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JP6772064B2 - ポリフェノール含有機能性経口組成物 - Google Patents
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JP6772064B2 - ポリフェノール含有機能性経口組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリフェノールを有効成分とする機能性経口組成物、並びに当該組成物の作用を被験者の体内で効果的に発現するための用法及び用量に関する。より詳細には、本発明はエネルギー代謝をコントロールする作用(エネルギー代謝制御作用)を有する経口組成物、並びに当該経口組成物についてそのエネルギー代謝制御作用を被験者の体内で効果的に発現するための用法及び用量(例えば、一回投与量、投与量、投与頻度、投与時間、投与期間、治療期間など)に関する。
本発明が対象とする機能性経口組成物には、エネルギー代謝を活性化する作用を有する経口組成物(エネルギー代謝の活性化剤)、内臓脂肪の蓄積を抑制する作用を有する経口組成物(内臓脂肪の蓄積抑制剤)、肥満を予防または改善するための経口組成物(抗肥満剤)、及び生活習慣病を予防または改善する作用を有する経口組成物(生活習慣病の予防または改善剤)が含まれる。上記生活習慣病には、肥満、メタボリックシンドローム、高脂血症、高血糖、高血圧、及び炎症などの身体状態が含まれる。このため、本発明が対象とする生活習慣病の予防または改善剤には、上記身体状態への移行や重症化を抑制または予防するために用いられる経口組成物が含まれる。また本発明が対象とする機能性経口組成物には、上記の別の態様として、体内エネルギーまたは体内脂肪を維持する作用を有する経口組成物(体内エネルギーまたは体内脂肪維持剤)が含まれる。
日本では、肥満やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病の割合が増加の傾向にある。このため、日本国厚生労働省では、日本人の食事摂取基準などを公表して国民の意識を高めるとともに、企業に対して、従業員に対する健康診断受診の義務化、栄養指導及び運動指導などの対策を講ずる旨の指針を示している。この20年間で、日本の国民におけるエネルギー摂取量の平均値は減少しているものの、生活習慣病の割合が減少する傾向は明確に現れてはいないのが実情である。一方、世界でも、肥満の割合が増加傾向にあり、特に、米国、中国、及びインドなどでは、数千万人以上が肥満といわれている。肥満対策として、エネルギー摂取の制限や運動などが推奨されているが、日本と同様、肥満の割合が減少する傾向は明確に現れてはいないのが実情である。なお、肥満とは、白色脂肪組織が過剰に増加し、蓄積した状態であり、肥満により、例えば、耐糖能障害、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、冠動脈疾患、脳梗塞、脂肪肝、月経異常、妊娠合併症、睡眠時無呼吸症候群、肥満低換気症候群、腰痛症、変形性関節症、肥満関連腎臓病、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、大腸がん、乳がん、及び胆道がんなどの各種疾患の発症率が高まることが知られている。
肥満の予防または改善方法として推奨されるエネルギー摂取の制限や運動は、食欲を我慢したり、食生活を始めとする生活環境を変えることが必要であり、その億劫さから開始や継続が困難であり、効果が期待できない。また、薬剤の摂取または投与では、副作用の可能性や高額な費用が掛かることなどから、その開始や継続が困難であり、効果が期待できない。このため、これらの方法に代えて、肥満、糖尿病及びメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を予防または改善するための簡便で安全かつ安価な手段として、身体のエネルギー代謝を高めて内臓脂肪の蓄積を抑制する方法が望まれている。
ポリフェノールは安全かつ安価に摂取できる可食性素材であり、従来より、その生理的活性作用に着目した研究成果が数多く報告されている。特に、チョコレートなどに含まれるカカオ由来のポリフェノールには、多様な生理的活性作用があり、その高い利用価値が注目されている。例えば、カカオ由来のポリフェノールのうち、プロシアニジンには、血糖上昇抑制効果があり(特許文献1)、フラバン−3−オールには、血糖コントロール及び血管拡張を改善する作用があることが報告されている(特許文献2)。また、カカオの種子の殻の水抽出物には、細胞賦活作用、紫外線障害緩和作用、メラニン産生抑制作用がある(特許文献3)。さらに、カカオ由来の処理物には、糖尿病合併症の予防作用がある(特許文献4)。そのほか、ポリフェノールには心血管疾患や糖尿病などの予防、治療及び改善、並びに美肌などの効果も期待されている。
特開平09−291039号公報 特表2009−538342号公報 特開平03−181496号公報 特開2002−128685号公報
本発明は、安全かつ安価で手軽に摂取できる機能性経口組成物、並びに当該経口組成物の作用を効果的に発現させ享受するための用法及び用量を提供することを課題とする。
より詳細には、本発明はエネルギー代謝をコントロールする作用(エネルギー代謝制御作用)を有する経口組成物(例えば、エネルギー代謝の活性化剤、及びエネルギー代謝の活性維持剤)を提供することを課題とする。また本発明は、当該経口組成物について、そのエネルギー代謝制御作用を生体内で効果的に発現させるための、安全、安価及び手軽な用法及び用量を提供することを課題とする。
身体のエネルギー代謝が活性化されて高まると、内臓脂肪の蓄積が抑制され、肥満やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を効果的に予防または改善することができる。このため、本発明は、安全かつ安価で手軽に摂取できる機能性経口組成物として、内臓脂肪の蓄積抑制剤、及び生活習慣病の予防または改善剤を提供することを課題とする。さらに、本発明はこれらの経口組成物の作用を被験者の体内で効果的に発現させ、享受するための用法及び用量を提供することを課題とする。
なお、ポリフェノールを特定の用法及び用量で摂取することで、身体のエネルギー代謝がコントロールできること、それにより内臓脂肪の蓄積を抑制すること、及び肥満やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病への移行や重症化を抑制することなどを実証した研究成果は報告されていない。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意研究を重ねる中で、ポリフェノールを、夜行性哺乳動物については朝方、昼行性哺乳動物については夜間に投与または摂取させるという手軽な方法で、身体のエネルギー代謝を活性化させることを見出し、かかるポリフェノールの用法によれば、対象とする哺乳動物について内臓脂肪の蓄積を抑制し、肥満を予防または解消し、さらに生活習慣病が予防または改善できることを確信した。また、本発明者らは、一連の研究により、ポリフェノールを、上記とは逆に、夜行性哺乳動物については夜間、昼行性哺乳動物については朝方に投与または摂取させても身体のエネルギー代謝は活性化せず、体内エネルギー及び体内脂肪は維持されることを確認した。このことから、上記のポリフェノールのエネルギー代謝活性化作用は、昼行性哺乳動物については夜間にポリフェノールを投与(摂取)することにより選択的に得られる特有の効果であることを確認して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、次の実施形態を含む。
なお、以下、本明細書において「投与」という用語には、対象とする哺乳動物(被験者)が自ら自発的に行う行為である「摂取」または「服用」の意味が含まれる。また「投与量」という用語には「摂取量」または「服用量」という意味が、「投与期間」という用語には「摂取期間」または「服用期間」という意味も包含される。
(I)機能性経口組成物
(I−1)ポリフェノールを有効成分として含む、昼行性哺乳動物用の機能性経口組成物。
(I−2)ポリフェノールが少なくともカカオポリフェノールを含むものであることを特徴とする、(I−1)に記載する機能性経口組成物。
(I−3)1日当たりの投与量が、ポリフェノール総量に換算して0.3mg〜5gである、(I−1)または(I−2)に記載する機能性経口組成物。
(I−4)毎日連続して投与されるものである、(I−1)〜(I−3)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
(I−5)投与期間が少なくとも3日間であることを特徴とする、(I−1)〜(I−4)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
(I−6)1日の投与量毎に分画または分割された状態で包装されており、昼行性哺乳動物1個体の1日投与量中に総量で0.3mg〜5gのポリフェノールを含有する、(I−1)〜(I−5)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
(I−7)昼行性哺乳動物1個体の少なくとも3日間分の投与量の機能性経口組成物が、一つの容器または包装物に収容されているか、または少なくとも3日間投与分が一セットになっている(I−6)に記載する機能性経口組成物。
(I−8)身体のエネルギー代謝制御剤である、(I−1)〜(I−7)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
(I−9)夜間に投与されるものであることを特徴とする、(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
(I−10)上記夜間が、日没から日出までの時間帯のうち日没から就寝までの時間帯である(I−9)記載の機能性経口組成物。
(I−11)上記夜間が、日没から日出まで時間帯のうち夕食後から就寝までの時間帯である(I−9)記載の機能性経口組成物。
(I−12)エネルギー代謝の活性化剤である、(I−9)〜(I−11)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
(I−13)内臓脂肪の蓄積抑制剤、抗肥満剤、または生活習慣病の予防若しくは改善剤である、(I−9)〜(I−12)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
(I−14)朝方に投与されるものであることを特徴とする、(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
(I−15)上記朝方が、日出から日没までの時間帯のうち日出から8時間の間である(I−14)記載の機能性経口組成物。
(I−16)上記朝方が、日出から8時間のうち朝食後から7時間の間である(I−14)記載の機能性経口組成物。
(I−17)体内エネルギーまたは体脂肪維持剤である、(I−14)〜(I−16)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
(II)機能性経口組成物の用法
(II−1)(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物の、昼行性哺乳動物のエネルギー代謝を活性化するための用法であって、当該機能性経口組成物を昼行性哺乳動物に対して夜間に投与することを特徴とする用法。
(II−2)上記夜間が、日没から日出までの時間帯のうち日没から就寝までの時間帯である(II−1)記載の用法。
(II−3)上記夜間が、日没から日出まで時間帯のうち夕食後から就寝までの時間帯である(II−1)記載の用法。
