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JP6747756B2 - 電力変換システム - Google Patents
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本発明は、交流系統に連系した他励式変換器により生じる高調波を抑制することができる電力変換システムに関する。
従来、交流系統に連系する他励式変換器により発生した高調波が徐々に拡大したあとに持続する事象(高調波不安定現象とも呼ばれる)が知られている。当該事象は、交流系統に特定高調波次数の並列共振点が存在する場合に生じる。
このような高調波不安定現象を回避するために、様々な解決手段が提案されている。例えば、交流系統に調相用コンデンサを備えた調相設備を設け、当該調相設備の投入・開放により並列共振点をずらすことで高調波の発生を抑制することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。他にも、交流系統に同期調相機を連系させることで高調波不安定現象を回避することも提案されている。
しかしながら、交流系統に調相設備を設ける場合は、調相設備の運用に制約が生じうる。例えば、調相設備は無効電力補償のために設けられているが、これを高調波の発生を抑制するために用いると、無効電力補償が行えなくなる。また、交流系統に同期調相機を設ける場合は、同期調相機を稼動させる際に損失が生じ、またそのメンテナンスが必要となる。
特開2001−37083号公報
本発明は、このような事情に鑑み、調相用コンデンサの運用制約を生じることなく、また同期調相機を用いずに、高調波不安定現象を回避することができる電力変換システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための第1の態様は、二つの交流系統間に連系される他励式変換器と、二つの前記交流系統の一方又は両方に連系される自励式変換器と、二つの前記交流系統のそれぞれに接続された交流フィルタ及び調相用コンデンサと、を備え、前記自励式変換器は、前記交流系統に接続される自励式の電力変換器と、前記交流系統の電圧値及び無効電力値に基づいて第1の電流指令値を算出する制御部と、前記交流系統の高調波電圧成分と同位相で振幅が比例する第2の電流指令値を出力するアクティブフィルタとを備え、前記制御部は、前記電力変換器から前記交流系統に出力される電流が、前記第1の電流指令値に前記第2の電流指令値を重畳した値に追従するように前記電力変換器への電圧指令値を算出することを特徴とする電力変換システムにある。
第1の態様では、交流系統に連系した他励式変換器により生じる高調波を抑制し、高調波不安定現象を回避し、安定した運転を可能とすることができる。また、交流系統に接続された調相用コンデンサを高調波の抑制のために適用することがないので、調相用コンデンサの運用に制約を生じさせることがない。さらに、交流系統に同期調相機を要しないので、それを稼動させる損失を回避し、メンテナンスを不要とすることができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する電力変換システムにおいて、前記アクティブフィルタは、前記交流系統の交流電圧から高調波電圧成分を検出するハイパスフィルタ又はバンドパスフィルタを備え、当該高調波電圧成分に所定のゲインを乗じることにより、当該高調波電圧成分と同位相で振幅が比例する前記第2の電流指令値を出力することを特徴とする電力変換システムにある。
第2の態様では、ハイパスフィルタ又はバンドパスフィルタにより高調波電圧を抽出し、当該高調波電圧成分に所定のゲインを乗じることにより、当該高調波電圧成分と同位相で振幅が比例する第2の電流指令値を出力することができる。
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載する電力変換システムにおいて、前記ゲインは、高調波不安定現象が回避されるような値が設定されていることを特徴とする電力変換システムにある。
