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JP6772482B2 - マイクロチップ - Google Patents
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JP6772482B2 - マイクロチップ - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロチップに関する。特に、本発明は、検査用マイクロチップに関する。
近年、DNA(deoxyribonucleic acid)検査などの化学的/生化学的なアプローチによる解析を、マイクロチップ上で自動的に行う技術が開発されている。例えば、特許文献1には、サンプルの反応及び分析を行うためのマイクロチップと、マイクロチップ上の流路制御機構とが開示されている。
国際公開第2009/119698号
以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。なお、上記先行技術文献の開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。
特許文献1において開示されるマイクロチップでは、サンプルの抽出、精製及び反応の際に生じた廃液は、マイクロチップ上に設けられた廃棄穴から外部に排出される。このような構成では、使用者が外部に排出された廃液に触れる可能性があり、二次汚染や二次感染の危険性があるサンプルを用いた解析には不向きであるという問題点があった。
そこで、本発明は、二次汚染や二次感染の危険性があるサンプルにも適用可能なマイクロチップを提供することを目的とする。
本発明の第1の視点によれば、サンプルに接触した液体が流れる流路と、流路から液体が流入した際に膨張する閉鎖系廃液槽と、を備えたマイクロチップが提供される。
本発明によれば、二次汚染や二次感染の危険性があるサンプルにも適用可能なマイクロチップが提供される。
一実施形態に係るマイクロチップの概要を説明するための図である。 マイクロチップ制御装置10の具体的な一例を示す図である。 マイクロチップ100上での流路制御機構の一例を説明するための図である。 マイクロチップ100の全体構成の一例を示す斜視図である。 スワブ受容部112を含むマイクロチップ100の断面図の一例を示す図である。 マイクロチップ100のチップ本体111における溶液槽等の配置を示す図である。 廃液槽122及び逆止弁構造123の具体的な一例を示す図である。 廃液槽122及び逆止弁構造123の具体的な一例を示す図である。 廃液槽122及び逆止弁構造123の具体的な一例を示す図である。 電気泳動部126の具体的な一例を示す図である。 マイクロチップ制御装置10による処理のフローチャートである。 廃液槽122及び逆止弁構造123の他の一例を示す図である。 廃液槽122及び逆止弁構造123の他の一例を示す図である。
本発明のとり得る好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の記載に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
図1は、一実施形態に係るマイクロチップの概要を説明するための図である。図1に示すように、マイクロチップ100は、サンプルに接触した液体が流れる流路113と、流路113から液体が流入した際に膨張する廃液槽122とを有する。サンプルは、例えば、生体組織/細胞、体液、土壌、河水、糞尿、化学的構成要素が不明の混合物質/混合溶液などである。サンプルに接触した液体とは、例えば、細胞溶解液や、DNA抽出液などである。
廃液槽122は、マイクロチップ100内に封入され、廃液槽122内の液体が外部から隔離された閉鎖系(いわゆる、水密ないしクローズド)状態にあり、流路113に限り接続されている。この廃液槽122には、サンプルの残渣や、サンプルに接触した液体が貯留される。このようにすれば、マイクロチップ100にサンプルを封入した後は、サンプルの残渣や、サンプルに接触した液体・気体がマイクロチップ100の外部に排出されず、マイクロチップ100の内部に留めることができる。そのため、マイクロチップ100を使って二次汚染や二次感染の危険性があるサンプルの解析等が安全に行うことが可能となる。
