JP6735546B2 - 繊維構造物及びそれを用いた衣服その他の物品ならびに繊維構造物の製造方法 - Google Patents
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Description
また、これとともに平均気温が上昇し、数年前に比べ明らかに暑い日が体感されるようになってきている。
そこで、夏季においても快適に過ごすことができるように、様々な繊維構造物が開発されている。
特に、繊維の表面にキシリトールを付着させたものは、肌と繊維が接触した際に、冷感を提供するものであるが、キシリトールが洗濯等により脱落してしまい、耐久性に乏しいものであった。
(1)ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーの重合体を、ポリアセタール系繊維の表面に付着させてなる繊維構造物。
(2)接触冷感評価値q−maxが0.20W/cm2以上である前記(1)に記載の繊維構造物。
(3)JIS L0217 103法に準じての洗濯20回後の接触冷感評価値q−maxが0.20W/cm2以上である前記(2)の繊維構造物。
(4)前記(1)〜(3)に記載の繊維構造物を少なくとも一部に用いた衣服。
(5)前記(1)〜(3)に記載の繊維構造物を少なくとも一部に用いた靴、靴の中敷、シーツ、布団カバー、布団側、マットレス、寝袋、枕、枕カバー、椅子張り、椅子カバー、カーテン、車内装材、鞄、テント、カーテン、タオル、マットおよび筆入れからなる群から選ばれた物品。
本発明の繊維構造物は、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーの重合体を、ポリアセタール系繊維の表面に付着させてなるものである。
なお、本実施形態のラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーの重合体を、ポリアセタール系繊維の表面に付着させてなるとは、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーを、ポリアセタール系繊維の表面に付着させ、その後、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーを反応させて、
1.ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマー同士が重合した化合物が繊維表面に被膜を形成したもの
2.ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーおよび/または該モノマー同士が重合した化合物が、繊維を構成するポリアセタール系樹脂にグラフト重合したもの
3.上記1、2が混在したもの
を包含する。すなわち、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーの重合体を、ポリアセタール系繊維の表面に付着させたものであれば、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーが重合した化合物が物理的に付着しているものであっても、当該繊維表面に化学的に結合し付着したものであってもよい。
また、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーの重合体は、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーのホモポリマーのみならず、それ以外の化合物とラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーとが共重合したコポリマーであってもよい。
より具体的には、一般式[I]で示されるジビニルモノマーが挙げられる。
ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーを、繊維の表面で重合させて重合体を得たものが、洗濯耐久性の観点から好ましい。この場合、繊維と上記モノマーが重合して重合物を生成(グラフト化)してもよく、また繊維と上記モノマーは重合せず、繊維の表面でモノマー同士の重合物が樹脂膜を形成してもよく、さらにこれら両方の形態が存在してもよい。
このようなラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーを、ポリアセタール系繊維の表面に付着させ、重合させることにより、q−maxの値が大きくなり、繊維構造物に触れた際に冷たく感じる接触冷感性に優れ、かつ、その洗濯耐久性に優れるものが得られる。
本実施形態ではこれらのモノマーを2種類以上用いることも何等差し支えない。特に重合効率と吸放湿性の面から、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
カルボジイミド基を有する化合物としては、−N=C=N−で表されるカルボジイミド基を官能基として有する架橋剤が挙げられる。例えば、日清紡績ケミカル株式会社製のカルボジライトV−01(イソシアネート基も有する)、カルボジライトV−02あるいはV−02−L2(親水性セグメント付与)、カルボジライトV−03、カルボジライトV−04(親水性セグメント付与)、カルボジライトV−05あるいはV−05−02(イソシアネート基を有する)、カルボジライトV−06(親水性セグメント付与)等が挙げられ、特に好ましくは、カルボジライトV−05−02を用いることができる。
