本発明は装置全体の大きさを小さくコンパクトにして、設置スペースの限られた狭い場所にも設置を可能にする引き込み装置を提供するという目的を達成するために、前後方向にスライド移動可能な被移動体を閉じ方向にスライド移動させるための引き込み装置であって、前記被移動体のスライド移動方向に沿って前記被移動体と並行に配設されたケースと、前記ケースに設けられ、前記スライド移動方向に沿って直線状に形成された直線状溝と前記直線状溝の引き出し側終端部から連続して下方に向かって形成された落とし込みロック溝とを有するガイド孔と、前記ガイド孔に各々係合された前側ガイドローラ及び後側ガイドローラと前記スライド移動方向に沿って下面側に形成されたラックと上面側に形成されたフック及びラッチとを有して、前記前後のガイドローラと前記直線状溝との係合により前記スライド移動可能であるとともに、前記前側ガイドローラが前記落とし込み溝と対応する位置にスライド移動すると前記ケースに対して下方へ回動されて前記前側ガイドローラが前記落とし込み溝内に係合ロック可能なスライダーと、前記ラックと噛合して前記スライダーと並設されたピニオンと、前記フックと前記ラッチとの間に配置されて前記被移動体と一体に移動する制御ピンと、前記ピニオンの枢軸上に配設されているとともに、前記被移動体が引き出される方向に前記ラックが移動する動作と連動する前記ピニオンの回転によりバネチャージされ、前記スライダーの前記係合ロック解除により、前記バネチャージされた蓄積力を放出して前記被移動体を前記スライダーと共に引き込み方向に移動させる引き込み力を付与するゼンマイバネを有した引き込み手段と、を備える構成としたことにより実現した。
以下、本発明を実施するための形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、実施形態における各実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。また、以下の説明では、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明の引き込み装置の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
図1及び図2は本発明の第1実施例に係る引き込み装置10を適用した電子複写機の一例を示し、図1は電子複写機1における背面カバーの一部を取り外して示す全体斜視図、図2は電子複写機1における引き込み装置10の周辺部分の拡大斜視図である。
図1において、電子複写機1は、記録紙(図示せず)をセットする被移動体としての記録紙トレー2(以下、単に「トレー2」という)が4段用意されている。そのトレー2は、1段の場合もあり、また2段以上の場合はオプションとして別途用意される場合が多い。
各トレー2は、複写機本体3の右側面3aから抜き差し可能に配設されている。トレー2に記録紙をセットする場合は、図1に示す矢印A方向(以下、「引き出し方向A」という)にトレー2をスライド移動させて、トレー2が止まるところまで大きく引き出し、その引き出した位置(図1に1点鎖線で示す位置)でトレー2に記録紙を補給する。なお、トレー2は、複写機本体3から引き抜いて完全に取り外した状態で記録紙を補給する場合もある。また、記録紙の補給を終えたトレー2は、同じく図1に示す矢印A方向と反対の矢印B方向(以下、「引き込み方向B」という)にスライド移動させて押し込み、所定の給紙位置(図1に実線で示す位置)に配置される。
なお、本実施例における電子複写機1では、各トレー2と対応する位置に、本発明に係る引き込み装置10が各々設けられている。そして、記録紙の補給を終えたトレー2は、引き込み方向Bへ向かって複写機本体3内に所定の位置まで押し込まれると、その後は、引き込み装置10により自動的に最終の給紙位置(図1に実線で示す位置)まで移動されて、その給紙位置に配置されるようになっている。
引き込み装置10は、図1及び図2中に矢印A−Bで示すスライド移動方向Mにトレー2と一体に移動する制御ピン4を介して、トレー2と離脱可能に接続されている。その制御ピン4は、トレー2の側面2aに固定して取り付けられている。一方、引き込み装置10は、複写機本体2の図示しないカバーの内面に固定して取り付けられている。図1及び図2では、その引き込み装置10を取り付けた側面カバーを取り外した状態で示している。
図3から図9は第1実施例の引き込み装置10をそれぞれ単体で示す。そこで、以下、引き込み装置10の構造を図3から図9を用いて、また必要に応じて図1及び図2を参照して説明する。
図1から図9において引き込み装置10は、ケース11と、スライダー12と、ピニオン(小歯車)13と、ゼンマイバネ14と、回転ダンパー15と、アイドル歯車16等を備えて、ユニット化された状態で、1個の部品として取り扱われる。
ケース11は、上下の面と一側面が開口されたケース本体部11Aと、そのケース本体部11Aの開口された一側面を塞いで、ケース本体部11Aにビス止め(図示せず)して取り付けられるケースカバー11Bと、を有して概略六面体の箱状に構成されている。そのケース11は、前後の側面11a、11bをそれぞれ、図1及び図2中に矢印A−Bで示すスライド移動方向Mに向け、トレー2と並行な状態にして複写機本体3に取り付けられる。なお、ケース11の複写機本体3への取り付けは、引き込み装置10がユニット化された後である。
ケース11の左右の側面11c、11d(側面11dはケースカバー11Bが兼ねる)の上部には、トレー2のスライド移動方向Mに沿って設けられたガイド孔17が、左右対称形にして設けられている。そのガイド孔17は、スライド移動方向Mに沿って、すなわち、後側(引き込み方向B側)から前側(引き出し方向A側)に向かって直線状に形成されている直線状溝17aと、直線状溝17aの引き出し側終端部から連続して下方へ直角に向きを変えて形成されている落とし込みロック溝17bとを有している。
