JP6762082B2 - 刺激応答性磁性ナノ粒子を用いた検出対象を検出する方法 - Google Patents
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Description
具体的には、本発明は以下の構成を有する。
(1)刺激応答性磁性ナノ粒子及び検出対象に対する親和性物質を有する吸着材と前記検出対象との結合体を、被検試料を含む水溶液中で生成させる工程
(2)刺激応答性磁性ナノ粒子が凝集する条件下におき、前記結合体を凝集させる工程
(3)凝集した結合体を磁石で回収する工程
(4)回収した結合体に陰イオン性界面活性剤を添加し、加熱処理し、検出対象から核酸を抽出する工程
(5)得られた核酸を試料として核酸増幅を行う工程
2.前記核酸増幅を行う工程における、前記陰イオン性界面活性剤の終濃度が、0.0001〜0.01質量%である、前記1に記載の検出対象の検出方法。
3.前記陰イオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム(LDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)、コール酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンからなる群より選ばれる少なくとも1の陰イオン性界面活性剤である、前記1または2に記載の検出対象の検出方法。
4.前記核酸増幅を行う工程における、前記刺激応答性磁性ナノ粒子の濃度が、0.1〜10質量%である、前記1〜3のいずれか1に記載の検出対象の検出方法。
5.前記核酸増幅を行う工程で使用する核酸増幅酵素が、Taqポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、又はAacポリメラーゼのいずれかであることを特徴とする、前記1〜4のいずれか1に記載の検出対象の検出方法。
また、本明細書において、「終濃度」とは、核酸増幅試験時の反応チューブ内の陰イオン性界面活性剤の濃度を示す。
本発明は、被検試料中の検出対象を検出する方法であって、以下の工程(1)〜(5)を含む検出対象の検出方法である。
(1)刺激応答性磁性ナノ粒子及び検出対象に対する親和性物質を有する吸着材と前記検出対象との結合体を、被検試料を含む水溶液中で生成させる工程
(2)刺激応答性磁性ナノ粒子が凝集する条件下におき、前記結合体を凝集させる工程
(3)凝集した結合体を磁石で回収する工程
(4)回収した結合体に陰イオン性界面活性剤を添加し、加熱処理し、検出対象から核酸を抽出する工程
(5)得られた核酸を試料として核酸増幅を行う工程。
(1)刺激応答性磁性ナノ粒子及び検出対象に対する親和性物質を有する吸着材と前記検出対象との結合体を、被検試料を含む水溶液中で生成させる工程
本発明の検出対象の検出方法は、被検試料中の検出対象から核酸を抽出し、当該核酸を増幅することにより、検出対象の検出を行うものである。本発明においては、検出対象から核酸を抽出するために、まず被検試料中の検出対象を回収する工程を有する。本工程は検出対象回収の第1段階として、吸着材と検出対象の結合体を水溶液中で生成させる工程である。
被検試料としては、検出対象を含有するものであれば特に限定はされないが、例えば、水道原水、河川水、湖沼水、井戸水、地下水、下水、廃水、プールの水、公園の水等の環境中に存在する水試料、または、牧場土、農地土、湖沼土、河川土等の環境中に存在する土壌試料等の環境試料、ヒト、家畜、ペット等の糞便等の生体試料、飲料食品、生野菜、果物等の食品試料等が挙げられる。
検出対象としては、核酸を抽出、増幅することにより検出が可能であるものであれば特に限定されず、例えば、動物(ヒトを含む)、植物、微生物(原虫、原生動物等も含む)等の生物を対象とすることが可能である。検出対象としては、例えば、クリプトスポリジウムのようなオーシストを形成した原虫等であっても、本発明の検出対象として適用可能である。
本発明において吸着材は、検出対象を回収するために用いることができる。吸着材は、刺激応答性磁性ナノ粒子及び検出対象に対する親和性物質を有する。
本発明においては、被検試料を含む水溶液中の検出対象の回収に刺激応答性磁性ナノ粒子を使用する。刺激応答性磁性ナノ粒子を使用することによって、刺激応答性磁性ナノ粒子と検出対象との結合を解離せずとも、両者が結合したまま検出対象から核酸を抽出し、その後の核酸増幅試験等を実施することができ、簡易に検出対象の検出を行うことができる。
