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JP6724320B2 - 伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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JP6724320B2 - 伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プレス加工される自動車用鋼板として好適であり、590MPa以上の高い強度を持し、高い成形性、特に、高い伸びと穴広げ性を持つ高強度溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法に関する。
近年、環境問題への意識が高まり、自動車業界では、燃費向上のため、車体の軽量化が重要となっている。一方、衝突時の安全を確保するため、車体強度を高める必要も生じている。この車体軽量化と安全性の向上を両立させるためには、高強度材を使用すればよいが、強度が高くなるほどプレス成型が困難となる。これは、一般に、鋼材強度が高くなるにつれ、降伏強度が増大し、伸びが低下するためである。
高強度溶融亜鉛めっき鋼板においては、従来の焼鈍工程で、徐冷中にベイナイトが生成する。このため、例えば、特許文献1に開示されるように、ベイナイトやマルテンサイトを主体としたフェライトを含む鋼板が、従来から知られているが、必ずしも十分な成形性を有する溶融亜鉛めっきは実現されていなかった。
加えて、特許文献2には、オーステナイト低温変態相のサイズを適正化することにより、伸びフランジ性を改善する方法が開示されているが、伸びとの両立には至っていない。伸びの改善に関しては、特許文献3及び4に、残留オーステナイトの加工誘起変態を利用した鋼板(以下「TRIP鋼」ということがある。)が開示されている。
しかし、通常のTRIP鋼板は、セメンタイトの生成を抑制するため、多量のSi添加が必要であり、このSiの多量添加で、鋼板表面の溶融亜鉛めっき性が悪化するので、適用可能な部材は制限される。さらに、高強度を確保するために多量のCが必要であり、このCの多量添加で、ナゲット割れ等の溶接上の問題が生じる。
鋼板表面の溶融亜鉛めっき性については、特許文献5に、残留オーステナイトTRIP鋼のSiを低減した鋼板が開示されているが、この鋼板では、溶融亜鉛めっき性と延性の向上は望めるものの、前述の溶接性に課題が残る。
特許第5305149号公報 特許第4730056号公報 特開昭61−157625号公報 特開2007−063604号公報 特開2000−345288号公報
本発明は、従来技術の現状に鑑み、590MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板において、伸びと穴広げ性を高めることを課題とし、該課題を解決する590MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手法について、以下の観点から鋭意検討した。
(a)冷間圧延後の鋼板に、2相域又は単相域で熱処理を施した後冷却するが、ベイナイト生成域より高い温度域で保持することにより、ベイナイト変態を抑制し、ベイナイト分率が低く、かつ、必要に応じて残留オーステナイトを微量含む、フェライトとマルテンサイトの複合組織とすることで、延性の向上を図る。
(b)鋼板中のSiを低減することで、溶融亜鉛めっきの合金化温度を低下させ、合金化を行っても、特性の劣化を抑えることを狙う。
(c)冷間圧延後の焼鈍工程において、所要の温度域における加熱速度を制御することにより、フェライト相の偏在を抑制し、フェライト粒が集積したフェライト塊を無害化できる程度まで均質化することで、穴広げ性の向上を図る。
本発明者らは、鋭意検討の結果、(a)、(b)、及び、(c)を達成する知見を得て、590MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板において、伸びと穴広げ性の両立を実現することができた。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)成分組成が、質量%で、
C :0.07%以上、0.22%以下、
Si:0.005%以上、1.00%以下、
Mn:1.50%以上、2.80%以下、
P :0.001%以上、0.100%以下、
S :0.0005%以上、0.010%以下、
N :0.0005%以上、0.010%以下、
Al:0.02%以上、1.00%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、
(i)金属組織が、面積率で15%以上、50%未満のフェライト、面積率で5%未満の残留オーステナイト、面積率で30%以上、72%以下のマルテンサイト、面積率で5%以下のパーライト、及び、残部ベイナイトからなり、
