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JP6715170B2 - 食品の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、食品の製造方法に関する。
納豆は、大豆を原料として、納豆菌により発酵させた食品であり、消化作用や栄養吸収作用を有するプロテアーゼ、抗炎症作用を有するポリアミン、セロトニンを生成するトリプトファン、腸管免疫に関与するグルタミン、GABA、サポニン、イソフラボン、その他の抗酸化物質など、多くの有効成分を含むことが知られている。また、納豆の発酵過程では、ビタミンB2が増加することが知られており、脂肪燃焼、及びダイエット効果を有することが期待されている。
更に、前記納豆菌は、O−157などに対する抗菌物質を産生することが知られており、抗菌剤としての有用性も期待されている。
上記期待と一致して、納豆市場は拡大傾向にあるが、市場での価格競争を考慮して、付加価値を高めた納豆の開発が求められている。
乳酸菌、酪酸菌及び麹菌は、整腸効果を有することが知られており、古くからヨーグルト、ぬか漬け、日本酒などの食品の発酵に使用されている。
そこで、前記納豆の優れた機能を損なうことなく、前記乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかにより付加価値を高めた食品の開発が望まれるが、これまでに、納豆菌の強い抗菌作用のため、納豆菌と乳酸菌等との共存は不可能であることが示されてきた。
また、納豆、及び乳酸菌培養液を含む家畜用飼料の製造方法については開示されているが(特許文献1)、これは、米ぬか味噌と、納豆と、乳酸菌培養液と、土着菌が生息する腐葉土と、米ぬかとを混合して発酵させるものであり、納豆の優れた機能を損なうことなく、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかによる付加価値を高めた食品の簡便な製造方法については報告されていない。
特開2010−22368号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、納豆の優れた機能を損なうことなく、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかにより付加価値を高めた食品の簡便な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、納豆菌含有物と、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかとを混合し、前記乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかで前記納豆菌含有物を発酵することにより、納豆の優れた機能を損なうことなく、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかによる付加価値を高めた食品の簡便な製造方法が提供できることを確認した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 納豆菌含有物と、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかとを混合し、前記乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかで前記納豆菌含有物を発酵する発酵工程を含むことを特徴とする食品の製造方法である。
<2> 前記乳酸菌が、少なくとも2種類の乳酸菌を含む<1>に記載の製造方法である。
<3> 前記食品における前記納豆菌、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の濃度が、少なくとも以下のいずれかを満たす<1>から<2>のいずれかに記載の製造方法;
前記納豆菌の濃度が、生菌で、1×10個/g以上である、
前記乳酸菌の濃度が、生菌で、1×10個/g以上である、
前記酪酸菌の濃度が、生菌で、1×10個/g以上である、又は
前記麹菌の濃度が、生菌で、1×10個/g以上である。
<4> 前記食品におけるプロテアーゼ力価が、1,000u/g以上である<1>から<3>のいずれかに記載の製造方法である。
<5> 前記発酵工程において、炭酸カルシウムを添加する<1>から<4>のいずれかに記載の製造方法である。
