以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導電性パターンシート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導電性パターンシート」は、「導電性パターン板(基板)」や「導電性パターンフィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
本明細書において、「接合」とは、完全に接合を完了する「本接合」だけでなく、「本接合」の前に仮止めするための、いわゆる「仮接合」をも含むものとする。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図21は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、導電性発熱体を備えた自動車を概略的に示す図であり、図2は導電性発熱体をその板面の法線方向から見た図であり、図3は図2の導電性発熱体の横断面図である。
図1に示されているように、乗物の一例としての自動車1は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有する。ここでは、フロントウィンドウ5が導電性発熱体10で構成されているものを例示する。また、自動車1はバッテリ7等の電源を有する。
導電性発熱体の一例であるフロントウィンドウ5は、導電性パターン40を一対のガラス板で挟み込んだ構造を有する。なお、一対のガラス板は導電性発熱体における必須の構成要素ではない。例えば、透明基材層の上に導電性パターン40を配置して導電性発熱体を構成してもよい。
図2は導電性発熱体10をその板面の法線方向から見た図である。また、図2の導電性発熱体10のIII−III線に対応する横断面図を図3に示す。図3に示された例では、導電性発熱体10は、一対のガラス板11,12と、一対のガラス板11,12の間に配置されたシート状の導電性パターンシート20と、ガラス板11,12と導電性パターンシート20とを接合する接合層13,14とを有する。なお、図1および図2に示した例では、導電性発熱体10は湾曲しているが、図3および図13〜図20では、図示の簡略化および理解の容易化のために、導電性発熱体10およびガラス板11,12を平板状に図示している。
導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に形成された導電性パターン40と、導電性パターン40に通電するための配線部15と、導電性パターン40と配線部15とを接続するバスバー電極16とを有する。図2では、バスバー電極16が導電性パターンシート20の長手方向両端側に配置されているが、短手方向両端側に配置されていてもよい。本明細書では、一対のバスバー電極16が延在する方向を第1方向と呼び、一対のバスバー電極16が対向する方向を第2方向と呼ぶ。
図2および図3に示した例では、バッテリ7等の電源から、配線部15およびバスバー電極16を介して導電性パターン40に通電し、導電性パターン40を抵抗加熱により発熱させる。導電性パターン40で発生した熱は接合層13,14を介してガラス板11,12に伝わり、ガラス板11,12が温められる。これにより、ガラス板11,12に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、ガラス板11,12に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。
ガラス板11,12は、特に自動車のフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このようなガラス板11,12の材質としては、ソーダライムガラス、青板ガラス等が例示できる。ガラス板11,12は、可視光領域における透過率が90%以上であることが好ましい。ここで、ガラス板11,12の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。なお、ガラス板11,12の一部または全体に着色するなどして、可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ったり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、ガラス板11,12は、1mm以上5mm以下の厚みを有することが好ましい。このような厚みであると、強度および光学特性に優れたガラス板11,12を得ることができる。
