致するように設けられた通孔を有する。鋼管同士は、この通孔にピンを挿通させて互いに連結される。
特開2012−214970号公報
ピンによって部材同士が連結される部分は、組立作業の作業性の向上や部材の加工誤差を吸収するために、寸法に余裕を持たせていることがある。この寸法の余裕は、部材の連結構造において隙間を生じさせる。隙間を有する連結構造は、剛性が低下するおそれがある。従って、部材の連結構造が有する全体剛性は、部材単体の剛性ではなく、部材単体の剛性よりも低い連結構造の剛性によって左右されてしまう。
そこで、本発明は、ピン連結構造における全体剛性の低下を抑制し得るピン継手構造、ピン継手治具及びピン継手方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態は、ピンによって部材同士を連結するピン継手構造であって、ピンと略同径であり、ピンが挿通される第1ピン孔が設けられた第1部材と、第1ピン孔よりも大きい内径を有する第1治具孔が設けられ、ピンによって第1部材と連結される第2部材と、第1治具孔に配置されて第1治具孔の中心軸線を第1回転軸線として回転可能であると共に、第1ピン孔の内径よりも大きい内径を有する第2治具孔が第1回転軸線から偏心して設けられた第1円盤と、第2治具孔に配置されて第2治具孔の中心軸線を第2回転軸線として回転可能であると共に、ピンが挿通される第2ピン孔が第2回転軸線から偏心して設けられた第2円盤と、を備える。
第1治具孔の内径は第1ピン孔の内径よりも大きいので、ピンを挿通させるときに、第2ピン孔の中心軸線を第1ピン孔の中心軸線に厳密に一致させる必要はない。従って、ピン連結のために第1部材と第2部材を組み合わせる作業の作業性を向上させることができる。ここで、第2部材における第1治具孔は第1ピン孔よりも大きいので、第1治具孔とピンとの間には隙間が生じる。第1治具孔には、第1円盤が嵌め込まれ、第1円盤における第2治具孔には第2ピン孔を有する第2円盤が嵌め込まれる。従って、第1治具孔とピンとの間は第1円盤と第2円盤とにより埋められるので、第2部材とピンとの間の隙間に起因する剛性の低下を抑制できる。ここで、第2ピン孔は、第2円盤の回転中心軸線に対して偏心しているので、第1治具孔の中心軸線から第2ピン孔の中心軸線までの距離を、第1治具孔の中心軸線から第1ピン孔の中心軸線までの距離に合せることが可能になる。そして、第1治具孔は、第1円盤の回転中心軸線に対して偏心しているので、第1治具孔の中心軸線から第2ピン孔の中心軸線に向かう方向を、第1治具孔の中心軸線から第1ピン孔の中心軸線に向かう方向に合せることが可能になる。従って、第1ピン孔の中心軸線に第2ピン孔の中心軸線を合せることができる。従って、ピン連結構造によれば、第1ピン孔と第2ピン孔とを重複させる作業性の低下を抑制しつつ、ピン孔と部材との間の隙間を小さくしてピン連結構造における全体剛性の低下を抑制することができる。
第1円盤は、第1治具孔の内周面と接触すると共に、第1回転軸線に沿って第1部材側の外径が小さくなるテーパ部を有してもよい。第2円盤は、第2治具孔の内周面と接触すると共に、第2回転軸線に沿って第1部材側の外径が小さくなるテーパ部を有してもよい。この構造によれば、第1治具孔に第1円盤を容易に嵌め込むことができると共に、第1円盤を容易に回転させることができる。また、第2治具孔に第2円盤を容易に嵌め込むことができると共に、第2円盤を容易に回転させることができる。
