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JP6740741B2 - 路面勾配推定装置及び路面勾配推定方法 - Google Patents
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JP6740741B2 - 路面勾配推定装置及び路面勾配推定方法 - Google Patents

路面勾配推定装置及び路面勾配推定方法 Download PDF

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Description

本発明は、路面勾配推定装置及び路面勾配推定方法に関し、より詳細には、路面勾配を高精度に推定する路面勾配推定装置及び路面勾配推定方法に関する。
車両傾斜角度を推定する際に、車両の走行中の路面勾配の変動幅が所定範囲内の場合は、車両の停車中に車両傾斜角度を推定する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。走行中の路面表面に段差や凹凸、障害物などがあり、路面が一時的に上下方向に変化する場合は、路面勾配の変動幅が大きく、非現実的な路面勾配を推定しているおそれがある。それ故、この装置では、そのような場合は、車両の停車中の車両傾斜角度の推定を禁止している。
特開2015−141157号公報
ところで、車両の運転状態が急激に変化する場合も、非現実的な路面勾配を推定しているおそれがある。
しかし、上記の装置のように、非現実的な路面勾配を推定するおそれがある場合は、推定を禁止すると、路面勾配の推定頻度が低減するおそれがある。それ故、路面勾配に基づいた加速制御、変速制御、あるいは減速制御などに支障をきたすおそれがある。
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、その目的は、路面勾配の推定頻度を低減させずに、路面勾配を高精度に推定する路面勾配推定装置及び路面勾配推定方法を提供することである。
上記の目的を達成する本発明の路面勾配推定装置は、車両の車速を取得する車速取得手段と、その車両の前後方向の加速度を取得する加速度取得手段と、前記車速取得手段により取得した車速及び前記加速度取得手段により取得した加速度が入力されて、入力されたそれらの車速及び加速度に基づいてその車両が走行している路面勾配の推定値を推定する推定手段と、前記推定手段により推定した推定値が入力されて、入力されたその推定値の前記車両の移動距離又は移動時間に対する勾配変化率に基づいて、その推定値に制限を掛ける制限手段と、前記制限手段から出力された値に対して可変自在の時定数を有するローパスフィルタでフィルタ処理を施して出力するフィルタ手段と、前記車両の姿勢変化の要因に関する数値が入力されて、入力されたこの要因に関する数値に応じて、前記時定数を変更する変更手段と、を備えることを特徴とするものである。
上記の目的を達成するための本発明の路面勾配推定方法は、車両の車速及びその車両の前後方向の加速度を取得し、取得したそれらの車速及び加速度に基づいてその車両が走行している路面勾配を推定する路面勾配推定方法において、前記車速及び加速度に基づいて推定した推定値に基づいた前記車両の移動距離又は移動時間に対する勾配変化率を算出し、算出したその勾配変化率に基づいて、前記推定値に制限を掛け、前記推定値に制限を掛けた値に対して、前記車両の姿勢変化の要因に関する数値に基づいて変更された時定数を有するローパスフィルタでフィルタ処理を施すことを特徴とする方法である。
本発明によれば、推定した推定値の勾配変化率に基づいて、その推定値に制限を掛ける
ので、車両の運転状態や路面状況などに起因した車両の姿勢変化により非現実的な推定値を推定しても、その推定値を制限により実際の路面勾配に近づけることができる。これにより、推定値の実際の路面勾配からの乖離の抑制には有利になり、路面勾配の推定誤差を低減できる。これに伴い、路面勾配の推定頻度を低減させずに、路面勾配を高精度に推定することができる。