ガラス板11,12と導電性パターンシート20とは、それぞれ接合層13,14を介して接合されている。このような接合層13,14としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、接合層13,14は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。典型的な接合層としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。接合層13,14の厚みは、それぞれ0.15mm以上0.7mm以下であることが好ましい。
なお、導電性発熱体10には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、1つの機能層が2以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、導電性発熱体10のガラス板11,12、接合層13,14や、後述する導電性パターンシート20の基材30の少なくとも1つに機能を付与するようにしてもよい。導電性発熱体10に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、偏光機能、防汚機能等を例示することができる。
次に、導電性パターンシート20について説明する。導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に設けられた導電性パターン40と、導電性パターン40に通電するための配線部15と、導電性パターン40と配線部15とを接続するバスバー電極16とを有する。導電性パターンシート20は、ガラス板11,12と略同一の平面寸法を有する。導電性パターンシート20は、導電性発熱体10の全体にわたって配置されてもよいし、運転席の正面部分等、導電性発熱体10の一部にのみ配置されてもよい。
シート状の基材30は、導電性パターン40を支持する基材として機能する。基材30は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性の基板である。
基材30に含まれる樹脂としては、可視光を透過する樹脂であればいかなる樹脂でもよいが、好ましくは熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース)等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂、AS樹脂等を挙げることができる。とりわけ、アクリル樹脂やポリ塩化ビニルは、エッチング耐性、耐候性、耐光性に優れており、好ましい。
また、基材30は、導電性パターン40の保持性や、光透過性等を考慮すると、0.03mm以上0.3mm以下の厚みを有することが好ましい。
図4〜図6を参照して、導電性パターン40について説明する。導電性パターン40は、バッテリ7等の電源から、配線部15およびバスバー電極16を介して通電され、抵抗加熱により発熱する。そして、この熱が接合層13,14を介してガラス板11,12に伝わることで、ガラス板11,12が温められる。
本実施の形態の導電性パターン40は、まず2つの分岐点52の間を延びて開口領域53を画成する複数の曲線発熱体54から形成された参照パターン50を決定し、次に参照パターン50の分岐点52に基づいて導電性パターン40の分岐点42の位置を決定し、その後、決定された導電性パターン40の分岐点42および参照パターン50の曲線発熱体54に基づき、導電性パターン40の曲線発熱体44の位置を決定する。
図4は参照パターン50を示す平面図である。図4に示されているように、参照パターン50は、多数の開口領域53を画成するメッシュ状のパターンである。参照パターン50は、2つの分岐点52の間を延びて、開口領域53を画成する複数の曲線発熱体54を含んでいる。すなわち、参照パターン50は、両端において分岐点52を形成する多数の曲線発熱体54の集まりとして構成されている。
図4に示された例では、参照パターン50の多数の開口領域53は、繰返し規則性(周期的規則性)を有しない形状およびピッチで配列されている。とりわけ図示された例では、多数の開口領域53が、ボロノイ図における各ボロノイ領域と一致するように配列されている。言い換えると、参照パターン50の各曲線発熱体54は、ボロノイ図におけるボロノイ領域の各境界と一致している。また、参照パターン50の各分岐点52は、ボロノイ図におけるボロノイ点と一致している。
なお、このボロノイ図は、例えば特開2012−178556号公報や、上記特許文献1、特許文献2に開示されているような公知の方法によって得られるので、ここではボロノイ図の作製方法についての詳細な説明は省略する。
図5に、導電性パターン40の一部を、図4に示した参照パターン50とともに拡大して示す。まず、参照パターン50の各分岐点52上に、導電性パターン40の各分岐点42を配置する。次に、参照パターン50の曲線発熱体54の両端をなす2つの分岐点52に対応する2つの分岐点42間を接続するように、導電性パターン40の各曲線発熱体44を配置する。
