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JP6753048B2 - 多層シート、トレイ、及び包装体 - Google Patents
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JP6753048B2 - 多層シート、トレイ、及び包装体 - Google Patents

多層シート、トレイ、及び包装体 Download PDF

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Description

本発明は、多層シート、トレイ、及び包装体に関する。
従来から、医薬品、医療品、食品、飲料等の包装材としては、紙、合成樹脂シートあるいはフィルム、蒸着フィルム、合成樹脂フィルムとのラミネート物、アルミ包装等が使用されている。上記のような用途で使用する際には、内容物保護性とりわけ、水蒸気や酸素に対するバリア性が必要な特性となっており、内容物を長期的に保護するには高度なバリア性が求められている。
上記のような水蒸気バリア性及び酸素バリア性の両方を満たすものとしては、蒸着フィルムやアルミ包装等が挙げられる。しかしながら、これらはパウチ形状等の特定の包装体として使用することは可能であるが、成形機等で任意の形状に成形することが難しく、使用用途が限られていた。
一方、包装容器の形態としては、底材として合成樹脂製のシートを用いて容器に成形した後、蓋材としてフィルム及びアルミ箔をヒートシールした包装形態がよく用いられている。底材である合成樹脂製のシートとしては、成形性、生産性、耐薬品性、水蒸気バリア性に優れたポリオレフィン系の樹脂が特に用いられている。
しかしながら、ポリオレフィン系の樹脂は、水蒸気バリア性に優れるが、酸素バリア性に劣る。そのため、内容物が酸化、劣化、腐敗、又は錆の発生等、種々の問題が生じる場合があった。
上記問題を解決するため、例えば、引用文献1には、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロン等の酸素バリア性に優れる樹脂を含有する層と、ポリオレフィン系等の水蒸気バリア性に優れる樹脂を含有する層とを備える樹脂積層体が開示されている。
特公平6−15227号公報
しかしながら、特許文献1に開示された樹脂積層体では、水蒸気バリア性、酸素バリア性、シール性が十分でなく、さらに成形性が劣るといった問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、水蒸気バリア性、酸素バリア性、シール性に優れ、かつ、成形性に優れる多層シート、並びに、これを用いたトレイ、及び包装体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、
水蒸気バリア層と、酸素バリア層と、表面層と、を有し、両側の最表層に前記表面層が積層された多層シートであって、
40℃、90%RHでの水蒸気透過量が0.3g/m・day以下であり、
25℃、60%RHでの酸素透過量が0.35cc/m・day以下であり、
前記水蒸気バリア層が、樹脂と、無機充填剤と、を含み、
前記水蒸気バリア層の任意断面の走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真において、前記水蒸気バリア層を占める前記樹脂の総面積の割合が、70%以上、99%以下であり、前記表面層が無機充填剤を含まないものであり、
JIS Z 8741に準拠して測定される60°における一方の前記最表層の表面の光沢度が10以上40以下であり、60°における他方の前記最表層の表面の光沢度が70以上98以下である多層シートである。
また、請求項2に係る発明は、
前記多層シートの比重が、0.92g/cm以上、1.5g/cm以下である、請求項1に記載の多層シートである。
また、請求項3に係る発明は、
前記無機充填剤の形状が、アスペクト比5以上、200以下の板状又は鱗片状であり、
前記無機充填剤の長軸方向が、前記水蒸気バリア層の平面方向に配向している、請求項1又は2に記載の多層シートである。
また、請求項4に係る発明は、
前記多層シートの灰分が、1.5質量%以上、40質量%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多層シートである。
また、請求項5に係る発明は、
前記無機充填剤が、層状ケイ酸塩類、酸化チタン、及び炭酸カルシウムのうち少なくとも1つを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の多層シートである。
また、請求項6に係る発明は、
前記層状ケイ酸塩類が、タルク、マイカ、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト、及びヘクトライトのうち少なくとも1つを含む、請求項5に記載の多層シートである。
また、請求項7に係る発明は、
前記水蒸気バリア層が、当該水蒸気バリア層の質量に対して、10質量%以上、40質量%以下の前記無機充填剤を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の多層シートである。
また、請求項8に係る発明は、
前記水蒸気バリア層の40℃、90%RHでの水蒸気透過量が0.8g/m・day以下である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の多層シートである。
また、請求項9に係る発明は、
前記水蒸気バリア層の総厚が、前記多層シートの厚さに対して、37.5%以上、90%以下である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の多層シートである。
また、請求項10に係る発明は、
前記水蒸気バリア層が、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレンのうち少なくとも1つを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の多層シートである。
また、請求項11に係る発明は、
前記多層シートの厚さが、500μm以上、1500μm以下である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の多層シートである。
また、請求項12に係る発明は、