[第1の実施形態]
以下の実施形態では、DNA鑑定用のマイクロチップ100、及び、当該DNA鑑定用のマイクロチップ上の流路制御を行うマイクロチップ制御装置10の一例を説明する。図2に示すように、マイクロチップ制御装置10は、台座11にテーブル12が配置され、テーブル12には、細胞溶解ユニット13、PCR(polymerase chain reaction)ユニット14、電気泳動ユニット15が配置される。さらに、台座11と蓋16は、ヒンジを介して接続されており、蓋16の開閉が可能である。
マイクロチップ100は、テーブル12に設けられたピンを、マイクロチップ100に設けられたピン穴に嵌合させることで、テーブル12上の所定の位置に載置される。蓋16には、複数の加圧穴17が設けられる。これらの加圧穴17に対応する蓋16の領域は貫通しており、加圧穴17はチューブ18を介して電磁弁19に接続されている。また、蓋16を閉じることで、加圧穴17と、マイクロチップ100上の各種制御孔とを接続する。なお、加圧穴17と制御孔とはO−リング20などの密封機構を介在させて密着することが好ましい。
蓄圧器21には圧縮空気等の加圧媒体が封入されており、コントローラ22が電磁弁19を制御することで、加圧穴17を介してマイクロチップ100上の制御孔へ加圧媒体を出し入れする。なお、蓄圧器21の内部圧力は、図示しない圧力センサ及びポンプ等により、所定の圧力を維持するように制御される。
蓋16には、溶解した細胞からDNAを抽出するためのDNA抽出ユニット23が配置される。DNA抽出ユニット23は、例えば、電磁石やネオジム磁石などである。DNA抽出ユニット23は、コントローラ22の制御の下で磁石をDNA抽出槽121に近づける、又はDNA抽出槽121から磁石を遠ざける。
細胞溶解ユニット13及びPCRユニット14は、温度センサ、伝熱材、ペルチェ素子(熱電素子)、放熱板等を含む。細胞溶解ユニット13は、細胞を含む溶液を加熱して溶解反応を実行し、PCRユニット14は、PCRを実行する。
電気泳動ユニット15は、キャピラリ電気泳動と蛍光標識の検出を実行する機構であり、蛍光標識検出機構としてハロゲンランプ、水銀灯、レーザ光などの励起装置及びフィルタやカメラなどを有する。電源部24を介して電極に直流電圧が印加されてキャピラリ電気泳動が開始すると、電気泳動ユニット15は、キャピラリ内を流れる蛍光標識を監視し、経時的な蛍光輝度の変化をグラフに示した検出結果を表示部25を介して出力する。
なお、コントローラ22は、マイクロチップ制御装置10に搭載されたコンピュータに、そのハードウェアを用いて、後に詳述するマイクロチップ制御装置10の処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することもできる。
マイクロチップ100は、図3に示すように、弾性シート211〜214と、樹脂プレート215とを積層してなる。弾性シート211〜214は、耐熱性、耐酸・アルカリ性を有し、かつ伸縮性を有するシリコンゴム等を主材料とするのが望ましく、樹脂プレート215は、弾性シート211〜214の伸張を制御可能な程度に硬質であることが望ましい。弾性シート211〜214の一部は非接着であり、非接着箇所によって液体槽、流路、バルブ機構などが形成される。なお、図3以降の図面において破線は、非接着箇所を示す。
ここで、図3(A)〜(C)を用いて、マイクロチップ100上での流路制御機構の一例を説明する。図3(A)〜(C)に示すように、マイクロチップ100において、液体槽240Aが、弾性シート211と弾性シート212の間に形成され、流路250X及び250Yに接続される。樹脂プレート215において液体槽240Aに対応する箇所は貫通して制御孔となっており、液体槽240Aの上部には蓋16に設けられた加圧穴17Aを介して加圧媒体が出し入れ可能である。同様に、液体槽240Bは流路250Y及び250Zに接続され、液体槽240Bの上部には加圧穴17Bを介して加圧媒体が出し入れ可能である。流路250X、Yは、閉鎖されている。