<6> 前記発酵工程において、ビタミンCを添加する<1>から<5>のいずれかに記載の製造方法である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、納豆の優れた機能を損なうことなく、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかにより付加価値を高めた食品の簡便な製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1−1及び1−2並びに比較例1−1及び1−2で得られた食品の乳酸菌数を示す図である。 図2は、実施例2−1〜2−3及び比較例2で得られた食品の乳酸菌数を示す図である。 図3は、実施例2−1〜2−3及び比較例2で得られた食品の納豆菌数を示す図である。 図4は、実施例3で得られた食品の酪酸菌数及び納豆菌数を示す図である。 図5は、実施例4で得られた食品の酪酸菌数を示す図である。 図6は、実施例5で得られた食品の写真である。 図7は、実施例5で得られた食品の顕微鏡写真である。 図8は、実施例6−1及び6−2で得られた食品の乳酸菌数を示す図である。 図9は、実施例6−1及び6−2で得られた食品の納豆菌数を示す図である。 図10は、実施例7−1及び7−2で得られた食品の乳酸菌数及び納豆菌数を示す図である。 図11は、実施例8−1及び8−2で得られた食品の乳酸菌数及びpHを示す図である。 図12は、実施例9で得られた食品の乳酸菌数及びプロテアーゼ力価を示す図である。
(食品の製造方法)
本発明の食品の製造方法は、発酵工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含むことができる。
<発酵工程>
前記発酵工程は、納豆菌含有物と、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかとを混合し、前記乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかで前記納豆菌含有物を発酵する工程である。
<<納豆菌含有物>>
前記納豆菌含有物としては、納豆を含むものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、更に必要に応じてその他の添加物を加えることができる。
−納豆−
前記納豆としては、市販品であってもよく、従来公知の手法に基づき、大豆及び納豆菌を用いて製造したものであってもよい。
前記納豆の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粗挽きした納豆、粗挽きしていない納豆、これらの併用などが挙げられるが、発酵効率の点から、粗挽きした納豆が好ましい。
前記粗挽きした納豆は、前記納豆を市販の挽肉機を用いて粗挽きすることにより得ることができる。
前記納豆菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Bacillus subtilis nattoなどが挙げられる。
−その他の添加物−
前記その他の添加物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、米粉などが挙げられる。
<<乳酸菌>>
前記乳酸菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium longum、Lactobacillus casei、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus sakei、Lactobacillus sporogenesなどが挙げられる。
これらの乳酸菌は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、発酵効率の点から、少なくとも2種類の乳酸菌を含むことが好ましい。
前記乳酸菌としては、熱や化学物質、エックス線などに高い耐久性を有し、保存性の向上を図ることができる点から、有胞子乳酸菌が好ましい。前記有胞子乳酸菌は、栄養の枯渇、温度や湿度などの変化、老廃物の蓄積など、菌の生存に不利な環境に置かれた場合に芽胞を形成する。前記不利な環境としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、低湿度(乾燥)環境、高温環境などが挙げられる。
前記Lactobacillus sporogenesは、有胞子乳酸菌である。
前記乳酸菌は、市販品であってもよい。
前記乳酸菌の前記納豆に対する量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、納豆100質量部に対して、乳酸菌0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.3〜2質量部が更に好ましい。
<<酪酸菌>>