このように、図5に示された例では、導電性パターン40は、参照パターン50の各分岐点52上に配置された複数の分岐点42と、2つの分岐点42の間を延びて開口領域43を画成する複数の曲線発熱体44を含んでいる。そして、導電性パターン40は、参照パターン50の各曲線発熱体54に対応して複数の曲線発熱体44が配置された、メッシュ状のパターン(ボロノイパターン)を有する。導電性パターン40内の複数の分岐点42における分岐数の平均値は、3より大きく、かつ4より小さい値に設定されている。
各曲線発熱体44は、任意の形状の曲線である。個々の曲線発熱体44の曲線形状は、不規則とされている。各曲線発熱体44の曲線形状を不規則にすることで、光芒を抑制することができる。なお、導電性パターン40の全域にわたって各曲線発熱体44の曲線形状を不規則にする必要はなく、光芒が目立たない範囲内(例えば50mm〜100mm四方の範囲内)で不規則であればよく、この範囲のパターン要素を縦横に配置して導電性パターン40を形成してもよい。
より具体的な一例としては、各曲線発熱体44は、1周期ごとに周期および振幅が不規則な周期曲線を1つ以上繋げた形状を有する。あるいは、任意の曲線発熱体44は、任意の角度範囲の円弧または楕円弧でもよいし、放物線形状でもよい。また、任意の曲線発熱体44は、折れ線形状でもよいし、曲線の一部に直線形状の発熱体要素を含んでいてもよい。ただし、直線状の発熱体要素は、チラツキの要因になり得るため、導電性パターン40の全体に占める直線状の発熱体要素の割合はできるだけ低い方が望ましい。例えば、この割合は10%以下が望ましい。
なお、導電性パターン40における直線状の発熱体要素の割合は、導電性パターン40の全領域を調べてその割合を算出して特定する必要はなく、実際には、導電パターン内の全体的な傾向を反映し得ると期待される面積を持つ一区画内において、調査すべき対象のばらつきの程度を考慮して適当と考えられる直線状の発熱体要素の数を調べて当該割合を算出して特定することができる。このようにして特定された値を、導電性パターン40の全領域における割合として取り扱うことができる。例えば、本実施の形態の導電性パターン40においては、300mm×300mmの領域内に含まれる100箇所を光学顕微鏡や電子顕微鏡により観察することにより、2つの分岐点42の間を直線(直線分)として接続する曲線発熱体44の、複数の曲線発熱体44に対する割合を特定することができる。
このような導電性パターン40を構成するための材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン、および、これらの合金の一以上を例示することができる。
図3に示された例では、曲線発熱体44は、基材30側の面44a、基材30の反対側の面44bおよび側面44c,44dを有し、全体として略矩形の断面を有する。曲線発熱体44の幅W、すなわち、基材30のシート面に沿った幅Wは5μm以上20μm以下とすることが好ましい。このような幅Wを有する曲線発熱体44によれば、その曲線発熱体44が十分に細線化されているので、導電性パターン40を不可視化することができる。また、曲線発熱体44の高さ(厚さ)H、すなわち、基材30のシート面への法線方向に沿った高さ(厚さ)Hは5μm以上20μm以下とすることが好ましい。このような高さ(厚さ)Hを有する曲線発熱体44によれば、適切な抵抗値を有しつつ十分な導電性を確保でき、かつ断線もしにくくなる。
以上のような導電性パターン40によれば、図6に示されているように、曲線発熱体44の側面に入射した光は、当該側面で乱反射する。これにより、当該曲線発熱体44の側面に一定の方向から入射した光が、その入射方向に対応して当該側面で一定の方向に反射することが抑制される。したがって、この反射光が観察者にチラツキとして視認されるおそれがなくなる。また、曲線発熱体44の側面からの反射光の方向がばらつくことで、曲線発熱体44を有する導電性パターン40の存在が観察者に視認されるおそれもなくなる。とりわけ、本実施形態では、2つの分岐点42の間に存在する直線状の発熱体要素を、導電性パターン40の全体面積の10%未満としている。すなわち、導電性パターン40のうち90%以上は不規則な形状の曲線発熱体44である。これにより、光芒とチラツキを通常の観察者が気にならない程度に抑制できる。
本実施形態における導電性パターン40は、図2に示したように、バスバー電極16間に配置されており、バスバー電極16間にはバッテリ7からの一定の電圧が印加される。導電性パターン40の発電電力をW、バスバー電極16間の電圧をV、導電性パターン40に流れる電流をI、導電性パターン40の抵抗をRとすると、以下の(1)式が成り立つ。
W=V×I=V2/R …(1)
バッテリからの電圧Vが一定であるとすると、(1)式から、導電性パターン40の抵抗Rが小さいほど、発電電力Wは大きくなる。このように、導電性パターン40の抵抗Rが小さいほど、導電性パターン40の発電電力Wは大きくなる。