(ii)金属組織において、板厚方向の厚みが20μm以下のフェライト塊が、フェライト塊の総数の50%以上である
ことを特徴とする伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
(2)前記成分組成が、さらに、質量%で、Ti:0.01%以上、0.1%以下、Mo:0.01%以上、0.3%以下、Nb:0.005%以上、0.05%以下、Cr:0.01%以上、1.0%以下、及び、B:5ppm以上、50ppm以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)に記載の伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
(3)前記(1)又は(2)に記載の成分組成からなる鋳造スラブを1100℃以上に加熱し、Ar3点以上の仕上げ温度で熱間圧延を終了し、400℃以上、670℃以下の温度域で巻き取り、次いで、酸洗を行った後、30%以上、70%以下の圧下率で冷間圧延を行って冷延鋼板とし、得られた冷延鋼板を、最高到達温度が720℃以上、900℃以下となるように加熱し、最高到達温度で、30秒以上、30分以下保持し、保持後冷却して、溶融亜鉛めっきを施す、前記(1)又は(2)に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造する製造方法であって、
500℃以上、最高到達温度−50℃以下の温度域における平均加熱速度を1℃/秒以上として加熱し、上記保持後、最高到達温度−50℃の温度から、(A)式を満たす平均冷却速度X(℃/秒)で、(B)式を満たすT(℃)の温度域まで冷却し、面積率で15%以上、50%未満のフェライト、面積率で5%未満の残留オーステナイト、面積率で30%以上、72%以下のマルテンサイト、面積率で5%以下のパーライト、及び、残部がベイナイトからなり、板厚方向の厚みが20μm以下のフェライト塊が、フェライト塊の総数の50%以上である金属組織を形成することを特徴とする伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
X(℃/秒)≧(Ar3−350)/10 ・・・(A)
a=0.6[C]+1.4[Mn]+1.3[Cr]+3.7[Mo]
+100[B]−0.87
T(℃)≧730−350[C]−90[Mn]−70[Cr]−83[Mo]
・・・(B)
[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]は、各元素の質量%
(4)前記溶融亜鉛めっきの後、調質圧延を施すことを特徴とする前記(3)に記載の伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、従来の高強度溶融亜鉛めっき鋼板に比べ、伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を提供することができる。
引張強度と伸びの関係を示す図である。 引張強度と穴広げの関係を示す図である。
本発明の伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板(以下「本発明めっき鋼板」ということがある。)は、成分組成が、質量%で、
C :0.07%以上、0.22%以下、
Si:0.005%以上、1.00%以下、
Mn:1.50%以上、2.80%以下、
P :0.001%以上、0.100%以下、
S :0.0005%以上、0.010%以下、
N :0.0005%以上、0.010%以下、
Al:0.02%以上、1.00%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、
(i)金属組織が、面積率で15%以上、50%未満のフェライト、面積率で5%未満の残留オーステナイト、面積率で30%以上、72%以下のマルテンサイト、面積率で5%以下のパーライト、及び、残部ベイナイトからなり、
(ii)金属組織において、板厚方向の厚みが20μm以下のフェライト塊が、フェライト塊の総数の50%以上である
ことを特徴とする。
本発明の伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法(以下「本発明製造方法」ということがある。)は、
本発明めっき鋼板の成分組成からなる鋳造スラブを1100℃以上に加熱し、Ar3点以上の仕上げ温度で熱間圧延を終了し、400℃以上、670℃以下の温度域で巻き取り、次いで、酸洗を行った後、30%以上、70%以下の圧下率で冷間圧延を行って冷延鋼板とし、得られた冷延鋼板を、最高到達温度が720℃以上、900℃以下となるように加熱し、最高到達温度で、30秒以上、30分以下保持し、保持後冷却して、溶融亜鉛めっきを施す、請求項1又は2に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造する製造方法であって、