前記酪酸菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Clostridium butyricumなどが挙げられる。
前記酪酸菌としては、熱や化学物質、エックス線などに高い耐久性を有し、保存性の向上を図ることができる点から、有胞子酪酸菌が好ましい。前記有胞子酪酸菌は、栄養の枯渇、温度や湿度などの変化、老廃物の蓄積など、菌の生存に不利な環境に置かれた場合に芽胞を形成する。前記不利な環境としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、低湿度(乾燥)環境、高温環境などが挙げられる。
前記Clostridium butyricumは、有胞子酪酸菌である。
前記酪酸菌は、市販品であってもよい。
前記酪酸菌の前記納豆に対する量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、納豆100質量部に対して、酪酸菌0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.3〜2質量部が更に好ましい。
<<麹菌>>
前記麹菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黄麹菌、白麹菌、黒麹菌などが挙げられる。
前記麹菌は、種麹であってもよい。
前記種麹としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、清酒用種麹などが挙げられる。
前記麹菌は、市販品であってもよい。
前記麹菌の前記納豆に対する量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、納豆100質量部に対して、麹菌0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.1〜2質量部が更に好ましい。
<<発酵>>
前記発酵の方法としては、前記納豆菌含有物を、前記乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかで発酵できる方法であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、好気発酵、嫌気発酵などが挙げられる。更に必要に応じてその他の添加物を加えて発酵することができる。
−好気発酵−
前記好気発酵としては、好気条件下での発酵であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、好気条件下において、培養機内で静置する方法などが挙げられる。
前記好気発酵の発酵温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10℃〜50℃が好ましく、20℃〜40℃がより好ましく、30℃〜40℃が更に好ましい。
前記好気発酵の発酵時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間〜7日間が好ましく、12時間〜96時間がより好ましく、24時間〜48時間が更に好ましい。
−嫌気発酵−
前記嫌気発酵としては、嫌気条件下での発酵であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、嫌気条件下において、培養機内で静置する方法などが挙げられる。
前記嫌気発酵の発酵温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10℃〜50℃が好ましく、20℃〜40℃がより好ましく、30℃〜40℃が更に好ましい。
前記嫌気発酵の発酵時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間〜7日間が好ましく、12時間〜96時間がより好ましく、24時間〜48時間が更に好ましい。
−その他の添加物−
前記その他の添加物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸カルシウム、ビタミンC、クエン酸、NaCl溶液、蒸留水などが挙げられる。
これらのその他の添加物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、乳酸菌の代謝産物である乳酸の中和の促進、嫌気性発酵効率、納豆菌の増殖抑制などの点から、炭酸カルシウム、又はビタミンCを加えることが好ましく、炭酸カルシウム、及びビタミンCを加えることがより好ましい。
前記炭酸カルシウムの前記納豆に対する量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、納豆100質量部に対して、炭酸カルシウム0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が更に好ましい。