(II−4)昼行性哺乳動物1個体に対する、(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物の1日当たりの投与量が、ポリフェノール総量に換算して0.3mg〜5gである、(II−1)〜(II−3)のいずれかに記載する用法。
(II−5)(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物を昼行性哺乳動物に対して毎日連続して投与する、(II−1)〜(II−4)のいずれかに記載する用法。
(II−6)(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物の投与期間が少なくとも3日間である、(II−1)〜(II−5)のいずれかに記載する用法。
(II−7)(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物を昼行性哺乳動物に対して朝方に投与することを特徴とする、昼行性哺乳動物の体内エネルギーまたは体脂肪を維持する用法。
(II−8)上記朝方が、日出から日没までの時間帯のうち日出から8時間の間である(II−7)記載の用法。
(II−9)上記朝方が、日出から8時間の時間帯のうち朝食後から7時間の間である(II−7)記載の用法。
(II−10)昼行性哺乳動物1個体に対する、(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物の1日当たりの投与量が、ポリフェノール総量に換算して0.3mg〜5gである、(II−7)〜(II−9)のいずれかに記載する用法。
(II−11)(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物を昼行性哺乳動物に対して毎日連続して投与する、(II−7)〜(II−10)のいずれかに記載する用法。
(II−12)(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物の投与期間が少なくとも3日間である、(II−7)〜(II−11)のいずれかに記載する用法。
(III)昼行性哺乳動物のエネルギー代謝制御方法
(III−1)(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物を昼行性哺乳動物に対して夜間に投与する工程を有する、昼行性哺乳動物のエネルギー代謝を活性化する方法。
(III−2)上記夜間が、日没から日出までの時間帯のうち日没から就寝までの時間帯である(III−1)記載の方法。
(III−3)上記夜間が、日没から日出まで時間帯のうち夕食後から就寝までの時間帯である(III−1)記載の方法。
(III−4)昼行性哺乳動物1個体に対する、(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物の1日当たりの投与量が、ポリフェノール総量に換算して0.3mg〜5gである、(III−1)〜(III−3)のいずれかに記載する方法。
(III−5)(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物を昼行性哺乳動物に対して毎日連続して投与する、(III−1)〜(III−4)のいずれかに記載する方法。
(III−6)(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物の投与期間が少なくとも3日間である、(III−1)〜(III−5)のいずれかに記載する方法。
(III−7)(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物を昼行性哺乳動物に対して朝方に投与することを特徴とする、昼行性哺乳動物の体内エネルギーまたは体脂肪を維持する方法。
(III−8)上記朝方が、日出から日没までの時間帯のうち日出から8時間の間である(III−7)記載の方法。
(III−9)上記朝方が、日出から8時間の間のうち朝食後から7時間の間である(III−7)記載の方法。
(III−10)昼行性哺乳動物1個体に対する、(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物の1日当たりの投与量が、ポリフェノール総量に換算して0.3mg〜5gである、(III−7)〜(III−9)のいずれかに記載する方法。
(III−11)(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物を昼行性哺乳動物に対して毎日連続して投与する、(III−7)〜(III−10)のいずれかに記載する方法。
(III−12)(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物の投与期間が少なくとも3日間である、(III−7)〜(III−11)のいずれかに記載する方法。
(IV)機能性経口組成物の用途
(IV−1)(I−1)〜(I−7)のいずれかに記載する機能性経口組成物の、昼行性哺乳動物用のエネルギー代謝制御剤の製造のための使用。
(IV−2)上記機能性経口組成物が昼行性哺乳動物に対して夜間に投与されるものである、(IV−1)に記載する使用。
(IV−3)上記夜間が、日没から日出までの時間帯のうち日没から就寝までの時間である(IV−2)記載の使用。
(IV−4)上記夜間が、日没から日出まで時間帯のうち夕食後から就寝までの時間である(IV−2)記載の使用。
(IV−5)上記エネルギー代謝制御剤がエネルギー代謝の活性化剤である、(IV−1)〜(IV−4)のいずれかに記載する使用。
(IV−6)上記エネルギー代謝の活性化剤が、内臓脂肪の蓄積抑制剤、抗肥満剤、または生活習慣病の予防若しくは改善剤である、(IV−5)に記載する使用。
(IV−7)上記機能性経口組成物が昼行性哺乳動物に対して朝方に投与されるものである、(IV−1)に記載する使用。
(IV−8)上記朝方が日出から8時間までの時間帯である(IV−7)記載の使用。
(IV−9)上記エネルギー代謝制御剤が体内エネルギーまたは体内脂肪維持剤である、(IV−1)、(IV−7)または(IV−8)のいずれかに記載する使用。
(V) エネルギー代謝を制御するために使用される機能性経口組成物
(V−1)昼行性哺乳動物のエネルギー代謝を制御するために使用される(I−1)〜(I−7)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
(V−2)上記機能性経口組成物は、夜間に昼行性哺乳動物に投与されるものである、(V−1)に記載する機能性経口組成物。
(V−3)上記夜間が、日没から日出までの時間帯のうち日没から就寝までの時間帯である(V−2)記載の機能性経口組成物。
(V−4)上記夜間が、日没から日出まで時間帯のうち夕食後から就寝までの時間帯である(V−2)記載の機能性経口組成物。
(V−5)昼行性哺乳動物のエネルギー代謝を正に制御し活性化するために使用されるものである、(V−1)〜(V−4)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
(V−6)昼行性哺乳動物について、内臓脂肪の蓄積を抑制するため、肥満を予防若しくは改善するため、または生活習慣病を予防若しくは改善するために使用される、(V−1)〜(V−5)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
(V−7)上記機能性経口組成物は、朝方に昼行性哺乳動物に投与されるものである、(V−1)に記載する機能性経口組成物。
(V−8)上記朝方が日出から8時間までの時間帯である(V−7)記載の機能性経口組成物。
(V−9)昼行性哺乳動物の体内エネルギーまたは体内脂肪を維持するために使用される、(V−1)、(V−7)または(V−8)のいずれかに記載する機能性経口組成物。
本発明の機能性経口組成物は、夜間、昼行性哺乳動物に投与することで、当該昼行性哺乳動物の身体のエネルギー代謝を活性化するように作用する。つまり、かかる用法において、本発明の機能性経口組成物は、昼行性哺乳動物に対してエネルギー代謝活性化剤として有効に機能する。かかるエネルギー代謝活性化剤は、夜間、昼行性哺乳動物に投与するという方法で用いられ、これにより当該哺乳動物について内臓脂肪の蓄積を抑制し、肥満及び/又はメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を効果的に予防または改善することができる。言い換えれば、本発明の機能性経口組成物(エネルギー代謝活性化剤)は、夜間、昼行性哺乳動物に投与することで、内臓脂肪の蓄積抑制剤、抗肥満剤、生活習慣病の予防または改善剤として有効に機能する。特に、本発明の機能性経口組成物(エネルギー代謝活性化剤)は、過剰な痩せを誘導せず、日常的に継続して手軽に、安価に且つ安全に摂取することができるため、世代を問わず、広く用いることができる。
本発明の機能性経口組成物は、朝方、昼行性哺乳動物に投与することで、当該昼行性哺乳動物の体内エネルギー及び/又は体脂肪を維持するように作用する。つまり、かかる用法において、本発明の機能性経口組成物は、昼行性哺乳動物に対して体内エネルギーまたは体脂肪維持剤(以下、単に「体内エネルギー維持剤」ともいう)として有効に機能する。かかる体内エネルギー維持剤は、昼行性哺乳動物、特にるいそう(痩せ)、食欲不振、栄養不良、高齢者、エネルギー代謝亢進性疾患などの各種疾患の患者に対して、体内エネルギー及び/又は体脂肪の保持に好適に用いることができる。
本発明は、本発明の機能性経口組成物について、上記各種の作用機能を発揮するための用い方(用法、用量)を提供する。こうした各種の作用機能を発揮し得る本発明の機能性経口組成物は、美容、健康の維持または増進を目的として、医薬品、医薬部外品、化粧品、または飲食品(保健機能食品[特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品]、栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品、健康食品、サプリメント、医薬用飲食品)として利用することができる。
マウスに通常食(C)または高脂肪食(H)を給餌し、カカオ抽出物を朝(9時)(図1(A))または夕方(17時)(図1(B))に1週間に亘って投与したときの血漿GLP−1濃度を示す図である。図の凡例中、「0」及び「10」はカカオ抽出物(CLPr)の投与量(0mg/kg体重、10mg/kg体重)を意味する。 マウスに通常食(C)または高脂肪食(H)を給餌し、カカオ抽出物を朝(9時)(図2(A))または夕方(17時)(図2(B))に1週間に亘って投与したときの血漿アディポネクチン濃度を示す図である。図の凡例中、「0」、「1」及び「10」はカカオ抽出物(CLPr)の投与量(0mg/kg体重、1mg/kg体重、10mg/kg体重)を意味する(以下、図3〜11も同じ)。 マウスに通常食(C)または高脂肪食(H)を給餌し、カカオ抽出物を朝(9時)(図3(A))または夕方(17時)(図3(B))に1週間に亘って投与したときのヒラメ筋のリン酸化AMPK/総AMPK(対照群[C−0]に対する相対比)を示す図である。 マウスに通常食(C)または高脂肪食(H)を給餌し、カカオ抽出物を朝(9時)(図4(A))または夕方(17時)(図4(B))に1週間に亘って投与したときの腓腹筋のPPAR−α遺伝子の発現量を、対照群[C−0]に対する相対比として示した図である。 マウスに通常食(C)または高脂肪食(H)を給餌し、カカオ抽出物を朝(9時)(図5(A))または夕方(17時)(図5(B))に1週間に亘って投与したときの腓腹筋のPGC−1α遺伝子の発現量を、対照群[C−0]に対する相対比として示した図である。 マウスに通常食(C)または高脂肪食(H)を給餌し、カカオ抽出物を朝(9時)(図6(A))または夕方(17時)(図6(B))に1週間に亘って投与したときの腓腹筋のClock遺伝子の発現量を、対照群[C−0]に対する相対比として示した図である。 