以下、実施形態の電力変換装置およびドライブ装置を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。なお以下で参照する図面では、説明の便宜上、制御用のゲート配線などの図示は省略している。
(第1の実施形態)
図1から図11を参照して、第1の実施形態のコンバータ100およびドライブ装置1について説明する。本実施形態では、ドライブ装置1が複数の単相セルユニットによって構成された例について説明する。なお、ドライブ装置1は、後述するように3相コンバータおよび3相インバータによって構成されてもよい。
図1は、第1の実施形態のドライブ装置(電動機駆動装置)1の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態のドライブ装置1は、1次側が3相交流電源5に電気的に接続され、2次側が3相の多巻線電動機6に電気的に接続される。ドライブ装置1は、例えば、第1から第3の単相セルユニット10A,10B,10Cと、これら単相セルユニット10A,10B,10Cを制御する制御装置20とを有する。
詳しく述べると、第1単相セルユニット10Aには、3相交流電源5の第1相と第2相(図中ではU相とV相)が入力される。第1単相セルユニット10Aの出力は、多巻線電動機6の第1相に入力される。第2単相セルユニット10Bには、3相交流電源5の第2相と第3相(図中ではV相とW相)が入力される。第2単相セルユニット10Bの出力は、多巻線電動機6の第2相に入力される。第3単相セルユニット10Cには、3相交流電源5の第3相と第1相(図中ではW相とU相)が入力される。第3単相セルユニット10Cの出力は、多巻線電動機6の第3相に入力される。なお、3相交流電源5は、内部インピーダンスとして、インダクタンス成分を含む。
次に、各単相セルユニット10A,10B,10Cの内部構成について説明する。ここで、第1から第3の単相セルユニット10A,10B,10Cは、互いに構成および機能が略同じである。このため以下では、これらを代表して第1単相セルユニット10Aについて説明する。図1に示すように、第1単相セルユニット10Aは、単相の3レベルコンバータ100と、単相の3レベルインバータ200とを含む。
3レベルコンバータ100(以下、単に「コンバータ100」と称する)は、NPC型の3レベルコンバータであり、「電力変換装置」の一例である。コンバータ100は、3相交流電源5の2相分の電力線に電気的に接続され、3相交流電源5から供給される交流電力を直流電力に変換する。コンバータ100は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)によりスイッチング素子が制御されるコンバータである。コンバータ100については、詳しく後述する。
3レベルインバータ200(以下、単に「インバータ200」と称する)は、例えば、多巻線電動機6の1相分の巻線に電気的に接続されている。多巻線電動機6は、「負荷」の一例である。インバータ200は、コンバータ100により変換されて出力された直流電力を、多巻線電動機6のトルクおよび速度を制御するための任意の周波数・電圧の交流電力に変換する。インバータ200は、変換した交流電力を多巻線電動機6に供給する。これにより、多巻線電動機6が駆動される。ここでは、多巻線電動機として3相の多巻線電動機6が例示されている。
制御装置20は、各単相セルユニット10A,10B,10Cのコンバータ100およびインバータ200を制御する。例えば、制御装置20は、不図示の電圧検出器により検出された3相交流電源5の相電圧を示す情報に基づき、コンバータ100に含まれるスイッチング素子に制御信号を送ることで、コンバータ100を制御する。なお、制御装置20の機能の一部または全部は、各単相セルユニット10A,10B,10Cに設けられてもよい。
以下、コンバータ100について詳しく説明する。まず、コンバータ100の回路構成について説明し、その後にコンバータ100の物理的構成(各モジュールの配置レイアウトなど)について説明する。
図1に示すように、コンバータ100は、例えば、2つの交流端子(第1交流端子T1、第2交流端子T2)、2つのレグ(第1レグ110、第2レグ120)と、少なくとも1つ(例えば複数)の第1コンデンサC1と、少なくとも1つ(例えば複数)の第2コンデンサC2とを有する。なお、ここでは説明の便宜上、第1および第2の交流端子T1,T2と、第1および第2のコンデンサC1,C2とを先に説明し、その後に、第1および第2のレグ110,120について詳しく説明する。
第1および第2の交流端子T1,T2の各々は、コンバータ100に設けられた端子であって、コンバータ100の外部に位置する3相交流電源5に電気的に接続される端子である。第1単相セルユニット10Aの第1交流端子T1は、3相交流電源5の第1相に電気的に接続される。第1単相セルユニット10Aの第2交流端子T2は、3相交流電源5の第2相に電気的に接続される。第1および第2の交流端子T1,T2には、3相交流電源5から交流電力が供給される。なお、第2および第3の単相セルユニット10B,10Cについて補足的に説明すると、第2単相セルユニット10Bの第1交流端子T1は、3相交流電源5の第2相に電気的に接続される。第2単相セルユニット10Bの第2交流端子T2は、3相交流電源5の第3相に電気的に接続される。第3単相セルユニット10Cの第1交流端子T1は、3相交流電源5の第3相に電気的に接続される。第3単相セルユニット10Cの第2交流端子T2は、3相交流電源5の第1相に電気的に接続される。ここで、第1交流端子T1および第2交流端子T2は、互いに構成および機能が略同じである。そこで以下では、第1交流端子T1および第2交流端子T2の各々を、単に「交流端子T」と称する。
第1コンデンサC1は、正極Pと、中性点Cとの間に電気的に接続されている。一方で、第2コンデンサC2は、負極Nと、中性点Cとの間に電気的に接続されている。第1および第2のコンデンサC1,C2は、第1および第2のレグ110,120から出力された直流電力の電圧を平滑にする。ここで、「正極P」とは、コンバータ100が動作した場合に、正電位となる部位を広く意味し、「正電位部」と称されてもよい。「負極N」とは、コンバータ100が動作した場合に、負電位となる部位を広く意味し、「負電位部」と称されてもよい。「中性点C」とは、コンバータ100が動作した場合に、正極Pと負極Nとの間の中間の電位(中性点電位)となる部位を広く意味し、「中性点電位部」と称されてもよい。
次に、第1および第2のレグ110,120について説明する。ここで、第1レグ110および第2レグ120は、互いに構成および機能が略同じである。このため、以下では、これらを代表して第1レグ110について説明する。
図2は、第1レグ110を示す図である。図2に示すように、第1レグ110は、例えば、第1から第4のスイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4、第1から第4の還流ダイオードDF1,DF2,DF3,DF4、第1および第2のクランプダイオードDC1,DC2、および、第1および第2の分流ダイオードDB1,DB2を有する。第1還流ダイオードDF1は、「第1ダイオード」の一例である。第2還流ダイオードDF2は、「第2ダイオード」の一例である。第3還流ダイオードDF3は、「第3ダイオード」の一例である。第4還流ダイオードDF4は、「第4ダイオード」の一例である。第1クランプダイオードDC1は、「第5ダイオード」の一例である。第2クランプダイオードDC2は、「第6ダイオード」の一例である。第1分流ダイオードDB1は、「第7ダイオード」の一例である。第2分流ダイオードDB2は、「第8ダイオード」の一例である。
まず、第1から第4のスイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4について説明する。第1から第4のスイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4の各々は、例えば、自己消弧能力を持つトランジスタ型のスイッチング素子である。第1から第4のスイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4の各々は、例えば、バイポーラトランジスタ型のスイッチング素子である。本実施形態では、第1から第4のスイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4の各々は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)である。ただし、第1から第4のスイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4の各々は、上記例に限定されない。第1から第4のスイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4は、3レベルコンバータを実現可能なスイッチング素子であれば、いかなる素子でもよい。
図2に示すように、第1から第4のスイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4は、正極Pから負極Nに向けてこの順で互いに電気的に直列に接続されている。本実施形態では、第1スイッチング素子SW1のコレクタは、正極Pに電気的に接続されている。第2スイッチング素子SW2のコレクタは、第1スイッチング素子SW1のエミッタに電気的に接続されている。第3スイッチング素子SW3のコレクタは、第2スイッチング素子SW2のエミッタに電気的に接続されている。第4スイッチング素子SW4のコレクタは、第3スイッチング素子SW3のエミッタに電気的に接続されている。そして、第4スイッチング素子SW4のエミッタが負極Nに電気的に接続されている。
本実施形態では、交流端子Tは、第2スイッチング素子SW2のエミッタと第3スイッチング素子SW3のコレクタとを電気的に接続した接続部CP3に電気的に接続されている。これにより、第2スイッチング素子SW2のエミッタは、接続部CP3を介して交流端子Tに電気的に接続されている。また、第3スイッチング素子SW3のコレクタは、接続部CP3を介して交流端子Tに電気的に接続されている。接続部CP3は、「第3接続部」の一例である。接続部CP3は、後述する第2還流ダイオードDF2のアノードと第3還流ダイオードDF3のカソードとを電気的に接続した接続部でもある。
次に、第1から第4の還流ダイオードDF1,DF2,DF3,DF4について説明する。第1還流ダイオードDF1は、第1スイッチング素子SW1と電気的に逆並列に接続されている。第2還流ダイオードDF2は、第2スイッチング素子SW2と電気的に逆並列に接続されている。第3還流ダイオードDF3は、第3スイッチング素子SW3と電気的に逆並列に接続されている。第4還流ダイオードDF4は、第4スイッチング素子SW4と電気的に逆並列に接続されている。「逆並列に接続」とは、スイッチング素子と還流ダイオードとが電気的に並列に接続され、且つ、スイッチング素子において電流が順方向に流れる方向と還流ダイオードにおいて電流が順方向に流れる方向とが逆向きであることを意味する。
本実施形態では、第1から第4の還流ダイオードDF1,DF2,DF3,DF4の連続的な最大許容電流容量(定格電流)(以下、単に「電流容量」と称する)は、第1から第4のスイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4の電流容量とそれぞれ略同じである。なお、第1から第4の還流ダイオードDF1,DF2,DF3,DF4の電流容量は、所定値以上であればよく、上記例に限定されない。
次に、第1および第2のクランプダイオードDC1,DC2について説明する。第1クランプダイオードDC1のアノードは、中性点Cに電気的に接続されている。第1クランプダイオードDC1のカソードは、第1スイッチング素子SW1のエミッタと第2スイッチング素子SW2のコレクタとを電気的に接続した接続部CP1に電気的に接続されている。接続部CP1は、「第1接続部」の一例である。
一方で、第2クランプダイオードDC2のアノードは、第3スイッチング素子SW3のエミッタと第4スイッチング素子SW4のコレクタとを電気的に接続した接続部CP2に電気的に接続されている。接続部CP2は、「第2接続部」の一例である。第2クランプダイオードDC2のカソードは、中性点Cに電気的に接続されている。
