以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
以下では、本発明の本実施の形態に係る電池システムがハイブリッド車に搭載される構成を例に説明する。しかし、本実施の形態に係る電池システムが搭載可能な車両はハイブリッド車に限定されず、電気自動車であってもよいし、燃料自動車であってもよい。また、電池システムの用途は車両用に限定されるものではなく、定置用であってもよい。
[実施の形態]
<車両構成>
図1は、本実施の形態に係る電池システムが搭載されたハイブリッド車の全体構成を概略的に示すブロック図である。車両1は、モータジェネレータ10,20と、動力分割機構30と、駆動軸40と、減速機50と、エンジン60と、車輪70と、電池システム2とを備える。電池システム2は、メインバッテリ110と、サブバッテリ120と、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)200と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)300とを備える。
モータジェネレータ10,20の各々は、たとえば三相交流永久磁石型モータである。モータジェネレータ10は、エンジン60を始動させる際にはメインバッテリ110および/またはサブバッテリ120の電力を用いてエンジン60のクランクシャフトを回転させる。また、モータジェネレータ10は、エンジン60の動力を用いて発電することも可能である。モータジェネレータ10によって発電された交流電力は、PCU200により直流電力に変換されてメインバッテリ110および/またはサブバッテリ120に充電される。また、モータジェネレータ10によって発電された交流電力がモータジェネレータ20に供給される場合もある。
モータジェネレータ20は、メインバッテリ110からの供給電力、サブバッテリ120からの供給電力、およびモータジェネレータ10による発電電力のうちの少なくとも1つを用いて出力軸を回転させる。また、モータジェネレータ20は、回生制動によって発電することも可能である。モータジェネレータ20によって発電された交流電力は、PCU200により直流電力に変換されてメインバッテリ110および/またはサブバッテリ120に充電される。
動力分割機構30は、たとえば図示しない遊星歯車機構を含んで構成され、エンジン60のクランクシャフト、モータジェネレータ10の回転軸、および駆動軸40の三要素を機械的に連結する。動力分割機構30は、上記三要素のうちのいずれか一つを反力要素とすることによって、他の2つの要素間での動力の伝達を可能とする。
減速機50は、動力分割機構30およびモータジェネレータ20のうちの少なくとも一方からの動力を車輪70に伝達する。また、車輪70が受けた路面からの反力は、減速機50を介してモータジェネレータ20に伝達される。これにより、モータジェネレータ20は回生制動時に発電する。
エンジン60は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン60は、ECU300からの制御信号に応じて車両1が走行するための動力を発生する。エンジン60により発生した動力は動力分割機構30に出力される。
PCU200は、メインバッテリ110および/またはサブバッテリ120に蓄えられた直流電力を昇圧し、昇圧された電圧を交流電圧に変換してモータジェネレータ10,20に供給する。また、PCU200は、モータジェネレータ10,20で発電された交流電力を直流電力に変換して、メインバッテリ110および/またはサブバッテリ120に供給する。さらに、PCU00は、メインバッテリ110とサブバッテリ120との間で充放電が可能に構成される。PCU200の詳細な構成については図2にて説明する。
メインバッテリ110およびサブバッテリ120の各々は、再充電が可能に構成された直流電源である。本実施の形態では、メインバッテリ(第1のバッテリ)110は、ニッケル水素電池を含んで構成される。ニッケル水素電池は複数(たとえば数十〜数百)のセル101を含むが、各セル101の構成については図3にて説明する。本実施の形態では、サブバッテリ(第2のバッテリ)120は、電気二重層キャパシタなどのキャパシタを含んで構成される。ただし、サブバッテリ120は、ニッケル水素電池もしくはリチウムイオン二次電池などの二次電池または燃料電池であってもよい。