導電性パターン40の抵抗Rは、以下の(2)式で表される。
上述した(2)式のρは導電性パターン40の材料に依存する係数、Lは各曲線発熱体44の両端部間の距離、wは各曲線発熱体44の線幅、hは各曲線発熱体44の厚み、pは各曲線発熱体44のピッチである。ピッチpとは、単位面積内に存在する曲線発熱体44の平均距離である。
(2)式からわかるように、導電性パターン40の抵抗Rを小さくするには、導電性パターン40を構成する各曲線発熱体44の長さLを短くするか、あるいは各曲線発熱体44の厚みhや幅wを大きくするか、あるいはピッチpを小さくする必要がある。
各曲線発熱体44の厚みhを大きくすることは、導電性パターン40の薄型化を妨げることになり、また、導電性パターン40の側面の面積が増大するため、側面に入射された光により光芒やチラツキが生じやすくなる。一方、各曲線発熱体44の幅wを大きくすると、導電性パターン40の各開口領域の面積が狭くなり、開口率が低下するとともに、導電性パターン40が目立ちやすくなる。隣接する曲線発熱体44間のピッチpを小さくすると、やはり開口率が低下する要因になる。
以上のことから、導電性パターン40の発電電力Wを高くして発電効率を上げるには、各曲線発熱体44の両端部間の長さをできるだけ短くするのが望ましいことがわかる。
そこで、本実施形態では、図7および(3)式に示すように、各曲線発熱体44の両端部間の長さLを、対応する曲線発熱体44の両端部に接続された2つの分岐点42間の最短距離L0で割った値が、1.0より大きく、1.5以下になるようにしている。
1.0<L/L0≦1.5 …(3)
本発明に於いて、最短距離とは、曲線発熱体44の両端の分岐点42、42の間を結ぶ幾何学上の測地線の長さを意味する。透明基材30乃至ガラス板11、12が平板であり其の上に存在する曲線発熱体44が平面上に存在する場合は、測地線は直線となる。又、透明基材30乃至ガラス板11、12が表面が球面となった彎曲板であり其の上に存在する曲線発熱体44も球面上に存在する場合は、測地線は該球面の大円となる。
尚、一般の曲面上に曲線発熱体44が存在する場合は、該曲面上に存在する下記微分方程式(4)を満たす微分可能な曲線xi(p)が、測地線となる。
ここで、Γi jkはアフィン接続係数である。又、x1=x、x2=yは座標、pは測地線の始点からの長さを表わす弧長パラメータである。例えば、該曲面が平面である場合は、式(4)は通常の直線の方程式となる。
1.0<L/L0とすることにより、光芒やチラツキが実用上十分な程度に抑制される。又、L/L0≦1.5とすることにより、各曲線発熱体44の抵抗が必要以上の増大することが抑えられて(導電性が向上し)、結果として、導電性パターン40の抵抗Rが小さくなって発熱効率が向上する。発熱効率が向上するということは、消費電力を削減できることを意味する。
更に、1.01≦L/L0≦1.15であると、光芒やチラツキの抑制と高発熱效率の維持の両立の点で、より好ましい。
なお、各曲線発熱体44は、導電性パターン40の1cm四方の範囲内に、8本以内の密度で配置するのが望ましい。すなわち、各曲線発熱体44のピッチpは、0.125cm以上が望ましい。これにより、導電性パターン40の開口率を最適化することができる。
図3に示す例では、曲線発熱体44は、基材30上に設けられた第1の暗色層63、第1の暗色層63上に設けられた導電性金属層61、および、導電性金属層61上に設けられた第2の暗色層64を含んでいる。言い換えると、導電性金属層61の表面のうち、基材30側の面を第1の暗色層63が覆っており、導電性金属層61の表面のうち、基材30と反対側の面および両側面を第2の暗色層64が覆っている。暗色層63,64は、導電性金属層61よりも可視光の反射率が低い層であればよく、例えば黒色等の暗色の層である。この暗色層63,64によって、導電性金属層61がさらに視認されづらくなり、乗員の視界をより良好に確保することができる。
次に、図8〜図14を参照して、導電性発熱体10の製造方法の一例について説明する。図8〜図14は、導電性発熱体10の製造方法の一例を順に示す断面図である。
まず、シート状の基材30を準備する。基材30は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性の樹脂基材である。
次に、図8に示すように、基材30上に第1の暗色層63を設ける。例えば、電解めっきおよび無電解めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法、イオンプレーティング法、またはこれらの2以上を組み合わせた方法により、基材30上に第1の暗色層63を設けることができる。なお、第1の暗色層63の材料としては、種々の公知のものを用いることができる。例えば窒化銅、酸化銅、窒化ニッケル等が例示できる。