前記ビタミンCの前記納豆に対する量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、納豆100質量部に対して、ビタミンC0.1〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部が更に好ましい。
前記クエン酸の前記納豆に対する量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、納豆100質量部に対して、クエン酸0.1〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部が更に好ましい。
前記NaCl溶液の濃度としては、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜10%溶液が好ましく、0.1〜1.0%溶液がより好ましく、0.5〜1.0%溶液が更に好ましく、0.9%溶液が特に好ましい。
前記NaCl溶液の前記納豆に対する量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、納豆100質量部に対して、NaCl溶液0.1〜20質量部が好ましく、1.0〜10質量部がより好ましく、3.0〜10質量部が更に好ましい。
前記蒸留水の前記納豆に対する量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、納豆100質量部に対して、蒸留水1〜100質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましく、20〜40質量部が更に好ましい。
<その他の工程>
前記食品の製造方法における、前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空凍結乾燥工程、通風乾燥工程などが挙げられる。
<食品>
以上の工程により本発明の食品の製造方法により製造される食品を得ることができる。
前記食品は、少なくとも、納豆菌と、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の少なくともいずれかとを含み、更に必要に応じて、その他の成分を含むことができる。
前記食品における、納豆菌、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記納豆菌、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の濃度の少なくともいずれかが、生菌で、1×10個/g以上であることが好ましく、前記納豆菌、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の濃度の少なくともいずれかが、生菌で、1×10個/g以上であることがより好ましく、納豆菌の濃度が、生菌で、1×10個/g以上であり、かつ、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の濃度の少なくともいずれかが、生菌で、1×10個/g以上であることがさらに好ましく、納豆菌の濃度が、生菌で、1×10個/g以上であり、かつ、乳酸菌、酪酸菌、及び麹菌の濃度の少なくともいずれかが、生菌で、1×10個/g以上であることが特に好ましい。
前記食品におけるプロテアーゼ力価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000u/g以上であることが好ましく、5,000u/g以上であることがより好ましく、8,000u/g以上であることが更に好ましい。
前記食品におけるプロテアーゼ力価は、5gの試料に、25mLの0.5%NaCl溶液を加え撹拌し、遠心後の上清0.5mLに、1.0mLのマッキンベン緩衝液(pH6)を加えて、38℃で5分間予熱し、1.5mLの2%カゼイン溶液を加えて、38℃で60分間保温した後、3.0mLの0.4Mトリクロロ酢酸を加えて、30分後にろ過し、1.0mLのろ液に、5.0mLの0.4M炭酸ナトリウム溶液、1.0mLのフェノール試薬を加えて、38℃で30分間発色させ、660nmにおける吸光度を測定し、チロシン標準液を用いて作成した検量線から、38℃、60分間に1μgのチロシンを生成する活性を1単位として算出することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<納豆の乳酸菌発酵による食品の製造>
(実施例1−1)