次に、第1および第2の分流ダイオードDB1,DB2について説明する。第1分流ダイオードDB1は、第2還流ダイオードDF2と電気的に並列に接続されている。第1分流ダイオードDB1は、1つの還流ダイオードであり、第2還流ダイオードDF2と略同じ機能を果たす。第1分流ダイオードDB1は、交流端子Tから正極Pに向けて電流が流れる場合に、第1分流ダイオードDB1と第2還流ダイオードDF2とに前記電流を分けて流すためのダイオードである。言い換えると、第1分流ダイオードDB1は、交流端子Tから正極Pに向かう電流の一部を、第2還流ダイオードDF2を通らないようにバイパスさせるためのダイオードである。
第1分流ダイオードDB1は、例えば、第2還流ダイオードDF2と順方向電圧降下(VF)に関する特性が略同じである。「順方向電圧降下に関する特性が略同じ」とは、例えば、順方向電圧値と順方向電流値との関係(VF−IF特性)が略同じであることを意味する。なお、「順方向電圧降下に関する特性が略同じ」とは、例えば、順方向電流が流れる始める順方向電圧値の閾値が略同じであることを意味してもよい。
例えば、第1分流ダイオードDB1および第2還流ダイオードDF2の順方向電圧降下に関する特性が略同じ場合、交流端子Tから正極Pに向かう電流は、第1分流ダイオードDB1と第2還流ダイオードDF2とに略均等に分かれやすくなる。また、第1分流ダイオードDB1および第2還流ダイオードDF2の世代とロット番号とのうち少なくとも一方が同じ場合、交流端子Tから正極Pに向かう電流は、第1分流ダイオードDB1と第2還流ダイオードDF2とにさらに略均等に分かれやすくなる。なお、第1分流ダイオードDB1および第2還流ダイオードDF2は、世代やロット番号が異なるものであっても、順方向電圧降下に関する特性が略同じものが選別により抽出されてもよい。
ただし、第1ダイオードDB1は、第2還流ダイオードDF2と順方向電圧降下に関する特性が略同じものに限定されない。すなわち、第1分流ダイオードDB1と第2還流ダイオードDF2とに分かれる電流の割合は、略均等でなくてもよい。例えば、第1分流ダイオードDB1に流れる電流は、第2還流ダイオードDF2に流れる電流よりも多くてもよく、少なくてもよい。第1分流ダイオードDB1は、交流端子Tから正極Pに向かう電流の少なくとも一部が流れればよい。
第2分流ダイオードDB2は、第3還流ダイオードDF3と電気的に並列に接続されている。第2分流ダイオードDB2は、1つの還流ダイオードであり、第3還流ダイオードDF3と略同じ機能を果たす。第2分流ダイオードDB2は、負極Nから交流端子Tに向けて電流が流れる場合に、第2分流ダイオードDB2と第3還流ダイオードDF3とに前記電流を分けて流すためのダイオードである。言い換えると、第2分流ダイオードDB2は、負極Nから交流端子Tに向かう電流の一部を、第3還流ダイオードDF3を通らないようにバイパスさせるためのダイオードである。
第2分流ダイオードDB2は、例えば、第3還流ダイオードDF3と順方向電圧降下に関する特性が略同じである。第2分流ダイオードDB2および第3還流ダイオードDF3の順方向電圧降下に関する特性が略同じ場合、負極Nから交流端子Tに向かう電流は、第2分流ダイオードDB2と第3還流ダイオードDF3とに略均等に分かれやすくなる。また、第2分流ダイオードDB2および第3還流ダイオードDF3の世代とロット番号とのうち少なくとも一方が同じ場合、負極Nから交流端子Tに向かう電流は、第2分流ダイオードDB2と第3還流ダイオードDF3とにさらに略均等に分かれやすくなる。なお、第2分流ダイオードDB2および第3還流ダイオードDF3は、世代やロット番号が異なるものであっても、順方向電圧降下に関する特性が略同じものが選別により抽出されてもよい。
ただし、第2分流ダイオードDB2は、第3還流ダイオードDF3と順方向電圧降下に関する特性が略同じものに限定されない。すなわち、第2分流ダイオードDB2と第3還流ダイオードDF3とに分かれる電流の割合は、略均等でなくてもよい。例えば、第2分流ダイオードDB2に流れる電流は、第3還流ダイオードDF3に流れる電流よりも多くてもよく、少なくてもよい。第2分流ダイオードDB2は、負極Nから交流端子Tに向かう電流の少なくとも一部が流れればよい。
本実施形態では、第1分流ダイオードDB1と第2分流ダイオードDB2とは、接続部CP4によって互いに電気的に接続されている。接続部CP4は、交流端子Tに電気的に接続されている。言い換えると、第1分流ダイオードDB1と第2分流ダイオードDB2とは、第2スイッチング素子SW2と第3スイッチング素子SW3とを電気的に接続した接続部CP3を介さずに交流端子Tに電気的に接続されている。接続部CP4は、「第4接続部」の一例である。
次に、コンバータ100の物理的構成のなかで図2に関連する部分を先に説明する。本実施形態のコンバータ100は、第1レグ110の構成として、第1外側素子モジュールQ1、第1内側素子モジュールQ2、第2内側素子モジュールQ3、第2外側素子モジュールQ4、クランプダイオードモジュールDCM、および分流ダイオードモジュールDBMを有する。なおこれらの名称は、あくまで説明の便宜上のため用いられている。すなわち、「外側」および「内側」は、物理的な位置を特定するものではない。
第1外側素子モジュールQ1は、第1スイッチング素子SW1と、第1還流ダイオードDF1とが内蔵された半導体モジュール(モジュール型半導体)である。第1外側素子モジュールQ1は、2つの端子111a,111bを有する。端子111aには、第1スイッチング素子SW1のコレクタおよび第1還流ダイオードDF1のカソードが第1外側素子モジュールQ1の内部で電気的に接続されている。端子111bには、第1スイッチング素子SW1のエミッタおよび第1還流ダイオードDF1のアノードが第1外側素子モジュールQ1の内部で電気的に接続されている。
第1内側素子モジュールQ2は、第2スイッチング素子SW2と、第2還流ダイオードDF2とが内蔵された半導体モジュール(モジュール型半導体)である。第1内側素子モジュールQ2は、2つの端子112a,112bを有する。端子112aには、第2スイッチング素子SW2のコレクタおよび第2還流ダイオードDF2のカソードが第1内側素子モジュールQ2の内部で電気的に接続されている。端子112bには、第2スイッチング素子SW2のエミッタおよび第2還流ダイオードDF2のアノードが第1内側素子モジュールQ2の内部で電気的に接続されている。
第2内側素子モジュールQ3は、第3スイッチング素子SW3と、第3還流ダイオードDF3とが内蔵された半導体モジュール(モジュール型半導体)である。第2内側素子モジュールQ3は、2つの端子113a,113bを有する。端子113aには、第3スイッチング素子SW3のコレクタおよび第3還流ダイオードDF3のカソードが第2内側素子モジュールQ3の内部で電気的に接続されている。端子113bには、第3スイッチング素子SW3のエミッタおよび第3還流ダイオードDF3のアノードが第2内側素子モジュールQ3の内部で電気的に接続されている。
第2外側素子モジュールQ4は、第4スイッチング素子SW4と、第4還流ダイオードDF4とが内蔵された半導体モジュール(モジュール型半導体)である。第2外側素子モジュールQ4は、2つの端子114a,114bを有する。端子114aには、第4スイッチング素子SW4のコレクタおよび第4還流ダイオードDF4のカソードが第2外側素子モジュールQ4の内部で電気的に接続されている。端子114bには、第4スイッチング素子SW4のエミッタおよび第4還流ダイオードDF4のアノードが第2外側素子モジュールQ4の内部で電気的に接続されている。
クランプダイオードモジュールDCMは、第1および第2のクランプダイオードDC1,DC2が内蔵された半導体モジュール(モジュール型半導体)である。クランプダイオードモジュールDCMは、端子115a,115b,115cを有する。端子115aには、第1クランプダイオードDC1のカソードがクランプダイオードモジュールDCMの内部で電気的に接続されている。端子115bには、第2クランプダイオードDC2のアノードがクランプダイオードモジュールDCMの内部で電気的に接続されている。端子115cには、第1クランプダイオードDC1のアノードと第2クランプダイオードDC2のカソードとがクランプダイオードモジュールDCMの内部で電気的に接続されている。
分流ダイオードモジュールDBMは、第1および第2の分流ダイオードDB1,DB2が内蔵された半導体モジュール(モジュール型半導体)である。分流ダイオードモジュールDBMは、3つの端子116a,116b,116cを有する。端子116aには、第1分流ダイオードDB1のカソードが分流ダイオードモジュールDBMの内部で電気的に接続されている。端子116bには、第2分流ダイオードDB2のアノードが分流ダイオードモジュールDBMの内部で電気的に接続されている。端子116cには、第1分流ダイオードDB1のアノードと第2分流ダイオードDB2のカソードとが分流ダイオードモジュールDBMの内部で電気的に接続されている。分流ダイオードモジュールDBMの内部に設けられた第1分流ダイオードDB1のアノードと第2分流ダイオードDB2のカソードとの電気接続部は、上述した接続部CP4に相当する。
次に、以上のような構成を持つコンバータ100の動作モードについて説明する。なお、3レベルコンバータとしてのコンバータ100の動作モードは、従来の3レベルコンバータの動作モードと同じであるので、詳細な説明は省略する。ここでは、第1および第2の分流ダイオードDB1,DB2に関係する4つの動作モードについて説明する。
図3は、第1レグ110が負電圧を出力する基本波の半サイクルの期間において、第2スイッチング素子SW2のターンオフ前とターンオフ後のそれぞれの動作モードを示す図である。一般的に、単相コンバータ100は、力率1近傍で運転されるので、この期間においては電流が第1レグ110から交流端子Tを経由して3相交流電源5に流れる。
図3中の(a)は、第2スイッチング素子SW2のターンオフ前の動作モードを示す。この動作モードでは、第1、第4のスイッチング素子SW1,SW4がオフ状態であり、第2スイッチング素子SW2がオン状態である。この場合、電流は、中性点Cから、第1クランプダイオードDC1、第2スイッチング素子SW2を通って、交流端子Tへ流れる。なおこのとき、第3スイッチング素子SW3にもゲート信号が与えられていることが一般的であるが、必ずしも上記ゲート信号が与えられていなくてもよい。
図3中の(b)は、図3中の(a)の状態から第2スイッチング素子SW2がターンオフした後の動作モードを示す。この動作モードでは、第1および第2のスイッチング素子SW1,SW2がオフ状態である。
なお、このとき、第3および第4のスイッチング素子SW3,SW4にはゲート信号が与えられることが一般的である。しかし以下に述べるように、第3および第4のスイッチング素子SW3,SW4がオン状態であっても、第3および第4のスイッチング素子SW3,SW4には電流は流れない。すなわちこの場合、電流は、3相交流電源5の内部インダクタンス成分により第1レグ110から交流端子Tを経由して3相交流電源5に流れ続ける。したがって、電流は、負極Nから第4還流ダイオードDF4に向けて流れ、第4還流ダイオードDF4を通過した後、第3還流ダイオードDF3と第2分流ダイオードDB2とに分かれて流れる。第3還流ダイオードDF3と第2分流ダイオードDB2とをそれぞれ通過した電流は、再び合流して交流端子Tへ流れる。
図4は、第1レグ110が正電圧を出力する基本波の半サイクルの期間において、第3スイッチング素子SW3のターンオフ前とターンオフ後のそれぞれの動作モードを示す図である。上述したように、単相コンバータ100は、一般的に力率1近傍で運転されるので、この期間においては電流が3相交流電源5から交流端子Tを経由して第1レグ110に流れる。
図4中の(a)は、第3スイッチング素子SW3のターンオフ前の動作モードを示す。この動作モードでは、第1、第4のスイッチング素子SW1,SW4がオフ状態であり、第3スイッチング素子SW3がオン状態である。この場合、電流は、交流端子Tから、第3スイッチング素子SW3と、第2クランプダイオードDC2とを通って、中性点Cへ流れる。このとき、第2スイッチング素子SW2にもゲート信号が与えられていることが一般的であるが、必ずしも上記ゲート信号が与えられていなくてもよい。