マウスに通常食(C)または高脂肪食(H)を給餌し、カカオ抽出物を朝(9時)(図7(A))または夕方(17時)(図7(B))に1週間に亘って投与したときの腓腹筋のBmal1遺伝子の相対発現量を、対照群[C−0]に対する相対比として示した図である。 マウスに通常食(C)または高脂肪食(H)を給餌し、カカオ抽出物を朝(9時)(図8(A))または夕方(17時)(図8(B))に1週間に亘って投与したときの腓腹筋のPeriod1(Per1)遺伝子の発現量を、対照群[C−0]に対する相対比として示した図である。 マウスに通常食(C)または高脂肪食(H)を給餌し、カカオ抽出物を朝(9時)(図9(A))または夕方(17時)(図9(B))に1週間に亘って投与したときの腓腹筋のPeriod2(Per2)遺伝子の発現量を、対照群[C−0]に対する相対比として示した図である。 マウスに通常食(C)または高脂肪食(H)を給餌し、カカオ抽出物を朝(9時)(図10(A))または夕方(17時)(図10(B))に1週間に亘って投与したときの腓腹筋のCryptochrome1(Cry1)遺伝子の発現量を、対照群[C−0]に対する相対比として示した図である。 マウスに通常食(C)または高脂肪食(H)を給餌し、カカオ抽出物を朝(9時)(図11(A))または夕方(17時)(図11(B))に1週間に亘って投与したときの腓腹筋のCryptochrome2(Cry2)遺伝子の発現量を、対照群[C−0]に対する相対比として示した図である。 マウスに、カカオ抽出物(CLPr)を1日4回(ZT3(11:00)、ZT9(17:00)、ZT15(23:00)、ZT21(5:00))投与し、その180分後にPer1遺伝子、Per2遺伝子、Per3遺伝子、Bmal1遺伝子、Dbp遺伝子、及びPPAR−α遺伝子(Ppar-α)の発現量を測定した結果を、カカオ抽出物に代えて蒸留水を投与した場合の結果とともに示す図である。いずれの図も、マウス個体毎に全測定時間における各遺伝子の発現量を平均した値を1とした場合の相対比として示す。 マウスに、カカオ抽出物(CLPr)を1日4回(ZT3(11:00)、ZT9(17:00)、ZT15(23:00)、ZT21(5:00))投与し、その180分後にCry1遺伝子、Cry2遺伝子、Clock遺伝子、Rev−erba遺伝子、及びPGC1−α遺伝子(Pgc1−α)の発現量を測定した結果を、カカオ抽出物に代えて水を投与した場合の結果とともに示す図である。いずれの図も、マウス個体毎に全測定時間における各遺伝子の発現量を平均した値を1とした場合の相対比として示す。
(I)機能性経口組成物
本発明の機能性経口組成物は、哺乳動物に対して経口的に投与される可食性の組成物であり、ポリフェノールを有効成分として含むことを特徴とする。
本発明において哺乳動物としては、ヒト、チンパンジー、サル、及びうさぎなどの昼行性哺乳動物;モルモット、マウス、ラット、犬、及び猫などの夜行性哺乳動物を挙げることができる。本発明が対象とする哺乳動物は、好ましくは昼行性哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
(A)有効成分(ポリフェノール)とその調製方法
ポリフェノールは、同一分子内に複数のフェノール性水酸基をもつ化合物であり、その多くが植物に由来する成分である。本発明が対象とするポリフェノールは、可食性であればよく、単量体であってもまたそれらの重合物であってもよい。また1種のポリフェノールからなるものであってもよいし、また2以上のポリフェノールの混合物であってもよい。
ポリフェノールとしては、具体的には、プロシアニジン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、テアフラビン、テアルビジン、カテキン、リグニン、タンニン、アントシアニジン、レスベラトロール、ルチン、イソフラボン、クロロゲン酸、カルタミン、ヘスぺリジン、リグナン、クマリン、クルクミン、エラグ酸、ダイゼイン、ゲネステイン、ゲニスチン、プエラリン、ミリセチン、フィゼチン、ケンフェロール、ガランギン、及びクエルセチンなどが例示される。
本発明において、ポリフェノールとして、好ましくはカカオ豆由来のポリフェノール、より好ましくはカカオマス由来のポリフェノール(以下、これらを「カカオポリフェノール」と称する)である。カカオポリフェノールには、少なくともカテキン及びエピカテキンなどのカテキン類を含むフラボノイド;プロシアニジンB2、及びプロシアニジンB5等の二量体型のプロシアニジン、プロシアニジンC1等の三量体型のプロシアニジン、並びにシンナムタンニンA2等の四量体型のプロシアニジン等のプロアントシアニジンが含まれている(例えば、福場ら著「チョコレート・ココアの科学と機能」、アイ・ケイコーポレーション出版、2004年11月発行など参照)。カカオポリフェノールに含まれるプロアントシアニジンは、エピカテキンを基本骨格とした4→8結合等の多量体であり、他の植物から抽出されるプロアントシアニジンと比較して、その構造が単純である。このため製造工程で安定して管理しやすいという利点がある。
カカオポリフェノールに含まれるカテキン、エピカテキン、プロシアニジンB2、プロシアニジンB5、プロシアニジンC1及びシンナムタンニンA2の割合としては、これらの総量を100重量%とした場合、カテキンとエピカテキンの合計:45〜65重量%、プロシアニジンB2:15〜25重量%、プロシアニジンB5:2〜8重量%、プロシアニジンC1:10〜20重量%、シンナムタンニンA2:5〜10重量%を例示することできる。またカカオマスに含まれる総ポリフェノール100重量%に占めるこれら6種類のポリフェノールの割合としては、制限されないものの8〜50重量%、好ましくは10〜40重量%を例示することができる。
また、カカオポリフェノールは、後述する表2に例示するように、単量体と重合物(少なくとも2量体〜7量体の重合物を含む)の混合物である。カカオポリフェノールに含まれる単量体〜7量体の割合としては、制限されないものの、単量体〜7量体の総量を100重量%とした場合、単量体:35〜50重量%、2量体:15〜25重量%、3量体:10〜20重量%、4量体:5〜15重量%、5量体:1〜10重量%、6量体:0.5〜5重量%、7量体:0.1〜3重量%の割合を例示することができる。さらに、腸で吸収される単量体〜3量体:60〜95重量%、腸で吸収されない4量体〜7量体:5重量%〜33重量%の割合を例示することができる。しかし、これらの割合に特に制限されるものではない。
カカオポリフェノールの調製方法は、特に限定されないが、カカオ豆(以下「カカオ」ともいう)を原料として水や有機溶剤等の抽出溶媒を用いて抽出することで調製取得することができる。
より具体的には、カカオポリフェノールは、カカオ豆の胚乳を発酵、乾燥、焙煎及び摩砕して調製したカカオマスを原料として、後述する抽出溶媒により抽出することによって調製することができる。なお、カカオマスには約50重量%のカカオ油脂分(ココアバター)が含まれているので、抽出溶媒での抽出に先立って、圧搾法又はヘキサン等の非極性有機溶媒を使用することにより予め脱脂処理を行い、抽出処理時にカカオマスから余分な脂質が抽出されるのを防止しておくことが望ましい。
カカオポリフェノールの抽出に使用される抽出溶媒は、植物からポリフェノールを抽出するために一般的に用いられる抽出溶媒であればよく、特に制限されない。好ましくは、極性溶媒が挙げられる。極性溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜5の低級アルコール;1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;アセトン;エチルエーテル;酢酸エチル;酢酸メチル等が例示される。これらの抽出溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。当該抽出溶媒として、好ましくは水、炭素数1〜5の低級アルコール、及び炭素数1〜5の低級アルコールと水の混合液;更に好ましくは、食品衛生の観点から、水、エタノール、及びエタノールと水の混合液;特に好ましくはエタノールと水の混合液が挙げられる。
抽出方法としては、通常用いられている植物抽出物の抽出方法を採用することができ、具体的には、浸漬法(静置または振盪浸漬);攪拌方法;又はパーコレーション法等が例示される。
カカオポリフェノールの抽出条件は、特に限定されず、冷温、室温及び加温条件のいずれの温度条件を採用することができる。一例として、水である場合は、40〜100℃、好ましくは50〜90℃で加温することが好ましい。また、溶媒としてエタノール水溶液を使用する場合は、0〜80℃、好ましくは40〜70℃で加温することが好ましい。
カカオポリフェノールの調製において、その抽出過程で得られる粗抽出物には、ポリフェノール以外に、アミノ酸、テオブロミン、及びタンパク成分等の成分が含まれる。これらのポリフェノール以外の成分を除去し、より高純度のカカオポリフェノールを取得するためには、上記粗抽出物を水素イオンで置換処理した陽イオン交換樹脂(例えば、Diaion(登録商標)HP−2MGカラム[三菱化学(株)製]など)に接触させ、次いでイオン性物質を含まない溶剤(例えば、水やエタノール等の低級アルコール)で溶出処理する方法を用いることができる。斯くして得られる溶出画分を濃縮または乾燥することでプロアントシアニジンを始めとするポリフェノールを豊富に含む純度の高いカカオポリフェノール(カカオ抽出物)を調製取得することができる。なお、必要に応じて、これらの方法を繰り返してもよい。
ちなみに、特に制限されないものの、カカオポリフェノールを安定化するために、上記の調製工程で、エラグ酸またはプニカラジンの少なくとも一つを含む安定化剤を用いてもよい。これらの安定化剤は、例えば、カカオ豆からカカオの粗抽出物を調製する工程、好ましくは加熱工程に適用することができる。加熱工程としては、例えば37℃以上で加熱する工程、好ましくは120℃以上で加熱する工程を例示することができる。また、カカオポリフェノールの調製工程において、調製物(液状物)のpHが4以上の状態では、エピカテキン類のエピマー化やプロシアニジン類の含量の低下などの望ましくない現象が見られる。このため、上記の安定化剤は、この現象を抑制または改善するために、ポリフェノールを含む組成物がpH2〜8、好ましくはpH4〜7.5、より好ましくはpH5.5〜6.5の状態にある場合に好適に適用することができる。こうした場合、これらの安定化剤は、ポリフェノール100重量部に対して、エラグ酸は1.5重量部以上、またはプニカラジンは5重量部以上となる割合で用いることができる。
(B)その他の成分、及び機能性経口組成物の形態
本発明の機能性経口組成物は、医薬品組成物(経口用医薬品)、化粧品組成物(口腔用化粧品を含む)、または飲食品組成物(例えば、保健機能食品[特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品]、栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品、健康食品、サプリメント、医薬用飲食物などが含まれる)として調製され、また提供することができる。好ましくは経口医薬品組成物、及び飲食品組成物であり、より好ましくは飲食品組成物である。
これらの機能性経口組成物は、前述するポリフェノール、好ましくはカカオポリフェノールを含むカカオ抽出物を原料として、当業界の技術常識に基づいて、固液分離、乾燥(凍結乾燥、噴霧乾燥)、混合、混練、造粒、及び成形加工(打錠等)などの種々の操作を1または複数組み合わせて調製される加工物でもあり得る。さらに、所望の形態や剤型に応じて、定法に従って、担体や添加剤などを配合することができる。添加剤としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯臭剤、矯味剤、甘味剤、溶解補助剤、懸濁剤、乳化剤、安定化剤(安定剤)、増粘剤、ゲル化剤、酸味料、保存料、抗酸化剤、pH調整剤、基剤、着香剤、及び着色剤等を例示することができる。これらの各添加剤の具体的な成分としては、特に制限されず、当業界で通常使用されるものを同様に用いることができる。