請求項1に記載の多層シートを2次成形することにより得られるトレイである。
また、請求項13に係る発明は、
請求項12に記載のトレイと、蓋材と、を備える包装体である。
本発明の多層シートは、40℃、90%RHでの水蒸気透過量が0.3g/m・day以下であり、25℃、60%RHでの酸素透過量が0.35cc/m・day以下であり、水蒸気バリア層が、樹脂と、無機充填剤と、を含み、水蒸気バリア層の任意断面の走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真において、水蒸気バリア層を占める樹脂の総面積の割合が、70%以上、99%以下であるため、水蒸気バリア性、酸素バリア性、シール性に優れ、かつ、成形性に優れる。
また、本発明のトレイは、上記多層シートを2次成形することにより得られるため、水蒸気バリア性、酸素バリア性、シール性に優れる。
また、本発明の包装体は、上記トレイと、蓋材とを備えるため、水蒸気バリア性、酸素バリア性、シール性に優れる。
本発明を適用した一実施形態である多層シートの構成を示す断面模式図である。 本発明を適用した一実施形態である包装体の構成を示す断面模式図である。 実施例1で作製した多層シートの水蒸気バリア層の任意の断面を示すSEM画像である。
以下、本発明を適用した一実施形態である多層シート、この多層シートを2次成形することにより得られるトレイ、及び、このトレイを備える包装体について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<多層シート>
先ず、本発明を適用した一実施形態である多層シートの構成について説明する。図1は、本発明を適用した一実施形態である多層シート1の断面模式図である。図1に示すように、本実施形態の多層シート1は、酸素バリア層2と、接着層3と、水蒸気バリア層4と、内表面層5と、外表面層6と、を備えて概略構成されている。
本実施形態の多層シート1は、医薬品、製剤、輸液製剤、血液製剤、医療機器、化粧品、医薬部外品、食品、飲料、工業部材、電子部品等の包装材として用いることができる。
酸素バリア層2は、酸素及び水蒸気の透過を抑制する樹脂層であり、多層シート1に酸素バリア性及び水蒸気バリア性を付与する。また、多層シート1を包装体に成形した場合には、包装体内への酸素及び水蒸気の透過を抑制することができる。
酸素バリア層2に含まれる樹脂としては、具体的には、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。この中でも、特に、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミドが、水蒸気バリア層4との製膜性の観点から好ましい。酸素バリア層2は、上記樹脂を1種類含むものでもよいし、2種類以上を含むものでもよい。また、酸素バリア層2として酸素吸収材を用いたものでもよい。
酸素バリア層2は、上記樹脂の他に無機充填剤を含むものであってもよい。無機充填剤としては、具体的には、例えば、タルク、マイカ、カオリン、クレー、ベントナイト等の層状ケイ酸塩類、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、ガラスフィラー、ガラス繊維、ガラスビーズ、酸化チタン、酸化アルミニウム、鉄、亜鉛、アルミニウム等が挙げられる。酸素バリア層2に含まれる無機充填剤としては、バリア性を向上させる観点から、アスペクト比の大きな板状及び鱗片状フィラーが好ましく、上記無機充填剤の中でも、タルク、マイカがより好ましい。
また、酸素バリア層2中の無機充填剤の含有率としては、具体的には、例えば、酸素バリア層2全体の質量に対して、10質量%以上、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以上、30質量%以下であることがより好ましい。酸素バリア層2中の無機充填剤の含有率が、酸素バリア層2全体の質量に対して、10質量%以上であることにより、酸素バリア層2の水蒸気バリア性を向上させ、多層シート1全体として水蒸気バリア性を劇的に向上させることができる。また、酸素バリア層2中の無機充填剤の含有率が、酸素バリア層2全体の質量に対して、40質量%以下であることにより、シートの製膜性及び包装体への成形性が悪化するのを防ぐことができる。
酸素バリア層2の厚さとしては、特に限定されないが、具体的には、例えば、12.5μm以上、300μm以下であることが好ましく、25μm以上、200μm以下であることがより好ましい。酸素バリア層2の厚さが12.5μm以上であることにより、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を十分に発現することができる。また、酸素バリア層2の厚さが300μm以下であることにより、容器成形時に成形しやすく、シートとしての伸びも維持することができる。さらに、上記厚さが、25μm以上、200μm以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
酸素バリア層2の厚さの比率としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、多層シート1の総厚に対して、2.5%以上、20%以下であることが好ましく、5%以上、15%以下であることがより好ましい。酸素バリア層2の厚さの比率が、多層シート1の総厚に対して、2.5%以上であることにより、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を十分に発現することができる。また、酸素バリア層2の厚さの比率が、多層シート1の総厚に対して、20%以下であることにより、水蒸気バリア層4の厚さの比率を維持することができ、水蒸気バリア性及び酸素バリア性を十分に発現することができる。さらに、上記比率が、5%以上、15%以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
接着層3は、酸素バリア層2の両面に1層ずつ積層されている。接着層3により、酸素バリア層2と水蒸気バリア層4とを接着することができる。接着層3の材料としては、酸素バリア層2と水蒸気バリア層4とを接着することができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、無水マレイン酸変性オレフィン等の接着性樹脂、酸素バリア層2や水蒸気バリア層4に含まれる樹脂を混合した樹脂等が挙げられる。