また、ケース本体11Aの内側面、すなわち側面11cの内面には、ゼンマイバネ14とピニオン13を取り付ける取付ピン18と、アイドル歯車16を回転可能に取り付ける取付ピン20の他に、ケース本体11Aとケースカバー11Bとを固定するためのネジ穴22を有する取付ピン21が一体に設けられている。さらに、ケース本体11Aには、ケースカバー11Bを固定して取り付けるためのネジ穴22が、取付ピン21以外に複数箇所に設けられている。なお、上述した回転ダンパー15は、ケース本体11Aの側面11cに固定して取り付けられており、また回転ダンパー15の回転軸19には、歯車15aが一体回転するようにして取り付けられている。
図2及び図3に示すように、ケースカバー11Bには、ピニオン13及びゼンマイバネ14に対応して、大径の窓孔23が形成されている。また、ケースカバー11Bには、ケース本体11Aの側面11d側にケースカバー11Bを取り付けた時に、回転ダンパー15の回転軸19の先端部が回転可能に挿入係合される取付孔24と、取付ピン20の先端部が挿入係合される取付孔25が設けられている他に、ネジ穴22と対応する取付孔26が設けられている。
スライダー12は、トレーのスライド移動方向Mに沿って細長く延びる部材であり、左右両側面12a、12aには、前後に分かれて前側ガイドローラ27aと後側ガイドローラ27bが各々形成されている。これら各左右1対の前側ガイドローラ27a及び後側ガイドローラ27bはそれぞれ、ケース本体11A側のガイド孔17内とケースカバー11B側のガイド孔17内にスライド移動可能に配置されている。そして、スライダー12は、ガイド孔17に対する前側ガイドローラ27a及び後側ガイドローラ27bのスライド移動により、ケース11に対してスライド移動方向Mへ往復移動可能になっている。
スライダー12の下面には、複数の歯を直線状に並べて設けたラック28が形成されている。また、スライダー12の上面側には、フック29及びラッチ30が、制御ピン4の外径寸法よりも多少大きな間隔を持って、互いに前後(スライド移動方向M)に離れて設けられている。より具体的には、ラッチ30が引き出し方向A側に設けられ、フック29が引き込み方向B側に設けられている。そして、フック29とラッチ30との間には、制御ピン4が落ち込み係合可能になっている。
フック29は、ラッチ30と対向している面(引き出し方向A側の面)が略直角な係止面29aで形成されており、係止面29aと反対の引き込み方向B側の背面形状が前記引き込み方向Bに向かって下る斜面29bとして形成されている。
ラッチ30の下側には隙間31が設けられており、隙間31を利用して上下方向に弾性揺動可能になっている。より具体的には、ラッチ30は、片持ち状の板状片で形成されており、一端(固定端)側はスライダー12の引き出し方向A側の端部12bに連結され、自由端側は引き込み方向B側に向かって登る(引き出し方向A側に向かって下る)傾斜面30aを設けてフック29側に向かい、その後、下方に隙間31内に向かって垂下された状態にして形成されており、フック29の係止面29aと平行に対向している面を係止面30bとしている。そして、ラッチ30は弾性変形可能で、上方から下方に向かって大きな力を受けると、端部12b側を支点として係止面30b側が隙間31内側に弾性変形されてケース11の上面11eに対するラッチ30の高さを一時的に低くし、また、前記大きな力が取り除かれると、元の高さ位置まで弾性復帰するようになっている。
このように構成されたスライダー12は、前側ガイドローラ27aと後側ガイドローラ27bが共に、直線状溝17a内に配置されている時には、フック29及びラッチ30がケース11の上面11eから突出した状態で保持されている。また、スライダー12が引き出し方向Aに移動されて、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17bと対応する位置に配置されると、スライダー12は後側ガイドローラ27bを支点として下方に向かって回動し、前側ガイドローラ27a側が落とし込みロック溝17b内に落ち込んで係合ロックされるように設定されている。そして、前側ガイドローラ27a側が落とし込みロック溝17b内に落ち込んで係合ロックされると、ラッチ30も一緒に沈んでケース11の上面11e内に隠れ、フック29だけが上面11eから突出した状態で保持される設定になっている。
ピニオン13は、その内部に引き込み手段の駆動源となるゼンマイバネ14を収納する平面視概略円形の空間32を有し、その空間32内に前記ゼンマイバネ14を収納し、取付ピン18を枢軸として、ゼンマイバネ14と共に一体化(ユニット化)した状態にして配設されている。なお、引き込み手段は、ラック29、ピニオン13、ゼンマイバネ14等により構成される。そのピニオン13は、スライダー12と並設されて、ラック28と噛合されている。一方、ゼンマイバネ14は、バネ板材を複数回連続して円形に巻き、そのゼンマイバネ14の一端、つまり巻回内側端部14aを、取付ピン18の端面に形成されているすり割り溝18a内に挿入係止させ、ゼンマイバネ14の他端、つまり巻回外側端部14bをピニオン13の空間32内に開口させて、そのピニオン13に形成されているスリット13a内に挿入係止させた状態にしてピニオン13及び取付ピン18に取り付けられている。そして、ゼンマイバネ14は、スライダー12が引き出し方向Aにスライド移動されて、そのスライダー12の歯と噛合しているピニオン13が、図4中の反時計回り方向に回転されるとバネチャージされる。また、反対に、落とし込みロック溝17Bと前側ガイドローラ27Aとの係合ロックが外れた自由の状態では、ゼンマイバネ14のバネチャージ力でピニオン13が図4中の時計回り方向に回転されるとともに、ピニオン13とラック28と噛合しているスライダー12が引き込み方向Bにスライド移動されるようになっている。
回転ダンパー15は、例えば無限角のオイルダンパーであり、定速回転する機能を有する。
アイドル歯車16は、取付ピン20に回転可能に取り付けられた歯車である。アイドル歯車16は、ピニオン13と回転ダンパー15の歯車15aに、共通に噛合されている。アイドル歯車16は、ピニオン13の幅がケース11の全幅を使い、回転ダンパー15の歯車15aの幅が半分以下であるような場合、それ以外は回転ダンパー15のスペースとなる。そこで、ピニオン13と回転ダンパー15との間にアイドル歯車16を設けて、ピニオン13と回転ダンパー15の歯車15aとの間を噛合させることにより回転ダンパー15の配置スペースを確保することができる。
