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JP6722304B2 - 応力センサ - Google Patents
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Description

本発明は、応力センサに関する。
従来の応力センサとしては、例えば、センサセグメントとして一定方向に延びるように配置した抵抗体を用い、応力によってこの抵抗体がその長手方向に変形した場合の抵抗値変化をもって応力を検出する手法がよく知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、上記の手法を用いた応力センサの一例であって、温度の影響を受けることなく、正確に目的の応力演算値を得ることを企図した応力センサが開示されている。具体的には、特許文献1には、基板と、この基板上に形成されたセンサ素子用抵抗体と、を備え、上記センサ素子抵抗体は、他の3つの抵抗素子と組み合わされてブリッジ回路が構成される応力センサが開示されている。また、特許文献1には、上記基板には、上記他の3つの抵抗素子のうちの1つの抵抗素子が、温度補償用抵抗として、上記センサ素子用抵抗体と同一もしくは略同一の抵抗温度係数をもつ材質によって形成されることが開示されている(要約書参照)。
特開2007−333408号公報
しかしながら、このような従来の応力センサは1つの素子で応力の大きさを検出することはできるが、検出できる応力の方向が限定されるという問題があった。このため、応力センサの面内における任意の方向の応力を検出できるようにするためには複数のセンサを併用する必要があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、1つの素子で面内の任意の方向の応力を検出することができる応力センサを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、応力センサの一態様は、第1磁性層、第1非磁性層、及び第2磁性層を積層してなる積層体を含む応力検出層を有し、第1磁性層及び第2磁性層は互いに異なる磁気弾性結合定数を有し、外部から加えた応力に依存して変化する第1磁性層及び第2磁性層の磁化の相対角度に依存した電気抵抗によって応力を検出するものである。
本発明によれば、1つの素子で面内の任意の方向の応力を検出することができる応力センサを提供することができる。
第1及び第2実施形態に係る応力センサの概略断面図である。 本実施形態に係る応力センサにおける、磁化の相対角度と電気抵抗の関係について説明するための図である。 第1実施形態に係る応力センサの作用を説明する図である。 第2実施形態に係る応力センサの作用を説明する図である。 第3実施形態に係る応力センサの概略断面図である。 第4実施形態に係る応力センサの概略断面図である。 Co膜を各種非磁性層で挟んだときの磁気弾性結合定数を示す図である。 実施例3の応力センサの構成を示す図である。 実施例3の応力センサの作用を示す図である。 実施例3の応力センサの歪方向と抵抗変化の関係を示す図である。 実施例4の応力センサの構成を示す図である。 実施例4の応力センサの作用を示す図である。 実施例4の応力センサに与えた磁場と抵抗変化の関係を示す図である。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る応力センサの概略断面図である。
図1に示すとおり、応力センサ10は、基板1と、基板1上に形成された下地層2と、下地層2上に形成された応力検出層3と、応力検出層3上に形成された保護層4と、保護層4上に形成された電極5a,5bとを備える。
基板1は、樹脂基板からなり、中でも、可撓性や伸縮性を有するフレキシブル基板を用いると、人体の動きを感知するセンサ等の用途に用いることができる。このようなフレキシブル基板として、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドからなる基板が用いられる。