本発明の路面勾配推定装置の第一実施形態を例示する説明図である。 図1の制御装置を例示するブロック図である。 図2の路面勾配演算部を例示するブロック図である。 車速と基準勾配率との関係を例示する相関図である。 本発明の路面勾配推定方法の第一実施形態を例示するフロー図である。 本発明の路面勾配推定装置の第二実施形態の路面勾配演算部を例示するブロック図である。 エンジン回転数及び燃料噴射量と、エンジンの出力トルクとの関係を例示する関係図である。 車速と高時定数との関係を例示する関係図である。 車速と低時定数との関係を例示する関係図である。 本発明の路面勾配推定方法の第二実施形態を例示するフロー図である。
以下に、本発明の路面勾配推定装置及び路面勾配推定方法の実施形態について説明する。以下では、推定する路面勾配は、道路の縦断勾配であり、登坂路の路面勾配を正とし、降坂路の路面勾配を負とする。
図1〜図4に例示する第一実施形態の路面勾配推定装置30は、車両10に搭載されて、その車両10が走行している路面勾配を推定する装置である。
図1に例示するように、路面勾配推定装置30が搭載される車両10は、シャーシ11の前方側に運転部として運転室(キャブ)12が配置され、シャーシ11の後方側にボディ13が配置されている。
シャーシ11には、エンジン14、クラッチ15、変速機16、プロペラシャフト17、ディファレンシャルギア18が設置されている。エンジン14の回転動力は、クラッチ15を介して変速機16に伝達される。変速機16で変速された回転動力は、プロペラシャフト17を通じてディファレンシャルギア18に伝達され、後輪である一対の駆動輪19にそれぞれ駆動力として分配される。
制御装置20は、エンジン14、クラッチ15、変速機16、及び各種センサに一点鎖線で示す信号線を介して電気的に接続されている。各種センサとして、運転室12には、アクセルペダル21の踏み込み量からアクセル開度を検出するアクセル開度センサ22、シフトレバー23のポジションを検出するポジションセンサ24が設置されている。シャーシ11には、エンジン14の図示しないクランクシャフトの回転数を検出するエンジン回転数センサ25、車速センサ26、及び、加速度センサ27が設置されている。
制御装置20は、各種情報処理を行うCPU、その各種情報処理を行うために用いられるプログラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどから構成されるハードウェアである。
図2に例示するように、制御装置20は、エンジン14、クラッチ15、及び変速機1
6を制御する制御部28と、車両10の車重を演算する車重演算部29と、車両10が走行している路面勾配を演算する路面勾配演算部31とを各機能要素として有している。この実施形態で、各機能要素は、プログラムとして内部記憶装置に記憶されているが、各機能要素が個別のハードウェアで構成されてもよい。
本発明の路面勾配推定装置30は、路面勾配演算部31、車速センサ26、及び加速度センサ27から構成されており、それらのセンサの検出値が入力され、各検出値に基づいて演算した結果を出力値θxとして出力する。路面勾配演算部31は、それらのセンサを利用して、車速取得手段、加速度取得手段、推定手段、及び制限手段として機能する。
車速センサ26は、車速取得手段として機能する装置であり、この実施形態では、プロペラシャフト17の回転速度に比例したパルス信号を読み取り、制御装置20の車速演算処理により車速vxとして取得するセンサである。車速センサ26が回転速度に比例したパルス信号に基づいて車速vxを取得することから、取得された車速vxは、負ではなくゼロ以上の値になる。車速センサ26としては、変速機16の図示しないアウトプットシャフト、駆動輪19、従動輪などの回転速度から車速vxを取得するセンサを用いてもよい。なお、駆動輪19、従動輪などの回転速度から車速vxを取得するセンサを用いる場合には、左右一対の車輪のそれぞれの回転速度を取得して、その平均値を車速vxとするとよい。車輪の回転速度から車速vxを取得する車速センサ26は、発進時や加速時のプロペラシャフト17の回転速度変動に影響されないため、プロペラシャフト17の回転速度変動が大きい場合に用いるとよい。