次に、図9に示すように、第1の暗色層63上に導電性金属層(導電層)61を設ける。導電性金属層61は、上述したように、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン、および、これらの合金の一以上からなる層である。導電性金属層61は、公知の方法で形成され得る。例えば、銅箔等の金属箔を耐候性接着剤等を用いて貼着する方法、電解めっきおよび無電解めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、またはこれらの2以上を組み合わせた方法を採用することができる。
なお、導電性金属層61を銅箔等の金属箔で形成する場合、先に金属箔の片面に第1の暗色層63を形成しておき、この第1の暗色層63が形成された金属箔を、第1の暗色層63が基材30に対向するようにして、例えば接着層や粘着層を介して、基材30に積層してもよい。この場合、例えば金属箔をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、金属箔をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる第1の暗色層63を形成することができる。また、暗色材料の塗膜や、ニッケルやクロム等のめっき層等のように、金属箔の表面に第1の暗色層63を設けるようにしてもよい。また、金属箔の表面を粗化して第1の暗色層63を設けるようにしてもよい。
次に、図10に示すように、導電性金属層61上に、レジストパターン62を設ける。レジストパターン62は、形成されるべき導電性パターン40のパターンに対応したパターンとなっている。ここで説明する方法では、最終的に導電性パターン40をなす箇所の上にのみ、レジストパターン62が設けられている。このレジストパターン62は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いたパターニングにより形成することができる。
次に、図11に示すように、レジストパターン62をマスクとして、導電性金属層61および第1の暗色層63をエッチングする。このエッチングにより、導電性金属層61および第1の暗色層63がレジストパターン62と略同一のパターンにパターニングされる。エッチング方法は特に限られることはなく、公知の方法が採用できる。公知の方法としては、例えば、エッチング液を用いるウェットエッチングや、プラズマエッチングなどが挙げられる。その後、図12に示すように、レジストパターン62を除去する。
その後、図13に示すように、導電性金属層61の基材30の反対側の面44bおよび側面44c,44dに第2の暗色層64を形成する。第2の暗色層64は、例えば導電性金属層61をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電性金属層61をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる第2の暗色層64を形成することができる。また、暗色材料の塗膜や、ニッケルやクロム等のめっき層等のように、導電性金属層61の表面に第2の暗色層64を設けるようにしてもよい。また、導電性金属層61の表面を粗化して第2の暗色層64を設けるようにしてもよい。
以上のようにして、図13に示す導電性パターンシート20が作製される。
最後に、ガラス板11、接合層13、導電性パターンシート20、接合層14、ガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。図14に示された例では、まず、接合層13をガラス板11に、接合層14をガラス板12に、それぞれ仮接着する。次に、ガラス板11,12の接合層13,14が仮接着された側が、それぞれ導電性パターンシート20に対向するようにして、接合層13が仮接着されたガラス板11、導電性パターンシート20、接合層14が仮接着されたガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、ガラス板11、導電性パターンシート20およびガラス板12が、接合層13,14を介して接合され、図3に示す導電性発熱体10が製造される。
以上に説明した本実施の形態の導電性発熱体10は、一対のガラス板11,12と、一対のガラス板11,12の間に配置され、複数の開口領域43を画成する導電性パターン40と、導電性パターン40と一対のガラス板11,12の少なくとも一方との間に配置された接合層13,14と、を備え、導電性パターン40は、2つの分岐点42の間を延びて開口領域43を画成する複数の曲線発熱体44を含んでおり、各曲線発熱体44の両端部間の距離を各曲線発熱体44の両端部に接続される分岐点42間の最短距離で割った値が1.0より大きく、1.5以下になるようにしている。
