JP6729311B2 - 音響信号処理装置およびその制御方法ならびにコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
ここで、「時間変動し、かつ、各系統のバンドパスフィルタ処理における各中心周波数の最大値が所定の動作周波数帯域内に収まるように前記各中心周波数をラッピングする」とは、各中心周波数が動作周波数帯域の上限を越える場合に動作周波数帯域の下限に、下限を下回る場合に動作周波数帯域の上限にラッピングしながら、時間の進行とともに変動して、動作周波数帯域内を推移してゆくことを意味する。
したがって、中心周波数制御処理において各中心周波数の変更をすることにより、入力された音響信号に対して、音階が明瞭に無限に上がって行くように聞こえる無限音階の効果を付与することができる。
つまり、前述した第1ないし第5のいずれか1つの特徴を有する音響信号処理装置は、音響信号処理装置に備えられた効果付与部(コンピュータ)が上記コンピュータプログラムを実行することにより機能させることができる。
[電子楽器1の主な電気的構成]
この発明の音響信号処理装置としての効果付与部20が備えられた電子楽器1の主な電気的構成について、それをブロックで示す図1に基づいて説明する。
効果付与部20は、音源部12から入力された音響信号に対して所定の効果を付与し、音階が明瞭に無限に上がって行く、あるいは、音階が明瞭に無限に下がって行くように聞こえる、いわゆる無限音階の信号を作り出し、それをサウンドシステム13へ出力する。サウンドシステム13は、効果付与部20から出力されるデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換部、このD/A変換部から出力される信号を増幅するアンプ、このアンプから出力される信号を放音するスピーカなどから構成されている。
この実施形態では、効果付与部20は、DSP(digital signal processor)により構成されている。
次に、効果付与部20の主な機能について、それをブロックで示す図2に基づいて説明する。
この実施形態では、基準信号θbaseは、−π〜πの値を取るものとし、上限のθMAXはπであり、下限のθMINは−πである。この基準信号θbaseをLFO(Low Frequency Oscillator)の位相情報とし、それに基づいて可聴周波数以下の周期的な制御信号を生成し、電子楽器1の音源部や効果付与部の各種制御に用いることができる。
ここではパターンを変換テーブルで変換するように説明したが、それに限らず、数値計算で変換する計算手順をパターンとして複数記憶しておき、選択された計算手順に基づいて数値計算によって変換するようにしてもよい。例えば、床関数や天井関数を用い演算することができる。
平滑化部33は、加工部32から入力した基準信号θbaseを平滑化し、それを各バンドパスフィルタBPF0〜BPF(N−1)へ出力する。
図4は、各中心周波数が対数スケールで一定の傾きで更新される過程を示すグラフである。このグラフは、速度信号ωが2π/10[ラジアン/秒]である場合に基準信号θbaseを基準信号供給部30に通さないで直接各バンドパスフィルタへ出力したときの時間および周波数の関係を示す。同図に示すように、各バンドパスフィルタの中心周波数f0〜f9は対数スケールで等間隔でありそれぞれ一定の傾きで上昇し、10秒間かけて中心周波数のとりうる下限fMINから上限fMAXまで更新されている。また、各バンドパスフィルタの中心周波数は上限fMAXに達すると、中心周波数は動作周波数領域内に収まるようにラッピング処理され、下限fMINから再び一定の傾きで上昇するようになる。
上記の変化は、演奏操作子3(図1)の操作と中心周波数の変化とを対応付けることにより実現することができる。たとえば、ホイールを中立位置から一方(例えば+ωの方向)へ大きく回動させると各中心周波数の単位時間当りの変化量が増加し、同じ方向(例えば+ωの方向)であっても回動させる操作量を小さくすると各中心周波数の単位時間当りの変化量が減少する。また、ホイールの回動方向を変化させることにより、中心周波数が増加状態から減少状態へ、あるいは、減少状態から増加状態へ切替えることができる。
図5に示すように、中心周波数を激しく変化させると、音階が急激に上昇および下降を繰り返し、かつ、音階が変化する速度も急変するような効果音、換言すると破壊的な効果音を作り出すことができる。
