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JP6774723B2 - フッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体 - Google Patents
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JP6774723B2 - フッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体に関し、詳しくは、フッ素原子及び特定の極性基を含有し、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、極性基含有オレフィンモノマーから構成され、成形性と機械的強度及び撥水性に優れたオレフィン共重合体に係るものである。
一般に、オレフィン系樹脂は機械的物性が高く、長期耐久性、耐薬品性や耐腐食性などに優れ、安価で、かつ成形性が良好で、更に環境問題や資源再利用性にも適合しているため、産業用資材として重用され、例えば、射出成形、押出成形、吹込成形などによって、フィルム、積層体、容器、ブロー瓶などに成形されて、広範囲な用途に使用されている。
そして、オレフィン重合体は一般的に非極性であり、異種材料への接着強度が低く、印刷適性も悪いという欠点があるので、エチレンと極性基含有モノマーとを共重合させ、極性基含有オレフィン共重合体を得る方法が広く行われている。
また、オレフィン重合体の耐熱性や撥水性などを向上させるために、フッ素原子などのハロゲン原子を導入することも従来からよく知られているが、このような重合体では成形性が悪く、機械的な強度も劣る欠点を内在している。
例えば、特許文献1には、フッ素原子を含むエチレンとアクリレートのラジカル重合体などのフッ素含有エチレン共重合体が提示されているが、成形性が低く実用化には不十分である。特許文献2には、フッ素化エチレン系アクリレート共重合体などが提示されているが、Me分岐数が多く機械的強度が十分ではない。特許文献3には、撥水性を改良したフッ素含有エチレン共重合体が提示されているが、撥水性と成形性が十分とはいえない。
したがって、極性基含有フッ素系オレフィン樹脂においては、成形性に優れ、機械的な物性が良好で、撥水性が十分な樹脂材料が望まれている。
特開2005−519174号公報 特開2005−307218号公報 再公表2006−22122号公報
本発明の目的、すなわち発明が解決すべき課題は、背景技術として前述した、従来の問題点に鑑み、成形性に優れ、機械的な物性が良好で、撥水性が十分であり、更に極性基も含有するフッ素系オレフィン樹脂を開発することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、フッ素系オレフィン樹脂において、極性基及び重合触媒の選択、極性基含有オレフィン共重合体の分子構造、更には共重合体の構造と撥水性及び接着性能の相関などを種々勘案参酌し吟味実証して、その結果、成形性に優れ、機械的な物性が良好で、撥水性が十分であり、更に極性基も含有するフッ素系オレフィン樹脂を見い出すことができ、本発明の創作に至った。
すなわち、本発明のフッ素系オレフィン樹脂は、フッ素原子及び特定の極性基を含有し、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、極性基含有オレフィンモノマーから構成され、特に撥水性に優れた、フッ素原子及び極性基を含有するオレフィン樹脂材料である。
本発明は具体的には、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、一般式(1)で表されるモノマー群より選ばれる極性基を含有するオレフィンモノマーから構成され、フッ素原子を含有することを特徴とする、フッ素系オレフィン共重合体であり、この発明を基本発明とする。
Figure 0006774723
[式中、T、T、T及びTはそれぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有置換基で置換されていてもよいフッ素原子を有する炭素数2〜20の炭化水素基、フッ素原子を有する炭素数2〜20のエステル基、フッ素原子を有する炭素数1〜20のアルコキシ基、フッ素原子を有する炭素数1〜12の置換アミノ基、フッ素原子を有する炭素数1〜18の置換シリル基より選択される置換基であり、T〜Tのいずれか1つはフッ素原子を含む置換基であり、フッ素原子の数は1以上の任意の数である。更に、T〜Tのいずれか1つ以上はフッ素原子以外の極性基であり、また、T、T、T及びTは、互いに結合して環を形成していてもよい。]
上記した基本的な発明(請求項1の独立請求項の発明)に対して、付随する実施の態様発明(従属請求項の各発明)としては、T〜Tが特定され(請求項2〜4)、メチル分岐数が規定され(請求項5,6)、オレフィン共重合体を製造する遷移金属触媒が規定される(請求項7〜9)発明である。
本発明のフッ素系オレフィン樹脂は、上記したように、フッ素原子及び特定の極性基を含有し、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、極性基含有オレフィンモノマーから構成されるので、これらの構成要素の相関作用により、成形性と機械的強度が良好で、特に撥水性に優れている。かかる特異的で新規な構成及び性能は、従来技術の文献からは些かも見い出すことができない。
以上において、本発明の創成の経緯と発明の基本的な構成と特徴について、概括的に記述したので、ここで本発明の全体的な構成を俯瞰して総括すると、本発明は次の[1]〜[9]の発明単位群からなるものである。
ここで、[1]における、オレフィン共重合体が、基本発明[1]として構成され、[2]以下の各発明は、基本発明に付随的な要件を加え、或いはその実施の態様を示すものである。
[1]エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、一般式(1)で表されるモノマー群より選ばれる極性基含有オレフィンモノマーから構成され、フッ素原子を含有することを特徴とするオレフィン共重合体。
Figure 0006774723
[式中、T、T、T及びTはそれぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有置換基で置換されていてもよいフッ素原子を有する炭素数2〜20の炭化水素基、フッ素原子を有する炭素数2〜20のエステル基、フッ素原子を有する炭素数1〜20のアルコキシ基、フッ素原子を有する炭素数1〜12の置換アミノ基、フッ素原子を有する炭素数1〜18の置換シリル基より選択される置換基であり、T〜Tのいずれか1つ以上はフッ素原子を含む置換基であり、フッ素原子の数は1以上の任意の数である。更に、T〜Tのいずれか1つ以上はフッ素原子以外の極性基であり、また、T、T、T及びTは、互いに結合して環を形成していてもよい。]
[2]T及びTが水素原子であり、Tが水素原子又はメチル基であることを特徴とする、[1]におけるオレフィン共重合体。
[3]Tが、炭素数2〜15のフルオロアルキル基、炭素数6〜15のフルオロアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基で置換されフッ素原子を有する炭素数2〜15の炭化水素基、炭素数2〜10のエステル基で置換されフッ素原子を有する炭素数3〜20の炭化水素基、フッ素原子を有する炭素数2〜15のエステル基、フッ素原子を有する炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子を有する炭素数1〜12の置換アミノ基、及びフッ素原子を有する炭素数1〜18の置換シリル基より選択される置換基であり、フッ素原子以外の極性基を有してもよいことを特徴とする、[1]又は[2]におけるオレフィン共重合体。
[4]Tが、フッ素原子以外の極性基を有す炭素数2〜15のフルオロアルキル基、炭素数6〜15のフルオロアリール基、フッ素原子を有する炭素数2〜15のエステル基、フッ素原子を有する炭素数1〜10のアルコキシ基より選択される置換基であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかにおけるオレフィン共重合体。