このような前提の下、マイクロチップ制御装置10は、まず、図3(A)に示すように、バルブ機構270Zへ加圧媒体を注入して流路250Zを閉じ、次に、バルブ機構260Yから加圧媒体を放出することで流路250Yを開放する。そして、マイクロチップ制御装置10は、加圧穴17Aを介して液体槽240Aへ加圧媒体を印加する。その結果、図3(B)に示すように、液体槽240Aから押し出された液体は、流路250Yを通って液体槽240Bへ到達し、弾性シート211を押し上げて液体槽240Bに溜まる。そして、マイクロチップ制御装置10は、液体槽240Aへの加圧媒体の印加圧が所定値を超えて、液体槽240Aから液体を排出したと判断すると、図3(C)に示すように、流路250Yの上流側(すなわち、液体槽240A側)から、バルブ機構260Yへ加圧媒体を注入する。その結果、流路250Y内の液体は液体槽240Bへ押し出され、液体輸送が完了する。その後、流路250Xを閉じる必要が無くなったため、マイクロチップ制御装置10は、バルブ機構270Xから加圧媒体を放出する。
図4は、マイクロチップ100の具体的な一例を示す図である。図4に示すように、マイクロチップ100は、チップ本体111と、スワブ受容部112とを有する。チップ本体111と、スワブ受容部112とは、開口部117及び流路113を介して接続され、流路113はバルブ機構114によって開閉される。なお、流路113とバルブ機構114は後述する。
スワブ受容部112は、図5に示すように、筒形状を有し、上方開口部から細胞が付着したスワブ(綿棒)115が挿入される。スワブ受容部112の内空は細胞溶解槽116に相当し、細胞溶解槽116には、下方開口部を介してチップ本体111側から細胞溶解バッファが流入する。流路113は、弾性シート間の非接着箇所によって形成される。図5の細胞溶解槽116でも、図3を参照して説明した流路制御と同様の流路制御が行われる。すなわち、細胞溶解液を後述するDNA抽出槽121側に移動させる場合には、バルブ機構114が開いた状態で、加圧媒体が細胞溶解槽116に流入して、細胞溶解槽116内の細胞溶解液が流路113に押し出される。なお、マイクロチップ100の使用後速やかに、上方開口部に、細胞溶解槽116からのスワブ115の飛び出しやサンプルの飛散を防止する蓋及びシールなどを張り付けることが望ましい。
図6は、図4のチップ本体111における溶液槽等の配置を示す図である。なお、図6では、流路113などは一部を除き省略されている。図6に示すように、チップ本体111は、図5に示す細胞溶解槽116(スワブ受容部112)と接続される開口部117を有する。また、チップ本体111には、バッファ・試薬槽120、DNA抽出槽121、廃液槽122、逆止弁構造123、PCR槽124、秤量槽125、及び電気泳動部126が設けられる。
バッファ・試薬槽120には、細胞溶解バッファ、洗浄バッファ、DNA溶出バッファなどが注入される。細胞溶解バッファは、例えば、アルカリリシスバッファであり、開口部117を介して細胞溶解槽116へ移動される。細胞を溶解する際に加熱処理などが必要な場合には、マイクロチップ制御装置10やスワブ受容部112に、処理に必要な機構、例えばヒーターや伝熱板が設けられる。
細胞溶解槽116内の細胞溶解液は、DNA抽出槽121へ移動される。DNA抽出槽121では、DNA抽出処理が実行される。DNA抽出処理について具体的に説明すると、DNA抽出槽121には、磁性ビーズ(シリカ)が予め封入されている。マイクロチップ制御装置10は、細胞溶解液内のDNAが磁性ビーズに吸着すると、細胞溶解液内の残りのサンプル残渣を廃液槽122へ排出する。そして、マイクロチップ制御装置10は、バッファ・試薬槽120から洗浄バッファをDNA抽出槽121へ移動させ、その後、廃液槽122へ排出する。続いて、マイクロチップ制御装置10は、バッファ・試薬槽120からDNA溶出バッファをDNA抽出槽121へ移動させてDNAを磁性ビーズから溶出し、さらにDNA溶出バッファをPCR槽124へ移動させる。なお、マイクロチップ制御装置10は、細胞溶解液などをDNA抽出槽121から排出する際にネオジム磁石に磁性ビーズを吸着させることで、細胞溶解液及び洗浄バッファと一緒に磁性ビーズが排出されることを防止する。
