<1.第1実施形態>
以下、第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下において、回転電機等の構成の説明の便宜上、上下左右等の方向を適宜使用する場合があるが、回転電機等の各構成の位置関係を限定するものではない。
(1−1.回転電機の全体構成の例)
まず、図1及び図2を参照しつつ、第1実施形態の回転電機の全体構成の一例について説明する。
回転電機1は、回転型のモータ又は発電機として使用される。図1及び図2に示すように、回転電機1は、シャフト10を備えた回転子2と、固定子3と、フレーム5と、負荷側ブラケット6(ブラケットの一例に相当)と、負荷側軸受7と、反負荷側ブラケット8と、反負荷側軸受9と、を有する。
なお、本明細書では、シャフト10(回転子2)の回転軸心AXに沿う方向(図1中左右方向)を「軸方向」、回転軸心AXを中心とする放射状の方向を「径方向」、回転軸心AXを中心とする円周に沿う方向を「周方向」という。また、本明細書において、「負荷側」とは、回転電機1に対して負荷が取り付けられる側、つまりこの例ではシャフト10が突出する側(図1中右側)を指し、「反負荷側」とは、負荷側と反対側(図1中左側)を指す。
フレーム5は、略円筒状であり、内周部5aに上記固定子3が固定されている。負荷側ブラケット6は、フレーム5の負荷側端部(軸方向端部の一例に相当)に設けられている。反負荷側ブラケット8は、フレーム5の反負荷側端部に設けられている。反負荷側ブラケット8及びフレーム5は、図示しないボルトにより負荷側ブラケット6に固定されている。
負荷側軸受7は、負荷側ブラケット6に設けられている。反負荷側軸受9は、反負荷側ブラケット8に設けられている。シャフト10は、負荷側軸受7及び反負荷側軸受9により、回転軸心AX周りに回転自在に支持されている。シャフト10の反負荷側には、回転子2の回転位置を検出するエンコーダ12が設けられている。負荷側ブラケット6には、回転電機1の内部への異物の侵入を防ぐために、負荷側軸受7よりも負荷側にダストシール11が設けられている。
回転子2は、シャフト10の外周に固定されている。回転子2は、内周部13を有する略円筒状の回転子鉄心14と、回転子鉄心14に1極ごとに略V字状に埋設された複数(この例では10極)の永久磁石15と、を有する。回転子鉄心14の内周部13には、上記シャフト10が嵌合されている。
固定子3は、回転子2の径方向外側を磁気的空隙を空けて囲むように、フレーム5の内周部5aに固定されている。固定子3は、複数(この例では12)のスロット21が周方向全周に亘って配列された略環状の固定子鉄心22と、複数のスロット21に集中巻き方式で収容された複数(この例では12)のコイルユニット30と、を有する。固定子3の反負荷側には、複数のコイルユニット30の端部31a,31b(後述の図3参照。詳細は後述)が所定の結線パターンとなるように結線された結線部16が配置されている。結線部16には、図示しないリード線を介して図示しない外部電源が接続されており、外部電源からリード線及び結線部16を介してコイルユニット30への給電が行われる。
固定子鉄心22は、フレーム5の内周部5aに沿って複数(この例では12)の分割コア(「鉄心片」ともいう)23が周方向の全周に亘って配列されることで、環状に形成されている。各分割コア23は、この例では略T字形の径方向断面形状であり、径方向内側に略矩形の径方向断面形状のティース部24を備える。周方向に隣り合う分割コア23,23のティース部24,24の間に、上記スロット21が形成されている。各ティース部24の周方向寸法は、この例では径方向に沿って略等しく、各スロット21は、この例では内周側に向かって開口している。したがって、コイルユニット30は、固定子鉄心22と略同一の内周面まで占有面積を大きく設けることができ、その分だけ太い導線31(詳細は後述)を用いて抵抗を下げて発熱を低減できる。各スロット21は、この例では径方向内側に向かって狭まる略台形の径方向断面形状であり、周方向一方側の一方側領域21aと、周方向他方側の他方側領域21bと、を備える。
各コイルユニット30は、スロット21に収容されることで、ティース部24に装着されている。具体的には、各コイルユニット30は、周方向に隣り合うスロット21,21のうち、周方向一方側に位置するスロット21の他方側領域21bと、周方向他方側に位置するスロット21の一方側領域21aと、に跨って収容されることで、1つのティース部24に装着されている。つまり、複数のコイルユニット30は、ティース部24ごとに個別に装着されている。各コイルユニット30には、その表面と当該表面に接触する分割コア23の接触部分との絶縁を確保するために、適宜の絶縁性材料(例えばポリエステル等)で構成されたインシュレータ18(絶縁材の一例に相当)が装着されている。なお、図1中では、インシュレータ18の図示を省略している。
複数のコイルユニット30の負荷側コイルエンド部38a(詳細は後述)が、負荷側ブラケット6に設けられた環状の取り付け部6aの内側の略円錐状の凹部6bに嵌合されることで、複数のコイルユニット30が負荷側ブラケット6に取り付けられている。このとき、複数のコイルユニット30の負荷側コイルエンド部38aの軸方向外側の面38a2(詳細は後述)は、適宜の絶縁性材料(例えばポリエステル等)で構成されたインシュレータ19を介して上記凹部6bの内壁面6b1に密着している。つまり、複数のコイルユニット30の負荷側コイルエンド部38aと負荷側ブラケット6との間には、上記インシュレータ19が介在している。なお、複数のコイルユニット30の負荷側コイルエンド部38aの軸方向外側の面38a2を、上記凹部6bの内壁面6b1に直接密着させてもよい。コイルユニット30の負荷側コイルエンド部38aを負荷側ブラケット6に密着させることにより、コイルユニット30の負荷側コイルエンド部38aから負荷側ブラケット6への熱伝導を良好にできる。その結果、コイルユニット30の許容温度に対してより大きな負荷電流を流すことを可能にして、定格出力を向上できる。
なお、以上は一例であり、回転電機1の構成は、図1及び図2に示す例に限定されない。例えば、回転子2において永久磁石15は回転子鉄心14に放射状に埋設されてもよいし、永久磁石15が回転子鉄心14の外周面に固定されてもよい。また、固定子3のティース部24は、内周側先端が円筒状に連結されてもよい。また、固定子鉄心22は、複数の分割コアから構成されるのではなく、一体として構成されてもよい。また、スロット21は、径方向に沿って周方向寸法が略等しい径方向断面形状でもよい。また、回転電機1は、図2に示す10ポール12スロット以外のスロットコンビネーションでもよい。
(1−2.コイルユニットの構成の例)
一般に、回転電機に使用されるコイルにおいては、導線間の空隙に部分放電が発生すると絶縁破壊の一因となるため、要求される耐圧に応じて部分放電開始電圧をなるべく高くするのが好ましい。仮に、導線の皮膜を厚くすることで部分放電開始電圧を高くすることが可能であるが、この場合には導体占積率が低下するので、巻線抵抗の増大を招く。また、放熱性の低下や導線のコストの増大等を招く可能性もある。
そこで、本実施形態では、コイルユニット30を、導線間の空隙に樹脂を充填して空隙を減少させる構成としている。以下、図2及び図3を参照しつつ、このようなコイルユニット30の詳細な構成の一例について説明する。
図2及び図3に示すように、コイルユニット30は、この例では略四角枠状に形成され、上記ティース部24が挿入される中空部30aと、2つのコイル辺部37a,37bと、負荷側コイルエンド部38aと、反負荷側コイルエンド部38bと、を備える。コイル辺部37aは、軸方向に沿って延在して上記隣り合うスロット21,21のうち周方向一方側に位置するスロット21の上記他方側領域21bに収容される。コイル辺部37bは、軸方向に沿って延在して上記隣り合うスロット21,21のうち周方向他方側に位置するスロット21の上記一方側領域21aに収容される。負荷側コイルエンド部38aは、上記固定子鉄心22よりも負荷側においてコイル辺部37a,37bの負荷側端部同士を繋ぐようにコイル辺部37a,37b間に延在する。反負荷側コイルエンド部38bは、上記固定子鉄心22よりも反負荷側においてコイル辺部37a,37bの反負荷側端部同士を繋ぐようにコイル辺部37a,37b間に延在する。