[5]13C−NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり50以下であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかにおけるオレフィン共重合体。
[6]13C−NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり5以下であることを特徴とする、[5]におけるオレフィン共重合体。
[7]前記のオレフィン共重合体が、キレート性配位子を有する周期表第5〜11族金属の遷移金属触媒の存在下に重合された共重合体であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかにおけるオレフィン共重合体。
[8]前記の遷移金属触媒が周期表第10族の金属触媒であることを特徴とする、[7]におけるオレフィン共重合体。
[9]前記の遷移金属触媒がニッケル又はパラジウムの金属触媒であることを特徴とする、[8]におけるオレフィン共重合体。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体は、フッ素原子及び特定の極性基を含有し、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、極性基含有オレフィンモノマーから構成されるので、これらの相関により成形性と機械的強度が良好で、特に撥水性に優れている。
また、本発明における共重合体は、13C−NMRにより算出されるメチル分岐数が、1,000C当たり50以下であり、メチル分岐がこの数値を満たすと弾性率が高く、成形体の機械強度も高くなることが期待できる。
以下においては、本発明のフッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体、その構造と特徴、各モノマー及びその共重合体の製造方法、更にその製造に用いる遷移金属触媒などについて、項目毎に具体的かつ詳細に説明する。
〔I〕フッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体
(1)フッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体について
本発明における基本発明である、フッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体は、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、一般式(1)で表されるモノマー群より選ばれる極性基含有オレフィンモノマーから構成され、フッ素原子を含有することを特徴とするオレフィン共重合体であであって、特に、該モノマー単位がランダムに共重合したランダム共重合体である。
Figure 0006774723
[式中、T、T、T及びTはそれぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有置換基で置換されていてもよいフッ素原子を有する炭素数2〜20の炭化水素基、フッ素原子を有する炭素数2〜20のエステル基、フッ素原子を有する炭素数1〜20のアルコキシ基、フッ素原子を有する炭素数1〜12の置換アミノ基、フッ素原子を有する炭素数1〜18の置換シリル基より選択される置換基であり、T〜Tのいずれか1つ以上はフッ素原子を含む置換基であり、フッ素原子の数は1以上の任意の数である。更に、T〜Tのいずれか1つ以上はフッ素原子以外の極性基であり、また、T、T、T及びTは、互いに結合して環を形成していてもよい。]
なお、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、極性基含有オレフィンモノマーとを、共重合することで得られる極性基含有オレフィン共重合体は、公知のものであるが、本発明においては、フッ素原子を有し、更に特定の極性基含有オレフィンモノマーを含有するオレフィン共重合体であって、かつ、成形性と機械的強度が良好で、格別に撥水性に優れているから、上記の公知の共重合体とは顕著に異なるものである。
(2)α−オレフィン
α−オレフィンは、炭素数3〜20のα−オレフィンであり、特に限定されないが、好ましくは、エチレンと共に使用され、重合に供されるエチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンは単独で用いてもよいが、2種類以上を用いてもよい。
本発明に関わるα−オレフィンは構造式:CH=CHRで表される、炭素数3〜20のα−オレフィンである(Rは炭素数1〜18の炭化水素基であり、直鎖構造であっても分岐を有していてもよい)。より好ましくは、炭素数3〜12のα−オレフィンであり、更に好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンから選択されるα−オレフィンであり、特に好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンから選択されるα−オレフィンである。
本発明のエチレン及び/又はα−オレフィンと極性基含有オレフィンとの共重合体において、エチレン及び/又はα−オレフィンに由来する構造単位の割合は、通常80〜99.999mol%、好ましくは85〜99.99mol%、更に好ましくは90〜99.97mol%の範囲から選択されることが望ましい。
(3)極性基含有オレフィンモノマー
本発明における極性基含有オレフィンモノマーは、一般式(1)で表されるモノマー群より選ばれる極性基含有オレフィンモノマーである。
Figure 0006774723
[式中、T、T、T及びTはそれぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有置換基で置換されていてもよいフッ素原子を有する炭素数2〜20の炭化水素基、フッ素原子を有する炭素数2〜20のエステル基、フッ素原子を有する炭素数1〜20のアルコキシ基、フッ素原子を有する炭素数1〜12の置換アミノ基、フッ素原子を有する炭素数1〜18の置換シリル基より選択される置換基であり、T〜Tのいずれか1つ以上はフッ素原子を含む置換基であり、フッ素原子の数は1以上の任意の数である。更に、T〜Tのいずれか1つ以上はフッ素原子以外の極性基であり、また、T、T、T及びTは、互いに結合して環を形成していてもよい。]
、T、T及びTにおいて、炭素数2〜20の炭化水素基の例は、アルキル基としては、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基、t−ブチル基、イソプロピル基、1−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、イソブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、2−プロピルヘプチル基、2−オクチル基、3−ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、トリシクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、エキソ−ノルボルニル基、エンド−ノルボニル基、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノピニル基、デカヒドロナフチル基、メンチル基、ネオメンチル基、ネオペンチル基、及び5−デシル基などである。
これらの中で、好ましい置換基としては、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基である。
アルケニル基としては、ビニル基、ブテニル基、シンナミル基、スチリル基が挙げられる。これらの中で好ましい置換基は、ビニル基、スチリル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基が挙げられ、これらのアリール基の芳香環に存在させうる置換基の例としては、アルキル基、アリール基、融合アリール基であり、具体的には、フェニルシクロヘキシル基、フェニルブテニル基、トリル基、キシリル基、p−エチルフェニル基などである。これらの中で、好ましいアリール基は、フェニル基である。
