JP6774723B2 - フッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、フッ素原子を含むエチレンとアクリレートのラジカル重合体などのフッ素含有エチレン共重合体が提示されているが、成形性が低く実用化には不十分である。特許文献2には、フッ素化エチレン系アクリレート共重合体などが提示されているが、Me分岐数が多く機械的強度が十分ではない。特許文献3には、撥水性を改良したフッ素含有エチレン共重合体が提示されているが、撥水性と成形性が十分とはいえない。
すなわち、本発明のフッ素系オレフィン樹脂は、フッ素原子及び特定の極性基を含有し、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、極性基含有オレフィンモノマーから構成され、特に撥水性に優れた、フッ素原子及び極性基を含有するオレフィン樹脂材料である。
ここで、[1]における、オレフィン共重合体が、基本発明[1]として構成され、[2]以下の各発明は、基本発明に付随的な要件を加え、或いはその実施の態様を示すものである。
[3]T4が、炭素数2〜15のフルオロアルキル基、炭素数6〜15のフルオロアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基で置換されフッ素原子を有する炭素数2〜15の炭化水素基、炭素数2〜10のエステル基で置換されフッ素原子を有する炭素数3〜20の炭化水素基、フッ素原子を有する炭素数2〜15のエステル基、フッ素原子を有する炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子を有する炭素数1〜12の置換アミノ基、及びフッ素原子を有する炭素数1〜18の置換シリル基より選択される置換基であり、フッ素原子以外の極性基を有してもよいことを特徴とする、[1]又は[2]におけるオレフィン共重合体。
[4]T4が、フッ素原子以外の極性基を有す炭素数2〜15のフルオロアルキル基、炭素数6〜15のフルオロアリール基、フッ素原子を有する炭素数2〜15のエステル基、フッ素原子を有する炭素数1〜10のアルコキシ基より選択される置換基であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかにおけるオレフィン共重合体。
[6]13C−NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり5以下であることを特徴とする、[5]におけるオレフィン共重合体。
[8]前記の遷移金属触媒が周期表第10族の金属触媒であることを特徴とする、[7]におけるオレフィン共重合体。
[9]前記の遷移金属触媒がニッケル又はパラジウムの金属触媒であることを特徴とする、[8]におけるオレフィン共重合体。
また、本発明における共重合体は、13C−NMRにより算出されるメチル分岐数が、1,000C当たり50以下であり、メチル分岐がこの数値を満たすと弾性率が高く、成形体の機械強度も高くなることが期待できる。
(1)フッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体について
本発明における基本発明である、フッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体は、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、一般式(1)で表されるモノマー群より選ばれる極性基含有オレフィンモノマーから構成され、フッ素原子を含有することを特徴とするオレフィン共重合体であであって、特に、該モノマー単位がランダムに共重合したランダム共重合体である。
α−オレフィンは、炭素数3〜20のα−オレフィンであり、特に限定されないが、好ましくは、エチレンと共に使用され、重合に供されるエチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンは単独で用いてもよいが、2種類以上を用いてもよい。
本発明における極性基含有オレフィンモノマーは、一般式(1)で表されるモノマー群より選ばれる極性基含有オレフィンモノマーである。
これらの中で、好ましい置換基としては、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基が挙げられ、これらのアリール基の芳香環に存在させうる置換基の例としては、アルキル基、アリール基、融合アリール基であり、具体的には、フェニルシクロヘキシル基、フェニルブテニル基、トリル基、キシリル基、p−エチルフェニル基などである。これらの中で、好ましいアリール基は、フェニル基である。
これらの中で、好ましい置換基としては、フッ素原子を有する、n−ヘキトキシカルボニル基、n−ヘプトキシカルボニル基、n−オクトキシカルボニル基、n−ノナキシカルボニル基、n−デカキシカルボニル基である。
これらの中で、更に好ましい置換基としては、エトキシ基、n−オクトキシ基である。
更に好ましい具体例は、T4が、フッ素原子以外の極性基を有す炭素数2〜15のフルオロアルキル基、炭素数6〜15のフルオロアリール基、フッ素原子以外の極性基とフッ素原子を有する炭素数2〜15の炭化水素基、炭素数2〜10のエステル基及びフッ素原子を有する炭素数3〜20の炭化水素基、フッ素原子を有する炭素数2〜15のエステル基、フッ素原子を有する炭素数1〜10のアルコキシ基、フッ素原子を有する炭素数1〜12の置換アミノ基、及びフッ素原子を有する炭素数1〜18の置換シリル基である。
より更に好ましい具体例は、T4が、フッ素原子以外の極性基を有す炭素数2〜15のフルオロアルキル基、炭素数6〜15のフルオロアリール基、フッ素原子を有する炭素数2〜15のエステル基、フッ素原子を有する炭素数1〜10のアルコキシ基である。
エチレン及び/又はα−オレフィンに由来する構造単位の割合は、成形性と機械的物性及び撥水性をバランス良く発現するために、通常であれば80〜99.999mol%、好ましくは85〜99.99mol%、更に好ましくは90〜99.98mol%、より好適には95〜99.97mol%の範囲から選択されることが望ましい。
したがって、極性基含有オレフィンモノマーの少なくとも1種に由来する構造単位量は、通常であれば0.001〜20mol%、好ましくは0.01〜15mol%、更に好ましくは0.02〜10mol%、より好適には0.03〜5mol%の範囲から選択されることが望ましい。