このようなpH応答性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル、リン酸、スルホニル、アミノ等の基を官能基として含有するポリマーが挙げられる。より具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ホスホリルエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドまたはこれらの塩を共重合成分として含むポリマーが挙げられる。
本発明で用いられる親和性物質としては、検出対象に対して結合するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、抗体、アプタマー、カチオン性官能基を有する物質(例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム基またはグアニジノ基を有する物質)、アニオン性官能基を有する物質、標的物質と相互作用する蛋白質(例えば、酵素、レセプター)、キレート剤などが挙げられる。
刺激応答性磁性ナノ粒子と親和性物質との結合方法は、特に限定されないが、例えば、刺激応答性磁性ナノ粒子側(例えば刺激応答性ポリマー部分)及び親和性物質側の双方に、互いに親和性の物質(例えば、ビオチン及びストレプトアビジンまたはアビジン)を結合させ、これら物質を介して刺激応答性磁性ナノ粒子と親和性物質を結合させる。
上述した吸着材と検出対象との結合体は、水溶液中で吸着材と検出対象を任意の方法で混合させることによって、吸着材中の親和性物質と検出対象が結合し、吸着材と検出対象の結合体が生成する。親和性物質と検出対象との結合は、特異的な結合ないし吸着を意味し、必ずしも共有結合である必要はなく、イオン的、生化学的親和性(アフィニティー)を利用した結合であってもよい。例えば、抗原と抗体の結合、酵素と基質の結合、キレート剤と金属イオンの結合、アビジン−ビオチン等の特異的な結合が例示できる。混合操作は、適当なバッファー中で、吸着材と検出対象が接触し得るならば制限はない。例えば、検出対象を含む被検試料及び吸着材が供されたチューブを軽く転倒撹拌または振とうさせる程度で十分であり、例えば市販のボルテックスミキサー等を用いて混合する操作等が挙げられる。
本工程は検出対象回収の第2段階として、工程(1)において得られた吸着材と検出対象の結合体において、結合体中の刺激応答性ポリマーが凝集する条件下におき、結合体を凝集させる工程である。
本工程は検出対象回収の最終段階として、工程(2)で凝集した結合体を磁石で分離し、検出対象を回収する工程である。磁性粒子を含有する結合体に磁力を付加することで、凝集した結合体を混合液中から分離し、回収する。これにより、結合体が非凝集状態の磁性物質を含む夾雑物から分離され、検出対象の回収が可能となる。
本工程は、上記工程(1)〜(3)において回収した結合体中の検出対象から、核酸を抽出する工程である。本発明において、回収した結合体中の検出対象から核酸を抽出するために、結合物に陰イオン性界面活性剤を添加することにより、検出対象と陰イオン性界面活性剤を接触させる。検出対象と陰イオン性界面活性剤を接触させた後に、加熱処理を行い、検出対象から核酸を抽出する。抽出試薬として陰イオン性界面活性剤を用いることにより、細菌類や動物細胞などの任意の種類の細胞に適用することができる。
また、試薬形態が凍結乾燥状態又は乾燥状態である場合には、必要に応じてそれを溶解するための溶液と組み合わせてもよい。
ここで、検出の対象となるクリプトスポリジウムとは、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)属に属する微生物を指し、クリプトスポリジウムには具体的には、Cryptosporidium parvum種(以下、C.parvumと略する。)、Cryptosporidium muris種(以下、C.murisと略する。)、Cryptosporidium baileyi種(以下、C.baileyiと略する。)、Cryptosporidium serpentis種(以下、C.serpentisと略する。)、Cryptosporidium meleagridis種(以下、C.meleagridisと略する。)、Cryptosporidium felis種(以下C.ferisと略する。)等が含まれ、本発明の方法は、これらの種を種識別的に検出するために用いられる。
本工程は、上記工程で得られた核酸を試料として核酸増幅を行う工程である。上述したように、吸着材中の刺激応答性磁性ナノ粒子はその濃度が高いと、逆転写反応や核酸増幅を阻害しうる。しかしながら本発明では、工程(4)において検出対象とともに刺激応答性磁性ナノ粒子を陰イオン性界面活性剤で加熱処理することにより、刺激応答性磁性ナノ粒子による逆転写反応及び核酸増幅の阻害を軽減することができる。また、本発明においては磁性微粒子として分散性に優れた刺激応答性磁性ナノ粒子を使用するため、以下に記載する逆転写反応や核酸増幅試験に使用する反応液に磁性微粒子が残存していても、液中で適度に分散するため、効率よく逆転写反応や核酸増幅試験を行うことができる。
