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JP6745189B2 - 合成樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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JP6745189B2 - 合成樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、合成樹脂成形体の製造方法に関する。
インストルメントパネル、ドアトリム、座席、天井などの自動車内装部品、外装部品、トリム、座席、天井などの鉄道車輌内装部品、航空機内装部品、建具、家具、キッチン扉、収納扉等の建装用内外装部材などの用途に、表面に装飾を施した樹脂成形体が用いられている。
表面に意匠を施した樹脂成形体を製造する方法としては、樹脂を成形する際に、内面に凹凸による意匠を施した金型を用い、得られた樹脂成形体の表面に透明な塗料を塗布する方法、意匠形成用の表皮材を金型内に配置するか、或いは、被成形体である樹脂基材を表皮材で被覆した後、加熱及び加圧して成形する方法などが挙げられる。
従来の加熱成形法による車両部品等の作製においては、深み感、立体感を付与する目的で、インナーエンボス加工を行うことがある。インナーエンボス加工は、例えば、透明樹脂シート層と片面に凹凸模様を施した樹脂シート層とを予め積層して表皮材を製造した後、得られた表皮材を樹脂成型体層に積層して成形体を製造する加工方法である。このため、得られた成形体表面の意匠性は表皮材に依存する。また、既述のインナーエンボス加工に用いられる表皮材における透明樹脂シートは、加熱成形性を備える必要があり、用いる材料、物性が限定され、耐傷性に改良の余地がある。
自動車のボディーや外装部品等の屋外用の成形物を製造する方法として、熱可塑性樹脂層、未硬化の紫外線硬化型ハードコート層、及び離型性フィルム層が積層した加飾フィルムを用い、射出成形用の金型の凸型に、加飾フィルムの熱可塑性樹脂層が射出成形樹脂に接するように配置し、凸型と加飾フィルムとの間の間隙に溶融樹脂を圧入して成形体とした後、紫外線を照射してハードコート層を硬化させ、次いで離型性フィルムを剥離することにより表面に加飾フィルム層が形成された成形物の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、樹脂成形体表面に、輝度感と立体感とを有す意匠を形成する方法として、例えば、エンボス加工を行なった熱可塑性樹脂層の凸状部にメタリック調インクを付与し、色柄模様のインク塗布部を形成した熱可塑性ベースシートの片面にメタリック調粒子を含有する接着剤層を介して熱可塑性樹脂層と熱圧着させることで立体感のある意匠が形成された表層材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第4627099号公報 特開平9−201928号公報
特許文献1に記載の方法では、未硬化のハードコート層を有する加飾フィルムを有する樹脂成形体を得た後、紫外線を照射して硬化させることが必要であり、工程が煩雑であり、また、成形体の最表面には、耐傷性の平滑な透明樹脂層が形成されるために、十分な立体感のある意匠を得ることが困難であった。
特許文献2に記載の方法では、意匠性に優れたエンボス加工を行った後、エンボス加工の凸状部のみメタリック調インクを付与する必要があり、製造方法の簡易性の点では、なお改良の余地がある。
本発明の一実施形態の課題は、合成樹脂成形体表面に、立体感を有する外観を形成し得る樹脂成形体用表皮材、及び合成樹脂成形体を提供することである。
本発明の別の実施形態の課題は、立体感を有する外観を有し、耐傷性が良好な合成樹脂成形体の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段は、以下の実施形態を含む
<5> 合成樹脂を含み、表面に凹凸を有する表皮層を形成する工程、前記表皮層の凹凸を有する側とは反対側の面上に、合成樹脂と、メタリック顔料と、メタリック顔料以外の着色剤と、を含む表皮基材層を形成して、樹脂成形体用表皮材を得る工程、樹脂成形基材の表面に、前記樹脂成形体用表皮材を、前記樹脂成形基材と前記表皮基材層とが接するように配置し、加熱成形して予備成形体を得る工程、及び得られた予備成形体に配置された前記樹脂成形体用表皮材の表面に、透明樹脂を付与して透明樹脂層を形成する工程を有し、樹脂成形基材と、表皮基材層と、表皮層と、透明樹脂層と、をこの順に有する合成樹脂成形体を得る合成樹脂成形体の製造方法。
<6> 前記樹脂成形基材と前記表皮基材層との間に接着剤層を形成する工程をさらに有する<5>に記載の合成樹脂成形体の製造方法。
<7> 前記透明樹脂を付与して透明樹脂層を形成する工程が、前記樹脂成形体用表皮材の面上に透明樹脂層形成用組成物を塗布する工程を含む<5>又は<6>に記載の合成樹脂成形体の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、合成樹脂成形体表面に、立体感を有する外観を形成し得る樹脂成形体用表皮材、及び合成樹脂成形体を提供することができる。
本発明の別の実施形態によれば、立体感を有する外観を有し、耐傷性が良好な合成樹脂成形体の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態である合成樹脂成形体の層構成を示す部分概略断面図である。
本明細書において「〜」を用いて記載した数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を表す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
さらに、本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
[樹脂成形体用表皮材]