第3の態様では、上記ゲインを設定することで、高調波不安定現象を回避するための第2の電流指令値を算出することができる。
本発明によれば、調相用コンデンサの運用制約を生じることなく、また同期調相機を用いずに、他励式変換器の高調波不安定現象を回避することができ、電力変換システムの安定的な運転を実現できる。
実施形態1に係る電力変換システムの概略図である。 実施形態1に係る自励式変換器のブロック図である。 電圧Vsys、電流ilcc+iacf、出力電流ivscの関係を示すグラフである。 電圧Vsys、電流ilcc+iacf、出力電流ivscの関係を示すグラフである。
〈実施形態1〉
図1は本実施形態に係る電力変換システムの概略図である。同図に示すように、電力変換システム10は、自励式変換器VSCと、他励式変換器LCCとを備えている。
他励式変換器LCCは、一般的な他励式の電力変換装置であり、二つの交流系統間(交流系統A、交流系統B)に連系している。また、自励式変換器VSCは、交流系統Aに連系している。
交流系統Aには、交流フィルタACF1、調相用コンデンサC1が接続され、交流系統Bには、交流フィルタACF2、調相用コンデンサC2が接続されている。これらの交流フィルタACF1、ACF2及び調相用コンデンサC1、C2は、他励式変換器LCCにより発生する高調波電流を抑制するために用いられる。
また、交流系統Aの交流母線は、電圧源及び短絡リアクタンス(AC Grid)が接続されており、交流系統Bの交流母線には、電圧源及び短絡リアクタンス(AC Grid)が接続されている。電圧源及び短絡リアクタンスにより、交流系統A及び交流系統Bのそれぞれの交流母線における短絡容量が模擬されている。
なお、他励式変換器LCC、自励式変換器VSC、調相用コンデンサC1及び調相用コンデンサC2は、図示しない変圧器を介して交流系統Aの交流母線や交流系統Bの交流母線に連系している。
また、交流系統Aの交流母線の電圧をVsys、交流系統Aの背後電圧をV、交流系統Aの交流母線における短絡リアクタンスをLac、交流フィルタACF1を通過した後の他励式変換器LCCの出力電流をilcc+iacf、自励式変換器VSCからの出力電流をivsc、自励式変換器VSCの接続端から非接続端への電力潮流をPlccとする。
図2を用いて、自励式変換器VSCの詳細な構成について説明する。図2は本実施形態に係る自励式変換器のブロック図である。
本実施形態の自励式変換器VSCは、交流系統Aに接続される自励式の電力変換器20と、電力変換器20を制御する制御部30と、アクティブフィルタ40とを備えている。
電力変換器20は、電圧型の自励式変換器である。電力変換器20は、制御部30から3相交流のそれぞれについて電圧指令値V 、V 、V が与えられ、それらに応じた交流電圧を交流系統Aに出力する。そして、これらの電圧指令値V 、V 、V に基づいた交流電圧によって、交流系統Aに電流ivscが出力される。
制御部30は、無効電力制御(AQR)と直流電圧制御(DCAVR)を行い、電力変換器20から交流系統Aに出力される電流が電流指令値i 、i に追従するように電力変換器20への電圧指令値V 、電圧指令値V を出力する。具体的には、制御部30は、交流系統Aの無効電力を検出する検出器(図示せず)から無効電力値qacを得て、無効電力値qacと無効電力指令値qac の偏差がゼロとなるような制御値を求め、当該制御値に所定のゲインKaqrを乗じることで電流指令値i を求める。
また、制御部30は、交流系統Aの電圧を検出する検出器(図示せず)から電圧値Vdcを得て、電圧値Vdcと電圧指令値Vdc との偏差がゼロとなるような制御値を求め、当該制御値に所定のゲインKdcavrを乗じることで電流指令値i を求める。なお、これらの二つの電流指令値i 、i は、請求項の第1の電流指令値に相当する。
さらに、制御部30は、非干渉電流制御器31(ACR)を備えている。非干渉電流制御器31は、交流系統Aの電流を検出する検出器(図示せず)からd軸の電流値iを得て、電流値iと電流指令値i との偏差がゼロとなるような電圧指令値V を出力する。同様に、非干渉電流制御器31は、交流系統Aの電流を検出する検出器(図示せず)からq軸の電流値iを得て、電流値iと電流指令値i との偏差がゼロとなるような電圧指令値V を出力する。