下地層2は、応力検出層3の結晶配向性を決め、また応力検出層3中の磁性層と基板1との接着性を高めるものであり、非磁性体であればよい。例えば、下地層2は、3d,4d,5d遷移金属非磁性体である、Pt、Cu、Ta、Auなどからなる。また、下地層2は絶縁体により構成されていてもよく、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムや酸化マグネシウムであってもよい。
応力検出層3は、上層から順に、第1磁性層31、第1非磁性層30、及び第2磁性層32からなる積層体を備える。なお、図示しないが、応力検出層3は、上記積層体の上層または下層に、第2非磁性層及び第3磁性層からなる構造を1以上積層した積層体をさらに含んでいてもよい。追加の第2非磁性層及び第3磁性層からなる構造の積層数の上限に限定はないが、例えば50程度である。第2非磁性層及び第3磁性層とは材料や厚さが異なる非磁性層及び磁性層からなる構造を1以上積層した積層体をさらに含んでもよい。このように、応力検出層3は、非磁性層を挟んだ状態で、複数の磁性層が積層された構造となっている。
第1磁性層31及び第2磁性層32は互いに異なる磁気弾性結合定数Bを有する。第1磁性層31及び第2磁性層32の磁化方向(磁気モーメント)は、応力が加えられていない初期状態で平行、あるいは反平行配列している。初期状態で磁化を平行、あるいは反平行にするためには、例えば応力検出層3を磁界中で製膜することや、素子を細長く加工することによる形状効果により、一軸磁気異方性を付与することで実現することができる。
第1磁性層31及び第2磁性層32のうちの一方は歪鈍感層であり、他方は歪敏感層である。歪鈍感層とは、応力(歪)が加わった場合でも歪鈍感層の磁化方向が実質的に変化しない層であり、歪敏感層とは、応力(歪)が加わった場合に歪敏感層の磁化方向が歪方向に対して平行または垂直に向く層をいう。B>0の場合には歪敏感層の磁化方向が歪方向に対して平行に向き、B<0の場合には歪敏感層の磁化方向が歪方向に対して垂直に向くこととなる。歪敏感層との相対値から定義すると、歪鈍感層は、歪敏感層よりもその磁気弾性結合定数Bが十分に小さく、好ましくは、歪鈍感層の磁気弾性結合定数の絶対値は、歪敏感層の磁気弾性結合定数の1/5以下と定義される。また、磁気弾性結合定数の絶対値から定義すると、歪鈍感層の磁気弾性結合定数の絶対値は実質的に0であることが好ましく、具体的には、0.5MJ/m以下、0.4MJ/m以下、0.3MJ/m以下、0.2MJ/m以下、0.1MJ/m以下であり、できる限り0に近いことが好ましい。また好ましくは、歪敏感層の磁気弾性結合定数の絶対値は、1MJ/m以上である。なお、応力(歪)とは、引張、圧縮、たわみ等の各種応力を含む。
磁性層は、金属(合金を含む)の磁性体からなり、好ましくは、Fe、Co、Niなどの3d遷移金属強磁性体及びそれらを含む合金からなる。
第1磁性層31及び第2磁性層32は、同一の磁性材料で構成されていても異なる磁性材料で構成されていてもよい。また、第1磁性層31及び第2磁性層32は、同一の厚さであっても異なる厚さであってもよい。第1磁性層31及び第2磁性層32の材料が同じであっても膜厚が異なれば、第1磁性層31及び第2磁性層32は互いに異なる磁気弾性結合定数Bを有することとなる。また、第1磁性層31及び第2磁性層32の材料及び膜厚が同一であったとしても、第1磁性層31及び第2磁性層32の上下に接する非磁性層(保護層又は下地層を含む)の材料が異なることにより、第1磁性層31及び第2磁性層32は互いに異なる磁気弾性結合定数Bを有することになる。また、第3磁性層を備える場合、第3磁性層は第1磁性層及び第2磁性層と同一材料で構成されていても異なる材料であってもよいし、同じ厚さであっても異なる厚さであってもよい。
第1磁性層31及び第2磁性層32を含めた磁性層の膜厚は、30nm以下に設定される。このように磁性層の膜厚を30nm以下と薄くすることにより、磁性層は、応力の存在により伸縮し、応力がなくなれば元に復元する特性を発揮することができる。
なお、第1磁性層及び第2磁性層は、種類の異なる金属磁性層を積層したものでもよい。
