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JP6735585B2 - 半導体ウェーハの温度制御装置、および半導体ウェーハの温度制御方法 - Google Patents
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半導体ウェーハの温度制御装置、および半導体ウェーハの温度制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体ウェーハの温度制御装置、および半導体ウェーハの温度制御方法に関する。
半導体に用いられるシリコン等の半導体ウェーハに処理を施す工程には、半導体ウェーハの温度を目標温度に制御するとともに、半導体ウェーハの面内の温度分布を所望の分布にしなければならない工程がある。
このため、処理装置は複数の温度調整手段を持ち、それぞれの温度調整手段に対して制御ループを設け、個別に温度制御することによって半導体ウェーハを望ましい温度に温度制御する方法が一般的であり、このような多入力多出力系の制御方法のひとつとして、モデル追従サーボ制御という方法が用いられている。
モデル追従サーボ制御では、一般に規範モデルとして望ましい動特性を持つモデル(例えば二次遅れ系)を選び、目標値応答は、そのモデルのステップ応答を参照軌道として制御量を追従させることとなる。
ここで、プロセスのスループット向上のため、操作量を意図的に飽和させ、最大速度でできるだけ早く目標値に到達させることが望ましい。
このため、特許文献1には、複数の制御ループのうち、最も応答速度の遅い制御ループの操作量を100%として、他の制御ループはこれに追従するように制御された応答から規範モデルを生成し、生成した規範モデルを用いて、目標温度に最短時間で到達させるための操作量パターンを所定の評価関数を用いて探索し、規範モデルに対して、探索された最適操作量パターンの操作量を与え、得られた出力を、規範モデル出力として使用する技術が開示されている。
この特許文献1に記載の技術では、加熱時の動特性から作成した1つの規範モデルを用いて、規範モデル出力に追従させていた。
特開2016−12228号公報
しかしながら、ペルチェ素子等のサーモモジュールでは、加熱と冷却で動特性が異なる場合があり、加熱時の動特性の方が、能力が大きいため、冷却時に加熱の規範モデル出力に追従させようとすると、規範モデル出力が先行してしまい、均一性が保てないという課題がある。
また、冷却の規範モデル出力を用いた場合、均一性は確保できても、応答速度が遅くなってしまうという課題がある。
本発明の目的は、加熱、冷却に拘わらず、規範モデル出力に追従することができ、均一性を確保しながら、最短時間に近い形で目標温度に到達させることのできる半導体ウェーハの温度制御装置、および半導体ウェーハの温度制御方法を提供することにある。
本発明の半導体ウェーハの温度制御装置は、
加熱冷却可能な複数の温度調整手段により半導体ウェーハの温度を調整するために、前記複数の温度調整手段の温度制御を行う半導体ウェーハの温度制御装置であって、
前記複数の温度調整手段に設定された複数の制御ループと、
それぞれの制御ループに設けられ、それぞれの温度調整手段で温度調整された半導体ウェーハの温度を検出する複数の温度検出手段と、
それぞれの温度検出手段で検出された温度に基づいて、それぞれの制御ループの温度調整手段に与える操作量を演算する操作量演算手段とを備え、
前記操作量演算手段は、
前記複数の制御ループのうち、最も応答速度の遅い制御ループの操作量を100%として、他の制御ループはこれに追従するように制御された応答から生成された規範モデルと、
前記規範モデルを用い、目標温度に最短時間で到達させるための最適操作量パターンを、オンラインまたは事前にオフラインで探索する最適操作量パターン探索手段と、
前記規範モデルに対して、前記最適操作量パターン探索手段で探索された最適操作量パターンの操作量を与える規範モデル出力を生成する規範モデル出力生成手段と、