本発明に係る機能性経口組成物の形態または剤型としては、哺乳動物が経口的に摂取または投与できる形態や剤型を挙げることができる。例えば、経口医薬品または飲食品の形態または剤型として、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤(粉末製剤)、カプセル剤、咀嚼錠剤、トローチ剤、液剤(シロップ剤)、ゼリー剤、ドライシロップ剤、及びペースト状製剤等の製剤形態を例示することができる。かかる製剤形態のうち、好ましくは、錠剤、咀嚼錠剤、ゼリー剤、またはペースト状製剤である。保存の観点からより好ましくは錠剤、咀嚼錠剤である。
本発明に係る機能性経口組成物は、一般的な飲食品の形態としても調製することができる。かかる飲食品の形態として、即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品などの即席食品;清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、アルコール飲料などの飲料;パン、パスタ、麺、ケーキミックス、パン粉などの小麦粉製品;飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子などの菓子類;ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素などの調味料;加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズなどの油脂類;乳飲料、発酵乳(ヨーグルトなど)、乳酸菌飲料、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ類、アイスクリーム類、クリーム類などの乳製品;農産缶詰;ジャム・マーマレード類、チョコレートクリーム等のトーストスプレッド;シリアルなどの農産加工品;冷凍食品などが挙げられる。好ましくはチョコレート、チョコレートケーキ(ガトー・オ・ショコラなど)、チョコレート入り菓子、チョコレートクリーム(トーストスプレッド)、ココア飲料、チョコレート飲料などが例示できる。
本発明の機能性経口組成物は、その形態や剤型の別にかかわらず、哺乳動物1個体(ヒト1人)の1日の投与量中にポリフェノール、好ましくはカカオポリフェノールを総量0.3mg〜5g含むものであることが好ましい。1日投与量はこの範囲で適宜設定することができ、例えば0.6mg〜4g、1mg〜3g、3mg〜2g、6mg〜1gの範囲を挙げることができる。また別の態様として、1g〜5g、2g〜5g、3g〜5g、4g〜5gの範囲を挙げることもできる。風味や安全性の観点から、ヒトに投与する1日投与量としては、0.6mg〜1.8gが好ましい。
本発明の機能性経口組成物は、その作用を簡便且つ効果的に発揮して哺乳動物に享受させるために、哺乳動物に対して1日必要量のポリフェノールが毎日継続的に投与できる簡便且つ便利な形態を備えていることが好ましい。こうした形態としては、制限されないものの、一つの容器または包装具(以下、これを「容器包装具」を総称する)の中に、機能性経口組成物が1日の投与量毎に分画または分割された状態で収容されている態様を挙げることができる。具体的には、機能性経口組成物が1日の投与量毎に、切り込みが入った状態(例えば、分割しやすように)、カットされた状態、成型された状態、または個別に包装(または容器に充填)された状態で、1日〜数日分の用量分が、1つの容器包装具の中に収納又は充填されている態様を挙げることができる。ここで「成型された状態」には、制限されないものの、例えば錠剤等のような製剤形態が含まれる。また「個別に包装(または容器に充填)された状態」には、制限されないものの、例えば1日投与量分の顆粒や粉末状物がカプセル基材または包装具に分包されている状態、並びに1日投与量分の液状物が容器や包装具に充填されている状態が含まれる。また別の態様として、制限されないものの、1日投与量毎に個別包装(または容器充填)された機能性経口組成物が、2日〜数十日分(または2〜数日分)組み合わされた態様であり、これは組み合わせ製品またはセット製品として取引される。
本発明の機能性経口組成物は、その作用を効果的に発揮するために、少なくとも3日間は継続(連続)して投与されることが好ましい。好ましくは5日以上、より好ましくは1週間以上、さらに好ましくは10日以上、特に好ましくは20日以上、さらに特に好ましくは30日以上である。このため、上記本発明の機能性経口組成物も、1つの容器包装具の中に1日〜3日分、5日分、1週間分、10日分、20日分、または30日分の用量分が収容されているか、これらの日数分が組み合わせ物(セット)になっている態様を有することができる。
(C)機能性経口組成物の用途、並びに用法及び用量
本発明の機能性経口組成物は、夜間、昼行性哺乳動物に継続して投与されることで、当該昼行性哺乳動物の身体のエネルギー代謝を活性化する作用効果を発揮する。その結果、昼行性哺乳動物の身体のエネルギー代謝が亢進し、内臓脂肪や皮下脂肪の蓄積が抑制され、肥満を予防もしくは解消することができる。また、肥満、特に内臓脂肪の蓄積を原因とする生活習慣病を予防または改善することができる。一方、本発明の機能性経口組成物は、朝、昼行性哺乳動物に投与しても、エネルギー代謝は活性化(亢進)せず、寧ろ、体内エネルギー及び体脂肪を維持するように作用する。このため、昼行性哺乳動物について体内エネルギー及び体脂肪を保持するためには、本発明の機能性経口組成物を、朝、投与(服用)することが好ましい。
こうした意味で、本発明の機能性経口組成物は、その作用効果から、「身体エネルギー代謝制御剤」ということができ、もっぱら昼行性哺乳動物の身体のエネルギー代謝を制御する目的で使用することができる。
当該身体エネルギー代謝制御剤は、上記のことから、その用い方に応じて、(1)身体のエネルギー代謝活性化剤、及び(2)体内エネルギーまたは体脂肪維持剤の2つに分類することができる。以下、これらについて説明する。
(1)身体のエネルギー代謝活性化剤
本発明のエネルギー代謝活性化剤は、下記の特徴を有する。
(a)ポリフェノール、好ましくはカカオポリフェノールを有効成分として含有する。
(b)昼行性哺乳動物に対して、夜間に投与される。
(c)1日当たりの投与量がポリフェノール総量に換算して0.3mg〜5gである。
(d)3日間以上に亘って毎日継続して投与される。
上記(b)において「夜間」とは、昼行性哺乳動物については活動の少ない時間帯であり、通常日没から日出までの時間帯をいう。好ましくは日没から就寝までの時間帯、より好ましくは夕食後から就寝までの時間帯である。なお、「夕食後」とは夕食終了時点より以降の時間帯を意味し、夕食終了直後であってもよいし、夕食終了から1時間経過以後であることもできる。季節によっても異なるものの、一例を挙げると、日没から日出までの時間帯として「午後6時(18時)〜翌日の午前6時(6時)」の時間帯、日没から就寝までの時間帯として「午後7時(19時)〜翌日の午前1時(1時)」の時間帯、夕食後から就寝までの時間帯として「午後7時(19時)〜翌日の午前0時(0時)」の時間帯を挙げることができるが、特に制限されない。
本発明のエネルギー代謝活性化剤について、その効果を確実に得るためには、(b)〜(d)の用法及び用量が遵守されることが必要である。これを確実且つ簡便に実行し遵守するためには、本発明のエネルギー代謝活性化剤は、本発明の機能性経口組成物に関して上記(B)で説明した形態を備えていることが好ましい。具体的には、1日投与量毎に分画または分割された状態で包装されており、少なくとも3日分のエネルギー代謝活性化剤が1つの容器包装具に収容されているか、また組み合わせ物(セット)になっている態様である。これに関する上記(B)の記載はここに援用することができる。
本発明のエネルギー代謝活性化剤の1日投与量は、(B)に記載するようにポリフェノールの総量に換算して0.3mg〜5gであり、この範囲で年齢、性別及び投与する哺乳動物の身体状態などに応じて適宜設定することができる。例えば0.6mg〜4g、1mg〜3g、3mg〜2g、及び6mg〜1g等の範囲、また1g〜5g、2g〜5g、3g〜5g、4g〜5gの範囲から適宜設定することができる。風味や安全性の観点から、ヒトに投与する1日投与量としては0.6mg〜1.8gの範囲が好適である。なお、本発明のエネルギー代謝活性化剤は、1日に上記所定量投与されればよく、その投与回数は特に制限されない。上記投与量を1回投与しても、また2〜数回に分けて投与してもよい。
また、本発明のエネルギー代謝活性化剤は、昼行性哺乳動物の身体のエネルギー代謝を高め、且つ高まったエネルギー代謝を効果的に維持継続するためには、少なくとも3日間に亘って、上記投与量の夜間投与を継続的に行うことが好ましい。より好ましくは5日間以上の継続であり、さらに好ましくは1週間(7日間)以上、特に好ましくは10日間以上、20日間以上、並びに30日間以上の継続である。こうすることで、高エネルギー(高カロリー)、高糖質および/または高脂肪の食事、および/または運動不足等による過剰な内臓脂肪の蓄積を抑制し、肥満並びメタボリックシンドロームなどの生活習慣病への移行や重篤化を効果的に予防または改善することができる。
本発明において、エネルギー代謝とは、糖代謝及び脂質代謝などを包括する。したがって、本発明に係る「エネルギー代謝の活性化剤」は、「糖代謝および/または脂質代謝の向上剤」としても作用し、糖代謝および脂質代謝の少なくとも1方の低下を伴うか若しくはそれを原因とする身体状態または疾患、または糖代謝および脂質代謝の少なくとも1方を向上することで予防または改善が期待できる身体状態または疾患に対する予防剤や改善剤としての効果が期待できる。上記身体状態または疾患としては、例えば耐糖能障害、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、冠動脈疾患、脳梗塞、脂肪肝、月経異常、妊娠合併症、睡眠時無呼吸症候群、肥満低換気症候群、腰痛症、変形性関節症、肥満関連腎臓病、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、大腸がん、乳がん、及び胆道がん等を例示することができる。また、本発明に係る「エネルギー代謝の活性化剤」は、内臓脂肪が過剰な肥満症者のみならず、内臓脂肪が過剰でない健常者(非肥満症者)などが高糖質および/または高脂肪の食事をしたときでも、当該健常者の糖代謝および/または脂質代謝を向上させる組成物として用いることができる。
本発明のエネルギー代謝活性化剤の体内での作用メカニズムは、明らかではないものの、AMPKを活性化することで、PGC−1αが誘導され、各種の時計遺伝子の発現を促進または抑制して、GLP−1分泌を促進しているものと考えられる。ここで本発明のエネルギー代謝活性化剤で発現が促進される時計遺伝子はClock遺伝子、Per2遺伝子、またはCry2遺伝子の少なくとも一つである。但し、当該作用メカニズムはあくまでも仮説であり、本発明は当該作用メカニズムに限定されるものではない。
AMPK(AMP-Activated protein kinase)は、肝臓、筋肉、脂肪組織などの末消神経組織や視床下部において、細胞のエネルギー状態を監視し、その状態に応じて、糖及び脂質の代謝などを調整する酵素である。AMPKが活性化されると、エネルギー産生経路(糖輸送、脂肪酸化)が亢進し、エネルギー消費経路(タンパク質合成)が遮断されることにより、細胞内ATPが回復する。AMPK活性化による作用として、例えば、肝臓における糖新生の抑制、筋肉における糖の取り込み、脂肪組織,肝臓及び筋肉における脂肪酸の酸化や分解の促進などが知られている。