また、歪鈍感層を第1磁性層とする場合は第一磁性層と保護層の間に、歪鈍感層を第2磁性層とする場合は第2磁性層と下地層の間に、NiFeなどからなる反強磁性層を配置してもよい。反強磁性層を配置することにより、鈍感層の磁化を単磁区状態のまま一方向に固定することが容易となる(交換バイアス式)。反強磁性層の厚みは3nm以上30nm以下が好ましい。
第1非磁性層30は、非磁性体であればよく、3d,4d,5d遷移金属非磁性体、例えば、Pt、Cu、Ta、Auなどからなる。また、第1非磁性層30は絶縁体であってもよく、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムや酸化マグネシウム等をからなる。第1非磁性層30の厚さは10nm以下である。また、第2非磁性層を備える場合、第2非磁性層は第1非磁性層と同一材料で構成されていても異なる材料であってもよいし、同じ厚さであっても異なる厚さであってもよい。
保護層4は、応力検出層3を保護するものであり、非磁性体であればよい。例えば、保護層4は、3d,4d,5d遷移金属非磁性体である、Pt、Cu、Ta、Auなどからなる。
電極5a,5bの材料に限定はなく、例えばPt、Cu、Ag、Au、Al、Cr、Ti等からなる金属又はこれらの金属を含む導電体が使用される。電極5a,5bを通じて応力検出層3に電流が供給され、応力検出層3の電気抵抗値が検出される。本実施形態では、応力検出層3の上部に電極5a,5bが形成されている。電極5aと電極5bの間に電圧を印加すると結果的に応力検出層3の全層に電流が流れ込むことから、後述する巨大磁気抵抗効果を検出可能である。
図2は、本実施形態に係る応力センサにおける、磁化の相対角度と電気抵抗の関係について説明するための図である。図2(a)は基本素子構造を示し、図2(b)は磁化の相対角度が0°の場合(低抵抗状態)、図2(c)は磁化の相対角度(M1とM2の角度)が90°の場合(中間抵抗状態)、図2(d)は磁化の相対角度が180°の場合を図解している。第1磁性層31の磁化方向(磁化モーメント)をM1とし、第2磁性層32の磁化方向をM2とする。
本実施形態に係る応力センサでは、面内に電流を流した場合に検出される電気抵抗の値が、第1磁性層31と第2磁性層32の磁化の相対角度に応じて変化する(図2(b)−(d))。図2(b)に示すように磁化の相対角度が0℃の場合には応力検出層3の電気抵抗値が低抵抗状態となり、図2(c)に示すように磁化の相対角度が0°を超え180°未満の場合(図2(c)では一例として90°の場合を図解)には応力検出層3の電気抵抗値は中間状態(低抵抗状態と高抵抗状態の間)となり、図2(d)に示すように磁化の相対角度が180℃の場合には応力検出層3が高抵抗状態となる。このように、磁化の相対角度に応じて、応力検出層3の電気抵抗値は異なる値となる。これはいわゆる巨大磁気抵抗効果(2007年ノーベル物理学賞)であり、磁性層/非磁性層の積層回数を増やすと、一般的に磁気抵抗変化率が上昇することが知られている。本実施形態に係る応力センサは、この巨大磁気抵抗効果を利用したものである。
次に、図3を参照して、本実施形態に係る応力センサを用いた応力の検出方法について説明する。
例えば第1磁性層31が歪鈍感層であり、第2磁性層32が歪敏感層であり、第1磁性層31及び第2磁性層32の磁化方向(磁気モーメント)は初期状態で平行(図2(b)の低抵抗状態)、あるいは反平行配列(図2(d)の高抵抗状態)となるように設計されている。この状態で、応力センサ10の面内に応力が作用すると、歪鈍感層である第1磁性層31は歪みに対して鈍感であり磁化方向が変化しないのに対し、歪敏感層である第2磁性層32は歪みに対して敏感に反応し、その磁化方向を歪み方向(応力方向)に対して(B>0の場合)平行もしくは(B<0の場合)垂直に向ける。
例えば、図3に示すように、x軸から30°の方向に引張応力が加えられると、歪敏感層である第2磁性層32の磁気弾性結合定数Bが正の場合、第2磁性層32の磁化方向が応力方向に平行となり、第1磁性層31及び第2磁性層32の磁化の相対角度が30°に変化する。これにより、歪みの方向に応じて、第1磁性層31と第2磁性層32の磁化方向軸の間には有限の角度が生まれ、巨大磁気抵抗効果により相対角度に応じた電気抵抗値を示すこととなる。この電気抵抗値を電極5a,5bにより検知することにより、磁化の相対角度を検出でき、歪みのベクトル方向を検出することができる。