DNA抽出方法は諸般のプロトコルなどを参照して、例えば、洗浄回数を増やすなど改変することができる。また、DNA抽出方法は、磁性ビーズを用いる方法に限定されるものでは無く、例えば、カラムを用いた方法を採用してもよい。
廃液槽122は、図6に示すように逆止弁構造123を介して流路113に接続される。また、廃液槽122と流路113の間には、流路113を開閉するバルブ機構114Aが設けられる。
次に、図7〜9を用いて、廃液槽122、逆止弁構造123、廃液槽122に接続される流路113A、B及びバルブ機構114Aについて具体的に説明する。
先ず、平面視で説明すると、図7(A)及び図7(B)に示すように、流路113Aと113Bの流路幅(流路をなす非接着箇所の幅)は、互いに異なる。具体的には、流路113Aの接続孔218における流路幅aは、流路113Bの接続孔218における流路幅bよりも狭くなるように、弾性シート間の非接着箇所が設けられる。
また、図7(B)に示すように、流路113Bは、接続孔218を基点として2つの流路に分岐する。分岐した一方の流路は、廃液槽122と接続される。分岐した他方の流路は、接続先のない行き止まり流路である。さらに、流路113Bの行き止まり流路は、平面視において、流路113Aの一部を覆うように形成される。図7(C)を参照すると、流路113Aの流路幅aと行き止まり流路の長さcからなる長方形が、上下の流路の重複部となる。
ここで、流路113Aと流路113Bは、それぞれの流路幅が異なっている。そのため、流路113Aに液体を流し込むために必要な力F1と、流路113Bに液体を流し込むために必要な力F2と、の間には、F1>F2の関係が成り立つ。このことは、流路幅aの流路113Aを長さL拡げる場合と、流路幅bの流路113Bを長さL拡げる場合を考えれば理解できる。
この場合、流路113Aの単位長さあたりの変動量は、L/Aである。一方、流路113Bの単位長さあたりの変動量は、L/Bである。流路幅b>流路幅aであるので、単位長さあたりの変動量は流路113Bよりも流路113Aの方が大きい。そのため、流路113A及び113Bのそれぞれを、同じ長さL拡げようとすれば、その際の反発力は流路113Aの方が大きい。即ち、流路幅の広い流路113Bの方が、流路幅の狭い流路113Aよりも容易に拡がる。
換言するならば、流路113Aを形成する弾性シート212、213の間に液体を流し込むのに必要な圧力がDNA抽出槽121に加われば、弾性シート211、212の間にも液体は流れ込む。一方、弾性シート211、212の間に液体を流し込むことができたとしても(流路113Bを形成できたとしても)、その際の圧力では弾性シート212、213の間に液体を流し込むことができない場合がある(流路113Aが形成できない場合がある)。
次に、正面視(断面図)で説明する。図8(A)は、廃液槽122に廃液が流入する前(使用前)の状態を示し、図8(B)は、廃液槽122に廃液が流入する際の状態を示す。また、図8(C)は、廃液槽122に廃液が流入し、バルブ機構114Aによって逆流が防止されている状態を示す。また、図8(D)は、バルブ機構114Aによる流路113A、Bの閉鎖が解除された使用後状態を示す。破線は、弾性シート間の非接着箇所を示す。
図8(A)に示すように、樹脂プレート215は、一部が削られて廃液槽収容スペース216と、廃液槽収容スペース216からマイクロチップ100の外部に通じる通気口217とが設けられる。DNA抽出槽121と接続される流路113A(第1の流路とも称する)は、弾性シート212と弾性シート213の間の第1の中間層における非接着箇所として形成される。また、廃液槽122及び廃液槽122に直接接続される流路113B(第2の流路とも称する)は、弾性シート211と弾性シート212の間の第2の中間層における非接着箇所として形成される。流路113Aと流路113Bは、弾性シート212上に設けられた接続孔218を介して接続される。さらに流路113Bを開閉するためのバルブ機構114Aが、弾性シート213と弾性シート214の間の第3の中間層における非接着箇所として形成される。