このような導電性発熱体10によれば、図6に示されているように、曲線発熱体44の側面に入射した光は、当該側面で乱反射する。これにより、当該曲線発熱体44の側面内の各位置に一定の方向から入射した光が、その入射方向に対応して当該側面で一定の方向に反射することが抑制される。したがって、この反射光がチラツキとして観察者に視認されて、曲線発熱体44を有する導電性パターン40が観察者に視認されることを、抑制することができる。また、各曲線発熱体44の両端部間の長さをできるだけ短くしているため、導電性パターン40の抵抗Rを小さくすることができ、発電効率が向上する。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
図15〜図19を参照して、導電性発熱体10の製造方法の変形例について説明する。図15〜図19は、導電性発熱体10の製造方法の変形例を順に示す断面図である。
まず、導電性パターンシート20を作製する。導電性パターンシート20は、上述の導電性発熱体10の製造方法の一例において説明した方法により作製することができる。
次に、ガラス板11、接合層13、導電性パターンシート20をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。図15に示された例では、まず、接合層13をガラス板11に仮接着する。次に、ガラス板11の接合層13が仮接着された側が、導電性パターンシート20に対向するようにして、接合層13が仮接着されたガラス板11を、導電性パターンシート20の導電性パターン40の側から重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、図16に示すように、ガラス板11および導電性パターンシート20が、接合層13を介して接合(仮接合または本接合)される。
次に、図17に示されているように、導電性パターンシート20の基材30を除去する。例えば、導電性パターンシート20を作製する際に、基材30上に不図示の剥離層を形成しておき、この剥離層上に導電性パターン40を形成する。この剥離層は、上述の導電性金属層61および第1の暗色層63をエッチングする工程で除去されない層であることが好ましい。この場合、基材30と、導電性パターン40および接合層13と、は剥離層を介して接合される。そして、導電性パターンシート20の基材30を除去する工程では、導電性パターンシート20の基材30を、剥離層を用いて導電性パターン40および接合層13から剥離する。
剥離層としては、例えば界面剥離型の剥離層、層間剥離型の剥離層、凝集剥離型の剥離層等を用いることができる。界面剥離型の剥離層としては、基材30との密着性と比べて、導電性パターン40および接合層13との密着性が相対的に低い剥離層を好適に用いることができる。このような層としては、シリコーン樹脂層、フッ素樹脂層、ポリオレフィン樹脂層等が挙げられる。また、導電性パターン40および接合層13との密着性と比べて、基材30との密着性が相対的に低い剥離層を用いることもできる。層間剥離型の剥離層としては、複数層のフィルムを含み、導電性パターン40および接合層13や、基材30との密着性と比べて、当該複数層間相互の密着性が相対的に低い剥離層を例示することができる。凝集剥離型の剥離層としては、連続相としてのベース樹脂中に分散相としてのフィラーを分散させた剥離層を例示することができる。
剥離層として、基材30との密着性と比べて、導電性パターン40および接合層13との密着性が相対的に低い層を有する界面剥離型の剥離層を用いた場合、剥離層と導電性パターン40および接合層13との間で剥離現象が生じる。この場合、剥離層が、導電性パターン40および接合層13側に残らないようにすることができる。すなわち、基材30は、剥離層とともに除去される。このようにして基材30および剥離層が除去されると、導電性パターン40の開口領域43内に、接合層13が露出するようになる。
その一方で、剥離層として、導電性パターン40および接合層13との密着性と比べて、基材30との密着性が相対的に低い界面剥離型の剥離層を用いた場合には、剥離層と基材30との間で剥離現象が生じる。剥離層として、複数層のフィルムを有し、導電性パターン40および接合層13や、基材30との密着性と比べて、当該複数層間相互の密着性が相対的に低い層間剥離型の剥離層を用いた場合には、当該複数層間で剥離現象が生じる。剥離層として、連続相としてのベース樹脂中に分散相としてのフィラーを分散させた凝集剥離型の剥離層を用いた場合には、剥離層内での凝集破壊による剥離現象が生じる。