コイルユニット30は、加圧成形前の横断面形状が略丸形状(丸線)である導線31で形成された略環状の空芯コイル部35(空芯コイルの一例に相当)と、空芯コイル部35を固めてモールドした略環状の樹脂部36と、を備える。コイルユニットはモールドコイルとも言う。導線31は、適宜の電導性材料(例えば銅等)で構成された線状の導体32と、導体32を被覆する適宜の絶縁性材料(例えばエナメル等)で構成された絶縁皮膜33と、絶縁被膜を被覆する適宜の融着性材料(例えばナイロン等)で構成された融着皮膜34と、を備える(後述の図5中拡大図参照)。導線31の一方(例えば巻き始め側)の端部31a及び他方(例えば巻き終わり側)の端部31bは、反負荷側コイルエンド部38bから反負荷側に突出している。
空芯コイル部35は、導線31が略環状に複数回巻回され、外形が所定の形状となるように加圧成形されている。各導線31の断面形状は、加圧により各々任意の形状(例えば略四角形、略五角形、略六角形、略丸形等)に塑性変形している。空芯コイル部35は、導線31の融着皮膜34が融解されて隣り合う導体32同士が融着皮膜34の融着により絶縁皮膜33上から接着固化されることで、形成されている。空芯コイル部35のうち、上記コイル辺部37aに対応する部分の外形は、上記他方側領域21bの内形に略合致する形状に形成され、上記コイル辺部37bに対応する部分の外形は、上記一方側領域21aの内形に略合致する形状に形成されている。また、上記負荷側コイルエンド部38aに対応する部分の外形は、上記負荷側ブラケット6の凹部6bの内形に略合致する形状に形成されている。
コイルユニット30の表面のうち、上記中空部30aに挿入される上記ティース部24に周方向で対向する2つの周方向内側の面37a1,37b1は、樹脂部36と、導線31とで構成されている。周方向内側の面37a1,37b1を構成する導線31は、詳細には、空芯コイル部35の周方向内側に積層された(図示の例では8層の)導線31の上記加圧により平坦状に塑性変形した平坦部310で構成されている。なお、導線31の平坦部310は、樹脂部36から露出する表面の全てが平坦状である場合に限定されるものではなく、露出する表面の少なくとも一部が平坦状である場合も含まれる。すなわち、周方向内側の面37a1,37b1では、導線31の平坦部310が複数箇所で露出しており、隣り合う2つの平坦部310同士の間に樹脂部36が介在している。周方向内側の面37a1,37b1は、上記コイル辺部37a,37bの内周側の対向する面である。なお、図示のように空芯コイル部35の周方向内側に積層された(図示の例では8層の)導線31の平坦部310の全部が露出するのではなく、一部が露出した構成でもよい。また、周方向内側の面37a1,37b1のいずれか一方の面が、樹脂部36のみで構成されてもよい。
上記導線31の平坦部310は、加圧成形によって、コイルユニット30の表面だけでなく、コイルユニット30の内部にも形成されている。すなわち、コイルユニット30の内部では、隣接する導線31の平坦部310同士が対向(接触)している。
一方、コイルユニット30の表面のうち、上記中空部30aに挿入される上記ティース部24に軸方向で対向する2つの軸方向内側の面38a1,38b1は、樹脂部36のみで構成されている。すなわち、軸方向内側の面38a1,38b1では、空芯コイル部35の軸方向内側に積層された導線31の平坦部310が露出していない。軸方向内側の面38a1,38b1は、上記コイルエンド部38a,38bの内周側の対向する面である。なお、周方向内側の面37a1,37b1の少なくとも一方の面に加えて又は代えて、軸方向内側の面38a1,38b1の少なくとも一方の面を、樹脂部36と導線31の平坦部310とで構成してもよい。
また、コイルユニット30の表面のうち、径方向内側の面30b1は、樹脂部36と、空芯コイル部35の径方向内側に積層された(図示の例では2層の)導線31の平坦部310と、で構成されている。すなわち、径方向内側の面30b1では、導線31の平坦部310が複数箇所で露出しており、隣り合う2つの平坦部310同士の間に樹脂部36が介在している。径方向内側の面30b1は、上記コイル辺部37a,37bの径方向内側の面と、上記コイルエンド部38a,38bの径方向内側の面と、で構成されている。なお、図示のように空芯コイル部35の径方向内側に積層された(図示の例では2層の)導線31の平坦部310の全部が露出するのではなく、一部が露出した構成でもよい。また、径方向内側の面30b1の全部又は一部を、樹脂部36のみで構成してもよい。
また同様に、コイルユニット30の表面のうち、径方向外側の面30b2は、樹脂部36と、空芯コイル部35の径方向外側に積層された(図示の例では4層の)導線31の平坦部310と、で構成されている。すなわち、径方向外側の面30b2では、導線31の平坦部310が複数箇所で露出しており、隣り合う2つの平坦部310同士の間に樹脂部36が介在している。径方向外側の面30b2は、上記コイル辺部37a,37bの径方向外側の面と、上記コイルエンド部38a,38bの径方向外側の面と、で構成されている。なお、図示のように空芯コイル部35の径方向外側に積層された(図示の例では4層の)導線31の平坦部310の全部が露出するのではなく、一部が露出した構成でもよい。また、径方向外側の面30b2の全部又は一部を、樹脂部36のみで構成してもよい。
また、コイルユニット30の表面のうち、2つの周方向外側の面37a2,37b2は、樹脂部36のみで構成されている。すなわち、2つの周方向外側の面37a2,37b2では、空芯コイル部35の周方向外側に積層された導線31の平坦部310が露出していない。2つの周方向外側の面37a2,37b2は、上記コイル辺部37a,37bの周方向外側の面である。なお、2つの周方向外側の面37a2,37b2の少なくとも一方の面を、樹脂部36と導線31の平坦部310とで構成してもよい。
また同様に、コイルユニット30の表面のうち、2つの軸方向外側の面38a2,38b2は、樹脂部36のみで構成されている。すなわち、2つの軸方向外側の面38a2,38b2では、空芯コイル部35の軸方向外側に積層された導線31の平坦部310が露出していない。2つの軸方向外側の面38a2,38b2は、上記コイルエンド部38a,38bの軸方向外側の面である。なお、2つの軸方向外側の面38a2,38b2の少なくとも一方の面を、樹脂部36と導線31の平坦部310とで構成してもよい。
コイルユニット30の表面のうち、樹脂部36と導線31の平坦部310とで構成される表面は、樹脂部36の平坦な表面と導線31の平坦部310とが略面一となるように形成されている。また、樹脂部36の表面と導線31の平坦部310とは、加圧成形の際に使用される後述のコアピン40、ダイ41、上パンチ44等の端面形状に沿った略平面状又は略曲面状に連なって形成されている。言い換えると、コイルユニット30の周方向内側の面37a1,37b1では、樹脂部36の表面と導線31の平坦部310とは、対向するティース部24の表面に沿って略平面状に連なって形成されている。
上記インシュレータ18は、コイルユニット30の表面のうち、周方向内側の面37a1,37b1、軸方向内側の面38a1,38b1、径方向内側の面30b1、及び径方向外側の面30b2を被覆するように、コイルユニット30に装着される。インシュレータ18は、これら周方向内側の面37a1,37b1、軸方向内側の面38a1,38b1、径方向内側の面30b1、及び径方向外側の面30b2と、上記分割コア23と、の間に配置される。なお、インシュレータ18が被覆するコイルユニット30の表面は、上記面に限定されない。