本発明の別の形態は、ピンが挿通される第1ピン孔が設けられた第1部材と、第1ピン孔よりも大きい内径を有する第1治具孔が設けられ、ピンによって第1部材と連結される第2部材と、を連結するためのピン継手治具であって、第1治具孔に配置されて第1治具孔の中心軸線を第1回転軸線として回転可能であると共に、第1ピン孔の内径よりも大きい内径を有する第2治具孔が第1回転軸線から偏心して設けられた第1円盤と、第2治具孔に配置されて第2治具孔の中心軸線を第2回転軸線として回転可能であると共に、ピンが挿通される第2ピン孔が第2回転軸線から偏心して設けられた第2円盤と、を備える。このピン継手治具によれば、第1ピン孔と第2ピン孔とを重複させる作業性の低下を抑制しつつ、ピン孔と部材との間の隙間を小さくしてピン連結構造における全体剛性の低下を抑制することができる。
本発明のさらに別の形態は、第1ピン孔が設けられた第1部材と第1治具孔が設けられた第2部材とをピンによって連結するピン継手方法であって、第1治具孔に配置されて第1治具孔の中心軸線を第1回転軸線として回転可能であると共に、第1ピン孔の内径よりも大きい内径を有する第2治具孔が第1回転軸線から偏心して設けられた第1円盤と、第2治具孔に配置されて第2治具孔の中心軸線を第2回転軸線として回転可能であると共に、ピンが挿通される第2ピン孔が第2回転軸線から偏心して設けられた第2円盤と、を有するピン継手治具を準備するステップと、第1円盤を第1治具孔に配置すると共に第2円盤を第2治具孔に配置するステップと、第2円盤を第1円盤に対して第2回転軸線のまわりに回転させて、第1治具孔の中心軸線から第2ピン孔の中心軸線までの距離を、第1治具孔の中心軸線から第1ピン孔の中心軸線までの距離に合せるステップと、第1円盤を第2部材に対して第1回転軸線のまわりに回転させて、第1治具孔の中心軸線から第2ピン孔の中心軸線に向かう方向を、第1治具孔の中心軸線から第1ピン孔の中心軸線に向かう方向に合せるステップと、を有する。このピン継手方法によれば、第1ピン孔と第2ピン孔とを重複させる作業性の低下を抑制しつつ、ピン孔と部材との間の隙間を小さくしてピン連結構造における全体剛性の低下を抑制することができる。
本発明によれば、全体剛性の低下を抑制し得るピン継手構造、ピン継手治具及びピン継手方法が提供される。
図1は、実施形態に係るピン継手構造を有する鋼管連結構造の断面を示す図である。 図2は、ピン継手構造を平面視した図である。 図3は、ピン継手構造の断面を側面視した図である。 図4は、実施形態に係るピン継手方法のフロー図である。 図5は、ピン継手方法の主要なステップを示す図である。 図6は、ピン継手方法の主要なステップを示す図である。 図7は、変形例に係るピン継手構造の断面を側面視した図である。 図8は、比較例に係るピン継手構造の断面を側面視した図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図1は、本実施形態に係るピン継手構造を示す。図1に示されるように、ピン継手構造1は、内鋼管10(第1部材)と、外鋼管20(第2部材)と、ピン41と、ピン継手治具50と、を有する。このようなピン継手構造1は、例えば、鋼管をパイプルーフや杭といった曲げ荷重を受ける部材として用いる場合において、内鋼管10と外鋼管20とをピン41で接合する機械式継手の構造である。
内鋼管10は、第1本体部11と第1継手部12とを有する。第1継手部12は、外鋼管20に差し込まれる部分である。第1継手部12の先端面12aは、外鋼管20の第2端面21aと対面する。従って、外鋼管20に内鋼管10が連結された状態では、外鋼管20の第2端面21aと内鋼管10の先端面12aとが互いに対面し、それらの面の間において第1パッキン31が押しつぶされる。第1本体部11と第1継手部12とは外径が異なるので、第1本体部11の端面は、第1継手部12の側に露出して第1端面11aを形成する。第1継手部12には輪状の第2パッキン32が配置される。外鋼管20の先端面22aと内鋼管10の第1端面11aとが互いに対面し、それらの面の間において第2パッキン32が押しつぶされる。第1継手部12は、複数の第1ピン孔13を有する。第1ピン孔13は、外鋼管20に差し込まれた内鋼管10の抜けを防止するためのピン41が差し込まれる貫通孔である。第1ピン孔13は、内鋼管10の中心軸線A1のまわりに例えば60度の間隔をもって、等間隔に設けられる。