このように、時間とともに各中心周波数f0〜fN−1が変化する各バンドパスフィルタBPF0〜BPF(N−1)の各利得g0〜gN−1を、周波数の中域から低域にかけておよび中域から高域にかけて利得が小さくなるように制御することにより、バンドパスフィルタの中心周波数がとりうる下端fMINあるいは上端fMAXでのラッピング処理による不連続に起因して発生するノイズを抑制することができる。また、バンドパスフィルタを通過する成分は、動作周波数の下端fMINから中域にかけて利得が十分小さいところから徐々に利得が大きくなり成分が徐々に強調されてゆき、中域にから上端fMAXにかけて利得が徐々に下げられ徐々に抑制されてゆくことによって、効果付与部20全体として滑らかな無限音階の効果を生む。
フィルタ部25は、中心周波数制御部24が出力した中心周波数fmと利得制御部23が出力した利得gmを取込み、取り込んだ中心周波数fmと利得gmに応じてフィルタ係数を更新してフィルタの特性を調整し、入力される音響信号に対して中心周波数fmであって所与のQ値に基づく帯域幅の帯域を通過させるバンドパスフィルタ処理を行い、そのバンドパスフィルタ処理を行った信号をミキシング部27へ出力する。
このとき、バンドパスフィルタの利得のピークの鋭さを表すQ値は、演奏操作子3や設定操作子4の操作に応じて、CPU8がフィルタ部25の各バンドパスフィルタBPFmに供給するようにしてもよい。こうすることにより、操作に応じて、各ピークを鋭くして効果を強めたり、各ピークを鈍くして効果を弱めたりすることができる。
ミキシング部27は、各バンドパスフィルタから出力される信号をミキシング(加算)し、それをサウンドシステム13へ出力する。サウンドシステム13は、ミキシング部27から出力される信号をD/A変換し、そのアナログ信号をアンプによって増幅し、スピーカから放音する。
次に、効果付与部20が実行する主な処理の流れについて図3に基づいて説明する。
図3は、効果付与部20が実行する主な処理の流れを示すフローチャートである。
ここでは、演奏操作子3(図1)として設けられたホイールを操作することにより、音響信号に対して付与する効果を変化させるものとして説明する。また、ホイールは中立位置から正の方向または負の方向へ回動可能になっており、正の方向へ回動させると音階が明瞭に無限に上がって行くように聞こえる無限音階の効果音がサウンドシステム13(図1)から出力され、負の方向へ回動させると音階が明瞭に無限に下がって行くように聞こえる無限音階の効果音がサウンドシステム13から出力される。さらに、ホイールの正あるいは負の方向への操作量を増加させると音階の変化速度が増加し、ホイールの正あるいは負の方向への操作量を減少させると音階の変化速度が減少する。
続いて、積算部26が生成した基準信号θbaseは基準信号供給部30に入力され、所定の加工が施される(S3)。たとえば、前述したように、加工部32は、基準信号θbaseをパターンテーブル記憶部31に記憶されているオクターブの変化パターンに加工し、その加工された基準信号は平滑化部33によって平滑化される。
(1)上述した第1実施形態の効果付与部20を実施すれば、バンドパスフィルタ処理の各隣り合う中心周波数どうしが、半音の整数倍に相当する所定の関係を保持した状態で時間変動するので、音楽的な度数が明瞭に感じられる効果を、入力された音響信号に付与することができる。しかも、各中心周波数の最大値が所定の動作周波数帯域内に収まるようにラッピングさせて、時間変動するので、無限に上がって行ったり下がって行ったりように聞こえる無限音階の効果であって音楽的な度数が明瞭に感じられる効果を付与することができる。
次に、この発明の第2実施形態について図9に基づいて説明する。
図9は、この実施形態に係る効果付与部20の主な機能をブロックで示す説明図である。なお、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を用い、説明を省略する。
この実施形態の効果付与部20を備えた効果付与部20も第1実施形態と同じ効果を奏することができる。
(1)前述した各実施形態では、演奏操作子3の操作をトリガーとして音源部12から出力された音響信号に対して効果を付与したが、電子楽器1の外部から音響信号を取込み、それに対して効果を付与することもできる。