ECU300は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、入出力バッファと等を含んで構成される。ECU300は、各センサから受ける信号、ならびにメモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両1および電池システム2が所望の状態となるように各機器を制御する。ECU300により実行される主要な処理として、メインバッテリ110に生じたメモリ効果による電圧変化量の推定処理、ならびにメインバッテリ110およびサブバッテリ120の充放電制御が挙げられるが、これらの処理については後述する。
<電池システムの構成>
図2は、車両1に搭載された電池システム2の構成をより詳細に説明するための回路ブロック図である。PCU200は、コンバータ210,220と、インバータ230,240と、コンデンサCと、電圧センサ250とを含む。また、メインバッテリ110とコンバータ210とを結ぶ電力線にはシステムメインリレー(SMR:System Main Relay)400が電気的に接続される。さらに、メインバッテリ110には監視ユニット112が設けられるとともに、サブバッテリ120には監視ユニット122が設けられる。
SMR400は、ECU300からの制御信号に応じて開放または閉成される。これにより、メインバッテリ110とPCU200との間の電気的な接続および遮断が切り替えられる。
監視ユニット112は、メインバッテリ110の電圧Vb1、メインバッテリ110に入出力される電流Ib1、およびメインバッテリ110の温度Tb1を検出し、それらの検出結果をECU300に出力する。同様に、監視ユニット122は、サブバッテリ120の電圧Vb2、サブバッテリ120に入出力される電流Ib2、およびサブバッテリ120の温度Tb2を検出し、それらの検出結果をECU300に出力する。ECU300は、監視ユニット112,122による検出結果に基づいて、メインバッテリ110およびサブバッテリ120の充放電を制御する。
コンバータ210は、たとえばチョッパ方式のコンバータであって、コンデンサC1と、リアクトルL1と、スイッチング素子Q11,Q12と、ダイオードD11,D12とを含む。コンデンサC1は、メインバッテリ110に並列に接続され、メインバッテリ110の電圧Vb1を平滑化する。スイッチング素子Q11,Q12の各々は、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。スイッチング素子Q11,Q12は、コンバータ210とインバータ230とを結ぶ電力線PLと電力線NLとの間に互いに直列に接続される。ダイオードD11,D12は、スイッチング素子Q11,Q12のコレクタ−エミッタ間に逆並列にそれぞれ接続される。リアクトルL1の一方端は、メインバッテリ110の高電位側に接続される。リアクトルL1の他方端は、スイッチング素子Q11とスイッチング素子Q12との中間点(スイッチング素子Q11のエミッタとスイッチング素子Q12のコレクタとの接続点)に接続される。
コンバータ210は、各スイッチング素子Q11,Q12をスイッチング動作させるためのPWM(Pulse Width Modulation)方式の制御信号PWMC1に応じて、メインバッテリ110の電圧Vb1を昇圧して電力線PL,NL間に供給する。また、コンバータ210は、制御信号PWMC1に応じて、電力線PL,NL間の直流電圧を降圧してメインバッテリ110を充電する。
コンバータ220は、コンバータ210と同様に、たとえばチョッパ方式のコンバータであって、電力線PL,NL間にコンバータ210に並列に接続される。コンバータ220の構成は、コンバータ210の構成と基本的に同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。
コンバータ210,220を制御することによって、メインバッテリ110とサブバッテリ120との間の充放電を制御することが可能である。すなわち、メインバッテリ110から放電された電力を用いてサブバッテリ120を充電したり、逆にサブバッテリ120から放電された電力を用いてメインバッテリ110を充電したりすることができる。なお、コンバータ210,220の構成は特に限定されるものではなく、他の公知の構成を採用することもできる。