加速度センサ27は、加速度取得手段として機能する装置であり、この実施形態では、車両10の前後方向での速度変化に伴う加速度成分と車両10の姿勢変化に伴う重力加速度成分とによって動作して、それらを合成した路面に平行な加速度成分、すなわち車両10の前後方向の加速度Gxを取得するセンサである。加速度センサ27としては、機械的変位測定方式、光学的方式、半導体方式などが例示できる。
図3に例示するように、この実施形態で、路面勾配演算部31は、各機能要素として、推定部32、及び制限部33を有している。路面勾配演算部31の各機能要素は、プログラムとして内部記憶装置に記憶されているが、各機能要素が個別のハードウェアで構成されてもよい。
推定部32は、車速センサ26により取得した車速vx及び加速度センサ27により取得した加速度Gxが入力され、車両10が走行している路面勾配の推定値θzを出力する機能要素である。推定部32は、微分ブロック32a、加算ブロック32b、除算ブロック32c、及び逆正弦関数ブロック32dを有している。道路勾配が小さいと考えられる場合、sinθ≒θとなることから、逆正弦関数ブロック32dは用いなくてもよい。
制限部33は、車速センサ26が取得した車速vxと推定部32から出力された推定値θzとが入力され、それらに基づいて、推定値θzを制限した出力値θxを出力する機能要素である。この実施形態で、制限部33は、レイトリミッターブロック33a、ルックアップテーブルブロック33b、及び乗算ブロック33cを有しており、それらの機能により推定値θzを制限する。
レイトリミッターブロック33aは、入力された推定値θzを制限する機能要素である。具体的に、レイトリミッターブロック33aは、推定値θzの勾配変化率α(dθz/dt)が制限変化率βlim(vx・β)を超えたか否かを判定し、勾配変化率αが制限変化率βlimを超えた場合は、推定値θzを制限する一方で、勾配変化率αが制限変化率βlim以下の場合は、推定値θzを制限しない。
勾配変化率αは、車両10の移動時間Δtに対する推定値θzの変化率であり、推定部32から出力された推定値θzを時間微分した値である。勾配変化率αとしては、例えば、推定部32が推定した推定値θzを、推定値θzを推定する一定周期(サンプリング時間)で除算したものを用いてもよい。
制限変化率βlimは、時間に対する変化率の制限値であり、非現実的な勾配変化率αを特定できる値である。この実施形態で、制限変化率βlimは、移動距離に対する勾配の変化率である基準勾配率β(正確には、dθb/dx)に車速vxを乗算して、移動時間に対する変化率の制限値に変換したものである。
ルックアップテーブルブロック33bは、車速センサ26により取得した車速vxが入力され、複数の基準勾配率βのうちの入力された車速vxに応じたものを乗算ブロック33cに出力する機能要素である。このルックアップテーブルブロック33bは、複数の基準勾配率βが設定されており、複数の基準勾配率βの中から車速vxに応じた基準勾配率βを選択する。
乗算ブロック33cは、車速vxと基準勾配率βとが入力されて、それらを乗算して算出された制限変化率βlimをレイトリミッターブロック33aに出力する機能要素である。
この実施形態で、基準勾配率β(dθb/dx)は、日本国の道路構造令に規定される縦断勾配である。縦断勾配は、道路の区分及び道路の設計速度に応じて規定されている。道路の区分は、道路の存在する地域(地方部、都市部)と道路の機能(高速自動車国道及び自動車専用道路、一般道路)との組み合わせによる区分である。設計速度は、道路の設計の基礎とする車両の速度である。
図4に例示するように、この実施形態の基準勾配率βは、車速vxに対して負の関係にあり、車速vxが速くなる程、段階的に小さくなる。この図4に例示するマップデータは予め実験や試験により求めておき、ルックアップテーブルブロック33bに記憶させておく。また、基準勾配率βは定数値を用いてもよく、道路構造令に規定されている値を用いてもよい。
次に、本発明の第一実施形態の路面勾配推定方法について、図5のフロー図を参照しながら、路面勾配演算部31の各機能として説明する。以下の路面勾配推定方法は、車両10の制御装置20が通電すると開始されて、一定周期(サンプリング時間)ごとに繰り返し行われてリアルタイムに路面勾配を推定する。そして、制御装置20が停電すると終了する。
