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JP6729302B2 - 向流式直接加熱型熱交換器 - Google Patents
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JP6729302B2 - 向流式直接加熱型熱交換器 - Google Patents

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Description

本発明は、向流式直接加熱型熱交換器に関する。さらに詳しくは、被加熱物流体をその上部から流入させその下部から流出させ、同時に加熱媒体をその下部から流入させその上部から流出させながら、被加熱物流体と加熱媒体とを直接接触させて熱交換を行う向流式直接加熱型熱交換器に関する。
リモナイト鉱等に代表される低品位ニッケル酸化鉱石からニッケル、コバルト等の有価金属を回収する湿式製錬法として、硫酸を用いた高圧酸浸出法(HPAL: High Pressure Acid Leaching)である高温加圧硫酸浸出法が知られている。
高温加圧硫酸浸出法を用いた湿式製錬には、前処理工程と、高温加圧硫酸浸出工程とが含まれる。前処理工程では、ニッケル酸化鉱石を解砕分級して鉱石スラリーを製造する。高温加圧硫酸浸出工程では、鉱石スラリーをオートクレーブに装入して、必要に応じて選択された温度や圧力等の浸出条件下で浸出処理を行う。
高い浸出率を維持するため、オートクレーブの浸出条件として200〜300℃程度の温度が選択されることが一般的である。一方、前処理工程で製造された鉱石スラリーの温度は外気温と同程度である。そのため、鉱石スラリーをそのままの温度でオートクレーブに装入すると、オートクレーブ内の温度を低下させ浸出率が低下するばかりでなく、温度条件が不安定になり浸出反応が困難になる。そこで、鉱石スラリーを予熱してオートクレーブ内の温度に近づけた後に、鉱石スラリーをオートクレーブに装入することが行われる。
鉱石スラリーの予熱設備として向流式直接加熱型熱交換器が用いられる(特許文献1)。向流式直接加熱型熱交換器は、被加熱物流体(鉱石スラリー)をその上部から流入させその下部から流出させ、同時に加熱媒体(水蒸気)をその下部から流入させその上部から流出させながら、被加熱物流体と加熱媒体とを直接接触させて熱交換を行う。
特開2010−25455号公報
鉱石スラリーの加熱に向流式直接加熱型熱交換器を用いると、向流式直接加熱型熱交換器の容器の側壁が鉱石スラリーにより摩耗する場合がある。
本発明は上記事情に鑑み、被加熱物流体による容器の摩耗を抑制できる向流式直接加熱型熱交換器を提供することを目的とする。
第1発明の向流式直接加熱型熱交換器は、容器と、前記容器の内部に水平に設けられ、被加熱物流体を供給する供給パイプと、前記供給パイプの端部に設けられ、鉛直下方に開口する供給口と、前記供給口に接続された整流器と、前記整流器の鉛直下方に頂点が配置された傘形分散板と、を備え、前記整流器は、筒体と、前記筒体の内部に設けられた誘導板と、を備え、前記誘導板は、前記筒体の内部を前記供給パイプの上流側の流路と下流側の流路とに仕切るように配置され、その上端が前記供給パイプ内に突出しており、その上端が前記供給パイプの下流側に傾くように、前記筒体の中心軸に対して傾斜していることを特徴とする。
第2発明の向流式直接加熱型熱交換器は、第1発明において、前記整流器は、複数の前記誘導板を備えていることを特徴とする。
第3発明の向流式直接加熱型熱交換器は、第1または第2発明において、前記整流器は、前記筒体の内部をその中心軸に沿う複数の流路に仕切る仕切部材を備えることを特徴とする。
第4発明の向流式直接加熱型熱交換器は、容器と、前記容器の内部に水平に設けられ、被加熱物流体を供給する供給パイプと、前記供給パイプの端部に設けられ、鉛直下方に開口する供給口と、前記供給口に接続された整流器と、前記整流器の鉛直下方に頂点が配置された傘形分散板と、を備え、前記整流器は、筒体と、前記筒体の内部に設けられた誘導板と、前記筒体の内部をその中心軸に沿う複数の流路に仕切る仕切部材と、を備え、前記誘導板は、前記筒体の内部を前記供給パイプの上流側の流路と下流側の流路とに仕切るように配置され、その上端が前記供給パイプ内に突出しており、前記筒体にはスリットが形成されており、前記仕切部材は挿入板を有しており、前記スリットに前記挿入板が挿入され、それらが溶接されていることを特徴とする。
第5発明の向流式直接加熱型熱交換器は、容器と、前記容器の内部に水平に設けられ、被加熱物流体を供給する供給パイプと、前記供給パイプの端部に設けられ、鉛直下方に開口する供給口と、前記供給口に接続された整流器と、前記整流器の鉛直下方に頂点が配置された傘形分散板と、を備え、前記整流器は、筒体と、前記筒体の内部に設けられた誘導板と、前記筒体の内部をその中心軸に沿う複数の流路に仕切る仕切部材と、を備え、前記誘導板は、前記筒体の内部を前記供給パイプの上流側の流路と下流側の流路とに仕切るように配置され、その上端が前記供給パイプ内に突出しており、前記仕切部材は、前記筒体の中心軸上に配置され、前記被加熱物流体の流れを妨げる邪魔部材を備えることを特徴とする。
第6発明の向流式直接加熱型熱交換器は、容器と、前記容器の内部に水平に設けられ、被加熱物流体を供給する供給パイプと、前記供給パイプの端部に設けられ、鉛直下方に開口する供給口と、前記供給口に接続された整流器と、前記整流器の鉛直下方に頂点が配置された傘形分散板と、を備え、前記整流器は、筒体と、前記筒体の内部に設けられた誘導板と、を備え、前記誘導板は、前記筒体の内部を前記供給パイプの上流側の流路と下流側の流路とに仕切るように配置され、その上端が前記供給パイプ内に突出しており、前記傘形分散板の頂点近傍が犠牲材で覆われていることを特徴とする。