納豆(株式会社豆紀製)を挽肉機(HELTHY MINCER 貝印株式会社製)、及び径4mmのディスクを用いて粗挽きした。30gの粗挽きした納豆と、300mgの有胞子乳酸菌 Lactobacillus sporogenas(三菱化学フーズ製)とを混合し、35℃で好気発酵した。発酵後48時間の乳酸菌の生菌数を、以下の方法で測定し、結果を図1に示した。
−好気発酵乳酸菌の生菌数の測定−
5gの試料に、100mLの滅菌済み0.9%NaCl溶液を加え、室温で30分間撹拌し、乳酸菌を抽出した。抽出物を、滅菌済み0.9%NaCl溶液を用いて希釈し、ロゴサ寒天培地(関東化学株式会社)を氷酢酸を加えずに調整した(pH5)プレート半面に50μLをコンラージした。35℃で48時間培養した後に、菌数を測定した。本条件下では納豆菌は繁殖しないため、全てのコロニーを乳酸菌として計測した。
(実施例1−2)
粗挽きした納豆と、有胞子乳酸菌に加えて、1.5gの炭酸カルシウム(関東化学株式会社製)及び0.3gのビタミンC(中国 江蘇江山製薬製)を添加した点以外は、実施例1−1と同様の発酵及び測定を行った。結果を図1に示した。
(比較例1−1)
200ml広口コルベンに6時間浸漬した80gの大豆を入れて、30分蒸煮した。冷却後に、蒸煮した大豆と、800mgの有胞子乳酸菌 Lactobacillus sporogenas(三菱化学フーズ製)とを混合し、35℃で好気発酵した。発酵後48時間の乳酸菌の生菌数を実施例1−1と同様の方法で測定し、結果を図1に示した。
(比較例1−2)
蒸煮した大豆と、有胞子乳酸菌に加えて、2.4gの炭酸カルシウム(関東化学株式会社製)及び0.8gのビタミンC(中国 江蘇江山製薬製)を添加した点以外は、比較例1−1と同様の発酵及び測定を行った。結果を図1に示した。
(実施例2−1)
納豆(株式会社豆紀製)を挽肉機(HELTHY MINCER 貝印株式会社製)、及び径4mmのディスクを用いて粗挽きした。40gの粗挽きした納豆と、120mgの有胞子乳酸菌 Lactobacillus sporogenas(三菱化学フーズ製)とを混合し、0.4gのビタミンC(中国 江蘇江山製薬製)、2gの炭酸カルシウム(関東化学株式会社製)、及び蒸留水12mLを加え、35℃で好気発酵した。発酵前、発酵後24時間、及び発酵後48時間の乳酸菌の生菌数を、実施例1−1と同様の方法で測定し、結果を図2に示した(マーカーが●の折れ線)。発酵前、発酵後24時間、及び発酵後48時間の納豆菌の菌数を以下の方法で測定し、結果を図3に示した(マーカーが●の折れ線)。
−納豆菌の生菌数の測定−
5gの試料に、100mLの滅菌済み0.9%NaCl溶液を加え、室温で30分間撹拌し、納豆菌を抽出した。抽出物を、滅菌済み0.9%NaCl溶液を用いて希釈し、シカメディアBCP加プレートカウント寒天培地(関東化学株式会社)で調製したプレート半面に50μLをコンラージした。35℃で48時間培養した後に、菌数を測定し、結果を図1に示した。小さい点のようなコロニーを乳酸菌として除外し、大きく広がるコロニーを納豆菌として計測した。
(実施例2−2)
炭酸カルシウムを添加しない点以外は、実施例2−1と同様の発酵及び測定を行った。結果を図2及び図3に示した(マーカーが▲の折れ線)。
(実施例2−3)
炭酸カルシウム及びビタミンCに代えて、0.4gのクエン酸(クエン酸一水和物、和光純薬工業株式会社製)を添加した以外は、実施例2−1と同様の発酵及び測定を行った。結果を図2及び図3に示した(マーカーが■の折れ線)。
(比較例2)
乳酸菌を加えない点以外は、実施例2−3と同様の発酵及び測定を行った。結果を図2及び図3に示した(マーカーなしの折れ線)。
<納豆の酪酸菌発酵>
(実施例3)
納豆(株式会社豆紀製)を挽肉機(HELTHY MINCER 貝印株式会社製)、及び径4mmのディスクを用いて粗挽きした。500gの粗挽きした納豆と、2.5gの酪酸菌 Clostridium butyricum(東亜薬品工業製)とを混合し、10gの炭酸カルシウム(関東化学株式会社製)、及び50mLの0.9%NaClを加え、アネロパック・ケンキ(三菱ガス化学製)、及び角型ジャー(三菱ガス化学製)を用いて35℃で嫌気発酵した。発酵前、発酵後24時間、発酵後48時間、発酵後72時間、及び発酵後96時間の酪酸菌の生菌数を、以下の方法で測定し、結果を図4に示した(マーカーが▲の折れ線)。発酵前、発酵後24時間、及び発酵後48時間の納豆菌の生菌数を実施例2−1と同様の方法で測定し、結果を図4に示した(マーカーが●の折れ線)。
−酪酸菌の生菌数の測定−