以上のように、第1実施形態に係る応力センサによれば、1つの素子で面内の任意の方向の応力を検出することができる。特に、第1実施系形態に係る応力センサによれば、1つの素子で応力ベクトル方向を検出することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では第1実施形態と共通の事項についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。第2実施形態に係る応力センサの概略断面図は図1に示すものである。
第2実施形態では、第1磁性層31及び第2磁性層32のうちの一方は、正の磁気弾性結合定数を有し、他方は負の磁気弾性結合定数を有する。例えば、第1磁性層31の磁気弾性結合定数が負であり、第2磁性層32の磁気弾性結合定数が正である。すなわち、応力センサ10に応力(歪)が作用した場合、第1磁性層31(B<0)はその磁化方向が歪方向に対して垂直に向き、第2磁性層32(B>0)はその磁化方向が歪方向に対して平行に向くように構成されている。第1磁性層31及び第2磁性層32の磁気弾性結合定数の絶対値は、1MJ/m以上であることが好ましい。
次に、図4を参照して、本実施形態に係る応力センサを用いた応力の検出方法について説明する。
まず、第1磁性層31及び第2磁性層32の磁化方向(磁気モーメント)は、応力が加えられていない初期状態で平行(図2(b)の低抵抗状態)、あるいは反平行配列(図2(d)の高抵抗状態)となるように設計されている。この状態で、応力センサ10の面内に応力が作用すると、磁気弾性結合定数Bが負である第1磁性層31はその磁化方向を歪み方向(応力方向)に対して垂直に向け、磁気弾性結合定数Bが正である第2磁性層32はその磁化方向を歪み方向(応力方向)に対して平行に向ける。
図4に示すように、例えば、任意の方向に引張応力が加えられると、第1磁性層31の磁化方向が応力方向に垂直となり、第2磁性層32の磁化方向が応力方向に平行となり、第1磁性層31及び第2磁性層32の磁化の相対角度が90°に変化する。このように、任意の方向に応力が作用した場合に、第1磁性層31と第2磁性層32の磁化の相対角度が90°となり、巨大磁気抵抗効果により相対角度に応じた電気抵抗値を示すこととなる。この電気抵抗値を電極5a,5bにより検知することにより、応力の有無を検出できる。
以上のように、第2実施形態に係る応力センサによれば、1つの素子で面内の任意の方向の応力を検出することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では第1実施形態と共通の事項についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5は、第3実施形態に係る応力センサの概略断面図である。図5に示すように、第3実施形態では、応力検出層3の側部に電極5a,5bが配置されている。電極5a,5bの配置及び、保護層4として絶縁体を用いることができること以外の点については、第1及び第2実施形態と同様である。保護層4として絶縁体を用いる場合は、例えば酸化シリコン、や窒化シリコン、酸化アルミニウムや酸化マグネシウムを用いることができる。
図5に示す電極5a,5bの配置によっても、電極5aと電極5bの間に電圧を印加すると結果的に応力検出層3の全層に電流が流れ込むことから、上述した巨大磁気抵抗効果を検出することができる。
よって、図5に示す電極5a,5bの配置によっても、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、素子の面内方向のサイズが金属層の合計の膜厚(10nm−300nm)に近づく場合には、図1に示す電極5a,5bの配置の構成では、応力検出層3の膜面垂直方向に電流密度分布ができやすいが、図5に示す電極5a,5bの配置の構成では均一に電流を流すことができる。
(第4実施形態)