第7発明の向流式直接加熱型熱交換器は、容器と、前記容器の内部に水平に設けられ、被加熱物流体を供給する供給パイプと、前記供給パイプの端部に設けられ、鉛直下方に開口する供給口と、前記供給口に接続された整流器と、前記整流器の鉛直下方に頂点が配置された傘形分散板と、を備え、前記整流器は、筒体と、前記筒体の内部に設けられた誘導板と、を備え、前記誘導板は、前記筒体の内部を前記供給パイプの上流側の流路と下流側の流路とに仕切るように配置され、その上端が前記供給パイプ内に突出しており、前記整流器の開口部と前記傘形分散板の頂点との距離は、前記整流器の直径の1.1倍以上1.3倍以下であることを特徴とする。
第8発明の向流式直接加熱型熱交換器は、第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7発明において、前記整流器は前記供給口に取り外し可能に接続されていることを特徴とする。
第9発明の向流式直接加熱型熱交換器は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8発明において、前記被加熱物流体はスラリーであることを特徴とする。
第1発明によれば、誘導板の上端が供給パイプ内に突出しているので、上流側の流路に導入される被加熱物流体の流量を多くできる。これにより、被加熱物流体の流量偏流を抑制できるので、被加熱物流体を傘形分散板の全方向に均等に分散できる。そのため、容器の側壁に接触する被加熱物流体の量が局所的に多くならず、被加熱物流体による容器の摩耗を抑制できる。また、上端が下流側に傾くように誘導板が傾斜しているので、上流側の流路の流速を速くでき、下流側の流路の流速を遅くできる。これにより、被加熱物流体の流量偏流を抑制できる。
第2発明によれば、整流器に複数の誘導板が備えられているので、細かい区分で被加熱物流体の流量を調整でき、被加熱物流体の流量をより均一にできる。
第3発明によれば、仕切部材により被加熱物流体の方向偏流を抑制できるので、被加熱物流体が傘形分散板の頂点近傍に流下し、傘形分散板の全方向に均等に分散される。そのため、容器の側壁に接触する被加熱物流体の量が局所的に多くならず、被加熱物流体による容器の摩耗を抑制できる。
第4発明によれば、筒体と仕切部材とが嵌合と溶接とにより強固に接合されているので、被加熱物流体の流れにより生じる抵抗に対抗でき、整流器が破損し難い。
第5発明によれば、邪魔部材の鉛直下方における被加熱物流体の流速を抑え、傘形分散板の頂点への被加熱物流体の衝突を弱めることができるので、傘形分散板の損傷を低減できる。
第6発明によれば、犠牲材が被加熱物流体の流下による衝撃を受けるので傘形分散板の摩耗を抑制できる。
第7発明によれば、整流器と傘形分散板との距離が整流器の直径の1.1倍以上であるので、被加熱物流体がスムーズに流れ、被加熱物流体と傘形分散板との擦れが弱くなり、傘形分散板の摩耗を抑制できる。整流器と傘形分散板との距離が整流器の直径の1.3倍以下であるので、整流器から流下する被加熱物流体の流れる方向が加熱媒体の流れにより変わりにくい。
第8発明によれば、整流器が取り外し可能であるので、整流器の交換や補修が容易である。
第9発明によれば、被加熱物流体がスラリーであったとしても、被加熱物流体による容器の摩耗を抑制できる。
本発明の第1実施形態に係る向流式直接加熱型熱交換器Aの縦断面図である。 図1におけるII-II線矢視断面図である。 図1におけるIII-III線矢視断面図である。なお、ハッチングは傘形分散板20を示す。 図1におけるIV-IV線矢視断面図である。なお、ハッチングは環状整流板30を示す。 整流器40を設けない場合の供給口12付近の拡大図である。 (A)図は整流器40の縦断面図である。(B)図は整流器40の平面図である。 整流器40の斜視分解図である。 整流器40付近の拡大図である。 本発明の第2実施形態における整流器40の縦断面図である。 本発明の第3実施形態における整流器40の縦断面図である。 (A)図は他の実施形態における整流器40の横断面図である。(B)図はさらに他の実施形態における整流器40の横断面図である。 (A)図はスラリー濃度分布のシミュレーション結果である。(B)図はスラリー流速分布のシミュレーション結果である。 湿式製錬の全体工程図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
(湿式製錬)
本発明の第1実施形態に係る向流式直接加熱型熱交換器Aは、高温加圧硫酸浸出法を用いてニッケル酸化鉱石からニッケル・コバルト混合硫化物を得る湿式製錬に用いられる。図13に示すように、前記湿式製錬は、前処理工程(101)と、高温加圧硫酸浸出工程(102)と、固液分離工程(103)と、中和工程(104)と、脱亜鉛工程(105)と、硫化工程(106)と、無害化工程(107)とを備える。
原料のニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱およびサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が用いられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は通常0.5〜3.0質量%である。ニッケルは水酸化物またはケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物としてラテライト鉱に含有される。ラテライト鉱の鉄含有量は10〜50質量%である。鉄は主として3価の水酸化物(ゲーサイト、FeOOH)の形態でラテライト鉱に含有されるが、一部の2価の鉄はケイ苦土鉱物としてラテライト鉱に含有される。