本開示における樹脂成形体用表皮材(以下、単に「表皮材」と称することがある)は、合成樹脂と、メタリック顔料と、メタリック顔料以外の着色剤と、を含む表皮基材層、及び前記表皮基材層の片方の面上に設けられ、合成樹脂を含み、前記表皮基材層と対向する側と反対側の面に凹凸を有する表皮層を備える。即ち、表皮材は、樹脂成形基材に接する側から順に、表皮基材層と、表皮層とを少なくとも有する積層構造を有する表皮材である。
本開示の樹脂成形体用表皮材は、加熱を伴う合成樹脂成形体の製造、例えば、プレス成形(圧縮成型)、射出成形、真空成形などにより、立体感のある意匠を有する、外観に優れた合成樹脂成形体の製造に好適に用いられる。
本開示の表皮材を樹脂成形基材表面に配置して、加熱成形することで、樹脂成形基材表面に樹脂成形体用表皮材を有する予備成形体が得られる。得られた予備成形体の表面に、さらに透明樹脂層を形成することで、立体感のある意匠と、耐傷性の良好な表面物性を有する、後述する本開示における合成樹脂成形体を得ることができる。
本開示の表皮材を用いることで、従来の表皮材において、当初から最表面に透明樹脂層を有する表皮材を用いた場合における成形性の問題、成形後に透明樹脂層を形成した場合における立体感の低下の問題ななどの発生が抑制され、立体感を有し、耐傷性が良好な合成樹脂成形体を得ることができる。なお、合成樹脂成形体の製造方法については後述する。
以下、樹脂成形体用表皮材の各層について説明する。
〔表皮基材層〕
表皮基材層は、樹脂層の基材となる合成樹脂と、立体感の付与に有用なメタリック顔料と、メタリック顔料以外の着色剤とを含む。
(合成樹脂)
表皮材に含まれる合成樹脂は、カレンダー法、溶融押出し法等の公知の成形方法によりフィルムやシートを成形し得る樹脂であれば特に制限はない。表皮基材層の形成に用い得る合成樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、オレフィン樹脂等が挙げられる。
なかでも、加工容易性、及び得られる表皮材の柔軟性等の観点からは、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、及びポリウレタンからなる群より選択される合成樹脂が好ましく、塩化ビニル樹脂がより好ましい。
表皮基材層に用い得る塩化ビニル樹脂としては、従来、塩化ビニルレザーに使用されている樹脂であれば特に制限なく使用できる。具体的には、平均重合度800〜2000、好ましくは800〜1500程度のポリ塩化ビニルが挙げられる。また、塩化ビニルを主体とする、エチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エステル等との共重合樹脂、塩化ビニル単独重合体樹脂又は塩化ビニルを含む共重合体樹脂と、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリロニトリル、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、部分ケン化ビニルアルコール等から選ばれる少なくとも1種の樹脂との混合樹脂等が挙げられる。
表皮基材層に用い得るアクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に代表されるメタクリル酸又はメタクリル酸エステルの重合体或いは共重合体、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとスチレンの共重合体等が挙げられ、成形性の観点からは、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとスチレンの共重合体及びメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体の混合物等が挙げられる。
表皮基材層に用い得るポリウレタンとしては、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン及びこれらの変性物が挙げられる。なかでも、自動車内装材等、長期耐久性が必要な場合には、ポリカーボネート系ポリウレタン等が好ましく挙げられる。
表皮基材層に用い得るオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等、エチレン、プロピレン、炭素数が4から10のα−オレフィン等から選ばれるオレフィンモノマー由来の構造単位を重合成分として含む樹脂が挙げられる。
表皮基材層には、合成樹脂を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
(メタリック顔料)
表皮基材層は、メタリック顔料を含む。表皮基材層中にメタリック顔料を含む態様としては、メタリック顔料を表皮基材層中に含む態様、及び、メタリック顔料を含まない樹脂層を形成し、前記樹脂層の表皮層と接する側にメタリック顔料含有層を設ける態様が挙げられる。表皮基材層中にメタリック顔料を含む場合、表皮基材層は単層構造であり、メタリック顔料を別層として設ける後者の場合、表皮基材層は、メタリック顔料を含まない樹脂層とメタリック顔料含有層の積層構造を有する。
なかでも、製造の容易性の観点からは、表皮基材層はメタリック顔料を含む単層構造であることが好ましい。
表皮基材層に用い得るメタリック顔料としては、形成された樹脂層に光輝性、光沢等を付与し得る顔料であれば特に制限はない。メタリック顔料としては、例えば、光沢を有する金属顔料、パール顔料、雲母等が挙げられる。
光沢を有する金属顔料としては、アルミニウム顔料、シルバー顔料等が挙げられる。
パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)、酸化チタン被覆ガラスフレーク、酸化チタン被覆タルク等が挙げられる。
なかでも、輝度感が良好で、耐久性がより良好であるという観点からは、本開示におけるメタリック顔料としては、アルミニウム顔料、シルバー顔料などの高輝度金属顔料が好ましい。