図8(B)に示すように、廃液槽122に廃液が流入する際には、弾性シート間の非接着箇所が押し広げられて、流路113A、B及び廃液槽122が形成される。次に、図8(C)に示すように、バルブ機構114Aをなす弾性シートの非接着箇所を押し広げるように加圧媒体が注入される。このとき、流路113A、Bの一部が上方に押しつぶされ、流路113A、Bに残留した廃液が廃液槽122へ移動する。その後、マイクロチップ100の使用後にバルブ機構114Aへの加圧媒体の注入が解除された後であっても、図8(D)に示すように、流路113Bにおいて流路113Aと重なる部分が、流路113Aを下方に押しつぶす。この機構は、流路113Aを閉鎖する逆止弁としての役割を果たし、廃液を流路113B内に留める。
即ち、図9(A)に示すように、流路113Aと流路113Bそれぞれの流路幅が異なるという非対称性が、それぞれの流路を形成するために必要な力の相違(降伏圧力の差)を生じさせ、加圧された液体が逆流することを防止する。即ち、液体を通過させる際の上流側の流路幅(例えば、流路113Aの流路幅a)を狭くし、下流側の流路幅(例えば、流路113Bの流路幅b)を広くすることで、マイクロチップ100の内部に逆流防止構造を形成できる。
このように、第1の実施形態に係るマイクロチップ100では、2つの流路における流路幅の非対称性により液体の逆流を防止する。従って、DNA抽出槽121に印加される圧力が、流路113Aを形成するために必要な力よりも小さい場合には、流路113Aと流路113Bの重複部が存在しなくとも加圧された液体の逆流を防止できる。つまり、流路113Aの流路幅aを非常に狭く、流路113Bの流路幅bを非常に広く設定することで、加圧された液体の逆流を防止できる。
図9(A)に示す状態よりも強い圧力がDNA抽出槽121に印加されると、加圧された液体は、流路113Bの行き止まり流路にも充填される。その結果、流路113Aと流路113Bの重複部に対応する弾性シート212の領域は下方に押し下げられる(図9(B)参照)。重複部の弾性シート212が下方に押し下がることに応じて、対応する流路113Aも下方に押しつけられる。
このように、弾性シート212の一部が下方に押し下げられ、この押し下げられた弾性シート212が逆流防止弁として機能する。その結果、加圧された液体が流路113Aに逆流することはない。なお、廃液槽122の幅は、流路113Bの流路幅bよりもさらに大きいため、廃液槽122から流路113Bへ液体が流れ出る際には、流路113Bを押し広げるための力も必要となる。
さらに、廃液槽122の膨張によって生じる廃液槽収容スペース216内の陽圧は、廃液槽収容スペース216内の空気が通気口217を介して排出されることで解除される。そのため、廃液槽122の内圧は低く保たれ、廃液槽122の中から流路113Bを介して流路113Aへ流出する危険性は非常に低くなる。以上のように、バルブ機構114への加圧媒体の印加が解除された後、すなわち、マイクロチップ100がマイクロチップ制御装置10から外された後であっても逆止弁構造123が作用する。
図6に説明を戻すと、PCR槽124では、PCRユニット14による温度制御を受けてPCRが実行される。具体的には、DNA抽出槽121からPCR槽124への流路は分岐しており、DNA溶出バッファは各PCR槽124に分流する。PCR槽124にはプライマーセットが予め封入され、DNA溶出バッファはポリメラーゼなどのPCR反応に必要な試薬も含む。そのため、マイクロチップ制御装置10は、PCRユニット14を介してPCR槽124を温度制御すれば、PCRを実行することができる。この温度制御は、ホットスタート処理、サイクル反応(ディネイチャ反応、アニール反応及びプライマー伸張反応)に関する温度制御である。
