以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る冷凍機油は、250℃以上の5%留出温度及び460℃以下の95%留出温度を有するアルキルベンゼンを基油として含有し、微燃性ハイドロフルオロカーボン冷媒と共に用いられる。本実施形態に係る冷凍機用作動流体組成物は、上記冷凍機油と、微燃性ハイドロフルオロカーボン冷媒とを含有する。
冷凍機油は、アルキルベンゼンを基油として含有する。アルキルベンゼンの5%留出温度は、難燃性を向上させる観点から、好ましくは250℃以上、より好ましくは255℃以上、更に好ましくは260℃以上である。アルキルベンゼンの95%留出温度は、油戻り性を向上させる観点から、好ましくは460℃以下、より好ましくは455℃以下、更に好ましくは450℃以下である。加えて、アルキルベンゼンの95%留出温度を上記範囲とすることにより、耐摩耗性が向上する傾向にある。具体的には、本実施形態に係るアルキルベンゼンは、例えば図1及び2に示すような蒸留性状(留出量と留出温度との関係)を有している。
本発明における5%留出温度及び95%留出温度は、それぞれASTM D7213−05に規定されるガスクロマトグラフィーによる蒸留試験方法に準拠して測定された5%留出温度及び95%留出温度を意味する。
上記のような特性を有するアルキルベンゼンとしては、下記アルキルベンゼン(A)及び/又はアルキルベンゼン(B)を用いることができる。
アルキルベンゼン(A):炭素数1〜19のアルキル基を1〜4個有し、かつそのアルキル基の合計炭素数が9〜19であるアルキルベンゼン(好ましくは、炭素数1〜15のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が9〜15であるアルキルベンゼン)
アルキルベンゼン(B):炭素数1〜40のアルキル基を1〜4個有し、かつそのアルキル基の合計炭素数が20〜40であるアルキルベンゼン(好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が20〜30であるアルキルベンゼン)
アルキルベンゼン(A)が有する炭素数1〜19のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(すべての異性体を含む、以下同様)、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基が挙げられる。これらのアルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であってもよく、安定性、粘度特性等の点から分枝状であることが好ましい。特に入手可能性の点から、プロピレン、ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基がより好ましい。
アルキルベンゼン(A)中のアルキル基の個数は、1〜4個であり、安定性、入手可能性の点から、好ましくは1個又は2個(すなわちモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、又はこれらの混合物)である。
アルキルベンゼン(A)は、単一構造のアルキルベンゼンのみを含有していてもよく、炭素数1〜19のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が9〜19であるという条件を満たすアルキルベンゼンであれば、異なる構造を有するアルキルベンゼンの混合物を含有していてもよい。
アルキルベンゼン(B)が有する炭素数1〜40のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(すべての異性体を含む、以下同様)、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、ヘキサトリアコンチル基、ヘプタトリアコンチル基、オクタトリアコンチル基、ノナトリアコンチル基、テトラコンチル基が挙げられる。これらのアルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であってもよく、安定性、粘度特性等の点から分枝状であることが好ましい。特に入手可能性の点から、プロピレン、ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基がより好ましい。
アルキルベンゼン(B)中のアルキル基の個数は、1〜4個であり、安定性、入手可能性の点から、好ましくは1個又は2個(すなわちモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、又はこれらの混合物)である。
アルキルベンゼン(B)は、単一構造のアルキルベンゼンのみを含有していてもよく、炭素数1〜40のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が20〜40であるという条件を満たすアルキルベンゼンであれば、異なる構造を有するアルキルベンゼンの混合物を含有していてもよい。
アルキルベンゼンの40℃における動粘度は、潤滑性の向上の観点から、好ましくは3mm2/s以上、より好ましくは4mm2/s以上、更に好ましくは5mm2/s以上である。アルキルベンゼンの40℃における動粘度は、油戻り性の向上の観点から、好ましくは100mm2/s以下、より好ましくは80mm2/s以下、更に好ましくは70mm2/s以下である。本発明における動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定された動粘度を意味する。
アルキルベンゼンの引火点は、難燃性を向上させる観点から、150℃以上であることが好ましく、155℃以上であることがより好ましく、160℃以上であることが更に好ましい。本発明における引火点は、JIS K2265−4に準拠して測定された引火点を意味する。
アルキルベンゼンの自然発火点は、難燃性を向上させる観点から、340℃以上であることが好ましく、345℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることが更に好ましい。本発明における自然発火点は、ASTM E 659−1978に準拠した方法で測定された自然発火点を意味する。