表皮基材層には、メタリック顔料を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。
表皮基材層が、合成樹脂とメタリック顔料と他の着色剤を含む表皮基材層形成用組成物により形成される場合には、メタリック顔料の含有量は、表皮基材層形成用組成物の全固形分に対して、0.25質量%以上、30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
メタリック顔料の含有量が0.25質量%以上であることで、表皮基材層の輝度が良好となり、凹凸を有する表皮層の面上に透明樹脂層を形成した後においても、立体感のある意匠性を維持し易い。メタリック顔料の含有量が30質量%以下であることで、均一で十分な強度の表皮基材層を得易くなる。
また、メタリック顔料を含まない樹脂層とメタリック顔料含有層とを有する表皮基材層を形成する場合、メタリック顔料を含まない樹脂層を常法により形成した後、既述のメタリック顔料と被膜形成性を有する樹脂とを含むメタリック顔料含有層形成用組成物を調製して、メタリック顔料を含まない樹脂層の表皮層を形成する側に塗布する方法、或いは、樹脂層に公知のメタリック塗料、メタリックインク等を塗布する方法等の手段をとることができる。
メタリック顔料含有層の形成に用い得る樹脂としては、公知の膜形成性樹脂、例えば、ポリウレタン、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
メタリック顔料含有層の形成に用い得るメタリック塗料、メタリックインクとしては、効果の観点から、シルバーメタリックインクが好ましい。
メタリックインクは市販品を用いることができる。メタリック顔料含有層の形成に用い得る市販のメタリックインクとしては、例えば、大日精化工業(株)、メタリック印刷インキLR輝シリーズ、女神インキ工業(株)、メタリックインキシリーズ、DIC(株)、メタリックインク等が挙げられる。
(メタリック顔料以外の着色剤)
表皮基材層は、既述のメタリック顔料以外の着色剤(以下、他の着色剤と称することがある)を含む。
表皮基材層が、メタリック顔料に加え、メタリック顔料以外の着色剤を含むことで、表皮材に任意の色相を与えることができるため、表皮材の意匠の自由度が向上する。
他の着色剤としては、メタリック顔料に起因する表皮基材層の輝度の低下が抑制され、且つ、表皮基材層が着色された状態にて明確に視認することができるという観点から、可視光を遮断し難い着色剤が好ましい。
表皮基材層が含み得る他の着色剤としては、例えば、染料、微細な粒径の顔料などを挙げることができる。
染料は可視光の透過を阻害し難い色相の染料が好ましく、顔料は、光の反射が生じ難い粒径、例えば、平均一次粒子径が0.7μm以下、より好ましくは0.4μm以下の平均粒子径の顔料が挙げられる。
顔料の平均一次粒子径は、走査型顕微鏡(SEM)、又は透過型顕微鏡(TEM)で観察し、粒子が凝集していない部分で粒子サイズを100個計測し、平均値を算出することによって求めることができる。
本発明の一実施形態である表皮材の効果がより良好に発現され、耐久性がより良好であるという観点からは、他の着色剤としては、メタリック顔料以外の顔料を用いることが好ましい。
他の着色剤の色相は任意であり、目的に応じて適宜選択された好適な色相の着色剤を用いればよい。
本発明に用い得る顔料は、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。
以下に、他の着色剤として使用し得る顔料の例を挙げるが、以下に示す例に制限されない。
有機顔料としては、例えば、以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメント イエロー 11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185,
C.I.ピグメント オレンジ 36,71,
C.I.ピグメント レッド 122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264,
C.I.ピグメント バイオレット 19,23,32,
C.I.ピグメント ブルー 15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.ピグメント ブラウン 25,28,
C.I.ピグメント グリーン 7,36,37,
C.I.ピグメントブラック 1,
無機顔料としては、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック 8)、チタンブラック、チタンホワイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
他の着色剤として顔料を用いる場合には、用いる顔料及び分散媒である合成樹脂に適する公知の分散剤を用いることが好ましい。分散剤を用いることで、表皮基材層において、顔料の分散媒となる合成樹脂中における他の着色剤としての顔料及び既述のメタリック顔料の分散性をより良好にすることができる。例えば、メタリック顔料及び他の着色剤である顔料と分散剤と合成樹脂とを予め混合した混合物を用いて表皮基材層を形成することが顔料の均一分散性の観点から好ましい。
表皮基材層には、他の着色剤を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。
表皮基材層における他の着色剤の含有量は、表皮基材層形成用組成物の全固形分に対して、0質量%を超え、50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
他の着色剤の含有量が0質量%を超えることで、表皮基材層において鮮明な色相が得易くなり、他の着色剤の含有量が50質量%以下であることで、メタリック顔料を含有することによる効果が損なわれ難く、より立体感のある意匠を得ることができる。