水蒸気バリア層4は、接着層3の酸素バリア層2側の反対側の面に1層ずつ積層されている。水蒸気バリア層4は、水蒸気の透過を抑制する樹脂層であり、多層シート1に水蒸気バリア性を付与する。また、多層シート1を包装体に成形した場合には、内容物を保護するとともに、包装体内への水蒸気の透過を抑制することができる。また、その結果、酸素バリア層2の吸湿による酸素バリア性の低下を抑制することができる。さらに、酸素バリア層2を構成する樹脂の分子間水素結合の水蒸気による切断が妨げられ、酸素バリア層2を構成する樹脂の分子間隙を狭い状態で維持できるため、酸素バリア層2が水蒸気バリア性を発現することができる。
水蒸気バリア層4に含まれる樹脂としては、具体的には、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のハロゲン原子を含む樹脂等が挙げられる。この中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレンが、多層シート1への成形性、包装体への成形性、蓋材とのシール性、コストの観点から好ましい。水蒸気バリア層4は、上記樹脂を1種類含むものでもよいし、2種類以上を含むものでもよい。
水蒸気バリア層4は、上記樹脂の他に無機充填剤を含むことが好ましい。無機充填剤の形状としては、具体的には、例えば、アスペクト比が5以上、200以下であることが好ましく、7.5以上、150以下であることがより好ましく、10以上、100以下であることが特に好ましい。また、無機充填剤の長軸方向が、水蒸気バリア層4の平面方向に配向していることが好ましい。無機充填剤の長軸方向が、水蒸気バリア層4の平面方向に配向していることにより、少ない添加量であっても水蒸気バリア性を向上させることができる。また、アスペクト比が5以上であることにより、無機充填剤を配向させた際の水蒸気バリア性向上の効果をより顕著に得ることができる。一方、アスペクト比が200以下であることにより、樹脂中に均一に無機充填剤を分散させることができる。さらに、アスペクト比が、7.5以上、150以下、10以上、100以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
無機充填剤としては、具体的には、例えば、タルク、マイカ、モンモリロナイト、カオリン、クレー、ベントナイト、ヘクトライト等の層状ケイ酸塩類、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、ガラスフィラー、ガラス繊維、ガラスビーズ、酸化チタン、酸化アルミニウム、鉄、亜鉛、アルミニウム等が挙げられる。水蒸気バリア層4は、上記無機充填剤を1種類含むものでもよいし、2種類以上を含むものでもよい。上記無機充填剤の中でも、アスペクト比の大きな板状又は鱗片状の無機充填剤である、タルク、マイカがより好ましい。
また、水蒸気バリア層4中の無機充填剤の含有率としては、具体的には、例えば、水蒸気バリア層4全体の質量に対して、10質量%以上、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以上、30質量%以下であることがより好ましい。水蒸気バリア層4中の無機充填剤の含有率が、水蒸気バリア層4全体の質量に対して、10質量%以上であることにより、水蒸気バリア層4の水蒸気バリア性を向上させ、多層シート1全体として水蒸気バリア性を劇的に向上させることができる。また、水蒸気バリア層4中の無機充填剤の含有率が、水蒸気バリア層4全体の質量に対して、40質量%以下であることにより、多層シート1の製膜性及び包装体への成形性が悪化するのを防ぐことができる。
水蒸気バリア層4の任意断面を、走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、日本電子社製、JSM−7401F)を用いて撮影した写真(以下、「SEM画像」と記載することがある)において、水蒸気バリア層4中の樹脂の総面積の割合が、水蒸気バリア層4の断面の面積の70%以上、99%以下であることが好ましく、75%以上、95%以下であることがより好ましい。樹脂の総面積の割合が70%以上であることにより、シートの製膜性及び包装体への成形性を維持することができる。また、樹脂の総面積の割合が75%以上であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
なお、上記樹脂の総面積の割合は、SEM画像を画像解析ソフト(例えば、アメリカ国立衛生研究所製、Image J)を用いて二値化することにより求めることができる。
水蒸気バリア層4の1層の厚さとしては、特に限定されないが、具体的には、例えば、200μm以上、650μm以下であることが好ましく、300μm以上、500μm以下であることがより好ましい。水蒸気バリア層4の1層の厚さが200μm以上であることにより、水蒸気バリア性を十分に発現することができる。また、水蒸気バリア層4の1層の厚さが650μm以下であることにより、多層シート1を包装体へ成形しやすくすることができる。さらに、上記厚さが、300μm以上、500μm以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
水蒸気バリア層4の2層の総厚の比率としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、多層シート1の総厚に対して、37.5%以上、90%以下であることが好ましく、45%以上、85%以下であることがより好ましい。水蒸気バリア層4の2層の総厚の比率が、多層シート1の総厚に対して、37.5%以上であることにより、シート全体として水蒸気バリア性を十分に発現することができる。また、水蒸気バリア層4の2層の総厚の比率が、多層シート1の総厚に対して、90%以下であることにより、水蒸気バリア性に加え、十分な酸素バリア性を確保することができる。さらに、上記比率が、45%以上、85%以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
水蒸気バリア層4の水蒸気透過量としては、具体的には、例えば、40℃、90%RHの雰囲気下において、0.8g/m・day以下が好ましく、0.75g/m・day以下がより好ましく、0.7g/m・day以下が特に好ましい。水蒸気バリア層4の水蒸気透過量が、40℃、90%RHの雰囲気下において、0.8g/m・day以下であることにより、酸素バリア層2への水蒸気透過量が減少し、酸素バリア層2の吸湿による酸素バリア性の低下が抑制され、さらに酸素バリア層2が水蒸気バリア性を十分に発現することができる。さらに、上記水蒸気透過量が、0.75g/m・day以下、0.7g/m・day以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