スタートすると、車速センサ26は車速vxを、加速度センサ27は加速度Gxをそれぞれ取得する(S110)。次いで、路面勾配演算部31は、推定部32の機能により、車両10が走行している路面勾配の推定値θzを推定する(S120)。具体的に、推定部32では、微分ブロック32aにより入力された車速vxを時間微分した微分値vx’を出力する。次いで、加算ブロック32bにより加速度Gxから微分値vx’を減算した値を車両10の前後方向に掛かる重力加速度成分(Gx−vx’)として出力する。次いで、除算ブロック32cにより車両10の前後方向に掛かる重力加速度成分(Gx−vx’)を重力加速度gで除算した値を出力する。次いで、逆正弦関数ブロック32dにより、入力された値に逆正弦関数(sin−1)を用いて推定値θzを推定する。道路勾配が小さいと考えられる場合、sinθ≒θとなることから、逆正弦関数ブロック32dは用いなくてもよい。
次いで、路面勾配演算部31は、制限部33の機能により制限変化率βlimを算出する(S130)。具体的に、制限部33では、入力された車速vxに基づいて、ルックアップテーブルブロック33bにより基準勾配率β(dθb/dx)を選択する。次いで、乗算ブロック33cにより選択した基準勾配率βに車速vxを乗算して制限変化率βlim(vx・β)を算出する。
次いで、路面勾配演算部31は、制限部33の機能により、推定値θzに基づいた勾配変化率αが制限変化率βlimを超えたか否かを判定する(S140)。次いで、路面勾配演算部31は、制限部33の機能により、勾配変化率αが制限変化率βlimを超えたと判定した場合は、推定値θzを、勾配変化率αが制限変化率βlimになる値に制限する(S150)。一方、勾配変化率αが制限変化率βlim以下と判定した場合は、推定値θzを制限せずに出力する。
具体的に、制限部33では、レイトリミッターブロック33aにより、推定値θzを時間微分した勾配変化率αを算出し、その勾配変化率αが制限変化率βlimを超えた場合は、推定値θzを制限する一方、超えていない場合は、推定値θzを出力する。
次いで、路面勾配演算部31は、制限部33の機能により、レイトリミッターブロック33aから出力された値を出力値θxとして出力する(S160)。そして、スタートへリターンする。
以上のように、推定した推定値θzの勾配変化率αに基づいて、その推定値θzに制限を掛けるので、車両10の運転状態や路面状況などに起因した車両10の姿勢変化により非現実的な推定値θzを推定しても、その推定値θzを制限により実際の路面勾配に近づけることができる。これにより、推定値θzの実際の路面勾配からの乖離の抑制には有利になり、路面勾配の推定誤差を低減できる。これに伴い、路面勾配の推定頻度を低減させずに、路面勾配を高精度に推定することができる。
また、推定値θzに制限を掛けることでセンサ自体の精度や感度による誤差などのノイズも除去できるので、路面勾配の推定精度の向上には有利になる。加えて、路面勾配を推定する際にノイズを除去するローパスフィルタのみを用いる従来技術に比して、フィルタ処理により出力遅延が無く、路面勾配の推定の応答性を確保することができる。これにより、リアルタイムでの路面勾配の推定には有利になり、車両10の運転状態や路面が一時的に変化する場合の路面勾配の推定精度を向上できる。
この実施形態では、勾配変化率αが制限変化率βlimを超えた場合は、推定した推定値θzをその勾配変化率αがその制限変化率βlimになる値に制限する。それ故、推定値θzが現実的にあり得ない値になった場合は、制限によりその推定値θzを実際の路面勾配に近づけることができる。これにより、推定値θzと実際の路面勾配との乖離を抑制するので、路面勾配の推定誤差の低減には有利になる。
この実施形態で、制限部33は、レイトリミッターブロック33aにより、推定値θzを制限するので、パラメータ設定や推定に必要なブロック数も少なくて済む。これにより、センサ数の低減や路面勾配の推定工程の簡略化に有利になる。
この実施形態で、制限変化率βlimは、車速vxと基準勾配率βとに基づいた値に設定されており、さらに、基準勾配率βは、道路構造令で道路の設計速度に応じて規定された縦断勾配に設定されている。これにより、車両10が実際に走行している道路の路面勾配に合わせて、制限変化率βlimを可変できるので、路面勾配の推定誤差の低減には有