PGC−1α(Peroxisome proliferative activated receptor, γ-coactivator 1α)は、核内受容体コアクチベーターであり、エネルギー代謝と時計遺伝子を統括している共活性化因子である。PGC−1αの作用として、例えば、ミトコンドリアの形成の促進、脂肪の分解の促進、活性酸素の抑制のほか、筋肉の増強などが知られている。
時計遺伝子は、概日リズムを制御する遺伝子群であり、具体的には、Clock遺伝子、Bmal(Brain and Mastlent-Like protein)遺伝子、Period(以下、「Per」と略することがある)遺伝子、Cryptochrome(以下「Cry」と略すことがある)遺伝子、alubmin site D−binding protein(以下「Dbp」と略することがある)遺伝子、E4BP4遺伝子、Npass2遺伝子などが例示される。なお、Per遺伝子にはPeriod1遺伝子(Per1遺伝子)、Period2遺伝子(Per2遺伝子)、及びPeriod3遺伝子(Per3遺伝子)の3種類がある。哺乳動物(例えば、ヒト、猫、犬、モルモット)では、時計遺伝子として、Clock遺伝子、Bmal1遺伝子、Per遺伝子(Per1、Per2、Per3)、及びCry遺伝子の4つのコアとなるタンパク質をコードする遺伝子が、種々の時計遺伝子の転写の促進または抑制が関連する。
体内時計の刻みを促進する因子の遺伝子群には、例えばClock遺伝子、及びBmal遺伝子が含まれる。一方、体内時計の刻みを抑制する因子の遺伝子群には、例えばPer遺伝子、Cry遺伝子、及びChrono遺伝子が含まれる。
なお、概日リズムの制御中枢は視床下部の視交叉上核に存在しているが、概日リズムを制御する機構は肝臓や筋肉などの殆どの末梢組織にも存在しており、中枢及び末梢はともに同様なシステムで機能している。これらの時計遺伝子は、ヒトでは呼吸、血圧、体温、ホルモン分泌、睡眠、及び覚醒などの生理学的及び行動学的な現象を制御している。Bmal1遺伝子は、脂肪酸及びコレステロールの合成促進並びに分解抑制に関与している。また、Per1遺伝子、Per2遺伝子、Per3遺伝子は、時計遺伝子としての働きのほか、ストレス応答や肥満にも関与している。
PPAR−αは、肝臓、網膜、消化器粘膜、筋肉の褐色脂肪組織、心臓、及び腎臓で強く発現している受容体タンパクであり、遊離脂肪酸などの生理的なリガンドによって活性化され、コレステロール及びトリグリセリドの合成低下などに関与する。PPAR−αの具体的な作用として、脂肪酸のβ酸化およびω酸化の促進、脂肪酸輸送活性およびアシルCoA合成酵素活性の増加、アポタンパクA1の合成の促進、血清HDLコレステロールの増加およびLPL合成の亢進、アポタンパクC−3合成の抑制、アシルCoAカルボキシラーゼ/脂肪酸シンターゼの活性低下、炎症の抑制等が知られている。
本発明のエネルギー代謝活性化剤は、前述する「機能性経口組成物」と同様に、経口的に投与される、医薬品、医薬部外品、化粧品、または飲食品(保健機能食品[特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品]、栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品、健康食品、サプリメント、医薬用飲食品)として用いることができる。
これらの各種製品には、各国の制度に応じて各製品に許容される方法及び範囲で、市場での流通(販売を含む)において需要者が認識できるように、本発明のエネルギー代謝活性化剤の有効成分(機能性成分);有効成分の用途、効能、機能、及び配合量;投与方法(投与時間、投与回数、投与量等)などが表示されていることが好ましい。
ここで「表示」とは、需要者が認識できる方法であればよく、その限りにおいてあらゆる手段が含まれる。また、表示の目的や意図に関わらず、有効成分(機能性成分)の用途、効能または機能などを想起または類推させるような手段も含まれる。また表示の対象物(媒体)には、例えば、製品の容器、製品の包材、製品の説明書、製品の広告、製品の取引書類、製品のホームページ(インターネットなど)、製品のカタログ、製品のパンフレット、及び製品のPOPなどが例示でき、この表示の場所には、製品そのもの、製品を販売する店内・店外、製品を紹介する展示会・説明会などを例示できる。
本発明において「表示」とは、各国の行政や制度などによって認可された説明または表現であることが好ましく、例えば、日本国においては消費者庁や特定保健用食品制度によって認可された説明や表現である。具体的には、健康増進法に定められた特定保健用食品の表示(特に、保健の用途の表示)、条件付き特定保健用食品の表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病のリスクを低減する旨の表示などがある。
例えば、本発明のエネルギー代謝活性化剤の有効成分(機能性成分);有効成分の用途、効能、機能、及び含有量;投与方法(投与時間、投与回数、投与量等)の代表的な例を纏めると下記の通りになる。
有効成分(機能性成分);カカオポリフェノール
有効成分の用途・効能・機能:エネルギー代謝の活性化効果、内臓脂肪の蓄積抑制効果、抗肥満効果、または生活習慣病の予防・改善効果
有効成分の配合量:1日投与量中にポリフェノールを総量で0.3mg〜5g含有
投与方法(投与時間、投与回数、投与量等):1日投与量としてポリフェノール総量に換算して0.3mg〜5gを、夜間(日没から就寝まで)に1または複数回に分けて経口的に摂取する。3日以上継続的に連続して摂取する。
(2)体内エネルギーまたは体内脂肪維持剤
本発明の体内エネルギーまたは体内脂肪維持剤(以下、「体内エネルギー維持剤」と総称)は、下記の特徴を有する。
(a)ポリフェノール、好ましくはカカオポリフェノールを有効成分として含有する。
(b’)昼行性哺乳動物に対して、朝方に投与される。
(c)1日当たりの投与量がポリフェノール総量に換算して0.3mg〜5gである。
(d)3日間以上に亘って毎日継続して投与される。
上記(b’)において「朝方」とは、昼行性哺乳動物については活動時間帯であり、通常日出から8時間までの時間帯をいう。好ましくは日出から日没までの時間帯のうち朝食後から7時間までの時間帯である。一例を挙げると、日出から8時間までの時間帯として「午前6時から午後2時まで」の時間帯を挙げることができるが、特に制限されない。
本発明の体内エネルギー維持剤について、その効果を確実に得るためには、上記(b’)〜(d)の用法及び用量が遵守されることが必要である。これを確実且つ簡便に実行し遵守するためには、本発明の体内エネルギー維持剤は、本発明の機能性経口組成物に関して上記(B)で説明した形態を備えていることが好ましい。具体的には、1日投与量毎に分画または分割された状態で包装されており、少なくとも3日分の体内エネルギー維持剤が1つの容器包装具に収容されているか、また組み合わせ物(セット)になっている態様である。これに関する上記(B)の記載はここに援用することができる。
本発明の体内エネルギー維持剤の1日投与量は、(B)に記載するようにポリフェノールの総量に換算して0.3mg〜5gであり、この範囲で年齢、性別及び投与する哺乳動物の身体状態などに応じて適宜設定することができる。例えば0.6mg〜4g、1mg〜3g、3mg〜2g、及び6mg〜1g等の範囲、また1g〜5g、2g〜5g、3g〜5g、4g〜5gの範囲から適宜設定することができる。風味や安全性の観点から、ヒトに投与する1日投与量としては0.6mg〜1.8gの範囲が好適である。なお、本発明の体内エネルギー維持剤は、1日に上記所定量投与されればよく、その投与回数は特に制限されない。上記投与量を1回投与しても、また2〜数回に分けて投与してもよい。
また、本発明の体内エネルギー維持剤によって体内のエネルギーおよび/または体内脂肪を継続的に維持するためには、少なくとも3日に亘って、当該維持剤の上記投与量を朝方に継続的に投与することが好ましい。より好ましくは5日間以上の継続であり、さらに好ましくは1週間(7日間)以上、特に好ましくは10日間以上、20日間以上、並びに30日間以上の継続である。こうすることで、高エネルギー(高カロリー)、高糖質および/または高脂肪の食事の内容への無理な変更をしなくても、体内エネルギーの著しい消耗または体内脂肪の減少を防止することが可能である。
本発明の体内エネルギー維持剤も、前述する「機能性経口組成物」と同様に、経口的に投与される、医薬品、医薬部外品、化粧品、または飲食品(保健機能食品[特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品]、栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品、健康食品、サプリメント、医薬用飲食品)として用いることができる。
本発明の体内エネルギー維持剤は、エネルギーを積極的に摂取したほうがよいヒトに対して好適に用いることができる。かかる対象者としては、るいそう(やせ)者、食欲不振の者、リハビリテーション(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝不全、関節リウマチ、慢性心不全、慢性腎不全、下肢切断、大腿骨頸部骨折、糖尿病、脳卒中、癌(悪液質)、廃用症候群、パーキンソン病、誤嚥性肺炎、褥瘡ある高齢者)中の高齢者、エネルギー代謝が亢進してしまう疾病(たとえば甲状腺異常)の患者などを例示することができる。かかる対象者に対して、本発明の体内エネルギー維持剤は、錠剤(トローチ錠)、咀嚼剤、顆粒剤またはアンプル剤等の製剤形態を有する医薬品、医薬部外品、または飲食品(サプリメントなど)として投与できるほか、流動食(経口栄養剤、栄養ドリンク、経腸栄養剤)、介護食、嚥下困難者用食、チョコレート等の菓子類、チョコレート入り飲料、またはココア入り飲料などの飲食品(保健機能食品、栄養補助食品、健康補助食品、医薬用飲食品等)として投与することができる。
当該体内エネルギー維持剤も、表示については前述の通りである。
例えば、本発明の体内エネルギー維持剤の有効成分(機能性成分);有効成分の用途、効能、機能、及び含有量;投与方法(投与時間、投与回数、投与量等)の代表的な例を纏めると下記の通りになる。
有効成分(機能性成分);カカオポリフェノール
有効成分の用途・効能・機能:体内エネルギーの維持、体内脂肪の維持
有効成分の配合量:1日投与量中にポリフェノールを総量で0.3mg〜5g含有
投与方法(投与時間、投与回数、投与量等):1日投与量としてポリフェノール総量に換算して0.3mg〜5gを、朝方(日出から8時間まで)に1または複数回に分けて経口的に摂取する。3日以上継続的に連続して摂取する。
(II)昼行性哺乳動物のエネルギー代謝制御方法
本発明は、ヒトを始めとする昼行性哺乳動物のエネルギー代謝を制御する方法に関する。かかる方法は、前述する本発明の機能性経口組成物を昼行性哺乳動物に投与する(服用させる)ことで実施することができる。
(a)エネルギー代謝の活性化方法
昼行性哺乳動物のエネルギー代謝を正に制御して活性化する方法として、対象とする昼行性哺乳動物に、ポリフェノールを所定量含む本発明の機能性経口組成物を夜間に投与する方法を挙げることができる。ここで「夜間」とは、通常日没から日出までの時間帯であるが、好ましくは日没から就寝まで、好ましくは日没後の夕食後から就寝までの時間帯である。また昼行性哺乳動物1個体に対する機能性経口組成物の1日当たりの投与量としては、ポリフェノール総量に換算して0.3mg〜5gを挙げることができる。この範囲で年齢、性別及び投与する哺乳動物の身体状態などに応じて適宜設定することができる。例えば0.6mg〜4g、1mg〜3g、3mg〜2g、及び6mg〜1g等の範囲、また1g〜5g、2g〜5g、3g〜5g、4g〜5gの範囲から適宜設定することができる。風味や安全性の観点から、ヒトに投与する1日投与量としては0.6mg〜1.8gの範囲が好適である。なお、本発明の機能性経口組成物は、昼行性哺乳動物に対して、1日に上記所定量投与されればよく、その投与回数は特に制限されない。例えば、上記投与量を1回投与しても、また2〜数回に分けて投与してもよい。