非干渉電流制御器31により出力された電圧指令値V 、V は、逆dq変換器32により、電圧指令値V 、V 、V に変換され、電力変換器20へ出力される。
アクティブフィルタ40を機能させない場合、自励式変換器VSCは、従来の自励式変換器と同様の動作をする。すなわち、制御部30により、電圧指令値Vdc 、無効電力指令値qac に対応した電流ivscが交流系統Aに出力されるようになっている。
本実施形態のアクティブフィルタ40は、dq変換器41と、ハイパスフィルタ42d、42qと、ゲインKafとから構成されている。
dq変換器41は、交流系統Aの各相の電圧を検出する検出器(図示せず)から電圧値V、V、Vを得て、これらを基本波位相に基づいてdq変換し、電圧値V、Vを出力する。これによりV、V、Vの基本波周波数成分は、V、Vにおいては直流量に変換される。
ハイパスフィルタ42dは、電圧値Vから高調波電圧成分を抽出する。同様にハイパスフィルタ42qは、電圧値Vから高調波電圧成分を抽出する。具体的には、カットオフ周波数を例えば5Hzとしたハイパスフィルタ42d、42qを用いる。
ハイパスフィルタの代わりに、特定の高調波電圧を抽出する、バンドパス(帯域通過)フィルタを用いても良い。例えば基本波成分が50HzであるV、V、Vの第2次高調波電圧成分は、V、Vにおいては50Hzに変換されるため、具体的には、通過帯域を例えば45〜55Hzとしたバンドパスフィルタを用いる。
ハイパスフィルタ42d、42qから出力された高調波電圧成分は、所定のゲインKafが乗じられる。電圧指令値V、Vの高調波電圧成分にゲインKafを乗じた値は、高調波電圧成分と同位相で振幅が比例する請求項の第2の電流指令値に相当する。
制御部30は、電圧指令値Vから出力された高調波電圧成分にゲインKafを乗じた第2の電流指令値を、電流指令値i に重畳する。同様に、制御部30は、電圧指令値Vから出力された高調波電圧成分にゲインKafを乗じた第2の電流指令値を、電流指令値i に重畳する。
ゲインKafの逆数である1/Kafは、抵抗値に対応する。このような制御部30により、自励式変換器VSCは、交流系統Aの基本波周波数に対しては応答せず、高調波の周波数に対しては抵抗として作用する。ゲインKafは、高調波不安定現象が回避されるような値を設定する。具体的には、交流系統Aの並列共振周波数におけるインピーダンスが、他励式変換器の等価インピーダンスを上回る場合に高調波不安定現象が発生するため、これを下回るような値を設定する。例えば、他励式変換器LCCの等価インピーダンスが500Ωの場合には、1/Kafを330Ω、つまりKafを0.003Sと設定する。もしくは実験又は計算機シミュレーションにより、試行錯誤的に高調波不安定現象が回避されるような値を設定しても良い。
このような自励式変換器VSCが交流系統Aに接続されることにより、交流系統Aの並列共振点におけるインピーダンスが低減される。これにより、自励式変換器VSCが交流系統Aに出力する電流ivscは、高調波成分を打ち消すような波形となる。
図1及び図2に示す構成の電力変換システムに、表1に示すパラメータを適用し、瞬時値シミュレーションを実行した。図3及び図4はこのシミュレーション結果より得られた電圧Vsys、電流ilcc+iacf、自励式変換器VSCからの出力電流ivscの関係を示すグラフである。図3は自励式変換器のアクティブフィルタを運転させない場合であり、図4は自励式変換器のアクティブフィルタを運転させた場合のグラフである。横軸は時間であり、縦軸は電圧又は電流である。
図3に示すように、アクティブフィルタ40を含む自励式変換器VSCが運転していないときは、電流ivscはゼロである。このとき、電圧Vsysや電流ilcc+iacfに示すように、他励式変換器LCCから100Hz及び320Hzの高調波電流が流出していることが確認できる。実際の電力変換システムでは、設備への障害を防ぐために他励式変換器LCCの運転が停止される。