表皮基材層は、合成樹脂、メタリック顔料及び他の着色剤に加え、本開示における効果を損なわない限り、目的に応じて公知の添加剤(以下、他の成分と称する)を含有することができる。
表皮基材層が含むことができる他の成分としては、可塑剤、滑剤、製膜助剤、発泡剤等が挙げられる。
表皮基材層は、合成樹脂、メタリック顔料、及びメタリック顔料以外の着色剤、さらに、所望により含有させる公知の添加剤を含む表皮基材層形成用組成物を調製し、得られた表皮基材層形成用組成物を、カレンダー法、キャスティング法等の公知の成形方法によりシート状に成形することで形成することができる。
既述のように、表皮基材層が、メタリックインクを含まない樹脂層及びメタリック顔料含有層を有する場合には、メタリック顔料含有層を既述の方法でシート状に形成した後、形成したメタリック顔料含有層の面上にメタリックインクを含まない樹脂層を公知の塗布法を適用して形成することができる。
表皮基材層の膜厚は、特に制限はなく、表皮基材層が単層である場合には、例えば、50μm〜300μmの範囲とすることが好ましく、100μm〜200μmの範囲とすることがより好ましく、100μm〜150μmの範囲であることがさらに好ましい。厚みが上記範囲であれば、表皮材を用いて合成樹脂成形体を形成する際に、メタリック顔料及び他の着色剤を含んだ表皮基材層に起因する立体感がより明確になり、意匠性がより良好となる。
表皮基材層が、メタリック顔料を含まない樹脂層及びメタリック顔料含有層を有する場合において、メタリック顔料を含まない樹脂層の厚みは、1μm〜500μmの範囲が好ましく、50μm〜300μmの範囲がより好ましい。
メタリック顔料含有層の厚みは、立体感をより得易いとの観点から、50μm〜300μmの範囲が好ましく、100μm〜150μmの範囲がより好ましい。
〔表皮層〕
表皮材における前記表皮基材層の片方の面上に表皮層を有する。表皮層は、前記表皮基材層の片方の面上に設けられ、合成樹脂を含み、前記表皮基材層とは反対側の面に凹凸を有する。凹凸の形状、配置間隔などは、成形体表面における意匠により適宜選択される。凹凸は、例えば、格子模様、ストライプ等の連続模様であってもよく、ドット柄、迷彩柄などの不連続模様であってもよい。
表皮層に含まれる合成樹脂としては、特に制限はないが、形成された凹凸の保持性、耐傷性が良好であるという観点からは、アクリル樹脂及びフッ素樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。
表皮層がフッ素樹脂及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有する態様については、特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂における水素原子の一部がフッ素原子に置き換わったフッ素原子含有アクリル樹脂を用いる態様、フッ素樹脂とアクリル樹脂との混合物を用いる態様、フッ素樹脂とフッ素原子含有アクリル樹脂との混合物を用いる態様、フッ素樹脂含有層とアクリル樹脂含有層との重層構造を有する態様などが挙げられる。
なかでも、得られた合成樹脂表皮材の光沢、耐傷性、及び耐汚れ性がより良好であるという観点からは、表皮層は、フッ素樹脂とアクリル樹脂とを含むことが好ましい。
(アクリル樹脂)
表皮層に含まれ得るアクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に代表されるメタクリル酸又はメタクリル酸エステルの重合体或いは共重合体、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとスチレンの共重合体等が挙げられ、成形性の観点からは、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとスチレンの共重合体及びメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体の混合物等が挙げられる。
また、フッ素変成されたアクリル樹脂であってもよい。
(フッ素樹脂)
表皮層に含まれ得るフッ素樹脂は、分子内に1以上のフッ素原子を含有する樹脂を指し、例えば、オレフィン樹脂における水素原子がフッ素原子に置き換わった樹脂等が挙げられる。
フッ素樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂等が挙げられる。
表皮層の形成方法には特に制限はなく、公知の層形成方法を適用して形成すればよい。
表皮層の厚みは、10μm〜100μmの範囲であることが好ましく、30μm〜70μmの範囲であることがより好ましい。
表皮材における表皮基材層の厚みは、表皮層よりも厚いことが、得られる意匠の立体感がより良好になるという観点から好ましい。
表皮層は表皮基材層におけるメタリック顔料に起因する外観に反映させるため、透明であることが好ましい。ここで、透明とは可視域の波長の光の透過性が80%以上であることを指し、90%以上であることが好ましい。
表皮層における可視域の波長の光の透過性は、分光光度計を用いて測定した吸光度により確認することができる。
吸収特性及び透過率は、例えば、吸光度計(分光光度計とも称される。島津製作所社製、分光光度計UV−3100)を用いて400〜700nmの波長光の吸収スペクトル又は透過率スペクトルを測定することで求めることができる。
透過率は、吸光度から、以下の式により算出した値である。
透過率=100/(10^(吸光度))
表皮層の表皮基材層とは反対側の表面に凹凸を形成する方法は、公知の凹凸形成方法を任意に適用することができる。例えば、予め凹凸が形成された離型材表面に表皮層形成樹脂を塗布して表皮層表面に離型材の凹凸を転写する方法、表皮層に、凹凸が形成された絞(シボ)ロールを接触させ、加圧、加熱してラミネートエンボスし、絞ロールの凹凸を表皮層に転写する方法などが挙げられる。転写法を適用する際には、凹凸の形成と、接着とを同時に行ってもよい。