図4中の(b)は、図4中の(a)の状態から第3スイッチング素子SW3がターンオフした後の動作モードを示す。この動作モードでは、第3および第4のスイッチング素子SW3,SW4がオフ状態である。
なお、このとき、第1および第2のスイッチング素子SW1,SW2にはゲート信号が与えられることが一般的である。しかし以下に述べるように、第1および第2のスイッチング素子SW1,SW2がオン状態であっても、第1および第2のスイッチング素子SW1,SW2には電流は流れない。すなわちこの場合、電流は、3相交流電源5の内部インダクタンス成分により3相交流電源5から交流端子Tを経由して第1レグ110に流れ続ける。したがって、電流は、交流端子Tから第2還流ダイオードDF2と第1分流ダイオードDB1とに分かれて流れる。第2還流ダイオードDF2と第1分流ダイオードDB1とをそれぞれ通過した電流は、再び合流し、第1還流ダイオードDF1を通って正極Pへ流れる。
ここで、本実施形態では、図3中の(a)の電流経路と、図4中の(a)の電流経路とを「遮断経路」と称する。「遮断経路」とは、第2スイッチング素子SW2または第3スイッチング素子SW3がターンオフした場合に遮断される電流経路である。一方で、図3中の(b)の電流経路と、図4中の(b)の電流経路とを「還流経路」と称する。「還流経路」とは、第2スイッチング素子SW2または第3スイッチング素子SW3がターンオフした場合に電流が流れる電流経路である。これら「遮断経路」および「還流経路」については、コンバータ100の物理的構成の説明のなかで再び説明する。
次に、コンバータ100の物理的構成について説明する。図5は、コンバータ100の第1レグ110に対応する物理的構成を示す斜視図である。図6は、上記物理的構成を示す平面図である。ここで、+X方向、−X方向、+Y方向、−Y方向、+Z方向、および−Z方向について定義する。図5に示すように、+X方向、−X方向、+Y方向、および−Y方向は、後述するヒートシンク150の第1面151aに沿う方向である。+X方向は、ヒートシンク150の第1端部150aから第2端部150bに向かう方向(すなわち風の流れ方向)である。−X方向は、+X方向とは反対方向である。+X方向と−X方向とを区別しない場合は、単に「X方向」と称する。+Y方向および−Y方向は、X方向とは異なる(例えば略直交する)方向である。+Y方向は、+X方向に沿って右側とする。−Y方向は、+Y方向とは反対方向である。+Y方向と−Y方向とを区別しない場合は、単に「Y方向」と称する。+Z方向および−Z方向は、X方向およびY方向とは異なる(例えば略直交する)方向である。+Z方向は、ヒートシンク150の後述されるベース151を基準として半導体モジュールが載置される載置面の方向である。−Z方向は、ヒートシンク150のベース151を基準としてヒートシンク150の後述されるフィン152の方向とする。―Z方向は、+Z方向とは反対方向である。+Z方向と−Z方向とを区別しない場合は、単に「Z方向」と称する。
図5および図6に示すように、コンバータ100は、第1レグ110に対応する構成として、第1外側素子モジュールQ1,第1内側素子モジュールQ2、第2内側素子モジュールQ3、第2外側素子モジュールQ4、クランプダイオードモジュールDCM、分流ダイオードモジュールDBM、ヒートシンク150、送風部160(図6参照)、交流ブスBA、直流正極ブスBDP、直流負極ブスBDN、中性点ブスBC、第1接続ブスBC1、および第2接続ブスBC2を有する。なお、各ブスBA,BDP,BDN,BC,BC1,BC2については、各モジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCM,DBMの配置レイアウトを説明した後に説明する。
第1外側素子モジュールQ1は、上述したように、第1スイッチング素子SW1と、第1還流ダイオードDF1とを内蔵している。すなわち、第1外側素子モジュールQ1は、第1スイッチング素子SW1と、第1還流ダイオードDF1と、第1スイッチング素子SW1および第1還流ダイオードDF1を収容したパッケージ(外郭部材)111とを有する。パッケージ111は、ねじのような固定部材Mが通される挿通穴を有する。パッケージ111は、挿通穴に通された固定部材Mによってヒートシンク150に固定されている。なお、パッケージ111の構成については、図8を参照して詳しく後述する。以下に説明するモジュールQ2,Q3,Q4,DCM,DBMのパッケージ112,113,114,115,116は、後述するパッケージ111の構成と略同じである。
パッケージ111の表面には、上述した2つの端子111a,111bが設けられている。2つの端子111a,111bは、端子111b、端子111aの順で+X方向に並んでいる。第1外側素子モジュールQ1は、例えば、2つの端子111a,111bが並ぶ方向(X方向)に長手方向を有した直方体状に形成されている。また、端子111a,111bは、第1外側素子モジュールQ1のY方向の中央部に対して、+Y方向側に偏って配置されている。
第1内側素子モジュールQ2は、上述したように、第2スイッチング素子SW2と、第2還流ダイオードDF2とを内蔵している。すなわち、第1内側素子モジュールQ2は、第2スイッチング素子SW2と、第2還流ダイオードDF2と、第2スイッチング素子SW2および第2還流ダイオードDF2を収容したパッケージ(外郭部材)112とを有する。パッケージ112は、「第1パッケージ」の一例である。パッケージ112は、ねじのような固定部材Mが通される挿通穴を有する。パッケージ112は、挿通穴に通された固定部材Mによってヒートシンク150に固定されている。
パッケージ112の表面には、上述した2つの端子112a,112bが設けられている。2つの端子112a,112bは、端子112b、端子112aの順で+X方向に並んでいる。第1内側素子モジュールQ2は、例えば、2つの端子112a,112bが並ぶ方向(X方向)に長手方向を有した直方体状に形成されている。また、端子112a,112bは、第1内側素子モジュールQ2のY方向の中央部に対して、+Y方向側に偏って配置されている。
第2内側素子モジュールQ3は、上述したように、第3スイッチング素子SW3と、第3還流ダイオードDF3とを内蔵している。すなわち、第2内側素子モジュールQ3は、第3スイッチング素子SW3と、第3還流ダイオードDF3と、第3スイッチング素子SW3および第3還流ダイオードDF3を収容したパッケージ(外郭部材)113とを有する。パッケージ113は、ねじのような固定部材Mが通される挿通穴を有する。パッケージ113は、挿通穴に通された固定部材Mによってヒートシンク150に固定されている。
パッケージ113の表面には、上述した2つの端子113a,113bが設けられている。2つの端子113a,113bは、端子113a、端子113bの順で+X方向に並んでいる。第2内側素子モジュールQ3は、例えば、2つの端子113a,113bが並ぶ方向(X方向)に長手方向を有した直方体状に形成されている。また、端子113a,113bは、第2内側素子モジュールQ3のY方向の中央部に対して、−Y方向側に偏って配置されている。
第2外側素子モジュールQ4は、上述したように、第4スイッチング素子SW4と、第4還流ダイオードDF4とを内蔵している。すなわち、第2外側素子モジュールQ4は、第4スイッチング素子SW4と、第4還流ダイオードDF4と、第4スイッチング素子SW4および第4還流ダイオードDF4を収容したパッケージ(外郭部材)114とを有する。パッケージ114は、ねじのような固定部材Mが通される挿通穴を有する。パッケージ114は、挿通穴に通された固定部材Mによってヒートシンク150に固定されている。
パッケージ114の表面には、上述した2つの端子114a,114bが設けられている。2つの端子114a,114bは、端子114a、端子114bの順で+X方向に並んでいる。第2外側素子モジュールQ4は、例えば、2つの端子114a,114bが並ぶ方向(X方向)に長手方向を有した直方体状に形成されている。また、端子114a,114bは、第2外側素子モジュールQ4のY方向の中央部に対して、−Y方向側に偏って配置されている。
クランプダイオードモジュールDCMは、上述したように、第1および第2のクランプダイオードDC1,DC2を内蔵している。すなわち、クランプダイオードモジュールDCMは、第1および第2のクランプダイオードDC1,DC2と、第1および第2のクランプダイオードDC1,DC2を収容したパッケージ(外郭部材)115とを有する。クランプダイオードモジュールDCMは、スイッチング素子を含まない。すなわち、パッケージ115の内部には、スイッチング素子が収容されていない。パッケージ115は、「第3パッケージ」の一例である。パッケージ115は、ねじのような固定部材Mが通される挿通穴を有する。パッケージ115は、挿通穴に通された固定部材Mによってヒートシンク150に固定されている。
パッケージ115の表面には、上述した3つの端子115a,115b,115cが設けられている。3つの端子115a,115b,115cは、端子115a、端子115c、端子113bの順で+Y方向に並んでいる。クランプダイオードモジュールDCMは、例えば、3つの端子115a,115b,115cが並ぶ方向(Y方向)に長手方向を有した直方体状に形成されている。端子115a,115b,115cは、クランプダイオードモジュールDCMのX方向の略中央部に配置されている。
分流ダイオードモジュールDBMは、上述したように、第1および第2の分流ダイオードDB1,DB2を内蔵している。すなわち、分流ダイオードモジュールDBMは、第1および第2の分流ダイオードDB1,DB2と、第1および第2の分流ダイオードDB1,DB2を収容したパッケージ(外郭部材)116とを有する。分流ダイオードモジュールDBMは、スイッチング素子を含まない。すなわち、パッケージ116の内部には、スイッチング素子が収容されていない。パッケージ116は、「第2パッケージ」の一例である。パッケージ116は、ねじのような固定部材Mが通される挿通穴を有する。パッケージ116は、挿通穴に通された固定部材Mによってヒートシンク150に固定されている。
パッケージ116の表面には、上述した3つの端子116a,116b,116cが設けられている。3つの端子116a,116b,116cは、端子116a、端子116c、端子116bの順で+Y方向に並んでいる。分流ダイオードモジュールDBMは、例えば、3つの端子116a,116b,116cが並ぶ方向(Y方向)に長手方向を有した直方体状に形成されている。端子116a,116b,116cは、分流ダイオードモジュールDBMのX方向の略中央部に配置されている。
本実施形態では、第1分流ダイオードDB1は、第2還流ダイオードDF2に比べて、第2スイッチング素子SW2から遠くに配置されている。第2分流ダイオードDB2は、第3還流ダイオードDF3に比べて、第3スイッチング素子SW3から遠くに配置されている。
ヒートシンク150は、ベース151と、ベース151に設けられた複数のフィン152とを有する。ベース151は、板状に形成されている。ベース151は、第1面151aと、第1面151aとは反対側に位置した第2面151bとを有する。第1面151aは、例えば平面状に形成されている。第1面151aは、上述した6つのモジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCM,DBMが取り付けられる載置面である。6つのモジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCM,DBMは、ヒートシンク150の第1面151aのなかで互いに異なる領域に取り付けられ、ヒートシンク150に対してそれぞれ別々に熱を伝えることができる。本実施形態では、6つのモジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCM,DBMは、第1面151aに密着している。なお、「密着する」とは、モジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCM,DBMと第1面151aとの間にシリコングリスのような熱伝導部材が介在する場合も含む。複数のフィン152は、ベース151の第2面151bに設けられている。複数のフィン152は、例えば、第2面151bの略全域に設けられている。