一方、アクティブフィルタ40を含む自励式変換器VSCが運転しているときは、自励式変換器VSCは、交流系統Aの基本周波数付近である45〜55Hzに対しては応答せず、その他の周波数に対しては等価的に1/Kaf=330Ωの抵抗として作用する。
したがって、図4に示すように、自励式変換器VSCから出力される電流ivscは高調波電流を打ち消すような波形となっている。これにより、電圧Vsysや電流ilcc+iacfにおける100Hz及び320Hzの高調波電流の影響が大幅に低減される。
以上に説明したように、本実施形態の電力変換システム10によれば、他励式変換器LCCにより生じた高調波を抑制し、高調波不安定現象を回避することができる。また、電力変換システム10では、高調波の抑制のために調相用コンデンサC2を適用することがないので、調相用コンデンサの運用に制約を生じさせることがない。さらに、電力変換システム10では、同期調相機を要しないので、それを稼動させる損失を回避し、メンテナンスを不要とすることができる。
また、図4に示した例では、無効電力指令値qac をゼロとしたので、電流ivscは、アクティブフィルタ40からの指令値に基づいた波形となっているが、このような態様に限定されない。例えば、自励式変換器VSCは、従来の基本波無効電力補償装置と同様の動作をすると共に、さらにアクティブフィルタ40による電流指令値を重畳する態様でもよい。このような態様の自励式変換器VSCを、他励式変換器LCCを用いた既設の電力変換システムに連系させることで、既設の他励式変換器LCCの高調波不安定現象を回避し、安定した運転を可能とできる。
なお、上述した電力変換システム10では、ハイパスフィルタ又はバンドパスフィルタと、ゲインとから構成されたアクティブフィルタ40を用いたが、このような構成に限定されない。アクティブフィルタ40は、交流系統Aの高調波電圧成分と同位相で振幅が比例する第2の電流指令値を出力することが可能な構成であればよい。アクティブフィルタがそのような第2の電流指令値を出力することで、自励式変換器VSCから高調波不安定現象を回避できる電流を交流系統に出力できる。
また、自励式変換器VSCは、一つの交流系統Aに連系していたが、二つの交流系統A、交流系統Bに連系する構成としてもよい。
10…電力変換システム、20…電力変換器、30…制御部、40…アクティブフィルタ、42d、42q…ハイパスフィルタ

Claims (3)

  1. 二つの交流系統間に連系される他励式変換器と、
    二つの前記交流系統の一方又は両方に連系される自励式変換器と
    二つの前記交流系統のそれぞれに接続された交流フィルタ及び調相用コンデンサと、を備え、
    前記自励式変換器は、
    前記交流系統に接続される自励式の電力変換器と、
    前記交流系統の電圧値及び無効電力値に基づいて第1の電流指令値を算出する制御部と、
    前記交流系統の高調波電圧成分と同位相で振幅が比例する第2の電流指令値を出力するアクティブフィルタとを備え、
    前記制御部は、
    前記電力変換器から前記交流系統に出力される電流が、前記第1の電流指令値に前記第2の電流指令値を重畳した値に追従するように前記電力変換器への電圧指令値を算出する
    ことを特徴とする電力変換システム。
  2. 請求項1に記載する電力変換システムにおいて、
    前記アクティブフィルタは、前記交流系統の交流電圧から高調波電圧成分を検出するハイパスフィルタ又はバンドパスフィルタを備え、当該高調波電圧成分に所定のゲインを乗じることにより、当該高調波電圧成分と同位相で振幅が比例する前記第2の電流指令値を出力する
    ことを特徴とする電力変換システム。
  3. 請求項2に記載する電力変換システムにおいて、
    前記ゲインは、高調波不安定現象が回避されるような値が設定されている
    ことを特徴とする電力変換システム。
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