前処理工程(101)では、ニッケル酸化鉱石を解砕分級して平均粒径を2mm以下とした後、スラリー化して鉱石スラリーを製造する。鉱石スラリーはシックナー等の固液分離装置を用いて余剰の水が除去され、固形分の濃度が所定濃度になるように濃縮される。高温加圧硫酸浸出工程(102)では、前処理工程(101)で得られた鉱石スラリーに硫酸を添加し、温度条件を200〜300℃として撹拌することで高温加圧酸浸出し、浸出スラリーを得る。固液分離工程(103)では、高温加圧硫酸浸出工程(102)で得られた浸出スラリーを固液分離して、ニッケルおよびコバルトを含む浸出液(以下、「粗硫酸ニッケル水溶液」という。)と浸出残渣とを得る。
中和工程(104)では、固液分離工程(103)で得られた粗硫酸ニッケル水溶液を中和する。脱亜鉛工程(105)では、中和工程(104)で中和した粗硫酸ニッケル水溶液に硫化水素ガスを添加して亜鉛を硫化亜鉛として沈殿除去する。硫化工程(106)では、脱亜鉛工程(105)で得られた脱亜鉛終液に硫化水素ガスを添加してニッケル・コバルト混合硫化物とニッケル貧液とを得る。無害化工程(107)では、固液分離工程(103)で発生した浸出残渣と、硫化工程(106)で発生したニッケル貧液とを無害化する。
前処理工程(101)で製造される鉱石スラリーの固形分濃度(スラリー中の固形分(鉱石)の重量比率)は、原料であるニッケル酸化鉱石の性質に大きく左右される。鉱石スラリーの固形分濃度は、特に限定されないが、20〜50質量%となるように調製される。鉱石スラリーの濃度が20質量%未満では、浸出の際、所定の滞留時間を得るために大きな設備が必要となり、酸の添加量も残留酸濃度を調整するため増加する。また、得られる浸出液のニッケル濃度が低くなる。一方、鉱石スラリーの固形分濃度が50質量%を超えると、設備の規模を小さくできるものの、鉱石スラリーの粘度が高くなり、搬送管が閉塞したり、搬送に大きなエネルギーを要したりする等、搬送が困難になる。
高温加圧硫酸浸出工程(102)は、さらに2つの小工程(予熱工程および浸出工程)を有している。予熱工程では、前処理工程(101)から搬送された外気温程度の鉱石スラリーを予熱して、浸出工程で用いられるオートクレーブ内の温度に近づける。浸出工程では、予熱工程から搬送された鉱石スラリーをオートクレーブに装入し、鉱石スラリーに硫酸を添加し、かつ高圧空気および高圧水蒸気を吹き込みながら浸出する。
本実施形態の向流式直接加熱型熱交換器Aは、前記予熱工程において鉱石スラリーを加熱するのに用いられる。なお、必要に応じて、複数の向流式直接加熱型熱交換器Aを直列に接続し、鉱石スラリーを段階的に加熱することが行われる。
鉱石スラリーの水分率を維持するため、向流式直接加熱型熱交換器Aは、加熱媒体として水蒸気を用いる。この水蒸気としては、ボイラー等の一般的な方法によって発生させた水蒸気を用いればよい。また、オートクレーブから浸出スラリーを排出する際には、減圧容器を用いて段階的に減圧する。この減圧容器で発生する水蒸気を回収して、向流式直接加熱型熱交換器Aの加熱媒体として用いてもよい。
(向流式直接加熱型熱交換器A)
つぎに、本実施形態に係る向流式直接加熱型熱交換器Aを説明する。
向流式直接加熱型熱交換器Aは、被加熱物流体1と加熱媒体2とを向流させ、被加熱物流体1と加熱媒体2とを直接接触させて熱交換を行う熱交換器である。本実施形態において、被加熱物流体1は前記湿式製錬の前処理工程(101)で得られた鉱石スラリー1であり、加熱媒体2は水蒸気2である。
図1に示すように、向流式直接加熱型熱交換器Aは、略円筒形の容器10を備えている。容器10は、その中心軸が鉛直方向に沿うように縦に配置されている。
容器10の内部には、その上部に供給パイプ11が略水平に設けられている。供給パイプ11の端部には被加熱物流体供給口12が設けられている。被加熱物流体供給口12は略鉛直下方に開口している。被加熱物流体供給口12には整流器40が接続されている。容器10の下部、より詳細には容器10の底には、被加熱物流体排出口13が設けられている。被加熱物流体1である鉱石スラリー1は、供給パイプ11を通じて容器10の内部に供給され、被加熱物流体供給口12を通り、整流器40の開口部(下端)から流下する。その後、鉱石スラリー1は、容器10内を流下し、被加熱物流体排出口13から容器10の外部へ排出される。
なお、図1における実線矢印は鉱石スラリー1の流れを示す。また、被加熱物流体供給口12が特許請求の範囲に記載の「供給口」に相当する。以下、被加熱物流体供給口12を単に供給口12と称する。
容器10の下部側壁には加熱媒体供給口14が設けられている。容器10の上部、より詳細には容器10の頂部には、加熱媒体排出口15が設けられている。加熱媒体2である水蒸気2は、加熱媒体供給口14から容器10の内部に供給される。その後、水蒸気2は、容器10内を上昇し、加熱媒体排出口15から容器10の外部へ排出される。なお、図1における破線矢印は水蒸気2の流れを示す。
容器10の内部には、複数の傘形分散板20と、複数の環状整流板30とが設けられている。傘形分散板20と環状整流板30とは、その中心を略一致させ、上下方向に交互に配置されている。これら傘形分散板20および環状整流板30は傾斜面を有する。容器10の内部に供給された鉱石スラリー1は、傘形分散板20および環状整流板30の傾斜面を流下し、その下流縁部から流れ落ちる。これを繰り返しながら、鉱石スラリー1は容器10内を流下する。一方、容器10の内部に供給された水蒸気2は、傘形分散板20と環状整流板30との間をジグザクに通って、容器10内を上昇する。