ヒートシンク150は、第1端部150aと、第1端部150aとは反対側に位置した第2端部150bとを有する。第1端部150aは、例えば送風部160によってヒートシンク150の複数のフィン152の間の隙間に風の流れが与えられる場合に、ヒートシンク150の中央部よりも風上側に位置する端部である。一方で、第2端部150bは、送風部160によってヒートシンク150の複数のフィン152の間の隙間に風の流れが与えられる場合に、ヒートシンク150の中央部よりも風下側に位置する端部である。第1端部150aに比べて、第2端部150bは、第1および第2のコンデンサC1,C2の近くに位置する(図6参照)。例えば、第2端部150bは、第1および第2のコンデンサC1,C2に面する。
送風部160は、ヒートシンク150の複数のフィン152の間の隙間に風の流れを与える。送風部160は、例えば、ファンまたはブロアである。送風部160は、例えば風の流れ方向においてヒートシンク150の上流側に位置し、ヒートシンク150に向けて風を送ることで、ヒートシンク150の複数のフィン152の間の隙間に風の流れを与える。なおこれに代えて、送風部160は、風の流れ方向においてヒートシンク150の下流側に位置し、ヒートシンク150と送風部160との間の空気を吸気することで、ヒートシンク150の複数のフィン152の間の隙間に風の流れを与えてもよい。また、ドライブ装置1が例えば鉄道車両のような走行体に搭載される場合、送風部160は、走行体の走行によってドライブ装置1の内部に自然吸気された空気の流れを、ヒートシンク150の複数のフィン152の間の隙間に向けて導く風ガイドでもよい。
次に、上述した6つのモジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCM,DBMの配置レイアウトについて説明する。
図6に示すように、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3は、X方向に互いに略平行に配置されている。第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3は、第1内側素子モジュールQ2のY方向の中央部に対して端子112a,112bが偏った側と、第2内側素子モジュールQ2のY方向の中央部に対して端子113a,113bが偏った側とを互いに向かい合わせにして配置されている。第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3は、Y方向において、互いの間に端子112aと端子113b間の電気絶縁用の隙間g1を空けて配置されている。
クランプダイオードモジュールDCMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の+X方向側(すなわち風下側)に配置されている。言い換えると、クランプダイオードモジュールDCMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3と、ヒートシンク150の第2端部150bとの間に配置されている。クランプダイオードモジュールDCMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3と比べて、第1および第2のコンデンサC1,C2の近くに配置されている。
クランプダイオードモジュールDCMは、X方向において、第1内側素子モジュールQ2の一部および第2内側素子モジュールQ3の一部と向かい合う。クランプダイオードモジュールDCMの端子115aおよび第1内側素子モジュールQ2の端子112a,112bは、端子112b,端子112a,端子115aの順で+X方向に並んでいる。クランプダイオードモジュールDCMの端子115bおよび第2内側素子モジュールQ3の端子113a,113bは、端子113a,端子113b,端子115bの順で+X方向に並んでいる。クランプダイオードモジュールDCMの端子115cは、X方向において、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の間の隙間g1と並ぶ。
第1および第2の外側素子モジュールQ1,Q4は、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の+X方向側(すなわち風下側)に配置されている。言い換えると、第1および第2の外側素子モジュールQ1,Q4は、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3と、ヒートシンク150の第2端部150bとの間に配置されている。第1および第2の外側素子モジュールQ1,Q4は、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3と比べて、第1および第2のコンデンサC1,C2の近くに配置されている。
第1および第2の外側素子モジュールQ1,Q4は、X方向に互いに略平行に配置されている。第1および第2の外側素子モジュールQ1,Q4は、第1外側素子モジュールQ1のY方向の中央部に対して端子111a,111bが偏った側と、第2外側素子モジュールQ4のY方向の中央部に対して端子114a,114bが偏った側とを互いに向かい合わせにして配置されている。第1および第2の外側素子モジュールQ1,Q4の間の距離は、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の間の距離よりも大きい。
第1および第2の外側素子モジュールQ1,Q4は、Y方向において、クランプダイオードモジュールDCMの両側に分かれて配置されている。第1外側素子モジュールQ1は、−X方向において第1内側素子モジュールQ2と面する第1領域R1aと、−X方向において第1内側素子モジュールQ2と面しない第2領域R1bとを有する。これにより、第1外側素子モジュールQ1の近傍においてヒートシンク150の複数のフィン152の間の隙間を流れる少なくとも一部の冷却風は、第1内側素子モジュールQ2による熱の煽りを受けにくい。これにより、第1外側素子モジュールQ1の放熱性を高めることができる。例えば、本実施形態では、第2領域R1bのY方向の幅は、第1領域R1aのY方向の幅よりも大きい。この場合、第1外側素子モジュールQ1の近傍においてヒートシンク150の複数のフィン152の間の隙間を流れるより多くの冷却風が第1内側素子モジュールQ2による熱の煽りを受けにくい。これにより、第1外側素子モジュールQ1の放熱性をより高めることができる。
同様に、第2外側素子モジュールQ4は、−X方向において第2内側素子モジュールQ3と面する第1領域R4aと、−X方向において第2内側素子モジュールQ3と面しない第2領域R4bとを有する。これにより、第2外側素子モジュールQ4の近傍においてヒートシンク150の複数のフィン152の間の隙間を流れる少なくとも一部の冷却風は、第2内側素子モジュールQ3による熱の煽りを受けにくい。これにより、第2外側素子モジュールQ4の放熱性を高めることができる。例えば、本実施形態では、第2領域R4bのY方向の幅は、第1領域R4aのY方向の幅よりも大きい。この場合、第2外側素子モジュールQ4の近傍においてヒートシンク150の複数のフィン152の間の隙間を流れるより多くの冷却風が第2内側素子モジュールQ3による熱の煽りを受けにくい。これにより、第2外側素子モジュールQ4の放熱性をより高めることができる。
また、第1外側素子モジュールQ1の端子111bの少なくとも一部は、クランプダイオードモジュールDCMの一部よりも−X方向側に位置する。これにより、第1外側素子モジュールQ1の端子111bと、第1内側素子モジュールQ2の端子112aとの間の距離が比較的短くなり、端子111bと端子112aとの間のインダクタンスが低減されている。同様に、第2外側素子モジュールQ4の端子114aの少なくとも一部は、クランプダイオードモジュールDCMの一部よりも−X方向側に位置する。これにより、第2外側素子モジュールQ4の端子114aと、第2内側素子モジュールQ3の端子113bとの間の距離が比較的短くなり、端子114aと端子113bとの間のインダクタンスが低減されている。
分流ダイオードモジュールDBMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の−X方向側(すなわち風上側)に配置されている。言い換えると、分流ダイオードモジュールDBMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3と、ヒートシンク150の第1端部150aとの間に配置されている。分流ダイオードモジュールDBMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の各々の少なくとも一部に対して、クランプダイオードモジュールDCMとは反対側に配置されている。分流ダイオードモジュールDBMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の各々の少なくとも一部に対して、第1および第2のコンデンサC1,C2とは反対側に配置されている。
分流ダイオードモジュールDBMは、X方向において、第1内側素子モジュールQ2の一部および第2内側素子モジュールQ3の一部と向かい合う。分流ダイオードモジュールDBMの端子116aおよび第1内側素子モジュールQ2の端子112a,112bは、端子116a、端子112b、端子112aの順で+X方向に並んでいる。分流ダイオードモジュールDBMの端子116bおよび第2内側素子モジュールQ3の端子113a、113bは、端子116b、端子113a、端子113bの順で+X方向に並んでいる。分流ダイオードモジュールDBMの端子116cは、X方向において、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の間の隙間g1と並ぶ。
また、本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3から離れて配置されている。電気的な観点で見ると、分流ダイオードモジュールDBMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3から離れている必要はない。分流ダイオードモジュールDBMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3と接していてもよい。ただし本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMと、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3との間には、隙間g2が設けられている。このような隙間g2が設けられると、分流ダイオードモジュールDBMおよび内側素子モジュールQ2,Q3のうち少なくともいずれか1つに比較的大きな部品公差がある場合でも、分流ダイオードモジュールDBMと内側素子モジュールQ2,Q3とが干渉することを抑制し、分流ダイオードモジュールDBMおよび内側素子モジュールQ2,Q3を予め定められた位置に配置しやすくなる。また、隙間g2が設けられると、分流ダイオードモジュールDBMと内側素子モジュールQ2,Q3との間で熱が直接移動しにくく、分流ダイオードモジュールDBMおよび内側素子モジュールQ2,Q3で生じる熱がヒートシンク150により伝わりやすくなる。このため、分流ダイオードモジュールDBMおよび内側素子モジュールQ2,Q3の放熱性がさらに高まる。
次に、交流ブスBA、直流正極ブスBDP、直流負極ブスBDN、中性点ブスBC、第1接続ブスBC1、および第2接続ブスBC2について説明する。
交流ブスBAは、交流端子Tと、分流ダイオードモジュールDBMの端子116cと、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の端子112b,113aとを電気的に接続する。交流ブスBAは、交流端子Tまたは交流端子Tに電気的に接続された導体(中間接続導体)CBに向けて第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3から−X方向側に延びている。−X方向側は、「第1側」の一例である。なお、「交流端子Tまたは交流端子Tに電気的に接続された導体CBに向けて第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3から−X方向側に延びている」とは、交流ブスBAが第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3から第1側に延びた後に別の方向に向けて折れ曲がっている場合も含む。