前記規範モデル出力生成手段によって得られた規範モデル出力を使用するモデル追従サーボ演算手段と、
前記複数の温度調整手段による温度調整が、加熱であるか冷却であるかに応じて、予め設定された加熱用規範モデル、および冷却用規範モデルのいずれかを選択し、前記規範モデルに適用する規範モデル選択手段とを備えていることを特徴とする。
本発明では、規範モデル選択手段は、操作量の切り替え時の加熱または冷却開始温度、目標温度、および平衡点の温度に基づいて、規範モデルを選択するのが好ましい。
本発明では、複数の制御ループの加熱、冷却の可能な組み合わせ数の規範モデルクラスタ、および最適制御ゲインクラスタを備え、
規範モデル選択手段は、規範モデルクラスタから規範モデルを選択し、規範モデル出力生成手段に出力し、最適制御ゲインクラスタから最適制御ゲインを選択し、モデル追従サーボ演算手段に出力するのが好ましい。
本発明の半導体ウェーハの温度制御方法は、
加熱冷却可能な複数の温度調整手段により半導体ウェーハの温度を調整するために、それぞれの温度調整手段に設定された制御ループにより、前記複数の温度調整手段の温度制御を行う半導体ウェーハの温度制御方法であって、
前記複数の制御ループのうち、最も遅い制御ループの操作量を100%として、他の制御ループはこれに追従するように制御された応答から規範モデルを生成する手順と、
前記複数の温度調整手段のうち、制御対象となる温度調整手段が、加熱であるか冷却であるかに応じて、加熱用規範モデルか、冷却用規範モデルかを選択する手順と、
選択された規範モデルを用い、目標温度に最短時間で到達させるための最適操作量パターンを、オンラインまたは事前にオフラインで探索する手順と、
選択された規範モデルに対して、探索された最適操作量パターンの操作量を与え、規範モデル出力を生成する手順と、
生成された規範モデル出力を使用してモデル追従サーボ制御を行う手順とを実施することを特徴とする。
本発明によれば、規範モデル選択手段を備えていることにより、温度調整手段の加熱応答特性や、冷却応答特性に応じた規範モデル出力を生成できるので、加熱、冷却に拘わらず、規範モデル出力に追従することができ、均一性を確保しながら、最短時間に近い形で目標温度に到達させることができる。
本発明の実施形態に係る温度調整装置を示すブロック図。 前記実施形態における温度調整手段及び温度センサの配置を表す断面図及び平面図。 前記実施形態における温度調整装置の制御を行うコントローラの構造を表すブロック図。 前記実施形態における規範モデルを説明するためのグラフ。 前記実施形態における規範モデルの生成を説明するための模式図。 前記実施形態の作用を説明するためのフローチャート。 前記実施形態の作用を説明するためのフローチャート。 前記実施形態の効果を確認するためのシミュレーションに用いた制御システムを表す模式図。 前記実施形態の効果を確認するためのシミュレーションに用いた制御システムを表す平面図。 温度調整手段の加熱時の最大応答波形を表すグラフ。 温度調整手段の冷却時の最大応答波形を表すグラフ。 温度調整手段の加熱応答特性および冷却応答特性を比較したグラフ。 先行技術によるシミュレーション結果を表すグラフ。 前記実施形態によるシミュレーション結果を表すグラフ。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[1]温度調整装置1の構成
図1には、本発明の第1実施形態に係る温度調整装置1が示されている。温度調整装置1は、プレート状のステージ2上に載置されたシリコンウェーハWの温度を目標温度に制御し、シリコンウェーハWの面内の温度分布を制御するための装置である。この温度調整装置1は、たとえばドライプロセスに使用される。
温度調整装置1は、プレート状のステージ2であり、温度調整手段3を備えている。尚、温度調整手段3は、加熱冷却可能な温度調整手段であり、ペルチェ素子等の熱電変換素子を採用するのが好ましい。なお、専ら加熱制御だけの場合は、加熱用ヒータを採用することができる。