図2に示すように、供給パイプ11は、平面視において容器10の直径方向に沿って配置されており、容器10の側壁から略中心まで達している。供給パイプ11の端部に供給口12が形成されている。供給口12は平面視において容器10の略中心に配置されている。したがって、整流器40も平面視において容器10の略中心に配置されている。なお、供給パイプ11は、その端部から直線状に延び、容器10の側壁に達する梁11aにより支持されている。
図1および図3に示すように、傘形分散板20は、傘形(円錐形)の傾斜板である。傘形分散板20は、頂点を上向きとして、頂点(中心)が平面視において容器10の中心と略一致するよう配置されている。傘形分散板20の頂点は整流器40の鉛直下方に配置されている。そのため、鉱石スラリー1は、整流器40から最上段の傘形分散板20の頂点に供給され、傘形分散板20の傾斜面により放射状に分散して、下流縁部21からスカート状に流れ落ちる。ここで、傘形分散板20の下流縁部21とは、円錐において側面と底面とが接する縁である。
最上段の傘形分散板20は、その頂点近傍が犠牲材22で覆われている。犠牲材22は硬化肉盛で形成してもよいし、鋼板等の強度を有する素材で形成してもよい。
図1および図4に示すように、環状整流板30は、外周縁から内周縁にかけて下り勾配を有する環状の傾斜板である。環状整流板30の外径は容器10の内径と略同一であり、環状整流板30の外周縁が容器10の内壁に接触している。環状整流板30は、その中心(外周および内周の中心)が平面視において容器10の中心と略一致するよう配置されている。傘形分散板20から環状整流板30に流れ落ちた鉱石スラリー1は、環状整流板30の傾斜面により中心に向かって流下し、下流縁部31からスカート状に流れ落ちる。ここで、環状整流板30の下流縁部31とは、内周縁である。
(向流式直接加熱型熱交換器Aによる熱交換)
つぎに、前記向流式直接加熱型熱交換器Aによる熱交換を説明する。
鉱石スラリー1は整流器40から容器10の内部に供給される。容器10の内部に供給された鉱石スラリー1は、まず、最上段の傘形分散板20の傾斜面を放射状に流下し、下流縁部21からスカート状に流れ落ちる。つぎに、傘形分散板20から環状整流板30に流れ落ちた鉱石スラリー1は、環状整流板30の傾斜面を中心に向かって流下し、下流縁部31からスカート状に流れ落ちる。この鉱石スラリー1は、次の段の傘形分散板20に流れ落ちる。このように、鉱石スラリー1は傘形分散板20および環状整流板30の傾斜面を交互に流下した後、容器10下部の被加熱物流体排出口13から容器10の外部へ排出される。
一方、水蒸気2は、容器10下部の加熱媒体供給口14から容器10の内部に供給され、傘形分散板20と環状整流板30との間をジグザクに上昇して、容器10上部の加熱媒体排出口15から容器10の外部へ排出される。この間、水蒸気2は、傘形分散板20および環状整流板30の傾斜面を流下する鉱石スラリー1に沿って流れて鉱石スラリー1と直接接触するとともに、傘形分散板20および環状整流板30の下流縁部21、31から流れ落ちる鉱石スラリー1を通過することで鉱石スラリー1と直接接触する。これにより、鉱石スラリー1と水蒸気2の熱交換が行われる。
このように、向流式直接加熱型熱交換器Aは、鉱石スラリー1をその上部から流入させその下部から流出させ、同時に水蒸気2をその下部から流入させその上部から流出させながら、鉱石スラリー1と水蒸気2とを直接接触させて熱交換を行う。
ここで、鉱石スラリー1は傘形分散板20により放射状に分散する。これにより、鉱石スラリー1と水蒸気2との接触面積が広くなり、熱交換効率が高くなる。また、水蒸気2は環状整流板30により整流され、傘形分散板20の傾斜面を流下する鉱石スラリー1に沿って流れる。これによっても、鉱石スラリー1と水蒸気2との接触面積が広くなり、熱交換効率が高くなる。
(整流器40)
つぎに、本実施形態の特徴部分である整流器40の詳細を説明する。
図5は、整流器40を設けない場合の供給口12付近の拡大図である。なお、図5における二点鎖線Oは、供給口12の中心を通る鉛直線を示す。
整流器40を設けない場合、鉱石スラリー1は供給パイプ11内を略水平方向に流れた後に、供給口12から流下する。供給口12から流下する鉱石スラリー1には重力が作用するため、その流れる方向は水平よりも下向きとなる。
しかし、鉱石スラリー1には供給パイプ11内を流れた際に生じた水平方向の勢いが残っている。そのため、供給口12から流下する鉱石スラリー1の流れる方向は、鉛直下向きに対して傾く。鉱石スラリー1が傾く方向は供給パイプ11の下流側(図5における左方向)である。本明細書では、このように供給口12から流下する鉱石スラリー1の流れる方向が鉛直下向きに対して傾く現象を「方向偏流」と称する。
また、供給口12から流下する鉱石スラリー1の流速分布は、供給パイプ11の上流側V1(図5における右側)に比べて下流側V2(図5における左側)の方が速い。そのため、鉱石スラリー1の流量を局所的にみれば、供給パイプ11の上流側が少なく、下流側が多い。本明細書では、このように供給口12から流下する鉱石スラリー1の流量分布の偏りを「流量偏流」と称する。また、「方向偏流」と「流量偏流」とを合わせて「偏流」と称する。