利になる。
基準勾配率βとしては、例えば、車速vxに加えて、道路構造令における道路の区分をルックアップテーブルブロック33bに入力して、それらの二要素から選択してもよい。これにより、基準勾配率βがより細分化するので、路面勾配の推定誤差の低減には有利になる。
このように、この実施形態では、勾配変化率αとして、車両10の移動時間Δtに対する推定値θzの変化率を用いたが、勾配変化率αとしては、車両10の移動距離Δxに対する推定値θzの変化率を用いてもよい。この場合は、推定値θzを時間微分した値を車速vxで除算して勾配変化率αを求めるとよい。また、制限変化率βlimとして、道路構造令で規定された縦断勾配をそのまま用いることができる。これにより、制限変化率βlimの算出に必要なパラメータを低減できるので、センサ数の低減や路面勾配の推定工程の簡略化に有利になる。
図6〜図9に例示するように第二実施形態の路面勾配推定装置30は、第一実施形態に対して制限部33の後に、フィルタ部34が介在している点が異なっている。
図6に例示するように、この実施形態で、路面勾配演算部31は、第一実施形態の機能要素に加えて、フィルタ部34、及び変更部35を有している。これらの各機能要素は、プログラムとして内部記憶装置に記憶されているが、個別のハードウェアで構成されてもよい。
この実施形態で、フィルタ部34は、一次遅れのローパスフィルタであり、推定値θzに対して可変自在の時定数tcにより規定される遮断周波数fc(=1/(2π×Tc))よりも低い低周波数成分を殆んど減衰させずに透過させる一方で、その遮断周波数fcよりも高い高周波数成分を逓減させるフィルタ処理を施して出力する可変ローパスフィルタである。可変ローパスフィルタは、下記の数式(1)で示される伝達関数で表される。ここで、Kは通過域の利得とし、Sはラプラス変換の変数とする。下記の数式(1)で示した伝達関数を離散化し、離散時間伝達関数を使用する。なお、ローパスフィルタは1次のみだけでなく、高次ローパスフィルタを適用することもある。
Figure 0006740741
フィルタ部34としては、例えば、定数倍ブロックと、加算ブロックと、積分ブロックとから構成し、1回積分の結果をフィードバック加算するものを用いてもよい。
変更部35は、車両10の姿勢変化の要因に関する数値としてエンジン14の出力トルクTxが入力されて、その出力トルクTxに応じた時定数tcをフィルタ部34に出力する機能要素である。
この実施形態で、変更部35は、スイッチブロック35a、データブロック35b、35c、35dを有しており、それらの機能により、可変ローパスフィルタの時定数tcを変更する。具体的に、変更部35は、出力トルクTxが予め設定した閾値Taを超えた場合は、時定数tcを高時定数thにする。一方で、変更部35は、出力トルクTxが閾値Ta以下になった場合は、時定数tcを低時定数tlにする。
閾値Taは、車両10の姿勢変化の要因に関する数値の大小、あるいはその数値の変化量からピッチング運動による車両10の姿勢変化の発生を特定できる値に設定されている。特に、閾値Taは、極低速領域におけるピッチング運動による姿勢変化の発生を特定できる値に設定されることが望ましい。極低速領域は、車速センサ26が車速vxを検出できない、あるいは、ゼロを検出する領域である。つまり、極低速領域は、車両10が移動していない状態、あるいは車両10が移動する瞬間の状態、あるいは車両10の移動距離が短く車速センサ26でパルスを検出できない状態を含んでいる。
図7に例示するように、出力トルクTxは、エンジン回転速度Nx及び燃料噴射量Qxのそれぞれに対して正の関係にあり、エンジン回転速度Nxが速く且つ燃料噴射量Qxが多いほど、大きくなる。このマップデータは予め実験や試験により求めておき、データブロック35bに記憶させておく。
データブロック35cは、車速vxが入力されて、その車速vxに応じた高時定数thを出力する機能要素である。データブロック35dは、車速vxが入力されて、その車速vxに応じた低時定数tlを出力する機能要素である。高時定数thは、同一の車速vxにおける低時定数tlよりも大きい値に設定されている。