ステージ2は、真空チャンバー4内に配置され、ステージ2上には、半導体ウェーハとしてのシリコンウェーハWが載置される。シリコンウェーハWは、静電気によってステージ2上に保持される。尚、ステージ2とシリコンウェーハWとの間にヘリウムガスを流し、ステージ2とシリコンウェーハWとの間の熱伝達の効率を高めるようにしてもよい。
ドライプロセス時には、真空チャンバー4内は真空引きされ、所定の低圧状態に維持される。
ステージ2内には、図2(A)、(B)に示されるように、ステージ2上に載置されたシリコンウェーハWの面内温度分布を調整できるように、複数の温度調整手段3が配置されている。
図2(A)は、ステージ2の断面図であり、ベースプレート7の上に温度調整手段3が配置され、さらにその上にプレート5が載置される。プレート5内には、複数の温度検出手段としての温度センサ6が設けられている。
図2(B)は、ステージ2の平面図であり、ステージ2は、同心円状に3つのゾーン2A(後述するゾーン1)、2B(後述するゾーン2)、2C(後述するゾーン3)に分割され、各領域に温度調整手段3が配置される。また、プレート5内の温度検出手段としての温度センサ6は、温度調整手段3に応じた位置に配置される。
温度調整手段3に通電すると、ステージ2の各ゾーン2A、2B、2Cを個別に加熱冷却することができる。よって、各温度調整手段3への通電を調整し、温度調整手段3を制御することにより、ステージ2上のシリコンウェーハWの面内温度分布を調整することができ、ゾーン2A、2B、2C内のそれぞれの温度調整手段3は、複数の制御ループを有し、温度制御装置としてのコントローラ24によって制御される。
[2]コントローラ24の構成
図3には、本実施形態に係るコントローラ24のブロック図が示されている。コントローラ24は、操作量演算手段としての操作量演算部30を備える。この操作量演算部30は、最適操作量パターン探索手段としてのシミュレータ31と、操作量切替部32と、規範モデル33と、モデル追従サーボ演算手段としての偏差算出部34と、積分器35と、偏差算出部36とを備える。本発明の規範モデル出力生成手段は、シミュレータ31および操作量切替部32によって構成される。
本実施形態の操作量演算部30は、さらに、規範モデル選択手段としての規範モデル選択部37、規範モデルクラスタ38、最適制御ゲインクラスタ39、およびオブザーバ40を備える。
また、ステージ2の温度センサ6からの出力には、オブザーバ40を介して状態フィードバックゲインK1、偏差算出部34からの出力には、積分ゲインK2、規範モデル33からの出力には、状態フィードフォワードゲインK3が設定されている。なお、各ブロック図の各要素に対する入力は、以下に示されるものである。
SV:目標温度
y0:切り替え時の開始温度
Teq:平衡点温度
Xr:規範モデルの状態量
Yr:参照軌道
t1:切り替え時間
Xp:プラントの状態量
Yp:制御量(温度)
制御対象であるステージ2はm入力m出力系の多入力多出力であるとすると、制御対象の状態変数表現は、下記式(1)及び式(2)で表される。
このとき、各ゲイン行列K1、K2、K3は、下記式(3)で表される。ここで、pは規範モデルの次数に依存する。
規範モデル33には、望ましい応答(動特性)を持った線形システム(状態方程式、伝達関数)が選ばれ、そのステップ応答に制御量を偏差なく追従させる。多入力多出力系の場合、規範モデル33を全ループとも同じモデルを使用していれば、同じ参照軌道に追従しようとするのでループ間の均一性が期待できる。
各部のゲイン(K1,K2,K3)は最適制御の手法を用いて決定する。本手法を用いれば最適制御の長所(安定性の保証、ロバスト性)を持ち、かつ非干渉化を陽に考慮することなく取り入れることができ、本制御対象のような干渉のある多入力多出力系には好適である。
本実施形態では、「目標温度にできるだけ早く到達する」という要求仕様に対して、以下のようにして、理想的な応答を求めている。