偏流が生じると、傘形分散板20の傾斜面を流れる鉱石スラリー1のうち、偏流方向(供給パイプ11の下流側)に流れる鉱石スラリー1は、その他の方向に流れる鉱石スラリー1よりも勢いが強くなる。この勢いの強い鉱石スラリー1は傘形分散板20の下流縁部21から流れ落ちた後、容器10の側壁に接触する。そのため、容器10の側壁のうち偏流方向に位置する部分(図1におけるw部分)は、他の部分よりも接触する鉱石スラリー1の量が多くなる。すなわち、容器10の側壁に接触する鉱石スラリー1の量が局所的に多くなる。その結果、容器10の側壁の一部分(w部分)は他の部分に比べて鉱石スラリー1により摩耗しやすくなる。
また、偏流が生じると、鉱石スラリー1が傘形分散板20の全方向に均等に分散されず、偏りが生じる。その結果、熱交換効率が低くなる。
さらに、偏流角θ(鉱石スラリー1の流れる方向と鉛直線Oとのなす角)は鉱石スラリー1の流量、スラリー比重、固形分濃度によって変化する。これらのパラメータは向流式直接加熱型熱交換器Aの操業中に変化する。そのため、操業中に偏流角θが変化し、供給口12から流下した鉱石スラリー1が傘形分散板20に衝突する位置が変化する。傘形分散板20は供給口12から流下した鉱石スラリー1が衝突する部分が損傷しやすい。操業中に偏流角θが変化すると、傘形分散板20の広範囲に渡って鉱石スラリー1の流下による衝撃を受ける可能性があり、これに対する傘形分散板20の保護が困難である。
上記の問題を解決するため、供給口12に整流器40が取り付けられている。この整流器40は鉱石スラリー1の流量分布を均一にするとともに、流れる方向を鉛直下向きに整える機能を有する。
図6(A)、(B)および図7に示すように、整流器40は、筒体41と、仕切部材42と、誘導板45とからなる。
筒体41は、円筒形の部材であり、上端部にフランジ41fを有する。フランジ41fと供給口12のフランジ12fとをボルト、ナット等で連結することで、整流器40が供給口12に取り付けられる。
筒体41には、下端から上下中央付近に至る4つのスリット41sが形成されている。これらスリット41sは筒体41の周方向に等間隔(90°間隔)に形成されている。
仕切部材42は、小径のパイプ42aと、パイプ42aの外周に接合された8つの仕切板42bとからなる。これら仕切板42bはパイプ42aの周方向に等間隔(45°間隔)に配置されている。平面視において、仕切部材42はパイプ42aを中心として、8つの仕切板42bが放射状に配置されている。パイプ42aは、その中心軸が筒体41の中心軸Oと一致するように配置されている。仕切板42bは平板であり、中心軸Oに沿って配置されている。
図6(B)に示すように、筒体41の下部は仕切部材42により8つの流路44に仕切られている。パイプ42aも仕切板42bも中心軸Oに沿って配置されているため、各流路44は中心軸Oに沿っている。
仕切部材42は邪魔部材43を有している。邪魔部材43は円板状の部材であり、その直径がパイプ42aの外径と略同一である。邪魔部材43は、筒体41の中心軸O上に配置され、パイプ42aの上端に接合されている。そして、邪魔部材43によりパイプ42aの上端が封止されている。邪魔部材43が配置された部分は、鉱石スラリー1の流れが妨げられる。そのため、筒体41の中心軸O近傍は鉱石スラリー1の流れが妨げられる。
8つの仕切板42bのうち4つは、その外縁部が外側に突出している。この突出部を挿入板42cと称する。挿入板42cを有する仕切板42bと、それを有さない仕切板42bとは交互に配置されている。すなわち、挿入板42cはパイプ42aの周方向に90°間隔で配置されている。
図6(A)に示すように、筒体41の上部には誘導板45が設けられている。誘導板45は筒体41の内部中央に立設しており、供給パイプ11の軸方向に対して垂直に配置されている。そのため、筒体41の上部は誘導板45により供給パイプ11の上流側の流路46aと下流側の流路46bとに仕切られている。また、誘導板45は筒体41の上端よりも上方に延長されており、その上端が供給パイプ11内に突出している。そのため、供給パイプ11の供給口12近傍も、誘導板45により供給パイプ11の上流側の流路と下流側の流路とに仕切られている。
図7に示すように、誘導板45を下方に延長した位置には、8つの仕切板42bのうち2つがあり、これら2つの仕切板42bと誘導板45とは一体に形成されている。このように、仕切部材42と誘導板45とを一体形成できる。
整流器40は以下の手順で組み立てられる。まず、筒体41の下側開口部から誘導板45および仕切部材42を挿入する。この際、筒体41のスリット41sに仕切部材42の挿入板42cを挿入する。そして、スリット41sと挿入板42cとを溶接する。
このように整流器40を組み立てることにより、筒体41と仕切部材42とが嵌合と溶接とにより強固に接合される。整流器40内に鉱石スラリー1が通ると、鉱石スラリー1と誘導板45および仕切部材42との間に働く抵抗(摩擦や衝撃)により、仕切部材42を下向きに押す力が生じる。しかし、筒体41と仕切部材42とが強固に接合されているので、鉱石スラリー1の流れにより生じる下向きの力に対抗でき、整流器40が破損し難い。
なお、整流器40の組み立て方法は上記の方法に限定されない。スリット41sに挿入板42cを挿入する構成としなくてもよい。単に筒体41の内面と仕切板42bの外縁部とを溶接してもよい。筒体41と仕切部材42とをネジ止めなど他の方法で固定してもよい。
つぎに、図8に基づき、整流器40の機能を説明する。
供給パイプ11内を流れてきた鉱石スラリー1は供給口12から整流器40に導入される。この際、鉱石スラリー1は誘導板45により誘導され、上流側の流路46aと下流側の流路46bとに分けて導入される。