外鋼管20は、第2本体部21と第2継手部22とを有する。第2継手部22は、内鋼管10が差し込まれる部分である。第2継手部22には、複数の第1治具孔23を有する。第1治具孔23は貫通孔であり、ピン継手治具50が配置される。内鋼管10の第1ピン孔13に略対応する位置に設けられる。第1治具孔23は、第1ピン孔13に連通している。
第1継手部12の外周面と、第2継手部22の内周面との間には、板状のスペーサ42が挟み込まれている。スペーサ42は、第1継手部12の外径と第2継手部22の内径との寸法差と略同等の厚みを有する。また、スペーサ42は、ピン41の首部41aが挿通される貫通孔42aを有する。
図2及び図3に示されるように、内鋼管10の第1継手部12には、第1ピン孔13が設けられる。第1ピン孔13は、ピン41が挿通される。ピン41は、外径D1である首部41aを有する。そして第1ピン孔13の内径D2は、ピン41の首部41aの外径D1と略同じである。
外鋼管20の第2継手部22には、第1治具孔23が設けられる。第1治具孔23は、第1ピン孔13と連通する。そして第1治具孔23の内径D3は、第1ピン孔13の内径D2よりも大きい。第1治具孔23の内径D3は、一例として第1ピン孔13の内径D2の約2倍程度である(図3参照)。第1治具孔23には、ピン継手治具50が配置される。ピン継手治具50は、第1円盤51と第2円盤53とを有する。
第1円盤51は、第1治具孔23に配置される。第1円盤51の板厚は、第1継手部12における板厚と略同じである。また、第1円盤51の外径D4は、第1治具孔23の内径D3と略同じ或いはわずかに小さい。従って、第1治具孔23の内周面と第1円盤51の外周面との間には、片側0.5mm程度の隙間G2が形成される。この隙間G2により、第1円盤51は第1治具孔23の中心軸線23cを回転軸線51c(第1回転軸線)として回転可能とされる。第1円盤51は、第2治具孔52を有する。第2治具孔52は、第1円盤51の板厚方向に貫通する。第2治具孔52の内径D5は、第1ピン孔13の内径D2より大きく、第1円盤51の外径D4より小さい。第2治具孔52は、第1円盤51の回転軸線51cに対して偏心している。具体的には、第2治具孔52の中心軸線52cは、第1円盤51の回転軸線51cから距離δ1だけ離間している。換言すると、第2治具孔52の中心軸線52cは、第1円盤51の回転軸線51cと一致していない。
第2円盤53は、第2治具孔52に配置される。第2円盤53の板厚は、第1継手部12における板厚或いは第1円盤51の板厚と略同じである。また、第2円盤53の外径D6は、第2治具孔52の内径D5と略同じ或いはわずかに小さい。従って、第2治具孔52の内周面と第2円盤53の外周面との間には、片側0.5mm程度の隙間G3が形成される。この隙間により、第2円盤53は第2治具孔52の中心軸線52cを回転軸線53c(第2回転軸線)として回転可能とされる。第2円盤53は、第2ピン孔54を有する。第2ピン孔54は、第2円盤53の板厚方向に貫通する。第2ピン孔54の内径D7は、第1ピン孔13の内径D2と略同じである。すなわち、第2ピン孔54の内径D7は、ピン41の首部41aの外径D1と略同じである。第2ピン孔54は、第2円盤53の回転軸線53cに対して偏心している。具体的には、第2ピン孔54の中心軸線54cは、回転軸線53cから距離δ2だけ離間している。換言すると、第2ピン孔54の中心軸線54cは、第2円盤53の回転軸線53cと一致していない。