なお、水蒸気バリア層4の水蒸気透過量の測定は、水蒸気透過率測定装置(例えば、MOCON社製、「PERMATRAN‐W MODEL 3/33」等)を用いて、JIS K 7129B法に記載の方法に準拠して行うことができる。
内表面層5は、水蒸気バリア層4の接着層3側の反対側の面の一方に積層されている。内表面層5は、多層シート1の一方の最表層である。内表面層5は、多層シート1にシール性を付与する。また、多層シート1をトレイに成形した場合には、トレイと蓋材とのシール強度のばらつきを抑えると同時に、シール性を向上させることができる。
内表面層5に含まれる樹脂としては、水蒸気バリア層4及び蓋材に接着することができる樹脂であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系の樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ハロゲン系樹脂等が挙げられる。内表面層5は、上記樹脂を1種類含むものでもよいし、2種類以上を含むものでもよい。上記樹脂を選択することで、多層シート1を成形して得たトレイと蓋材とのシール強度を十分なものとすることができる。
また、内表面層5は、無機充填剤を含有しないことが好ましい。すなわち、内表面層5は、樹脂のみからなる層であることが好ましい。
ところで、水蒸気バリア層4は、上述したように無機充填剤を含むことが好ましい。しかしながら、無機充填剤を含有する層を最表層とした場合、多層シート1を成形したトレイと蓋材とのシール強度のばらつきが大きくなり、十分なシール性を得ることができない。一方、無機充填剤を含まない内表面層5を最表層とすることで、シール強度のばらつきを抑え、シール性を向上させることができる。
さらに、内表面層5が無機充填剤を含まないことにより、多層シート1の製造時に多層シート1がダイリップと接着した際に、ダイリップへ無機充填剤等が付着することにより生産性が低下するのを防止することができる。
外表面層6は、水蒸気バリア層4の接着層3側の反対側の面の他方に積層されている。外表面層6は、多層シート1の他方の最表層である。外表面層6は、多層シート1に光沢性を付与する。また、多層シート1をトレイに成形した場合には、トレイのつやを向上し、見た目を改善することができる。
外表面層6に含まれる樹脂としては、内表面層5と同様のものを用いることができる。また、外表面層6は、内表面層5と同様に、無機充填剤を含有しないことが好ましい。
ところで、水蒸気バリア層4を最表層とした場合、水蒸気バリア層4が無機充填剤を含むことにより、多層シート1の光沢性が失われるおそれがあった。しかしながら、無機充填剤を含まない外表面層6を最表層とすることにより、多層シート1の他方の面側の光沢性を十分なものとすることができる。
内表面層5及び外表面層6の厚さとしては、特に限定されないが、具体的には、例えば、12.5μm以上、280μm以下であることが好ましく、25μm以上、200μm以下であることがより好ましい。内表面層5及び外表面層6の厚さが12.5μm以上であることにより、シール強度の安定化と光沢性を十分に発現することができる。また、内表面層5及び外表面層6の厚さが280μm以下であることにより、水蒸気バリア性を十分に発現することができる。さらに、上記厚さが、25μm以上、200μm以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
内表面層5及び外表面層6を合せた厚みの比率としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、多層シート1の総厚に対して、2.5%以上、56%以下であることが好ましく、5%以上、40%以下であることがより好ましい。内表面層5及び外表面層6を合せた厚みの比率が、多層シート1の総厚に対して、2.5%以上であることにより、シール強度の安定化と光沢性を十分に発現することができる。また、内表面層5及び外表面層6を合せた厚みの比率が、多層シート1の総厚に対して、56%以下であることにより、十分な水蒸気バリア性を確保することができる。さらに、上記比率が、5%以上、40%以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
本実施形態の多層シート1の総厚としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、500μm以上、1500μm以下であることが好ましく、800μm以上、1350μm以下であることがより好ましい。多層シート1の総厚が500μm以上であることにより、水蒸気バリア性及び酸素バリア性の両方を十分に発現することができる。また、多層シート1の総厚が1500μm以下であることにより、容器形状への成形サイクルを短くすることができる。さらに、上記総厚が、800μm以上、1350μm以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
本実施形態の多層シート1の水蒸気バリア性としては、具体的には、例えば、40℃、90%RHの雰囲気下において、水蒸気透過量が0.3g/m・day以下であることが好ましく、0.25g/m・day以下であることがより好ましく、0.2g/m・day以下であることが特に好ましい。
多層シート1の40℃、90%RHの雰囲気下における水蒸気透過量が、0.3g/m・day以下であることにより、多層シート1を包装体に成形した場合、内容物を外部の水分から十分に保護することが可能となり、水分に弱い内容物を長期的に保存することが可能となる。また、内容物が液体を含む場合には、内容物からの水分の蒸発を防ぐことが可能となり、長期的に内容物の液体濃度を維持することが可能となる。
その結果、従来の包装体では水蒸気バリア性が低く、短期間で廃棄となっていた商品の使用期間を延長することが可能となり、廃棄物の量を減らすことが可能となる。そのため、製品のトータールコストや製品及び包装体の廃棄量を減らすことが可能となる。
さらに、上記水蒸気透過量が、0.25g/m・day以下、0.2g/m・day以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