また、T、T、T、及びTは、連結して環状構造を形成してもよい。好ましい具体例は、環状ノルボルネン構造であり、具体的には、5,6−ジメチルノルボルネン、5,6−ジエチルノルボルネン、5,6−ジ−t−ブチルノルボルネンが挙げられる。これらの中で、更に好ましい置換基は、5,6−ジメチルノルボルネンである。
、T、T及びTにおいて、ヘテロ原子含有置換基で置換されていてもよいフッ素原子を有する炭素数2〜20の炭化水素基としては、上記の炭化水素基において、酸素、窒素、ケイ素などのヘテロ原子を含有する置換基を有していてもよく、フッ素原子を有する炭素数2〜20の炭化水素基である。
、T、T及びTにおいて、フッ素原子を有する炭素数2〜20のエステル基の好ましい具体例は、各基においてフッ素原子を有する、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基、n−ヘキトキシカルボニル基、n−ヘプトキシカルボニル基、n−オクトキシカルボニル基、n−ノナキシカルボニル基、n−デカキシカルボニル基が挙げられる。
これらの中で、好ましい置換基としては、フッ素原子を有する、n−ヘキトキシカルボニル基、n−ヘプトキシカルボニル基、n−オクトキシカルボニル基、n−ノナキシカルボニル基、n−デカキシカルボニル基である。
、T、T及びTにおいて、フッ素原子を有する炭素数1〜20のアルコキシ基の好ましい具体例は、各基においてフッ素原子を有する、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−ヘプトキシ基、n−オクトキシ基、、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、及び2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基などである。
これらの中で、更に好ましい置換基としては、エトキシ基、n−オクトキシ基である。
、T、T及びTにおいて、フッ素原子を有する炭素数1〜12の置換アミノ基の好ましい具体例は、各基においてフッ素原子を有する、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、モノフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、モルホリニル基が挙げられる。 これらの中で、更に好ましい置換基は、ジフェニルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基である。
、T、T及びTにおいて、フッ素原子を有する炭素数3〜18のシリル基の好ましい具体例は、各基においてフッ素原子を有する、トリメチルシリル基、(ジメチル)(フェニル)シリル基、(ジフェニル)(メチル)シリル基、トリフェニルシリル基である。これらの中で、更に好ましい置換基は、トリメチルシリル基である。
、T、T及びTにおいて、より好ましい具体例は、T及びTが水素原子であり、Tが水素原子又はメチル基である。
更に好ましい具体例は、Tが、フッ素原子以外の極性基を有す炭素数2〜15のフルオロアルキル基、炭素数6〜15のフルオロアリール基、フッ素原子以外の極性基とフッ素原子を有する炭素数2〜15の炭化水素基、炭素数2〜10のエステル基及びフッ素原子を有する炭素数3〜20の炭化水素基、フッ素原子を有する炭素数2〜15のエステル基、フッ素原子を有する炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子を有する炭素数1〜12の置換アミノ基、及びフッ素原子を有する炭素数1〜18の置換シリル基である。
より更に好ましい具体例は、Tが、フッ素原子以外の極性基を有す炭素数2〜15のフルオロアルキル基、炭素数6〜15のフルオロアリール基、フッ素原子を有する炭素数2〜15のエステル基、フッ素原子を有する炭素数1〜10のアルコキシ基である。
(4)モノマー単位の割合
エチレン及び/又はα−オレフィンに由来する構造単位の割合は、成形性と機械的物性及び撥水性をバランス良く発現するために、通常であれば80〜99.999mol%、好ましくは85〜99.99mol%、更に好ましくは90〜99.98mol%、より好適には95〜99.97mol%の範囲から選択されることが望ましい。
したがって、極性基含有オレフィンモノマーの少なくとも1種に由来する構造単位量は、通常であれば0.001〜20mol%、好ましくは0.01〜15mol%、更に好ましくは0.02〜10mol%、より好適には0.03〜5mol%の範囲から選択されることが望ましい。
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体中の極性基含有オレフィンモノマーの構造単位量は、H−NMRスペクトルを用いて求められる。H−NMRスペクトルは以下の方法によって測定した。
試料200〜250mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(CBr)=4/1(体積比)2.4ml及び化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れて窒素置換した後封管し、加熱溶解して均一な溶液としてNMR測定に供した。NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて120℃で行った。H−NMRはパルス角4.5°、パルス間隔2.0秒、積算回数を512回以上として測定した。化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチルプロトンのピークを0.088ppmとして設定し、他のプロトンによるピークの化学シフトはこれを基準とした。13C−NMRはパルス角90°、パルス間隔20秒、積算回数256回以上とし、プロトン完全デカップリング法で測定した。化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
極性基含有オレフィンモノマーの構造単位量の具体例として、H−NMRスペクトルから以下の方法によって極性基含有オレフィンモノマー含有量を求めた。
〔アクリル酸1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル(FHA)の構造単位量〕
4.0〜4.8ppmの範囲の極性基含有オレフィン共重合体によるピークの積分強度をIFHAとした時に、以下の式に従って求めた。
FHA含有量(mol%)=(IFHA)×100/(IFHA+I
=0.5×(I4.8〜4.0−I×2)、
=I5.7〜5.9−(I5.1〜4.8)/2、
=0.25×(I0〜4−I×5−I×2)で示される量である。
但し、例えばI4.8〜4.0は4.8ppmと4.0ppmの間に検出したプロトンシグナルの積分強度を示す。また、Itotalは0.5ppmから6ppmに検出したプロトンシグナルの積分強度の1/2である。
(5)共重合体の分子量
本発明のエチレン及び/又はα−オレフィンと極性基含有オレフィンとの共重合体においては、重量平均分子量(Mw)が、通常10,000〜1,000,000、好ましくは12,000〜500,000、更に好ましくは15,000〜300,000の範囲であることが望ましい。Mwが1,000,000を超えると、溶融粘度が非常に高くなり、成形加工が困難となる。10,000未満では成形性が不足する。
本発明のエチレン及び/又はα−オレフィンと極性基含有オレフィンとの共重合体は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、通常1.5〜3.5、好ましくは1.6〜3.3、更に好ましくは1.7〜3.0の範囲であることが望ましい。Mw/Mnが1.5未満では、各種加工性が充分でなくなる傾向があり、一方、Mw/Mnが3.5を超えると、接着性などの性能発現が充分でなくなる傾向がある。なお、Mw/Mnを分子量分布パラメーターと表現することがある。