上記第1円盤51と第2円盤53とにおいて、第1円盤51の回転軸線51c(すなわち第1治具孔23の中心軸線23c)を基準とする。そして、回転軸線51cに対して第1ピン孔13の中心軸線13cは距離eだけ離間しているとする。ここで、第1円盤51の第2治具孔52は、距離δ1だけ偏心している。また、第2円盤53の第2ピン孔54は、距離δ2だけ偏心している。このとき、距離e,δ1,δ2は式(1)を満たすようにそれぞれの値が設定される。
Figure 0006710067

距離δ1,δ2によれば、第1円盤51の回転軸線51cから第2ピン孔54の中心軸線54cまでの距離は、ゼロから(δ1+δ2)の間で任意の値に調整することが可能になる。従って、上記式(1)を満たす距離e,δ1,δ2によれば、第1ピン孔13の中心軸線13cまでの距離eは、調整範囲(最大:δ1+δ2)よりも小さいので、第2円盤53を第1円盤51に嵌めた状態で第1円盤51を回転させることにより、第1ピン孔13の中心軸線13cに第2ピン孔54の中心軸線54cを重複させることができる。
次に、図4のフロー図を参照しつつ、ピン継手治具50を用いた内鋼管10と外鋼管20をピン41によって連結するピン継手方法について説明する。
まず、ピン継手治具50を準備する(ステップS1)。次に、第1円盤51を第1治具孔23に配置すると共に第2円盤53を第2治具孔52に配置する(ステップS2)。
次に、第1円盤51と第2円盤53とを操作して、第1ピン孔13に第2ピン孔54を重複させる(ステップS3)。換言すると、ステップS3では、第1円盤51と第2円盤53とを相対的に回転させて、内鋼管10における第1ピン孔13に外鋼管20に嵌め込まれたピン継手治具50における第2ピン孔54を一致させる。このステップS3は、2個のステップS3a,S3bを含む。今、第1ピン孔13と第2ピン孔54との位置関係が、図5の(a)部に示された状態を例示する。この状態では、第1ピン孔13と第2ピン孔54とは互いに重複していないので、ピン41を挿通させることはできない。ここで、第1ピン孔13と第1治具孔23との関係に注目する。第1治具孔23の中心軸線23cを基準とすると、第1ピン孔13の中心軸線13cは、第1治具孔23の中心軸線23cに対して矢印B1の方向に、矢印B1の長さに相当する距離だけ離間している。そこで、本実施形態に係るピン継手方法では、第2円盤53を操作して、第1治具孔23の中心軸線23cから第2ピン孔54の中心軸線54cまでの距離を、矢印B1に示される長さに調整する(ステップS3a)。さらに、本実施形態に係るピン継手方法では、第1円盤51を操作して、第1治具孔23の中心軸線23cから第2ピン孔54の中心軸線54cに向かう方向を、矢印B1に示される方向に調整する(ステップS3b)。
具体的には、まず、ステップS3aを行う。図5の(a)部に示された初期状態では、既に述べたように、第1ピン孔13の中心軸線13cは、第1治具孔23の中心軸線23cに対して矢印B1の長さに対応する距離だけ離間している。一方、第2ピン孔54の中心軸線54cは、第1治具孔23の中心軸線23cに対して矢印B2の長さに対応する距離だけ離間している。そこで、第2円盤53を回転軸線53cのまわりに時計方向へ回転させる。ここで、第2治具孔52の中心軸線52cは、第1円盤51の回転軸線51cに対して偏心している。そうすると、図5の(b)部に示されるように、第2円盤53を回転軸線53cのまわりに回転させると、第2ピン孔54の中心軸線54cから第1治具孔23の中心軸線23cまでの距離が変化する。従って、第2円盤53を回転させることにより、矢印B2の長さに対応する距離を、矢印B1の長さに対応する距離に合致させることができる。