なお、多層シート1の水蒸気透過量の測定は、水蒸気バリア層4で行った水蒸気透過量の測定と同様の方法により行うことができる。
本実施形態の多層シート1の酸素バリア性としては、具体的には、例えば、25℃、60%RHの雰囲気下において、酸素透過量が0.35cc/m・day以下であることが好ましく、0.3cc/m・day以下であることがより好ましく、0.25cc/m・day以下であることが特に好ましい。
多層シート1の25℃、60%RHの雰囲気下における酸素透過量が、0.35cc/m・day以下であることにより、多層シート1を包装体に成形した場合、内容物を外部の酸素から十分に保護することが可能となり、内容物の酸化、劣化、腐敗、錆等の発生を防ぎ、内容物を長期的に保存することが可能となる。また、酸化防止剤を使用せずに内容物を長期保存することができるため、包装体に酸化防止剤を同封する手間が省けると同時に、酸化防止剤の誤飲を防ぐことが可能となる。
さらに、上記酸素透過量が、0.3cc/m・day以下、0.25cc/m・day以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
なお、多層シート1の酸素透過量の測定は、酸素透過率測定装置(例えば、MOCON社製、「OX−TRAN MODEL 2/21」等)を用いて、JIS K 7126B法に記載の方法に準拠して行うことができる。
本実施形態の多層シート1の比重としては、0.92g/cm以上、1.5g/cm以下であることが好ましく、0.95g/cm以上、1.3g/cm以下であることがより好ましく、1.0g/cm以上、1.2g/cm以下であることが特に好ましい。多層シート1の比重が0.92g/cm以上であることにより、必要レベルのバリア性(水蒸気、酸素)を発現でき、使用する上で十分な剛性を保持できる。一方、多層シート1の比重が1.5g/cm以下であることにより、多層シート1を使用する上で実用上シート自重が重くなく、取り扱いしやすい。また、多層シート1の比重が、0.95g/cm以上、1.3g/cm以下、1.0g/cm以上、1.2g/cm以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
なお、多層シート1の比重の測定は、電子比重計(例えば、アルファ―ミラージュ社製、SD−200L等)を用いて測定することができる。
本実施形態の多層シート1の灰分としては、1.5質量%以上、40質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上、30質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以上、25質量%以下であることが特に好ましい。多層シート1の灰分が1.5質量%以上であることにより、シートへの遮光性やバリア性、剛性などを付与することができる。一方、多層シート1の灰分が40質量%以下であることにより、多層シート1を使用する上でシート自重が重くなく、取り扱いしやすい。また、容器などへの二次成型も行いやすい。また、多層シート1の灰分が、2.5質量%以上、30質量%以下、5.0質量%以上、25質量%以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
なお、多層シート1の灰分の測定は、JIS K 7250−1(A法)に記載の方法に準拠して行うことができる。
本実施形態の多層シート1の内表面層5側の表面の光沢度としては、具体的には、例えば、60°において10以上、40以下であることが好ましく、15以上、35以下であることがより好ましく、18以上、30以下であることが特に好ましい。光沢度が10以上であることにより、多層シート1を2次成形して得たトレイと蓋材とのシール強度のばらつきを抑えることができる。また、光沢度が40以下であることにより、多層シート1,1同士が接着するのを防止し、多層シート1を扱いやすくすることができる。さらに、上記光沢度が、15以上、35以下、18以上、30以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
本実施形態の多層シート1の外表面層6側の表面の光沢度としては、具体的には、例えば、60°において70以上、98以下であることが好ましく、72.5以上、97以下であることがより好ましく、75以上、96以下であることが特に好ましい。光沢度が70以上であることにより、多層シート1を2次成形して得たトレイのつやを向上し、見た目を改善することができる。また、光沢度が98以下であることにより、つやが十分であり見た目を十分に満たすことができる。さらに、上記光沢度が、72.5以上、97以下、75以上、96以下であることにより、上記効果をより顕著に得ることができる。
なお、多層シート1の光沢度の測定は、光沢計(例えば、日本電色工業社製、「PG−1」等)を用いて、JIS Z 8741に記載の方法に準拠して行うことができる。
<多層シートの製造方法>
次に、上述した多層シート1の製造方法について説明する。
本実施形態の多層シート1の製造方法は、特に限定されるものではないが、数台の押出機により、原料となる樹脂等を溶融押出するフィードブロック法やマルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法、及びラミネート法が挙げられる、この中でも、共押出Tダイ法で製膜する方法が各層の厚さ制御に優れる点で特に好ましい。
その後の工程として、各層を形成する単層のシート又はフィルムを適当な接着剤を用いて貼り合せるドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート方法、ウエットラミネート方法、サーマル(熱)ラミネート方法等、及びそれらの方法を組み合わせて用いられる。また、コーティングによる方法で積層してもよい。
また、無機充填剤を添加する際には、二軸混練機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で事前混練したものを使用した方がシート性能及びシート製膜時の無機充填剤の飛散によるコンタミを防ぐことができるため、より好ましい。
<包装体>
次に、上述した多層シート1を用いた包装体について説明する。図2は、本発明を適用した一実施形態である包装体11の断面模式図である。図2に示すように、本実施形態の包装体11は、トレイ12と、蓋材13と、を備えて概略構成されている。