このようにケース11と、スライダー12と、ピニオン(小歯車)13と、ゼンマイバネ14と、回転ダンパー15と、アイドル歯車16等で構成された引き込み装置10は、そのケース11内に、スライダー12と、ピニオン13と、ゼンマイバネ14と、回転ダンパー15と、アイドル歯車16とを収納して、ユニット化された状態において、フック29とラッチ30との間にトレー2側の制御ピン4と対応させて複写機本体2の図示しないカバーの内面に固定して取り付けられる。すなわち、引き込み装置10とトレー2側の制御ピン4は、トレー2が図1中に実線で示す最終の給紙位置に配置されている時、スライダー12も図5に示すように最終の給紙位置に配置され、制御ピン4がフック29の係止面29aとラッチ30の係止面30bとの間に係合配置された状態で、保持されるように設定されている。
図5から図8はトレー2の操作に連動する引き込み装置10の動作状態を示す図である。次に、引き込み装置10の動作を説明する。
まず、トレー2が最終の給紙位置に配置されている図5の状態から、トレー2内に用紙を補給するのに、トレー2を引き出し方向Aに引き出すと、トレー2と共に移動される制御ピン4がラッチ30の係止面30bと当接し、スライダー12を引き連れて引き出し方向A側に移動する。また、スライダー12の引き出し方向Aへの移動によりピニオン13が反時計回り方向に回転し、このピニオン13の回転に伴ってゼンマイバネ14が徐々にバネチャージされる。
また、図6に示すように、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17bと対応する位置まで引き出されると、スライダー12には、このスライダー12を引き出そうとする力の向きが、直線状溝17a及び落とし込みロック溝17bに沿って下方へ向かって働く。そして、その力の作用によりスライダー12は、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17b内に落ち込むように、後側ガイドローラ27bを支点として反時計回り方向(下方向)に回転する。これにより、図7に示すように、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17b内に落ち込んで係合ロックされるとともに、ラッチ30がケース11の上面11eよりも下側、すなわちケース11内側に沈み込む。これにより、ラッチ30と制御ピン4との係合が外れる。また、スライダー12は、その引き出し位置で係合ロックされるが、トレイ2はラッチ30と制御ピン4との係合が外れることにより、トレー2を引き出し方向Aにトレー2が止まるところまで大きく引き出すことができる。そして、その引き出した位置でトレー2に記録紙を補給することができる。なお、トレー2は、複写機本体3から引き抜いて完全に取り外した状態で記録紙を補給する場合もある。また、この状態では、ゼンマイバネ14のチャージ力は、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17b内に落ち込んで係合ロックしているので、スライダー12は引き込み方向Bには戻らない。したがって、ゼンマイバネ14のチャージ力は、バネチャージされたままの状態で保持される。
また、記録紙の補給を終えたら前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17b内から抜け出すように、トレー2の引き出し側を持ち上げ、そして図7中の引き込み方向Bにスライド移動させて押し込む。トレー2が所定の位置まで押し込まれると、制御ピン4がフック29の係止面29aに当接する。また、当接面29aが押されることにより、スライダー12が後側ガイドローラ27bを支点にして時計回り方向に回転され、図8に示すように、前側ガイドローラ27aと落とし込みロック溝17bとの係合が外れる。同時に、制御ピン4がフック29の係止面29aとラッチ30の係止面30bとの間に係合される。
そして、前側ガイドローラ27aと落とし込みロック溝17bとの係合が外れると、バネチャージされていたゼンマイバネ14のバネ力がピニオン13を介してスライダー12側に付与され、スライダー12は引き込み方向Bに、制御ピン4及びトレー2を引き連れてスライド移動をする。トレー2が所定の給紙位置(図1に実線で示す位置)に配置されると、スライダー12も図9に示す給紙位置に到達して停止する。また、スライダー12がゼンマイバネ14のバネ力で引き込み方向Bに移動するとき、ピニオン13とアイドル歯車16と歯車15aと回転ダンパー15による緩衝作用により、略一定の速度で衝撃を無くして緩やかに移動される。
なお、本実施例では、トレー2が引き出されている時に、何らかの外的要因で前側ガイドローラ27aと落とし込みロック溝17bとの係合が外れて、スライダー12が給紙位置に戻ってしまった場合、トレー2を押し込んで行くと、ラッチ30は、引き出し方向A側における背面形状を引き出し方向Aに向かって下る傾斜面30aとして形成されているので、制御ピン4がラッチ30を下方に撓ませながら傾斜面30aを越え、制御ピン4をラッチ30の係止面30bとフック29の係止面29aとの間に戻すことができる。これにより、トレー2を複写機本体3の所定の位置に戻すことができる。
したがって、本第1実施例に係る引き込み装置10によれば、スライダー12を引き込み方向(閉じ方向)Bに移動させる力を付与するバネ部材として、ゼンマイバネ14を使用しているので、装置全体の外形を小さくコンパクトにすることができる。これにより、設置スペースの限られた狭い場所にも設置が可能になる。また、ゼンマイバネ14のバネチャージも、トレー2が引き出される方向にラック28が移動する動作と連動するピニオン13の回転で、自動的に行うことができるので、前記ゼンマイバネ14のバネチャージ操作も簡単に行える。
図10から図14は第1実施例の引き込み装置10の一部の構造を変形した第2実施例の引き込み装置40の構造を示す。そこで、第2実施例の引き込み装置40の構造を図10から図14を用いて、また必要に応じて図1及び図2を参照して説明する。