前述のごとく、整流器40を設けない場合、鉱石スラリー1の流量を局所的にみれば、供給パイプ11の上流側が少なく、下流側が多くなる。しかし、本実施形態によれば、誘導板45の上端が供給パイプ11内に突出しているので、上流側の流路46aにより多くの鉱石スラリー1を導入でき、流量を多くできる。その結果、上流側の流路46aと下流側の流路46bとで鉱石スラリー1の流量を均一にでき、鉱石スラリー1の流量偏流を抑制できる。
なお、誘導板45の突出量hを大きくするほど、上流側の流路46aの流量を多くできる。したがって、上流側の流路46aと下流側の流路46bとで流量が均一になるように、誘導板45の突出量hが調整される。
整流器40上部の流路46a、46bを通過した鉱石スラリー1は、整流器40下部の仕切部材42により形成された8つの流路44に分かれて流入する。鉱石スラリー1が整流器40の中心軸Oに沿った複数の流路44に分かれて流れるので、鉱石スラリー1の流れる方向を整流器40の中心軸Oに沿う方向に整えることができる。
整流器40はその中心軸Oが供給口12の中心を通る鉛直線と略一致するように配置されている。供給口12は容器10の略中心に配置されているため、整流器40の中心軸Oも容器10の中心軸と略一致する。したがって、整流器40を通った鉱石スラリー1は容器10の中心軸に沿って鉛直下向きに流れる。供給パイプ11内の鉱石スラリー1の流れる方向が水平方向であったとしても、仕切部材42により鉱石スラリー1の流れる方向を鉛直下向きに整えることができる。このように、仕切部材42により鉱石スラリー1の方向偏流を抑制できる。
以上のように、鉱石スラリー1の偏流を抑制できるので、鉱石スラリー1は最上段の傘形分散板20の頂点近傍に流下し、傘形分散板20の全方向に均等に分散される。傘形分散板20の傾斜面を流れる鉱石スラリー1の勢いが局所的に強くなることがない。容器10の側壁に接触する鉱石スラリー1の量が局所的に多くならず、鉱石スラリー1による容器10の摩耗を抑制できる。
また、鉱石スラリー1が傘形分散板20の全方向に均等に分散されるので、向流式直接加熱型熱交換器Aの熱交換効率が高くなる。
鉱石スラリー1の流量、スラリー比重、固形分濃度が変化しても、鉱石スラリー1の流れる方向を鉛直下向きに維持できる。そのため、鉱石スラリー1は常に傘形分散板20の頂点近傍に衝突し、その位置が変化することがない。最上段の傘形分散板20の頂点近傍を犠牲材22で覆うことにより、犠牲材22が鉱石スラリー1の流下による衝撃を受けるので傘形分散板20の摩耗を抑制できる。その結果、傘形分散板20の寿命を延ばすことができる。
整流器40の中心軸O上には邪魔部材43が設けられている。邪魔部材43の鉛直下方には傘形分散板20の頂点が配置されている。邪魔部材43により、その鉛直下方における鉱石スラリー1の流量(流速)を抑えることができる。その結果、最上段の傘形分散板20の頂点への鉱石スラリー1の衝突を弱めることができるので、傘形分散板20の損傷を低減できる。
整流器40は鉱石スラリー1が通るので、摩耗しやすい。整流器40を長期間使用した後は、交換や補修の必要がある。前述のごとく、整流器40はフランジ41fで供給口12に取り付けられているため、取り外し可能である。整流器40が取り外し可能であるので、整流器40が摩耗しても、整流器40の交換や補修が容易である。
ところで、整流器40の下端開口部と最上段の傘形分散板20の頂点との距離Hは、整流器40の直径Dの1.1倍以上1.3倍以下であることが好ましい。
距離Hが直径Dの1.1倍未満であると、整流器40の出口で鉱石スラリー1が滞留して、鉱石スラリー1が傘形分散板20と激しく擦れる。その結果、傘形分散板20が摩耗しやすくなる。また、滞留した鉱石スラリー1により整流器40内の鉱石スラリー1が減速し、整流器40が鉱石スラリー1により閉塞する恐れがある。距離Hが直径Dの1.1倍以上であれば、鉱石スラリー1がスムーズに流れ、鉱石スラリー1と傘形分散板20との擦れが弱くなり、傘形分散板20の摩耗を抑制できる。
距離Hが直径Dの1.3倍を超えると、整流器40から流下した鉱石スラリー1が水蒸気2の流れにより乱れ、傘形分散板20における均一な分散を維持できない恐れがある。また、整流器40の整流能力を超える大量の鉱石スラリー1を供給した場合には、鉱石スラリー1が、傘形分散板20に当たることなく容器10の側壁に直撃することも考えられる。距離Hが直径Dの1.3倍以下であれば、整流器40から流下する鉱石スラリー1の流れる方向が水蒸気2の流れにより変わりにくい。また、鉱石スラリー1が容器10の側壁に直撃することもない。
整流器40の開口面は、中心軸Oに対して直交している。整流器40内の圧力が外部の圧力よりも高い場合でも、鉱石スラリー1が外向きに飛び散ることを抑制できる。
〔第2実施形態〕
つぎに、図9に基づき、第2実施形態における整流器40を説明する。
本実施形態の整流器40は、第1実施形態の整流器40において、誘導板45が傾斜して設けられたものである。より詳細には、誘導板45は、その上端が供給パイプ11の下流側に傾くように、筒体41の中心軸Oに対して傾斜している。その余の構成は第1実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
このように誘導板45が傾斜しているので、上流側の流路46aの入口面積が広くなり、より多くの鉱石スラリー1を導入でき、流量を多くできる。これに対して、下流側の流路46bの入口面積が狭くなり、流量を少なくできる。また、上流側の流路46aは入口面積に対して出口面積が狭い。そのため、上流側の流路46aを通過した鉱石スラリー1は流速が速くなる。これに対して、下流側の流路46bは入口面積に対して出口面積が広い。そのため、下流側の流路46bを通過した鉱石スラリー1は流速が遅くなる。したがって、鉱石スラリー1の流量偏流を抑制できる。