5gの試料に、100mLの滅菌済み0.9%NaCl溶液を加え、室温で30分間撹拌し、酪酸菌を抽出した。抽出物を、滅菌済み0.9%NaCl溶液を用いて希釈し、標準寒天培地(日水製薬株式会社)をチオグリコール酸ナトリウムおよびL-システイン塩酸塩一水和物を0.3%加えて調整したプレート半面に50μLをコンラージした。アネロパック・ケンキ(三菱ガス化学製)、及び角型ジャー(三菱ガス化学製)を用いて48時間35℃で嫌気培養した後に、菌数を測定し、結果を図1に示した。なお、本条件下では、納豆菌は繁殖しないのですべてのコロニーを酪酸菌として計測した。
(実施例4)
納豆(株式会社豆紀製)を挽肉機(HELTHY MINCER 貝印株式会社製)、及び径4mmのディスクを用いて粗挽きした。580gの粗挽きした納豆と、2.9gの酪酸菌 Clostridium butyricum(東亜薬品工業製)とを混合し、10gの炭酸カルシウム(関東化学株式会社製)、及び50mLの0.9%NaClを加え、アネロパック・ケンキ(三菱ガス化学製)、及び角型ジャー(三菱ガス化学製)を用いて35℃で48時間嫌気発酵し、得られた発酵物を、凍結保存した後、真空凍結乾燥及び通風乾燥した。乾燥前、及び乾燥後の酪酸菌の生菌数を、実施例3と同様の方法で測定し、結果を図5に示した。発酵乾燥物のプロテアーゼ力価を、以下の方法で測定したところ、乾燥粉末あたり8,829u/gであり、原料あたり3,327u/gであった。
−プロテアーゼ力価の測定−
5gの試料に、25mLの0.5%NaCl溶液を加え、室温で3時間撹拌し、3,000rpmで15分間遠心した。遠心後の上清0.5mLに、1.0mLのマッキンベン緩衝液(pH6)を加えて、38℃で5分間予熱した。1.5mLのカゼイン溶液を加えて、38℃で60分間保温した。3.0mLの0.4Mトリクロロ酢酸を加えて、30分後にろ過した。1.0mLのろ液に、5.0mLの0.4M炭酸ナトリウム溶液、1.0mLのフェノール試薬(関東化学株式会社製)を加えて、38℃で30分間発色させた。660nmにおける吸光度を測定し、25、50、75μg/mLのチロシン標準液を用いて作成した検量線から、38℃、60分間に1μgのチロシンを生成する活性を1単位としてプロテアーゼ力価を算出した。
−−マッキンベン緩衝液(pH6)−−
71.63gのリン酸水素二ナトリウム(NaHPO・12HO)を蒸留水に溶解し、1,000mLに定容し、A液を作成した。
21gのクエン酸(C・HO)蒸留水に溶解し、1,000mLに定容し、B液を作成した。
A液とB液とをpHメーター(pHsion C−73アズワン株式会社製)を用いて、pH6.0になるように混合した。
−−カゼイン溶液−−
100mLビーカーに、2gのカゼイン、及び少量の蒸留水を加え、ガラス棒でよく混濁後、13mLの0.1M水酸化ナトリウムを加え徐々に加熱し、沸騰溶解した。更に、沸騰加熱しながら2mLの0.5M乳酸を一滴ずつ滴下し、十分に溶解させた。水で急冷させ、0.2M NaHPOを用いてpH6.0に調整し、20mLのマッキンベン緩衝液(pH6)を加え、100mLに定容した。
<納豆の麹菌発酵>
(実施例5)
納豆(株式会社豆紀製)を挽肉機(HELTHY MINCER 貝印株式会社製)、及び径4mmのディスクを用いて粗挽きした。200gの粗挽きした納豆と、300mgの清酒用種麹(株式会社ビオック製)とを混合し、35℃で好気発酵した。発酵後96時間の発酵物の写真を図6に示した。図6に示したとおり、白色の麹菌が観察された。発酵物の顕微鏡写真を図7に示した。図7に示したとおり、糸状の麹菌が観察された。発酵後96時間の納豆菌の生菌数を、実施例2−1と同様の方法で測定したところ、3.7×10個/gであった。発酵後96時間のプロテアーゼ力価を、実施例4と同様の方法で測定したところ、乾燥粉末あたり11,000u/gであった。
<納豆の少なくとも2種類の乳酸菌による発酵>
(実施例6−1)
納豆(株式会社豆紀製)を挽肉機(HELTHY MINCER 貝印株式会社製)、及び径4mmのディスクを用いて粗挽きした。600gの粗挽きした納豆と、6gの有胞子乳酸菌 Lactobacillus sporogenas(三菱化学フーズ製)とを混合し、6gのビタミンC(中国 江蘇江山製薬製)、30gの炭酸カルシウム(関東化学株式会社製)、及び180mLの蒸留水を加え、35℃で好気発酵した。発酵前、発酵後72時間、及び発酵後120時間の乳酸菌の生菌数を、実施例1−1と同様に測定し、結果を図8に示した(マーカーが●の折れ線)。発酵前、発酵後72時間、及び発酵後120時間の納豆菌の菌数を実施例2−1と測定し、結果を図9に示した(マーカーが●の折れ線)。発酵乾燥物のプロテアーゼ力価を、実施例4と同様の方法で測定したところ、乾燥粉末あたり9,200u/gであった。
(実施例6−2)