本実施形態では、交流ブスBAは、第1端部BAaと、第2端部BAbと、分流ダイオードモジュール接続部BAcとを有する。第1端部BAaは、第2端部BAbおよび分流ダイオードモジュール接続部BAcの各々と比べてY方向の幅が大きい。例えば、第1端部BAaは、分流ダイオードモジュール接続部BAcに比べて第1端部BAaのY方向の幅が大きくなるような、T字状、Y字状、台形状、またはその他の形状に形成されている。第1端部BAaは、第1内側素子モジュールQ2の端子112bと、第2内側素子モジュールQ3の端子113aとにZ方向で向かい合い、端子112b,113aに接続されている。第1端部BAaは、上述した接続部CP3(第2スイッチング素子SW2と第3スイッチング素子SW3とを電気的に接続した接続部)を形成している。第2端部BAbは、第1端部BAaとは反対側に位置し、交流端子Tまたは導体CBに接続される。分流ダイオードモジュール接続部BAcは、第1端部BAaと第2端部BAbとの間に位置する。分流ダイオードモジュール接続部BAcは、分流ダイオードモジュールDBMの端子116cとZ方向で向かい合い、端子116cに接続されている。交流ブスBAは、「第1導体」の一例である。
以上を別の観点で見ると、分流ダイオードモジュールDBMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3と比べて、交流電力の入力側に位置する。そして、分流ダイオードモジュールDBMと、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3との間には、交流ブスBAのうち分流ダイオードモジュール接続部BAcと第1端部BAaとの間の長さに対応する配線長が存在する。言い換えると、交流端子Tと第1および第2の分流ダイオードDB1,DB2との間の配線長は、交流端子Tと第2および第3の還流ダイオードDF2,DF3との間の配線長よりも短い。これらの効果については後述する。
直流正極ブスBDPは、第1外側素子モジュールQ1の端子111aとZ方向で向かい合い、端子111aに接続されている。直流正極ブスBDPは、+X方向側に向けて(すなわち第1コンデンサC1に向けて)、第1外側素子モジュールQ1から延びている。直流正極ブスBDPは、第1外側素子モジュールQ1の端子111aと第1コンデンサC1とを電気的に接続している。直流正極ブスBDPは、「正極P」の一例である。
直流負極ブスBDNは、第2外側素子モジュールQ4の端子114bとZ方向で向かい合い、端子114bに接続されている。直流負極ブスBDNは、+X方向側に向けて(すなわち第2コンデンサC2に向けて)、第2外側素子モジュールQ4から延びている。直流負極ブスBDNは、第2外側素子モジュールQ4の端子114bと第2コンデンサC2とを電気的に接続している。直流負極ブスBDNは、「負極N」の一例である。
中性点ブスBCは、クランプダイオードモジュールDCMの端子115cとZ方向で向かい合い、端子115cに接続されている。中性点ブスBCは、+X方向側に向けて(すなわち第1および第2のコンデンサC1,C2に向けて)、クランプダイオードモジュールDCMから延びている。中性点ブスBCは、クランプダイオードモジュールDCMの端子115cと、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との電気的な直列接続点とを電気的に接続している。中性点ブスBCは、「中性点C」の一例である。
第1接続ブスBC1は、第1内側素子モジュールQ2、クランプダイオードモジュールDCM、第1外側素子モジュールQ1、および分流ダイオードモジュールDBMのそれぞれ一部を覆う。第1接続ブスBC1は、第1外側素子モジュールQ1の端子111b、第1内側素子モジュールQ2の端子112a、クランプダイオードモジュールDCMの端子115a、および分流ダイオードモジュールDBMの端子116aにZ方向で向かい合い、端子111b,112a,115a,116aに接続されている。第1接続ブスBC1は、平板状に形成されてもよいが、これに限らない。例えば、端子111b,112a,115a,116aのZ方向の位置が互いに異なる場合は、第1接続ブスBC1は、各端子111b,112a,115a,116aの高さに応じたZ方向の折り曲げ構造を有してもよい。また、端子111b,112a,115a,116aのZ方向の位置が互いに異なる場合、第1接続ブスBC1と各端子111b,112a,115a,116aとの間の隙間にそれぞれ挿入され、第1接続ブスBC1と各端子111b,112a,115a,116とをそれぞれ電気的に接続する1つ以上の導体部品が設けられてもよい。
本実施形態では、第1接続ブスBC1は、交流ブスBAの第1端部BAaを避けるための切欠きBC1aを有する。なお、第1接続ブスBC1は、切欠きBC1aに代えて、交流ブスBAの第1端部BAaとの干渉を避けるためのZ方向の折り曲げ構造(交流ブスBAの第1端部BAaに対する立体交差構造)を有してもよい。第1接続ブスBC1は、第1外側素子モジュールQ1から見て、交流ブスBAの第1端部BAa(すなわち、交流ブスBAと第1内側素子モジュールQ2との接続部)を超えて−X方向側に延びている。このような構成によれば、例え亜bヒートシンク150の複数のフィン152の間だけでなく第1接続ブスBC1の周囲にも送風部160による冷却風が供給される場合に、第1接続ブスBC1の一部は、第1内側素子モジュールQ2よりも風上側に位置し、第1内側素子モジュールQ2の熱の煽りを受けずに、上記冷却風によって冷却されることができる。第1接続ブスBC1は、「第2導体」の一例である。
また本実施形態では、第1内側素子モジュールQ2の端子112aとクランプダイオードモジュールDCMの端子115aとの間の最短距離L1は、分流ダイオードモジュールDBMの端子116aとクランプダイオードモジュールDCMの端子115aとの間の最短距離L2よりも短い。
第2接続ブスBC2は、第2内側素子モジュールQ3、クランプダイオードモジュールDCM、第2外側素子モジュールQ4、および分流ダイオードモジュールDBMのそれぞれ一部を覆う。第2接続ブスBC2は、第2内側素子モジュールQ3の端子113b、第2外側素子モジュールQ4の端子114a、クランプダイオードモジュールDCMの端子115b、および分流ダイオードモジュールDBMの端子116bにZ方向で向かい合い、端子113b,114a,115b,116bに接続されている。第2接続ブスBC2は、平板状に形成されてもよいが、これに限らない。例えば、端子113b,114a,115b,116bのZ方向の位置が互いに異なる場合は、第2接続ブスBC2は、各端子113b,114a,115b,116bの高さに応じたZ方向の折り曲げ構造を有してもよい。また、端子113b,114a,115b,116bのZ方向の位置が互いに異なる場合、第2接続ブスBC2と各端子113b,114a,115b,116bとの間の隙間にそれぞれ挿入され、第2接続ブスBC2と各端子113b,114a,115b,116bとを電気的に接続する1つ以上の導体部品が設けられてもよい。
本実施形態では、第2接続ブスBC2は、交流ブスBAの第1端部BAaを避けるための切欠きBC2aを有する。なお、第2接続ブスBC2は、切欠きBC2aに代えて、交流ブスBAの第1端部BAaとの干渉を避けるためのZ方向の折り曲げ構造(交流ブスBAの第1端部BAaに対する立体交差構造)を有してもよい。第2接続ブスBC2は、第2外側素子モジュールQ4から見て、交流ブスBAの第1端部BAa(すなわち、交流ブスBAと第2内側素子モジュールQ3との接続部)を超えて−X方向側に延びている。このような構成によれば、例えばヒートシンク150の複数のフィン152の間だけでなく第2接続ブスBC2の周囲にも送風部160による冷却風が供給される場合に、第2接続ブスBC2の一部は、第2内側素子モジュールQ3よりも風上側に位置し、第2内側素子モジュールQ3の熱の煽りを受けずに、上記冷却風によって冷却されることができる。
図7は、上述した6つのモジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCM,DBMを代表して、第1外側素子モジュールQ1の内部構成の一例を示す断面図である。なお、図7は、図6中に示されたF7−F7線に沿う断面図である。ただし、図7では、ボンディングワイヤなど一部の配線部品の図示は省略されている。
図7に示すように、第1外側素子モジュールQ1は、第1スイッチング素子SW1、第1還流ダイオードDF1、パッケージ111、第1セラミック基板201、第2セラミック基板202、および封止樹脂部203を有する。パッケージ111は、ベース板211と、カバー212とを有する。ベース板211は、例えば平板状であるが、これに限定されない。カバー212は、パッケージ111の内部に第1スイッチング素子SW1および第1還流ダイオードDF1を収容する収容部Sを形成するように凹部状に形成されている。このようなベース板211とカバー212とが組み合わされることで、内部に収容部Sを有した箱型のパッケージ111が形成されている。ベース板211は、金属製であり、上述した固定部材Mによりヒートシンク150に固定され、ヒートシンク150と熱的に接続される。これにより、第1外側素子モジュールQ1とヒートシンク150とが熱的に良好に接続される。一方で、カバー212は、例えば、合成樹脂製である。
第1および第2のセラミック基板201,202は、パッケージ111の収容部Sに収容されている。第1および第2のセラミック基板201,202の各々は、セラミック製の本体部204aと、本体部204aの表裏にそれぞれ設けられた銅層204b,204cとを有する。第1および第2のセラミック基板201,202は、パッケージ111の内部において、はんだ部205を介してベース板211に取り付けられている。
第1スイッチング素子SW1は、第1セラミック基板201に対して、ベース板211とは反対側から取り付けられている。第1スイッチング素子SW1と第1セラミック基板201との間には、はんだ部206が設けられている。第1スイッチング素子SW1は、ボンディングワイヤ(不図示)、第1セラミック基板201の銅層204b、およびパッケージ111の内部の電気接続部(不図示)を介して、端子111a,111bに電気的に接続されている。同様に、第1還流ダイオードDF1は、第2セラミック基板202に対して、ベース板211とは反対側から取り付けられている。第1還流ダイオードDF1と第2セラミック基板202との間には、はんだ部206が設けられている。第1還流ダイオードDF1は、ボンディングワイヤ(不図示)、第2セラミック基板202の銅層204b、およびパッケージ111の内部の電気接続部(不図示)を介して、端子111a,111bに電気的に接続されている。封止樹脂部203は、パッケージ111の内部において、第1スイッチング素子SW1、第1還流ダイオードDF1、第1セラミック基板201、および第2セラミック基板202を封止している。
以上、第1外側素子モジュールQ1の内部構成について説明したが、他のモジュールQ2,Q3,Q4,DCM,DBMの内部構成も図7に示す構成と略同じである。すなわち、パッケージ112,113,114,115,116の各々は、例えば、金属製のベース211と、合成樹脂製のカバー212とによって構成されている。なお、モジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCM,DBMの内部構成や、パッケージ111,112,113,114,115,116の構成は、上記例に限定されない。
図8は、上述した物理的構成における「遮断経路」および「還流経路」の一例を示す図である。図8は、第1クランプダイオードDC1と第2スイッチング素子SW2との通電時に第2スイッチング素子SW2がターンオフする前後の遮断経路R1および還流経路R2を示す。なお図7では、説明の便宜上、直流正極ブスBDP、直流負極ブスBDN、および中性点ブスBCの図示を省略している。
ここでは、まず、本実施形態の還流経路R2について説明し、次に、遮断経路R1について説明する。