なお、図10はケース本体41Aを取り外して引き込み装置40の内部構造を示した斜視図、図11は引き込み装置40の内部構造を、ケースカバー41Bを取り外して示した斜視図、図12はスライダー42とピニオン50との配置構成を説明する図、図13は図12のC−C線矢視図である。また、第1実施例と同じ要素には同じ符号を付して重複説明は省略する。
図10及び図12において、引き込み装置40は、ケース41と、スライダー42と、バネ力調整手段43と、ゼンマイバネ44と、回転ダンパー45等を備えて、ユニット化された状態で、1個の部品として取り扱われる。
ケース41は、上下の面と一側面が開口されたケース本体部41Aと、そのケース本体部41Aの開口された一側面を塞いで、ケース本体部41Aに固定して取り付けられるケースカバー41Bと、を有して概略六面体の箱状に構成されている。そのケース41は、前後の側面41a、41bをそれぞれ、図10及び図11中に矢印A−Bで示すスライド移動方向Mに向け、トレー2と並行な状態にして複写機本体3に取り付けられる。なお、ケース41の複写機本体3への取り付けは、引き込み装置40がユニット化された後である。
ケース41の左右の側面41c、41d(側面41dはケースカバー41Bが兼ねる)の上部には、トレー2のスライド移動方向Mに沿って設けられたガイド孔17が、左右対称形にして設けられている。そのガイド孔17は、スライド移動方向Mに沿って、すなわち、後側(引き込み方向B側)から前側(引き出し方向A側)に向かって直線状に形成されている直線状溝17aと、直線状溝17aの引き出し側終端部から連続して下方へ直角に向きを変えて形成されている落とし込みロック溝17bとを有している。
また、ケース本体41Aの内側面、すなわち側面41cの内面には、ゼンマイバネ44とピニオン50を取り付ける枢軸48と、回転ダンパー45を取り付ける取付ピン46の他に、バネ力調整手段43の平歯車43a及びウオームホィール43bを取り付けるための取付ピン47が設けられている。さらに、ケース本体41Aには、ケースカバー41Bを固定して取り付けるためのネジ穴22が、枢軸48、取付ピン46、47以外に複数箇所に設けられている。なお、上述した回転ダンパー45は、取付ピン46上に配設してケース本体41Aの側面41cに取り付けられており、また回転ダンパー45の回転側(外周面側)には、歯車45aが一体回転するようにして取り付けられている。また、枢軸48は、ケース本体41Aに対して回動可能に設けられている。
スライダー42は、トレー2のスライド移動方向Mに沿って細長く延びる部材であり、左右両側面42a、42aには、前後に分かれて前側ガイドローラ27aと後側ガイドローラ27bが各々形成されている。これら各左右1対の前側ガイドローラ27a及び後側ガイドローラ27bはそれぞれ、ケース本体41A側のガイド孔17内とケースカバー41B側のガイド孔17内にスライド移動可能に配置されている。そして、スライダー42は、ガイド孔17に対する前側ガイドローラ27a及び後側ガイドローラ27bのスライド移動により、ケース41に対してスライド移動方向Mへ往復移動可能になっている。
スライダー42の下面には、複数の歯を直線状に並べて設けたラック49が形成されている。ラック49は、第1ラック部49aと第1ラック部49aよりも引き込み側に設けられた第2ラック部49bとを有して、スライダー42の左右方向(厚み方向)に第1ラック部49aと第2ラック部49bを並設した二段ラックとしてなる。また、第1ラック部49aと第2ラック部49bは共に下面側の突設されたラック歯を有し、第1ラック部49aは第2ラック部49bよりも下側に変位されて突出している状態にして形成されている。
一方、スライダー42の上面側には、フック29及びラッチ30が、制御ピン4の外径寸法よりも多少大きな間隔を持って、互いに前後(スライド移動方向M)に離れて設けられている。より具体的には、ラッチ30が引き出し方向A側に設けられ、フック29が引き込み方向B側に設けられている。そして、フック29とラッチ30との間には、制御ピン4が落ち込み係合可能になっている。
フック29は、ラッチ30と対向している面(引き出し方向A側の面)が略直角な係止面29aで形成されている。
ラッチ30の上面には引き込み方向B側に向かって登る(引き出し方向A側に向かって下る)傾斜面30aを設けてフック29側に向かい、その後、垂下された状態にして形成されており、フック29の係止面29aと平行に対向している面を係止面30bとしている。
このように構成されたスライダー42は、前側ガイドローラ27aと後側ガイドローラ27bが共に、直線状溝17a内に配置されている時には、フック29及びラッチ30がケース41の上面41eから突出した状態で保持されている。また、スライダー42が引き出し方向Aに移動されて、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17bと対応する位置に配置されると、スライダー42は後側ガイドローラ27bを支点として下方に向かって回動し、前側ガイドローラ27a側が落とし込みロック溝17b内に落ち込んで係合ロックされるように設定されている。そして、前側ガイドローラ27a側が落とし込みロック溝17b内に落ち込んで係合ロックされると、ラッチ30も一緒に沈んでケース41の上面41e内に隠れ、フック29だけが上面41eから突出した状態で保持される設定になっている。
ピニオン50は、第1ピニオン部50aと第1ピニオン部50aの外径よりも小さい外径をした第2ピニオン部50bとを枢軸48上に並設した二段歯車で形成されている。また、第1ピニオン部50aはラック49の第2ラック部49bと噛合可能にして、第2のラック部49bと対応して形成されているとともに、第2ピニオン部50bはラック49の第1ラック部49aと噛合可能に、第1のラック部49aと対応して形成されている。