本実施形態の包装体11は、内容物14として、医薬品、製剤、輸液製剤、血液製剤、医療機器、化粧品、医薬部外品、食品、飲料、工業部品、電子部品、電化製品等を包装するのに用いることができる。また、上記内容物14を包装した一次包装体の二次包装容器としても用いることができる。さらに、レトルトや滅菌等が必要な内容物14においても、多層シートが耐熱性を有しているため用いることができる。
トレイ12は、多層シート1を2次成形することにより得られる。具体的には、多層シート1を凹ませることで、収納空間Sと、収納空間Sの周りに端縁部15とを成形する。
多層シート1からトレイ12を2次成形する方法としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、真空成形、圧空成形、圧空真空成形、プラグアシスト圧空成形、プラグアシスト真空成形、プラグアシスト圧空真空成形、プラグ成形、プレス成型等が挙げられる。
蓋材13は、端縁部15においてトレイ12の内表面層5側と接着している。これにより、収納空間Sが密封される。蓋材13の材料としては、トレイ12と接着するものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、アルミ、透明蒸着フィルム等が挙げられる。
本実施形態の包装体11は、収納空間S側から、酸素バリア層2と、水蒸気バリア層4と、外表面層6とが、この順番で積層されていることが好ましい。これにより、酸素バリア層2の吸湿による酸素バリア性の低下を抑制し、包装体11の水蒸気バリア性及び酸素バリア性が最大限に発揮されることで、内容物14の保護期間の長期化が可能となる。
また、本実施形態の包装体11は、収納空間S側から、内表面層5と、第1の水蒸気バリア層4と、酸素バリア層2と、第2の水蒸気バリア層4と、外表面層6とが、この順番で積層されていることが好ましい。すなわち、酸素バリア層2の両面側に水蒸気バリア層4,4が積層されていることが好ましい。これにより、外部からの水蒸気バリア性及び酸素バリア性が十分に発揮されると同時に、収納空間S側からの水分蒸発を防ぐことが可能となる。
以上説明したように、本実施形態の多層シート1によれば、40℃、90%RHでの水蒸気透過量が0.3g/m・day以下であり、25℃、60%RHでの酸素透過量が0.35cc/m・day以下であり、水蒸気バリア層4が、樹脂と、無機充填剤と、を含み、水蒸気バリア層4の任意断面の走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真において、水蒸気バリア層4を占める樹脂の総面積の割合が、70%以上、99%以下であるため、水蒸気バリア性、酸素バリア性、シール性に優れ、かつ、成形性に優れる。
また、本実施形態の多層シート1によれば、比重が0.92g/cm以上、1.5g/cm以下であるため、バリア性、剛性を保持し、実用上シート自重が重くなく、取り扱いしやすい。
また、本実施形態の多層シート1によれば、水蒸気バリア層4に含まれる無機充填剤の形状が、アスペクト比5以上、200以下の板状又は鱗片状であり、無機充填剤の長軸方向が、水蒸気バリア層4の平面方向に配向しているため、少ない添加量であっても水蒸気バリア性を向上させることができる。
また、本実施形態の多層シート1によれば、灰分が1.5質量%以上、40質量%以下であるため、遮光性やバリア性を付与したシートを得ることができ、容器への成型などの二次成型を行いやすい。
また、本実施形態のトレイ12によれば、上記多層シート1を2次成形することにより得られるため、水蒸気バリア性、酸素バリア性、シール性に優れる。
また、本実施形態の包装体11によれば、上記トレイ12と、蓋材13とを備えるため、水蒸気バリア性、酸素バリア性、シール性に優れる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述した多層シート1は、基本的な性能を損なわない範囲で結晶核剤、石油樹脂、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、染料、顔料、難燃剤、消臭剤、可塑剤、分散剤等の添加剤を、多層シート1に含まれる1つ以上の層に添加したものであってもよい。このような層を含むことで、多層シート1及び包装体11の生産性の向上、劣化の防止、及び識別性の付与が可能となる。
また、上述した多層シート1は、外表面層6を備える例について説明したが、この形態に限定されない。例えば、外表面層6を備えないものであってもよい。
また、上述した多層シート1は、接着層3、水蒸気バリア層4を2層ずつ備える例について説明したが、この形態に限定されない。例えば、接着層3、水蒸気バリア層4は、それぞれ1層のみ備えるものであってもよいし、2層以上備えるものであってもよい。
以下、本発明の効果を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<多層シートの作製>
(実施例1)
酸素バリア層に含まれる樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ社製、品番:F101A)を用意した。
また、第1及び第2の接着層に含まれる樹脂として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三菱化学社製、品番:ER313E−1)を用意した。
また、第1及び第2の水蒸気バリア層に含まれる樹脂として、ポリプロピレン(住友化学社製、品番:住友ノーブレンFS2011DG2)を用意した。
また、第1及び第2の水蒸気バリア層に含まれる無機充填剤として、タルク(日本タルク社製、品番:K−1、アスペクト比:12、形状:板状)を用意した。
また、内表面層及び外表面層に含まれる樹脂として、ポリプロピレン(住友化学社製、品番:住友ノーブレンFS2011DG2)を用意した。
次に、内表面層と、第1の水蒸気バリア層と、第1の接着層と、酸素バリア層と、第2の接着層と、第2の水蒸気バリア層と、外表面層とを、この順番で共押出成形して多層シートを作製した。その際、第1及び第2の水蒸気バリア層では、ポリプロピレンが70質量%、タルクが30質量%となるように、混合比を調整した。また、シートを冷却ロールに固定する際にはエンボスタッチロールを使用し、その固定圧力を0.2MPaとした。