アルキルベンゼンの製造方法としては、限定されるものでないが、以下の製造方法が例示される。
例えば円筒形の固定床連続流通形式の反応器にアルキル化触媒を充填し、芳香族化合物及びアルキル化剤を原料供給ラインから反応器へ連続的に供給し、芳香族化合物とアルキル化剤を反応させる。反応器においては、例えば、反応温度を180〜240℃、反応圧力を0.6〜1.1MPa、反応器入口のアルキル化剤/芳香族化合物(モル比)を1.0とし、液流速をLHSV=1.4〜1.8とする。続いて、得られる反応混合物を移送ラインより連続的に蒸留塔に送る。蒸留塔においては、例えば、理論段数を70〜90段とし、圧力を140〜160mmHg、塔頂温度を180〜200℃、塔底温度を230〜270℃とする。蒸留塔における各条件をこのように設定することで、本実施形態に係るアルキルベンゼンが製造される。
上記の芳香族化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、及びこれらの混合物等が用いられる。上記のアルキル化剤としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン等の低級モノオレフィン、好ましくはプロピレンの重合によって得られる炭素数6〜40の直鎖状又は分枝状のオレフィン;ワックス、重質油、石油留分、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱分解によって得られる炭素数6〜40の直鎖状又は分枝状のオレフィン;灯油、軽油等の石油留分からn−パラフィンを分離し、これを触媒によりオレフィン化することによって得られる炭素数6〜40の直鎖状オレフィン;及びこれらの混合物等が用いられる。上記のアルキル化触媒としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のフリーデルクラフツ型触媒;硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸、活性白土等の酸性触媒;等の公知の触媒が用いられる。
アルキルベンゼンの含有量は、冷凍機油全量基準で、50質量%以上とすることができ、70質量%以上とすることができ、80質量%以上とすることができ、90質量%以上とすることができる。
冷凍機油は、アルキルベンゼンからなる基油を含有していてもよく、アルキルベンゼンに加えて他の基油を更に含有していてもよい。他の基油としては、鉱油、オレフィン重合体等の炭化水素油、エステル(モノエステル、構成脂肪酸として直鎖脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を含むポリオールエステル等)、ポリグリコール、ポリビニルエーテル、ケトン、ポリフェニルエーテル、シリコーン、ポリシロキサン、パーフルオロエーテルなどの含酸素油が例示される。
冷凍機油は、基油に加えて添加剤を更に含有することができる。
添加剤としては、例えばエポキシ化合物が挙げられる。エポキシ化合物としては、例えばグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、オキシラン化合物、アルキルオキシラン化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化脂肪酸モノエステル、エポキシ化植物油が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば下記一般式(1)で表されるアリールグリシジルエーテル型エポキシ化合物又はアルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物を用いることができる。
[式(1)中、R
1はアリール基又は炭素数5〜18のアルキル基を示す。]
式(1)で表されるグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、n−ブチルフェニルグリシジルエーテル、i−ブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペンチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキシルフェニルグリシジルエーテル、ヘプチルフェニルグリシジルエーテル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルが好ましい。
R1で表されるアルキル基の炭素数が5以上であると、エポキシ化合物の安定性が確保され、水分、脂肪酸、酸化劣化物と反応する前に分解したり、エポキシ化合物同士が重合する自己重合を起こしたりするのを抑制でき、目的の機能が得られやすくなる。一方、R1で表されるアルキル基の炭素数が18以下であると、冷媒との溶解性が良好に保たれ、冷凍装置内で析出して冷却不良などの不具合を生じにくくすることができる。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物として、式(1)で表されるエポキシ化合物以外に、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロルプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルなどを用いることもできる。
グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、例えば下記一般式(2)で表されるものを用いることができる。
[式(2)中、R
2はアリール基、炭素数5〜18のアルキル基、又はアルケニル基を示す。]
式(2)で表されるグリシジルエステル型エポキシ化合物としては、グリシジルベンゾエート、グリシジルネオデカノエート、グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが好ましい。