なお、中心軸Oに対する誘導板45の傾斜角度を大きくするほど、上流側の流路46aの流量を多くできる。したがって、上流側の流路46aと下流側の流路46bとで流量が均一になるように、誘導板45の傾斜角度が調整される。
〔第3実施形態〕
つぎに、図10に基づき、第3実施形態における整流器40を説明する。
本実施形態の整流器40は、第1実施形態の整流器40において、複数の誘導板45が設けられたものである。図10に示す例は、誘導板45が3つ設けられているが、誘導板45の数は特に限定されず、2つでも4つ以上でもよい。その余の構成は第1実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
整流器40に複数の誘導板45が備えられているので、細かい区分で鉱石スラリー1の流量を調整でき、鉱石スラリー1の流量をより均一にできる。
また、供給パイプ11の上流側に配置された誘導板45よりも下流側に配置された誘導板45の方が、突出量を大きくすることが好ましい。このようにすれば、下流側の流路に必要な量の鉱石スラリー1を導入することができる。
誘導板45は筒体41の中心軸Oに沿うように立設されてもよい。複数の誘導板45のうち、一部または全部を傾斜して設けてもよい。この場合、誘導板45の配置位置によって傾斜角度を変えてもよい。
〔その他の実施形態〕
(整流器40)
第1実施形態の整流器40は、仕切部材42と誘導板45とが一体化した構成であるが、これらを別部材としてもよい。誘導板45のみを設け、仕切部材42を設けなくてもよい。
図11(A)に示すように、複数の小径パイプ42dを束ねて仕切部材42を形成してもよい。小径パイプ42dの断面形状は円形に限定されず、多角形でもよい。
図11(B)に示すように、複数の仕切板42eを放射状に組み合わせて仕切部材42を形成してもよい。筒体41内の流路44の数は8つに限定されず、複数であればよい。仕切板42eを十字に組み合わせて形成した仕切部材42を用いれば、流路44の数が4つとなる。
隣り合う流路44は仕切部材42により完全に仕切ればよい。隣り合う流路44が連通するように仕切部材42に連通部分を設けてもよい。
邪魔部材43は筒体41の中心軸O上に配置されていればよい。円板状の邪魔部材43を用いる場合、邪魔部材43は仕切部材42の上部に限られず、下部に配置してもよいし、上下中央に配置してもよい。
邪魔部材43の形状は円板状に限定されず、種々の形状を採用できる。邪魔部材43を円柱形としてもよいし円錐形としてもよい。例えば、円錐形の邪魔部材43を、頂点を上向きにして仕切部材42に組み込む。このようにすれば、鉱石スラリー1が邪魔部材43の傾斜面に沿って流れる。そのため、鉱石スラリー1が邪魔部材43に衝突して散乱することを抑制できる。
(被加熱物流体1)
被加熱物流体1は、流動性を有する被加熱物であればよく、特に限定されない。例えば、固体成分を含有するスラリー状の流動性液体が挙げられる。スラリー状の流動性液体としては、鉱石を含有するスラリー(鉱石スラリー)が挙げられる。鉱石スラリーは、例えば湿式製錬の前処理工程(101)で得られるニッケル酸化鉱石を含有するスラリーである。被加熱物流体1がスラリーであったとしても、被加熱物流体1による容器10の摩耗を抑制できる。
(加熱媒体2)
加熱媒体2は、被加熱物流体1に熱を供給する媒体であればよく、特に限定されない。加熱媒体2としては、被加熱物流体1より高温の水蒸気などの気体が挙げられる。
(シミュレーション)
供給パイプ11、整流器40、最上段の傘形分散板20をコンピュータ上で再現し、スラリーの挙動をシミュレーションした。整流器40の形状は図6に示すとおりとした。図12(A)にスラリーの濃度分布を示す。図12(B)にスラリーの流速分布を示す。
図12(A)から分かるように、スラリーの濃度は均一であり、傘形分散板20の全方向に均等に分散されている。図12(B)から分かるように、整流器40から流下するスラリーの流速はほぼ均一である。
(実施例1)
前記湿式製錬の予熱工程において、向流式直接加熱型熱交換器を用いて鉱石スラリーを加熱した。向流式直接加熱型熱交換器の基本的構成は図1に示す向流式直接加熱型熱交換器Aと同様である。
向流式直接加熱型熱交換器の容器10の側壁は、内側が9mm厚のチタン、外側が23.5mm厚のカーボンスチールであり、全体の厚みが32.5mmである。
供給口12には図6に示す整流器40を取り付けた。向流式直接加熱型熱交換器に鉱石スラリー1を供給して運転を開始した。
運転開始1年後に向流式直接加熱型熱交換器の内部の状態を確認したところ、容器10の側壁に減肉はみられなかった。運転開始2年後に向流式直接加熱型熱交換器の内部の状態を確認したところ、容器10の側壁に減肉はみられなかった。
(比較例1)
実施例1において、整流器40を短管に代えた。短管は整流器40の筒体41と同程度の寸法を有する。その余の条件は実施例1と同一である。
運転開始1年後に向流式直接加熱型熱交換器の内部の状態を確認したところ、容器10の側壁に減肉がみられた。運転開始2年後に向流式直接加熱型熱交換器の内部の状態を確認したところ、容器10の側壁の減肉が進行し、ピンホールが発生した。
以上のより、実施例1では容器10の側壁の摩耗を抑制できることが確認された。これは、整流器40を設けたことにより、鉱石スラリー1が傘形分散板20の全方向に均等に分散されるようになったためと考えられる。