本発明に係る重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる。また、分子量分布パラメーター(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって、更に数平均分子量(Mn)を求め、MwとMnの比、Mw/Mnを算出することによって求められる。
〔II〕オレフィン共重合体における特性
(1)撥水性
本発明のフッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体の特異的な特性として、撥水性が挙げられ、すなわち、当オレフィン共重合体は撥水性に優れており、ポリエチレンを超えて、フッ素樹脂のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)に近い撥水性を示している。
撥水性は親水性に対する性質であり、物体の表面で水をはじく性能であり、物体の面に対して水滴が接する接触角にて数値化され、接触角が大きいほど撥水性が高い。接触角はポリエチレンでは、成形体の表面において、95〜100°(度)であり、フッ素樹脂のPTFEでは114°であり、本発明のオレフィン共重合体では、後述する実施例の2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレートの共重合体の例で、コモノマーの含有量にもよるが、98〜106°程度である。
(2)メチル分岐数
本発明のフッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体の特異的な特性として、13C−NMRにより算出されるメチル分岐数が挙げられ、メチル分岐数は重合体鎖における1,000個の炭素原子に対するメチル分岐の数で数値化され、メチル分岐数が少ないほど共重合体は機械的強度に優れる。
本発明のオレフィン共重合体では、メチル分岐数が少なく、特に本発明の遷移金属触媒(いわゆる、SHOP触媒)により共重合すれば、メチル分岐数を50以下に、より好ましくは5以下にできる。本発明のオレフィン共重合体では、後述する実施例の2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレートの共重合体の例では、メチル分岐数は1.0以下である。
メチル分岐個数の測定は、以下の様に行われる。2〜60ppm、170〜180ppmの炭素によるピークの積分強度の総和Iトータルを1,000に規格化し、20ppmのメチル分岐のメチル炭素による信号の積分強度と33ppmのメチル分岐のメチン炭素による信号の積分強度と37ppmのメチル分岐のメチレン炭素による信号の積分強度の総和を4で割った値IB1を用いてトータル1,000炭素あたりのメチル分岐数を次式を用いて計算を行った。
メチル分岐数(個/トータル1000C)=IB1×1000/Iトータル
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
〔III〕オレフィン共重合体の製造について
(1)オレフィン共重合体の製造
本発明のフッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体の製造方法は、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、フッ素原子及び極性基を含有するオレフィンモノマーとを、遷移金属触媒を用いて共重合させることによって得られる。
(2)オレフィン共重合体の重合触媒
本発明に関わる重合触媒の種類は、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、フッ素原子及び極性基を含有するオレフィンモノマーとを共重合することが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、ポストメタロセン触媒として知られている、キレート性配位子を有する第5〜11族の遷移金属化合物を触媒として用いて重合する方法が好ましい。
遷移金属触媒が周期表第10族の金属触媒であり、好ましくは遷移金属触媒がニッケル又はパラジウムの金属触媒であり、置換基を有してもよりアリールホスフィン又はアリールアルシン化合物が配位している遷移金属触媒がより好ましい。
本発明の好ましい金属触媒は、置換基を有してもよいアリールホスフィン化合物又はアリールアルシン化合物が配位した金属触媒であり、分子中にリン又はアンチモン元素を有し、かつ置換基を有してもよいアリール基を有する化合物が配位した金属触媒である。
置換基を有してもよいアリールホスフィン化合物又はアリールアルシン化合物は、当技術分野で公知のものを例示することができる。
これらのアリールホスフィン化合物などが配位した金属触媒の例示としては、以下の一般式(2)の触媒が挙げられる。
Figure 0006774723
(Yは、リン又は砒素であり、Zは、−SO−又は−CO−である。R〜R13は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、又は炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選ばれた置換基を示す。R14は、炭素原子、ケイ素原子、酸素原子の、いずれかを介して芳香環と結合している、炭素数1〜20の置換基を示す。
Mは、8〜10族の遷移金属からなる群より選択された金属原子を示し、Aは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、アリーロキシ基で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、又は炭素数1〜30のアリールオキシ基からなる群より選ばれた置換基を示す。Bは、Mに配位した任意のリガンドを示す。また、AとBは互いに結合して環を形成していてもよい。)
更に、本発明の金属触媒は、下記一般式(3)で表されるNi触媒(SHOP系触媒)であることが重合活性の観点から好ましい。
Figure 0006774723
[式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。Lは、ニッケルに配位したリガンドを表す。また、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。Xは、酸素又は硫黄を表す。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜40のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基であって、R及びRの少なくとも一つは、ヘテロ原子を2個以上含有する炭化水素基を表す。R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、POM”、P(O)(ORM’又はエポキシ含有基を表す(ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はホスホニウムを表し、M”はアルカリ土類金属を表し、xは0〜3の整数を表し、yは0〜2の整数を表す。)。また、R、R、R10、R11、R12又はR13から適宜選択される複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環又は酸素、窒素もしくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよく、このとき、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。]
また、本発明の一般式(3)で示される化合物において、式中のXは、酸素であることが、重合活性の観点から好適である。
本発明においてRは、水素又は炭素数1ないし20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。本発明における共重合反応は、ニッケルとRの結合に本発明におけるエチレン及び/又はα−オレフィン又は極性基含有オレフィンが挿入することによって開始されると考えられる。したがって、Rの炭素数が過度に多いと、この開始反応が阻害される傾向にある。このため、好ましいRとしては、炭素数1〜16、更に好ましくは炭素数1〜10である。