R2で表されるアルキル基の炭素数が5以上であると、エポキシ化合物の安定性が確保され、水分、脂肪酸、酸化劣化物と反応する前に分解したり、エポキシ化合物同士が重合する自己重合を起こしたりするのを抑制でき、目的の機能が得られやすくなる。一方、R2で表されるアルキル基又はアルケニル基の炭素数が18以下であると、冷媒との溶解性が良好に保たれ、冷凍機内で析出して冷却不良などの不具合を生じにくくすることができる。
脂環式エポキシ化合物とは、下記一般式(3)で表される、エポキシ基を構成する炭素原子が直接脂環式環を構成している部分構造を有する化合物である。
脂環式エポキシ化合物としては、例えば、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−2,3−エポキシノルボルナン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、4−(1’−メチルエポキシエチル)−1,2−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン、4−エポキシエチル−1,2−エポキシシクロヘキサンが好ましい。
アリルオキシラン化合物としては、1,2−エポキシスチレン、アルキル−1,2−エポキシスチレンなどが例示できる。
アルキルオキシラン化合物としては、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,1,2−エポキシオクタデカン、2−エポキシノナデカン、1,2−エポキシイコサンなどが例示できる。
エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、エポキシ化された炭素数12〜20の脂肪酸と、炭素数1〜8のアルコール又はフェノールもしくはアルキルフェノールとのエステルなどが例示できる。エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、エポキシステアリン酸のブチル、ヘキシル、ベンジル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オクチル、フェニルおよびブチルフェニルエステルが好ましく用いられる。
エポキシ化植物油としては、大豆油、アマニ油、綿実油等の植物油のエポキシ化合物などが例示できる。
エポキシ化合物の含有量は、冷凍機油の安定性向上の観点から、冷凍機油全量基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上である。エポキシ化合物の含有量は、潤滑性向上の観点から、冷凍機油全量基準で、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
リン化合物(「リン系添加剤」又は「リン系摩耗防止剤」ともいう。)としては、特に制限されないが、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、チオリン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステルなどが挙げられる。これらのリン化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
リン酸エステルとしては、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリウンデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリペンタデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリヘプタデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。
酸性リン酸エステルとしては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、ジオレイルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
チオリン酸エステルとしては、トリブチルホスフォロチオネート、トリペンチルホスフォロチオネート、トリヘキシルホスフォロチオネート、トリヘプチルホスフォロチオネート、トリオクチルホスフォロチオネート、トリノニルホスフォロチオネート、トリデシルホスフォロチオネート、トリウンデシルホスフォロチオネート、トリドデシルホスフォロチオネート、トリトリデシルホスフォロチオネート、トリテトラデシルホスフォロチオネート、トリペンタデシルホスフォロチオネート、トリヘキサデシルホスフォロチオネート、トリヘプタデシルホスフォロチオネート、トリオクタデシルホスフォロチオネート、トリオレイルホスフォロチオネート、トリフェニルホスフォロチオネート、トリクレジルホスフォロチオネート、トリキシレニルホスフォロチオネート、クレジルジフェニルホスフォロチオネート、キシレニルジフェニルホスフォロチオネートなどが挙げられる。
酸性リン酸エステルのアミン塩としては、上記の酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミンなどのアミンとの塩が挙げられる。
塩素化リン酸エステルとしては、トリス・ジクロロプロピルホスフェート、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・クロロフェニルホスフェート、ポリオキシアルキレン・ビス[ジ(クロロアルキル)]ホスフェートなどが挙げられる。亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイトなどが挙げられる。
リン化合物の含有量は、潤滑性向上の観点から、冷凍機油全量基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上である。リン化合物の含有量は、冷凍機油の安定性向上の観点から、冷凍機油全量基準で、好ましくは2.4質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下である。