ピニオン50の内部は、引き込み手段の駆動源となるゼンマイバネ44を収納する平面視概略円形の空間32を有し、その空間32内に前記ゼンマイバネ44を収納し、枢軸48を軸として、ゼンマイバネ44と共に一体化(ユニット化)した状態にして配設されている。なお、引き込み手段は、ラック49、ピニオン50、ゼンマイバネ44等により構成されている。その引き込み手段の駆動源としてのゼンマイバネ44は、バネ板材を複数回連続して円形に巻き、ゼンマイバネ44の一端、つまりその巻回内側端部44aを、枢軸48の端面に形成されているすり割り溝48a内に挿入係止させ、ゼンマイバネ44の他端、つまり巻回外側端部44bを、ピニオン50の空間32内に開口して、そのピニオン50に形成されているスリット50c内に挿入係止させた状態にして、ピニオン50及び枢軸48に取り付けている。そして、ゼンマイバネ44は、スライダー42が引き出し方向Aにスライド移動されて、そのスライダー42におけるラック49のラック歯と噛合しているピニオン50が、図11中の反時計回り方向に回転されるとバネチャージされる。また、反対に、落とし込みロック溝17Bと前側ガイドローラ27Aとの係合ロックが外れた自由の状態となると、ゼンマイバネ44のバネチャージ力でピニオン50が図11中の時計回り方向に回転されて、スライダー42がピニオン50とラック49との噛合により引き込み方向Bにスライド移動されるようになっている。
回転ダンパー45は、例えば有限角のオイルダンパーであり、定速回転して緩衝する機能を有する。この有限角の回転ダンパー45は、回転ダンパー45の回転側と一体に回転する歯車45aを有する。また、歯車45aは、スライダー42の第2ラック部49bと噛合可能に、第2ラック部49bと対応して設けられている。
バネ力調整手段43は、取付ピン47上に回転可能に取り付けられた平歯車43a及びウオームホイール43bと、ケース本体41aに回転可能に保持されているウオーム歯車43cとを有している。なお、平歯車43aとウオームホイール43bは一体に回転される。また、平歯車43aは同じ枢軸上に一体回転可能に取り付けられた平歯車18fと噛合し、ウオームホイール43bはウオーム歯車43cと噛合されている。ウオーム歯車43cの枢軸部43dの一端(下端)部には、すり割り溝43eが形成されており、すり割り溝43eに図示しないマイナスドライバー等の先端を差し込んで左右方向に水平回転させると、その回転方向に応じて枢軸部43dをウオーム歯車43cと共に正又は逆方向へ一体に回転させることができるようになっている。また、ウオーム歯車43cが回転されると、ウオーム歯車43cの回転が平歯車43aと平歯車43fを介して枢軸48に伝達され、その枢軸48を正又は逆方向に回転させてゼンマイバネ44の初期におけるバネ力を強めたり弱めたりして、引き込み手段の駆動源であるバネ力を適正なバネ力に調整することができる。つまり、ピニオン50に対して枢軸48だけを回動させて、ゼンマイバネ44の巻き量を調整することができる。
このように構成された第2実施例における引き込み装置40の動作をトレー2の操作と共に次に説明する。まず、トレー2が最終の給紙位置に配置されている図10及び図11の状態から、トレー2内に用紙を補給するのにトレー2を引き出し方向Aに引き出すと、トレー2と共に移動される制御ピン4がラッチ30の係止面30bと当接し、スライダー42を引き連れて引き出し方向A側に移動する。また、スライダー42の引き出し方向Aへの移動によりピニオン50が図10中において時計回り方向に回転し、そのピニオン50の回転に伴ってゼンマイバネ44が、初期調整された位置から徐々にバネチャージされる。
また、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17bと対応する位置まで引き出されると、スライダー42には、このスライダー42を引き出そうとする力の向きが、直線状溝17a及び落とし込みロック溝17bに沿って下方へ向かって働く。そして、その力の作用により、スライダー42は後側ガイドローラ27bを支点として反時計回り方向(下方向)に回転する。これにより、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17b内に落ち込むとともに、ラッチ30がケース41の上面41eよりも下側、すなわちケース41内側に沈み込む。これにより、ラッチ30と制御ピン4との係合が外れる。さらに、トレー2を引き出し方向Aに、トレー2が止まるところまで大きく引き出し、その引き出した位置でトレー2に記録紙を補給する。また、ゼンマイバネ44のチャージ力は、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17b内に落ち込んで係合ロックされていることによりスライダー42には付与されない。したがって、スライダー742は引き込み方向Bには戻らず、またゼンマイバネ44のチャージ力はバネチャージされたままの状態で保持される。
また、記録紙の補給を終えたら、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17b内から抜け出すようにトレー2の引き出し側を持ち上げ、そして引き込み方向Bにスライド移動させて押し込む。トレー2が所定の位置まで押し込まれると、制御ピン4がフック29の係止面29aに当接してスライダー42の引き出し側が持ち上がり係合ロックが外れると同時に、ピニオン50の第1ピニオン部50aと第2ラック部49bとの噛合により、バネチャージされていたゼンマイバネ44のバネ力が第1ピニオン部50aを介してスライダー42側に付与される。これにより、スライダー42は引き込み方向Bに制御ピン4及びトレー2を引き連れてスライド移動をする。このとき、回転ダンパー45の歯車45aは第2ラック部49bと噛合されていないので、ゼンマイバネ44の戻しバネ力がスライダー42側に全て伝わり、ゼンマイバネ44の強い引き込み力でトレー2と共に引き込み方向Bに移動する。
また、スライダー42側の第2ラック部49bが回転ダンパー45の歯車45aと噛合する位置まで移動すると、回転ダンパー45の緩衝規制を受け、スライダー42は略一定の速度で緩やかに移動されてトレー2と共に引き込み方向Bに移動する。さらに、第1ラック部49aが第2ピニオン部50bと噛合する位置まで移動すると、回転ダンパー45による有限角外(緩衝規制外)となり、回転ダンパー45の緩衝規制がなくなり、ゼンマイバネ44の戻し力が第1ラック部49aと第2ピニオン部50bを介してスライダー42側に直に付与される。そして、トレー2が所定の給紙位置(図1に実線で示す位置)に配置される位置まで確実に移動されて、スライダー42によるスライド移動も停止する。