また、昼行性哺乳動物のエネルギー代謝を活性化し、且つ高まったエネルギー代謝を効果的に維持継続するためには、本発明の機能性経口組成物の上記投与量の夜間投与を、少なくとも3日間に亘って継続的に行うことが好ましい。より好ましくは5日間以上の継続であり、さらに好ましくは1週間(7日間)以上、特に好ましくは10日間以上、20日間以上、並びに30日間以上の継続である。
こうすることで、高エネルギー(高カロリー)、高糖質および/または高脂肪の食事、および/または運動不足等による過剰な内臓脂肪の蓄積を抑制し、肥満並びメタボリックシンドロームなどの生活習慣病への移行や重篤化を効果的に予防または改善することができる。
本発明の方法によれば、糖代謝および/または脂質代謝を向上させることができるため、糖代謝および脂質代謝の少なくとも1方の低下を伴うか若しくはそれを原因とする身体状態または疾患、または糖代謝および脂質代謝の少なくとも1方を向上することで予防または改善が期待できる身体状態または疾患に対してその予防または改善方法として用いることができる。当該身体状態または疾患としては、例えば耐糖能障害、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、冠動脈疾患、脳梗塞、脂肪肝、月経異常、妊娠合併症、睡眠時無呼吸症候群、肥満低換気症候群、腰痛症、変形性関節症、肥満関連腎臓病、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、大腸がん、乳がん、及び胆道がん等を例示することができる。また、本発明の方法は、内臓脂肪が過剰な肥満症者のみならず、内臓脂肪が過剰でない健常者(非肥満症者)などが高糖質および/または高脂肪の食事をしたときでも、当該健常者の糖代謝および/または脂質代謝を向上させ、肥満を予防するために用いることができる。
(b)体内エネルギーまたは体内脂肪の維持方法
対象とする昼行性哺乳動物について、その体内エネルギーおよび/または体内脂肪を維持するために、ポリフェノールを所定量含む本発明の機能性経口組成物を朝方に投与する方法を挙げることができる。ここで「朝方」とは、日出から8時間までの時間帯であり、好ましくは日出後の朝食後から8時間までの時間帯である。また昼行性哺乳動物1個体に対する機能性経口組成物の1日当たりの投与量としては、ポリフェノール総量に換算して0.3mg〜5gを挙げることができる。この範囲で年齢、性別及び投与する哺乳動物の身体状態などに応じて適宜設定することができる。例えば0.6mg〜4g、1mg〜3g、3mg〜2g、及び6mg〜1g等の範囲、また1g〜5g、2g〜5g、3g〜5g、4g〜5gの範囲から適宜設定することができる。風味や安全性の観点から、ヒトに投与する1日投与量としては0.6mg〜1.8gの範囲が好適である。なお、本発明の機能性経口組成物は、昼行性哺乳動物に対して、1日に上記所定量投与されればよく、その投与回数は特に制限されない。例えば、上記投与量を1回投与しても、また2〜数回に分けて投与してもよい。
また、昼行性哺乳動物の体内エネルギーおよび/または体内脂肪を維持するためには、本発明の機能性経口組成物の上記投与量の朝方投与を、少なくとも3日間に亘って継続的に行うことが好ましい。より好ましくは5日間以上の継続であり、さらに好ましくは1週間(7日間)以上、特に好ましくは10日間以上、20日間以上、並びに30日間以上の継続である。こうすることで、高エネルギー(高カロリー)、高糖質および/または高脂肪の食事を積極的に摂取しなくても、体内エネルギーの著しい消耗または体内脂肪の減少を防止することが可能である。
本発明の方法によれば、体内エネルギーや体内脂肪を維持させることができるため、エネルギーを積極的に摂取したほうがよいヒトに対して好適に用いることができる。かかる対象者としては、前述するように。るいそう(やせ)者、食欲不振の者、リハビリテーションの患者などを例示することができる。
以下、本発明を製造例及び実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実施例等に限定されるものではなく、本発明の技術的な思想を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
[製造例1]
<カカオ抽出物の調製>
カカオ抽出物は、カカオ豆1.9kgから調製した、カカオマス1.0kgを原料とした。カカオマス1.0kgにn−ヘキサン5Lを加え、室温条件で30分間に亘って撹拌して脱脂し、脱脂カカオマス875gを得た。この得られた脱脂カカオマス875gに含水アセトン(アセトン含量70容量%)6Lを加えて抽出し、次いでエバポレーターを用いて減圧下でアセトンを蒸発除去した。得られた水性画分を9倍容量のn−ブタノールで抽出し、得られたn−ブタノール相を濃縮してDiaion(登録商標) HP−2MGカラム(15cm×10cm I.D)(三菱化学株式会社製)に供して吸着させた。その後、当該カラムに0.1%(v/v)のトリフルオロ酢酸を含む含水エタノール(エタノール含量15%(v/v))を供して、テオブロミン(theobromine)を溶出させ、次いで含水メタノール(メタノール含量80%(v/v))を供した。斯くして得られた含水メタノール溶出画分を濃縮乾固し、プロアントシアニジンが豊富(proanthocyanidin-rich)な画分であるカカオ抽出物17gを得た。このカカオ抽出物を、以下「カカオリカープロアントシアニジン(cacao liquor proanthocyanidin)」として、「CLPr」と略称する。この得られたカカオ抽出物17gの総ポリフェノール含量をプルシアンブルー法(Price, L.M., et al., Rapid visual estimation and spectrophotometric determination of tannin content of sorghum grain. J. Agric. Food Chem., 1977, 25, 1268-1273)にて、エピカテキンを標準品として測定したところ、628.1mg/g(エピテキン相当量)であった。
なお、上記で使用したアセトンまたはメタノールに代えてエタノールを使用することもできる。
このカカオ抽出物に含まれる総ポリフェノール1g当たりの各ポリフェノールの含量(mg)を表1に示す。なお、このポリフェノール含量は、Natsumeらの論文(Natsume, M. etal., Analysis of Polyphenols in Cacao Liquor, Cocoa, and Chocolate by Normal-Phase and Reversed-Phase HPLC, Bioscience Biotechnology and Biochemistry 2000, 64, 2581-2587)の記載に準じて測定した。
Figure 0006772064
またこのカカオ抽出物の総ポリフェノール1g当たりに含まれる単量体及び多量体(二量体〜7量体)の量(mg)を表2に示す。なお、このポリフェノールの分子量は、Kelm らの論文(Kelm, M. A. et al., High-performance liquid chromatography separation and purification of cacao (Theobroma cacao L.) procyanidins according to degree of polymerization using a diol stationary phase. J Agric Food Chem 2006, 54, 1571-1576)の記載に準じて測定した。
Figure 0006772064
[実施例1]
<ポリフェノール摂取時間による血漿GLP−1濃度の影響の検証>
マウスを用いてポリフェノール摂取時間(朝、夕方)が血漿GLP−1濃度に与える影響を調べた。なお、マウスは夜行性哺乳動物であり、ヒトを始めとする昼行性哺乳動物とはその概日リズム(内因性リズム)が12時間ずれて逆転している。
(1)被験マウス
C57BL/6マウス(雄5週齢 日本SLC社)を入手してから、1週間(馴化期間)が経過した後に、40匹を下記の8群に分け(各群5匹)、室温25±2℃、照明時間/日を8時〜20時の条件下で飼育した(明暗周期:明期8:00〜20:00、暗期20:00〜8:00)。なお、上記するようにマウスは夜行性の哺乳動物であるため、上記明暗周期において、明期は就眠/絶食時間帯、暗期は活動/摂食時間帯に相当する。
下記において、符号「A」及び「B」はそれぞれカカオ抽出物朝投与及び夕方投与を意味する。また、符号「C」及び「H」はそれぞれ普通食給餌及び高脂肪食給餌を意味する。
No.1(A/C−0):カカオ抽出物非投与(0mg/kg体重)(対照)
No.2(A/C−10):カカオ抽出物朝投与(10mg/kg体重)
No.3(A/H−0):カカオ抽出物非投与(0mg/kg体重)(対照)
No.4(A/H−10):カカオ抽出物朝投与(10mg/kg体重)
No.5(B/C−0):カカオ抽出物非投与(0mg/kg体重)(対照)
No.6(B/C−10):カカオ抽出物夕方投与(10mg/kg体重)
No.7(B/H−0):カカオ抽出物非投与(0mg/kg体重)(対照)
No.8(B/H−10):カカオ抽出物夕方投与(10mg/kg体重)
具体的には、40匹のマウスを、まず上記の通り、カカオ抽出物朝投与群(A:No.1〜4)及びカカオ抽出物夕方投与群(B:No.5〜8)の2つに分け、これらの群をさらにそれぞれ普通食給餌群(C)と高脂肪食給餌群(H)に分けた。また各群(朝投与/普通食給餌群[A/C]、朝投与/高脂肪食給餌群[A/H]、夕方投与/普通食給餌群[B/C]、夕方投与/高脂肪食給餌群[B/H])とも、カカオ抽出物投与群に対して、カカオ抽出物非投与群(対照)を設けた。
(2)試験方法
上記製造例1で調製したカカオ抽出物(以下「CLPr」ともいう)を蒸留水で10倍に希釈し、これを上記No.2、No.4、No.6及びNo.8のマウスに対してCLPr量が10mg/kg体重(ポリフェノールの総量6mg/kg体重)になるように経口投与した。これらのマウスの対照群(No.1、No.3、No.5及びNo.7)には、CLPrに代えて蒸留水を10mg/kg体重の割合で投与した。なお、1〜4群のマウスには朝(9時)に、No.5〜8のマウスには夕方(17時)に、いずれも1回/日の割合でCLPrまたは蒸留水を投与した。
上記実験中、No.1〜2及びNo.5〜6には普通食(D12450B(脂質エネルギー比10%)、リサーチダイエット社)を、No.3〜4及びNo.7〜8には高脂肪食(D12492(脂質エネルギー比60%)、リサーチダイエット社)を自由摂取させた。
CLPr経口投与の開始から7日目(7日目の経口投与1時間後)に、各群のマウスをネンブタール麻酔下で心臓採血することにより屠殺した。各群のマウスから採取した血液を遠心分離(9,700g、10分間、4℃)して、血漿を得た。斯くして調製した血漿を用いて、各群マウスの血漿GLP−1濃度を、レビス(R)GLP−1(Active)(シバヤギ社)の測定キットを用いて測定した。なお、GLP−1はグルカゴン様ペプチドであり、血糖代謝に関与するインスリン分泌を促す。このため、血漿中のGLP−1濃度の増加は、インスリン分泌につながり、糖代謝が亢進することを意味する。
(3)試験結果
朝投与群(A)のマウスの血漿GLP−1濃度を図1(A)に、夕方投与群(B)のマウスの血漿GLP−1濃度を図1(B)に示す。図1(A)に示すように、朝投与群において、普通食給餌群(C)と高脂肪食給餌群(H)との別に関係なく、CLPr非投与群と比較して、CLPr投与群は血漿GLP−1濃度が有意に高値を示した。一方、夕方投与群において、普通食給餌群(C)及び高脂肪食給餌群(H)のいずれも、CLPr非投与群とCLPr投与群とで、血漿GLP−1濃度に有意差はなかった。この結果から、朝、マウスにCLPrを摂取または投与することで、GLP−1の分泌が促進され、糖代謝(エネルギー代謝)が亢進することが明らかになった。この結果をマウスとは概日リズムが逆の昼行性哺乳動物(ヒトを含む)に当てはめると、昼行性哺乳動物の場合は、夕方以降にカカオ抽出物(ポリフェノール)を摂取または投与することで、GLP−1の分泌が促進され、糖代謝(エネルギー代謝)が亢進すると考えられる。