冷凍機油は、エポキシ化合物及びリン化合物以外の添加剤を含有することもできる。かかる添加剤としては、例えば2,6−ジ−tert.−ブチル−p−クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール系の酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系の酸化防止剤、塩素化パラフィン、硫黄化合物等の極圧剤、脂肪酸等の油性剤、シリコーン系等の消泡剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤などが挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの添加剤の含有量は特に制限されないが、冷凍機油全量基準で、例えば10質量%以下とすることができ、5質量%以下とすることができる。
冷凍機油の40℃における動粘度は、潤滑性向上の観点から、好ましくは2mm2/s以上、より好ましくは2.3mm2/s以上、更に好ましくは3mm2/s以上である。冷凍機油の40℃における動粘度は、油戻り性向上の観点から、好ましくは500mm2/s以下、より好ましくは300mm2/s以下、更に好ましくは200mm2/s以下である。冷凍機油の100℃における動粘度は、冷凍機油の安定性向上の観点から、好ましくは1mm2/s以上、より好ましくは2mm2/s以上である。冷凍機油の100℃における動粘度は、油戻り性向上の観点から、好ましくは100mm2/s以下、より好ましくは50mm2/s以下である。
冷凍機油の体積抵抗率は、1.0×1012Ω・cm以上とすることができ、1.0×1013Ω・cm以上とすることができ、1.0×1014Ω・cm以上とすることができる。特に、密閉型の冷凍機に冷凍機油を用いる場合には、冷凍機油の電気絶縁性が高いと好ましい。本発明における体積抵抗率は、JIS C2101:1999に準拠して測定された25℃での体積抵抗率を意味する。
冷凍機油の水分含有量は、冷凍機油全量基準で、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、最も好ましくは30ppm以下とすることができる。特に、密閉型の冷凍機に冷凍機油を用いる場合には、冷凍機油の熱・化学的安定性や電気絶縁性への影響の観点から、水分含有量が少ないことが好ましい。
冷凍機油の酸価は、冷凍機又は配管に用いられている金属への腐食を防止する観点から、好ましくは0.1mgKOH/g以下、より好ましくは0.05mgKOH/g以下とすることができる。本発明における酸価は、JIS K2501:2003に準拠して測定された酸価を意味する。
冷凍機油の灰分は、冷凍機油の熱・化学的安定性を高め、スラッジ等の発生を抑制する観点から、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下とすることができる。本発明における灰分とは、JIS K2272:1998に準拠して測定された灰分を意味する。
冷凍機油の流動点は、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下とすることができる。本発明における流動点は、JIS K2268−1987に準拠して測定された流動点を意味する。
本実施形態に係るアルキルベンゼンを基油として含有する組成物は、微燃性ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒と共に用いられる冷凍機油の構成成分として、又は冷凍機油と微燃性ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒とを含有する冷凍機用作動流体組成物の構成成分として好適に用いられる。
本実施形態に係るアルキルベンゼンは、微燃性ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒と共に用いられる冷凍機油、又は冷凍機油と微燃性ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒とを含有する冷凍機用作動流体組成物の製造に好適に用いられる。
本実施形態の冷凍機油は、微燃性ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒とともに用いられるものであり、本実施形態の冷凍機用作動流体組成物は微燃性ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒を含有するものである。ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒には、飽和フッ化炭化水素冷媒(ハイドロフルオロアルカン冷媒ともいう)および不飽和フッ化炭化水素冷媒(ハイドロフルオロアルケン冷媒、ハイドロフルオロオレフィン冷媒、またはHFO冷媒ともいう。)が包含される。本発明における微燃性冷媒とは、ASHRAE(The American Society of Heating, Refrigerating and Air−conditioning Engineers)34の燃焼性区分におけるA2L区分に含まれる冷媒を意味する。
微燃性ハイドロフルオロカーボン冷媒としては、例えば、ジフルオロメタン(HFC−32)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFC−1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFC−1234yf)が挙げられる。微燃性ハイドロフルオロカーボン冷媒としては、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFC−1234ze)または2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFC−1234yf)が好ましい。