したがって、本第2実施例に係る引き込み装置40も、スライダー42を引き込み方向(閉じ方向)Bに移動させる力を付与するバネ部材として、ゼンマイバネ44を使用しているので、装置全体の外形を小さくコンパクトにすることができる。これにより、設置スペースの限られた狭い場所にも設置が可能になる。
また、ゼンマイバネ44の初期のバネチャージ力も、バネ力調整手段43の枢軸部43dを正又は逆方向に回転させることにより、引き込み手段の駆動源である初期バネ力を適正なバネ力に調整することができる。これにより、電子複写機1のトレー2毎に、その初期バネ力を最適な状態に、また簡単に調整することができる。
また、ピニオン50を第1ピニオン部50aと第2ピニオン部50bとの二段歯車で形成するとともに、スライダー42のラック49を、第1ラック部49aと第2ラック部49bとの二段ラックで構成している。そして、引き込み初期操作時Sには第2ラック部49bが回転ダンパー45の歯車45aと噛合せずに第1ピニオン部50aとだけ噛合した状態で、ゼンマイバネ44の引き込み力をスライダー42が受けるので、図14に引き込み力[N]と引き込み距離[mm]の関係をグラフで示すように、引き込み距離が約10mmまでの初期操作時Sでは15N等の強い力で引き込むことができる。その後、第2ラック部49bが回転ダンパー45の歯車45aと噛合すると、スライダー42は回転ダンパー45の緩衝規制を受けて略一定の速度で緩やかに引き込み方向Bに移動される。また、回転ダンパー45が有限角外(緩衝規制外)となる最終移動付近に近づくと、第1ラック部49aが第2ピニオン部50bと噛合され、スライダー42がゼンマイバネ44の引き込み力を再び直に受けて、図11及び図12に示す最終の引き込み位置まで確実に移動することができる。なお、図14において、(1)の曲線は第1ラック部49aと第2ラック部49bとの二段ラック49及び第1ラック部49aと第2ラック部49bの構成を採っていない引き出し装置の場合の曲線グラフで、(2)の曲線は第1ラック部49aと第2ラック部49bとの二段ラック49、及び、ピニオン部50aと第2ピニオン部50bとの二段歯車の構成を各々用いている本発明の引き出し装置の場合の曲線グラフである。これにより、図14に示すグラフからも判るように、本発明の引き込み装置40は、上記(1)の構成を有した引き込み装置の引き込み力よりも小さな引き込み力で、確実にスライダー42をトレー2と共に所定の位置まで略等速度で緩やかに移動させることができる。
図15から図19は、第1実施例の引き込み装置10の一部の構造及び第2実施例の一部の構造、特に第2実施例のバネ力調整手段43の構造を変形した第3実施例の引き込み装置60の構造を示す。そこで、第3実施例の引き込み装置60の構造を図15から図19を用いて、また必要に応じて図1及び図2を参照して説明する。
なお、図15はケースカバー61B側から見た引き込み装置60の平面図、図16は引き込み装置60の内部構造を、ケースカバー61Bを取り外して示した平面図、図17はバネ力調整手段62の平面図である。また、第1実施例及び第2実施例と同じ要素には同じ符号を付して重複説明は省略する。
図15及び図16において、引き込み装置60は、ケース61と、スライダー42と、バネ力調整手段62と、図示しないゼンマイバネと、回転ダンパー45等を備えて、ユニット化された状態で、1個の部品として取り扱われる。
ケース61は、上下の面と一側面が開口されたケース本体部61Aと、そのケース本体部61Aの開口された一側面を塞いでケース本体部61Aに固定して取り付けられるケースカバー61Bと、を有して概略六面体の箱状に構成されている。そのケース61は、前後の側面61a、61bをそれぞれ、図15及び図16、図18、図19中に矢印A−Bで示すスライド移動方向Mに向け、トレー2と並行な状態にして複写機本体3に取り付けられる。なお、ケース61の複写機本体3への取り付けは、引き込み装置60がユニット化された後である。
ケース61の左右の側面61c、61d(側面61dはケースカバー61Bが兼ねる)の上部には、トレー2のスライド移動方向Mに沿って設けられたガイド孔17が、左右対称形にして設けられている。そのガイド孔17は、スライド移動方向Mに沿って、すなわち、後側(引き込み方向B側)から前側(引き出し方向A側)に向かって直線状に形成されている直線状溝17aと、直線状溝17aの引き出し側終端部から連続して下方へ直角に向きを変えて形成されている落とし込みロック溝17bとを有している。
また、ケース本体61Aの内側面、すなわち側面61cの内面には、ゼンマイバネ44とピニオン50を取り付ける図示しない枢軸(第2実施例で示したケース本体61Aに対して回動可能な枢軸48と同じ)と、回転ダンパー45を取り付ける取付ピン46が一体に設けられている。さらに、ケース本体61Aには、ケースカバー61Bを固定して取り付けるためのネジ穴(図示せず)が、前記枢軸48、取付ピン46、47以外に複数箇所に設けられている。なお、上述した回転ダンパー45は、取付ピン46上に配設してケース本体61Aの側面61cに取り付けられており、また回転ダンパー45の回転側(外周面側)には、歯車45aが一体回転するようにして取り付けられている。なお、ケースカバー61Bには、後述するバネ力調整手段62の回転板部62Aを回転可能に配置させるための円形孔63が設けられている。
スライダー42は、トレー2のスライド移動方向Mに沿って細長く延びる部材であり、左右両側面42a、42aには、前後に分かれて前側ガイドローラ27aと後側ガイドローラ27bが各々形成されている。これら各左右1対の前側ガイドローラ27a及び後側ガイドローラ27bはそれぞれ、ケース本体61A側のガイド孔17内とケースカバー61B側のガイド孔17内にスライド移動可能に配置されている。そして、スライダー42は、ガイド孔17に対する前側ガイドローラ27a及び後側ガイドローラ27bのスライド移動により、ケース61に対してスライド移動方向Mへ往復移動可能になっている。
スライダー42の下面には、第2実施例の構造と同様に、複数の歯を直線状に並べて設けたラック49が形成されている。ラック49は、第1ラック部49aと第1ラック部49aよりも引き込み側に設けられた第2ラック部49bとを有して、スライダー42の左右方向(厚み方向)に第1ラップ部49aと第2ラック部49bを並設した二段ラックとしてなる。また、第1ラック部49aと第2ラック部49bは共に下面側の突設されたラック歯を有し、第1ラック部49aは第2ラック部49bよりも下側に突出している状態にして形成されている。