乳酸菌を、合計量が6gの、以下の乳酸菌(Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium longum、Lactobacillus casei、Lactobacillus plantrum、Lactobacillus sakei、及びLactobacillus sporogenas:有限会社ラヴィアンサンテ製)に代えた以外は、実施例6−1と同様の発酵及び測定を行った。結果を図8及び図9に示した(マーカーが▲の折れ線)。発酵乾燥物のプロテアーゼ力価を、実施例4と同様の方法で測定したところ、乾燥粉末あたり8,400u/gであった。
(実施例7−1)
納豆(株式会社豆紀製)を挽肉機(HELTHY MINCER 貝印株式会社製)、及び径4mmのディスクを用いて粗挽きした。620gの粗挽きした納豆と、合計量が6.2gの乳酸菌(Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium longum、Lactobacillus casei、Lactobacillus plantrum、Lactobacillus sakei、及びLactobacillus sporogenas:有限会社ラヴィアンサンテ製)とを混合し、30mLの0.9%NaClを加え、35℃で好気発酵した。発酵後48時間の乳酸菌の生菌数を、実施例1−1と同様に測定し、結果を図10に示した(1)。発酵後48時間の納豆菌の菌数を実施例2−1と同様の方法で測定し、結果を図10に示した(2)。
(実施例7−2)
発酵工程において、5gのビタミンC(中国 江蘇江山製薬製)を加えた以外は、実施例7−1と同様の発酵及び測定を行った。結果を図10に示した。
<納豆の乳酸菌による嫌気発酵>
(実施例8−1)
納豆(株式会社豆紀製)を挽肉機(HELTHY MINCER 貝印株式会社製)、及び径4mmのディスクを用いて粗挽きした。620gの粗挽きした納豆と、合計量が6.2gの乳酸菌(Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium longum、Lactobacillus casei、Lactobacillus plantrum、Lactobacillus sakei、及びLactobacillus sporogenas:有限会社ラヴィアンサンテ製)とを混合し、6gの炭酸カルシウム(関東化学株式会社製)、及び30mLの0.9%NaClを加え、35℃で嫌気パック(アネロパック・ケンキ、三菱ガス化学株式会社製)、及び嫌気ジャー(角型ジャー、三菱ガス化学株式会社製)を用いて嫌気発酵した。発酵前、発酵後24時間、発酵後48時間、発酵後72時間、及び96時間の乳酸菌の生菌数を以下の方法で測定し、結果を図11に示した(マーカーが▲の点線)。発酵物のpH値を以下の方法で測定し、結果を図11に示した(マーカーが▲の折れ線)。
−嫌気発酵菌の生菌数の測定−
5gの試料に、100mLの滅菌済み0.9%NaCl溶液を加え、室温で30分間撹拌し、乳酸菌を抽出した。抽出物を、滅菌済み0.9%NaCl溶液を用いて希釈し、ロゴサ寒天培地(関東化学株式会社製)に、チオグリコール酸ナトリウム(関東化学株式会社製)及びL−システイン塩酸塩一水和物(関東化学株式会社製)を0.3%加え、氷酢酸を加えずに調整したプレート半面に50μLをコンラージした。35℃で嫌気パック(アネロパック・ケンキ、三菱ガス化学株式会社製)、及び嫌気ジャー(角型ジャー、三菱ガス化学株式会社製)を用いて48時間35℃で嫌気発酵した後に、菌数を測定した。なお、本条件下では納豆菌は繁殖しないため、全てのコロニーを乳酸菌として計測した。
−pH値測定−
5gの試料に、25mLの0.5%NaCl溶液を加え、pHメーター(pHsion C−73アズワン株式会社製)を用いてpH値を測定した。
(実施例8−2)
炭酸カルシウムを加えない以外は、実施例8−1と同様の発酵及び測定を行い、乳酸菌及び酪酸菌の生菌数を図11に示した(マーカーが●の点線)。発酵物のpH値の結果を図10に示した(マーカーが●の折れ線)。
(実施例9)
納豆(株式会社豆紀製)を挽肉機(HELTHY MINCER 貝印株式会社製)、及び径4mmのディスクを用いて粗挽きした。300gの粗挽きした納豆と、合計量が4.3gの乳酸菌(Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium longum、Lactobacillus casei、Lactobacillus plantrum、Lactobacillus sakei、及びLactobacillus sporogenas:有限会社ラヴィアンサンテ製)とを混合し、6gの炭酸カルシウム(関東化学株式会社製)、及び15mLの0.9%NaClを加え、35℃で嫌気パック(アネロパック・ケンキ、三菱ガス化学株式会社製)、及び嫌気ジャー(角型ジャー、三菱ガス化学株式会社製)を用いて嫌気発酵した。発酵前、発酵後24時間、発酵後48時間、発酵後72時間、発酵後144時間の乳酸菌の生菌数を実施例88−1と同様に測定し、結果を図12に示した(マーカーが●の折れ線)。発酵物の納豆のプロテアーゼ力価を実施例4と同様の方法で測定し、結果を図12に示した(マーカーが■の折れ線)。