目標温度SVに最短時間で到達させるための操作量パターンは、図4に示すように、途中のポイントXまでは最大操作量で加速し、XからSVまでは最小操作量で減速させ、SV到達後はその位置を維持するために必要な定常時操作量MVssに切り替える方法である。
この操作量パターンをプラントモデルに入力すれば、プラントは最短時間で目標値に到達するはずである。そこで、従来のモデル追従制御では図5(A)のように望ましいステップ応答を示す伝達関数にステップ入力を与えるのみであったものを、図5(B)のように、プラントモデルそのものに、最短時間制御達成のための操作量パターンを入力してやることを考える。
多入力多出力系の場合、図5(B)の様な操作量パターンが制御ループの数だけ必要となり、しかも各制御ループの制御量が、干渉下で均一にならなければ追従するための参照軌道も均一にならない。このような操作量パターンをステップ状信号の組み合わせだけで作るのは非常に困難となるため次に示す方法をとることとした。
(1)プラントモデルGp(s)または実プラントを使用して、各制御ループの制御量の均一性を保ちながら実現できる最大速度の応答を決定する。3ゾーンのうち一番応答速度の遅いゾーンに100%の最大操作量MVmaxを与え、残りの2ゾーンはこの応答に追従する場合が均一性を保ちながら実現できる最大速度となる操作量を与える。
(2)(1)で得られた応答波形のうち一番遅い制御ループを選び、これをステップ入力による応答と仮定し、システム同定によって無駄時間+一次遅れ系の規範モデルGm(s)を得る。
(3)(2)で得た規範モデルGm(s)に対して、最適時間制御を実現する操作量パターンを逐次シミュレーションで決定する。ここでは最大操作量から定常時操作量に制御開始からt1秒後に切り替えるものとして切り替え時間t1の最適値を探索する。
最適値の探索に用いる評価関数としては、詳しくは後述するが、IAE(Integral of Absolute Error)評価規範を採用し、評価関数が最小になるような操作量パターンを探索する。
(4)規範モデルとしてGm(s)をすべての入出力に使用することによって、全ての制
御ループの参照軌道が共通となるため、制御ループ間の制御量の均一性が期待できる。規範モデルをループの数だけ用意して、個別に異なる目標値を与えることももちろん可能である。
最適操作量パターン探索手段としてのシミュレータ31は、目標温度SVが入力された時点で、切り替え時間t1の逐次探索を実施し、操作量切替部32に出力する。なお、探索は、オンラインで行ってもよいし、事前にオフラインで行ってもよい。
操作量切替部32は、最大操作量MVmaxから定常時操作量MVssへの切り替えを行う操作量パターンMVrefを決定し、規範モデル33に出力する。なお、本実施形態では、シミュレータ31を用いて、オンラインで逐次探索を実施して最適時間を求めているが、これに限らず、予めオフラインで制御対象等で目標温度SVと、その目標温度に最短で達する最適時間とを対応させた操作量パターンのテーブルを準備しておき、目標温度SVが入力されたら、このテーブルを参照して最適操作量パターンMVrefを選択するようにしてもよい。
規範モデル33は、上述したようにプラントモデルGp(s)または実プラントを使用して、各制御ループの制御量を保ちながら、実現できる最大速度の応答を決定し、最も応答の遅いゾーンに100%の操作量を与え、例えば下記式(4)に示されるような無駄時間+一次遅れ系を用いて表現される。
特許文献1に記載の技術では、加熱テストの結果に基づいて生成された規範モデル1つのみを使用してきた。ところが、サーモモジュールは加熱と冷却で動特性が異なり、特に、冷却能力は、発生するジュール熱が冷却に対して打ち消す方向に働くので、加熱能力よりも小さくなる。
そこで、本実施形態では、加熱用規範モデル、冷却用規範モデルの両方を考え、各ゾーン1〜3の加熱、冷却の組み合わせ8通り(2通り)に相当する数の規範モデルクラスタ38、最適制御ゲインクラスタ39を持たせ、規範モデル選択部37によって選択させることとした。