の具体的な例としては、ヒドリド基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、p−メチルフェニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基などを挙げることができる。
本発明において、Lはニッケルに配位したリガンドを表す。本発明におけるリガンドLは、配位結合可能な原子として、酸素、窒素、硫黄を有する炭素数1〜20の炭化水素化合物である。また、Lとして、遷移金属に配位可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭化水素化合物(ヘテロ原子を含有していてもよい)も使用することができる。好ましくは、Lの炭素数は1〜16であり、更に好ましくは1〜10である。また一般式(3)中のニッケルと配位結合するLとしては、電荷を持たない化合物が好ましい。
はニッケルと配位結合を形成するが、本発明においては、エチレン及び/又はα−オレフィンの重合やエチレン及び/又はα−オレフィンと極性基含有オレフィンの共重合を進行させるために、Lをニッケルから取り除く化合物(スカベンジャー)を使用する必要がない。
なお、いわゆるSHOP系金属錯体においては、本発明におけるLの代わりに、フォスフィン、例えば、トリメチルフォスフィンやトリフェニルフォスフィンを用いても、本発明と類似の錯体を合成することができる。しかしながら、こうしたリガンドを用いた場合には、該リガンドをMから取り除くスカベンジャーを併用することが、オレフィンの重合能発現のために必須であることが知られている。
本発明における好ましいLとしては、ピリジン類、ピペリジン類、アルキルエーテル類、アリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類、環状エーテル類、アルキルニトリル誘導体、アリールニトリル誘導体、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、アミン類、環状不飽和炭化水素類などを挙げることができる。
更に好ましいLとしては、ピリジン類、環状エーテル類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、環状オレフィン類が挙げられ、特に好ましいLとして、ピリジン、ルチジン(ジメチルピリジン)、ピコリン(メチルピリジン)、RCO(R及びRの定義は段落0059に前記の通り)を挙げることができる。
なお、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。そのような例として、シクロオクタ−1−エニル基を挙げることができ、これも本発明における好ましい様態である。
本発明の一般式(3)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜40のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基であって、R及びRの少なくとも一つは、ヘテロ原子を2個以上含有する炭化水素基である。R及びRはニッケルの近傍にあって、立体的及び/又は電子的にニッケルに相互作用を及ぼす。こうした効果を及ぼすためには、R及びRは嵩高い方が好ましい。R及びRの好ましい炭素数は3〜40、更に好ましくは6〜20である。
及びRにおいて、ヘテロ原子含有基中に含まれるヘテロ原子としては、酸素、窒素、リン、硫黄、セレン、ケイ素、フッ素、ホウ素が挙げられる。これらのヘテロ原子のうち、酸素、ケイ素、フッ素が好ましい。また、これらのヘテロ原子を含むヘテロ原子含有基としては、酸素含有基として、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アロイル基、カルボキシレート基が挙げられ、窒素含有基としては、アミノ基、アミド基が挙げられ、硫黄含有基としては、チオアルコキシ基やチオアリーロキシが挙げられ、リン含有置換基としては、フォスフィノ基が挙げられ、セレン含有基としては、セレニル基が挙げられ、ケイ素含有基としては、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基が挙げられ、フッ素含有基としては、フルオロアルキル基、フルオロアリール基が挙げられ、ホウ素含有基としては、アルキルホウ素基、アリールホウ素基が挙げられる。
これらのヘテロ原子含有基のうち、最も好ましいのは、アルコキシ基又はアリーロキシ基である。
前記したヘテロ原子含有基に含まれるヘテロ原子としては、遷移金属に配位可能なものが好ましい。
こうした遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含むヘテロ原子含有基の具体的な例としては以下のようなものが挙げられる。
即ち、酸素含有基として、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アセトキシ基、エチルカルボキシレート基、t−ブチルカルボキシレート基、フェニルカルボキシレート基などを挙げることができる。
窒素含有基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基などを挙げることができる。
硫黄含有基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオ−n−プロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオ−n−ブトキシ基、チオ−t−ブトキシ基、チオフェノキシ基、p−メチルチオフェノキシ基、p−メトキシチオフェノキシ基などを挙げることができる。
リン含有置換基としては、ジメチルフォスフィノ基、ジエチルフォスフィノ基、ジ−n−プロピルフォスフィノ基、シクロヘキシルフォスフィノ基などを挙げることができる。
セレン含有基としては、メチルセレニル基、エチルセレニル基、n−プロピルセレニル基、n−ブチルセレニル基、t−ブチルセレニル基、フェニルセレニル基などを挙げることができる。
及びRにおいては、R又はRのいずれか一方が2個以上のヘテロ原子含有基を有していればよいが、特に、R及びRが双方とも2個以上のヘテロ原子含有基を含有しているものが好ましい。
本発明において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜40のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基であるが、より具体的には、水素又はヘテロ原子を含有していてもよい直鎖状炭化水素基、ヘテロ原子を含有していてもよい分岐鎖状炭化水素基、ヘテロ原子を含有していてもよい脂肪環式炭化水素基、ヘテロ原子を含有していてもよいアリール基が挙げられる。
前記したように、R及びRは嵩高い方が好ましい。したがって、これらのうち、ヘテロ原子を含有していてもよい脂環式炭化水素基、又はヘテロ原子を含有していてもよいアリール基が好ましく、ヘテロ原子を含有していてもよいアリール基が最も好ましい。こうしたアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスラセニル基などを挙げることができる。
本発明のR及びRにおいて、これらアリール基の芳香族骨格に前記したヘテロ原子含有基が結合する場合、結合様式としては、ヘテロ原子含有基が芳香族骨格に直接結合してもよいし、メチレン基のようなスペーサーを介して芳香族骨格に結合してもよい。
なお、メチレン基を介してヘテロ原子含有基が芳香族骨格に結合する場合、メチレン基の数は1個が好ましい。また、置換位置としては、R及びR中の芳香族骨格のうち、リンに結合した炭素に対してオルト位が好ましい。このようにすることによって、R及びR中のヘテロ原子がニッケルと相互作用を持つように空間的配置をとることができる。