A 向流式直接加熱型熱交換器
1 鉱石スラリー
2 水蒸気
10 容器
11 供給パイプ
12 供給口
20 傘形分散板
40 整流器
41 筒体
42 仕切部材
43 邪魔部材
45 誘導板

Claims (9)

  1. 容器と、
    前記容器の内部に水平に設けられ、被加熱物流体を供給する供給パイプと、
    前記供給パイプの端部に設けられ、鉛直下方に開口する供給口と、
    前記供給口に接続された整流器と、
    前記整流器の鉛直下方に頂点が配置された傘形分散板と、を備え、
    前記整流器は、
    筒体と、
    前記筒体の内部に設けられた誘導板と、を備え、
    前記誘導板は、前記筒体の内部を前記供給パイプの上流側の流路と下流側の流路とに仕切るように配置され、その上端が前記供給パイプ内に突出しており、その上端が前記供給パイプの下流側に傾くように、前記筒体の中心軸に対して傾斜している
    ことを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器。
  2. 前記整流器は、複数の前記誘導板を備えている
    ことを特徴とする請求項1記載の向流式直接加熱型熱交換器。
  3. 前記整流器は、前記筒体の内部をその中心軸に沿う複数の流路に仕切る仕切部材を備える
    ことを特徴とする請求項1または2記載の向流式直接加熱型熱交換器。
  4. 容器と、
    前記容器の内部に水平に設けられ、被加熱物流体を供給する供給パイプと、
    前記供給パイプの端部に設けられ、鉛直下方に開口する供給口と、
    前記供給口に接続された整流器と、
    前記整流器の鉛直下方に頂点が配置された傘形分散板と、を備え、
    前記整流器は、
    筒体と、
    前記筒体の内部に設けられた誘導板と、
    前記筒体の内部をその中心軸に沿う複数の流路に仕切る仕切部材と、を備え、
    前記誘導板は、前記筒体の内部を前記供給パイプの上流側の流路と下流側の流路とに仕切るように配置され、その上端が前記供給パイプ内に突出しており、
    前記筒体にはスリットが形成されており、
    前記仕切部材は挿入板を有しており、
    前記スリットに前記挿入板が挿入され、それらが溶接されている
    ことを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器。
  5. 容器と、
    前記容器の内部に水平に設けられ、被加熱物流体を供給する供給パイプと、
    前記供給パイプの端部に設けられ、鉛直下方に開口する供給口と、
    前記供給口に接続された整流器と、
    前記整流器の鉛直下方に頂点が配置された傘形分散板と、を備え、
    前記整流器は、
    筒体と、
    前記筒体の内部に設けられた誘導板と、
    前記筒体の内部をその中心軸に沿う複数の流路に仕切る仕切部材と、を備え、
    前記誘導板は、前記筒体の内部を前記供給パイプの上流側の流路と下流側の流路とに仕切るように配置され、その上端が前記供給パイプ内に突出しており、
    前記仕切部材は、前記筒体の中心軸上に配置され、前記被加熱物流体の流れを妨げる邪魔部材を備える
    ことを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器。
  6. 容器と、
    前記容器の内部に水平に設けられ、被加熱物流体を供給する供給パイプと、
    前記供給パイプの端部に設けられ、鉛直下方に開口する供給口と、
    前記供給口に接続された整流器と、
    前記整流器の鉛直下方に頂点が配置された傘形分散板と、を備え、
    前記整流器は、
    筒体と、
    前記筒体の内部に設けられた誘導板と、を備え、
    前記誘導板は、前記筒体の内部を前記供給パイプの上流側の流路と下流側の流路とに仕切るように配置され、その上端が前記供給パイプ内に突出しており、
    前記傘形分散板の頂点近傍が犠牲材で覆われている
    ことを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器。
  7. 容器と、
    前記容器の内部に水平に設けられ、被加熱物流体を供給する供給パイプと、
    前記供給パイプの端部に設けられ、鉛直下方に開口する供給口と、
    前記供給口に接続された整流器と、
    前記整流器の鉛直下方に頂点が配置された傘形分散板と、を備え、
    前記整流器は、
    筒体と、
    前記筒体の内部に設けられた誘導板と、を備え、
    前記誘導板は、前記筒体の内部を前記供給パイプの上流側の流路と下流側の流路とに仕切るように配置され、その上端が前記供給パイプ内に突出しており、
    前記整流器の開口部と前記傘形分散板の頂点との距離は、前記整流器の直径の1.1倍以上1.3倍以下である
    ことを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器。
  8. 前記整流器は前記供給口に取り外し可能に接続されている
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の向流式直接加熱型熱交換器。
  9. 前記被加熱物流体はスラリーである
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の向流式直接加熱型熱交換器。
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