第4実施形態では第1実施形態と共通の事項についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6は、第4実施形態に係る応力センサの概略断面図である。図6に示すように、第4実施形態では、保護層4上に電極5aが配置され、下地層2の一部が露出しており、この露出した下地層2上に電極5bが配置されている。電極5a,5bの配置、及び非磁性層30として絶縁体を用いることができること以外の点については、第1及び第2実施形態と同様である。非磁性層30は絶縁体により構成されていてもよく、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムや酸化マグネシウムを用いることができる。なお、絶縁体である非磁性層30の厚さはトンネル電流が流れる程度に薄いことが好ましく、5nm以下に設定されるのが好ましい。
図6に示す電極5a,5bの配置は、応力検出層3に垂直に電流を流すことができるような構造となっている。図6に示す電極5a,5bの配置によっても、電極5aと電極5bの間に電圧を印加すると結果的に応力検出層3の全層に電流が流れ込むことから、上述した巨大磁気抵抗効果を検出することができる。また、図6に示す配置は、非磁性層30に絶縁体を用いることにより、電極5a,5bの配置によって巨大磁気抵抗効果と同様に磁化の相対角度が抵抗に反映されるトンネル磁気抵抗効果を検出可能である。
以上のように、図6に示す電極5a,5bの配置によっても、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、図6に示す電極5a,5bの配置にすることにより、第1実施形態及び第2実施形態に比べ、特に高い磁気抵抗変化率を得ることができ、感度の良いセンサを作製することができる。
(実施例)
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
図7は、強磁性Co(コバルト)膜を非磁性体である各種非磁性金属で挟んだときの磁気弾性結合定数の測定結果を示すグラフである。図7の縦軸はCo膜厚(nm)、縦軸は磁気弾性結合定数B(MJ/m)を示す。図7では、基板側からPt/Co/Pt、Pt/Co/Cu、Cu/Co/Cu、Cu/Co/Ptと積層した4種類の膜構成をもつ試料における、磁気弾性結合定数のCo膜厚依存性を示している。
バルクの磁性体の磁気弾性結合定数Bは材料によって決まったものであるものの、図7に示すグラフから、積層する非磁性体との組み合わせ、もしくは磁性層自身の膜厚に、磁気弾性結合定数Bが依存することが判明している。これにより、積層する非磁性体との組合せ又は磁性層の膜厚を選択することにより、第1実施形態及び第2実施形態で説明した磁気弾性結合定数をもつ第1磁性層31及び第2磁性層32を得ることができる。
(実施例1)
実施例1の応力センサは、基板上に、下層から順に、Ta層(下地層)、2nmのCu層(非磁性層)、4nmのCo層(歪鈍感層)、4nmのCu層(非磁性層)、2nmのCo層(歪敏感層)、2nmのPt層(非磁性層又は保護層)が積層されてなるものである。図7に示すグラフによれば、このような積層構造では、下層のCu/Co(4nm)/Cu積層体においてCoの磁気弾性結合定数B=0となり、上層のCu/Co(2nm)/Pt積層体においてCoの磁気弾性結合定数B>0となり、第1実施形態における歪敏感層と歪鈍感層の組合せが実現される。実施例1によれば、応力ベクトル方向を検出可能なタイプの素子構造を実現できる。
(実施例2)
実施例2の応力センサは、基板上に、下層から順に、Ta層(下地層)、2nmのCu層(非磁性層)、2nmのCo層(歪敏感層)、4nmのCu層(非磁性層)、2nmのCo層(歪敏感層)、2nmのPt層(非磁性層又は保護層)が積層されてなるものである。図7に示すグラフによれば、このような積層構造では、下層のCu/Co(2nm)/Cu積層体においてCoの磁気弾性結合定数B<0となり、上層のCu/Co(2nm)/Pt積層体においてCoの磁気弾性結合定数B>0となり、第2実施形態における磁気弾性結合定数の正負の符号が異なる組合せが実現される。実施例2によれば、面内のどの方向に引っ張っても抵抗が上昇するタイプの素子構造を実現できる。