全ゾーン(3ゾーン)をまとめた規範モデルは、状態方程式によって式(5)および式(6)で表される。
ここで、行列A、B、C、X、Yは、式(7)、式(8)、式(9)で表される。添え字[]内には加熱h、冷却cの組み合わせが入る。
前述したように、3ゾーンにおける加熱冷却の組み合わせは8通りなので、行列Ar、Br、Crはそれぞれ8種類持つこととなり、これを規範モデルクラスタ38とする。規範モデルクラスタ38の表現例としては、例えば、式(10)に示される通りである。ここで、行列Ar、Br、Crの添え字1,2、…8は、式(7)の加熱、冷却の組み合わせである。
次にプラントモデルの状態方程式を式(11)および式(12)のように仮定する。
モデル追従系サーボ系を構成するための拡大系は、式(13)および式(14)のようになる。
但し、ΔXp(k+1)、ΔXr(k+1)、e(k)は、下記式(15)、式(16)、式(17)である。
式(13)、式(14)に対して、下記式(17)の評価関数が最小となる入力を求めると、式(18)となる。
これをUp(k)について解くと、下記式(19)のようになる。
各ゲインは、G11=[K1 K2 K3]とすると、対応するリカッチ方程式を解くことによって得られる。ここで、前述の通り、式(10)で表される規範モデルクラスタに、ゲインG11を対応させると、ゲインG11も2種類=8種類できるので、これを最適制御ゲインクラスタGCと呼び、例えば式(20)で表される。
シミュレータ31は、開始点温度y0、目標温度SVから切り替え時間t1を選択し、さらに平衡点温度Teqを併せて、各ゾーン1〜3の加熱、冷却のパターンを判別する。判別されたパターンは、規範モデルクラスタ38と最適制御ゲインクラスタ39に入力される。
開始点温度y0、目標温度SVからは、規範モデル33に入力する最大操作量MVmaxおよび定常時操作量MVssが演算され、規範モデルクラスタ38から選択された規範モデルに操作量が入力される。同時に、最適制御ゲインクラスタ39から選択されたゲインK1、K2、K3を使用して、モデル追従サーボ制御が実行される。なお、図3において、オブザーバ40は、制御対象(プラント)のセンサで観測できない内部状態量を推定する推定器である。
[3]実施形態の作用
次に、本発明の半導体ウェーハの温度制御方法となる作用を、図6および図7に示されるフローチャートに基づいて説明する。
コントローラ24の操作量演算部30は、装置の起動とともに初期化を行う(手順S1)。
操作量演算部30は、目標温度SVが変更されたか否かを判定し(手順S2)、目標温度SVが変更されていない場合、後述する手順S7による規範モデル出力yrを生成し、制御を継続する。
目標温度SVが変更された場合、規範モデル選択部37は、目標温度SV、開始点温度y0、平衡点温度Teqを取得する(手順S3)。
規範モデル選択部37は、取得した目標温度SV、開始点温度y0、平衡点温度Teqに基づいて、規範モデル、および最適ゲインの選択を行い、規範モデル33に適用する(手順S4)。
ここで、規範モデル、および最適ゲインの選択は、図7に示されるフローチャートに基づいて行われる。
規範モデル選択部37は、まず、図7に示されるように、1回の加熱または冷却プロセスで、加熱と冷却の判断が最大操作量MVmaxの時か、定常時操作量MVssの時であるか否かを判定する(手順S41)。
最大操作量MVmaxの時であると判定された場合(手順S41:No)、規範モデル選択部37は、加熱または冷却の開始点温度y0と目標温度SVの大小を判定する(手順S42)。
目標温度SVよりも開始点温度y0の方が高いと判定されたら(手順S42:No)、規範モデル選択部37は、規範モデルクラスタ38から冷却用規範モデルを選択するとともに、最適制御ゲインクラスタ39から冷却用最適制御ゲインを選択する(手順S43)。