500℃以上、最高到達温度−50℃以下の温度域における平均加熱速度を1℃/秒以上として加熱し、上記保持後、最高到達温度−50℃の温度から、(A)式を満たす平均冷却速度X(℃/秒)で、(B)式を満たすT(℃)の温度域まで冷却し、面積率で15%以上、50%未満のフェライト、面積率で5%未満の残留オーステナイト、面積率で30%以上、72%以下のマルテンサイト、面積率で5%以下のパーライト、及び、残部がベイナイトからなり、板厚方向の厚みが20μm以下のフェライト塊が、フェライト塊の総数の50%以上である金属組織を形成することを特徴とする。
X(℃/秒)≧(Ar3−350)/10 ・・・(A)
a=0.6[C]+1.4[Mn]+1.3[Cr]+3.7[Mo]
+100[B]−0.87
T(℃)≧730−350[C]−90[Mn]−70[Cr]−83[Mo]
・・・(B)
[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]は、各元素の質量%
以下、本発明めっき鋼板及び本発明製造方法について説明する。
従来のDP(Dual Phase(二相))型の超ハイテン鋼では、一般に、フェライトやマルテンサイトなどの組織分率を調整して材質制御を行っている。本発明者らは、この材質制御に加え、組織形態と材質に着眼し、各相の存在状態に主眼を置いて鋭意研究を行った。
その結果、DP鋼(残留オーステナイト少量含む場合も含む)においては、軟質相と分類されるフェライト相の形態制御により、延性を劣化させず、穴広げ性を大きく高めることができることを見出した。
一般に、軟質相であるフェライトは、DP鋼において変形を担う存在として、鋼の低ひずみ域から変形量が大きい。但し、マルテンサイト近傍のフェライトは、マルテンサイトの変形拘束により、変形量は小さくなる。
本発明者らは、この現象に着眼し、フェライトの変形拘束の最適条件を検討し、伸びの向上が得られる面積分率の比を維持しつつ、フェライト相が隣接する硬質相からの影響を強く受ける状態を適正化することで、伸びと穴広げ性の両立を得るに至った。
従来、ミクロ組織制御の主流は、結晶粒界と特性との相関に関する検討であったが、本発明者らは、単相鋼であれば、特性の異なる粒界の影響が大きいことは自明であるが、フェライトとマルテンサイトのように特性の大きく異なる複合組織における穴広げ性では、個々の相内の粒径は大きな意味をなさず、同一相の存在状態が特性に大きく寄与と考え、硬質相(ベイナイト、マルテンサイト)によって相境界を形成するフェライトの塊(複数のフェライト粒を有する第二相によって囲まれたフェライト粒の集合体)で評価することの価値を見出し、これによって、上記の適正条件を見出した。
適正条件における材質改善のメカニズムは明確でないが、フェライト塊の板厚方向の厚みが薄ければ、硬質相による変形拘束によって、フェライト相の変形が抑制されるので、擬似的に、フェライト硬化が達成され、強度に優位なうえ、局部の巨大変形が割れの起点となる穴広げ性に優位となったと考えられる。
ここで、フェライト塊の厚みは、硬質相で囲まれたフェライトの塊の個々において、板面に垂直方向の相厚さの最大値をとる。一方、伸びは、フェライト相の変形能に寄与することから、相分率と線形的な相関がみられる。この知見によって、フェライト相の形態を制御することで、本発明めっき鋼板において、伸びと穴広げ性の両立を可能とするに至った。
本発明めっき鋼板の板厚は、特に限定されないが、0.1〜11.0mmの薄鋼板が好ましい。板厚0.1〜11.0mmの高強度薄鋼板は、プレス加工で製造される自動車用部材の鋼材として好ましい。また、板厚が0.1〜11.0mmの高強度薄鋼板は、薄板製造ラインを用いて容易に製造できる。引張強度は、590N/mm2超が好ましい。引張強度590N/mm2超の高強度鋼板は、特に、自動車用部材の鋼材として好適である。
以下、本発明めっき鋼板を規定する要件について説明する。
フェライト塊
板厚方向の厚み:20μm以下
存在割合:総数の50%以上
本発明めっき鋼板において最も重要な要件はフェライト塊の厚みである。フェライト塊の板厚方向の厚みが20μmを超えると、隣接する硬質相からの拘束がフェライト塊に対して不十分となり、フェライト塊の中心部に過度の変形が強いられたとき、局部的な変形が発生して、フェライトの変形限界に容易に達し、穴広げ性の向上効果が得られない。それ故、本発明めっき鋼板においては、板厚方向の厚みが20μm以下のフェライト塊に着目する。
穴広げ性の向上効果を優位差が得られる程度まで高めるためには、板厚方向の厚みが20μm以下のフェライト塊が、フェライト塊の総数の50%以上存在する必要がある。特に、穴広げ性への要求が強い場合には70%以上とする。
次に、本発明めっき鋼板の成分組成の限定理由について説明する。以下、%は質量%を意味する。
成分組成
C:0.07%以上、0.22%以下
Cは、鋼の強化に寄与する元素である。特に、マルテンサイトの硬さに強く影響を与える元素である。Cが0.07%未満であると、所要の強度を確保することが困難になるので、Cは0.07%以上とする。好ましくは0.10%以上である。