一方、スライダー42の上面側には、フック29及びラッチ30が、制御ピン4の外径寸法よりも多少大きな間隔を持って、互いに前後(スライド移動方向M)に離れて設けられている。より具体的には、ラッチ30が引き出し方向A側に設けられ、フック29が引き込み方向B側に設けられている。そして、フック29とラッチ30との間には、制御ピン4が落ち込み係合可能になっている。
そして、このスライダー42は、前側ガイドローラ27aと後側ガイドローラ27bが共に、直線状溝17a内に配置されている時には、フック29及びラッチ30がケース61の上面61eから突出した状態で保持されている。また、スライダー42が引き出し方向Aに移動されて、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17bと対応する位置に配置されると、スライダー42は後側ガイドローラ27bを支点として下方に向かって回動し、前側ガイドローラ27a側が落とし込みロック溝落ち込んで係合ロックされるように設定されている。そして、前側ガイドローラ27a側が落とし込みロック溝17b内に落ち込んで係合ロックされると、ラッチ30も一緒に沈んでケース61の上面61e内に隠れ、フック29だけが上面61eから突出した状態で保持される設定になっている。
ピニオン50は、第2実施例の場合と同様に、第1ピニオン部50aと第1ピニオン部50aの外径よりも小さい外径をした第2ピニオン部50bとを前記枢軸48上に並設した二段歯車で形成されている。また、第1ピニオン部50aはラック49の第2ラック部49bと噛合可能にして、第2のラック部49bと対応形成されているとともに、第2ピニオン部50bはラック49の第1ラック部49aと噛合可能に、第1のラック部49aと対応して形成されている。
ピニオン50の内部は、第2実施例の構造と同様に形成されており、引き込み手段としてなる図示しないゼンマイバネ44を収納する平面視概略円形の空間32を有し、その空間32内に前記ゼンマイバネ44を収納し、枢軸48を軸として、ゼンマイバネ44と共に一体化(ユニット化)した状態にして配設されている。なお、引き込み手段は、ラック49、ピニオン50、ゼンマイバネ44等により構成されている。その引き込み手段の駆動源としてのゼンマイバネ44も、バネ板材を複数回連続して円形に巻き、そのゼンマイバネ44の一端、つまり巻回内側端部44aを、枢軸48の端面に形成されているすり割り溝48a内に挿入係止させ、ゼンマイバネ44の他端、つまり巻回外側端部44bを、ピニオン50の空間32内に開口して、そのピニオン50に形成されているスリット50c内に挿入係止させた状態にして、ピニオン50及び枢軸48に取り付けられている。そして、ゼンマイバネ44は、スライダー42が引き出し方向Aにスライド移動されて、そのスライダー42におけるスライダー49のラック歯と噛合しているピニオン50が、図15中の反時計回り方向に回転されるとバネチャージされる。また、反対に、落とし込みロック溝17bと前側ガイドローラ27aとの係合ロックが外れた自由の状態となると、ゼンマイバネ44のバネチャージ力でピニオン50が図15中の時計回り方向に回転されて、ピニオン50とラック49との噛合によりスライダー42が引き込み方向Bにスライド移動されるようになっている。
回転ダンパー45は、第2実施例の構造と同様に有限角のオイルダンパーであり、定速回転して緩衝する機能を有する。この有限角の回転ダンパー45は、回転ダンパー45の回転側と一体に回転する歯車45aを有する。また、歯車45aは、スライダー42の第2ラック部49bと噛合可能に、第2ラック部49bと対応して設けられている。
バネ力調整手段62は、ピニオン50の枢軸48と一体に回動可能な樹脂製のバネ力調整用回転板部62Aと、バネ力調整用回転板部62Aが回転可能に配設される円形孔63を有する固定板部62Bとを有する。なお、この第3実施例では、固定板部62Bは、樹脂製のケースカバー61Bの一部にケースカバー61Bと一体に形成されている。その固定板部62Bは、ケースカバー61Bと別体に形成してもよい。また、バネ力調整用回転板部62Aの外周面には所定の位相角をもって形成された複数個の位置決め凹部64が形成され、バネ力調整用回転板部62Aの外側面にはマイナストライバー等の先端を差し込み係合可能にする凹溝65が設けられている。一方、固定板部62Bは、ケースカバー61Bの外側で、かつ、バネ力調整用回転板部62Aを円形孔63内に同心的に配置した状態で、ケースカバー61に固定して取り付けられている。その固定板部62Bの円形孔63の内周面には、先端に係止爪部66aを有する弾性爪片66が、バネ力調整用回転板部62Aの位置決め凹部64にそれぞれ対応して複数設けられている。そして、固定板部62Bの弾性係止爪片66は、バネ力調整用回転板部62Aをピニオン50の前記枢軸48と共に正方向又は逆方向に回転させると、先端爪部65aが位置決め凹部64内に位置決め凹部64毎に落ち込み、バネ力調整用回転板部62Aを固定板部62Bに対して位相角毎に解除可能に回動ロックすることができるようになっている。
そして、このバネ調整手段62は、凹溝65内にマイナスドライバーの先端等を差し込み、バネ力調整用回転板部62Aを左右方向に回転させると、その回転方向に応じてピニオン50の枢軸部をピニオン50と共に正又は逆方向へ回転させることができ、また弾性係止片66の係止爪部66aと位置決め凹部64とが対応する位相角毎に係合されて回動ロックすることができるようになっている。また、バネ力調整用回転板部62Aが回転されると、その回転が前記枢軸48を介してピニオン50に伝達され、そのピニオン50を正又は逆方向に回転させて、ゼンマイバネ44の初期におけるバネ力を強めたり弱めたりして、引き込み手段の駆動源であるバネ力を適正なバネ力に調整することができる。つまり、ピニオン50に対して枢軸48だけを回動させて、ゼンマイバネ44の巻き量を調整することができる。