図8に示すように、第2スイッチング素子SW2のターンオフに関する還流経路R2は、仮想点Aで分流する第1経路R2aと第2経路R2bとを有する。第1経路R2aは、第2外側素子モジュールQ4の端子114bから、第2外側素子モジュールQ4の内部、第2外側素子モジュールQ4の端子114a、第2接続ブスBC2、第2内側素子モジュールQ3の端子113b、第2内側素子モジュールQ3の内部、第2内側素子モジュールQ3の端子113aを順に通り、交流ブスBAに至る。第2経路R2bは、第2外側素子モジュールQ4の端子114bから、第2外側素子モジュールQ4の内部、第2外側素子モジュールQ4の端子114a、第2接続ブスBC2、分流ダイオードモジュールDBMの端子116b、分流ダイオードモジュールDBMの内部、分流ダイオードモジュールDBMの端子116cを順に通り、交流ブスBAに至る。このような構成によれば、複数の還流経路R2a,R2bが電気的に並列に形成されることで、還流経路R2のインダクタンスは、分流ダイオードモジュールDBMが存在しない場合に比べて、低減されている。
図8に示すように、第2スイッチング素子SW2のターンオフに関する遮断経路R1は、クランプダイオードモジュールDCMの端子115cから、クランプダイオードモジュールDCMの内部、クランプダイオードモジュールDCMの端子115a、第1接続ブスBC1、第1内側素子モジュールQ2の端子112a、第1内側素子モジュールQ2の内部、第1内側素子モジュールQ2の端子112bを順に通り、交流ブスBAに至る。
ここで、本実施形態では、クランプダイオードモジュールDCMと第1内側素子モジュールQ2とが隣同士に配置され、第2スイッチング素子SW2に関する遮断経路の長さが比較的短い。これにより、本実施形態の構成によれば、例えば分流ダイオードモジュールDBMが第1内側素子モジュールQ2とクランプダイオードモジュールDCMとの間に配置された場合(第2実施形態として後述、図12および図13参照)に比べて、遮断経路R1のインダクタンスが低減されている。なお、「第2スイッチング素子SW2に関する遮断経路の長さ」とは、例えば、第2スイッチング素子SW2と中性点C(例えば、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との電気接続点)との間の距離であり、第2スイッチング素子SW2がターンオフした場合に、電流の減少率に応じた電圧が誘起される経路の長さを意味する。
例えば、本実施形態では、第1内側素子モジュールQ2の端子112aとクランプダイオードモジュールDCMの端子115aとの間の最短距離L1は、分流ダイオードモジュールDBMの端子116aとクランプダイオードモジュールDCMの端子115aとの間の最短距離L2よりも短い(図6参照)。言い換えると、第2スイッチング素子SW2と第1クランプダイオードDC1との間のインダクタンスは、第1分流ダイオードDB1と第1クランプダイオードDC1との間のインダクタンスよりも小さい。本実施形態では、上述した関係を満たすように各モジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCM,DBMが配置されることで、例えば分流ダイオードモジュールDBMが第1内側素子モジュールQ2とクランプダイオードモジュールDCMとの間に配置された場合(第2実施形態として後述、図12および図13参照)に比べて、第1クランプダイオードDC1と第2スイッチング素子SW2との間のインダクタンスが低減されている。第1内側素子モジュールQ2の端子112aは、「第1端子」の一例である。分流ダイオードモジュールDBMの端子116aは、「第2端子」の一例である。クランプダイオードモジュールDCMの端子115aは、「第3端子」の一例である。
なお、上述した構成は、第2スイッチング素子SW2に関する遮断経路R1および還流経路R2に限らす、第3スイッチング素子SW3に関する遮断経路および還流経路についても同様である。例えば、本実施形態では、第2内側素子モジュールQ3の端子113bとクランプダイオードモジュールDCMの端子115bとの間の最短距離L3は、分流ダイオードモジュールDBMの端子116bとクランプダイオードモジュールDCMの端子115bとの間の最短距離L4よりも短い(図6参照)。言い換えると、第3スイッチング素子SW3と第2クランプダイオードDC2との間のインダクタンスは、第2分流ダイオードDB2と第2クランプダイオードDC2との間のインダクタンスよりも小さい。本実施形態では、上述した関係を満たすように各モジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCM,DBMが配置されることで、例えば分流ダイオードモジュールDBMが第2内側素子モジュールQ3とクランプダイオードモジュールDCMとの間に配置された場合(第2実施形態として後述、図12および図13参照)に比べて、第2クランプダイオードDC2と第3スイッチング素子SW3との間のインダクタンスが低減されている。
次に、分流ダイオードモジュールDBMの作用について説明する。まず前提として、図3および図4を用いて上述したように、3レベルのコンバータ100では、第1外側素子モジュールQ1に電流が流れる場合は、第1内側素子モジュールQ2にも必ず電流が流れる。一方で、第1内側素子モジュールQ2に電流が流れる場合には、第1外側素子モジュールQ1に電流が流れる場合と、第1外側素子モジュールQ1に電流が流れない場合とがある。このため、第1分流ダイオードDB1が設けられていない場合では、第1内側素子モジュールQ2で発生する損失が第1外側素子モジュールQ1で発生する損失よりも大きく、その結果、第1内側素子モジュールQ2は第1外側素子モジュールQ1よりも大きく発熱する。特にPWM制御の周期に対して第1内側素子モジュールQ2が通電する期間が長い場合に、第1外側素子モジュールQ1に比べて第1内側素子モジュールQ2の発熱量が大きくなる。
一方で、本実施形態にように分流ダイオードモジュールDBMが設けられると、第1内側素子モジュールQ2に向けて流れる電流は、第1内側素子モジュールQ2と分流ダイオードモジュールDBMとに分かれて流れる。これにより、分流ダイオードモジュールDBMが設けられていない場合に第1内側素子モジュールQ2で生じていた損失(発熱)の一部を、第1内側素子モジュールQ2および分流ダイオードモジュールDBMに分散させることができる。その結果、特定のモジュールの温度上昇が他のモジュールの温度上昇に比べて過度に大きくなることを抑制し、コンバータ100全体として所定の温度範囲内で運転を行うことができる。これは、第2内側素子モジュールQ3に対する分流ダイオードDB2の作用についても同様である。
図9および図10は、本実施形態の構成と、分流ダイオードモジュールDBMが設けられていないこと以外は本実施形態の構成と同じ構成とについてのコンバータ運転状態において、分流ダイオードモジュールDBMが設けられていない場合(図9)と、分流ダイオードモジュールDBMが設けられた場合(図10)との各モジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCM,DBMの発熱量のシミュレーション結果の一例を示す。図9および図10では、第1および第2の外側素子モジュールQ1,Q4の発熱量を100%として他のモジュールQ2,Q3,DCM,DBMの発熱量を換算した値を示す。図9および図10に示すように、分流ダイオードモジュールDBMが設けられた場合、分流ダイオードモジュールDBMが設けられていない場合に比べて、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3で発生する熱が約30%減少することが分かる。この減少により、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の温度上昇が低減され、その分だけ素子の許容限界ジャンクション温度に対する裕度が生じる。
図11は、分流ダイオードモジュールDBMが設けられていない場合と、分流ダイオードモジュールDBMが設けられた場合とでコンバータ100に生じるサージ電圧の実験結果を示す図である。なお、図11は、本実施形態の構成と、分流ダイオードモジュールDBMが設けられていないこと以外は本実施形態の構成と同じ構成とについて、同じ値の電流が遮断されたとき(第2スイッチング素子SW2または第3スイッチング素子SW3がターンオフしたとき)のサージ電圧をプロットしたものである。なお、図11におけるサージ電圧は、遮断時の電圧のはね上がり成分のみを示す。すなわち、第2スイッチング素子SW2(または第3スイッチング素子SW3)に作用するサージ電圧は、上記プロットした値と、直流成分による電圧とを合わせた値である。
上述したように、本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMが設けられ、複数の還流経路R2a,R2bが形成されることで、還流経路のインダクタンスが低減されている。本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMが設けられることで、分流ダイオードモジュールDBMが設けられていない場合と比べて、還流経路のインダクタンスが約10%低減されている。その結果、図11に示すように、サージ電圧が低減することが確認できる。また本実験のなかで、本実施形態のように分流ダイオードモジュールDBMを設けた場合、例えば図4中(b)の動作モードにおいて、第2還流ダイオードDF2と第1分流ダイオードDB1とに、約5:4の割合で電流が分かれて流れることが本発明者らにより確認されている。この傾向は、例えば図3中(b)の動作モードにおいて、第3還流ダイオードDF3と第2分流ダイオードDB2とに流れる電流の分流比においても同じである。
以上のような構成によれば、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の温度上昇の抑制を図ることができる。すなわち、本実施形態では、コンバータ100は、第2還流ダイオードDF2と電気的に並列に接続された第1分流ダイオードDB1を備える。第2還流ダイオードDF2は、第1内側素子モジュールQ2に内蔵されている。一方で、第1分流ダイオードDB1は、第1内側素子モジュールQ2とは異なるとともにスイッチング素子を含まない分流ダイオードモジュールDBMに内蔵されている。このような構成によれば、分流ダイオードモジュールDBMが設けられていない場合に第1内側素子モジュールQ2で生じていた損失(発熱)を、複数のモジュール(第1内側素子モジュールQ2および分流ダイオードモジュールDBM)に分散させることができる。これにより、第1内側素子モジュールQ2の温度上昇が第1外側素子モジュールQ1の温度上昇に比べて過度に大きくなることを抑制することができる。また、このような構成によれば、冷却に裕度が生じるので、コンバータ100の大容量化を図ることもできる。
本実施形態では、電力変換装置がコンバータ100として用いられる場合、スイッチング素子SW1,SW2,SW3,SW4を通るエネルギーに比べて、還流ダイオードDF1,DF2,DF3,DF4を通るエネルギーが大きい。このため、本実施形態では、スイッチング素子とダイオードとがセットになったモジュールを追加するのではなく、スイッチング素子を含まないモジュールを追加することで、複数のモジュールで発熱を分散させている。このような構成によれば、スイッチング素子とダイオードとがセットになったモジュールを追加する場合に比べて、低コスト化および機器の小型化を図ることができる。
ここで、一般的にダイオードの順方向電圧降下に関する特性は、周囲温度の影響を受けて変化する場合がある。このため、例えば、第2還流ダイオードDF2の温度と第1分流ダイオードDB1の温度とが大きく異なると、第2還流ダイオードDF2と第1分流ダイオードDB1とで、順方向電圧降下に関する特性に差異が生じ、第2還流ダイオードDF2と第1分流ダイオードDB1とに分かれる電流の割合が影響を受ける可能性がある。しかしながら、本実施形態では、第1内側素子モジュールQ2および分流ダイオードモジュールDBMは、1つのヒートシンク150に共に取り付けられている。言い換えると、第1内側素子モジュールQ2と分流ダイオードモジュールDBMとは、ヒートシンク150を介して互いに熱が伝わる。これにより、第2還流ダイオードDF2の温度と第1分流ダイオードDB1の温度とが大きく異なることが抑制され、第2還流ダイオードDF2と第1分流ダイオードDB1との順方向電圧降下に関する特性が揃いやすくなる。これにより、第2還流ダイオードDF2と第1分流ダイオードDB1とに電流が略均等に分かれやすくなり、第2還流ダイオードDF2および第1分流ダイオードDB1の両方の温度上昇を抑制しやすくなる。