コンデンサCは、電力線PL,NL間にコンバータ210に並列に接続される。コンデンサCは、コンバータ210,220の一方または両方から供給された直流電圧を平滑化してインバータ230,240に供給する。
電圧センサ250は、コンデンサCの両端の電圧、すなわち電力線PL,NL間の電圧(以下「システム電圧」とも称する)VHを検出し、その検出結果をECU300に出力する。
インバータ230は、システム電圧VHが供給されると、直流電圧を交流電圧に変換してモータジェネレータ10に供給する。これにより、モータジェネレータ10が駆動される。同様に、インバータ240は、システム電圧VHが供給されると、直流電圧を交流電圧に変換してモータジェネレータ20に供給する。これにより、モータジェネレータ20が駆動される。
ECU300は、システム電圧VHの目標値を示す目標システム電圧VHtagを設定し、システム電圧VHが目標システム電圧VHtagに追従するようにコンバータ210,220を制御する。また、ECU300は、インバータ230,240を制御することによってモータジェネレータ10,20を駆動する。なお、図2では、ECU300が1つのユニットとして構成される例を示すが、ECU300を複数のユニットに分割して構成することも可能である。
図3は、メインバッテリ110に含まれるセル101の構成を示す図である。各セル101の構成は共通であるため、図3では1つのセル101のみを代表的に示す。セル101は、たとえば角形密閉式のセルであり、ケース102と、ケース102に設けられた安全弁103と、ケース102内に収容された電極体104および電解液(図示せず)とを含む。なお、図3ではケース102の一部を透視して電極体104を示す。
ケース102は、いずれも金属からなるケース本体および蓋体を含み、蓋体がケース本の開口部上で全周溶接されることにより密閉される。安全弁103は、ケース102内部の圧力が所定値を超えると、ケース102内部のガス(水素ガス等)の一部を外部に排出する。電極体104は、正極板と、負極板と、セパレータとを含む。正極板は袋状のセパレータ内に挿入されており、セパレータ内に挿入された正極板と、負極板とが交互に積層されている。正極板および負極板は、図示しない正極端子および負極端子にそれぞれ電気的に接続される。
電極体104および電解液の材料としては従来公知の各種材料を用いることができる。本実施の形態においては、一例として、正極板には、水酸化ニッケル(Ni(OH)2またはNiOOH)を含む正極活物質層と、発泡ニッケルなどの活物質支持体とを含む電極板が用いられる。負極板には、水素吸蔵合金を含む電極板が用いられる。セパレータには、親水化処理された合成繊維からなる不織布が用いられる。電解液には、水酸化カリウム(KOH)または水酸化ナトリウム(NaOH)を含むアルカリ水溶液が用いられる。
<メインバッテリのメモリ効果>
以上のように構成された電池システム2において、メインバッテリ110のメモリ効果による電圧変化量(電圧降下量または電圧上昇量)を示す「メモリ量」を高精度に推定することが求められる。
本発明者は、後述する3種類の実験結果から、メモリ量の大きさを定める主要因として、メインバッテリ110の電圧Vb1(より詳細には開放電圧)および温度Tb1に関する条件に着目した。以下では、メインバッテリ110の開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)と温度Tb1との組合せを含んで定義される条件をメインバッテリ110の「使用条件」とも称する。さらに、本発明者は、ある期間中に生じたメモリ量を推定する際には、その期間以前のメインバッテリ110の「使用条件」については考慮しなくてよいことに着目した(後述)。
これらの知見に基づいて、本実施の形態においては、所定期間中に生じたメモリ量を逐次積算することによって、その積算値である総量としてのメモリ量(以下「積算メモリ量」とも称する)を推定する。このような手法を採用することにより、実験結果またはシミュレーション結果を用いて所定期間中のメモリ量を高精度に推定することができれば、その積算メモリ量についても高精度に推定することが可能になるためである。以下、この手法について詳細に説明する。