図18及び図19は、第3実施例における引き込み装置60の動作を示す図である。そこで、次に図15から図17に図18及び図19を加えて、引き込み装置60の動作をトレー2の操作と共に次に説明する。
まず、トレー2が最終の給紙位置に配置されている図15及び図16の状態から、トレー2内に用紙を補給するのに、トレー2を引き出し方向Aに引き出すと、トレー2と共に移動される制御ピン4がラッチ30の係止面30bと当接し、スライダー42を引き連れて引き出し方向A側に移動する。また、スライダー42の引き出し方向Aへの移動によりピニオン50が図16中において反時計回り方向に回転し、ピニオン50の回転を伴ってゼンマイバネ44が初期調整された位置から徐々にバネチャージされる。
また、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17bと対応する位置まで引き出されると、スライダー42には、このスライダー42を引き出そうとする力の向きが、直線状溝17a及び落とし込みロック溝17bに沿って下方へ向かって働く。そして、その力の作用により、スライダー42は後側ガイドローラ27bを支点として反時計回り方向(下方向)に回転する。これにより、図18に示すように前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17b内に落ち込むとともに、ラッチ30がケース61の上面41eよりも下側、すなわちケース61内側に沈み込む。これにより、ラッチ30と制御ピン4との係合が外れる。さらに、トレー2を引き出し方向Aに、トレー2が止まるところまで大きく引き出し、その引き出した位置でトレー2に記録紙を補給する。また、ゼンマイバネ44のチャージ力は、前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17b内に落ち込んで係合ロックされていることによりスライダー42には付与されない。したがって、スライダー42は引き込み方向Bには戻らず、またゼンマイバネ44のチャージ力はバネチャージされたままの状態で保持される。
また、記録紙の補給を終えたら、図19に示すように前側ガイドローラ27aが落とし込みロック溝17b内から抜け出すようにトレー2の引き出し側を持ち上げ、引き込み方向Bにスライド移動させて押し込む。そして、トレー2が所定の位置まで押し込まれると、制御ピン4がフック29の係止面29aに当接してスライダー42の引き出し側が持ち上がり、係止ロックが外れると同時に、ピニオン50の第1ピニオン部50aと第2ラック部49bとの噛合により、バネチャージされていたゼンマイバネ44のバネ力が第1ピニオン部50aを介してスライダー42側に付与される。これにより、スライダー42は引き込み方向Bに制御ピン4及びトレー2を引き連れてスライド移動をする。このとき、回転ダンパー45の歯車45aは第2ラック部49bと噛合されていないので、ゼンマイバネ44の戻しバネ力がスライダー42側に全て伝わり、ゼンマイバネ44の強い引き込み力でトレー2と共に引き込み方向Bに移動する。
また、スライダー42側の第2ラック部49bが回転ダンパー45の歯車45aと噛合する位置まで移動すると、回転ダンパー45の緩衝規制を受け、スライダー42は略一定の速度で緩やかに移動されてトレー2と共に引き込み方向Bに移動する。さらに、第1ラック部49aが第2ピニオン部50bと噛合する位置まで移動すると、回転ダンパー45による有限角外(緩衝規制外)となり、回転ダンパー45の緩衝規制がなくなり、ゼンマイバネ44の戻し力が第1ラック部49aと第2ピニオン部50bを介してスライダー42側に直に付与される。そして、トレー2が所定の給紙位置(図1に実線で示す位置)に配置される位置まで確実に移動されて、スライダー42によるスライド移動も停止する。
したがって、本第3実施例に係る引き込み装置60も、スライダー42を引き込み方向(閉じ方向)Bに移動させる力を付与するバネ部材として、ゼンマイ44を使用しているので、装置全体の外形を小さくコンパクトにすることができる。これにより、設置スペースの限られた狭い場所にも設置が可能になる。
また、ゼンマイバネ44の初期のバネチャージ力も、バネ力調整手段62のバネ力調整用回転板部62Aを正又は逆方向に回転させることにより、引き込み手段の駆動源であるゼンマイバネ44の初期バネ力を適正なバネ力に調整することができる。これにより、電子複写機1のトレー2毎に、その初期バネ力を最適な状態に、また簡単に調整することができる。
また、ピニオン50を第1ピニオン部50aと第2ピニオン部50bとの二段歯車で形成するとともに、スライダー42のラック49を第1ラック部49aと第2ラック部49bとの二段ラックで構成している。そして、引き込み初期操作時Sには、第2ラック部49bが回転ダンパー45の歯車45aと噛合せずに第1ピニオン部50aとだけ噛合した状態で、ゼンマイバネ44の引き込み力をスライダー42が受けるので、第2実施例の場合と同様に、始めのうちは強い力で引き込む。その後、第2ラック部49bが回転ダンパー45の歯車45aと噛合すると、スライダー42は回転ダンパー45の緩衝規制を受けて略一定の速度で緩やかに引き込み方向Bに移動される。また、回転ダンパー45が有限角外(緩衝規制外)となる最終移動位置(引き込み位置)に近づくと、第1ラック部49aが第2ピニオン部50bと噛合され、スライダー42がゼンマイバネ414の引き込み力を再び直に受けて、図15及び図16に示す最終の引き込み位置まで確実に移動させることができる。これにより、小さな引き込み力で確実にスライダー42をトレー2と共に所定の位置まで、略定速度で緩やかに移動させることができる。
なお、この第3実施例では、バネ力調整手段62の位置決め凹部64をバネ力調整用回転板部62Aの外周部に設け、弾性係止片66を固定板部62Bの円形孔63の内周面に設けた構造を開示したが、位置決め凹部64を固定板部62Bの円形孔63の内周面に設けるとともに、弾性係止片66をバネ力調整用回転板部62Aの外周部に設け構造にしてもよいものである。
また、上記各実施例は電子複写機のトレー2を引き込む場合について説明したが、電子複写機1のトレー2に限ること無く、引き戸等にも広く使用できるものである。さらに、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。