なお、多層シートの総厚は1000μmであった。多層シートの総厚に対する、各層の厚さの比率は、内表面層が10%、第1の水蒸気バリア層が32.5%、第1の接着層が2.5%、酸素バリア層が10%、第2の接着層が2.5%、第2の水蒸気バリア層が32.5%、外表面層が10%であった。
また、多層シートの比重を電子比重計(アルファ―ミラージュ社製、SD−200L)により測定したところ、比重は1.07g/cmであった。
(実施例2)
無機充填剤として球状シリカ(株式会社アドマテックス社製、品番:SO−C6、アスペクト比:1、形状:球状)を用いたこと以外は実施例1と同様にして多層シートを作製した。
なお、多層シートの総厚は1000μmであった。多層シートの総厚に対する、各層の厚さの比率は、内表面層が10%、第1の水蒸気バリア層が32.5%、第1の接着層が2.5%、酸素バリア層が10%、第2の接着層が2.5%、第2の水蒸気バリア層が32.5%、外表面層が10%であった。
また、多層シートの比重を実施例1と同様の方法により測定したところ、比重は1.05g/cmであった。
(実施例3)
第1及び第2の水蒸気バリア層では、ポリプロピレンが50質量%、タルクが50質量%となるように、混合比を調整したこと以外は実施例1と同様にして多層シートを作製した。
なお、多層シートの総厚は1000μmであった。多層シートの総厚に対する、各層の厚さの比率は、内表面層が10%、第1の水蒸気バリア層が32.5%、第1の接着層が2.5%、酸素バリア層が10%、第2の接着層が2.5%、第2の水蒸気バリア層が32.5%、外表面層が10%であった。
また、多層シートの比重を実施例1と同様の方法により測定したところ、比重は1.39g/cmであった。
(比較例1)
第1及び第2の水蒸気バリア層では、ポリプロピレンが40質量%、タルクが60質量%となるように、混合比を調整したこと以外は実施例1と同様にして多層シートを作製した。
なお、多層シートの総厚は1000μmであった。多層シートの総厚に対する、各層の厚さの比率は、内表面層が10%、第1の水蒸気バリア層が32.5%、第1の接着層が2.5%、酸素バリア層が10%、第2の接着層が2.5%、第2の水蒸気バリア層が32.5%、外表面層が10%であった。
また、多層シートの比重を実施例1と同様の方法により測定したところ、比重は1.54g/cmであった。
(比較例2)
酸素バリア層に含まれる樹脂、第1及び第2の接着層に含まれる樹脂、第1及び第2の水蒸気バリア層に含まれる樹脂、第1及び第2の水蒸気バリア層に含まれる無機充填剤として、上述した実施例1で用いた樹脂及び無機充填剤と同じものを用意した。
次に、第1の水蒸気バリア層と、第1の接着層と、酸素バリア層と、第2の接着層と、第2の水蒸気バリア層とを、この順番で共押出成形して多層シートを作製した。その際、第1及び第2の水蒸気バリア層では、ポリプロピレンが80質量%、タルクが20質量%となるように、混合比を調整した。また、シートを冷却ロールに固定する際にはエンボスタッチロールを使用し、その固定圧力を0.2MPaとした。
比較例2の多層シートは、内表面層及び外表面層を有していない。
なお、多層シートの総厚は1000μmであった。多層シートの総厚に対する、各層の厚さの比率は、第1の水蒸気バリア層が42.5%、第1の接着層が2.5%、酸素バリア層が10%、第2の接着層が2.5%、第2の水蒸気バリア層が42.5%であった。
また、多層シートの比重を実施例1と同様の方法により測定したところ、比重は1.06g/cmであった。
<水蒸気バリア性の評価>
実施例1〜3、比較例1,2で作製した多層シート、及び水蒸気バリア層(単層)について、水蒸気バリア性の評価を行った。水蒸気バリア性の評価は、40℃、90%RHの雰囲気下における、水蒸気透過量を測定することにより行った。なお、水蒸気透過量の測定は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、「PERMATRAN‐W MODEL 3/33」)を用いて、JIS K 7129B法に記載の方法に準拠して行った。結果を表1に示す。
<酸素バリア性の評価>
実施例1〜3、比較例1,2で作製した多層シートについて、酸素バリア性の評価を行った。酸素バリア性の評価は、25℃、60%RHの雰囲気下における、酸素透過量を測定することにより行った。なお、酸素透過量の測定は、酸素透過率測定装置(例えば、MOCON社製、「OX−TRAN MODEL 2/21」等)を用いて、JIS K 7126B法に記載の方法に準拠して行った。結果を表1に示す。
<SEMによる評価>
実施例1〜3で作製した多層シートについて、水蒸気バリア層の任意断面を、走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子社製、JSM−7401F)を用いて観察した。図3に実施例1で作製した多層シートのSEM画像を示す。図3に示すように、実施例1で作製した多層シートの水蒸気バリア層では、無機充填剤の長軸方向が、水蒸気バリア層の平面方向に配向していることを確認した。
また、SEM画像において、水蒸気バリア層中における樹脂の総面積の割合を評価した。樹脂の総面積の割合は、SEM画像を画像解析ソフト(アメリカ国立衛生研究所製、Image J)を用いて二値化することにより評価した。結果を表1に示す。
<灰分の評価>
実施例1〜3、比較例1,2で作製した多層シートについて、灰分の評価を行った。灰分の評価は、JIS K 7250−1(A法)に記載の方法に準拠して行った。結果を表1に示す。
<光沢度の評価>
実施例1〜3、比較例1,2で作製した多層シートについて、光沢度の評価を行った。光沢度の評価は、多層シートの内表面層及び外表面層に対して、60°における光沢度を測定することにより行った。なお、光沢度の測定は、光沢計(日本電色工業社製、「PG−1」)を用いて、JIS Z 8741に記載の方法に準拠して行った。また、測定は10回行い、各回の平均値及び偏差を求めた。結果を表1に示す。
<シール性の評価>
実施例1〜3、比較例1,2で作製した多層シートと蓋材としてアルミ蓋材とを用いてシール性を評価した。シール性の評価は、熱板下降式のシール機を用い、190℃で0.2MPaの荷重を3秒間加え、多層シートの内表面層側と蓋材とをシールして、シールサンプルを作製した。次いで、得られたシールサンプルを15mm幅の短冊状にカットして試験片を作製した。試験片を、引張・圧縮試験機(エー・アンド・デイ社製)により300mm/minの速度で剥離し、最大荷重を測定した。なお、単位は、N/15mmとした。各試験片について同じ条件で想定を5回行い、各試験片におけるシール強度の最大値と最小値の差(最大値−最小値)から、シール強度のばらつきを評価した。