図4は、本発明者が実施した3種類の実験結果を説明するための図である。図4(A)に示すように、3種類の実験とは、メインバッテリ110の定電圧試験、放置試験およびサイクル試験である。
定電圧試験とは、所定期間(図4に示す例では数日間)、図示しない外部電源を用いてメインバッテリ110外部からメインバッテリ110に電圧を印加することによってメインバッテリ110の電圧Vb1を一定に保持する試験である。放置試験とは、外部電源による電圧印加を行なうことなく所定期間、メインバッテリ110を放置する試験である。放置試験ではメインバッテリ110の自己放電によるSOC低下の影響が現れるのに対し、定電圧試験では自己放電によるSOC低下の影響が現れない。したがって、これらの試験結果を比較することによって、メインバッテリ110の自己放電がメモリ量に与える影響の大きさを求めることができる。
サイクル試験とは、所定期間、所定のSOC幅でメインバッテリ110の充放電を繰り返し行なう試験である。充放電電流の大きさが互いに異なる複数のサイクル試験の結果を比較することによって、充放電電流がメモリ量に与える影響の大きさを求めることができる。
メインバッテリ110の温度Tb1がT1(室温)の場合と、温度Tb1がT1よりも高いT2(高温)の場合とで、いずれも等しい期間(上記所定期間)に亘って3種類の試験を実施した結果を図4(B)に示す。白い正方形のマーカは温度T1における定電圧試験結果を示し、白い円形のマーカは温度T1における放置試験結果を示し、白い菱形のマーカは温度T1におけるサイクル試験結果を示す。黒い正方形のマーカは温度T2における定電圧試験結果を示し、黒い円形のマーカは温度T2における放置試験結果を示し、黒い菱形のマーカは温度T2におけるサイクル試験結果を示す。
図4(B)において、横軸はメインバッテリ110(あるいは各セル101)のOCVを表し、縦軸はメモリ量(ここでは放電時の電圧低下量)Mを表す。図4(B)に示すように、OCVが所定範囲内の場合にメモリ量Mが特に大きい。また、メインバッテリ110の温度Tb1が高いほどメモリ量Mが大きくなる。これらの結果から、メインバッテリ110のOCVと温度Tb1との組合せにより定義される使用条件(OCV,Tb1)に応じて、所定期間中に生じたメモリ量が定まることが分かる。
その一方で、各温度T1,T2において、定電圧試験結果(正方形のマーカ参照)と放置試験結果(円形のマーカ参照)とは互いに近い箇所にプロットされる。このことから、メインバッテリ110の自己放電がメモリ量に与える影響が相対的に小さいことが分かる。さらに、サイクル試験結果(菱形マーカ参照)も他の2つの試験結果(正方形および円形のマーカ参照)に近い箇所にプロットされる。このことから、メインバッテリ110の充放電電流についてもメモリ量に与える影響が比較的小さいことが分かる。
なお、OCVとSOCとの間には相関関係が存在するので、OCVに代えてSOCを横軸に用いた場合でも図3(B)と同様の結果が得られる。また、図3では放電側のメモリ効果について代表的に説明したが、電圧変化量の符号が異なるものの、充電側のメモリ効果についても使用条件(OCV,Tb)によってメモリ量を定義することができる。
図4に一例を示した実験を様々な使用条件(OCV,Tb1)下で行なうことによって、メインバッテリ110の使用開始時からの時間の経過とともに生じるメモリ量を使用条件(OCV,Tb1)に応じて推定することが可能になる。
図5は、各使用条件下での経過時間とメモリ量との対応関係を示すタイムチャートである。図5において、横軸はメインバッテリ110の使用開始時からの経過時間を表し、縦軸はメモリ量を表す。なお、メインバッテリ110の使用開始時(経過時間の初期値)は、メインバッテリ110の製造時であってもよいし、メインバッテリ110のリフレッシュ充放電時であってもよい。
上述の実験を使用条件毎に実施することにより、図5に示すように、時間経過に伴うメモリ量の増加を示す曲線を使用条件毎に取得することができる。なお、図5および後述する図6では、理解を容易にするため、3種類の使用条件P〜Rにそれぞれ対応する曲線CP〜CRが取得される例について説明するが、実際にはより多くの使用条件について同様の曲線が取得される。