次に、ステップS3bを行う。図6の(a)部に示されるように、ステップS3aを実施した後の状態では、矢印B1,B2の長さに対応する距離は一致している。しかし、矢印B2に示される方向は、矢印B1に示される方向と合致していない。そこで、第1円盤51を回転軸線51cのまわりに時計方向へ回転させる。そうすると、図6の(b)部に示されるように、矢印B2に示される方向が変化する。従って、第1円盤51を回転させることにより、矢印B2に示される方向を、矢印B1に示される方向に合致させることができる。
上述したように、ステップS3a、S3bを含むステップS3を実施することにより第1ピン孔13と第2ピン孔54が、ピン41を挿通可能な程度に重複する。そして、第1ピン孔13と第2ピン孔54とにピン41を挿通させる(ステップS4)。以上のステップS1〜S4により、内鋼管10と外鋼管20とが連結される。
ところで、内鋼管及び外鋼管を製造するにあたっては、外鋼管に内鋼管を仮組した状態においてドリルなどを用いてピン孔を設ける。次に、外鋼管から内鋼管を取り外して、施工現場等へ搬送する。そして、施工現場において、外鋼管に内鋼管が再び差し込まれた後に、ピン孔にピンが挿入される。一対のピン孔にピンを挿入する場合には、鋼管同士の相対的な位置を調整して、ピン孔同士を重複させる。ここで、外鋼管に内鋼管を差し込むための作業は人力で実施することが困難であるため、機械を用いて差し込み作業を行うことがあるが、機械を用いた作業ではピン孔同士を重複させるための微調整が難しい場合があり得る。そこで、鋼管同士の相対的な位置ずれが存在したとしてもピン孔同士を重複させるために、一方のピン孔の内径を他方のピン孔の内径よりも大きくする場合がある。しかし、この構成では、ピンと鋼管との間に隙間が形成され、この隙間によれば、大径のピン孔を有する鋼管とピンとの間で相対的な移動を許容してしまう。そうすると、曲げ荷重(曲げモーメント)が小さい範囲において、継手部の曲げ剛性が低下する。従って、互いに連結された複数の鋼管を備える構造、例えばパイプルーフ構造では上載土の沈下や、例えば杭では変形が大きくなり杭を構成する鋼管単体の剛性を発揮できなくなる虞がある。これに対して、ピン孔同士の径を同径とすると、ピン孔同士を厳密に位置合わせする必要が生じる。しかし、外鋼管に内鋼管を仮組した状態においてドリルなどを用いてピン孔を設けた場合であっても、ピン孔は加工時の変形や熱膨張などの種々の要因により、再び組み立てた際にピン孔同士が一致した状態を再現することが難しい。
本実施形態に係るピン継手構造、ピン継手治具及びピン継手方法は、一対のピン孔のうち一方のピン孔が鋼管とは別の部材に設けられているので、内鋼管10に対する外鋼管20の相対的な位置を調整することなく、第1ピン孔13に対する第2ピン孔54の位置を調整することが可能である。この構成によれば、内鋼管10を外鋼管20へ差し込むときに、内鋼管10と外鋼管20とを相対的に動かして、第2ピン孔54の中心軸線54cを第1ピン孔13の中心軸線13cに厳密に一致させる必要がない。具体的には、内鋼管10の第1ピン孔13を外鋼管20の第1治具孔23に重複させ、その後、ピン継手治具50を操作して、第1ピン孔13に第2ピン孔54を重複させる。ここで、第1治具孔23の内径D3は、第1ピン孔13の内径D2より大きいので、第1ピン孔13と第1治具孔23とを容易に重複させることが可能である。従って、内鋼管10を外鋼管20へ差し込む作業の作業性を向上させることができる。
一方、第1治具孔23は第1ピン孔13よりも内径が大きいので、第1治具孔23が設けられた外鋼管20とピン41との間には隙間が生じる。ここで、第1治具孔23には、第1円盤51が嵌め込まれ、第1円盤51における第2治具孔52には第2ピン孔54を有する第2円盤53が嵌め込まれる。そして、外鋼管20と第1円盤51との間の隙間G2、及び、第1円盤51と第2円盤53との間の隙間G3は比較的小さい。従って、鋼管が連結された構造における剛性の低下を抑制できる。