隣り合うコイルユニット30,30間では、スロット21の上記一方側領域21aに収容される一方のコイルユニット30の上記コイル辺部37bの周方向外側の面37b2を構成する樹脂部36と、当該スロット21の上記他方側領域21bに収容される他方のコイルユニット30の上記コイル辺部37aの周方向外側の面37a2を構成する樹脂部36と、が直接接触している。なお、隣り合うコイルユニット30,30間に適宜の絶縁材を介在させ、これらコイルユニット30,30同士が直接接触しないようにしてもよい。この場合、コイルユニット30の周方向外側の面37a2,37b2についても、樹脂部36と導線31の平坦部310とで構成されてもよい。
上記のようにコイルユニット30の表面が構成されることで、コイルユニット30の外形寸法は、樹脂部36を除いた空芯コイル部35の外形寸法と実質的に等しくなっている。なお、コイルユニット30の表面のうち、いずれの表面を樹脂部36と導線31の平坦部310とで構成するかは、要求仕様に応じて選択的に変更することが可能である。
また、コイルユニット30の内部では、前述のように隣り合う導線31の平坦部310同士が対向(接触)しているが、導線31同士は完全に密着しているわけではなく、隙間が存在する。樹脂部36は、このようなコイルユニット30の内部において隣り合う導線31同士の間の隙間にも充填されている。樹脂部36を構成する樹脂としては、含浸性の高い樹脂(例えばワニス等)が好ましい。
なお、以上は一例であり、コイルユニット30の構成は、図2及び図3に示す例に限定されない。
(1−3.回転電機の製造方法の例)
次に、図4〜図15を参照しつつ、回転電機1の製造方法の一例について説明する。
図4に示すように、回転電機1の製造工程には、上記コイルユニット30の製造工程が含まれる。コイルユニット30は、概略的には、上記導線31を巻回して上記空芯コイル部35を形成する第1工程と、巻回されて形成された空芯コイル部35の外形状を加圧成形する第2工程と、外形状が加圧成形された空芯コイル部35の上記導体32同士を接着固化する第3工程と、導体32同士が接着固化された空芯コイル部35を樹脂モールドしてコイルユニット30を形成する第4工程と、によって製造される。
(1−3−1.第1工程)
まず、第1工程として、丸線である導線31が、巻き治具に巻回されて空芯コイル部35が形成される。具体的には、図5に示すように、加圧成形治具を兼ねた巻き治具であるコアピン40に、巻線上スペーサ42と巻線下スペーサ43とが所定間隔を空けて固定される。その後、コアピン40が成形治具であるダイ41に挿入されて固定され、巻線上スペーサ42と巻線下スペーサ43との間で、コアピン40の周囲に導線31が略環状に巻回されて、空芯コイル部35が形成される。
なお、図5には、コイルユニット30を上記ティース部24に装着したときの軸方向と直交する横断面を反負荷側から見た場合の導線31の巻回順序及び位置を併せて示す。図5の上側が空芯コイル部35の径方向外側、下側が空芯コイル部35の径方向内側に相当する。コアピン40に巻回した導線31に示したX印は、反負荷側から負荷側に向かって巻回される導線31を示し、導線31に示した数字は、負荷側から反負荷側に向かって巻回される導線31の巻回順序を示す。この例では、導線31は、内側の層の巻数に対して外側の層の巻数が、各々1ターン以上少ないように巻回される。反負荷側端部以外の範囲では、導線31は完全整列巻きに巻回され、導線31の交差は全て、反負荷側端部で行われる。そして、上述したように、導線31の上記端部31a,31bは、反負荷側端部に設けられる。このようにすることにより、導線31を高速で整列巻きに巻回することができ、空芯コイル部35を形成することができる。なお、図5に示す導線31の巻回態様は一例であり、これに限定されるものではない。
(1−3−2.第2工程)
次に、第2工程として、巻回されて形成された空芯コイル部35の端面がプレス治具で加圧される。具体的には、空芯コイル部35の径方向内側及び外側の端面が、円筒形状の一部を構成する曲面状のプレス治具で加圧され、空芯コイル部35の周方向両側及び軸方向両側の端面が、平面状のプレス治具で加圧される。以下、図6〜図9を参照しつつ、空芯コイル部35の外形状の加圧成形の一例について説明する。
まず、図6及び図7に示すように、上記巻線上スペーサ42及び巻線下スペーサ43がコアピン40から除去される。そして、導線31が環状に巻回されて空芯コイル部35が形成されたコアピン40が、上パンチ44に取り付けられ、上パンチ44を受容する上記ダイ41の成形穴50にセットされる。
成形穴50は、空芯コイル部35の軸方向両側に対応する前側及び後側が開口した有底の穴である。この成形穴50は、穴形状が上記スロット21の形状に対応した略台形状を有する。つまり、成形穴50は、空芯コイル部35の径方向内側の外形状を成形する径方向内側用の成形面50aと、空芯コイル部35の周方向両側の外形状を成形する周方向用の1対の成形面50bと、を備える。成形面50aは、円筒形状の一部を構成する曲面状であり、具体的には、空芯コイル部35の径方向内側の外形状に対応した所定の曲率で湾曲した湾曲壁面である。1対の成形面50bは、平面状であり、具体的には、空芯コイル部35の周方向両側の外形状に対応した傾斜で成形面50aの左右の辺から外開き状に立ち上がる傾斜壁面である。
上パンチ44は、空芯コイル部35の径方向外側の外形状を成形する成形面53aを有する。成形面53aは、円筒形状の一部を構成する曲面状であり、具体的には、空芯コイル部35の径方向外側の外形状に対応した所定の曲率で湾曲した湾曲壁面である。
空芯コイル部35がダイ41の成形穴50にセットされたら、図6及び図7中白抜きの矢印に示すように、上パンチ44がダイ41に対して所定量下降される。上パンチ44が下降するにつれて、図8Aに示すように、上パンチ44とダイ41とにより空芯コイル部35の径方向両側の端面が押圧され、導線31の断面形状が塑性変形して、空芯コイル部35の径方向両側の外形状が加圧成形される。また、空芯コイル部35の周方向両側の端面が押圧され、導線31の断面形状が塑性変形して、空芯コイル部35の周方向両側の外形状が加圧成形される。そして、図7に示す所定の外形線Sに至るまで上パンチ44が下降すると、図8Bに示すように、空芯コイル部35の径方向両側及び周方向両側の4つの端面の外形状の加圧成形が終了し、空芯コイル部35の径方向両側及び周方向両側の4つの端面の外形状がスロット21の形状に略合致する形状に形成される。
次に、図9に示すように、上パンチ44とダイ41との間に形成された前後両側の1対の開口55のうち、端部31a,31bが突出していない負荷側の開口55に対して、横パンチ54が図9中白抜きの矢印で示すように挿入される。横パンチ54は、空芯コイル部35の負荷側の端面と接触する壁面が、負荷側ブラケット6の凹部6bの内壁面6b1に対応した部分円錐面状の成形面に形成される。
ダイ41の開口55に挿入された横パンチ54が所定量前進されると、空芯コイル部35の負荷側の端面が押圧される。これにより、導線31の断面形状が塑性変形して、空芯コイル部35の負荷側の外形状が、負荷側ブラケット6の凹部6bの内壁面6b1に対応した形状の端面となるように加圧成形される。これによって、空芯コイル部35の外形状がスロット21の内形状に合致するとともに、空芯コイル部35の負荷側端部の外形状が負荷側ブラケット6の凹部6bの内壁面6b1に密着可能な端面を有する形状に形成される。このようにして、空芯コイル部35の外形状の加圧成形が完了する。
(1−3−3.第3工程)