<積算メモリ量推定処理>
使用条件P〜R下で生じたメモリ量を曲線CP〜CRを参照することでそれぞれ算出し、算出されたメモリ量を積算する処理を繰り返し実行することによって「積算メモリ量」を推定することができる。この処理を「積算メモリ量推定処理」とも称し、以下に詳細に説明する。
図6は、本実施の形態における積算メモリ量推定処理を説明するためのタイムチャートである。図6(A)において、横軸はメインバッテリ110の使用開始時からの経過時間を表し、縦軸は使用条件を表す。図6(A)では、所定期間Δt毎に使用条件が判定され、使用条件がP,Q,Rの順に変化する場合について説明する。使用条件P,Q,R下での期間をLP,LQ,LRでそれぞれ示す。
図6(B)において、横軸はメインバッテリ110の使用開始時からの経過時間を表し、縦軸はメモリ量を表す。まず、使用条件P下では、曲線CPを参照して所定期間Δt毎にメモリ量Mを逐次積算する。その結果、使用条件P下で期間LPが経過する間に生じたメモリ量はMPになる。メモリ量Mの積算結果を「積算メモリ量ΣM」と記載すると、期間LPが経過したときの積算メモリ量ΣMはMPである。
次に、使用条件がPからQへと変化すると、積算メモリ量ΣM=MPに対応する曲線CQ(図5に示した曲線CQを時間軸方向にLPだけ平行移動した曲線)上の点から曲線CQを参照して、所定期間Δt毎にメモリ量Mを逐次積算する。使用条件Q下で期間LQが経過する間に生じたメモリ量がMQである場合、期間LQが経過したときの積算メモリ量ΣMは、MPとMQとの和(MP+MQ)である。
さらに、使用条件がQからRへと変化すると、積算メモリ量ΣM=(MP+MQ)に対応する曲線CR(図5に示した曲線CRを時間軸方向に(LP+LQ)だけ平行移動した曲線)上の点から曲線CRを参照して、所定期間Δt毎にメモリ量Mを逐次積算する。使用条件R下で期間LRが経過する間に生じたメモリ量がMRである場合、全期間(LP+LQ+LRの期間)に生じた積算メモリ量ΣMは、MPとMQとMRとの和(MP+MQ+MR)である。
このように、本実施の形態では、使用条件の変化に伴い異なる曲線へと移行して積算メモリ量ΣMを算出する際に、移行前の曲線に従って算出された積算メモリ量ΣMの引き継ぎが可能であることを前提としている。すなわち、ある曲線に従って積算メモリ量ΣMが所定値に達した場合と、他の曲線に従って積算メモリ量ΣMと上記所定値に達した場合とでは、メモリ効果に影響を与えるメインバッテリ110の状態(主に正極活物質層の状態)が互いに等しいとの電気化学的知見を前提としている。
以上のように、本実施の形態では、所定期間Δt毎に使用条件P〜Rに応じたメモリ量Mを算出し、算出されたメモリ量Mを遂次積算する処理を繰り返し実行することによって、全期間にわたって生じた積算メモリ量ΣMを算出することができる。
上記の内容は漸化式を用いて説明することができる。すなわち、下記式(1)に示すように、N回目の積算処理での積算メモリ量ΣM(N)は、(N−1)回目の積算処理までの積算メモリ量ΣM(N−1)に、(N−1)回目の積算処理時からN回目の積算処理時までの間(所定期間Δtの間)の使用条件に応じたメモリ量M(N)を加算することによって算出することができる。なお、Nは自然数である。
ΣM(N)=ΣM(N−1)+M(N) ・・・(1)
<積算メモリ量推定処理フロー>
図7は、本実施の形態における積算メモリ量推定処理を示すフローチャートである。図7ならびに後述する図8、図9および図11に示すフローチャートは、所定周期毎または所定条件が成立する度にメインルーチン(図示せず)から呼び出されて実行される。これらのフローチャートに含まれる各ステップ(以下「S」と略す)は、基本的にはECU300によるソフトウェア処理によって実現されるが、その一部または全部がECU300内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
図7に示すフローチャートの処理が繰り返し実行されることにより、積算メモリ量ΣMが順次更新される。このフローチャートはN回目の積算処理を示し、(N−1)回目(前回)の積算処理時までの積算メモリ量ΣM(N−1)がメモリに記憶されている。