(実施例3)
図8は、実施例3の応力センサの構成を示す図である。
図8に示す応力センサを構成する各層の材料及び膜厚は、以下の通りである。
基板1:ポリエチレンナフタレート
下地層2a:2.5nm Ta
下地層2b:2.0nm Pt
第2磁性層32:3.5nm Co(歪敏感層)
第1非磁性層30:4.0nm Cu
追加第1磁性層31a:0.4nm Co
第1磁性層31:3.8nm NiFe(歪鈍感層)
保護層4:2.0nm Cu
電極5a、5b:導電性エポキシ樹脂
実施例3の応力センサに対して、ε=1.0%の引張歪を与えたときの抵抗変化を測定した。本実施例においては、図9に示すように、歪鈍感層であるNiFe層は応力が加わっても磁化方向が変化せず、一方、歪敏感層であるCo層は応力方向に対して平行に向く。
図10に引張歪の方向(歪方向)と抵抗変化の関係を示す。図10に示すように、敏感層であるCo層の磁化方向が変化することにより、歪方向に応じた抵抗変化が起こるため、歪方向を検出することができた。
(実施例4)
図11は、実施例4の応力センサの構成を示す図である。
図11に示す応力センサを構成する各層の材料及び膜厚は、以下の通りである。
基板1:ポリエチレンナフタレート
下地層2a:2.5nm Ta
下地層2b:1.7nm Pt
第2磁性層32:3.5nm Co(歪敏感層 B>0)
第1非磁性層30:4.0nm Cu
第1磁性層31:4.0nm Ni(歪敏感層 B<0)
保護層4:1.7 nm Pt
電極5a、5b:導電性エポキシ樹脂
本実施例においては、歪敏感層であるCo層の磁気弾性結合定数BはB>0であり、歪敏感層であるNi層の磁気弾性結合定数BはB<0である。図12に示すように、応力が加わると、B>0であるCo層はその磁化方向を歪方向に対して平行に向き、B<0であるNi層はその磁化方向を歪方向に対して垂直に向く。
図13は、実施例4の応力センサに対して、外部から磁場を与えた上で、ε=1.2%の引張歪を与えたときの抵抗変化を測定した結果を示す。引張歪は図12のx軸に対して平行に与えた。図13の横軸は外部から与えた磁場を示し、縦軸は応力センサの抵抗変化を示す。図13のグラフG1は、引張歪を与えない場合の測定結果を示し、グラフG2は引張歪を与えた場合の測定結果を示す。
図13に示すように、引張歪が加わる状態(グラフG2)と加わらない状態(グラフG1)との間に抵抗変化が生じるため、歪を検出することができた。図13に示す測定結果から、外部から磁場を与えても歪を検出することができるが、外部から磁場を与えない状態(0mT)のときにも引張歪の有無による抵抗変化が生じることから歪の検出ができ、応力センサとして実用的である。
以上、本発明の例示的な実施形態および実施例について説明した。
本実施形態に係る応力センサ10は、第1磁性層31、第1非磁性層30、及び第2磁性層32を積層してなる積層体を含む応力検出層3を有し、第1磁性層31及び第2磁性層32は互いに異なる磁気弾性結合定数を有し、外部から加えた応力に依存して変化する第1磁性層31及び第2磁性層32の磁化の相対角度に依存した電気抵抗によって応力を検出するものである。上記構成によれば、外部から加えた応力に依存して変化する第1磁性層31及び第2磁性層32の磁化の相対角度に依存した電気抵抗を検出することによって応力が検出される。
第1磁性層31及び第2磁性層32のうちの一方は、外部から加えた応力に依存して磁化方向が変化しない歪鈍感層であり、他方は外部から加えた応力に依存して磁化方向が変化する歪敏感層である。これにより、外部から加えた応力に依存して歪敏感層の磁化方向のみが変化し、その結果、電気抵抗値に基づいて第1磁性層31及び第2磁性層32の磁化の相対角度を検出できることから、最終的に応力ベクトル方向を検出することができる。
第1磁性層31及び第2磁性層32のうちの一方は、正の磁気弾性結合定数を有し、他方は負の磁気弾性結合定数を有する。これにより、外部から加えた任意の応力が加わると、第1磁性層31及び第2磁性層32の磁化の相対角度が90°に変化することから、面内応力の有無を検出することができる。