次に、第3工程において、外形状の加圧成形が完了した空芯コイル部35が加圧した状態で加熱され、融着皮膜34が溶融される。すなわち、例えば上述の成形治具に装着したまま加圧した状態下で、空芯コイル部35の反負荷側端部から突出している端部31a,31bから導線31の導体32に通電される。これにより、導体32の発熱により融着皮膜34が溶融されて、隣り合う導体32同士が融着皮膜34の熱融着により絶縁皮膜33上から接着固化される。なお、融着皮膜34を備えない導線31を使用し、例えば加熱硬化性接着剤を添加して加熱することで、導体32同士を接着固化してもよい。
(1−3−4.第4工程)
次に、第4工程において、導体32同士が接着固化された空芯コイル部35が、樹脂で固められてモールドされることで、上記図3に示すコイルユニット30が形成される。このとき、コイルユニット30の表面のうち、周方向内側の面37a1,37b1、径方向内側の面30b1、及び径方向外側の面30b2が、上記樹脂部36と導線31の上記平坦部310とで構成される。また、それ以外の面が上記樹脂部36のみで構成され、かつ、コイルユニット30の内部において隣り合う導線31同士の間の隙間に樹脂部36が充填される。このとき、樹脂として含浸性の高い樹脂(例えばワニス等)を使用し、例えば真空引きすることでコイルユニット30の内部の空隙に樹脂が充填され、その後、樹脂が硬化(例えば加熱硬化)されることで、上記樹脂部36が形成される。なお、加圧成形された外形状にモールドするために、加圧工程で用いた治具をそのままモールド工程に用いても良いし、加圧工程に用いた治具の一部をモールド工程の治具として用いても良い。
以上のようにして製造されたコイルユニット30における樹脂部36と導線31の比率は、次のようになる。すなわち、例えばコイルユニット30のスロット21内の導体占積率を90%以上、コイルエンド部における導体占積率を80%以上で設計した場合、スロット21内に装着される部分であるコイル辺部37a,37bの断面形状において、導線31の総面積に対する樹脂部36の総面積の面積比率は10%以下となる。また、コイルエンド部38a,38bの断面形状において、導線31の総面積に対する樹脂部36の総面積の面積比率は20%以下となる。なお、以上の面積比率は一例であり、コイルユニット30の導体占積率の設計値に応じた値となる。
(1−3−5.その後の工程)
その後、図4及び図10に示すように、コイルユニット30に上記インシュレータ18が装着される。すなわち、インシュレータ18は、コイルユニット30の表面うち、上記周方向内側の面37a1,37b1、軸方向内側の面38a1,38b1、径方向内側の面30b1、及び径方向外側の面30b2を被覆するように、コイルユニット30に装着される。図10に示す例では、インシュレータ18は、コイルユニット30の径方向内側に装着されるインシュレータ18aと、コイルユニット30の径方向外側に装着されるインシュレータ18bと、で構成されている。なお、インシュレータ18は一体でもよい。このとき、コイルユニット30の周方向内側の面37a1,37b1及び軸方向内側の面38a1,38b1とインシュレータ18とが、接着剤により接着される。
その後、図4及び図11に示すように、インシュレータ18が各々装着された複数のコイルユニット30が、略環状(略円筒状)に配列される。なお、このとき、例えば高い絶縁信頼性が要求される場合等には、隣り合うコイルユニット30間に、適宜の絶縁材を設置してもよく、この場合、要求に応じた高い絶縁信頼性を確立できる。
その後、図4及び図12に示すように、略環状に配列された複数のコイルユニット30の上記反負荷側コイルエンド部38bの軸方向外側の面38b2に、複数のコイルユニット30の上記端部31a,31bを略軸方向に挿通させる複数の導出孔(図示せず)を有する略円板状の結線基板16Aが取り付けられる。結線基板16Aは、これら端部31a,31bを所定の結線パターンとなるように結線して、上記結線部16を形成する。なお、複数のコイルユニット30に複数の分割コア23のティース部24を装着した後に、当該工程を行ってもよい。
その後、図4及び図13に示すように、結線部16が形成された複数のコイルユニット30の上記負荷側コイルエンド部38aが、負荷側ブラケット6の上記取り付け部6aの凹部6bに嵌合され、複数のコイルユニット30が負荷側ブラケット6に装着される。このとき、コイルユニット30の負荷側コイルエンド部38aの軸方向外側の面38a2が、上記インシュレータ19を介して上記凹部6bの内壁面6b1に密着される(図1参照)。またこのとき、インシュレータ19として熱伝導性の高い絶縁材(例えば窒化アルミやアルミナ等)を使用する場合には、コイルユニット30から負荷側ブラケット6への熱伝導性を向上できる。なお、コイルユニット30の負荷側コイルエンド部38aの軸方向外側の面38a2を、上記凹部6bの内壁面6b1に直接密着させてもよい。なお、複数のコイルユニット30に複数の分割コア23のティース部24を装着した後に、当該工程を行ってもよい。
その後、図4及び図14に示すように、負荷側ブラケット6に取り付けられた複数のコイルユニット30の上記中空部30aに、上記複数の分割コア23のティース部24がそれぞれ径方向外側から挿入される。これにより、複数のコイルユニット30に複数の分割コア23、つまり固定子鉄心22の複数のティース部24が装着される。言い換えれば、複数のコイルユニット30を固定子鉄心22の複数のティース部24に装着する、とも言える。このとき、コイルユニット30に装着されて接着剤により接着された上記インシュレータ18とティース部24とが、接着剤により接着される。これにより、コイルユニット30の周方向内側の面37a1,37b1及び軸方向内側の面38a1,38b1とティース部24とが接着される。
その後、図4及び図15に示すように、固定子鉄心22が装着された複数のコイルユニット30がフレーム5の上記内周部5aに負荷側から挿入されて、フレーム5が上記負荷側ブラケット6の取り付け部6aに取り付けられる。そして、固定子鉄心22の内側にシャフト10及び回転子2等が挿入され、固定される。その後、フレーム5の反負荷側端部に上記反負荷側ブラケット8が取り付けられ、反負荷側ブラケット8及びフレーム5が、ボルトにより負荷側ブラケット6に締結される。以上により、回転電機1が完成する。
なお、以上は一例であり、回転電機1の製造方法は、上記順序に沿って時系列的に行われる工程はもちろん、必ずしも時系列的に実行されなくても、並列的に又は個別的に実行される工程をも含む。また、時系列的に実行される工程でも、場合によっては適宜順序を変更することが可能である。
(1−4.第1実施形態の効果の例)
以上説明した本実施形態の回転電機1は、以下のような効果を奏する。
回転電機1では、固定子鉄心22のティース部24に装着されたコイルユニット30のティース部24に対向する複数の面37a1,37b1,38a1,38b1のうち少なくとも1つの面(上記の例では周方向内側の面37a1,37b1)が、樹脂部36と導線31とで構成されている。このような構成のコイルユニット30では、導線31間に樹脂を充填して空隙を減少させることが可能である。その結果、導線31の皮膜を厚くすることなく部分放電開始電圧を高くすることができる。
図16に、本実施形態のコイルユニット30と比較例のコイル(例えばモールド無しの導線31のみからなる空芯コイル)との部分放電開始電圧を対比して示す。図16に示す例では、10個の本実施形態のコイルユニット30と10個の比較例のコイルとのそれぞれの部分放電開始電圧を対比して示しており、いずれの対比においても、本実施形態のコイルユニット30の方が比較例のコイルよりも部分放電開始電圧が大幅に高くなっている。
以上のように、本実施形態によれば、導線31の皮膜を厚くすることなく部分放電開始電圧を高くすることができるので、導体占積率を低下させることなく部分放電の発生を抑制できる。また、導線31の皮膜を厚くする場合に比べて放熱性を向上できると共に、導線31のコストを低減できる。