S110において、ECU300は、(N−1)回目の積算処理時までの積算メモリ量ΣM(N−1)をメモリから読み出す。
S120において、ECU300は、監視ユニット112を用いてメインバッテリ110の電圧Vb1(N)および電流Ib1(N)を取得し、電圧Vb1(N)から充放電電流による電圧降下量(=Ib1(N)×R)を減算してOCV(N)を算出する。なお、メインバッテリ110の内部抵抗をRで示す。
S130において、ECU300は、監視ユニット112を用いてメインバッテリ110の温度Tb1(N)を取得する。これにより、マップMP1において参照すべき使用条件(OCV(N)と温度Tb1(N)との組合せ)が決定される。
S140において、ECU300は、所定期間Δtが経過するまで待機する。メモリ量Mを適切に算出するためには、所定期間Δtだけ待機している間に使用条件の区分が変化しないことが求められる。よって、所定期間Δtは、待機中に使用条件の区分が変化しない時間に定めることが好ましい。
S150において、ECU300は、メモリに記憶されたマップMP1から使用条件(OCV(N),Tb1(N))に対応する曲線を参照して、所定期間Δtに生じたメモリ量M(N)を算出する。この処理については図6(B)にて詳細に説明したため、説明は繰り返さない。
S160において、ECU300は、S110にて読み出した(N−1)回目の積算処理までの積算メモリ量ΣM(N−1)にS150にて算出されたメモリ量M(N)を加算することによって、N回目の積算処理までの積算メモリ量ΣM(N)を算出する(上記式(1)参照)。なお、車両1の出荷時には積算メモリ量の初期値ΣM(0)が、たとえば0に設定される。また、メインバッテリ110のリフレッシュ充放電の実行後にも積算メモリ量の初期値ΣM(0)を0に設定してもよい。
S170において、ECU300は、図7に示すフローチャートが次回呼び出された場合に備えて、S160にて算出された積算メモリ量ΣM(N)をメモリに記憶する。
以上のように、本発明者らの実験結果に基づいて予め準備されたマップMP1内の曲線(CP〜CR等)を用いて、所定期間Δt毎に生じたメモリ量Mがメインバッテリ110の使用条件(OCVおよび温度Tb1)に応じて算出される。使用条件に上記パラメータを採用することにより、所定期間Δt毎のメモリ量Mを高精度に推定することができる。さらに、上記曲線間で積算メモリ量ΣMを引き継ぐことが可能であるとの電気化学的知見の下、高精度に算出されたメモリ量Mを逐次積算することによって積算メモリ量ΣMが算出される。これにより、積算メモリ量ΣMについても高精度に推定することができる。
なお、図7では「所定期間」Δt毎にメモリ量Mを推定する処理を例に説明したが、一定周期でメモリ量Mを推定することは必須ではない。所定期間Δtの長さは、たとえばメインバッテリ110の使用条件またはECU300の演算負荷の状況等に応じた可変値としてもよい。あるいは、メインバッテリ110の使用条件を監視し、使用条件が変化したことをトリガとして(言い換えれば曲線CP〜CR間を移行すべきことをトリガとして)メモリ量Mを推定するようにしてもよい。この場合には、使用条件がある条件から他の条件へと変化するまでの期間(図6(B)における期間LP,LQ,LR)が「所定期間」に相当する。これにより、メモリ量Mの推定回数を低減してECU300の演算負荷を低減することができる。
上述の積算メモリ量推定処理をメインバッテリ110の充電側について実行することにより、充電側の積算メモリ量(以下「充電メモリ量」とも称する)ΣMchgを算出することができる。また、積算メモリ量推定処理をメインバッテリ110の放電側について実行することにより、放電側の積算メモリ量(以下「放電メモリ量」とも称する)ΣMdchを算出することができる。
ここで、メインバッテリ110の充電メモリ量ΣMchgが所定値よりも大きい場合には、メインバッテリ110のリフレッシュ充電を行なうことが望ましい。しかし、仮にサブバッテリ120が設けられていないときには、車両1の使用状況によってはメインバッテリ110の所望の充電を行なうことができない可能性が考えられる。たとえばメインバッテリ110に蓄えられた電力を電池システム2外部(モータジェネレータ10,20)に供給している場合には、メインバッテリ110を充電することができない。詳細な説明は繰り返さないが、メインバッテリ110の放電メモリ量ΣMdchおよびリフレッシュ放電についても同様である。