絞ロールに予め凹凸を形成し、絞ロールを用いてラミネートエンボスする転写法を適用することにより、表皮層と表皮基材層との貼り合わせと、表皮層へのシボ押し、即ち、凹凸模様の形成を一工程で行うことができる。
表皮層の形成に際して、表皮層と表皮基材層との逐次形成法及び表皮層と表皮基材層との積層体を用いた一工程での形成法の何れにおいても、ラミネートエンボスにおける加熱温度は、100℃〜190℃が好適である。
本開示における表皮材は、樹脂成形体表面の立体感を有する意匠の形成に有用であり、加熱による成形を経ても外観が損なわれず、成形性が良好であることから、加熱加圧を伴う合成樹脂成形体の形成に有用である。
表皮層には、既述の合成樹脂以外にも、目的に応じて公知の添加剤〔他の成分と称することがある)を含有してもよい。
表皮層が含み得る他の成分としては、つや消し剤、可塑剤、滑剤、製膜助剤等が挙げられる。
[合成樹脂成形体]
既述のようにして得た表皮材を樹脂成形基材表面に配置し、成形した後、透明樹脂層を形成することで、立体感を有する概観が形成された樹脂成形体を得ることができる。
本開示における合成樹脂成形体は、樹脂成形基材の面上に、既述の樹脂成形体用表皮材と、透明樹脂層とを有する。
図1は、本発明の一実施形態である合成樹脂成形体の層構成を示す部分概略断面図である。
図1に示す合成樹脂成形体10は、樹脂成形基材12の面上に、既述の樹脂成形体用表皮材14と、透明樹脂層24とを有する。図1では、樹脂成形基材12の面上に、密着性向上を目的として、接着剤層16及びとプライマー層18が設けられ、樹脂成形基材12は、接着剤層16及びプライマー層18を介して、表皮材14における表皮基材層20と密着している。表皮基材層20の樹脂成形基材12とは反対側の面に、凹凸を有する表皮層22を有する。表皮層22の表面には、好ましくは塗工により設けられた透明樹脂層24を有する。
図1において、接着剤層16及びプライマー層18は、得られる合成樹脂成形体10の耐久性向上の観点から備えられる任意の層である。
公知の表皮材では、表皮基材層と表皮層と透明樹脂層とを備えることが一般的であり、透明樹脂層に成形性を持たせるために透明樹脂層の処方の自由度が十分ではないという問題がある。本開示における表皮材は、透明樹脂層を有さないため、熱加工性が良好である。そして、後述するように、本開示における好ましい合成樹脂成形体の製造方法においては、樹脂成形基材と表皮材とを加熱成形して得られる予備成形体の形成後に透明樹脂層を形成するために、例えば、ハードコート層など、熱加工性には劣るが、耐傷性、耐久性等に優れる透明樹脂層等の、目的に応じた任意の組成の透明樹脂層を容易に備えることができる。
〔樹脂成形基材〕
合成樹脂成形体における樹脂成形基材12は、目的とする合成樹脂成形体10に応じた形状、大きさ、重さ等を有する成形基材であり、その表面に沿って表皮材14が配置され、所望により配置される接着剤層16及びプライマー層18を介して表皮材14と樹脂成形基材12とが接着され、成形されて、立体感を有する意匠が形成された合成樹脂成形体10を得る。
樹脂成形基材12の材質、形状、大きさ等は、製造する成形体の用途、目的、デザイン、コスト等を考慮して選択すればよい。
〔透明樹脂層〕
合成樹脂成形体における透明樹脂層は、表皮材の意匠性、立体感を損なわない範囲において形成される。
透明樹脂層の形成に用いられる樹脂は、形成される層の透明性が高く、耐傷性等の必要な物性を与えることができる樹脂であれば特に制限なく使用することができる。なお、樹脂層が透明であるとは、透明樹脂層の形成後に、透明樹脂層を介して、下層である表皮材の表面における凹凸模様が視認できることを意味する。
なかでも、耐傷性が良好なハードコート層を形成することができる紫外線硬化型樹脂組成物が好ましい。
透明樹脂層の形成に好適に用いられる紫外線硬化型樹脂組成物について説明する。紫外線硬化型樹脂組成物は、紫外線照射によって硬化し、耐傷性を有するハードコート層としての透明樹脂層を形成し得る材料から選択することができる。具体的には、例えば、ウレタンアクリレート、アクリルモノマー等の重合性モノマーの少なくとも1種と、ラジカル型光重合開始剤とを含む組成物が挙げられる。
紫外線硬化型樹脂組成物を表皮材の凹凸を有する側の面に付与する方法は特に限定されない。公知の塗布装置を用いることができる。なかでも、コーター法にて表皮材の凹凸を有する面に塗工する方法が好ましい。スプレーコート方などによる付与も可能ではあるが、紫外線硬化型樹脂組成物のロスの発生を抑制し、より効率よく均一に付与し得るという観点からは、コート法が好ましい。コート法により、表皮材の面上に紫外線硬化型樹脂組成物層を形成した後、乾燥することが好ましい。なかでも、層厚みの均一性、表面平滑性などの観点から、ダイレクトリバースコーター法が好ましい。乾燥は、塗工後、風を当てながら乾燥させる方法が好ましい。
透明樹脂層の厚さは、合成樹脂成形体の用途等により適宜決定される。なかでも、紫外線照射によって硬化させた後の透明樹脂層の耐傷性及び平滑性を確保する観点から、硬化後の厚さで例えば5μm〜50μmであることが好ましく、10μm〜30μmであることがより好ましい。
形成された透明樹脂層は、硬化後の硬さで、サファイヤ針30gでキズなしであるか、又は、JIS K−5400(1990年)鉛筆ひっかき試験による鉛筆硬度でH以上である耐傷性を有することが好ましい。
透明樹脂層を形成するための紫外線硬化型樹脂組成物層は、既述のように塗布法で形成してもよいが、未硬化の紫外線硬化型樹脂組成物層を表皮材における凹凸を有する面に密着させた場合に表皮材の凹凸に追従し得る物性を有すれば転写法により付与してもよい。転写法で表皮材の面上に紫外線硬化型樹脂組成物層を付与する場合には、紫外線透過性の仮支持体上に紫外線硬化型樹脂組成物層を形成し、表皮材に密着させた後、仮支持体を介して、又は仮支持体を剥離して、紫外線を照射することで、硬化した透明樹脂層を形成することができる。