一方、Cが0.22%を超えると、セメンタイトが生成して、穴広げ性が著しく低下し、また、溶接性が著しく低下するので、Cは0.22%以下とする。好ましくは0.20%以下である。
Si:0.005%以上、1.00%以下
Siは、固溶強化により、延性を低下させずに、鋼の強度を高め元素であるが、溶融亜鉛めっきにおいては、めっきの濡れ性を低下させるとともに、合金化温度を高め、めっきの強度の低下を招く元素でもある。
Siが0.005%未満であると、固溶強化による強度向上効果が得られないので、Siは0.005%以上とする。好ましくは0.010%以上である。一方、Siが1.00%を超えると、めっきの強度が著しく低下し、また、点溶接性が低下するので、Siは1.00%以下とする。好ましくは0.70%以下である。
Mn:1.50%以上、2.80%以下
Mnは、固溶強化により、又は、焼入れ性を高めて強度の向上に寄与する元素である。Mnが1.50%未満であると、添加効果が十分に得られないので、Mnは1.50%以上とする。好ましくは1.80%以上である。
一方、Mnが2.80%を超えると、溶接性が低下し、また、フェライトの生成量が低下して延性が低下するとともに、偏析が大きくなって、穴広げ性も著しく低下するので、Mnは2.80%以下とする。好ましくは2.60%以下である。
P:0.001%以上、0.100%以下
Pは、鋼板の強度向上に寄与する元素であり、また、Cuと同時添加で耐食性の向上に寄与する元素である。Pが0.001%未満であると、添加効果が十分に得られないとともに、製鋼コストが大幅に上昇するので、Pは0.001%以上とする。
一方、Pが0.100%を超えると、溶接性と加工性が低下するので、Pは0.100%以下とする。特に、耐食性が問題とならない場合には、加工性を重視して、0.050%以下が好ましい。
S:0.0005%以上、0.010%以下
Sは、割れの起点となるMnS等の硫化物を形成し、穴拡げ性と全伸びを阻害する元素である。
Sは少ないほど好ましいが、Sが0.0005%未満であると、脱硫コストが大幅に上昇するので、Sは0.0005%以上とする。一方、Sが0.010%を超えると、穴拡げ性と全伸びが著しく低下するので、Sは0.010%以下とする。好ましくは0.005%以下である。
N:0.0005%以上、0.010%以下
Nは、窒化物を生成して、加工性を阻害する元素である。また、Nは、Ti及び/又はNbと共存すると、TiN及び/又はNbNを生成して、Ti及び/又はNbの有効量を低減するとともに、生成した窒化物により、伸び及び穴拡げ性を阻害する元素でもある。
Nは少ないほど好ましいが、Nが0.0005%未満であると、脱Nコストが大幅に上昇するので、Nは0.0005%以上とする。好ましくは0.0010%以上である。一方、Nが0.010%を超えると、加工性、伸び、及び、穴拡げ性が著しく低下するので、Nは0.010%以下とする。好ましくは0.007%以下である。
Al:0.02%以上、1.00%以下
Alは、脱酸作用をなす元素であり、また、Siと同様に、炭化物の生成を抑え、伸びと穴広げ性の向上に寄与する元素である。また、Alは、低Si系において、延性を阻害することなく、化成処理性を改善する元素でもある。
Alが0.02%未満では、添加効果が十分に得られないので、Alは0.02%以上とする。一方、Alが1.00%を超えると、延性向上効果が飽和する他、化成処理性と点溶接性が低下するので、Alは1.00%以下とする。特に化成処理の厳しい条件下では0.80%以下が好ましい。
本発明めっき鋼板の成分組成は、さらに、特性向上のため、必要に応じて、Ti:0.01%以上、0.10%以下、Mo:0.01%以上、0.30%以下、Nb:0.005%以上、0.050%以下、Cr:0.01%以上、1.00%以下、及び、B:5ppm以上、50ppm以下の1種又は2種以上を含有してもよい。
Ti:0.01%以上、0.10%以下
Mo:0.01%以上、0.30%以下
Nb:0.005%以上、0.050%以下
B:5ppm以上、50ppm以下
Ti、Mo、Nb、及び、Bは、再結晶を遅らせ、未再結晶フェライトの形成に寄与する元素である。また、Ti、及び、Nbは、炭化物又は窒化物を形成し、強度の向上に寄与する元素であり、Mo、及び、Bは、焼入れ性を高めて、マルテンサイト分率の制御に寄与する元素である。特に、Moは、焼鈍工程の冷却中のパーライトの生成抑制にも寄与する重要な元素である。
Tiが0.01%未満、Moが0.01%未満、Nbが0.005%未満、又は、Bが5ppm未満であると、添加効果が十分に得られないので、Tiは0.01%以上とし、Moは0.01%以上とし、Nbは0.005%以上とし、Bは5ppm以上とする。
一方、Tiが0.10%を超え、Moが0.30%を超え、Nbが0.050%を超え、又は、Bが50ppmを超えると、析出強化により伸びが低下するので、Tiは0.10%以下とし、Moは0.30%以下とし、Nbは0.050%以下とし、Bは50ppm以下とする。