そこで、本実施の形態においては、メインバッテリ110に加えてサブバッテリ120を設け、メインバッテリ110とサブバッテリ120との間での充放電をコンバータ220を用いて制御可能な構成を採用する。これにより、たとえば、サブバッテリ120に蓄えられた電力をモータジェネレータ10,20に供給しつつメインバッテリ110に充電することが可能である。あるいは、モータジェネレータ10,20により発電された電力をサブバッテリ120に充電しつつ、メインバッテリ110に蓄えられた電力についてもサブバッテリ120に放電することが可能である。したがって、車両1の使用状況にかかわらず、メインバッテリ110のリフレッシュ充放電をより確実に実行することができる。以下、本実施の形態における電池システム2の充放電制御について詳細に説明する。
以下では、メインバッテリ110の充電メモリ量ΣMchgを算出し、その算出結果に応じてメインバッテリ110のリフレッシュ充電を実行する際の処理について代表的に説明する。
図8は、本実施の形態におけるメインバッテリ110のリフレッシュ充電制御を示すフローチャートである。S100において、EU300は、上述の積算メモリ量推定処理を実行することによってメインバッテリ110の充電メモリ量ΣMchgを算出する。
S20において、ECU300は、充電メモリ量ΣMchgが所定値よりも大きいか否かを判定する。充電メモリ量ΣMchgが所定値以下の場合(S20においてNO)には、ECU300は、メインバッテリ110に生じた充電側のメモリ効果は依然として小さいとして、メインバッテリ110のリフレッシュ充電を実行することなく処理をメインルーチンへと戻す。
これに対し、充電メモリ量ΣMchgが所定値よりも大きい場合(S20においてYES)、ECU300は、メインバッテリ110に生じた充電側のメモリ効果が比較的大きくメモリ効果を解消することが望ましいとして処理をS30に進め、メインバッテリ110のリフレッシュ充電を実行する。より具体的には、ECU300は、コンバータ220を制御することによって、サブバッテリ120に蓄えられた電力をメインバッテリ110に供給させる。これにより、メインバッテリ110のリフレッシュ充電が実現される。なお、サブバッテリ120に蓄えられた電力に加えて、モータジェネレータ10,20により発電された電力をインバータ230,240およびコンバータ210を介してメインバッテリ110に供給させてもよい。
S40において、ECU300は、コンバータ220を制御することによって、メインバッテリ110に蓄えられた電力を介してサブバッテリ120に供給させ、それによりメインバッテリ110のSOCを通常使用される範囲(以下「使用範囲」とも称する)内の値(たとえばSOC中心)へと戻す。これにより一連の処理が終了し、ECU300は処理をメインルーチンへと戻す。なお、メインバッテリ110に蓄えられた電力については、コンバータ210およびインバータ230,240を制御してモータジェネレータ10,20に供給してもよい。
図9は、本実施の形態におけるメインバッテリ110のリフレッシュ放電制御を示すフローチャートである。この制御は、メインバッテリ110の充放電の方向が異なるものの、基本的には図8に示した制御と同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。
以上のように、本実施の形態によれば、メインバッテリ110とサブバッテリ120との間の充放電がコンバータ220の制御により実行可能である。したがって、車両1(あるいはメインバッテリ110)の使用状況にかかわらず、メインバッテリ110のリフレッシュ充電を所望のタイミングで(すなわち適時に)より確実に実行することができる。メインバッテリ110のリフレッシュ放電についても同様に適時に実行することができる。