紫外線透過性の仮支持体は、紫外線透過性、離型性等に加え、紫外線照射時、仮支持体剥離時の成形品の表面平滑性を確保する観点から鏡面性を有することが好ましい。
また、成形時の偏伸びによるシワなどの発生を防ぐ観点から伸長性を有するものが好ましい。
仮支持体として、具体的には、例えば、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、などが挙げられる。なかでも、低温での成形性の観点から、PEフィルム、PPフィルムが好ましく、低密度ポリエチレン(LDPE)系クリアフィルムが特に好ましい。
仮支持体の厚みは、必要な強度を有すれば特に制限はない。例えば、100μm〜200μmのフィルムが好ましい。
〔合成樹脂成形体が有し得るその他の層〕
図1の部分概略断面図に示すように、本開示における合成樹脂成形体10は、樹脂成形基材12と、前記樹脂成形基材12の面上に配置される、既述の樹脂成形体用表皮材14と、透明樹脂層24に加え、効果を損なわない限り、目的に応じてその他の層を有してもよい。その他の層としては、例えば、接着剤層、プライマー層などが挙げられる。
図1に示す一実施形態では、樹脂成形基材12の面上に接着剤層16を有し、さらに、接着剤層16と表皮材14との接着性向上の目的でプライマー層18が設けられている。図1における接着剤層16及びプライマー層18は、目的に応じて備えられるその他の層である。
(接着剤層)
接着剤層16は、表皮材14を樹脂成形基材12の表面に沿って配置し、成形する前の樹脂成形基材12の表面に接着剤を付与して形成することができる。
接着剤層の形成に用いる接着剤としては特に制限はなく、樹脂成形基材12の種類等により適宜選択される。例えば(1)2液硬化型ポリエステル系接着剤、(2)2液硬化型ウレタン系接着剤、(3)2液硬化型アクリル系粘着剤などが好適に使用される。
接着剤層の形成に使用される接着剤は市販品としても入手可能であり、例えば、オリバインシリーズ〔東洋インキ(株)〕、ウェルダー用接着剤No.3660〔2液硬化型ポリウレタン系接着剤:ノーテープ工業(株)〕、ダイカラック7250NT〔2液硬化型ポリエステル系接着剤:大同化成工業(株)〕などが好適である。
接着剤層16の厚さは、乾燥膜厚で20μm〜50μmの範囲であることが好ましい。
なお、接着剤層16は、図1では、樹脂成形基材12とプライマー層18との間に設けられているが、これに限定されず、本開示における効果を損なわない限り、各層の密着性を向上させる目的で、任意の層間に設けてもよい。
(プライマー層)
本開示における合成樹脂成形体10は、プライマー層18を有していてもよい。プライマー層18は、樹脂成形基材12と表皮材14、或いは、任意の層である既述の接着剤層16と表皮材14との密着性を高めるために必要に応じて設けられる層である。
プライマー層18は、樹脂成形基材12の表面に所望により設ける既述の接着剤層16の形成と同様に、表皮材14と樹脂成形基材12等との密着性を向上させる材料を、表皮材14の表皮基材層20側の面上に塗工してプライマー層18を形成することができる。具体的には、例えば、表皮材14の表皮基材層20側の面上にウレタン系塗料を塗布、乾燥することで形成することができる。
プライマー層18には、既述の隣接する層との密着性を向上させる材料を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。
プライマー層18の厚みには特に限定はない。通常は1μm〜5μmであり、好ましくは2μm〜3μmである。
(合成樹脂成形体について)
本開示における合成樹脂成形体10は、樹脂成形基材12の面上に、既述の如き構成の表皮材14と透明樹脂層24とを備えるため、表皮基材層20と表皮層22とを有する表皮材14及び透明樹脂層24の機能が相俟って、表面が平滑で耐傷性が良好であり、且つ、立体感を有する意匠が表面に形成され外観に優れた合成樹脂成形体10となり、その応用範囲は広い。
[合成樹脂成形体の製造方法]
本開示における合成樹脂成形体は、合成樹脂を含み、表面に凹凸を有する表皮層を形成する工程〔工程(A)〕、前記表皮層の凹凸を有する側とは反対側の面上に、合成樹脂と、メタリック顔料と、メタリック顔料以外の着色剤と、を含む表皮基材層を形成して、樹脂成形体用表皮材を得る工程〔工程(B)〕、樹脂成形基材表面に、前記樹脂成形体用表皮材を、前記樹脂成形基材と前記表皮基材層とが接するように配置し、加熱成形して予備成形体を得る工程〔工程(C)〕、及び得られた予備成形体に配置された前記表皮材の表面に、透明樹脂を付与して透明樹脂層を形成する工程〔工程(D)〕を有し、樹脂成形基材と、表皮基材層と、表皮層と、透明樹脂層と、をこの順に有する合成樹脂成形体を得る合成樹脂成形体の製造方法である。
〔合成樹脂を含み、表面に凹凸を有する表皮層を形成する工程:工程(A)〕
工程(A)では、合成樹脂を含む表皮層を形成する。表皮層の片面には、意匠性を高めるための凹凸模様(以下、絞(シボ)と称することがある)が形成される。
表皮層は、合成樹脂を含む表皮層形成用組成物を製膜することで形成することができる。凹凸は、例えば、既述のように、予め凹凸が形成された離型材に表皮層形成用組成物を付与して、表皮層形成用組成物層を形成し、離型材を剥離することで片方の表面に凹凸を有する表皮層を形成することができる。
また、平滑な離型材に表皮層形成用組成物を塗布して凹凸を有しない表皮層形成用組成物層を形成し、その後、後述の工程(B)を行って、表皮層形成用組成物層の離型材とは反対側の面上に表皮基材層形成用組成物を付与して表皮基材層形成用組成物層を設け、表皮層形成用組成物層と表皮基材層形成用組成物層との積層体を絞ロールにてラミネートエンボスすることで、表皮層と表皮基材層とを密着させ、且つ、表皮層の表皮基材層を有する側とは反対側の面に凹凸を形成することもできる。
表皮層形成用組成物の詳細、好ましい膜厚などは既述の通りである。
〔表皮層の凹凸を有する側とは反対側の面上に、合成樹脂と、メタリック顔料と、メタリック顔料以外の着色剤と、を含む表皮基材層を形成して、樹脂成形体用表皮材を得る工程:工程(B)〕