目標温度SVが開始点温度y0以上であると判定されたら(手順S42:Yes)、規範モデル選択部37は、規範モデルクラスタ38から加熱用規範モデルを選択するとともに、最適制御ゲインクラスタ39から加熱用最適制御ゲインを選択する(手順S44)。
加熱と冷却の判断が、定常時操作量MVssの時であると判定された場合(手順S41:Yes)、規範モデル選択部37は、平衡点温度Teqと目標温度SVの大小を判定する(手順S46)。
目標温度SVよりも平衡点温度Teqの方が高いと判定されたら(手順S46:No)、規範モデル選択部37は、規範モデルクラスタ38から冷却用規範モデルを選択するとともに、最適制御ゲインクラスタ39から冷却用最適制御ゲインを選択する(手順S47)。
目標温度SVの方が平衡点温度よりも高いと判定されたら、規範モデルクラスタ38から加熱用規範モデルを選択するとともに、最適制御ゲインクラスタ39から加熱用最適制御ゲインを選択する(手順S48)。
図6に戻って、シミュレータ31は、開始点温度y0、目標温度SVに基づいて、切り替え時間t1を探索する(手順S5)。
切り替え時間t1が探索されたら、操作量切替部32は、MVref=MVmaxとして、規範モデル33に入力する。
規範モデル33は、生成した規範モデルGm(s)に操作量パターンMVrefを乗じて、規範モデル出力を出力する(手順S7)。
操作量切替部32は、タイマーを監視し、切り替え時間t1が経過したか否かを判定し(手順S8)、経過していないと判定されたら、規範モデル33へのMVref=MVmaxの出力を継続する(手順S9)。
切り替え時間t1が経過したと判定された場合、操作量切替部32は、MVref=MVssを設定する(手順S10)。
以上のようにして生成された規範モデル出力に基づいて、モデル追従サーボ演算手段により、モデル追従サーボ制御が実施される。
[4]シミュレーションによる効果の確認
[4-1]シミュレーションにおける制御システムの構成
3入力3出力系の制御を、図8に示した制御システムをモデル化したシミュレーション結果を例に説明する。この制御システムは、図9に示されるように、400×150×t4のアルミプレートの温度を制御するシステムであり、アクチュエータとして加熱・冷却可能なサーモモジュールを、3個を使用している。アルミプレートの温度はモジュールの近くに配した3つのK熱電対によって測定する。サーモモジュール及び熱電対は、プレート長手方向に対してわざと非対称になるように配置しており、図9にその寸法詳細を示す。左からゾーン1、2、3とする。
[4-2]特許文献1における問題点
前記特許文献1における規範モデルを、下記式(21)の無駄時間+一次遅れ系とした場合の切り替え時間の探索方法について具体的に説明する。
式(21)は無駄時間を一次のパディ近似に置き換えることにより、下記式(22)のように表される。
式(22)さらに離散時間系の状態方程式(サンプリング時間0.1秒)に変換すると、下記式(23)、式(24)のようになる。
式(23)、式(24)において、応答を考えると、加熱時の開始点温度y0によって初期条件が変わるため、切り替え時間t1の探索には、開始点温度y0および目標温度SVの2入力が必要となる。ここで、開始点温度y0では、定常になっていると仮定すると、y0における初期条件xh1(0)、xh2(0)は下記式(25)で表される。
ここで、A、Cは式(23)、式(24)における係数行列(式(26)参照)に相当する。
式(23)〜式(25)を用いて想定される加熱(冷却)範囲で、切り替え時間t1の探索を実行する。これにより、入力がy0およびSV、出力が、切り替え時間t1の二次元テーブルが得られる。表1にその一例を示す。
例えば、開始点温度y0が10℃、目標温度SVが30℃では、切り替え時間は153.9秒であるテーブルの入力は、5℃間隔であるため、間の温度は内挿して得るが、もちろん間隔を小さくしてもよい。