好ましいR及びRの具体的な例示として、2,6−ジメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジメトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジメトキシフェニル基、1,3−ジメトキシ−2−ナフチル基、2,6−ジエトキシフェニル基、2,4,6−トリエトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジエトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジエトキシフェニル基、1,3−ジエトキシ−2−ナフチル基、2,6−ジフェノキシフェニル基、2,4,6−トリフェノキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジフェノキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジフェノキシフェニル基、1,3−ジフェノキシ−2−ナフチル基、2,6−ジメトキシメチルフェニル基、2,4,6−トリメトキシメチルフェニル基、4−メチル−2,6−ジメトキシメチルフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジメトキシメチルフェニル基、1,3−ジメトキシメチル−2−ナフチル基、2,6−ジフェノキシメチルフェニル基、2,4,6−トリフェノキシメチルフェニル基、4−メチル−2,6−ジフェノキシメチルフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジフェノキシメチルフェニル基、1,3−ジフェノキシメチル−2−ナフチル基、2,6−ジ(2−メトキシエチル)フェニル基、2,4,6−トリ(2−メトキシエチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(2−メトキシエチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(2−メトキシエチル)フェニル基、1,3−ジ(2−メトキシエチル)−2−ナフチル基、2,6−ジ(2−フェノキシエチル)フェニル基、2,4,6−トリ(2−フェノキシエチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(2−フェノキシエチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(2−フェノキシエチル)フェニル基、1,3−ジ(2−フェノキシエチル)−2−ナフチル基などを挙げることができる。
10、R11、R12、R13については段落0059に前記した通りであるが、これらのうち、R13については、嵩高い方が、高分子量の重合体を与える傾向にあり、好ましい。R13の炭素数は1〜30であるが、炭素数3〜30であることが好ましい。
10、R11、R12、R13の例を具体的に挙げると、炭化水素基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスラセニル基、2−アンスラセニル基、9−アンスラセニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、9−フルオレニル基、シクロヘキシル基などを、ヘテロ原子含有炭化水素基として、トリフルオロメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリフェニルシリル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、シクロヘキシルアミノ基などを挙げることができる。
これらのうち、特に好ましいR13として、t−ブチル基、トリメチルシリル基、フェニル基、9−アンスラセニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
本発明に係る金属触媒は、必要により、活性化剤、担体などを併用することができる。上記活性化剤としては、通常のメタロセン触媒で使用される助触媒であるアルキルアルモキサンやホウ素含有化合物が例示される。
本発明に係る遷移金属錯体は、必要により、活性化剤、担体などを併用することができる。
また、担体としては、本発明の主旨をそこなわない限りにおいて、任意の担体を用いることができる。一般に、無機酸化物やポリマー担体が好適に使用できる。具体的には、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThOなど又はこれらの混合物が挙げられ、SiO−Al、SiO−V、SiO−TiO、SiO−MgO、SiO−Crなどの混合酸化物も使用することができ、無機ケイ酸塩、ポリエチレン担体、ポリプロピレン担体、ポリスチレン担体、ポリアクリル酸担体、ポリメタクリル酸担体、ポリアクリル酸エステル担体、ポリエステル担体、ポリアミド担体、ポリイミド担体などが使用可能である。これらの担体については、粒径、粒径分布、細孔容積、比表面積などに特に制限はなく、任意のものが使用可能である。
上記無機ケイ酸塩としては、シリカ、アルミナ、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土などが使用可能である。これらは、合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。
粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェンなどのアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイトなどのカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイトなどのハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライトなどの蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族、バーミキュライトなどのバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群などが挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトなどが挙げられる。
これら具体例のうち好ましくは、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイトなどのカオリン族、メタハロサイト、ハロサイトなどのハロサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライトなどの蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族、バーミキュライトなどのバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、特に好ましくはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族、バーミキュライトなどのバーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられる。
これらの担体は、そのまま用いてもよいが、塩酸、硝酸、硫酸などによる酸処理及び/又は、LiCl、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、LiSO、MgSO、ZnSO、Ti(SO、Zr(SO、Al(SOなどの塩類処理を行なってもよい。該処理において、対応する酸と塩基を混合して反応系内で塩を生成させて処理を行なってもよい。また、粉砕や造粒などの形状制御や乾燥処理を行なってもよい。
(3)共重合体の製造方法
本発明において、重合形式に特に制限はない。媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行なう気相重合、又は高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが好ましく用いられる。
また、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの形式でもよい。リビング重合であってもよいし、連鎖移動を併発しながら重合を行なってもよい。
共重合温度、共重合圧力及び共重合時間に特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行なうことができる。 即ち、共重合温度は、通常−20℃〜290℃、好ましくは0℃〜250℃、共重合圧力は、0.1MPa〜100MPa、好ましくは、0.3MPa〜90MPa、共重合時間は、0.1分〜10時間、好ましくは、0.5分〜7時間、更に好ましくは1分〜6時間の範囲から選ぶことができる。