図8に例示するように、高時定数thは、一定値になるまでは、車速vxに対して負の関係にあり、車速vxが速くなる程、小さくなる。図9に例示するように、低時定数tlは、下限値t0になるまでは、車速vxに対して負の関係にあり、車速vxが速くなる程、小さくなる。これらのマップデータは予め実験や試験により求めておき、データブロック35c、35dのそれぞれに記憶させておく。なお、高時定数th及び低時定数tlは車速センサ26が車速vxを検出できない場合は、車速vxがゼロと見なされて算出される。下限値t0は、センサ自体の精度や感度による誤差などの車両10の姿勢変化に伴わないノイズのみを除去可能な時定数であり、重み付け平均(加算平均)により設定される。
図10に例示するように本発明の第二実施形態の路面勾配推定方法は、第一実施形態に対して、フィルタ処理を施すステップが異なっている。
第一実施形態と同様に、制限部33の機能により推定値θzに対して制限を掛けると同時に、並列処理により変更部35の機能により時定数tcを変更する。路面勾配推定装置30は、変更部35の機能により、エンジン14の出力トルクTxを算出する(S210)。
次いで、路面勾配推定装置30は、変更部35の機能により、出力トルクTxが閾値Taを超えたか否かを判定する(S220)。次いで、路面勾配演算部31は、変更部35の機能により、出力トルクTxが閾値Taを超えたと判定した場合は、時定数tcを高時定数thに変更する(S230)。一方、出力トルクTxが閾値Ta以下と判定した場合は、時定数tcを低時定数tlに変更する(S240)。
具体的に、変更部35では、スイッチブロック35aにより、出力トルクTxと閾値Taとを比較する。出力トルクTxが閾値Taを超えた場合は、データブロック35cから車速vxに応じた高時定数thを時定数tcとして出力する。一方、出力トルクTxが閾値Taを超えていない場合は、データブロック35dから車速vxに応じた低時定数tlを時定数tcとして出力する。
次いで、路面勾配演算部31は、フィルタ部34により、制限部33により制限が掛けられた推定値θzに対して、入力された時定数tcで決まる遮断周波数fcより低い周波数成分を殆んど減衰させずに透過させる一方で、その遮断周波数fcよりも高い高周波数成分を逓減させるフィルタ処理を施す(S250)。
次いで、路面勾配演算部31は、フィルタ部34の機能により、フィルタ処理が施された値を出力値θxとして出力する(S160)。
このように、この実施形態では、制限部33により勾配変化率αが制限変化率βlimを超えた場合は、推定した推定値θzをその勾配変化率αがその制限変化率βlimになる値に制限する。さらに、その制限部33により制限を掛けた値に対してフィルタ部34によりフィルタ処理を施す。それ故、推定値θzが現実的にあり得ない値になった場合は、制限によりその推定値θzを実際の路面勾配に近づけ、フィルタ処理によりノイズを除去することができる。これにより、制限とフィルタ処理との両方により、推定値θzと実際の路面勾配との乖離を確実に抑制するので、路面勾配の推定誤差の低減には有利になり、路面勾配をより高精度に推定できる。
また、この実施形態では、制限部33により制限が掛けられた値をフィルタ部34に入力するので、制限が掛けられて実際に路面勾配に近づけられた値にフィルタ処理を施すことができる。これにより、フィルタ処理のみを行う従来技術に比して、時定数tcを小さくできるので、制限とフィルタ処理との両方による推定誤差の低減と、フィルタ処理による出力遅延の回避とには有利になり、路面勾配を高精度に、且つリアルタイムに推定できる。
この実施形態では、制限に加えて、エンジン14の出力トルクTxが閾値Taを超えた場合は、車両10にピッチング運動が生じたと特定して、フィルタ処理の時定数tcを大きくして遮断周波数fcを低くする。それ故、実際に車両10の前後方向の加速度が生じていても、車速vxを検出できない極低速領域におけるピッチング運動による姿勢変化の特定には有利になり、その姿勢変化を一時的な変化として捉えてフィルタ処理によりノイズとして除去できる。これにより、路面勾配の推定誤差を低減できる。