アジリジン基を有するものとして、下記構造式(1)〜(5)などが挙げられる。例えば、株式会社日本触媒のケミタイト(商標)PZ−33、DZ−22Eなどを用いることができる。また、他のアジリジン基を有するものとして、株式会社日本触媒のエポミン(商標)が挙げられ、第2級、第3級アミンを含むイソシアネート変性ポリエチレンイミンとしてエポミンRP−18W、第1級、第2級および第3級アミンを含むエチレンイミンとしてエポミンP−1000が挙げられる。
ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーの重合体を、ポリアセタール系繊維の表面に付着させた本実施形態の繊維構造物は、q−maxが著しく向上し、接触冷感性が向上する。
ポリアセタール系繊維のq−maxは、繊維構造物の糸使いや形態により異なるが、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーの重合体をポリアセタール系繊維の表面に付着させた後の繊維構造物は、q−maxが0.02W/cm2以上増加しているものが好ましく、さらに好ましくは0.05W/cm2以上増加しているとよい。
本発明の繊維構造物の製造方法は、ポリアセタール系繊維の表面に、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーを含む処理液を適用する工程と、前記繊維の表面において、前記モノマーを重合させる重合工程とを含む。
ポリアセタール系繊維、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーは前記の通りである。
処理液中のラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーの濃度は、繊維構造物の構成によっても異なるが、得られる繊維構造物の風合いを損なわないとの観点から、50質量%以下がよく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下がよい。また、十分な接触冷感性を付与するとの観点から、処理液中のラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーの濃度は1質量%以上が好ましい。
処理液には、そのほかに触媒、重合開始剤、光安定剤、酸化防止剤、界面活性剤などを本実施形態の目的を逸脱しない範囲で添加してもよい。
ラジカル重合開始剤を用いる場合には、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などの無機系重合開始剤や、2,2´−3アゾビス(2−アミディノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2´−3アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチラミディン)ジハイドロクロライド、2−(カルバモイラゾ)イソブチルニトリルなどの有機系重合開始剤を用いることができる。また、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチルニトリルなどの水不溶性重合開始剤をアニオン、ノニオンなどの界面活性剤で乳化させて用いてもよい。また、レドックス系重合開始剤を用いてもよい。
また、本実施形態に用いる処理液には、本実施形態の目的を逸脱しない範囲で染料、撥水剤、帯電防止剤、柔軟剤、難燃剤、抗菌剤、酸、アルカリ、バッファー剤などのpH調整剤等他の化合物を添加してもよい。
処理液は水や有機溶剤を溶媒として用いるとよく、水と有機溶剤を混合したものを用いてもよい。処理液は上記の種々の化合物を溶媒に溶解したものであってもよいし、溶媒に分散、乳化させた分散液や乳化液であってもよい。
処理液を適用する際の繊維を用いたものの形状は、糸、綿(ワタ)、織物、編物、不織布、合成皮革、人工皮革、衣服、手袋、帽子、運動用特殊衣服、裏地、靴、靴の中敷き、鞄、テント、カーテン、シーツ、布団カバー、布団側、マットレス、タオル、マット、筆入れ、ランドリーバック等が挙げられるが、繊維を用いているものであれば、特に限定されるものではない。
糸の場合は、生糸、撚糸、仮より糸、エア交絡糸など特に限定されるものではない。
加工の安定性の観点からは、織物、編物、不織布などの繊維布帛が好ましい。
なお、本実施形態の繊維構造物は、処理液を適用した後、編立、製織、縫製、貼り合わせ等をおこない、前記のような種々の形態としてもよい。
処理液を繊維に適用した後、前記モノマーを重合させ、繊維の表面に付着させるためには、特に耐久性を付与するため、ラジカル重合に用いられるあらゆる手段を用いるとよい。例えば、乾熱処理、スチーム処理、浸漬法、コールドバッチ法、マイクロ波処理、紫外線処理、電子線処理などを用いることができる。これらの手段は、単独で適用してもよいし、加熱効率を高めるために、例えば、スチーム処理または乾熱処理時と同時またはその前後にマイクロ波処理、または紫外線処理や電子線処理を併用するなどしてもよい。なお、空気中の酸素が存在すると重合が進みにくくなるので、乾熱処理、マイクロ波処理、紫外線処理または電子線処理の場合には、不活性ガス雰囲気下で処理するのが好ましく、コールドバッチ法の場合にも、シール材で密閉するのが好ましい。
また、前記処理液を複数回適用してもよく、例えば処理液の適用、スチーム処理、ソーピング、乾燥、処理液の適用、スチーム処理、ソーピング、乾燥を繰り返してもよい。
また、カレンダー加工、タンブラー加工、仕上げセットなどを施してもよい。
本発明の製造方法により、
ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有するモノマーを含む重合体が繊維表面に被膜を形成し、および/またはモノマーもしくはその重合体と繊維を構成するポリアセタール樹脂とが重合又は化学結合することにより、当該重合体が繊維表面に付着し、また場合によっては繊維内部の少なくとも一部に浸透する。
また、本発明の靴、靴の中敷、シーツ、布団カバー、布団側、マットレス、寝袋、枕、枕カバー、椅子張り、椅子カバー、カーテン、車内装材、鞄、テント、カーテン、タオル、マット、筆入れまたはランドリーバッグは、前記の繊維構造物を少なくとも一部に含むものである。
本発明の衣服、靴、靴の中敷、シーツ、布団カバー、布団側、マットレス、寝袋、枕、枕カバー、椅子張り、椅子カバー、カーテン、車内装材、鞄、テント、カーテン、タオル、マット、筆入れまたはランドリーバッグは、本発明の繊維構造物を少なくとも一部に含むため、皮膚に繊維構造物が触れると冷感を感じることができ、暑い時期においても、快く感じることができる。
なお、本発明における各種物性は以下の方法で測定を行った。
(1)接触冷感評価値q−max(W/cm2)
カトーテック株式会社製サーモラボIIを用い、ヒーター温度40℃、測定台座 発泡スチロールを用いて測定した。なお、測定環境は20℃、65%RHとした。
(2)接触冷感
繊維布帛を手で触って冷感を評価した。
(3)洗濯処理 20回洗濯(20HL)
JIS L0217 103法に準じて行った。すなわち、5分間洗剤を含む洗濯液中で洗濯を行い、その後2分間注水を行いながらのすすぎを2回行ったものを洗濯1回としたときに、この操作を20回繰り返し、乾燥処理として最後に1回のみ吊り干し乾燥を行ったものとした。この場合、洗濯用合成洗剤は花王株式会社製のアタック高活性バイオEXを1g/lで使用し、洗濯機は旧松下電気産業株式会社製(現パナソニック株式会社)のナショナル全自動電気洗濯機NA−F50Y2を用いた。なお、乾燥後、ドライアイロン仕上げなどの熱処理は行わないものとした。
(4)風合い
繊維布帛を手で触って風合いを評価した。
編物(スムース。ポリアセタール系繊維。糸 150デシテックス、60フィラメント、密度 コース 59本/2.54cm、ウエル 61本/2.54cm。)を湯洗いした後、150℃でセットした。
次に、表1の実施例1〜4に記載の処理液をパディング法により、上記編物に適用した。ピックアップは50質量%であった。
引続き105℃の常圧スチーマーの中で20分間処理(重合)を施した。次に、70℃の温水で湯洗いをし、120℃にて乾燥し、160℃にて仕上げセットをして、繊維構造物(編物)を得た。
得られた繊維構造物(編物)の性能を表1に記載した。
実施例1に対し処理液での処理をしなかった以外は実施例1と同様に湯洗い、セットした繊維構造物(編物)を得た。
得られた繊維構造物(編物)の性能を表1に記載した。
編物(スムース。6−ナイロン繊維。糸 155デシテックス、34フィラメント 密度 コース 59本/2.54cm、ウエル 61本/2.54cm。)を湯洗いした後、150℃でセットし、繊維構造物(編物)を得た。
得られた繊維構造物(編物)の性能を表1に記載した。
比較例2で得られた繊維構造物に対し、表1の比較例3に記載の処理液をパディング法により適用した。ピックアップは50質量%であった。
得られた繊維構造物(編物)の性能を表1に記載した。
また、手で触った感じでは、実施例1〜4の繊維構造物は、q−maxがほぼ同等のナイロンを用いた比較例3に比べてとても冷たく感じられ、q−maxで得られる以上の接触冷感を有することが確認された。
さらに、実施例1〜4の繊維布帛は、洗濯後にもq−max及び手で触った冷感を維持することが確認され、洗濯耐久性を有していることが分かった。
Claims (8)
- オキシエチレン基を有するジビニルモノマーの重合体を、ポリアセタール系繊維の表面に付着させてなる繊維構造物。
- 接触冷感評価値q−maxが0.20W/cm2以上である請求項1に記載の繊維構造物。
- JIS L0217 103法に準じての洗濯20回後の接触冷感評価値q−maxが0.20W/cm2以上である請求項2に記載の繊維構造物。
- 前記重合体がオキシエチレン基を有するジビニルモノマーと架橋剤を重合させてなるものであり、前記架橋剤が、カルボジイミド基、エチレンイミン基またはオキサゾリン基を有する化合物、メチロールメラミン、およびメラミン樹脂のうち少なくとも1つである請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維構造物。
- 前記架橋剤が、カルボジイミド基を有する化合物である請求項4に記載の繊維構造物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の繊維構造物を少なくとも一部に用いた衣服。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の繊維構造物を少なくとも一部に用いた靴、靴の中敷、シーツ、布団カバー、布団側、布団、マットレス、寝袋、枕、枕カバー、椅子張り、椅子カバー、カーテン、車内装材、鞄、テント、カーテン、タオル、マットおよび筆入れからなる群から選ばれた物品。
- ポリアセタール系繊維の表面に、オキシエチレン基を有するジビニルモノマーを含む処理液を適用する工程と、前記繊維の表面において前記モノマーを重合させる重合工程とを含む、請求項1に記載の繊維構造物の製造方法。
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