秤量槽125は、PCR反応後のアンプリコンを含むPCR溶液を秤取るための機構である。具体的には、秤量槽125の容量はPCR槽124よりも小さく、PCR槽124内のPCR溶液が秤量槽125へ完全に移動していない状態で液体輸送が完了する。言い換えると、マイクロチップ制御装置10は、PCR槽124内にPCR溶液の一部を残留させることで、アンプリコンを含むPCR溶液を秤取る。
電気泳動部126は、図10に示すように、サンプル流路301、キャピラリ302及びポリマ槽303を有する。具体的には、サンプル流路301は、電極槽304を介して秤量槽125と接続され、反対側の端でリザーバ305と接続される。リザーバ305は、サンプル流路301へ流入したサンプルのオーバーフローを防止するための機構である。キャピラリ302は、電極槽304を介してポリマ槽303と接続される。また、サンプル流路301とキャピラリ302は平行して延在し、サンプル流路301とキャピラリ302に直交するブリッジ306により接続されている。電極槽304には、蓋16に取り付けられた電極が挿入される。
マイクロチップ制御装置10は、キャピラリ302及びブリッジ306にポリマを充填し、サンプルインジェクションを行った後に、電気泳動を実行する。その電気泳動の際に、マイクロチップ制御装置10は、電気泳動ユニット15によってキャピラリ内を流れる標識を監視し、経時的な蛍光輝度の変化をグラフに示した検出結果を、表示部25を介して出力する。
以下では、上述のマイクロチップ制御装置10による処理の流れを概説する。図11は、マイクロチップ制御装置10による処理のフローチャートである。図11に示すように、マイクロチップ制御装置10は、細胞溶解槽116へ細胞溶解バッファを移動させて細胞を溶解する(ステップS01)。次に、マイクロチップ制御装置10は、細胞溶解液をDNA抽出槽121へ移動させて、DNA抽出処理を実行する(ステップS02)。ここで、マイクロチップ制御装置10は、サンプルの残渣及び洗浄バッファを廃液槽へ移動させる。続いてマイクロチップ制御装置10は、PCR反応を実行し(ステップS03)、PCR溶液を秤量して(ステップS04)、電気泳動を実行する(ステップS05)。
上述のように、第1の実施形態のマイクロチップ100では、サンプルの残渣や、サンプルに接触した液体が廃液槽122に貯留される。この廃液槽122は逆止弁構造123を介して流路113に接続されているため、マイクロチップ100がマイクロチップ制御装置10から外された後であっても、廃液槽122から廃液が漏れ出すことは無い。
なお、第1の実施形態では、マイクロチップ100へサンプルを適用する際のスワブ115などからの直接的な二次汚染や二次感染は、使用者の配慮によって防止されることを前提としている。言い換えると、第1の実施形態のマイクロチップ100では、サンプルを適用した後にその適用口をシールすれば閉鎖系状態を実現でき、使用済みのマイクロチップ100からの廃液による二次汚染や二次感染が防止される。このような、使用済みマイクロチップ100は、オートクレーブなどの滅菌処理を行うことで安全に廃棄することができる。また、第1の実施形態のマイクロチップ100では、サンプルに接触した気体も廃液槽122内に封入されるため、空気感染するウィルスを有するサンプルにも適用可能である。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、弾性シート211〜214の非接着箇所として流路113、バルブ機構114及び廃液槽122を設けたマイクロチップ100について説明した。しかしながら、樹脂プレート215同士を張り合わせたタイプのマイクロチップ100であっても廃液槽を設けることができる。このようなマイクロチップ100において、流路113等は、樹脂プレート215の表面に彫り込みを設けることで形成することができる。バルブ機構114は、流路113上に物理的なシャッターを設けることで実現でき、液体移動は、直接的に液体を空気などで押し出すことで実現することができる。