(実施例10:官能試験)
納豆(株式会社豆紀製)を挽肉機(HELTHY MINCER 貝印株式会社製)、及び径4mmのディスクを用いて粗挽きした。500gの粗挽きした納豆と、3gの有胞子乳酸菌 Lactobacillus sporogenas(三菱化学フーズ製)とを混合し、10gのビタミンC(中国 江蘇江山製薬製)、50gの炭酸カルシウム(関東化学株式会社製)、及び蒸留水300mLを加え、48時間35℃で好気発酵した。発酵物を凍結乾燥し、粉末を得た。粉砕粉末のpHは、6.05であり、納豆菌数は、11.3×10個/gであり、乳酸菌数は2.3×10個/gであり、プロテアーゼ力価は乾燥粉末あたり11,400u/gであった。28歳〜72歳の男女6名により、粉末の味、香り、及び色について官能試験を行い、結果を表1に示した。
味、及び香りについては、下記の評価基準により評価した。評価基準の点数が高いほど、好ましい味、及び香りであることを示す。
−−評価基準−−

1:苦味
2:納豆の味
3:酸味、マイルドな味
−−評価基準−−
香り
1:納豆臭
2:納豆臭が少ない、発酵臭
3:納豆臭がしない
(比較例3:官能試験)
納豆(株式会社豆紀製)を挽肉機(HELTHY MINCER 貝印株式会社製)、及び径4mmのディスクを用いて粗挽きし、凍結乾燥した。粉砕粉末のpHは、6.57であり、納豆菌数は、8.3×10個/gであり、プロテアーゼ力価は13,000u/gであった。28歳〜72歳の男女6名により、粉末の味、香り、及び色について官能試験を行い、結果を表1に示した。
味、及び香りについては、実施例10と同様の評価基準により評価した。
図1〜図3の結果から、納豆と乳酸菌とを混合して発酵することにより、大豆と乳酸菌とを混合して発酵した場合と比較して高濃度の乳酸菌の生菌を含有する食品が製造できることが分かった。更に、炭酸カルシウム及びビタミンCを加えて発酵することにより、乳酸菌の生菌数が高くなることが分かった。
図4〜図5の結果から、納豆と酪酸菌とを混合して発酵することにより、納豆の生菌、及び高濃度の酪酸菌の生菌を含有する食品が製造できることが分かった。
図6〜7の結果から、納豆と麹菌とを混合して発酵することにより、納豆の生菌、及び高濃度の麹菌の生菌を含有する食品が製造できることが分かった。
図8〜図10の結果から、納豆と、少なくとも2種類の乳酸菌とを混合して発酵することにより、納豆の生菌、及び高濃度の乳酸菌の生菌を含有する食品が製造できることが分かった。また、ビタミンCを加えて発酵することにより、乳酸菌の比率が増加することが分かった。
図11〜図12の結果から、納豆と、乳酸菌とを混合して嫌気発酵することにより、高いプロテアーゼ活性を有し、納豆の生菌、及び高濃度の乳酸菌の生菌を含有する食品が製造できることが分かった。また、炭酸カルシウムを加えることで、乳酸菌の増殖が長期に維持されることが分かった。
表1の結果から、本発明の食品の製造方法により製造される食品は、好ましい味、及び香りを有することが分かった。
したがって、本発明の、食品の製造方法は、格別顕著な効果を奏するものである。

Claims (4)

  1. 納豆菌含有物と、乳酸菌、及び酪酸菌の少なくともいずれかとを混合し、前記乳酸菌、及び酪酸菌の少なくともいずれかで前記納豆菌含有物を発酵する発酵工程を含み、
    前記発酵工程において、炭酸カルシウム及びビタミンCを添加することを特徴とする食品の製造方法。
  2. 前記乳酸菌が、少なくとも2種類の乳酸菌を含む請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記食品における前記納豆菌、乳酸菌、及び酪酸菌の濃度が、少なくとも以下のいずれかを満たす請求項1から2のいずれかに記載の製造方法;
    前記納豆菌の濃度が、生菌で、1×10個/g以上である、
    前記乳酸菌の濃度が、生菌で、1×10個/g以上である、又は
    前記酪酸菌の濃度が、生菌で、1×10個/g以上である。
  4. 前記食品におけるプロテアーゼ力価が、1,000u/g以上である請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
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