ここで、比較例に係るピン継手構造と比較しつつ、本実施形態に係るピン継手構造1の効果について詳細に説明する。図8に示されるように、比較例に係るピン継手構造100は、内鋼管101と外鋼管102とがピン103によって連結されている。内鋼管101にはピン孔104が設けられ、外鋼管102にはピン孔106が設けられている。比較例に係るピン継手構造100では、内鋼管101と外鋼管102との差し込み作業を容易にする点から、ピン103の外径に対してピン孔106の内径が大きくされている。すなわち、ピン103と同径であるピン孔104の内径よりもピン孔106の内径が大きい。これら外鋼管102とピン103との間には、片側で2mm程度(すなわち両側を足し合わせて4mm程度)の隙間G6があった。従って、内鋼管10と外鋼管20との間では、当該4mm程度の遊びが生じ得る状態であった。
この構造において、内鋼管101と外鋼管102との間に曲げ荷重が作用すると、当該曲げ荷重は、例えば、外鋼管102のピン孔106からピン103へ支圧で作用し、ピン103のせん断を介して、ピン103から内鋼管101のピン孔104へ支圧で伝達される。この曲げ荷重の伝達過程において、隙間G6において外鋼管102とピン103との間でがたつきが生じ得る。そうすると、内鋼管101と外鋼管102とを含む鋼管連結構造のみかけの剛性が低下するようにみえてしまう。
一方、図3に示されるように、本実施形態に係るピン継手構造1は、外鋼管20に曲げ荷重が作用すると、当該曲げ荷重は、外鋼管20の第1治具孔23から第1円盤51へ支圧により伝達され、第1円盤51の第2治具孔52から第2円盤53へ支圧により伝達され、さらに第2ピン孔54からピン41へ支圧により伝達され、ピン41のせん断を介して最終的にピン41から内鋼管10の第1ピン孔13へ支圧により伝達される。荷重が伝達される経路は、比較例よりも複雑である。また、第1円盤51と第2円盤53との隙間G3、及び第1円盤51と外鋼管20との隙間G2にはわずかな空隙が存在する。これら隙間G2及び隙間G3は、本実施形態に係るピン継手構造1における遊びを構成する。例えば、本実施形態に係るピン継手構造1において、内鋼管10と外鋼管20との間における遊びは、最大でも全体で片側2.5mm程度である。従って、比較例に係るピン継手構造100が有する遊び(4mm程度)と比較すると遥かに小さいので、遊びに起因する鋼管連結構造のみかけの剛性が低下することを抑制できる。
また、隙間G2及び隙間G3が小さくなると、ヘルツの接触理論によれば接触圧力が低減される。具体的には、例えば、第1治具孔23の内周面に対する第1円盤51の接触圧力は、式(2)によって示される。
Figure 0006710067

ここで、σは接触圧力であり、Pは第1円盤51から第1治具孔23の内周面へ作用する荷重であり、Eは第1円盤51及び外鋼管20の縦弾性係数であり、R1は、第1円盤51の半径(D4/2)であり、R2は第1治具孔23の半径(D3/2)であり、Lは第1円盤51と第1治具孔23との接触長さである。
要するに、このピン継手構造、ピン継手治具及びピン継手方法によれば、継手部における遊びが格段に小さくなるので、その結果、鋼管継手としての剛性を確保することができる。従って、第1ピン孔13と第2ピン孔54とを重複させる作業性の低下を抑制しつつ、ピン継手構造1における全体剛性の低下を抑制することができる。