本工程は、工程(5)の後にさらに加えられることが好ましい。本工程は、工程(4)で増幅したDNA鎖断片(PCR増幅産物)を検量して、被検試料中の検出対象の存在の有無を判定する。
但し、「%」は「質量%」を示す。
試験例1では、SDS溶液で加熱処理された刺激応答性磁性ナノ粒子が、リアルタイムPCRに及ぼす影響について評価した。
(1)オーシスト回収用磁性ナノ粒子(TM−AC)の作製
アビジンが結合している熱応答性磁性ナノ粒子(Therma−Max LA Avidin,4g/l,JNC株式会社)1mlとC.parvumオーシストに特異的なビオチン化モノクローナル抗体(Crypt−a−Glo biotin reagentキット(20倍濃縮),Waterborne社)20μlを混合・結合させて、オーシスト回収用磁性ナノ粒子(Therma−Max−Anti−Cryptosporidium:TM−AC)を作製した。
(1)で作製したTM−ACとSDS(終濃度0.1%)をマイクロチューブに投入し、ウォーターバスで加熱処理(90℃,15分)することにより、TM−ACに対してSET法(Surfactant extraction treatment法(界面活性剤抽出処理法))を実施した。
TM−ACの終濃度を0.1%に調製し、DNA試料とともに、リアルタイムPCRを行った。
<DNA試料>
クリプトスポリジウムのDNA試料として、人工合成DNA(C.parvum 18S rDNA gene,192bp)(ttta tggaagggtt gtatttatta gataaagaac caatataatt ggtgactcat aataacttta cggatcacat taaatgtgac atatcattca agtttctgac ctatcagctt tagacggtag ggtattggcc taccgtggca atgacgggta acggggaatt agggttcgat tccggagagg gagcctga:配列番号1)が挿入されたDNAプラスミド溶液(ユーロフィンジェノミクス社)を用いた。
PCRはクリプトスポリジウム18S rDNA遺伝子に特異的なプライマーセット
forward:5’− GGAAGGGTTGTATTTATTAGATAAAGAACC−3’(配列番号2)、reverse:5’− CTCCCTCTCCGGAATCGAA−3(配列番号3)(各5μM)0.8μlとTaqManプローブ:TCTGACCZATCAGCTT(配列番号4)(1μM)2.0μl、PCR試薬Premix EX Taq(タカラバイオ株式会社)10μl、リアルタイムPCR(LightCycler Nano,ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を用いて行った。陽生対照(5×106copies/ml)の添加量は2μl、PCRの反応液量は20μlで行った。
PCR条件は「Hold;1cycle(95℃、30s),2Step PCR;45cycles(60℃、30s,95℃、10s)」で行った。Ct値(Threshold Cycle)はLightCycler Nano ソフトウェアで解析した。
参考例1−2は、TM−ACに対するSET法を行わなかったこと以外は、参考例1−1と同様に試験を行った。
[参考例2−1、参考例2−2]
参考例2−1は、TM−ACの終濃度を0.5%に調製したこと以外は、参考例1−1と同様に試験を行った。参考例2−2は、TM−ACに対するSET法を行わず、TM−ACの終濃度を0.5%に調製したこと以外は、参考例1−1と同様に試験を行った。
[参考例3−1、参考例3−2]
参考例3−1は、TM−ACの終濃度を1.0%に調製したこと以外は、参考例1−1と同様に試験を行った。参考例3−2は、TM−ACに対するSET法を行わず、TM−ACの終濃度を1.0%に調製したこと以外は、参考例1−1と同様に試験を行った。
[対照例1、2]
対照例1は、TM−ACの終濃度を0%としたこと以外は、参考例1−1と同様に試験を行った。対照例2は、TM−ACに対するSET法を行わず、TM−ACの終濃度を0%としたこと以外は、参考例1−1と同様に試験を行った
試験例2では、TM−ACを用いてクリプトスポリジウムオーシストを回収し、回収したオーシストとともにTM−ACに対しSET法を行い、オーシストからDNAを抽出後、TM−ACとともにリアルタイムPCR法を行いオーシストの検出感度を評価した。
[実施例1〜3]
(1)クリプトスポリジウムオーシストの回収