メインバッテリ110に生じたメモリ効果を速やかに解消するためには、許容範囲内のうちできるだけ大きな電流によりメインバッテリ110のリフレッシュ充放電を実行することが望ましい。リチウムイオン電池をサブバッテリ120として用いる場合に大電流で充電を行うと、サブバッテリ120の劣化(いわゆるハイレート劣化)が進行してしまう可能性がある。本実施の形態ではキャパシタ(より詳細には電気二重層キャパシタ)がサブバッテリ120として用いられるので、大電流での充放電を行なったとしてもサブバッテリ120の劣化を抑制しつつ、メインバッテリ110に生じたメモリ効果を速やかに解消することができる。
[変形例]
サブバッテリ120の容量が過度に小さい場合には、サブバッテリ120の容量が十分に大きい場合と比べて、サブバッテリ120のSOCが使用範囲の上限値または下限値に達してしまったり、サブバッテリ120の電圧が許容範囲の上限値または下限値に達してしまったりしやすい。したがって、サブバッテリ120の保護が必要となり、所望のタイミングでメインバッテリ110のリフレッシュ充放電を実行(未実行の場合には開始、実行中の場合には継続)することができない可能性がある。本実施の形態の変形例では、たとえサブバッテリ120の容量が小さい場合であっても、より確実にメインバッテリ110のリフレッシュ充放電を実行するための制御について説明する。
図10は、本実施の形態の変形例におけるサブバッテリ120の充放電制御を説明するためのタイムチャートである。図10において、横軸は経過時間を示す。縦軸は、上から順にサブバッテリ120のSOCおよびサブバッテリ120に入出力される電流Ib2を示す。
時刻t1よりも前には、サブバッテリ120のSOCは所定のしきい値SOCthよりも高い。その後、たとえば車両1の走行に伴いサブバッテリ120が放電され、サブバッテリ120のSOCが徐々に低下する。
時刻t1においてサブバッテリ120のSOCがしきい値SOCthを下回ると、サブバッテリ120のSOCを調整(図10では回復)するためにサブバッテリ120が充電される。この充電電力としては、メインバッテリ110に蓄えられた電力を供給してもよいし、モータジェネレータ10、20により発電された電力を供給してもよい。サブバッテリ120が充電されることにより、サブバッテリ120のSOCは所定値SOCrdyに達する(時刻t2参照)。
その後、時刻t3においてメインバッテリ110のリフレッシュ充電が開始されると、サブバッテリ120に蓄えられた電力がコンバータ220を介してメインバッテリ110へと供給される。このとき、サブバッテリ120には十分な電力が蓄えられているので、メインバッテリ110のリフレッシュ充電を確実に実行することができる。
図11は、本実施の形態の変形例におけるサブバッテリ120の充放電制御を示すフローチャートである。S210において、ECU300は、公知の手法を用いてサブバッテリ120のSOCを算出する。
S220において、ECU300は、サブバッテリ120のSOCがしきい値SOCth未満であるか否かを判定する。サブバッテリ120のSOCがしきい値SOCth以上の場合(S220においてNO)には、ECU300は、以降の処理をスキップして処理をメインルーチンへと戻す。
一方、サブバッテリ120のSOCがしきい値SOCth未満の場合(S220においてYES)、ECU300は、コンバータ220を制御することによって、上記SOCが所定値SOCrdyに達するまでサブバッテリ120を充電する(図10における時刻t1〜時刻t2の期間参照)。
以上のように、本実施の形態の変形例によれば、メインバッテリ110のリフレッシュ充電に先立ち、サブバッテリ120を充電してサブバッテリ120のSOCを予め高めておくことにより、メインバッテリ110のリフレッシュ充電中にサブバッテリ120の電力が枯渇することを防止できる。したがって、メインバッテリ110のリフレッシュ充電をより確実に実行することができる。
なお、メインバッテリ110のリフレッシュ充電を実行するためにサブバッテリ120を予め充電する例について説明したが、メインバッテリ110のリフレッシュ放電を実行するためにサブバッテリ120を予め放電することもできる。また、図10および図11では、予め充放電を実行するか否かを判定するためのパラメータとしてサブバッテリ120のSOCを用いる例について説明したが、SOCに代えてサブバッテリ120の電圧Vb2から分極の相当分を差し引いたOCVを用いても同様の制御が可能である。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。