さらに、外鋼管に内鋼管を差し込む作業においても、鋼管の変形や加工誤差などを許容するために外鋼管の内周面と内鋼管の外周面との間に隙間を設ける必要がある。この隙間も、継手部の曲げ剛性を低下させる要因となり得る。本実施形態に係るピン継手構造1は、第1継手部12の外周面と第2継手部22の内周面との隙間に挟み込まれた板状のスペーサ42を有する。このスペーサ42が第1継手部12と第2継手部22の寸法差に基づく隙間を埋めるので、継手部の曲げ剛性の低下をさらに抑制することができる。
また、本実施形態に係るピン継手構造1によれば、許容可能な寸法誤差や予め設定される隙間の大きさを確保することができるので、第1ピン孔13及び第2ピン孔54の孔開け加工精度を高める必要がなくなる。従って、外鋼管20に内鋼管10を仮組した状態で、第1ピン孔13及び第2ピン孔54を削孔する必要がないので、内鋼管10及び外鋼管20の製作性が向上する。そして、第2ピン孔54は、第2円盤53に設ければよいので、第2ピン孔54の加工性が向上する。なお、第1ピン孔13は第1継手部12に直接に穴あけ加工を行うことにより設ける。
なお、上述した実施形態は本発明に係るピン継手構造、ピン継手治具及びピン継手方法の一例を示すものである。本発明に係るピン継手構造、ピン継手治具及びピン継手方法は、実施形態に係るピン継手構造、ピン継手治具及びピン継手方法に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、変形し又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、図7に示されるように、ピン継手構造1Aは、第1円盤51Aと第2円盤53Aとを有する。第1円盤51Aは、第1治具孔23Aの内周面と接触すると共に、回転軸線51cに沿って外径が小さくなるテーパ部51tを有していてもよい。また、第2円盤53Aは、第2治具孔52Aの内周面と接触すると共に、回転軸線53cに沿って外径が小さくなるテーパ部53tを有していてもよい。これらの構成によれば、第1円盤51Aと第1治具孔23Aの密着度及び第2円盤53Aと第2治具孔52Aの密着度が向上するので、剛性の低下をより抑制することができる。
また、上記実施形態に係るピン継手方法では、距離を合せるステップS3aを実施した後に、方向を合せるステップS3bを実施した。ステップS3a,S3bを実施する順番は、この順に限定されることはない。例えば、方向を合せるステップS3bを実施した後に、距離を合せるステップS3aを実施してもよいし。ステップS3aとステップS3bとを交互に実施しながら、第2ピン孔54を第1ピン孔13に徐々に近づけてもよい。
1…ピン継手構造、10…内鋼管、11…第1本体部、12…第1継手部、13…第1ピン孔、13c…中心軸線、20…外鋼管、21…第2本体部、22…第2継手部、23…第1治具孔、23c…中心軸線、41…ピン、42…スペーサ、50…ピン継手治具、51…第1円盤、51c…回転軸線(第1回転軸線)、52…第2治具孔、52c…中心軸線、53…第2円盤、53c…回転軸線(第2回転軸線)、54…第2ピン孔、54c…中心軸線、51t,53t…テーパ部。

Claims (7)

  1. ピンによって鋼管同士を連結するピン継手構造であって、
    前記ピンと、
    前記ピンと略同径であり、前記ピンが挿通される第1ピン孔が設けられた第1鋼管と、
    前記第1ピン孔よりも大きい内径を有する第1治具孔が設けられ、前記ピンによって前記第1鋼管と連結される第2鋼管と、
    前記第1治具孔に配置されて前記第1治具孔の中心軸線を第1回転軸線として回転可能であると共に、前記第1ピン孔の内径よりも大きい内径を有する第2治具孔が前記第1回転軸線から偏心して設けられた第1円盤と、
    前記第2治具孔に配置されて前記第2治具孔の中心軸線を第2回転軸線として回転可能であると共に、前記ピンが挿通される第2ピン孔が前記第2回転軸線から偏心して設けられた第2円盤と、を備え