Cr:0.01%以上、1.00%以下
Crは、焼入れ性を向上させ組織制御に寄与し、また、セメンタイトの抑制にも寄与する元素である。Crが0.01%未満では、添加効果が十分に得られないので、Crは0.01%以上とする。好ましくは0.02%以上である。一方、Crが1.00%を超えると、焼入れ性が向上しすぎて、伸びが低下するので、Crは1.00%以下とする。好ましくは0.70%以下である。
本発明めっき鋼板は、Ca、Mg、及び、REMの1種又は2種以上を、介在物の形状制御のため、いずれも、本発明めっき鋼板の特性を損なわない範囲で、0.01%以下含有してもよい。また、本発明めっき鋼板は、耐食性を高めるため、Cu、及び、Niの1種又は2種を、本発明めっき鋼板の特性を損なわない範囲で、0.50%以下含有してもよい。
なお、本発明めっき鋼板の成分組成の残部は、Fe及び不可避的不純物である。
次に、本発明めっき鋼板の金属組織について説明する。
本発明めっき鋼板では、フェライトとマルテンサイトの分率(面積率)と形状の制御により、高次元で、強度、延性、及び、穴広げ性のバランスを得ることができる。フェライト分率(面積率)を高めると、延性が向上するが、フェライト相は軟質であるため、強度、及び、穴広げ性が低下する。本発明めっき鋼板では、硬質相による軟質相の変形拘束機能を使用することで、フェライトの特性を有効に活用する。
以下説明するが、組織に係る%は面積率を意味する。なお、面積率の算出方法については後述する。
マルテンサイト:30%以上、72%以下
フェライト:15%以上、50%未満
強度確保のため、マルテンサイトは30%以上とし、フェライトは50%未満とする。強度と穴広げ性を優先する場合、フェライトは37%未満が好ましい。伸び確保の点で、マルテンサイトは72%以下とし、フェライトは15%以上とする。高い伸びが必要な場合、マルテンサイトは65%以下が好ましく、フェライトは20%以上が好ましい。
残留オーステナイト:5%未満
伸び確保のため、残留オーステナイトを補助的に利用することが有効であるが、残留オーステナイトは、使用条件によっては、水素割れの発生源となるので、残留オーステナイトは5%未満とする。好ましくは4%以下である。伸び向上の点で、残留オーステナイトは1%以上が好ましい。
パーライト:5%以下
パーライトは、伸び、及び、穴広げ性を阻害するので、生成を回避して、5%以下とする。成形の厳しい条件下では、2%未満が好ましい。下限は0%を含む。
なお、本発明めっき鋼板の金属組織の残部は、ベイナイトである。
面積率の算出方法
本発明めっき鋼板の金属組織に含まれるフェライト、マルテンサイト、及び、他の組織の面積率は、以下の方法で求める。鋼板から、圧延方向に平行な板厚断面が観察面となるように試料を採取し、観察面を研磨し、ナイタールエッチングを行い、光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy:SEM)で観察し撮像する。撮像画像を、画像解析ソフトを用いて解析して、各組織の面積率を算出する。
面積率は、顕微鏡画像の1つの視野を縦200μm横200μm以上の面積とし、視野の異なる10以上の顕微鏡画像を、それぞれ、画像解析して面積率を算出し、これを平均して算出する。顕微鏡画像を用いて、フェライト塊の厚さも測定する。上記視野のフェライト塊の板厚方向に一番長い厚さをフェライト塊の厚さとする。
なお、マルテンサイトについて、ナイタールエッチングでは判別し難いときは、レペラーエッチングを利用する。
残留オーステナイトの面積率は、例えば、電子線後方散乱回折(electron backscatter diffraction:EBSD)法、又は、X線回折法により測定することができる。X線回折法により測定する場合は、Mo−Kα線を用いて、フェライトの(111)面の回折強度(α(111))、残留オーステナイトの(200)面の回折強度(γ(200))、フェライトの(211)面の回折強度(α(211))、及び、残留オーステナイトの(311)面の回折強度(γ(311))を測定し、次式から、残留オーステナイトの面積率(fA)を算出する。
A=(2/3){100/(0.7×α(111)/γ(200)+1)}
+(1/3){100/(0.78×α(211)/γ(311)+1)}
本発明めっき鋼板のめっき付着量は、特に制約はないが、耐食性の観点から、片面付着量で5g/m2以上が好ましい。
本発明めっき鋼板においては、溶融亜鉛めっき層の上に、塗装性や溶接性を改善する目的で、上層めっきを施してもよい。また、本発明めっき鋼板においては、溶融亜鉛めっき層の上に、各種の処理、例えば、クロメート処理、りん酸塩処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理等を施してもよい。
次に、本発明製造方法について説明する。