工程(B)では、表皮層の凹凸を有しない(凹凸を形成しない)側の面上に、合成樹脂と、メタリック顔料と、メタリック顔料以外の着色剤と、を含む表皮基材層形成用組成物を付与して、表皮基材層形成用組成物層を形成し、その後、表皮基材層形成用組成物層を乾燥、硬化させて表皮基材層を形成する。
表皮基材層形成用組成物の詳細、好ましい膜厚などは既述の通りである。
前記工程(A)及び前記工程(B)を実施することにより、本開示における表皮材を得る。表皮材の形成には、以下に示す方法が挙げられる。
例えば、工程(A)と工程(B)とを、独立した工程として別々に行ない、その後、得られた表皮層と表皮基材層とを密着させて表皮材を得ることができる。
また、まず、工程(B)を実施して表皮基材層形成用組成物層を形成し、表皮基材層形成用組成物層の片面に、合成樹脂を含む表皮層形成用組成物層を形成し、得られた積層体を、絞ロールによりラミネートエンボスして、表皮層の表皮基材層と接する面とは反対側の面に凹凸を設け、且つ、表皮層と表皮基材層とを密着させて表皮材を得ることができる。
さらに、絞型が形成された離型材表面に表皮層形成用組成物層を形成し、形成された表皮層形成用組成物層の離型材とは反対の面に、表皮基材層形成用組成物層を形成し、硬化させ、離型材を剥離して、凹凸を有する表皮層と表皮基材層とを備える表皮材を得ることができる。
〔樹脂成形基材表面に、樹脂成形体用表皮材を、樹脂成形基材と表皮基材層とが接するように配置し、加熱成形して予備成形体を得る工程:工程(C)〕
工程(C)では、樹脂成形基材の表面に、工程(A)及び工程(B)により得られた表皮材の、表皮基材層側を接触させ、常法により、加熱成形して、表面に表皮材が固定化され、所望の形状に成形された予備成形体を得る。
樹脂成形基材は、目的とする合成樹脂成形体に応じた形状、大きさ、重さ等を有する成形基材であり、その表面に沿って既述の表皮材が配置され、成形されて、立体感を有する意匠が形成された合成樹脂成形体を得る。
樹脂成形基材12の材質、形状、大きさ等は、製造する成形体の用途、目的、デザイン、コスト等を考慮して選択すればよい。
加熱成形は公知の成形方法を目的に応じて選択すればよい。加熱成形方法としては、例えば、プレス成形(圧縮成型)、射出成形、真空成形、メンブレン成形、TOM成形などが挙げられる。
真空成形、メンブレン成形、TOM成形などの気圧の圧力差を利用した成形方法を行うことで、比較的低温にて、表皮材の密着性が良好な合成樹脂成形体を得ることができる。
TOM(Three dimension Overlay Method)成形は、樹脂等によって予め成形した樹脂成形基材と表皮材とを真空状態の環境下において空気を抜き、加熱、成形、加圧などの工程を通じて成形体を装飾させる方法である。TOM成形によれば、高温での射出工程が不要であり、低温で目的の立体感が良好な意匠を有する剛性樹脂成形体を製造することができる。
予備成形体を得る場合、表皮材は、樹脂成形基材表面に配置してもよく、成形金型内に配置してもよい。
〔得られた予備成形体に配置された表皮材の表面に、透明樹脂を付与して透明樹脂層を形成する工程〔工程(D)〕
工程(C)にて得られた予備成形体は、樹脂成形基材の表面に、メタリック顔料等を含む表皮基材層と最表面に凹凸を有する表皮層とを、樹脂成形基材側からこの順に有する表皮材を有する。工程(D)では、凹凸を有する表皮材の最表面に透明樹脂を付与して透明樹脂層を形成する。
透明樹脂を付与して透明樹脂層を形成する工程が、樹脂成形体用表皮材の面上に透明樹脂層形成用組成物を塗布する工程であることが、より立体感のある意匠を得られるという観点から好ましい。
例えば、透明樹脂層形成用組成物の好ましい一例である紫外線硬化型樹脂組成物を例に挙げて説明する。紫外線硬化型樹脂組成物を、表皮材の凹凸を有する側の面にコーター法により塗布し、表皮材の面上に透明樹脂層形成用組成物層である紫外線硬化型樹脂組成物層を形成した後、乾燥することで、層厚みが均一で、表面が平滑性な層が形成される。コーター法としては、塗膜の均一性の観点から、ダイレクトリバースコーター法が好ましい。
紫外線硬化型樹脂組成物層の乾燥は、風を当てながら非接触で行うことが好ましい。
紫外線硬化型樹脂組成物層に、紫外線照射によりエネルギーを付与して、硬化させることで、耐傷性に優れた透明樹脂層を得ることができる。
紫外線を照射する光源は、透明樹脂層を硬化させる波長域の紫外光を照射することができれば特に限定されず、LED(発光ダイオード)光源、高圧水銀ランプ、ブラックライトなどを採用することができる。
通常は、凹凸を有する表皮材14の表面に透明樹脂層を設けると、表面が平滑になり、表皮材14に設けられた凹凸による立体感の視認性が低下することがある。本発明の一実施形態の合成樹脂成形体10では、凹凸を有する表皮層22の下層にメタリック顔料等を有する表皮基材層20を有する表皮材14を備えることで、立体感のある意匠が損なわれず、且つ、予備成形体の形成後に透明樹脂層24を設けたことによる表面の平滑性、鏡面性、耐傷性等と、立体感を有する意匠性の実現が高いレベルで両立したものと考えている。
〔任意の工程〕
本開示における合成樹脂成形体の製造方法は、工程(A)、工程(B)、工程(C)及び工程(D)に加え、さらに任意の工程を有してもよい。
例えば、樹脂成形基材表面に、接着剤層を形成する工程をさらに有することができる。樹脂成形基材表面に接着剤層を有することで、樹脂成形基材と表皮材との密着性が向上し、耐久性がより良好な合成樹脂成形体を製造することができる。
樹脂成形基材12の表面に接着剤層16を形成する方法は特に限定されず、スプレー、コーター等による塗布法、転写法など公知の方法を採用することができる。
接着剤層の形成方法は、接着剤の種類、樹脂成形基材に含まれる樹脂の種類、得られる成形体の形状等に応じて選択すればよい。
また、接着剤層16と表皮材14における表皮基材層20との間にプライマー層18を設ける工程を有してもよい。