また、本実施形態では特に、コイルユニット30の上記少なくとも1つの面(上記の例では周方向内側の面37a1,37b1)を構成する導線31は、隣り合う2つの平坦部310を有しており、コイルユニット30の上記少なくとも1つの面は、2つの平坦部310の間に樹脂部36が介在するように構成されている。このようなコイルユニット30は、加圧により導線31の断面形状を変形させて外形を所定の形状に形成した空芯コイル部35を樹脂でモールドすることにより得られる。空芯コイル部35の外形を加圧成形した場合でも導線31の平坦部310と平坦部310の間は完全に密着することはなく、その隙間に樹脂が入り込むからである。したがって、占積率の高いコイルユニット30を実現できる。
また、本実施形態では特に、周方向内側の面37a1,37b1が、樹脂部36と導線31の平坦部310とで構成されている。これにより、コイルユニット30の内形寸法をモールド前の空芯コイル部35と実質的に等しくすることが可能である。これにより、要求仕様に応じてコイルユニット30をモールド無しのコイルとティース部24の寸法を変更することなく交換できると共に、インシュレータ18を共用することができる。
また、本実施形態では特に、樹脂部36が、コイルユニット30の内部において導線31間の隙間に充填されている。これにより、コイルユニット30の内部における導線31間の隙間に樹脂を充填して空隙を減少させることができる。その結果、導体占積率を低下させることなく部分放電の発生を抑制できる。また、導線31の皮膜を厚くする場合に比べて放熱性を向上でき、導線31のコストを低減できる。
また、本実施形態では特に、コイルユニット30のティース部24に対向する複数の面37a1,37b1,38a1,38b1とティース部24との間に、インシュレータ18を設けている。これにより、ティース部24に対向する面が樹脂部36と導線31の平坦部310とで構成された結果、導線31が樹脂部36から露出した場合でも、コイルユニット30の絶縁を確保できる。
また、本実施形態では特に、コイルユニット30が、ティース部24ごとに個別に装着されている。これにより、コイルユニット30が集中巻き方式で配置された回転電機1において、導体占積率を低下させることなく部分放電の発生を抑制できる回転電機1を実現できる。
また、本実施形態では特に、コイルユニット30の外形寸法が、導線31が環状に巻回されて形成された空芯コイル部35の外形寸法と実質的に等しい。これにより、要求仕様に応じてコイルユニット30をモールド無しの空芯コイルと交換できるので、要求仕様に柔軟に対応可能な回転電機1を実現できる。
また、本実施形態の製造方法により製造された回転電機1では、加圧により導線31の断面形状を変形させて空芯コイル部35の外形を所定の形状に形成するので、占積率の高いコイルユニット30を実現できる。
また、本実施形態の回転電機1は、空芯コイル部35がティース部24に装着された後に樹脂により固定されるのではなく、空芯コイル部35が樹脂で固められてコイルユニット30が形成された後にティース部24に装着される。したがって、コイルユニット30とティース部24との間に隙間ができ、ガタつき等が生じる可能性がある。
そこで本実施形態の製造方法では特に、コイルユニット30をティース部24に接着剤で接着するので、コイルユニット30のティース部24からの外れや位置ずれを防止できると共に、ガタつきによる騒音や振動の発生を防止できる。
また、本実施形態の製造方法では特に、複数のコイルユニット30の導線31の端部31a,31bを所定の結線パターンとなるように結線する。複数のコイルユニット30を固定子鉄心22のティース部24に装着した後に導線31の端部31a,31bを結線するので、コイルユニット30の位置が固定された状態で結線作業することができるので、作業性を向上できる。
(1−5.変形例等)
なお、第1実施形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(1−5−1.複数の空芯コイル部を樹脂モールドする場合)
図17に示すように、本変形例では、略環状(略円筒状)に配列された状態で複数の上記空芯コイル部35が樹脂で固められてモールドされることで、複数のコイルユニット部30′(コイルユニットの一例に相当)が樹脂部36′により略環状(略円筒状)に連結された環状コイル体60として一体に形成されている。
環状コイル体60は、空芯コイル部35のモールド位置に、一の上記ティース部24が径方向外側から挿入される上記中空部30aを備える。環状コイル体60は、空芯コイル部35のモールド位置に、一のティース部24に周方向で対向する上記周方向内側の面37a1,37b1、及び、一のティース部24に軸方向で対向する上記軸方向内側の面38a1,38b1を備える。つまり、環状コイル体60は、周方向内側の面37a1,37b1及び軸方向内側の面38a1,38b1を1組として、これら周方向内側の面37a1,37b1及び軸方向内側の面38a1,38b1を、ティース部24ごとに周方向に複数組有する。環状コイル体60において、各組の周方向内側の面37a1,37b1は、樹脂部36′と上記導線31の平坦部310とで構成され、各組の軸方向内側の面38a1,38b1は、樹脂部36′のみで構成されている。なお、図17中では、各組の周方向内側の面37a1,37b1に露出している導線31の平坦部310の図示を省略している。
本変形例によれば、次のような効果を奏する。すなわち、回転電機1においては、上記第1実施形態のように空芯コイル部35ごとに樹脂でモールドされて複数のコイルユニット30が形成される場合と、複数のコイルユニット部30′が樹脂部36′により環状に連結されて一体的な環状コイル体60として形成される場合がある。本変形例では、上記環状コイル体60を備える場合において、導体占積率を低下させることなく部分放電の発生を抑制できる回転電機1を実現できる。
(1−5−2.樹脂部を2種類の樹脂で構成する場合)
図18に示すように、本変形例のコイルユニット30″は、上記空芯コイル部35を固めた樹脂部36″として、第1樹脂部36aと、第2樹脂部36bと、を有する。第1樹脂部36aは、コイルユニット30″の上記負荷側ブラケット6との直接又は間接的な接触部である負荷側コイルエンド部38a″の軸方向外側の面を覆うように設けられている。なお、コイルユニット30″の負荷側ブラケット6との接触部以外の部分にも第1樹脂部36aを設けてもよい。第2樹脂部36bは、樹脂部36″のうち上記第1樹脂部36a以外の部分を構成している。第1樹脂部36aは、第2樹脂部36bよりも熱伝導性の高い樹脂(以下適宜「第1樹脂」という)で構成されている。第2樹脂部36bを構成する樹脂(以下適宜「第2樹脂」という)としては、含浸性の高い樹脂(例えばワニス等)が好ましい。
コイルユニット30″の製造工程では、前述のようにして導体32同士が接着固化された空芯コイル部35の上記負荷側コイルエンド部38a″に対応する部分に、上記第1樹脂が塗布される(又はモールド型に予め充填しておいてもよい)。そして、モールド型に空芯コイル部35が装着された後に、上記第2樹脂が真空注型されて、空芯コイル部35が第1樹脂及び第2樹脂で固めてモールドされることで、上記図18に示すコイルユニット30″が形成される。すなわち、コイルユニット30″の表面うち、周方向内側の面37a1,37b1、径方向内側の面30b1の上記負荷側コイルエンド部38a″を除く部分、及び径方向外側の面30b2の上記負荷側コイルエンド部38a″を除く部分が、第2樹脂部36bと上記導線31の平坦部310とで構成される。また、それ以外の面における、負荷側コイルエンド部38a″に対応する部分が第1樹脂部36aのみ、負荷側コイルエンド部38a″に対応する部分以外の部分が第2樹脂部36bのみで構成される。また、コイルユニット30″の内部において隣り合う導線31同士の間の隙間に第2樹脂部36bが充填される。