本実施形態の冷凍機油とともに用いられる冷媒は、微燃性ハイドロフルオロカーボン冷媒と他の冷媒との混合冷媒であってもよい。他の冷媒としては、微燃性ハイドロフルオロカーボン冷媒以外のハイドロフルオロカーボン冷媒、パーフルオロエーテル類等の含フッ素エーテル系冷媒、ビス(トリフルオロメチル)サルファイド冷媒、3フッ化ヨウ化メタン冷媒、ジメチルエーテル、二酸化炭素、アンモニアおよび炭化水素等の自然系冷媒が挙げられる。他の冷媒としては、酸素原子を有さない化合物からなる冷媒が好ましく用いられる。
微燃性ハイドロフルオロカーボン冷媒以外のハイドロフルオロカーボン冷媒としては、例えば、トリフルオロメタン(HFC−23)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、フルオロエタン(HFC−161)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFC−1225ye)などが挙げられる。
炭化水素冷媒としては、炭素数3〜5の炭化水素が好ましく、具体的には例えば、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、シクロプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、メチルシクロプロパン、2−メチルブタン、ノルマルペンタンまたはこれらの2種以上の混合物があげられる。これらの中でも、25℃、1気圧で気体のものが好ましく用いられ、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、2−メチルブタンまたはこれらの混合物が好ましい。
含フッ素エーテル系冷媒としては、具体的には例えば、HFE−134p、HFE−245mc、HFE−236mf、HFE−236me、HFE−338mcf、HFE−365mcf、HFE−245mf、HFE−347mmy、HFE−347mcc、HFE−125、HFE−143m、HFE−134m、HFE−227meなどが挙げられ、これらの冷媒は用途や要求性能に応じて適宜選択される。
冷媒が混合冷媒である場合、微燃性ハイドロフルオロカーボン冷媒とその他の冷媒との混合比(質量比、微燃性ハイドロフルオロカーボン冷媒:その他の冷媒)は、1:99〜99:1とすることができ、5:95〜95:5とすることができる。
冷凍機油は、通常、冷凍空調機器において、微燃性ハイドロフルオロカーボン冷媒単独あるいは混合冷媒と混合された冷凍機用作動流体組成物の形で存在している。冷凍機用作動流体組成物における冷凍機油と冷媒との配合割合は、冷媒100質量部に対して冷凍機油が1〜500質量部であってもよく、2〜400質量部であってもよい。
本実施形態の冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物は、往復動式や回転式の密閉型圧縮機を有するエアコン、冷蔵庫、あるいは開放型又は密閉型のカーエアコンに好ましく用いられる。また、本実施形態の冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物は、除湿機、給湯器、冷凍庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラント等の冷却装置等に好ましく用いられる。さらに、本実施形態の冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物は、遠心式の圧縮機を有するものにも好ましく用いられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各実施例及び比較例では、表1及び2に示された性状を有するアルキルベンゼンを基油として含有する冷凍機油を調製した。アルキルベンゼンの各性状は、以下の規格に準拠して測定した。
40℃における動粘度:JIS K2283:2000
留出温度:ASTM D7213−05
引火点:JIS K2265−4:2007
自然発火点:ASTM E659−1978
各冷凍機油に対し、以下に示す油戻り性試験を実施した。結果を表1及び2に示す。
[油戻り性試験1]
図3に示す装置を用いた。冷媒タンク1にジフルオロメタン(R32)を充填し、長さ1.5m、内径0.0036mの銅配管2のうち恒温槽5に浸漬している部分2aに冷凍機油5.0gを充填した。恒温槽5の温度を−20℃に設定し、冷媒タンク1から油受7へ向けて毎分0.001m3の流量でR32を銅配管2内に流した。この際、R32の流量を流量計3で、冷媒タンク1と恒温槽5との間の銅配管2内の圧力を圧力計4で、恒温槽5と油受7との間の銅配管2内の圧力を圧力計6で、それぞれ監視した。R32を流し始めてから30分後に、油受7に溜まった冷凍機油の質量を測定し、以下の式に従って油戻り率を算出した。油戻り率が20質量%以上である場合を「良好」とし、油戻り率が20質量%未満である場合を「不良」として評価した。
油戻り率(質量%)=(油受に溜まった冷凍機油の質量(g)/5.0(g))×100
[油戻り性試験2]
冷媒を2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)に変更した以外は、「油戻り性試験1」と同様にして油戻り率を算出し、「良好」又は「不良」の評価を行った。
実施例の各冷凍機油に対して、以下に示す耐摩耗性試験を実施した。結果を表3に示す。
[耐摩耗性試験1]
実コンプレッサと類似の冷媒雰囲気にできる、神鋼造機(株)製の高圧雰囲気摩擦試験機(回転ベーン材と固定ディスク材との回転摺動方式)を用いた。試験条件を、冷凍機油の油量:600ml、試験温度:100℃、回転数:450rpm、負荷荷重:60kgf、試験時間:1時間とし、ベーン材としてはSKH−51、ディスク材としてはFC250をそれぞれ用いた。冷媒としてはジフルオロメタン(R32)を使用し、試験容器内圧力を1.1MPaとした。耐摩耗性は、ディスク材の摩耗量が極めて少ないことから、ベーン材の摩耗深さが10μm未満である場合を「良好」、ベーン材の摩耗深さが10μm以上である場合を「不良」として評価した。
[耐摩耗性試験2]
冷媒を2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)に変更した以外は、「耐摩耗性試験1」と同様にしてベーン材の摩耗深さを測定し、「良好」又は「不良」の評価を行った。