<成形性および外観の評価>
実施例1〜3、比較例1,2で作製した多層シートを、凹ませてカップ状のトレイに真空成形した際の成形性および外観を評価した。結果を表1に示す。なお、表1の「成形性および外観」の項目について、「○」は形状通りに均一に成形できており、外観が良好であることを示し、「×」は形状が出ていない、又は表面が荒れており、外観が不良であることを示している。
<包装体中の内容物の質量減少量の評価>
実施例1〜3、比較例1,2で作製した多層シートを、凹ませてカップ状のトレイに真空成形した。次に、蒸留水5gを含むポリプロピレン袋(厚さ100μm)をトレイに入れた。次に、トレイの端縁部を介して、トレイとアルミ蓋材とをシールすることで包装体を作製した。
作製した包装体を40℃の環境下で保管し、包装体の質量の減少量を測定した。結果を表1に示す。なお、表1の「内容物(液体)の質量減少量」の項目について、「A」は質量減少量が小さく、蒸留水が1年以上残存したことを示し、「B」は蒸留水が半年以上1年未満残存したことを示し、「C」は蒸留水が3カ月以上半年未満残存したことを示し、「D」は蒸留水が3カ月未満でなくなったことを示す。
表1に示すように、水蒸気バリア層の任意断面のSEM画像において、水蒸気バリア層を占める樹脂の総面積の割合が、70%以上、99%以下である、実施例1〜3の多層シートによれば、水蒸気バリア性、酸素バリア性、シール性に優れ、かつ、成形性に優れていることを確認した。
一方、水蒸気バリア層を占める樹脂の総面積の割合が70%未満である、比較例1の多層シートでは、成形性及び外観に劣ることを確認した。
また、内表面層及び外表面層を有していない、比較例2の多層シートでは、内表面層側の表面の光沢度が、60°において10未満であり、シール強度のばらつき(最大値−最小値)が大きく、シール性に劣ることを確認した。
また、アスペクト比が5以上の無機充填剤を使用した実施例1の多層シートの方が、アスペクト比が5未満の無機充填剤を使用した実施例2の多層シートよりも、無機充填剤の添加率が同じであるにもかかわらず、水蒸気バリア性に優れていることを確認した。
本発明の多層シートは、医薬品、製剤、輸液製剤、血液製剤、医療機器、化粧品、医薬部外品、食品、飲料、工業部材、電子部品等の包装材として利用可能性がある。また、本発明のトレイ及び包装体は、医薬品、製剤、輸液製剤、血液製剤、医療機器、化粧品、医薬部外品、食品、飲料、工業部材、電子部品等を包装するのに利用可能性がある。
1…多層シート
2…酸素バリア層
3…接着層
4…水蒸気バリア層
5…内表面層(一方の表面層)
6…外表面層(他方の表面層)
11…包装体
12…トレイ
13…蓋材
14…内容物
15…端縁部
S…収納空間

Claims (13)

  1. 水蒸気バリア層と、酸素バリア層と、表面層と、を有し、両側の最表層に前記表面層が積層された多層シートであって、
    40℃、90%RHでの水蒸気透過量が0.3g/m・day以下であり、
    25℃、60%RHでの酸素透過量が0.35cc/m・day以下であり、
    前記水蒸気バリア層が、樹脂と、無機充填剤と、を含み、
    前記水蒸気バリア層の任意断面の走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真において、前記水蒸気バリア層を占める前記樹脂の総面積の割合が、70%以上、99%以下であり、
    前記表面層が無機充填剤を含まないものであり、
    JIS Z 8741に準拠して測定される60°における一方の前記最表層の表面の光沢度が10以上40以下であり、60°における他方の前記最表層の表面の光沢度が70以上98以下である多層シート。
  2. 前記多層シートの比重が、0.92g/cm以上、1.5g/cm以下である、請求項1に記載の多層シート。
  3. 前記無機充填剤の形状が、アスペクト比5以上、200以下の板状又は鱗片状であり、 前記無機充填剤の長軸方向が、前記水蒸気バリア層の平面方向に配向している、請求項1又は2に記載の多層シート。
  4. 前記多層シートの灰分が、1.5質量%以上、40質量%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多層シート。
  5. 前記無機充填剤が、層状ケイ酸塩類、酸化チタン、及び炭酸カルシウムのうち少なくとも1つを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の多層シート。
  6. 前記層状ケイ酸塩類が、タルク、マイカ、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト、及びヘクトライトのうち少なくとも1つを含む、請求項5に記載の多層シート。
  7. 前記水蒸気バリア層が、当該水蒸気バリア層の質量に対して、10質量%以上、40質量%以下の前記無機充填剤を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の多層シート。
  8. 前記水蒸気バリア層の40℃、90%RHでの水蒸気透過量が0.8g/m・day以下である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の多層シート。
  9. 前記水蒸気バリア層の総厚が、前記多層シートの厚さに対して、37.5%以上、90%以下である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の多層シート。
  10. 前記水蒸気バリア層が、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレンのうち少なくとも1つを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の多層シート。
  11. 前記多層シートの厚さが、500μm以上、1500μm以下である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の多層シート。
  12. 請求項1に記載の多層シートを2次成形することにより得られるトレイ。
  13. 請求項12に記載のトレイと、蓋材と、を備える包装体。
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