本変形例によれば、コイルユニット30″の樹脂部36″を第1樹脂部36aと第2樹脂部36bの2種類の樹脂部で構成することにより、樹脂部36″による部分放電の抑制機能以外の機能(例えば放熱機能)を強化することができる。
また、本変形例では、第1樹脂部36aを、第2樹脂部36bよりも熱伝導性の高い樹脂で構成する。これにより、コイルユニット30″の熱を第1樹脂部36aを介して負荷側ブラケット6に効率良く伝熱させることができるので、放熱性をさらに向上できる。
(1−5−3.コイルユニットを分布巻き方式で配置する場合)
図19に示すように、本変形例の回転電機110は、固定子130と、回転子120と、を有する。固定子130は、フレーム111の内周に設けられている。回転子120は、固定子130の内周側に配置され、シャフト116の外周に設けられている。フレーム111の負荷側には、負荷側ブラケット112(ブラケットの一例に相当)が設けられている。フレーム111の反負荷側には、反負荷側ブラケット(図示せず)が設けられている。
回転子120は、固定子130の内周面と径方向に磁気的空隙を介して対向配置された回転子鉄心122と、回転子鉄心122に1極ごとにV字状に埋設された複数極(この例では8極)の永久磁石123と、を有する。回転子鉄心122には、内周部121が形成されており、回転子鉄心122は、内周部121がシャフト116と嵌合することで、シャフト116の外周面に固定されている。
固定子130は、複数(この例では48)のスロット131が回転子120の回転軸心AX1周りの周方向全周に亘って配列された略環状の固定子鉄心132と、複数のスロット131に分布巻き方式(この例では2層重ね巻方式)で収容された複数(この例では48)のコイルユニット141と、を有する。固定子130の反負荷側には、複数のコイルユニット141の導線31の一方及び他方の端部(図示せず)が所定の結線パターンとなるように結線された結線部(図示せず)が配置されている。複数のコイルユニット141の負荷側コイルエンド部(図示せず)は、負荷側ブラケット112に取り付けられている。
固定子鉄心132は、フレーム111の内周に沿って複数(この例では48)の分割コア133が周方向の全周に亘って配列されることで、略環状に形成されている。各分割コア133は、この例では略T字形の径方向断面形状であり、径方向内側に略矩形の径方向断面形状のティース部134を備える。周方向に隣り合う分割コア133,133のティース部134,134の間に、上記スロット131が形成されている。各ティース部134の周方向寸法は、この例では径方向に沿って略等しく、各スロット131は、この例では内周側に向かって開口している。各スロット131は、この例では径方向内側に向かって狭まる略台形の径方向断面形状であり、径方向内側の内側領域131aと、径方向外側の外側領域131bと、を備える。
各コイルユニット141は、スロット131に収容されることで、ティース部134に装着されている。具体的には、各コイルユニット141は、周方向に複数(この例では6つ)離間したスロット131,131のうち、周方向一方側に位置するスロット131の内側領域131aと、周方向他方側に位置するスロット131の外側領域131bと、に跨って収容される。これにより、各コイルユニット141は、複数(この例では5つ)のティース部134に跨って装着されている。各コイルユニット141には、その表面と当該表面に接触する固定子鉄心132の部分との絶縁を確保するために、適宜の絶縁性材料(例えばポリエステル等)で構成されたインシュレータ18A(絶縁材の一例に相当)が装着されている。
コイルユニット141は、2つのコイル辺部150,151と、負荷側コイルエンド部(図示せず)と、反負荷側コイルエンド部(図示せず)と、を備える。コイル辺部150は、軸方向に沿って延在し、上記6つ離間したスロット131,131のうち周方向一方側に位置するスロット131の上記内側領域131aに収容される。コイル辺部151は、コイル辺部150と略周方向に所定の距離Xだけ離間した位置で軸方向に沿って延在し、上記6つ離間したスロット131,131のうち周方向他方側に位置するスロット131の上記外側領域131bに収容される。負荷側コイルエンド部は、上記固定子鉄心132よりも負荷側においてコイル辺部150,151の負荷側端部同士を繋ぐようにコイル辺部150,151間に延在する。反負荷側コイルエンド部は、上記固定子鉄心132よりも反負荷側においてコイル辺部150,151の反負荷側端部同士を繋ぐようにコイル辺部150,151間に延在する。
コイルユニット141は、上記導線31で形成された略環状の空芯コイル部142(空芯コイルの一例に相当)と、空芯コイル部142を固めてモールドした略環状の樹脂部143と、を備える。導線31の一方(例えば巻き始め側)の端部及び他方(例えば巻き終わり側)の端部は、反負荷側コイルエンド部から反負荷側に突出している。
空芯コイル部142は、導線31が略環状に複数回巻回され、導線31の複数部分の断面形状が加圧により各々任意の形状(例えば略四角形、略五角形、略六角形、略丸形等)に塑性変形されて外形が所定の形状となるように、形成されている。また、空芯コイル部142は、導線31の上記融着皮膜34が融解されて隣り合う上記導体32同士が融着皮膜34の融着により上記絶縁皮膜33上から接着固化されることで、形成されている。具体的には、空芯コイル部142のうち、上記コイル辺部150に対応する部分の外形は、上記内側領域131aの内形に略合致する形状に形成され、上記コイル辺部151に対応する部分の外形は、上記外側領域131bの内形に略合致する形状に形成されている。また、空芯コイル部142のうち、上記負荷側コイルエンド部に対応する部分の外形は、上記負荷側ブラケット112の取り付け凹部(図示せず)の内形に略合致する形状に形成されている。
コイルユニット141の表面のうち、上記ティース部134に周方向で対向する2つの周方向内側の面1501,1511は、樹脂部143と、空芯コイル部142の周方向内側に積層された導線31の上記平坦部310と、で構成されている。すなわち、周方向内側の面1501,1511を構成する導線31は、隣り合う2つの平坦部310を有しており、周方向内側の面1501,1511は、2つの平坦部310の間に樹脂部143が介在するように構成されている。周方向内側の面1501,1511は、上記コイル辺部150,151の内周側の対向する面である。なお、図示のように空芯コイル部142の周方向内側に積層された導線31の平坦部310の全部が露出するのではなく、一部が露出した構成でもよい。また、周方向内側の面1501,1511のいずれか一方の面が、樹脂部143のみで構成されてもよい。
また同様に、コイルユニット141の表面のうち、上記ティース部134に周方向で対向する2つの周方向外側の面1502,1512は、樹脂部143と、空芯コイル部142の周方向外側に積層された導線31の上記平坦部310と、で構成されている。すなわち、周方向外側の面1502,1512を構成する導線31は、隣り合う2つの平坦部310を有しており、周方向外側の面1502,1512は、2つの平坦部310同士の間に樹脂部143が介在するように構成されている。周方向外側の面1502,1512は、上記コイル辺部150,151の外周側の面である。なお、図示のように空芯コイル部142の周方向外側に積層された導線31の平坦部310の全部が露出するのではなく、一部が露出した構成でもよい。また、周方向外側の面1502,1512のいずれか一方の面が、樹脂部143のみで構成されてもよい。
上記導線31の平坦部310は、加圧成形によって、コイルユニット141の表面だけでなく、コイルユニット141の内部にも形成されている。すなわち、コイルユニット141の内部では、隣接する導線31の平坦部310同士が対向(接触)している。