特に、この実施形態では、エンジン14の出力トルクTxと閾値Taとを比較するので、車両10が発進する瞬間などで、車速センサ26が車速vxを検出できない場合でも、車両10にピッチング運動を特定できる。これにより、車両10に生じるピッチング運動による推定誤差の低減には有利になる。
また、この実施形態では、車速vxに応じて時定数tcを可変にするので、路面勾配の変化速度に応じて、トレードオフの関係にあるノイズ除去効果と応答性とを最適化できる。これにより、車速vxが速くノイズが少ない場合は、時定数tcを小さくして路面勾配の推定の応答性を高めることができる。一方で、車速vxが遅く応答性が遅くてもよい場合は、時定数tcを大きくしてノイズ除去効果を高めることができる。
この実施形態では、車両10の姿勢変化の要因に関する数値として、エンジン14の出力トルクTxを用いた例を説明した。要因に関する数値とは、その数値の変化により車両10の姿勢変化が生じる数値である。
この要因に関する数値としては、車速vxの微分値vx’、微分値vx’の変化量、加速度Gx、加速度Gxの変化量、推定した推定値θzの変化量、駆動に要するトルク、トルクの変化量、トルクを調節する車両の運転者の操作指令、又は、その操作指令の変化量
が例示できる。加速度Gxを用いる場合は、車両10の姿勢変化に伴う重力加速度成分を除外するようにフィルタを用いるとよい。推定値θzの変化量としては、推定値θzと前回値である出力値θ(x−1)との差分が例示できる。トルクとしては、エンジン14の出力トルクTxやプロペラシャフト17を経由して駆動輪19に伝達される駆動トルクTwが例示できる。操作指令としては、アクセルペダル21の踏み込み量を示すアクセル開度Ax、図示しないブレーキペダルの踏み込み量が例示できる。
この実施形態では、変更部35として出力トルクTxの大小により時定数tcを変更する構成を例に説明したが、複数の変更部により時定数tcを変更してもよい。例えば、出力トルクTxの大小に加えて、微分値vx’の大小、アクセル開度Axの大小などにより時定数tcを変更するとよい。この場合は、複数の変更部から出力された値のうちの最大になる値を時定数tcとして出力したり、複数の変更部に優先順位を付けて、その優先順位が高い値を時定数tcとして出力したり、出力トルクTxの大小、微分値vx’の大小、アクセル開度Axの大小にそれぞれ閾値判定を行い、それぞれの閾値判定結果を論理演算させ、その結果に基づき時定数tcを変更したりする。
また、車両10の駆動力が正の場合と、制動力が正の場合と、それ以外の場合とで状況を区別して、時定数tcを変更してもよい。ここで、車両10の前進、後進を問わず、駆動輪19を駆動させる力が生じた場合の駆動力を正とし、駆動輪19を制動させる力が生じた場合の制動力を正とする。
例えば、駆動力が正の場合は、出力トルクTxの大小、微分値vx’の大小、アクセル開度Axの大小など、複数の変更部により時定数tcを変更し、制動力が正の場合は、微分値vx’の大小のみで時定数tcを変更し、それ以外は下限値t0にするとよい。
このように、複数の変更部で時定数tcを変更するようにすると、車速や加速度を検出できない極低車速領域や、車両10の重量が軽くなり出力トルクTxが閾値Ta以下でも車両10が大きく加速する場合などのピッチング運動による誤差をノイズとして除去できる。これにより、路面勾配の推定誤差の低減には有利になり、路面勾配を高精度に推定することができる。また、出力トルクTxや微分値vx’などの物理量のみではなく、アクセル開度Axなどの操作量に基づいて、時定数tcを変更すると、物理量が取得できない場合でも、路面勾配の推定誤差の低減には有利になる。
加えて、駆動力が正の場合と、制動力が正の場合と、それ以外の場合とで、条件を区別して、時定数tcを変更すると、車両10の走行状況に応じた時定数tcに設定できるので、走行状況に応じて異なる路面勾配の推定誤差の低減には有利になる。
いずれの構成にしても、制限部33により制限が掛けられた値をフィルタ部34に入力するので、制限が掛けられて実際に路面勾配に近づけられた値にフィルタ処理を施すことができる。これにより、フィルタ処理のみでノイズを除去する場合に比して、フィルタ処理の時定数tcを低くするには有利になり、推定遅れを回避できる。