本発明製造方法は、本発明めっき鋼板の成分組成からなる鋳造スラブを1100℃以上に加熱し、Ar3点以上の仕上げ温度で熱間圧延を終了し、400℃以上、670℃以下の温度域で巻き取り、次いで、酸洗を行った後、30%以上、70%以下の圧下率で冷間圧延を行って冷延鋼板とし、得られた冷延鋼板を、最高到達温度が720℃以上、900℃以下となるように加熱し、最高到達温度で、30秒以上、30分以下保持し、保持後冷却して、溶融亜鉛めっきを施す、請求項1又は2に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造する製造方法であって、
500℃以上、最高到達温度−50℃以下の温度域における平均加熱速度を1℃/秒以上として加熱し、上記保持後、最高到達温度−50℃の温度から、(A)式を満たす平均冷却速度X(℃/秒)で、(B)式を満たすT(℃)の温度域まで冷却する
ことを特徴とする。
X(℃/秒)≧(Ar3−350)/10a ・・・(A)
a=0.6[C]+1.4[Mn]+1.3[Cr]+3.7[Mo]
+100[B]−0.87
T(℃)≧730−350[C]−90[Mn]−70[Cr]−83[Mo]
・・・(B)
[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]は、各元素の質量%
鋳造スラブの加熱温度:1100℃以上
本発明めっき鋼板の成分組成からなる鋳造スラブを製造し、該鋳造スラブを、直接、又は、一旦冷却した後、1100℃以上に加熱して、熱間圧延に供する。
鋳造スラブを熱間圧延に供する前に、鋳造スラブの均質化及び炭窒化物の溶解のため、1100℃以上に加熱する。加熱温度が1100℃未満であると、鋳造スラブの均質化及び炭窒化物の溶解が不十分となり、鋼板の強度や加工性が低下するので、鋳造スラブの加熱温度は1100℃以上とする。好ましくは1150℃である。
一方、鋳造スラブの加熱温度が1300℃を超えると、製造コストが増加するとともに、生産性が低下することに加え、初期のオーステナイト粒が粗大化して、最終的に混粒になり、延性が低下する恐れがあるので、鋳造スラブの加熱温度は1300℃以下が好ましい。
鋳造スラブの加熱は、鋳造直後の高温の鋳造スラブに直接行ってもよいし、鋳造後一旦冷却した鋳造スラブに行ってもよい。
熱延仕上げ温度:Ar3点以上
熱間圧延は、Ar3点以上の温度で仕上げ圧延を行う。熱延仕上げ温度がAr3点未満であると、冷間圧延で割れが発生し、材質が低下する懸念があるので、熱延仕上げ温度はAr3点以上とする。
Ar3点は、C、Si、P、Al、Mn、及び、Moの質量%を、それぞれ、(%C)、(%Si)、(%P)、(%Al)、(%Mn)、及び、(%Mo)と表示して、以下の式により算出することができる。
Ar3=901−325×(%C)+33×(%Si)+287×(%P)
+40×(%Al)−92×((%Mn)+(%Mo))
巻取り温度:400℃以上、670℃以下
Ar3点以上の温度で仕上げ圧延を終了した熱延鋼板を、400℃以上、670℃以下の温度域で巻き取る。巻取り温度が400℃未満であると、熱延鋼板の強度が上昇して、冷間圧延時の負荷が増大するので、巻取り温度は400℃以上とする。好ましくは450℃以上である。
一方、巻取り温度が670℃を超えると、セメンタイトが粗大化して、焼鈍時の負荷が増大するので、巻取り温度は670℃以下とする。好ましくは650℃以下である。
冷間圧延の圧下率:30%以上、70%以下
熱延鋼板を巻き戻して、酸洗してスケール層を除去した後、冷間圧延に供する。冷間圧延は、30%以上、70%以下の圧下率で行う。圧下率が30%未満であると、再結晶核の形成が起こり難く、回復粒の粗大化によって粒成長が始まって、再結晶が不十分となり、延性が劣化するので、圧下率は30%以上とする。好ましくは35%以上である。
圧下率は、未再結晶フェライトの面積率を小さくして、鋼板の伸びをより一層高める点で、高いほど好ましいが、圧下率が70%を超えると、圧延荷重が増大するので、圧下率は70%以下とする。圧下率は、圧延荷重が高いことによる鋼板形状の劣化を防止する点で、65%以下が好ましい。
焼鈍工程
最高到達温度:720℃以上、900℃以下
保持時間:30秒以上、30分以下
焼鈍工程は、本発明めっき鋼板の金属組織を作りこむうえで、最も重要な工程である。最高到達温度が720℃未満であると、十分な量のオーステナイトを形成できず、十分な量のマルテンサイトを確保できず、所要の強度を確保できないので、最高到達温度は720℃以上とする。好ましくは770℃以上である。
最高到達温度が900℃を超えると、オーステナイト粒が成長し、その後のフェライト形成が遅延して、延性が低下するので、最高到達温度は900℃以下とする。強度−延性バランスを高める点で、最高到達温度は850℃未満が好ましい。
保持時間が30秒未満であると、オーステナイトの生成量が不十分となるので、保持時間は30秒以上とする。好ましくは1分以上である。一方、保持時間が30分を超えると、オーステナイト粒が粗大化して、延性と穴広げ性が低下するので、保持時間は30分以下とする。好ましくは25分以下である。