[実施例2]
マウスを用いて、ポリフェノール摂取時間(朝、夕方)による、血漿アディポネクチン濃度、リン酸化AMPK/総AMPK、各臓器における脂肪組織量、及び時計遺伝子の発現量に与える影響を調べた。ポリフェノールとして、実施例1と同様、製造例1で調製したカカオ抽出物(CLPr)を用いた。
(1)被験マウス
C57BL/6マウス(雄5週齢 日本SLC社)を入手してから、1週間(馴化期間)が経過した後に、60匹を12群に分け(各群5匹)、下記のように分類した。
No.1(A/C−0):CLPr非投与(0mg/kg体重)(対照)
No.2(A/C−1):CLPr朝投与(1mg/kg体重)
No.3(A/C−10):CLPr朝投与(10mg/kg体重)
No.4(A/H−0):CLPr非投与(0mg/kg体重)(対照)
No.5(A/H−1):CLPr朝投与(1mg/kg体重)
No.6(A/H−10):CLPr朝投与(10mg/kg体重)
No.7(B/C−0):CLPr非投与(0mg/kg体重)(対照)
No.8(B/C−1):CLPr夕方投与(1mg/kg体重)
No.9(B/C−10):CLPr夕方投与(10mg/kg体重)
No.10(B/H−0):CLPr非投与(0mg/kg体重)(対照)
No.11(B/H−1):CLPr夕方投与(1mg/kg体重)
No.12(B/H−10):CLPr夕方投与(10mg/kg体重)
具体的には、60匹のマウスを、まず上記の通り、朝投与群(A:No.1〜6)及び夕方投与群(B:No.7〜12)の2つに分類し、これらの群をさらにそれぞれ普通食給餌群(C)と高脂肪食給餌群(H)の2つに分類した。またこれら4つに分類した各群(朝投与/普通食給餌群[A/C]、朝投与/高脂肪食給餌群[A/H]、夕方投与/普通食給餌群[B/C]、夕方投与/高脂肪食給餌群[B/H])を、さらに2つのCLPr投与群(1mg/kg投与群、10mg/kg投与群)と1つのCLPr非投与群(対照)とに分類した。
(2)試験方法
上記製造例1で調製したカカオ抽出物(CLPr)を蒸留水で10倍に希釈し、これを上記No.2、No.5、No.8及びNo.11のマウスに対してCLPr量が1mg/kg体重(ポリフェノールの総量0.6mg/kg体重)になるように、また上記No.3、No.6、No.9及びNo.12のマウスに対してCLPr量が10mg/kg体重(ポリフェノールの総量6mg/kg体重)になるように、それぞれ経口投与した。これらのマウスの対照群(No.1、No.4、No.7及びNo.10)には、CLPrに代えて蒸留水を10mg/kg体重の割合で投与した。なお、No.1〜6のマウスには朝(9時)に、No.7〜12のマウスには夕方(17時)に、いずれも1回/日の割合でCLPrまたは蒸留水を投与した。
上記実験中、No.1〜3及びNo.7〜9には普通食(D12450B)を、No.4〜6及びNo.10〜12には高脂肪食(D12492)を自由摂取させた。
CLPrの経口投与の開始から7日目(7日目の経口投与1時間後)に、各群のマウスをネンブタール麻酔下で心臓採血することにより屠殺した。各群のマウスから採取した血液を遠心分離(9,700g、10分間、4℃)して、血漿を得た。
斯くして調製した血漿を用いて、各群マウスの血漿アディポネクチン濃度を、レビスアディポネクチン(シバヤギ社)の測定キットを用いて測定した。またリン酸化AMPK/総AMPKをウエスタンブロット法で測定した。なお、アディポネクチンは、脂肪細胞が特異的に分泌するタンパク質であり、血漿中のアディポネクチン濃度の増加は、インスリンの感受性を高める、すなわち糖代謝を活性化していることを意味する。またリン酸化AMPK/総AMPKの増加は、AMPKが活性化されてリン酸化が進んでいることを示す。
また、各群のマウスについて、体重を測定した後、白色脂肪細胞(内臓脂肪[精巣上体脂肪、腸間膜脂肪、腎周囲脂肪]、皮下脂肪)、褐色脂肪細胞、及び筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)を摘出し、各群間でこれらの重量(g/100g体重)を比較した。なお、統計処理にはTukey-Kramer multiple comparison testを用いて、p<0.05を有意差があると判定した。
[測定結果]
(1)血漿アディポネクチン濃度
朝投与群(A)及び夕方投与群(B)の血漿アディポネクチン濃度を、それぞれ図2(A)および(B)に示す。図2(A)に示すように、朝(9時)のCLPr投与では、普通食給餌群(C)において血漿アディポネクチン濃度がCLPrの投与量に依存して高まる傾向が見られた。また高脂肪食給餌群(H)でも血漿アディポネクチン濃度がCLPrの投与により高まる傾向が見られた。なお、CLPr非投与群において、高脂肪食給餌群(H−0)の血漿アディポネクチン濃度は普通食給餌群(C−0)より低値の傾向が見られたが、CLPr投与群では、高脂肪食給餌群(H−1、H−10)と普通食給餌群(C−1、C−10)とで血漿アディポネクチン濃度は同程度であった(つまり、高脂肪食給餌群に対してCLPr投与により血漿アディポネクチン濃度が高まることを意味する)。一方、図2(B)に示すように、夕方(17時)のCLPr投与では、全群において血漿アディポネクチン濃度は同程度であり、CLPr投与による影響は見られなかった。
この結果から、朝、マウスにCLPrを摂取または投与することで、血漿アディポネクチン濃度が高まること、すなわちアディポネクチンの分泌が促進されることが明らかになった。
(2)リン酸化AMPK/総AMPK
朝投与群(A)および夕方投与群(B)の各々について、リン酸化AMPKを総AMPKで除した比率(リン酸化AMPK/総AMPK)を、それぞれ図3(A)および(B)に示す。図3(A)および(B)はいずれも、CLPr非投与の普通食給餌群(C−0)を1(対照)として、各群のリン酸化AMPK/総AMPKを評価した結果を示す。図3(A)に示すように、朝(9時)のCLPr投与では、普通食給餌群及び高脂肪食給餌群の両群においてリン酸化AMPK/総AMPKがCLPr投与量に依存して高まる傾向が見られた。一方、夕方(17時)の投与では、高脂肪食給餌群においてリン酸化AMPK/総AMPKがCLPr投与量に依存して高まる傾向は見られなかった。
(3)脂肪細胞の重量
朝投与群(A)および夜投与群(B)のマウスの体重(g)および体重100g当たりの脂肪細胞の重量(g/100g体重)を、それぞれ表3および表4に示す。なお、表3及び4において、「白色脂肪細胞(g/100g体重)」とは、精巣上体脂肪、腸管膜脂肪、及び腎周囲脂肪(以上、内臓脂肪)、並びに皮下脂肪の、体重100gあたりの総量(g)を意味する。各表中の各値に記載する符号は、異符号を付した群間に有意差があることを意味する。
Figure 0006772064
Figure 0006772064
朝投与群(A)および夕方投与群(B)のいずれのマウスも、高脂肪食給餌群(H)の内臓脂肪の白色脂肪細胞(精巣上体脂肪、腸管膜脂肪、および腎周囲脂肪)の重量は、普通食給餌群(C)のそれらよりも高値であった。
朝投与群(A)では、高脂肪食給餌のCLPr高投与群(CLPr:10mg/kg体重)は、同給餌群のCLPr非投与群(CLPr:0mg/kg体重)と比較して、白色脂肪細胞の重量が低くなる傾向が見られた。なお、このCLPr高投与群の白色脂肪細胞の重量は、普通食給餌群の同群のそれと同程度である。また、朝投与群では、高脂肪食給餌のCLPr低投与群(CLPr:1mg/kg体重)は、同給餌群のCLPr非投与群(CLPr:0mg/kg体重)と比較して、腸管膜脂肪の重量が低くなる傾向が見られた(表3参照)。
一方、夕方投与群(B)では、高脂肪食給餌のCLPr高投与群(CLPr:10mg/kg体重)の白色脂肪細胞の重量は、同給餌のCLPr非投与群(CLPr:0mg/kg体重)と同程度であり、また普通食給餌のCLPr高投与群よりも高くなる傾向が見られた(表4)。
この結果から、朝、マウスにCLPrを摂取または投与することで、高脂肪食を摂取していても内臓脂肪の蓄積が効率的に抑制されることが明らかになった。また、朝、マウスにCLPrを摂取または投与することで、普通食を摂取していても、皮下脂肪や内臓脂肪の量が過剰に低下する傾向は見られなかった(表3)。このことから、朝、CLPrを摂取または投与することは、身体に安全であることがわかる。
(4)RNA抽出および遺伝子発現の測定
実施例1においてCLPrの投与時間によって糖代謝に関与するインスリン分泌を促すGLP−1の分泌に差異が認められたことから、CLPr投与による時計遺伝子(Clock、Bmal1、Per1、Per2、Cry1、Cry2)、PGC−1α遺伝子、及びPPAR−α遺伝子の発現に対する影響を確認した。
[方法]
マウスから採取した腓腹筋25mgをマイクロチューブに秤量し、500μLのTRIzol Reagentを加え、ポリトロンホモジナイザーで組織を粉砕した。ここに、クロロホルム100μLを加え、ボルテックスミキサーにて十分に混和し、室温(25℃±5℃)にて10分間静置した。 その後に、遠心分離(12,000g、15分間、4℃)して、上清を得た。この上清を新しいマイクロチューブに回収し、2−プロパノール300μlを加え、転倒混和し、室温にて10分間静置した。その後に、遠心分離(12,000g、 10分間、4℃)してRNA分画を沈殿させ、沈殿したRNA分画を、エタノールで洗浄してから、濃縮遠心機にて遠心乾固した。そして、脱イオン蒸留水(deionized -distilled water)30μLで、遠心乾固した総RNAを再溶解し、DNase(DNase1 recombinant RNase-free)処理した。このDNase処理したRNA5μL に、逆転写酵素のReverTra Ace(登録商標) qPCR RT Kit(TOYOBO)を用いて、cDNAを合成した。合成したcDNAを、SYBR Green premix Taqを用いて、Real time PCR(TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice、タカラバイオ社)で測定した。なお、内部標準にはGAPDHを用いた。普通食給餌(C)のCLPr非投与群の各遺伝子(PGC−1α遺伝子、及びPPAR−α遺伝子、Clock遺伝子、Bmal1遺伝子、Per1遺伝子、Pre2遺伝子、Cry1遺伝子、Cry2遺伝子)の発現量を1(対照)として、各群(普通食給餌(C)のCLPr投与群、高脂肪食給餌(H)のCLPr非投与群及びCLPr投与群)の各遺伝子の発現量を相対的に評価した。なお、統計処理には、Tukey−Kramer multiple comparison testを用いて、p<0.05を有意差があると判定した。
[結果]
朝投与群および夕方投与群のPPAR−α遺伝子の相対発現量をそれぞれ図4(A)および(B)に示す。朝投与では、普通肪食給餌群(C)及び高脂肪食給餌群(H)の両群において、PPAR−α遺伝子の相対発現量がCLPrの投与により高まる傾向が見られた(図4(A))。これに対して、夕方投与では、高脂肪食給餌群(H)において、PPAR−α遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して高まるという傾向は見られなかった(図4(B))。