    前記ピンの長さは、前記第1鋼管の厚みと前記第2鋼管の厚みとを足し合わせた長さよりも短い、ピン継手構造。
  2. 前記第1円盤は、前記第1治具孔の内周面と接触すると共に、前記第1回転軸線に沿って前記第1鋼管側の外径が小さくなるテーパ部を有する、請求項1に記載のピン継手構造。
  3. 前記第2円盤は、前記第2治具孔の内周面と接触すると共に、前記第2回転軸線に沿って前記第1鋼管側の外径が小さくなるテーパ部を有する、請求項1又は2に記載のピン継手構造。
  4. 前記第1鋼管の端面と前記第1鋼管の端面と対面する前記第2鋼管の端面との間に挟持されたパッキンを更に備え、
    前記パッキンは、前記第1鋼管の端面と前記第2鋼管の端面との間において、押しつぶされている、請求項1〜3の何れか一項に記載のピン継手構造。
  5. 前記第1鋼管は、前記第2鋼管の端部に差し込まれると共に、前記第1ピン孔が設けられた第1継手部を有し、
    前記第2鋼管は、前記第1鋼管の端部が差し込まれると共に、前記第1治具孔が設けられた第2継手部を有し、
    前記第1継手部の外周面と前記第2継手部の内周面との間には、スペーサが挟み込まれている、請求項1〜4の何れか一項に記載のピン継手構造。
  6. ピンが挿通される第1ピン孔が設けられた第1鋼管と、前記第1ピン孔よりも大きい内径を有する第1治具孔が設けられ、前記ピンによって前記第1鋼管と連結される第2鋼管と、を連結するためのピン継手治具であって、
    前記ピンと、
    前記第1治具孔に配置されて前記第1治具孔の中心軸線を第1回転軸線として回転可能であると共に、前記第1ピン孔の内径よりも大きい内径を有する第2治具孔が前記第1回転軸線から偏心して設けられた第1円盤と、
    前記第2治具孔に配置されて前記第2治具孔の中心軸線を第2回転軸線として回転可能であると共に、前記ピンが挿通される第2ピン孔が前記第2回転軸線から偏心して設けられた第2円盤と、を備え
    前記ピンの長さは、前記第1鋼管の厚みと前記第2鋼管の厚みとを足し合わせた長さよりも短い、ピン継手治具。
  7. 第1ピン孔が設けられた第1鋼管と第1治具孔が設けられた第2鋼管とをピンによって連結するピン継手方法であって、
    前記ピンと、前記第1治具孔に配置されて前記第1治具孔の中心軸線を第1回転軸線として回転可能であると共に、前記第1ピン孔の内径よりも大きい内径を有する第2治具孔が前記第1回転軸線から偏心して設けられた第1円盤と、前記第2治具孔に配置されて前記第2治具孔の中心軸線を第2回転軸線として回転可能であると共に、前記ピンが挿通される第2ピン孔が前記第2回転軸線から偏心して設けられた第2円盤と、を有するピン継手治具を準備するステップと、
    前記第1円盤を前記第1治具孔に配置すると共に前記第2円盤を前記第2治具孔に配置するステップと、
    前記第2円盤を前記第1円盤に対して前記第2回転軸線のまわりに回転させて、前記第1治具孔の中心軸線から前記第2ピン孔の中心軸線までの距離を、前記第1治具孔の中心軸線から前記第1ピン孔の中心軸線までの距離に合せるステップと、
    前記第1円盤を前記第2鋼管に対して前記第1回転軸線のまわりに回転させて、前記第1治具孔の中心軸線から前記第2ピン孔の中心軸線に向かう方向を、前記第1治具孔の中心軸線から前記第1ピン孔の中心軸線に向かう方向に合せるステップと、
    前記第1鋼管の厚みと前記第2鋼管の厚みとを足し合わせた長さよりも短い長さである前記ピンを前記第2ピン孔から突出しないように差し込むステップと、を有する、ピン継手方法。
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