また、廃液槽122は、例えば、図12に示すように、樹脂プレート215の間に伸縮可能な弾性シート219を挟むことによって実現することができる。なお、図12(A)は廃液槽122に廃液が注入される前の状態を示し、図12(B)は廃液槽122に廃液が注入された後の状態を示す。
廃液槽122は、図13に示すように、廃液槽収容スペース216内に、袋状部材220を収容することで実現できる。なお、図13(A)は廃液槽122に廃液が注入される前の萎んだ状態を示し、図13(B)は廃液槽122に廃液が注入された後の膨張した状態を示す。
図12及び図13に示した例においても、廃液槽収容スペース216からマイクロチップ100の外部に通じる通気口217を形成することが望ましい。
[第3の実施形態]
以下では第3の実施形態として、マイクロチップ100に関する種々の変形例を説明する。第1の実施形態ではDNA鑑定用のマイクロチップ100について説明したが、他の用途のマイクロチップ100にも閉鎖系を実現する廃液槽を設けることができる。例えば、被験者のインフルエンザウィルス感染をRT−PCR(Real-Time PCR)法によって検査する場合には、マイクロチップ100上で、RNA抽出処理と、逆転写反応と、RT−PCRとを実行すれば良い。また、例えば、河水のシアン化物汚染を検査する場合には、マイクロチップ100上で、イオンクロマトグラフィ(カラム操作や検出処理を含む)を実行すれば良い。
また、廃液槽122の中に液体吸収材を封入して、廃液の流動を防止するようにしても良い。また、廃液槽122の中に滅菌剤や酸化/還元剤を封入するなどの、所望の用途に合わせた二次感染/二次汚染防止措置を施しても良い。
また、逆止弁構造123は、例えば、廃液槽122に液体が流入する際に開口するように、流路上に嵌め込まれる可撓性部材を用いて形成することができる。特に、プレート上に彫り込みを設けて流路などを形成する場合には、第1の実施形態のように弾性シートを積層して流路などを形成する場合と異なり、流路が数ミリ程度の幅を要する場合がある。この場合には、上記の可撓性部材によるもの、さらに、スイング式バルブやボール式バルブなどの公知の機構の逆止弁構造123を適用することもできる。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
サンプルに接触した液体が流れる流路と、
前記流路から液体が流入した際に膨張する閉鎖系廃液槽と、を備えたマイクロチップ。
(付記2)
前記閉鎖系廃液槽が伸長可能な弾性シートによって形成される付記1に記載のマイクロチップ。
(付記3)
前記流路及び前記閉鎖系廃液槽が、積層接着される複数枚の弾性シートに、非接着箇所を設けることによって形成される付記1又は2に記載のマイクロチップ。
(付記4)
前記閉鎖系廃液槽が、袋状部材によって形成される付記1に記載のマイクロチップ。
(付記5)
前記閉鎖系廃液槽がマイクロチップの内部に設けられる廃液槽収容スペースの中に収容され、当該閉鎖系廃液槽が膨張することによって前記廃液槽収容スペースに生じる陽圧を解除するための通気口が更に設けられる付記1〜4のいずれか1つに記載のマイクロチップ。
(付記6)
前記閉鎖系廃液槽から前記流路への前記液体の逆流を防止する逆止弁構造を更に備えた付記1〜5のいずれか1つに記載のマイクロチップ。
(付記7)
細胞溶解槽と、DNA抽出槽とを更に備え、
前記閉鎖系廃液槽には、前記細胞溶解槽において溶解され、前記DNA抽出槽においてDNAが抽出された細胞サンプルの残渣が貯留される、付記1〜6のいずれか1つに記載のマイクロチップ。
(付記8)
前記閉鎖系廃液槽には、前記DNA抽出槽においてDNAの洗浄のために用いられる洗浄バッファが更に貯留される、付記7に記載のマイクロチップ。
(付記9)
前記逆止弁構造が、
複数枚の積層弾性シートの間の第1の中間層における非接着箇所として設けられ、前記閉鎖系廃液槽に対して直接接続される第1の流路と、
複数枚の積層弾性シートの間の第2の中間層における非接着箇所として設けられ、前記第1の流路よりも流路幅が狭く、前記第1の流路を経由して前記閉鎖系廃液槽に接続される第2の流路と、