一方、コイルユニット141の表面のうち、上記ティース部134に軸方向で対向する2つの軸方向内側の面(図示せず)は、樹脂部143のみで構成されている。すなわち、2つの軸方向内側の面では、空芯コイル部142の軸方向内側に積層された導線31の平坦部310が露出していない。2つの軸方向内側の面は、上記2つのコイルエンド部の内周側の対向する面である。なお、周方向内側の面1501,1511及び周方向外側の面1502,1512の少なくとも1つの面に加えて又は代えて、2つの軸方向内側の面の少なくとも一方の面を、樹脂部143と導線31の平坦部310とで構成してもよい。
また、コイルユニット141の表面のうち、2つの軸方向外側の面(図示せず)は、樹脂部143のみで構成されている。すなわち、2つの軸方向外側の面では、空芯コイル部142の軸方向外側に積層された導線31の平坦部310が露出していない。2つの軸方向外側の面は、上記2つのコイルエンド部の軸方向外側の面である。なお、周方向内側の面1501,1511及び周方向外側の面1502,1512の少なくとも1つの面に加えて又は代えて、2つの軸方向外側の面の少なくとも一方の面を、樹脂部143と導線31の平坦部310とで構成してもよい。
また同様に、コイルユニット141の表面のうち、径方向内側の面1411は、樹脂部143のみで構成されている。すなわち、径方向内側の面1411では、空芯コイル部142の径方向内側に積層された導線31の平坦部310が露出していない。径方向内側の面1411は、上記コイル辺部150,151の径方向内側の面と、上記2つのコイルエンド部の径方向内側の面と、で構成されている。なお、径方向内側の面1411の全部又は一部を、樹脂部143と導線31の平坦部310とで構成してもよい。
また同様に、コイルユニット30の表面のうち、径方向外側の面1412は、樹脂部143のみで構成されている。すなわち、径方向外側の面1412では、空芯コイル部142の径方向外側に積層された導線31の平坦部310が露出していない。径方向外側の面1412は、上記コイル辺部150,151の径方向外側の面と、上記2つのコイルエンド部の径方向外側の面と、で構成されている。なお、径方向外側の面1412の全部又は一部を、樹脂部143と導線31の平坦部310とで構成してもよい。
コイルユニット141の表面のうち、樹脂部143と導線31の平坦部310とで構成される表面は、樹脂部143の平坦な表面と導線31の平坦部310とが略面一となるように形成されている。また、樹脂部143の表面と導線31の平坦部310とは、略平面状又は略曲面状に連なって形成されている。言い換えると、コイルユニット141の周方向内側の面1501,1511及び周方向外側の面1502,1512では、樹脂部143の表面と導線31の平坦部310とは、対向するティース部134の表面に沿って略平面状に連なって形成されている。
6つ離間したコイルユニット141,141間では、スロット131の上記内側領域131aに収容される一方のコイルユニット141の上記コイル辺部150の径方向外側の面1412を構成する樹脂部143と、当該スロット131の上記外側領域131bに収容される他方のコイルユニット141の上記コイル辺部151の径方向内側の面1411を構成する樹脂部143と、が直接接触している。なお、6つ離間したコイルユニット141,141間に適宜の絶縁材を介在させ、これらコイルユニット141,141同士が直接接触しないようにしてもよい。この場合、コイルユニット141の径方向内側及び外側の面1411,1412についても、樹脂部143と導線31の平坦部310とで構成されてもよい。
上記のようにコイルユニット141の表面が構成されることで、コイルユニット141の外形寸法は、樹脂部143を除いた空芯コイル部142の外形寸法と実質的に等しくなっている。なお、コイルユニット141の表面のうち、いずれの表面を樹脂部143と導線31の平坦部310とで構成するかは、要求仕様に応じて選択的に変更することが可能である。
また、樹脂部143は、コイルユニット141の内部において隣り合う導線31同士の間の隙間にも充填されている。樹脂部143を構成する樹脂としては、含浸性の高い樹脂(例えばワニス等)が好ましい。
なお、以上のような構成であるコイルユニット141における樹脂部141と導線31の比率は、前述のコイルユニット30と同様である。また、以上は一例であり、回転電機110やコイルユニット141の構成は、図19に示す例に限定されない。
以上説明した本変形例によれば、上記第1実施形態と同様、導線31の皮膜を厚くすることなく部分放電開始電圧を高くすることができるので、導体占積率を低下させることなく部分放電の発生を抑制できる。また、導線31の皮膜を厚くする場合に比べて放熱性を向上でき、導線31のコストを低減できる。また、本変形例では、コイルユニット141は、複数のティース部134に跨って装着されている。これにより、コイルユニット141が分布巻き方式で配置された回転電機110において、導体占積率を低下させることなく部分放電の発生を抑制できる回転電機110を実現できる。
<2.第2実施形態>
次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(2−1.回転電機の全体構成の例)
まず、図20及び図21を参照しつつ、第2実施形態の回転電機の全体構成の一例について説明する。なお、前述の図1及び図13と同様の構成には同符号を付し、適宜説明を省略する。
前述の第1実施形態のように、コイルユニット30の負荷側コイルエンド部38aをインシュレータ19を介して、又は直接的に負荷側ブラケット6に接触させる場合、寸法公差等により負荷側コイルエンド部38aと負荷側ブラケット6とを高度に密着させることが難しい。また、負荷側コイルエンド部38aと負荷側ブラケット6との絶縁を確保するために、コイルユニット30の導線31の絶縁皮膜33の損傷の防止等を図るのが好ましく、労力を要する。さらに、コイルユニット30の仕様が変更された場合に負荷側ブラケット6の形状を変更する必要があるので、コストの増大を招く。
そこで、第2実施形態に係る回転電機1Aでは、図20に示すように、負荷側コイルエンド部38aと負荷側ブラケット6の間に、カバー部材70が設けられている。カバー部材70は、コイルユニット30の負荷側コイルエンド部38aの少なくとも一部(この例では軸方向負荷側端部及び径方向外側端部)を覆うと共に、負荷側ブラケット6と接触するように配置されている。
図20及び図21に示すように、カバー部材70は、円板部71と、円筒部72と、を有する。円板部71は、中心側ほど板厚が大きくなるように形成された円環状の板部材であり、反負荷側にテーパ面73を有している。テーパ面73は、コイルユニット30(負荷側コイルエンド部38a)の表面のうち、軸方向外側の面38a2に対向しており、接触する。また、円板部71の負荷側の表面である面74は、その面方向が軸方向に直交しており、負荷側ブラケット6の凹部6bの内壁面6b2に接触する。また、円板部71の内周面75は、負荷側ブラケット6の凹部6bの内周側の円環状の突出部6cに嵌合される。
円筒部72は、円板部71の外周側端部に設けられた円筒状の部材であり、円板部71から反負荷側に突出して設けられている。円筒部72の内周面72aは、コイルユニット30の径方向外側の面30b2のうち、負荷側コイルエンド部38aの径方向外側の表面に対向しており、接触する。円筒部72の外周面72bは、負荷側ブラケット6の凹部6bに嵌合する。
カバー部材70の材料は特に限定されるものではないが、例えばアルミ等の金属で構成されてもよい。この場合、少なくとも負荷側コイルエンド部38aと対向(接触)する表面、すなわち上記テーパ面73及び内周面72aに、絶縁皮膜(陽極酸化皮膜等)が形成される。また、絶縁皮膜は、カバー部材70の上記内周面75及び外周面72bの少なくとも一部に及ぶように形成されてもよい。これにより、導線31とカバー部材70との間の沿面距離の確保が容易となる。また、カバー部材70は、絶縁体であるセラミック又は樹脂で構成されてもよい。この場合、カーボンナノチューブ等のフィラーが添加されることで熱伝導率を向上させた樹脂を使用してもよい。