朝投与群および夕方投与群のPGC−1α遺伝子の相対発現量をそれぞれ図5(A)および(B)に示す。朝投与では、高脂肪食給餌群(H)において、PGC−1α遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して高まる傾向が見られた(図5(A))。これに対して、夕方投与では、PGC−1α遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して高まるという傾向は見られなかった(図5(B))。
朝投与群および夕方投与群のClock遺伝子の相対発現量をそれぞれ図6(A)および(B)に示す。朝投与では、高脂肪食給餌群(H)において、Clock遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して有意に高まる傾向が見られた(図6(A))。これに対して、夕方投与では、Clock遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して高まる傾向は見られなかった(図6(B))。
朝投与群および夕方投与群のBmal1遺伝子の相対発現量をそれぞれ図7(A)および(B)に示す。朝投与では、高脂肪食給餌群(H)において、Bmal1遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して高まる傾向が見られた(図7(A))。これに対して、夕方投与では、Bmal1遺伝子の相対発現量がCLPrの投与により増加するものの、投与量に依存して高まる傾向は見られなかった(図7(B))。
朝投与群および夕方投与群のPer1遺伝子の相対発現量をそれぞれ図8(A)および(B)。朝投与では、各群間で有意差が認められなかった(図8(A))。これに対して、夕方投与では、普通食給餌群(C)において、Per1遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して高まる傾向が見られた(図8(B))。しかし、高脂肪食給餌群(H)において、Per1遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して高まる傾向は見られなかった(図8(B))。
朝投与群および夕方投与群のPer2遺伝子の相対発現量をそれぞれ図9(A)および(B)に示す。朝投与では、高脂肪食給餌群において、Per2遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して高まる傾向が見られた(図9(A))。一方、夕方投与では、Per2遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して高まる傾向は見られなかった(図9(B))。
朝投与群および夕方投与群のCry1遺伝子の相対発現量をそれぞれ図10(A)および(B)に示す。朝投与、及び夕方投与のいずれも、Cry1遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して高まる傾向は見みられなかった。
朝投与群および夕方投与群のCry2遺伝子の相対発現量をそれぞれ図11(A)および(B)に示す。朝投与では、高脂肪食給餌群(H)において、Cry2遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して高まる傾向が見られた(図11(A))。一方、夕方投与では、Cry2遺伝子の相対発現量がCLPrの投与量に依存して高まる傾向は見られなかった(図11(B))。
これらの結果から、朝、マウスにカカオ抽出物(ポリフェノール)を摂取または投与することで、夕方にカカオ抽出物(ポリフェノール)を摂取または投与する場合と比較して、糖(グルコース)の取り込みが増えること、すなわち、糖(グルコース)代謝が亢進されることが示唆された。さらに、朝、マウスにカカオ抽出物(ポリフェノール)を摂取または投与することで、高脂肪食などを摂取しても、過剰に(異常に)体脂肪を低下させることなく、余分な内臓脂肪の蓄積を短期間で効果的に抑制できることが確認された。つまり、朝、マウスに、カカオ抽出物(ポリフェノール)を摂取または投与することで、脂質代謝が亢進されることが確認された。これらの作用機序として、AMPKがリン酸化されて活性化され、PCG−1α遺伝子が誘導され、時間遺伝子のうち、特に、Clock遺伝子、Per2遺伝子、およびCry2遺伝子の発現が促進されることで、エネルギー代謝を高めて、内臓脂肪の蓄積を抑制し、肥満やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を予防や改善すると考えることができる。
これらの結果をマウスとは概日リズムが逆の昼行性哺乳動物(ヒトを含む)に当てはめると、昼行性哺乳動物の場合は、夜にカカオ抽出物(ポリフェノール)を摂取または投与することで上記現象が生じ、糖代謝及び脂肪代謝(エネルギー代謝)が亢進され、内臓脂肪の蓄積を抑制し、肥満やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を予防や改善することができると考えられる。
[実施例3]
<ポリフェノールの投与時間と各種遺伝子の発現量との関係>
マウスを用いて、ポリフェノールの投与時間と時計遺伝子およびエネルギー代謝関連遺伝子の発現量との関係を評価した。時計遺伝子として、肝臓の時計遺伝子であるPeriod遺伝子(Per1遺伝子、Per2遺伝子、Per3遺伝子)、Bmal1遺伝子、Dbp遺伝子(D-binding protein遺伝子)、Cryptochrome遺伝子(Cry1遺伝子、Cry2遺伝子)、およびClock遺伝子を用いた。また、エネルギー代謝関連遺伝子として、PPAR−α遺伝子(Ppar-α)、Rev−erba遺伝子、PGC1−α遺伝子(Pgc1-α)を用いた。またポリフェノールとして、製造例1で調製したカカオ抽出物(CLPr)を用いた。
[方法]
C57BL/6マウス(雄7週齢 日本SLC社)を測定する遺伝子(Per1,Per2,Per3,Bmal1,Dbp,Cry1,Cry2,Clock,Ppar−arufwa,Rev−erba,及びPgc1−α遺伝子)の数に応じて11群に分け、各群をさらにCLPr投与群とCLPr非投与群(対照)にわけた(各群n=5)。なお、CLPr投与群には1回投与あたりCLPr量として150mg/kg体重(ポリフェノール総量として90mg)を投与した。これら各群のマウスは、室温25±2℃、照明時間/日を8時〜20時の条件下で飼育した(明暗周期:明期8:00〜20:00、暗期20:00〜8:00)。
この明暗周期のもと、1日4回(zeitgeber timeとして、ZT3(11:00)、ZT9(17:00)、ZT15(23:00)、ZT21(5:00))、CLPr投与群にはCLPrを上記の量で、CLPr非投与群には蒸留水 (6.7 mL/ kg体重) を、胃ゾンデにて強制的に経口投与した。また、これらの各投与から180分後(ZT6(14:00)、ZT12(20:00)、ZT18(2:00)、ZT24(=ZT0)(8:00))に、各群のマウスを屠殺し、肝臓、脂肪組織、および筋肉を採取し、定法に従ってRT−PCRにより、各組織に発現している時計遺伝子およびエネルギー代謝関連遺伝子のmRNA発現量を測定した。
[結果]
CLPrの投与時間とPer1、Per2、Per3、Bmal1、Dbp、およびPpar−α遺伝子の発現量との関係を図12に示す。またCLPrの投与時間とCry1、Cry2、Clock、Rev−erba、およびPgc1−α遺伝子の発現量との関係を図13に示す。なお、これらの各図は、個体毎に測定時間すべての遺伝子発現量の平均値を求め、それをそれぞれ1とした場合の相対比を、各遺伝子発現量の増減量として示す。
図12及び13に示すように、夜行性哺乳動物であるマウスに、CLPrを明期ZT3に投与すると、肝臓において、Per1、Per2、Per3、DbpおよびPparα遺伝子の発現量は有意に増加し(各図中*で示す)、またCry2とPgc1−α遺伝子の発現量は増加傾向を示した。一方でBmal1遺伝子の発現量は有意に減少し、Cry1遺伝子の発現量は減少傾向を示した。しかし、明期ZT3以外の時間帯でCLPrを投与しても、これらの遺伝子の発現量は大きく変化しなかった。
このことから、カカオ抽出物(ポリフェノール)はその投与タイミング(時間帯)により、時計遺伝子及びエネルギー代謝関連遺伝子の発現量に与える影響が異なることが判明した。またこれから、カカオ抽出物(ポリフェノール)はその投与タイミング(投与する時間帯)によって糖代謝や脂質代謝(エネルギー代謝)に関わる遺伝子の発現も変化することが示唆された。具体的には、マウスでは明期においてCLPr投与することで、投与から短時間で肝臓の時計遺伝子Per1、Per2、Per3、Dbp、及びPpar−α遺伝子の発現が増えていることから(摂取3時間目がピーク)、この時間帯(明期)にカカオ抽出物(ポリフェノール)を摂取することで、糖代謝や脂質代謝に関わる遺伝子発現が変化して、内臓脂肪蓄積の抑制などが起こりやすいことが示唆された。また、それ以外の時間帯(暗期)でカカオ抽出物(ポリフェノール)を摂取した場合は、時計遺伝子、糖代謝および脂質代謝に関わる遺伝子の発現に特に影響がなく、体内エネルギーや体脂肪を維持できることが示唆された。
なお、マウスは夜行性哺乳動物であることから、この結果を昼行性哺乳動物(ヒトを含む)に当てはめると、昼行性哺乳動物の場合は、暗期(日没〜日出まで)にカカオ抽出物(ポリフェノール)を摂取または投与することで内臓脂肪蓄積が抑制され、逆に明期(日出〜8時間程度まで)にカカオ抽出物(ポリフェノール)を摂取または投与することで体内エネルギーや体脂肪が維持できると考えられる。
[実施例4]
<本発明の組成物の製造>
エタノールで抽出したカカオポリフェノール抽出物、カカオマス、全粉乳、カカオバター、砂糖、レシチンを含む組成物(混合物)を数種類で製造した。これらの組成物の総ポリフェノール含量をプルシアンブルー法にて、エピカテキンを標準品として測定したところ、ポリフェノールの含量(総量)は0.4mg重量%〜107mg重量%であった。これを専門パネルの10名が摂取したところ、いずれも風味と食感が良好であると評価された。
本発明の機能性経口組成物は、これを昼行性哺乳動物に対して、夜(日没から日出まで)に摂取または投与することで、身体のエネルギー代謝を高めて、内臓脂肪の蓄積を抑制するように作用し、肥満やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を効果的に予防または改善することができる。また本発明の機能性経口組成物は、これを昼行性哺乳動物に対して、朝(日出から8時間程度まで)に摂取または投与することで、体内のエネルギーまたは体内脂肪を維持し、身体エネルギーの消耗を効果的に抑制することができる。本発明の機能性経口組成物は、新たな医薬品組成物や飲食品組成物として利用され得る。

Claims (4)

  1. カカオポリフェノールを有効成分として含む、昼行性哺乳動物経口用の夜間投与剤または朝方投与剤である身体のエネルギー代謝制御剤(但し、カカオポリフェノールと茶カテキンとを質量比5:1〜5:8の割合で含む体脂肪低減剤及び体脂肪低減食品を除く)であって、
    夜間投与剤である場合はエネルギー代謝活性化剤として機能し、
    朝方投与剤である場合は体内エネルギーまたは体脂肪維持剤として機能する、
    前記エネルギー代謝制御剤
  2. 1日の投与量毎に分画または分割された状態で包装されており、昼行性哺乳動物1個体の1日投与量中に総量で0.3mg〜5gのカカオポリフェノールを含有する、請求項1に記載するエネルギー代謝制御剤。
  3. 昼行性哺乳動物用の夜間投与剤として用いられるエネルギー代謝活性化剤である請求項1または2に記載するエネルギー代謝制御剤。
  4. 昼行性哺乳動物用の朝方投与剤として用いられる体内エネルギーまたは体脂肪維持剤である請求項1または2に記載するエネルギー代謝制御剤。
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