前記第1及び第2の中間層に挟まれた弾性シート上に設けられ、前記第1の流路と前記第2の流路を接続する接続孔とによって形成される、付記6に記載のマイクロチップ。
(付記10)
前記第1の流路は、前記接続孔を起点として2つの流路に分岐し、前記分岐した一方の流路は行き止まり流路であり、且つ、平面視において前記行き止まり流路の一部が前記第2の流路と重複している、付記9に記載のマイクロチップ。
(付記11)
前記逆止弁構造が、前記流路上に嵌め込まれ、前記閉鎖系廃液槽に液体が流入する際に開口する可撓性部材を用いて形成される、付記6に記載のマイクロチップ。
なお、上記の特許文献の開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
10 マイクロチップ制御装置
11 台座
12 テーブル
13 細胞溶解ユニット
14 PCRユニット
15 電気泳動ユニット
16 蓋
17 加圧穴
18 チューブ
19 電磁弁
20 O−リング
21 蓄圧器
22 コントローラ
23 DNA抽出ユニット
24 電源部
25 表示部
100 マイクロチップ
111 チップ本体
112 スワブ受容部
113、113A、113B 流路
114、114A バルブ機構
115 スワブ(綿棒)
116 細胞溶解槽
117 開口部
120 バッファ・試薬槽
121 DNA抽出槽
122 廃液槽
123 逆止弁構造
124 PCR槽
125 秤量槽
126 電気泳動部
211〜214 弾性シート
215 樹脂プレート
216 廃液槽収容スペース
217 通気口
218 接続孔
219 弾性シート
220 袋状部材
240 液体槽
250 流路
260、270 バルブ機構
301 サンプル流路
302 キャピラリ
303 ポリマ槽
304 電極槽
305 リザーバ
306 ブリッジ

Claims (5)

  1. サンプルに接触した液体が流れる第1の流路及び第2の流路と、
    前記第1の流路から液体が第2の流路を経由して流入した際に膨張する閉鎖系廃液槽と、
    前記閉鎖系廃液槽内の液体が、第2の流路を経由して第1の流路へ逆流することを防止する逆止弁構造と、を備え、
    前記第1及び第2の流路及び前記閉鎖系廃液槽が、積層接着される複数枚の弾性シートに、非接着箇所を設けることによって形成され、
    前記逆止弁構造が、下記の特徴を有するマイクロチップ、
    前記複数枚の弾性シートにより形成される中間層であって第1の中間層を形成する、弾性シートのそれぞれは、前記第1の中間層に前記第1の流路を形成するための非接着箇所を有し、
    前記複数枚の弾性シートにより形成される中間層であって第2の中間層を形成する、弾性シートのそれぞれは、前記第2の中間層に前記第2の流路を形成するための非接着箇所を有し、
    前記第1及び第2の中間層に挟まれた弾性シートは、前記第1の流路と前記第2の流路を接続する接続部を有し、
    前記第1の流路の前記接続部における流路幅は、前記第2の流路の前記接続部における流路幅よりも狭い。
  2. 前記閉鎖系廃液槽が伸長可能な弾性シートによって形成される請求項1に記載のマイクロチップ。
  3. 前記閉鎖系廃液槽がマイクロチップの内部に設けられる廃液槽収容スペースの中に収容され、当該閉鎖系廃液槽が膨張することによって前記廃液槽収容スペースに生じる陽圧を解除するための通気口が更に設けられる請求項1又は2に記載のマイクロチップ。
  4. 細胞溶解槽と、DNA抽出槽とを更に備え、
    前記閉鎖系廃液槽には、前記細胞溶解槽において溶解され、前記DNA抽出槽においてDNAが抽出された細胞サンプルの残渣が貯留される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  5. 前記閉鎖系廃液槽には、前記DNA抽出槽においてDNAの洗浄のために用いられた使用済みの洗浄バッファが更に貯留される、請求項4に記載のマイクロチップ。
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