既述した実施形態では、車両10がトラックなどの大型車両を例に説明したが、本発明の路面勾配推定装置30は、バス、普通車両、牽引車(トラクタ)にも適用でき、車両10の種類には限定されない。
また、既述した実施形態では、路面勾配推定装置30が、路面勾配演算部31、車速センサ26、及び加速度センサ27から構成された例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、路面勾配推定装置30が車速取得手段、加速度取得手段、推定手段、及び出力手段として機能する一つのセンサと、制限手段として機能するハードウェアとから
構成されていてもよい。
既述した実施形態では、制限部33がレイトリミッターブロック33aを有した構成を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、推定値θzを時間微分して勾配変化率αを算出するブロックと、算出した勾配変化率αが入力された制限変化率βlimを超えたか否かを判定するブロックと、勾配変化率αが制限変化率βlimを超えた場合は、推定値θzを制限するブロックと、勾配変化率αが制限変化率βlim以下の場合は、推定値θzを制限しないブロックとを用いてもよい。
また、既述した実施形態では、制限部33が、勾配変化率αが制限変化率βlimを超えた場合は、推定値θzを、その勾配変化率αが制限変化率βlimになる値に制限する構成を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、推定値θzを推定する前に出力した前回値θ(x−1)に制限変化率βlimを時間積分した積分値を加算した値を出力してもよい。
10 車両
26 車速センサ
27 加速度センサ
30 路面勾配推定装置
31 路面勾配演算部
32 推定部
33 制限部
θz 推定値
vx 車速
Gx 加速度
α 勾配変化率
βlim 制限変化率

Claims (5)

  1. 車両の車速を取得する車速取得手段と、
    その車両の前後方向の加速度を取得する加速度取得手段と、
    前記車速取得手段により取得した車速及び前記加速度取得手段により取得した加速度が入力されて、入力されたそれらの車速及び加速度に基づいてその車両が走行している路面勾配の推定値を推定する推定手段と、
    前記推定手段により推定した推定値が入力されて、入力されたその推定値の前記車両の移動距離又は移動時間に対する勾配変化率に基づいて、その推定値に制限を掛ける制限手段と、
    前記制限手段から出力された値に対して可変自在の時定数を有するローパスフィルタでフィルタ処理を施して出力するフィルタ手段と、
    前記車両の姿勢変化の要因に関する数値が入力されて、入力されたこの要因に関する数値に応じて、前記時定数を変更する変更手段と、を備えることを特徴とする路面勾配推定装置。
  2. 前記勾配変化率が予め設定した制限変化率を超えた場合は、前記制限手段により、前記推定値を、その勾配変化率が前記制限変化率になる値に制限する構成にした請求項1に記載の路面勾配推定装置。
  3. 前記制限変化率が、前記車速とその車速に応じて設定された基準勾配率とに基づいた値である請求項2に記載の路面勾配推定装置。
  4. 前記制限手段に前記車速取得手段により取得した前記車速が入力されて、その車速に基づいて、前記制限手段により、複数の前記基準勾配率のうちのその車速に応じた基準勾配率を選択する構成にした請求項3に記載の路面勾配推定装置。
  5. 車両の車速及びその車両の前後方向の加速度を取得し、取得したそれらの車速及び加速度に基づいてその車両が走行している路面勾配を推定する路面勾配推定方法において、
    前記車速及び加速度に基づいて推定した推定値に基づいた前記車両の移動距離又は移動時間に対する勾配変化率を算出し、
    算出したその勾配変化率に基づいて、前記推定値に制限を掛け
    前記推定値に制限を掛けた値に対して、前記車両の姿勢変化の要因に関する数値に基づいて変更された時定数を有するローパスフィルタでフィルタ処理を施すことを特徴とする路面勾配推定方法。
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