なお、保持時間は、最高到達温度−100℃から最高到達温度までの温度域に保持した時間である。
焼鈍工程における加熱
500℃以上、最高到達温度−50℃以下の温度域における平均加熱速度:1℃/秒以上
焼鈍工程における加熱速度は重要な要件である。フェライトの分散を制御するためには、平均加熱速度は速い方が好ましく、平均加熱速度が1℃/秒未満であると、優先核生成位置から核が生成してフェライト塊が大きくなり、穴広げ性が低下するので、平均加熱速度は1℃/秒以上とする。好ましくは5℃/秒以上である。
核生成を促進する温度域は500℃以上の温度域であるので、平均加熱速度は、500℃以上、最大到達温度−100℃の温度域において実現する必要がある。
焼鈍工程における冷却
最高到達温度−50℃の温度から、(B)式を満たすT(℃)までの温度域における平均冷却速度X(℃/秒):(A)式
鋼板を、最高到達温度に所要に時間保持した後、冷却する。平均冷却速度が遅いと、冷却途中にパーライトが生成し、伸びと穴広げ性が低下するので、生成を回避する必要がある。
720℃から冷却停止温度までの平均冷却速度が式(A)を満たすと、パーライトの面積率を2%未満に抑制することができる。
冷却停止温度を(B)式を満たすT℃以上とする。冷却停止温度が(B)式を満たさないと、多量のベイナイトが生成して、十分な量のマルテンサイトが得られず、所要の強度を確保できないので、冷却停止温度は(B)式を満たすT℃以上とする。
なお、鋼板をめっき浴に浸漬する直前に、めっき浴温との温度調整のために、鋼板を加熱してもよい。
X(℃/秒)≧(Ar3−350)/10a ・・・(A)
a=0.6[C]+1.4[Mn]+1.3[Cr]+3.7[Mo]
+100[B]−0.87
T(℃)≧730−350[C]−90[Mn]−70[Cr]−83[Mo]
・・・(B)
[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]は、各元素の質量%
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
表1に示す成分組成の鋼を溶製し、常法に従い連続鋳造法により鋳造スラブとした。表1において、符号A〜Lの鋼は、成分組成が本発明の範囲を満たしている発明鋼である。
符号aの鋼は、CとMoが本発明の範囲外であり、符号bの鋼は、MnとPが本発明の範囲外であり、符号cの鋼は、Nbが本発明の範囲外であり、符号dの鋼は、CとMnが本発明の範囲外であり、符号eの鋼は、SiとSが本発明の範囲外であり、符号fの鋼は、N、Ti、及び、Bが本発明の範囲外である。
表1において、本発明の範囲外の数値には下線を付した。後出の表2及び表3においても同様である。
Figure 0006724320
表1に示す成分組成の鋳造スラブを、加熱して、熱間圧延に供し、酸洗後、冷間圧延に供し、焼鈍工程、冷却工程を経て、板厚1.4mmの鋼板を製造した。
表2に、鋳造スラブの加熱温度、Ar3点、熱間圧延の仕上げ温度、巻取り温度、冷間圧延の圧下率、焼鈍工程での平均加熱速度、最高到達温度、保持時間、冷却工程での平均冷却速度、冷却停止温度を示す。また、式(A)及び式(B)の右辺の値も併せて示す。
Figure 0006724320
表2に示す鋼の符号(アルファベット+数字)は、アルファベットが、表1に示す鋼を示し、数字が、実施例の番号を示す。例えば、「A1」は、表1の鋼Aを用いた1番目の実施例であることを意味する。後出の表3においても同様である。
表2に示す条件で製造した鋼板に、常法に従って溶融亜鉛めっきを施す。鋼板を溶融亜鉛めっき浴に浸漬した後、600℃以下で合金化処理を施して、供試体とした。
供試体について、JIS Z 2241に準拠して機械特性(降伏応力、引張強度、伸び、降伏点伸び)を評価した。穴広げ性については、JIS Z 2256に準拠して評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006724320
供試体について、前述した方法を用いて、フェライト、残留オーステナイト、マルテンサイト、及び、パーライトの面積率(%)、及び、フェライト塊の厚さが20μm以下のフェライト塊の割合を測定した。その結果を表3に併せて示す。
図1に、引張強度と伸びの関係を示す。表3に示す発明鋼の結果と、比較鋼のうち成分組成が本発明の範囲を満たす比較鋼の結果を示す図である。図1から、発明鋼は、比較鋼に比べて、優れた伸び特性を持つことを確認することができる。
図2に、引張強度と穴広げの関係を示す。表3に示す発明鋼の結果と、比較鋼のうち成分組成が本発明の範囲を満たす比較鋼の結果を示す図である。図2から、発明鋼は、比較鋼に比べて、優れた穴広げ性を持つことを確認することができる。
鋼A1においては、冷間圧延の圧下率が低いため、フェライト塊の厚さが増大し、伸びと穴広げ性が低下している。