最後に、ガラス板11、接合層13および導電性パターン40、接合層14、ガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。図18に示された例では、まず、接合層14をガラス板12に仮接着する。次に、ガラス板12の接合層14が仮接着された側が、導電性パターン40および接合層13に対向するようにして、ガラス板11、導電性パターン40および接合層13、接合層14が仮接着されたガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、ガラス板11、導電性パターン40、ガラス板12が、接合層13,14を介して接合(本接合)され、図19に示す導電性発熱体10が製造される。
図19に示された導電性発熱体10によれば、導電性発熱体10が基材30を含まないようにすることができる。これにより、導電性発熱体10全体の厚みを小さくすることができる。また、導電性発熱体10内の界面数を低減することができる。したがって、光学特性の低下すなわち視認性の低下を抑制することができる。
次に、図20および図20を参照して、導電性発熱体10の製造方法の他の変形例について説明する。図20および図20は、導電性発熱体10の製造方法の他の変形例を順に示す断面図である。
まず、上述の導電性発熱体10の製造方法の変形例と同様の工程により、ガラス板11および導電性パターンシート20が、接合層13を介して接合(仮接合)されたものを作製し、ここから基材30を除去する。すなわち、上述の導電性発熱体10の製造方法の変形例で図17を参照して説明した、ガラス板11、導電性パターン40および接合層13が積層されたものを得る。
次に、図20に示すように、ガラス板11、接合層13および導電性パターン40、ガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、ガラス板11と導電性パターン40とが接合層13を介して接合(本接合)され、且つ、ガラス板11とガラス板12とが接合層13を介して接合(本接合)される。そして、図20に示す導電性発熱体10が製造される。
図21に示された導電性発熱体10によれば、導電性発熱体10が基材30および接合層14を含まないようにすることができる。これにより、導電性発熱体10全体の厚みをさらに小さくすることができる。また、導電性発熱体10内の界面数をさらに低減することができる。したがって、光学特性の低下すなわち視認性の低下をさらに効果的に抑制することができる。加えて、導電性パターン40とガラス板12とが接触しているので、導電性パターン40によるガラス板12の加熱効率を上げることができる。
また、図8〜図21に示された例では、第2の暗色層64が、曲線発熱体44の基材30の反対側の面44bおよび側面44c,44dをなしているが、これに限られず、第2の暗色層64が、曲線発熱体44の基材30の反対側の面44bのみ、または、曲線発熱体44の側面44c,44dのみをなすようにしてもよい。第2の暗色層64が、曲線発熱体44の基材30の反対側の面44bのみをなすようにする場合は、例えば、図9に示した工程の後に、導電性金属層(導電層)61上に第2の暗色層64およびレジストパターン62をこの順に設ける。その後、レジストパターン62をマスクとして、第2の暗色層64、導電性金属層61および第1の暗色層63をエッチングすればよい。また、第2の暗色層64が、曲線発熱体44の側面44c,44dのみをなすようにする場合は、例えば、図11に示した工程の後に、レジストパターン62を除去せずに第2の暗色層64を形成し、その後、レジストパターン62を除去すればよい。なお、第1の暗色層63が必要ない場合には、図8に示した、基材30上に第1の暗色層63を設ける工程を省略すればよい。
導電性発熱体10は、自動車1のリアウィンドウ、サイドウィンドウやサンルーフに用いてもよい。また、自動車以外の、鉄道、航空機、船舶、宇宙船等の乗物の窓或いは透明な扉に用いてもよい。
さらに、導電性発熱体10は、乗物以外にも、特に室内と室外とを区画する箇所、例えばビルや店舗、住宅の窓或いは透明な扉等に使用することもできる。
このように、本実施形態に係る導電性発熱体10は、複数の分岐点42に接続された複数の曲線発熱体44を有する導電性パターン40を備えるため、各曲線発熱体44の側面に入射された光を種々の方向に反射させることができ、観察者にチラツキを感じさせるおそれがなくなる。また、各曲線発熱体44の長さLを、対応する曲線発熱体44の両端部間の最短距離L0で割った値が、1.0より大きく、かつ1.5以下にしたため、各曲線発熱体44の導電性がよくなり、導電性パターン40の抵抗を小さくでき、発熱効率が向上する。また、各曲線発熱体44の幅や高さ、ピッチを最適化することで、開口率を高くしつつ、断線も防止できる。このように、本実施形態によれば、光芒およびチラツキの発生を防止しつつ、発電効率がよくて開口率も大きい導電性発熱体10を提供できる。
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。