プライマー層は、樹脂成形基材の表皮材を付与する側の表面に、前記接着剤層と同時に、又は、逐次に、樹脂成形基材又は接着剤層と表皮材14との密着性を向上させる材料を付与して形成することができる。具体的には、例えば、表皮材の樹脂成形基材を接着させる側の面に、密着性を向上させる材料であるウレタン系塗料をグラビヤ塗工し、熱風乾燥してプライマー層を形成する方法が挙げられる。
(合成樹脂成形体の製造方法について)
本開示における製造方法によれば、立体感を有する外観を有し、耐傷性が良好な合成樹脂成形体を簡易な工程にて製造することができる。
得られた合成樹脂成形体は、表面の耐擦傷性と立体感を有する意匠性とが求められる種々の製品の製造に適用することができ、例えば、自動車、鉄道車両、航空機の内装材および外装材、建具、家具、キッチン扉、収納扉など種々の分野に好適に使用し得る。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
<実施例1>
〔合成樹脂成形体の製造〕
(表皮材の作製)
塩化ビニル樹脂〔S1001N(商品名)(株)カネカ〕100質量部に、メタリック顔料(6320NS:製品名、東洋アルミニウム(株)製)5質量部及びメタリック顔料以外の着色剤であるカーボンブラック 5質量部を投入し、200℃に加熱しながら混合して表皮基材層形成用組成物を調製し、得られた表皮基材層形成用組成物をカレンダー法により、乾燥後の厚みが150μmになるようにシート状に成形してメタリック顔料を含む表皮基材層を得た。
その後、フッ素樹脂含有層とアクリル樹脂含有層との積層体〔KFCフィルム FT−50Y(商品名)、呉羽化学工業(株):厚み約50μm〕を用いて、アクリル樹脂含有層側を前記で得た表皮基材層に接触させて、絞ロールを用いてラミネートエンボス加工(シート表面温度170℃、速度10m/分)を行い、表面に凹凸模様を形成した表皮層と、表皮基材層との積層体である実施例1の表皮材を得た。
その後、表皮材の表皮基材層側にウレタン系塗料であるレザロイド(登録商標)LV-597SPグロス(商品名:大日精化工業(株)製)をグラビヤ塗工し、熱風乾燥して厚さ3μmのプライマー層を形成した。
(樹脂成形基材の作製)
アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製)100質量部数と加工助剤(メタブレン:三菱レイヨン(株)製)5質量部を用い、カレンダー法にて厚さ300μmのアクリル系フィルムを製膜し、樹脂成形基材とした。
得られた樹脂成形基材表面に、ウレタン系接着剤であるE-295NT(製品名、大日精化工業(株)製)を塗工し、熱風乾燥して厚さ40μmの接着剤層を形成した。
樹脂成形基材の面上に形成された接着剤層と、前記で得た表皮材に形成されたプライマー層とを密着し、TOM成形により、150℃で成形して予備成形体を得た。予備成形体の表面には、表皮材表面の凹凸による立体感を有し、ゴールドメタリックの色相を有する意匠が観察された。
(透明樹脂層の形成)
予備成形体の表皮材側の面上に、ウレタンアクリレート、アクリルモノマー及びラジカル型光重合開始剤を含む紫外線硬化型樹脂組成物(UA-122P:製品名、新中村化学工業(株)社製、溶媒としてメチルイソブチルケトンを含む固形分濃度70質量%の溶液)をダイレクトリバースコーターにて塗工し、100℃で1分間乾燥させ、紫外線硬化型樹脂組成物層を形成した。
メタルハライドランプにより、紫外線硬化型樹脂組成物層に紫外線を照射し(照射条件:80W/cm,搬送速度20m/分)、紫外線硬化型樹脂組成物層を硬化させて、予備成形体表面に透明樹脂層を有する実施例1の合成樹脂成形体を得た。
〔合成樹脂成形体の評価〕
(外観の評価)
実施例1の合成樹脂成形体を目視したところ、表面は平滑で鏡面性であり、表皮材表面の凹凸による立体感を有し、ゴールドメタリックの色相を有する意匠が観察された。
(耐傷性の評価)
実施例1の合成樹脂成形体の表面を、JIS K−5400(1990年) 鉛筆ひっかき試験に準拠して硬度を測定したところ、鉛筆硬度でHであり、十分な耐傷性を有することがわかる。
<比較例1>
表皮基材層形成用組成物を調製する際に、メタリック顔料を添加しなかった以外は実施例1と同様にして比較例1の合成樹脂成形体を得た。
実施例1と同様にして外観を評価したところ、表面が平滑で鏡面性はあるが、表皮材の凹凸は視認できず、立体感のある意匠は得られなかった。
耐傷性を評価したところ、実施例1と同様に、鉛筆硬度でHであり、表面の耐傷性は良好であった。
10 合成樹脂成形体
12 樹脂成形基材
14 樹脂成形体用表皮材(表皮材)
16 接着剤層
18 プライマー層
20 表皮基材層
22 表皮層
24 透明樹脂層

Claims (3)

  1. 合成樹脂を含み、表面に凹凸を有する表皮層を形成する工程、
    前記表皮層の、前記凹凸を有する側とは反対側の面上に、合成樹脂と、メタリック顔料と、メタリック顔料以外の着色剤と、を含む表皮基材層を形成して、樹脂成形体用表皮材を得る工程と、
    樹脂成形基材の表面に、前記樹脂成形体用表皮材を、前記樹脂成形基材と前記表皮基材層とが接するように配置し、加熱成形して予備成形体を得る工程、及び
    得られた予備成形体に配置された前記樹脂成形体用表皮材の表面に、透明樹脂を付与して透明樹脂層を形成する工程を有し、
    樹脂成形基材と、表皮基材層と、表皮層と、透明樹脂層と、をこの順に有する合成樹脂成形体を得る合成樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記樹脂成形基材と前記表皮基材層との間に接着剤層を形成する工程をさらに有する請求項に記載の合成樹脂成形体の製造方法。
  3. 前記透明樹脂を付与して透明樹脂層を形成する工程が、前記樹脂成形体用表皮材の面上に透明樹脂層形成用組成物を塗布する工程を含む請求項又は請求項に記載の合成樹脂成形体の製造方法。
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