本発明において、共重合は、一般に不活性ガス雰囲気下で行なわれる。例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素雰囲気が使用でき、窒素雰囲気が好ましく使用される。なお、少量の酸素や空気の混入があってもよい。
共重合反応器への触媒とモノマーの供給方式は、特に制限はなく、目的に応じてさまざまな方式をとることができる。例えば、バッチ重合の場合、予め所定量の極性モノマーを共重合反応器に供給しておき、有機金属化合物を添加した後、接触触媒を形成し、その後、共重合する手法をとることが可能である。この場合、追加のモノマーや追加の触媒を共重合反応器に供給してもよい。また、連続重合の場合、所定量のモノマーと有機金属化合物を添加し接触した後、接触した触媒を共重合反応器に連続的に、又は間欠的に供給し、共重合反応を連続的に行なう手法をとることができる。
共重合体の組成の制御に関しては、複数のモノマーを反応器に供給し、その供給比率を変えることによって、制御する方法を一般に用いることができる。その他、触媒の構造の違いによるモノマー反応性比の違いを利用して、共重合組成を制御する方法や、モノマー反応性比の重合温度依存性を利用して、共重合組成を制御する方法が挙げられる。
共重合体の分子量制御には、従来公知の方法を使用することができる。即ち、重合温度を制御して分子量を制御する方法、モノマー濃度を制御して分子量を制御する方法、連鎖移動剤を使用して分子量を制御する方法、金属触媒中のリガンド構造の制御により分子量を制御するなどが挙げられる。
連鎖移動剤を使用する場合には、従来公知の連鎖移動剤を用いることができる。例えば、水素、メタルアルキルなどを使用することができる。また、極性基含有オレフィン自身が一種の連鎖移動剤となる場合には、極性基含有オレフィンのα−オレフィンに対する比率や、極性基含有オレフィンの濃度を制御することによっても分子量調節が可能である。
金属触媒中のリガンド構造を制御して分子量調節を行なう場合には、遷移金属Mの周りに嵩高い置換基を配置したり、遷移金属Mに置換基を有してもよいアリール基やヘテロ原子含有置換基などの電子供与性基が相互作用可能となるように配置したりすることができる。
以下、本発明を実施例によって、具体的に説明するが本発明はこれらの実施例によって制限されるものではなく、実施例は、本発明の構成の合理性と有意性及び有用性並びに従来技術に対する卓越性を実証するものである。なお、実施例と比較例で用いた評価方法及び金属触媒は、以下の通りである。
1.評価方法
(1)Tm
以下のDSC測定により求めた。セイコー電子工業株式会社製「EXSTAR6000」を使用し、40℃で1分等温維持、10℃/分で40〜160℃までの昇温、160℃で10分等温維持、10℃/分で160〜10℃まで降温、10℃で5分等温維持の後、10℃/分で10〜160℃までの昇温時の測定により求めた。
(2)Mw/Mn:GPCにより測定した。
装置:日本ウォーターズ社製Alliance GPCV2000型
検出器:GPCV2000内蔵の示差屈折計検出器
試料の調製 :4mLバイアル瓶に試料3mg及びオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤採し、樹脂製スクューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行った。溶解終了後、不溶成分がないことを目視で確認した。
カラム:昭和電工社製Shodex HT−806M×2本+同 HT−G
較正曲線の作成:4mLガラス瓶を4本用意し、それぞれに下記(i)〜(iv)の組み合わせの単分散ポリスチレン標準試料又はn−アルカンを0.2mgずつ秤り採り、続いてオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤り採り、樹脂製スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行った。
(i)Shodex S−1460,同S−66.0,n−エイコサン
(ii)Shodex S−1950,同S−152,n−テトラコンタン
(iii)Shodex S−3900,同S−565,同S−5.05
(iv)Shodex S−7500,同S−1010,同S−28.5
試料溶液が入ったバイアル瓶を装置にセットし、前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1sでクロマトグラム(保持時間と示差屈折計検出器の応答のデータセット)を記録した。得られたクロマトグラムから各ポリスチレン標準試料の保持時間(ピーク頂点)を読み取り、分子量の対数値に対してプロットした。ここで、n−エイコサン及びn−テトラコンタンの分子量は、それぞれ600及び1,200とした。このプロットに非線形最小自乗法を適用し、得られた4次曲線を較正曲線とした。
分子量の計算:前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1sでクロマトグラムを記録した。このクロマトグラムを用い、森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)第4章p.51〜60に記載の方法で微分分子量分布曲線及び平均分子量値(Mn、Mw及びMz)を算出した。但し、dn/dcの分子量依存性を補正するため、クロマトグラムにおけるベースラインからの高さHを下記式にて補正した。
H’=H/[1.032+189.2/M(PE)]
クロマトグラムの記録(データ取り込み)及び平均分子量計算は、Microsoft社製OS・Windows(登録商標)・XPをインストールしたPC上で自社製プログラム(Microsoft製Visual Basic6.0で作成)を用いて行った。
なお、ポリスチレンからポリエチレンへの分子量変換は、下記式を用いた。
M(PE)=0.468×M(PS)
測定温度:145℃ 濃度:20mg/10mL 注入量:0.3ml 溶媒:オルソジクロロベンゼン 流速:1.0ml/分
(3)水接触角試験
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体の撥水性は、以下の水接触角試験で測定した。
(i)水接触角試験用サンプル作製方法
極性基含有オレフィン共重合体を、寸法:50mm×60mm、厚さ1mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで樹脂を溶融すると共に溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持した。その後、4.9MPaの圧力をかけた状態で、10℃/分の速度で徐々に冷却し、温度が室温付近まで低下したところでモールドから成形板を取り出した。得られた成形板を温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で48時間以上、状態調節した。
(ii)水接触角試験条件
上記試験片を用い、JIS R 3257−1999の静液法を参考として蒸留水で水接触角を測定した。なお、JIS R 3257−1999と異なるのは、試験片のみである。その他測定条件などに関しては、JIS R 3257−1999に準じた方法で試験を実施した。
・測定装置:協和界面科学(株)製、接触角計DM−501型 ・測定雰囲気:温度23±2℃、湿度50±5% ・水滴容量:1〜4μL ・接触角計算方法:θ/2法
2.金属触媒
金属触媒は、B−27DM/Ni錯体として、特開2013−043871号公報に記載された合成例に従い合成し、以下の化学式で示されるリガンドB−27DMを使用した。また、国際公開WO2010/050256号の実施例に準じて、ビス−1,5−シクロオクタジエンニッケル(0)(Ni(COD)と称する)を用いて、B−27DMとNi(COD)とが1対1で反応したニッケル錯体を合成した。
Figure 0006774723
(実施例1)2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレートの共重合体