オーシスト含有水(105個/750ml)に上記のTM−AC 100μlを添加し、ゆっくり回転(18rpm)させながら室温で15分間インキュベーションしてTM−ACとオーシストの結合体を作製した。42℃で1分間加温した直後、磁石盤にマイクロチューブをセットし1分間以上置き、TM−ACとオーシスト結合体を磁気分離した。磁気分離後、上清を除去した。
回収したTM−ACとオーシスト結合体が入っているマイクロチューブに氷浴で冷えているSDS(終濃度0.1%)含有TEバッファー(pH8.0、0.01M Tris−TCl、1mM EDTA−Na2)100μl投入してTM−ACを分散させた(最初のTM−AC濃度とほぼ同じ濃度に調製する)。その後、ウォーターバスで加熱処理(90℃,15分)することにより、SET法(Surfactant extraction treatment法(界面活性剤抽出処理法))を実施し、オーシストからDNAを抽出した。
上記SET法で得られたDNA抽出液(SDS0.1%、TM−AC100%(製品濃度とほぼ同じ)、オーシスト1000個/μl)を10〜1000倍希釈することによってPCR反応液を表1に示す濃度となるよう調整し、リアルタイムPCRを行った。
<DNA試料>
クリプトスポリジウムのDNA試料としては、上記オーシストから抽出したDNAを使用した。陽性対照としては、オーシストの陽生対照として、Cryptosporidium parvumオーシストをマウスに経口投与して感染させ、マウスの糞便から密度勾配遠心法を用いて回収された定量済みオーシスト(Iowa Isolate,Waterborne社)を用いた。
PCRはクリプトスポリジウム18S rDNA遺伝子に特異的なプライマーセット(各5μM)0.8μlとTaqManプローブ(1μM)2.0μl、PCR試薬Premix EX Taq(タカラバイオ株式会社)10μl、リアルタイムPCR(LightCycler Nano,ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を用いて行った。陽生対照(5×106copies/ml)の添加量は2μl、PCRの反応液量は20μlで行った。
PCR条件は「Hold;1cycle(95℃、30s),2Step PCR;45cycles(60℃、30s,95℃、10s)」で行った。Ct値(Threshold Cycle)はLightCycler Nano ソフトウェアで解析した。
実施例1の希釈率1/10の試料(オーシスト200個)は、PCRを阻害する1%TM−ACを含んでいるが、SETにより阻害が抑制されてDNAが検出された。また、実施例2のオーシスト20個の試料(希釈率1/100)、実施例3のオーシスト2個の試料(希釈率1/1000)からもDNAを検出することができた。オーシストの減少に伴いCt値は増加し、各希釈率のCt値とオーシスト数には相関がみられた。
この結果より、TM−ACでオーシストが効率よく回収され、さらにTM−ACとオーシストの混合物からSET法でDNAを抽出できることが示された。また、PCRチューブ(反応液20μl)にSET後TM−AC 0.2μl(TM−AC終濃度1%)を直接投入し、DNA精製工程なしでPCRを行えることがわかった。
2 磁性物質
3 刺激応答性ポリマー
4 ストレプトアビジン
5 ビオチン
6 親和性物質
7 検出対象
Claims (3)
- 被検試料中の検出対象を検出する方法であって、以下の工程(1)〜(5)を含む検出対象の検出方法。
(1)熱応答性磁性ナノ粒子及び検出対象に対する親和性物質を有する吸着材と前記検出対象との結合体を、被検試料を含む水溶液中で生成させる工程
(2)熱応答性磁性ナノ粒子が凝集する条件下におき、前記結合体を凝集させる工程
(3)凝集した結合体を磁石で回収する工程
(4)回収した結合体にドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を添加し、加熱処理し、検出対象から核酸を抽出する工程
(5)得られた核酸を試料として核酸増幅を行う工程(ただし、前記(5)核酸増幅を行う工程における、前記熱応答性磁性ナノ粒子の濃度は、0.5〜1質量%である。) - 前記核酸増幅を行う工程における、前記ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の終濃度が、0.0001〜0.01質量%である、請求項1に記載の検出対象の検出方法。
- 前記核酸増幅を行う工程で使用する核酸増幅酵素が、Taqポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、又はAacポリメラーゼのいずれかであることを特徴とする、請求項1または2に記載の検出対象の検出方法。
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