(2)この発明に係る効果付与部20を、音源部12を備えないエフェクタなどの効果付与専用装置に適用し、エフェクタに入力される楽器などの音響信号に対して効果を付与することもできる。この構成を実施すれば、無限音階を作り出すエフェクタを実現することができる。
(4)効果付与部20が実行する各処理に相当するコンピュータプログラムを作成し、それをCPU8が実行することにより音響信号を効果音に変化させるように構成することもできる。
(5)効果付与部20をシーケンサに設け、曲データなどの再生が開始され、予め設定した時間になったときに、あるいは、所望の時間に効果付与部20を機能させるように構成することもできる。
(6)前述した各実施形態では音源部が刻々と生成する音響信号に対して効果付与部がリアルタイムに効果を付与するものとして説明したが、それに替えてノンリアルタイムに処理するようにしてもよい。つまり、予め用意されたデジタルオーディオファイルから、効果付与装置の処理能力に応じた処理速度で、記録されているサンプルデータ順次読み出して本発明の効果付与処理をして効果付与処理がされたサンプルデータを順次新たなデジタルオーディオファイルに記録するようにしてもよい。このときデジタルオーディオファイルをリアルタイムに再生して放音させることなく処理をするので、デジタルオーディオファイルを再生する速度にかかわらないノンリアルタイムの処理ができる。また、ノンリアルタイムに処理をする対象は予め用意されたデジタルオーディオファイルに限らず、予め用意された演奏データファイル(スタンダードMIDIファイル等)を基に、その演奏データファイルを再生した音声信号に効果を付与した結果に相当するデジタルオーディオファイルを、ノンリアルタイムに生成してもよい。
(7)前述した第1実施形態では、供給された基準信号を基に、各バンドパスフィルタ内にある基準オフセット加算部と中心周波数制御部と利得制御部が各バンドパスフィルタの中心周波数や利得を生成していたが、中心周波数や利得を各バンドパスフィルタの外に設けた処理部で生成し、各バンドパスフィルタのフィルタ部に供給するようにしてもよい。また、各バンドパスフィルタの外に設けた処理部で、各バンドパスフィルタの中心周波数や利得に対応するフィルタ係数まで生成し、各バンドパスフィルタのフィルタ部に供給するようにしてもよい。更には、各バンドパスフィルタの外に設けた処理部は、積算部や基準信号供給部も含めて、効果付与部ではなく、CPUが処理するようにしてもよい。
請求項1において、バンドパスフィルタ処理は、各フィルタ部25の処理あるいは実行するステップS7の処理に対応する。中心周波数設定処理のうちの中心周波数どうしが半音の整数倍の関係を保持した状態でラッピングされる処理は、基準信号オフセット加算部22あるいはステップS4の処理に対応し、中心周波数を時間変動させる処理は、積算部26あるいはステップS2の処理に対応する。加算処理は、ミキシング部27あるいはステップS8の処理に対応する。
請求項2における利得制御処理は、第1実施形態における利得制御部23あるいはステップS6あるいは第2実施形態における前処理フィルタ28あるいは後処理フィルタ28’の処理に対応する。
請求項3における階段状に時間変動させる処理は、基準信号供給部30のパターンテーブル記憶部31および加工部32、あるいはステップS3内の処理に対応する。
請求項4における平滑化する処理は、平滑化部33あるいはステップS3内の処理に対応する。
請求項5において、基準信号生成処理は、積算部26あるいはステップS2の処理に対応する。加工処理は、基準信号供給部30のパターンテーブル記憶部31および加工部32、あるいはステップS3内の処理に対応する。平滑化処理は、平滑化部33あるいはステップS3内の処理に対応する。中心周波数制御処理のうちのラッピングする処理は、基準信号オフセット加算部22あるいはステップS4の処理に対応し、中心周波数を時間変動させる処理は、積算部26あるいはステップS2の処理に対応する。利得制御処理は、第1実施形態における利得制御部23あるいはステップS6あるいは第2実施形態における前処理フィルタ28あるいは後処理フィルタ34の処理に対応する。
請求項6は、コンピュータに効果付与部20が各処理を実行させるためのコンピュータプログラムに対応する。
請求項7は、効果付与部20の各処理に対応する工程を音響信号処理装置に施す制御方法に対応する。
20 効果付与部
22 基準信号オフセット加算部
23 利得制御部
24 中心周波数制御部
25 フィルタ部