第1磁性層31及び第2磁性層32は、応力が加えられていない初期状態において、磁化方向が互いに平行あるいは反平行配列している。このように初期状態における磁化方向を平行あるいは反平行に揃えておくことにより、応力が加えられた場合との電気抵抗の差異が明確となる。
応力検出層3は、積層体に加えて、第2非磁性層及び第3磁性層からなる構造を1以上積層した積層体をさらに含む。これにより、巨大磁気抵抗効果に基づく磁気抵抗変化率を上昇させることができ、応力の有無に基づく抵抗の変化の検出が容易となる。
応力検出層3を支持する基板1を有する。好ましくは、基板1は、フレキシブル基板である。これにより応力センサ10に応力が加わった場合に第1磁性層31及び第2磁性層32が引張応力ないし圧縮応力を受けやすくなり、応力の検出が可能となる。
第1、第2及び第3磁性層は、金属の磁性体からなる。第1、第2及び第3磁性層は、Fe、Co、Ni及びそれらを含む合金からなる群より選択される1種を含む。このような3d遷移金属強磁性体やそれらを含む合金を用いることにより、巨大磁気抵抗効果を利用した応力センサを実現できる。
第1及び第2非磁性層は、金属又は絶縁体である。これにより、巨大磁気抵抗効果を利用した応力センサを実現できる。
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1…基板、2…下地層、3…応力検出層、4…保護層、5a,5b…電極、10…応力センサ、30…第1非磁性層、31…第1磁性層、32…第2磁性層、M1…第1磁性層の磁化方向、M2…第2磁性層の磁化方向。

Claims (10)

  1. 第1磁性層、第1非磁性層、及び第2磁性層を積層してなる積層体を含む応力検出層を有し、
    前記第1磁性層及び前記第2磁性層は互いに異なる磁気弾性結合定数を有し、
    前記第1磁性層及び前記第2磁性層のうちの一方は、磁気弾性結合定数の絶対値が0.5MJ/m 3 以下である歪鈍感層であり、他方は磁気弾性結合定数の絶対値が前記歪鈍感層の値よりも大きい歪敏感層であり、
    前記第1磁性層及び前記第2磁性層の磁化の相対角度は外部から加えた応力に依存して変化し、前記相対角度に依存し、前記外部から加えた応力の方向に応じた電気抵抗の変化によって、歪み方向を検出する、
    応力センサ。
  2. 前記第1磁性層及び前記第2磁性層のうちの一方は、磁気弾性結合定数の絶対値が0.1MJ/m 3 以下である歪鈍感層である、請求項1に記載の応力センサ。
  3. 前記歪敏感層の磁気弾性結合定数の絶対値は1MJ/m 3 以上である、請求項1または2に記載の応力センサ。
  4. 前記第1磁性層及び前記第2磁性層は、応力が加えられていない初期状態において、磁化方向が互いに平行あるいは反平行配列している、
    請求項1〜3記載の応力センサ。
  5. 前記応力検出層は、前記積層体に加えて、第2非磁性層及び第3磁性層からなる構造を1以上積層した積層体をさらに含む、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の応力センサ。
  6. 前記応力検出層を支持する基板を有する、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の応力センサ。
  7. 前記基板は、フレキシブル基板である、
    請求項6に記載の応力センサ。
  8. 前記第1、第2及び第3磁性層は、金属の磁性体からなる、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の応力センサ。
  9. 前記第1、第2及び第3磁性層は、Fe、Co、Ni及びそれらを含む合金からなる群より選択される1種を含む、請求項8に記載の応力センサ。
  10. 前記第1及び第2非磁性層は、金属又は絶縁体である、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の応力センサ。
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