前記特許文献1に記載の技術では、規範モデルとして式(22)を使用してきたが、これは、図10に示されるような加熱テストの結果によるものである。ところが、サーモモジュールは、加熱と冷却で動特性が異なり、冷却テストを行うと、図11に示されるような挙動となり、加熱テストの場合とは必ずしも一致しない。図11に示される冷却側の特性は、例えば、式(27)のようになる。
式(22)と式(27)のステップ応答を比較すると、図12に示されるようになり、加熱側の応答が速いことがわかる。
この動特性の違いのため、加熱側の規範モデルだけで冷却方向に制御すると、例えば、図13のシミュレーション結果のように、冷却側で規範モデル出力が先行し、実出力PV1〜PV3は、操作量MV1〜MV3の飽和の制限のため、追従することができず、その結果均一性を確保することができない。
[4-3]本実施形態によるシミュレーション
そこで、本実施形態では、規範モデルとして加熱用規範モデル、冷却用規範モデルの両方を考え、各ゾーンの加熱、冷却の組み合わせ数2^(ゾーン数)に相当する数の規範モデルクラスタ、最適制御ゲインクラスタを持たせ、各ゾーンの加熱冷却の状況によってこれらを切り替えて使用することとした。
今、1つのゾーンだけについて加熱、冷却の状態を考えると、その状態は、加熱(冷却)開始点温度y0、目標温度SV、平衡点温度Teqの3つの大小関係に依存する。例えば、y0<TeqかつSV<Teqであれば最大操作量MVmax出力時は加熱モデルだが、定常時操作量MVss出力時は冷却モデルになる。
また、全てのゾーンについては、それぞれのゾーンについて、加熱、冷却の可能性があるため、2=8通りの組み合わせがある。例えば、全てのゾーンの目標温度がSV1=SV2=SV3=20℃からSV1=10℃、SV2=30℃、SV3=50℃とすると、ゾーン1は冷却、ゾーン2およびゾーン3は加熱となる。
式(22)と同様に、式(27)の無駄時間を一次のパディ近似で表すと、下記式(28)のようになる。
これを式(23)、式(24)と同様に、サンプリング時間0.1秒で離散時間状態方程式に変換すると、式(29)、式(30)のようになる。
次に、制御中、最大操作量MVmax出力時から、定常操作量MVss出力時に切り替わる際に、加熱、冷却が切り替わる場合の状態量を滑らかに切り替える方法について説明する。
式(22)、式(23)、式(24)、式(28)、式(29)、式(30)より、各行列のサイズは、以下のようになる。
Ah、Ac:2×2
Bh、Bc:2×1
Ch、Cc:1×2
xh、xc:2×1
初期条件は、下記式(31)によって求められ、式(32)のようになる。
よって、加熱側の初期条件は、式(33)となり、冷却側の初期条件は式(34)となる。
ここで、加熱用規範モデルから冷却用規範モデルに状態を切り替えることを考える。切り替える時点では、両規範モデルの入力u(k)、出力y(k)が等しいことから、下記式(35)、式(36)のようになる。
これを行列にまとめると、式(37)のようになる。
これにより、加熱用規範モデルから冷却用規範モデルに切り替える場合は、下記式(38)となる。
冷却用規範モデルから加熱用規範モデルに切り替える場合も同様に、下記式(39)となる。
この考え方は、切り替え時間t1テーブル作成の際の最適時間探索シミュレーションでも使用する。例えば、y0>SV>Teqのような場合、時刻t1で冷却用規範モデルから加熱用規範モデルに切り替える。
以上のようなシミュレーションを行ったところ、図14に示される結果となった。
冷却側も規範モデル出力によく追従しているのがわかる。
1…温度調整装置、2A…ゾーン、2B…ゾーン、2C…ゾーン、3…温度調整手段、30…操作量演算部、24…コントローラ、31…シミュレータ、4…真空チャンバー、5…プレート、6…温度センサ、7…ベースプレート、31…シミュレータ、32…操作量切替部、33…規範モデル、34…偏差算出部、35…積分器、36…偏差算出部、37…規範モデル選択部、38…規範モデルクラスタ、39…最適制御ゲインクラスタ、40…オブザーバ、MV1…操作量、MV2…操作量、MV3…操作量、MVmax…最大操作量、MVref…操作量パターン、MVss…定常時操作量、SV…目標温度、t1…切り替え時間、Teq…平衡点温度、W…シリコンウェーハ、y0…開始点温度。