本実施形態では、コンバータ100は、第3還流ダイオードDF3と電気的に並列に接続された第2分流ダイオードDB2を備える。第2分流ダイオードDB2は、第1分流ダイオードDB1と共に分流ダイオードモジュールDBMに内蔵されている。このような構成によれば、例えば、第1分流ダイオードDB1から放出された熱は、第1および第2の分流ダイオードDB1,DB2を収容した比較的大きなモジュール(ヒートシンク150に対する熱接続面積が比較的大きなモジュール)を利用して放出される。これにより、第1分流ダイオードDB1の温度上昇をさらに抑制することができる。これは、第2分流ダイオードDB2についても同様である。
本実施形態では、コンバータ100は、交流端子Tまたは交流端子Tに電気的に接続された導体CBに向けて第1内側素子モジュールQ2から−X方向側に延びた交流バスBAを備えている。分流ダイオードモジュールDBMは、第1内側素子モジュールQ2に対して−X方向側(すなわち交流電力の入力側)に配置されている。このような構成によれば、第1内側素子モジュールQ2とクランプダイオードモジュールDCMとを互いに近くに配置しやすくなる。言い換えると、第1内側素子モジュールQ2と第1コンデンサC1とを互いに近くに配置しやすくなる。このため、例えば第2スイッチング素子SW2に関する遮断経路の長さが長くなりにくく、遮断経路のインダクタンスを比較的小さく抑えることができる。これにより、サージ電圧を小さくすることができる。また、このような構成によれば、分流ダイオードモジュールDBMを、第1および第2のコンデンサC1,C2に対して邪魔になりにくい位置に配置することができる。これにより、機器の小型化を図ることもできる。
本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMは、第1内側素子モジュールQ2の少なくとも一部に対して、クランプダイオードモジュールDCMとは反対側に配置されている。このような構成によれば、上述した遮断経路の長さが長くなりにくく、遮断経路のインダクタンスを比較的小さく抑えることができる。これにより、サージ電圧を小さくすることができる。
本実施形態では、第1内側素子モジュールQ2は、第1接続ブスBC1に接続された端子112aを有する。分流ダイオードモジュールDBMは、第1接続ブスBC1に接続された端子116aを有する。クランプダイオードモジュールDCMは、第1接続ブスBC1に接続された端子115aを有する。そして、第1内側素子モジュールQ2の端子112aとクランプダイオードモジュールDCMの端子115aとの間の最短距離L1は、分流ダイオードモジュールDBMの端子116aとクランプダイオードモジュールDCMの端子115aとの最短距離L2よりも短い。このような構成によれば、例えば分流ダイオードモジュールDBMが第2内側素子モジュールQ2とクランプダイオードモジュールDCMとの間に配置された場合(第2実施形態として後述、図12および図13参照)に比べて、上述した遮断経路の長さが長くなりにくく、遮断経路のインダクタンスを比較的小さく抑えることができる。これにより、サージ電圧を小さくすることができる。
本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMは、全てのモジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCM,DBMのなかで、最も風上側に配置されている。このような構成によれば、ヒートシンク150において分流ダイオードモジュールDBMの近傍に比較的冷たい風(他のモジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCMにより暖められていない風)を供給することができる。これにより、分流ダイオードモジュールDBMの放熱性をさらに高めることができる。
本実施形態では、第2還流ダイオードDF2および第1分流ダイオードDB1は、順方向電圧降下に関する特性が互いに略同じである。このような構成によれば、第2還流ダイオードDF2と第1分流ダイオードDB1とに略均等に電流を分けて流すことができる。これにより、第2還流ダイオードDF2および第1分流ダイオードDB1での熱の分散をより効果的に図ることができる。これは、第3還流ダイオードDF3と第2分流ダイオードDB2との順方向電圧降下に関する特性が互いに略同じ場合も同様である。
本実施形態では、交流端子Tと第1分流ダイオードDB1との間の配線長は、交流端子Tと第2還流ダイオードDF2との間の配線長よりも短い。このため、本実施形態では、第1分流ダイオードDB1と第2還流ダイオードDF2とに関する他の条件が同じ場合、第1分流ダイオードDB1に流れる電流は、第2還流ダイオードDF2に流れる電流よりも多くなり得る。ここで、第1分流ダイオードDB1を内蔵した分流ダイオードモジュールDBMは、スイッチング素子を有しないため、第2還流ダイオードDF2および第2スイッチング素子SW2を内蔵した第1内側素子モジュールQ2と比べて熱くなりにくい。また別の観点で見ると、第1分流ダイオードDB1は、第2還流ダイオードDF2に比べて、第2スイッチング素子SW2から遠くに離れている。この観点で見ても、第1分流ダイオードDB1は、第2スイッチング素子SW2からの熱の影響を受けにくく、第2還流ダイオードDF2に比べて熱くなりにくい。このため、第1分流ダイオードDB1に流れる電流が第2還流ダイオードDF2に流れる電流と略同じかそれよりも多いと、熱の分散による温度上昇の抑制をさらに効果的に図ることができる。また、本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMは、第1内側素子モジュールQ2の風上側に配置されており、ヒートシンク150の複数のフィン152の間の隙間を流れる冷却風によって第1内側素子モジュールQ2よりも冷却されやすい。このため、第1分流ダイオードDB1に流れる電流が第2還流ダイオードDF2に流れる電流と略同じかそれよりも多いと、熱の分散による温度上昇の抑制をさらに効果的に図ることができる。これは、交流端子Tと第2分流ダイオードDB2との間の配線長が交流端子Tと第3還流ダイオードDF3との間の配線長よりも短い場合も同様である。
(第2の実施形態)
次に、図12から図14を参照して、第2の実施形態のコンバータ100およびドライブ装置1について説明する。第2の実施形態は、分流ダイオードモジュールDBMが第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3とクランプダイオードモジュールDCMとの間に配置された点で、第1の実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。
図12は、本実施形態のコンバータ100の第1レグ110に対応する物理的構成を示す斜視図である。図13は、上記物理的構成を示す平面図である。図12および図13に示すように、本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMが第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3とクランプダイオードモジュールDCMとの間に配置されている。このため本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMの端子116aおよび第1内側素子モジュールQ2の端子112a,112bは、端子112b、端子112a、端子116aの順で+X方向に並んでいる。同様に、分流ダイオードモジュールDBMの端子116bおよび第2内側素子モジュールQ3の端子113a、113bは、端子113a、端子113b、端子116bの順で+X方向に並んでいる。
図13に示すように、第1内側素子モジュールQ2の端子112aとクランプダイオードモジュールDCMの端子115aとの間の最短距離L1Aは、分流ダイオードモジュールDBMの端子116aとクランプダイオードモジュールDCMの端子115aとの間の最短距離L2Aよりも長い。同様に、第2内側素子モジュールQ3の端子113bとクランプダイオードモジュールDCMの端子115bとの間の最短距離L3Aは、分流ダイオードモジュールDBMの端子116bとクランプダイオードモジュールDCMの端子115bとの間の最短距離L4Aよりも長い。
図14は、本実施形態のコンバータ100の遮断経路R1および還流経路R2の一例を示す図である。図14は、第1クランプダイオードDC1と第2スイッチング素子SW2との通電時に第2スイッチング素子SW2がターンオフする前後の遮断経路R1および還流経路R2を示す。本実施形態の構成では、第1の実施形態の構成に比べて、遮断経路R1の長さ(例えば、第2スイッチング素子SW2と中性点Cとの間の長さ)が長い。
このような構成によれば、第1の実施形態と同様に、複数のモジュール(分流ダイオードモジュールDBMおよび第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3)に発熱を分散させることができる。これにより、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の温度上昇を抑制することができる。また本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、分流による複数の還流経路が形成されることで、還流経路のインダクタンスは、分流ダイオードモジュールDBMが存在しない場合に比べて、低減されている。これにより、サージ電圧を低減することができる。
ただ、本実施形態の構成によれば、第1の実施形態との比較では遮断経路R1の長さが長くなるため、第1の実施形態に比べてサージ電圧が増加してしまう。言い換えると、第1の実施形態の構成によれば、本実施形態の構成に比べて、遮断経路R1の長さを短く抑えることができ、サージ電圧の低減を図ることができる。このため、第1の実施形態のコンバータ100によれば、損失の低減をより効果的に図ることができる。
(第3の実施形態)
次に、図15および図16を参照して、第3の実施形態のコンバータ100およびドライブ装置1について説明する。第3の実施形態は、分流ダイオードモジュールDBMが第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3に対して+Y方向にずれた位置に配置された点で、第1の実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。
図15は、本実施形態のコンバータ100の第1レグ110に対応する物理的構成を示す斜視図である。図16は、上記物理的構成を示す平面図である。図15および図16に示すように、本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMは、2つの内側素子モジュールQ2,Q3の−X方向側(すなわち風上側)に配置されていない。本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3に対して+Y方向側に配置されている。すなわち、分流ダイオードモジュールDBMは、第2内側素子モジュールQ3に対して、第1内側素子モジュールQ2とは反対側に配置されている。分流ダイオードモジュールDBMは、3つの端子116a,116b,116cが並ぶ方向(X方向)に長手方向を有した直方体状に形成されている。これら3つの端子116a,116b,116cは、端子116a、端子116c、端子116bの順で+X方向に並んでいる。
本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMの端子116c、第1内側素子モジュールQ2の端子112b、および第3内側素子モジュールQ3の端子113aは、端子112b、端子113a、端子116cの順で+Y方向に並んでいる。これに伴い、本実施形態では、交流ブスBAは、Y方向に沿って延びている。第1接続ブスBC1は、L字形に形成されている。第2接続ブスBC2は、比較的広い矩形状に形成されている。また本実施形態では、第1および第2の外側素子モジュールQ1,Q4は、クランプダイオードモジュールDCMの+X方向側(すなわち風下側)に配置されている。