鋼B1においては、冷却工程での平均冷却速度が遅いため、パーライトの分率が増加して、伸びと穴広げ性が低下している。鋼C1においては、焼鈍工程での保持時間が短いため、フェライトが多く生成して、マルテンサイトが減少するとともに、フェライト塊の厚みが増大し、伸びと穴広げ性が低下している。
鋼C3においては、焼鈍工程での保持時間が長いため、フェライトが減少して、マルテンサイトが増加し、伸びと穴広げ性が低下している。鋼D1においては、焼鈍工程での最高到達温度が低いため、フェライトが多く生成して、マルテンサイトが減少するとともに、フェライト塊の厚みが増大し、伸びと穴広げ性が低下している。
鋼E1と鋼G1においては、焼鈍工程での冷却停止温度が低いため、フェライト塊の厚みが増大し、伸びと穴広げ性が低下している。鋼E5においては、焼鈍工程での平均加熱速度が遅いため、ベイナイト変態が進んで、マルテンサイトが減少し、伸びと穴広げ性が低下している。鋼L2においては、熱延工程の加熱温度が低いため、伸びと穴広げ性が低下している。
前述したように、本発明によれば、従来の高強度溶融亜鉛めっき鋼板に比べ、伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を提供することができる。よって、本発明は、鋼板製造産業及び自動車産業において利用可能性が高いものである。

Claims (4)

  1. 成分組成が、質量%で、
    C :0.07%以上、0.22%以下、
    Si:0.005%以上、1.00%以下、
    Mn:1.50%以上、2.80%以下、
    P :0.001%以上、0.100%以下、
    S :0.0005%以上、0.010%以下、
    N :0.0005%以上、0.010%以下、
    Al:0.02%以上、1.00%以下
    を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、
    (i)金属組織が、面積率で15%以上、50%未満のフェライト、面積率で5%未満の残留オーステナイト、面積率で30%以上、72%以下のマルテンサイト、面積率で5%以下パーライト、及び、残部ベイナイトからなり、
    (ii)金属組織において、板厚方向の厚みが20μm以下のフェライト塊が、フェライト塊の総数の50%以上である
    ことを特徴とする伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 前記成分組成が、さらに、質量%で、Ti:0.01%以上、0.10%以下、Mo:0.01%以上、0.30%以下、Nb:0.005%以上、0.050%以下、Cr:0.01%以上、1.00%以下、及び、B:5ppm以上、50ppm以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 請求項1又は2に記載の成分組成からなる鋳造スラブを1100℃以上に加熱し、Ar3点以上の仕上げ温度で熱間圧延を終了し、400℃以上、670℃以下の温度域で巻き取り、次いで、酸洗を行った後、30%以上、70%以下の圧下率で冷間圧延を行って冷延鋼板とし、得られた冷延鋼板を、最高到達温度が720℃以上、900℃以下となるように加熱し、最高到達温度で、30秒以上、30分以下保持し、保持後冷却して、溶融亜鉛めっきを施す、請求項1又は2に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造する製造方法であって、
    500℃以上、最高到達温度−50℃以下の温度域における平均加熱速度を1℃/秒以上として加熱し、上記保持後、最高到達温度−50℃の温度から、(A)式を満たす平均冷却速度X(℃/秒)で、(B)式を満たすT(℃)の温度域まで冷却し、面積率で15%以上、50%未満のフェライト、面積率で5%未満の残留オーステナイト、面積率で30%以上、72%以下のマルテンサイト、面積率で5%以下のパーライト、及び、残部がベイナイトからなり、板厚方向の厚みが20μm以下のフェライト塊が、フェライト塊の総数の50%以上である金属組織を形成することを特徴とする伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
    X(℃/秒)≧(Ar3−350)/10a ・・・(A)
    a=0.6[C]+1.4[Mn]+1.3[Cr]+3.7[Mo]
    +100[B]−0.87
    T(℃)≧730−350[C]−90[Mn]−70[Cr]−83[Mo]
    ・・・(B)
    [C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]は、各元素の質量%
  4. 前記溶融亜鉛めっきの後、調質圧延を施すことを特徴とする請求項3に記載の伸びと穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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