エチレンとアクリル酸1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル(FHA;ダイキン工業社製、商品名:R1420)との共重合:
内容積2.4リットルの攪拌翼付きオートクレーブに、乾燥トルエン(1.0リットル)と、トリn−オクチルアルミニウム(TNOA)を36.6mg(0.1mmol)及び所定量のアクリル酸1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル(FHA)を2.2ml(10mmol)仕込んだ。攪拌しながらオートクレーブを90℃に昇温し、窒素を0.5MPaまで供給した後、エチレンをオートクレーブに供給し、圧力が3.0MPaになるように調整した。調整終了後、B−27DM/Ni触媒12ml(120μmol)を窒素で圧入して共重合を開始させた。
90分間重合させた後、冷却、脱圧して反応を停止した。反応溶液は、1リットルのアセトンに投入してポリマーを析出させた後、ろ過洗浄を行い回収し、更に減圧下で恒量になるまで乾燥を行なった。結果を表1に示す。
(実施例2)
B−27DM/Ni触媒の量を6ml(60μmol)とし、重合時間を14分とした以外は、実施例1と同様にしてエチレン−FHA共重合を行なった。結果を表1に示す。
(実施例3)
FHAを8.7ml(40mmol)、重合時間を30分とした以外は、実施例1と同様にしてエチレン−FHA共重合を行なった。結果を表1に示す。
(実施例4)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレートの共重合体
エチレンとアクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(HFiPA;ダイキン工業社製、商品名:R7210)との共重合:
内容積2.4リットルの攪拌翼付きオートクレーブに、乾燥トルエン(1.0リットル)と、トリn−オクチルアルミニウム(TNOA)を36.6mg(0.1mmol)及び所定量のアクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルを1.6ml(10mmol)仕込んだ。攪拌しながらオートクレーブを90℃に昇温し、窒素を0.5MPaまで供給した後、エチレンをオートクレーブに供給し、圧力が3.0MPaになるように調整した。調整終了後、B−27DM/Ni触媒24ml(240μmol)を窒素で圧入して共重合を開始させた。
30分間重合させた後、冷却、脱圧して反応を停止した。反応溶液は、1リットルのアセトンに投入してポリマーを析出させた後、ろ過洗浄を行い回収し、更に減圧下で恒量になるまで乾燥を行なった。結果を表1に示す。
(実施例5)2,2,2−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体
エチレンとアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(TFEA;ダイキン工業社製、商品名:R1110)との共重合:
内容積2.4リットルの攪拌翼付きオートクレーブに、乾燥トルエン(1.0リットル)と、トリn−オクチルアルミニウム(TNOA)を36.6mg(0.1mmol)及び所定量のアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルを1.3ml(10mmol)仕込んだ。攪拌しながらオートクレーブを90℃に昇温し、窒素を0.5MPaまで供給した後、エチレンをオートクレーブに供給し、圧力が3.0MPaになるように調整した。調整終了後、B−27DM/Ni触媒12ml(120μmol)を窒素で圧入して共重合を開始させた。
30分間重合させた後、冷却、脱圧して反応を停止した。反応溶液は、1リットルのアセトンに投入してポリマーを析出させた後、ろ過洗浄を行い回収し、更に減圧下で恒量になるまで乾燥を行なった。結果を表1に示す。
(比較例1)
メタロセン触媒を用いて重合された低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、商品名:カーネル KF260)を用いて水接触角試験を行なった。
(比較例2)
メタロセン触媒を用いて重合された線状低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、商品名:ハーモレックス NF444N)を用いて水接触角試験を行なった。
(比較例3)
チーグラー系触媒を用いて重合された高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、商品名:ノバテックHD HS430P)を用いて水接触角試験を行なった。
Figure 0006774723
Figure 0006774723
(実施例と比較例の結果の評価)
表1,2より、本発明の請求項1の規定を満たす、実施例1〜5の共重合体では、接触角が100°を超えており、ポリエチレンの95〜100°より優れ、フッ素樹脂のPTFE(114°)に近い値を示しており、本発明の共重合体の撥水性が非常に良好であることが実証されている。比較例1〜3では、接触角は94〜98°程度であり、ポリエチレンと同等の撥水性である。
また、実施例3はコモノマー含量が実施例1,2に比べて高いので、接触角が実施例1,2より高く、実施例4は実施例5に比べてフッ素原子数が多いので、接触角が実施例5より高くなっている。
更に、本発明の共重合体の、13C−NMRにより算出されるメチル分岐数は、1.0以下であり、機械的強度が優れていることも実証されている。
したがって、本発明の構成が、有意性と合理性及び有用性並びに従来技術に対する卓越性を備えていることが明らかにされている。
本発明により、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと極性基含有オレフィンとのフッ素含有共重合体において、撥水性と機械的物性が向上されているので、極性基含有オレフィンの共重合体が工業上非常に有用となり、産業上において利用可能性が高い。

Claims (5)

  1. エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、一般式(1)で表されるモノマー群より選ばれる極性基含有オレフィンモノマーから構成され、フッ素原子を含有し、13C−NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり5以下であることを特徴とするオレフィン共重合体。
    Figure 0006774723
    [式中、T、T、T及びTはそれぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、フッ素原子を有する炭素数2〜20のエステル基より選択される置換基であり、T〜Tのいずれか1つ以上はフッ素原子を含む置換基であり、フッ素原子の数は1以上の任意の数である。更に、T 〜Tのいずれか1つ以上はフッ素原子を有する炭素数2〜20のエステル基であり、また、T、T、T及びTは、互いに結合して環を形成していてもよい。]
  2. 及びTが水素原子であり、Tが水素原子又はメチル基であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン共重合体。
  3. 前記のオレフィン共重合体を、キレート性配位子を有する周期表第5〜11族金属の遷移金属触媒の存在下に重合することを特徴とする、請求項1又は2に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  4. 前記の遷移金属触媒が周期表第10族の金属触媒であることを特徴とする、請求項3に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
  5. 前記の遷移金属触媒がニッケル又はパラジウムの金属触媒であることを特徴とする、請求項4に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
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