Claims (3)

  1. 加熱冷却可能な複数の温度調整手段により半導体ウェーハの温度を調整するために、前記複数の温度調整手段の温度制御を行う半導体ウェーハの温度制御装置であって、
    前記複数の温度調整手段に設定された複数の制御ループと、
    それぞれの制御ループに設けられ、それぞれの温度調整手段で温度調整された半導体ウェーハの温度を検出する複数の温度検出手段と、
    それぞれの温度検出手段で検出された温度に基づいて、それぞれの制御ループの温度調整手段に与える操作量を演算する操作量演算手段とを備え、
    前記操作量演算手段は、
    前記複数の制御ループのうち、最も応答速度の遅い制御ループの操作量を100%として、他の制御ループはこれに追従するように制御された応答から生成された規範モデルと、
    前記規範モデルを用い、目標温度に最短時間で到達させるための最適操作量パターンを、オンラインまたは事前にオフラインで探索する最適操作量パターン探索手段と、
    前記規範モデルに対して、前記最適操作量パターン探索手段で探索された最適操作量パターンの操作量を与える規範モデル出力を生成する規範モデル出力生成手段と、
    前記規範モデル出力生成手段によって得られた規範モデル出力を使用するモデル追従サーボ演算手段と、
    前記複数の温度調整手段による温度調整が、加熱であるか冷却であるかに応じて、予め設定された加熱用規範モデル、および冷却用規範モデルのいずれかを選択し、前記規範モデルに適用する規範モデル選択手段とを備え
    前記最適操作量パターン探索手段は、加熱または冷却開始温度および目標温度に基づいて切り替え条件を選択し、
    前記規範モデル選択手段は、操作量の切り替え時の加熱または冷却開始温度、目標温度、および平衡点の温度に基づいて、前記規範モデルを選択することを特徴とする半導体ウェーハの温度制御装置。
  2. 請求項1に記載の半導体ウェーハの温度制御装置において、
    複数の制御ループの加熱、冷却の可能な組み合わせ数の規範モデルクラスタ、および最適制御ゲインクラスタを備え、
    前記規範モデル選択手段は、前記規範モデルクラスタから規範モデルを選択し、前記規範モデル出力生成手段に出力し、前記最適制御ゲインクラスタから最適制御ゲインを選択して、前記モデル追従サーボ演算手段に出力することを特徴とする半導体ウェーハの温度制御装置。
  3. 加熱冷却可能な複数の温度調整手段により半導体ウェーハの温度を調整するために、それぞれの温度調整手段に設定された制御ループにより、前記複数の温度調整手段の温度制御を行う半導体ウェーハの温度制御方法であって、
    前記複数の制御ループのうち、最も遅い制御ループの操作量を100%として、他の制御ループはこれに追従するように制御された応答から規範モデルを生成する手順と、
    加熱または冷却開始温度および目標温度に基づいて切り替え条件を選択する手順と、
    前記複数の温度調整手段のうち、制御対象となる温度調整手段が、加熱であるか冷却であるかに応じて、加熱用規範モデルか、冷却用規範モデルかを、操作量の切り替え時の加熱または冷却開始温度、目標温度、および平衡点の温度に基づいて選択する手順と、
    選択された規範モデルを用い、目標温度に最短時間で到達させるための最適操作量パターンを、オンラインまたは事前にオフラインで探索する手順と、
    選択された規範モデルに対して、探索された最適操作量パターンの操作量を与え、規範モデル出力を生成する手順と、
    生成された規範モデル出力を使用してモデル追従サーボ制御を行う手順とを実施することを特徴とする半導体ウェーハの温度制御方法。
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