このような構成によれば、第1の実施形態と同様に、複数のモジュール(分流ダイオードモジュールDBMおよび第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3)に発熱を分散させることができる。これにより、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の温度上昇を抑制することができる。また本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、分流による複数の還流経路が形成されることで、還流経路のインダクタンスは、分流ダイオードモジュールDBMが存在しない場合に比べて、低減されている。これにより、サージ電圧を低減することができる。また本実施形態では、分流ダイオードモジュールDBMは、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3、クランプダイオードモジュールDCMなどの風上側には配置されていない。このため、分流ダイオードモジュールDBMによる熱の煽り(ヒートシンク150の複数のフィン152の間の隙間を通過する冷却風のなかで分流ダイオードモジュールDBMにより暖められた冷却風の影響など)が他のモジュールQ2,Q3に及びにくい。これにより、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の温度上昇をより効果的に抑制することができる。
(第4の実施形態)
次に、図17を参照して、第4の実施形態のコンバータ100Bおよびドライブ装置1Bについて説明する。第4の実施形態は、3相タイプのコンバータ100Bが設けられた点で、第1の実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。
図17は、第4の実施形態のドライブ装置1Bの一例を示す図である。図17に示すように、ドライブ装置1Bは、例えば、3相の3レベルコンバータ100Bと、3相の3レベルインバータ200Bと、制御装置20Bとを備えている。
3レベルコンバータ100B(以下、単に「コンバータ100B」と称する)は、NPC型の3レベルコンバータであり、「電力変換装置」の一例である。コンバータ100Bは、3相交流電源5に電気的に接続され、3相交流電源5から供給される交流電力を直流電力に変換する。コンバータ100Bは、例えば、PWMによりスイッチング素子が制御されるコンバータである。コンバータ100Bは、例えば、3つのレグ(第1レグ110、第2レグ120、第3レグ130)と、少なくとも1つ(例えば複数)の第1コンデンサC1と、少なくとも1つ(例えば複数)の第2コンデンサC2とを有する。なお、第1から第3のレグ110,120,130は、第1の実施形態で説明した第1レグ110と構成および機能が略同じである。
3レベルインバータ200B(以下、単に「インバータ200B」と称する)は、例えば、3相電動機6Bに電気的に接続されている。3相電動機6Bは、「負荷」の一例である。インバータ200Bは、コンバータ100Bにより変換されて出力された直流電力を、3相電動機6Bのトルクおよび速度を制御するための任意の周波数・電圧の交流電力に変換する。インバータ200Bは、変換した交流電力を3相電動機6Bに供給する。これにより、3相電動機6Bが駆動される。
制御装置20Bは、コンバータ100Bおよびインバータ200Bを制御する。例えば、制御装置20Bは、不図示の電圧検出器により検出された3相交流電源5の相電圧を示す情報に基づき、コンバータ100Bに含まれるスイッチング素子に制御信号を送ることで、コンバータ100Bを制御する。
このような構成によっても、第1の実施形態と同様に、複数のモジュール(分流ダイオードモジュールDBMおよび第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3)に発熱を分散させることができる。これにより、第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の温度上昇を抑制することができる。また本実施形態の構成においても、第1の実施形態と同様に、サージ電圧の低減を図ることができる。なお、本実施形態の第1から第3レグ110,120,130の構成としては、第1の実施形態で説明した構成に代えて、第2および第3の実施形態で説明した構成が採用されてもよい。
(第5の実施形態)
次に、図18を参照して、第5の実施形態のコンバータ100およびドライブ装置1について説明する。第5の実施形態は、分流ダイオードDB1,DB2が内側素子モジュールQ2,Q3に内蔵された点で、第1の実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。
図18は、コンバータ100の第1レグ110を示す図である。図18に示すように、本実施形態では、1つの第1スイッチング素子SW1によって、第1スイッチング部SWS1が構成されている。同様に、1つの第2スイッチング素子SW2によって、第2スイッチング部SWS2が構成されている。1つの第3スイッチング素子SW3によって、第3スイッチング部SWS3が構成されている。1つの第4スイッチング素子SW4によって、第4スイッチング部SWS4が構成されている。
また、1つの第1還流ダイオードDF1によって、第1ダイオード部DFS1が構成されている。1つの第4還流ダイオードDF4によって、第4ダイオード部DFS4が構成されている。1つの第1クランプダイオードDC1によって、第5ダイオード部DCS1が構成されている。1つの第2クランプダイオードDC2によって、第6ダイオード部DCS2が構成されている。
そして本実施形態では、第2還流ダイオードDF2と第1分流ダイオードDB1とによって第2ダイオード部DFS2が構成されている。第2ダイオード部DFS2は、第2スイッチング部SWS2に電気的に逆並列に接続された複数のダイオードの集まりである。第1分流ダイオードDB1は、第2還流ダイオードDF2および第2スイッチング素子SW2と共に、第1内側素子モジュールQ2に内蔵されている(すなわち、パッケージ112に収容されている)。
本実施形態では、第2ダイオード部DFS2の電流容量は、第2スイッチング部SWS2の電流容量よりも大きい。第2ダイオード部DFS2の電流容量は、第2還流ダイオードDF2の電流容量と第1分流ダイオードDB1の電流容量との合計値である。本実施形態では、第2スイッチング部SWS2は、1つ以上のスイッチング素子(例えば第2スイッチング素子SW2)によって構成されている。第2ダイオード部DFS2は、2つ以上のダイオード(第2還流ダイオードDF2および第1分流ダイオードDB1)によって構成されている。そして、第2ダイオード部DFS2を構成する前記2つ以上のダイオードの数は、第2スイッチング部SWS2を構成する前記1つ以上のスイッチング素子の数よりも多い。
同様に、第3還流ダイオードDF3と第2分流ダイオードDB2とによって第3ダイオード部DFS3が構成されている。第3ダイオード部DFS3は、第3スイッチング素子SW3に電気的に逆並列に接続された複数のダイオードの集まりである。第2分流ダイオードDB2は、第3還流ダイオードDF3および第3スイッチング素子SW3と共に、第2内側素子モジュールQ3に内蔵されている(すなわち、パッケージ113に収容されている)。
本実施形態では、第3ダイオード部DFS3の電流容量は、第3スイッチング部SWS3の電流容量よりも大きい。第3ダイオード部DFS3の電流容量は、第3還流ダイオードDF3の電流容量と第2分流ダイオードDB2の電流容量との合計値である。本実施形態では、第3スイッチング部SWS3は、1つ以上のスイッチング素子(例えば第3スイッチング素子SW3)によって構成されている。第3ダイオード部DFS3は、2つ以上のダイオード(第3還流ダイオードDF3および第2分流ダイオードDB2)によって構成されている。そして、第3ダイオード部DFS3を構成する前記2つ以上のダイオードの数は、第3スイッチング部SWS3を構成する前記1つ以上のスイッチング素子の数よりも多い。
このような構成によっても、コンバータ100の第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3の温度上昇を抑制することができる。例えば、本実施形態では、第2ダイオード部DFS2の電流容量は、第2スイッチング部SWS2の電流容量よりも大きい。このような構成によれば、電流容量が大きな第2ダイオード部DFS2のなかで熱が分散されるため、第1内側素子モジュールQ2の温度上昇を抑制することができる。これは、第3ダイオード部DFS3の電流容量は、第3スイッチング部SWS3の電流容量よりも大きい場合も同様である。
本実施形態では、第2ダイオード部DFS2を構成するダイオードの数は、第2スイッチング部SWS2を構成するスイッチング素子の数よりも多い。このような構成によれば、スイッチング素子の数よりも多い複数のダイオードに発熱箇所を分散させることができる。これにより、第1内側素子モジュールQ2のなかで熱が分散されるため、第1内側素子モジュールQ2の温度上昇をより効果的に抑制することができる。これは、第3ダイオード部DFS3を構成するダイオードの数は、第3スイッチング部SWS3を構成するスイッチング素子の数よりも多い場合も同様である。
なお、コンバータ100の第2レグ120(または、コンバータ100Bの第1から第3のレグ110,120,130)も、上述した構成と同様の構成を有してよい。
以上、いくつかの実施形態および変形例のコンバータ100,100Bおよびドライブ装置1,1Bについて説明したが、実施形態は上記例に限定されない。例えば、第1外側素子モジュールQ1と、第1内側素子モジュールQ2は、別々のパッケージに分かれている必要はない。例えば、第1および第2スイッチング素子SW1,SW2と第1および第2還流ダイオードDF1,DF2とが1つのパッケージに内蔵されていてもよい。第2外側素子モジュールQ4と第2内側素子モジュールQ3についても同様である。また、第1内側素子モジュールQ2と第2内側素子モジュールQ3は、別々のパッケージに分かれている必要はなく、1つのパッケージとして設けられてもよい。さらに言えば、第1および第2の外側素子モジュールQ1,Q4および第1および第2の内側素子モジュールQ2,Q3は、別々のパッケージに分かれている必要はなく、1つのパッケージとして設けられてもよい。
また、第1分流ダイオードDB1および第2分流ダイオードDB2は、1つのパッケージ116に収容されている必要はない。第1分流ダイオードDB1および第2分流ダイオードDB2は、別々のパッケージに収容されていてもよい。図19は、実施形態に係る変形例のコンバータの1つのレグに対応する物理的構成を示す斜視図である。図19に示すように、第1分流ダイオードDB1は、第1分流ダイオードモジュールDBM1に内蔵され、第1分流ダイオードモジュールDBM1のパッケージ116Aに収容されていてもよい。第2分流ダイオードDB2は、第2分流ダイオードモジュールDBM2に内蔵され、第2分流ダイオードモジュールDBM2のパッケージ116Bに収容されていてもよい。また、この変形例は、上述した全ての実施形態において適用可能である。
また、分流ダイオードモジュールDBMと、他のモジュールQ1,Q2,Q3,Q4,DCMとは、1つのヒートシンク150に取り付けられる必要はなく、互いに異なる複数のヒートシンクに分かれて取り付けられてもよい。また、ヒートシンク150の冷却方法は、風冷方式に限らず、水冷方式でもよい。
また、コンバータ100,100Bは、例えば回生電力の発生時に直流電力を交流電力に変換するインバータとしての機能を有してもよい。
また、コンバータ100,100Bは、インバータ200,200Bに代えて、インバータ以外の直流負荷と組み合わされてもよい。「直流負荷」とは、直流電力によって機能する装置を広く意味する。直流負荷は、例えば、直流電動機、電磁石、あるいはヒータなどであるが、これらに限定されない。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、還流ダイオードと電気的に並列に接続された分流ダイオードが設けられ、還流ダイオードは、第1パッケージに収容されており、分流ダイオードは、前記第1パッケージとは異なるとともにスイッチング素子を含まない第2パッケージに収容されている。このような構成によれば、半導体モジュールの温度上昇の抑制を図ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。