26 積算部
27 ミキシング部
30 基準信号供給部
31 パターンテーブル記憶部
32 加工部
33 平滑化部
BPF0〜BPF(N−1) バンドパスフィルタ
Claims (7)
- 入力された音響信号に対して並列でバンドパスフィルタ処理を行う複数系統のバンドパスフィルタ処理と、
各隣り合う系統のバンドパスフィルタ処理の中心周波数どうしが、半音の整数倍に相当する所定の関係を保持した状態で時間変動し、かつ、各系統のバンドパスフィルタ処理における各中心周波数の最大値が所定の動作周波数帯域内に収まるように前記各中心周波数をラッピングすることにより、前記各中心周波数を制御する中心周波数制御処理と、
各系統の各バンドパスフィルタ処理された各信号を加算して出力する加算処理と、
を実行することを特徴とする音響信号処理装置。 - 前記入力された音響信号に対して出力される信号の周波数特性が、前記動作周波数帯域の下端周波数から中域にかけて利得が大きくなり、前記動作周波数帯域の中域から上端周波数にかけて利得が小さくなるように、利得を制御する利得制御処理を実行可能であることを特徴とする請求項1に記載の音響信号処理装置。
- 前記中心周波数制御処理は、更に、各バンドパスフィルタ処理の中心周波数のいずれもが、半音階を構成する音高に合致させて階段状に時間変動するように前記各中心周波数を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音響信号処理装置。
- 前記中心周波数制御処理は、各中心周波数が階段状に時間変動時変される際に時間的に平滑化されるように各中心周波数の変化特性を調整することを特徴とする請求項3に記載の音響信号処理装置。
- 基準信号を発生する基準信号発生部と、
前記基準信号発生部が発生した前記基準信号を、半音階を構成する音高に相当する値を取る、時間的に離散した信号に変換するためのパターンが複数種類記憶されたパターン記憶部と、を備えており、
前記基準信号発生部が発生した前記基準信号の単位時間当りの変化量に相当する信号を取得し、それに基づいて第1の基準信号を生成する基準信号生成処理と、
前記基準信号生成処理が生成した前記第1の基準信号を、前記パターン記憶部に記憶されたいずれかのパターンに基づいて、半音階を構成する音高に相当する値をとる、時間的に離散化した第2の基準信号に加工する加工処理と、
前記加工処理により加工された前記第2の基準信号を、時間的に平滑化して第3の基準信号を生成する平滑化処理とを実行し、
前記中心周波数制御処理は、前記平滑化処理が生成した前記第3の基準信号に基づいて、半音の整数倍に相当するオフセットを加味することにより、各隣り合う系統のバンドパスフィルタ処理の中心周波数どうしが半音の整数倍に相当する所定の関係を保持した状態で時間変動し、かつ、各系統のバンドパスフィルタ処理における各中心周波数の最大値が所定の動作周波数帯域内に収まるように前記各中心周波数をラッピングし、
前記複数系統のバンドパスフィルタ処理の各バンドパスフィルタ処理によって形成された周波数特性が、前記動作周波数帯域の下端周波数から中域にかけて利得が大きくなり、前記動作周波数帯域の中域から上端周波数にかけて利得が小さくなるように、前記中心周波数制御処理によって制御された各中心周波数に応じて、各バンドパスフィルタ処理の利得を制御する利得制御処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の音響信号処理装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の各処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
- 複数系統のバンドパスフィルタ処理により、入力された音響信号に対して並列でバンドパスフィルタ処理を行い、各バンドパスフィルタ処理された各信号を加算して出力する音響信号処理装置の制御方法であって、
各隣り合う系統のバンドパスフィルタ処理の中心周波数どうしが、半音の整数倍に相当する所定の関係を保持した状態で時間変動し、かつ、各系統のバンドパスフィルタ処理における各中心周波数の最大値が所定の動作周波数帯域内に収まるようにラッピングすることにより、前記各中心周波数を制御する工程を有する
音響信号処理装置の制御方法。
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