本変形例では、コイルユニット30の表面のうち、周方向内側の面37a1,37b1、径方向内側の面30b1、径方向外側の面30b2に加えて、軸方向外側の面38a2が、樹脂部36と導線31とで構成されている。コイルユニット30の軸方向外側の面38a2は、樹脂部36の平坦な表面と導線31の平坦部310とが略面一となるように形成されている。また、樹脂部36の表面と導線31の平坦部310とは、対向するカバー部材70のテーパ面73に沿って略平面状又は略曲面状に連なって形成されている。同様に、コイルユニット30の径方向外側の面30b2のうち、負荷側コイルエンド部38aの径方向外側の表面は、樹脂部36の平坦な表面と導線31の平坦部310とが略面一となるように形成されている。また、樹脂部36の表面と導線31の平坦部310とは、対向するカバー部材70の内周面72aに沿って略平面状又は略曲面状に連なって形成されている。
回転電機1Aの上記以外の構成は、前述の回転電機1と同様である。
(2−2.回転電機の製造方法の例)
本変形例の回転電機1Aの製造方法の例について、前述の回転電機1と異なる部分について説明する。図21に示すように、回転電機1Aの製造工程では、略環状に配列された複数のコイルユニット30の負荷側コイルエンド部38aが負荷側ブラケット6に取り付けられる前に、カバー部材70が負荷側ブラケット6の凹部6bに取り付けられる。その後、コイルユニット30の負荷側コイルエンド部38aが、負荷側ブラケット6に取り付けられたカバー部材70に嵌合されることで、複数のコイルユニット30が負荷側ブラケット6に装着される。
回転電機1Aの上記以外の製造方法は、前述の回転電機1と同様である。
(2−3.第2実施形態の効果の例)
以上説明した第2実施形態によれば、以下のような効果を奏する。すなわち、回転電機1Aでは、負荷側ブラケット6と負荷側コイルエンド部38aの間に、負荷側コイルエンド部38aの少なくとも一部を覆うと共に負荷側ブラケット6に接触するカバー部材70が配置される。カバー部材70は、負荷側コイルエンド部38aや負荷側ブラケット6の形状に合わせて形状を自由に設計できるので、負荷側コイルエンド部38aや負荷側ブラケット6の両方に高度に密着させることが可能である。したがって、コイルユニット30の熱をカバー部材70を介して負荷側ブラケット6に効率良く伝熱できるので、放熱性を向上できる。また、カバー部材70を絶縁材料で構成したり、カバー部材70に絶縁皮膜を設けることにより、コイルユニット30の導線31の皮膜損傷の有無に関わらずに絶縁を確保できる。さらに、コイルユニット30の仕様が変更された場合でもカバー部材70の変更だけで対応でき、筐体を共通化できるので、コストを低減できる。また、負荷側コイルエンド部38aが密着する円錐面(テーパ面)の加工は、負荷側ブラケット6よりもカバー部材70の方が容易であり、且つ、カバー部材70を用いることにより、負荷側ブラケット6の凹部6bは平面加工で済むため、加工を容易化でき、コストを低減できる。
また、本実施形態では特に、負荷側コイルエンド部38aは、軸方向外側の面38a2と径方向外側の表面とが、樹脂部36と導線31とで構成されており、カバー部材70は、負荷側コイルエンド部38aの軸方向外側の面38a2と径方向外側の表面とに、それぞれ接触するように配置されている。
これにより、カバー部材70とコイルユニット30を構成する導線31との接触面積を増大できる。また、カバー部材70は負荷側コイルエンド部38aの軸方向の端部と径方向外側の端部を覆うので、コイルユニット30の熱をカバー部材70を介して軸方向と径方向の2方向に放熱することができる。したがって、放熱性をさらに向上できる。
(2−4.変形例等)
なお、第2実施形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(2−4−1.カバー部材が負荷側ブラケットとフレームに接触する場合)
図22に示すように、本変形例の回転電機1Bでは、負荷側コイルエンド部38aと負荷側ブラケット6の間に、カバー部材70Aが設けられている。また、反負荷側コイルエンド部38bとフレーム5との間に、カバー部材70Bが設けられている。カバー部材70Aは、負荷側コイルエンド部38aの少なくとも一部(この例では軸方向負荷側端部及び径方向外側端部)を覆うと共に、負荷側ブラケット6及びフレーム5と接触するように配置されている。また、カバー部材70Bは、反負荷側コイルエンド部38bの少なくとも一部(この例では軸方向負荷側端部及び径方向外側端部)を覆うと共に、フレーム5と接触するように配置されている。
本変形例のコイルユニット30は、例えば前述の図19に示すように分布巻き方式で固定子鉄心22に配置されており、負荷側コイルエンド部38a及び反負荷側コイルエンド部38bの断面形状はそれぞれ略矩形状となっている。カバー部材70Aは、板厚が略一定である円板部71Aと、円筒部72Aと、を有する。円板部71Aの反負荷側の面は、負荷側コイルエンド部38aの軸方向外側の面38a2に対向しており、接触する。円板部71Aの負荷側の面は、負荷側ブラケット6の凹部6bの内壁面6b2に接触する。円筒部72Aの内周面は、コイルユニット30の径方向外側の面30b2のうち、負荷側コイルエンド部38aの径方向外側の表面に対向しており、接触する。円筒部72Aの外周面は、負荷側ブラケット6と、フレーム5の内周面に接触する。
カバー部材70Bは、板厚が略一定である円板部71Bと、円筒部72Bと、を有する。円板部71Bの負荷側の面は、負荷側コイルエンド部38aの軸方向外側の面38b2に対向しており、接触する。円板部71Bの反負荷側の面は、反負荷側ブラケット8の内壁面と空隙をあけて対向しているが、接触させてもよい。円筒部72Bの内周面は、コイルユニット30の径方向外側の面30b2のうち、反負荷側コイルエンド部38bの径方向外側の表面に対向しており、接触する。円筒部72Bの外周面は、フレーム5の内周面に接触する。
フレーム5の内部には、冷却水(油でもよい)が通水される冷却流路5bが形成されている。回転電機1Bの上記以外の構成及び製造方法は、前述の回転電機1Aと同様である。
本変形例によれば、負荷側及び反負荷側の両方のコイルエンド部38a,38bにカバー部材70A,70Bが設けられるので、負荷側コイルエンド部38aだけでなく、反負荷側コイルエンド部38bの熱も効率的に放熱できる。また、カバー部材70Aは、負荷側ブラケット6に加えてフレーム5にも接触するように配置されるので、コイルユニット30の熱を負荷側ブラケット6及びフレーム5を介して効率的に放熱できる。さらに、フレーム5に冷却流路5bが形成されているので、水冷によりコイルユニット30をさらに効率的に冷却できる。したがって、回転電機1Bの冷却性能をさらに向上できる。
なお、以上説明した各実施形態では、開示の技術を回転電機に適用した場合を説明したが、回転型に限定されるものではなく、リニア型のモータや発電機に適用してもよい。
以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」等とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」等という意味である。
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」等とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」等という意味である。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。