試料200〜250mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(C6D5Br)=4/1(体積比)2.4ml及び化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れて窒素置換した後封管し、加熱溶解して均一な溶液としてNMR測定に供した。NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて120℃で行った。1H−NMRはパルス角4.5°、パルス間隔2.0秒、積算回数を512回以上として測定した。化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチルプロトンのピークを0.088ppmとして設定し、他のプロトンによるピークの化学シフトはこれを基準とした。13C−NMRはパルス角90°、パルス間隔20秒、積算回数256回以上とし、プロトン完全デカップリング法で測定した。化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
〔アクリル酸1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル(FHA)の構造単位量〕
4.0〜4.8ppmの範囲の極性基含有オレフィン共重合体によるピークの積分強度をIFHAとした時に、以下の式に従って求めた。
FHA含有量(mol%)=(IFHA)×100/(IFHA+IE)
IM=0.5×(I4.8〜4.0−IV×2)、
IV=I5.7〜5.9−(I5.1〜4.8)/2、
IE=0.25×(I0〜4−IM×5−IV×2)で示される量である。
但し、例えばI4.8〜4.0は4.8ppmと4.0ppmの間に検出したプロトンシグナルの積分強度を示す。また、Itotalは0.5ppmから6ppmに検出したプロトンシグナルの積分強度の1/2である。
本発明のエチレン及び/又はα−オレフィンと極性基含有オレフィンとの共重合体においては、重量平均分子量(Mw)が、通常10,000〜1,000,000、好ましくは12,000〜500,000、更に好ましくは15,000〜300,000の範囲であることが望ましい。Mwが1,000,000を超えると、溶融粘度が非常に高くなり、成形加工が困難となる。10,000未満では成形性が不足する。
(1)撥水性
本発明のフッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体の特異的な特性として、撥水性が挙げられ、すなわち、当オレフィン共重合体は撥水性に優れており、ポリエチレンを超えて、フッ素樹脂のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)に近い撥水性を示している。
撥水性は親水性に対する性質であり、物体の表面で水をはじく性能であり、物体の面に対して水滴が接する接触角にて数値化され、接触角が大きいほど撥水性が高い。接触角はポリエチレンでは、成形体の表面において、95〜100°(度)であり、フッ素樹脂のPTFEでは114°であり、本発明のオレフィン共重合体では、後述する実施例の2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレートの共重合体の例で、コモノマーの含有量にもよるが、98〜106°程度である。
本発明のフッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体の特異的な特性として、13C−NMRにより算出されるメチル分岐数が挙げられ、メチル分岐数は重合体鎖における1,000個の炭素原子に対するメチル分岐の数で数値化され、メチル分岐数が少ないほど共重合体は機械的強度に優れる。
本発明のオレフィン共重合体では、メチル分岐数が少なく、特に本発明の遷移金属触媒(いわゆる、SHOP触媒)により共重合すれば、メチル分岐数を50以下に、より好ましくは5以下にできる。本発明のオレフィン共重合体では、後述する実施例の2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレートの共重合体の例では、メチル分岐数は1.0以下である。
メチル分岐数(個/トータル1000C)=IB1×1000/Iトータル
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
(1)オレフィン共重合体の製造
本発明のフッ素原子及び極性基を含有するオレフィン共重合体の製造方法は、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、フッ素原子及び極性基を含有するオレフィンモノマーとを、遷移金属触媒を用いて共重合させることによって得られる。
本発明に関わる重合触媒の種類は、エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、フッ素原子及び極性基を含有するオレフィンモノマーとを共重合することが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、ポストメタロセン触媒として知られている、キレート性配位子を有する第5〜11族の遷移金属化合物を触媒として用いて重合する方法が好ましい。
遷移金属触媒が周期表第10族の金属触媒であり、好ましくは遷移金属触媒がニッケル又はパラジウムの金属触媒であり、置換基を有してもよりアリールホスフィン又はアリールアルシン化合物が配位している遷移金属触媒がより好ましい。
置換基を有してもよいアリールホスフィン化合物又はアリールアルシン化合物は、当技術分野で公知のものを例示することができる。
Mは、8〜10族の遷移金属からなる群より選択された金属原子を示し、Aは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、アリーロキシ基で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、又は炭素数1〜30のアリールオキシ基からなる群より選ばれた置換基を示す。Bは、Mに配位した任意のリガンドを示す。また、AとBは互いに結合して環を形成していてもよい。)
L1はニッケルと配位結合を形成するが、本発明においては、エチレン及び/又はα−オレフィンの重合やエチレン及び/又はα−オレフィンと極性基含有オレフィンの共重合を進行させるために、L1をニッケルから取り除く化合物(スカベンジャー)を使用する必要がない。
更に好ましいL1としては、ピリジン類、環状エーテル類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、環状オレフィン類が挙げられ、特に好ましいL1として、ピリジン、ルチジン(ジメチルピリジン)、ピコリン(メチルピリジン)、R1CO2R2(R1及びR2の定義は段落0059に前記の通り)を挙げることができる。
なお、R3とL1が互いに結合して環を形成してもよい。そのような例として、シクロオクタ−1−エニル基を挙げることができ、これも本発明における好ましい様態である。
これらのヘテロ原子含有基のうち、最も好ましいのは、アルコキシ基又はアリーロキシ基である。
こうした遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含むヘテロ原子含有基の具体的な例としては以下のようなものが挙げられる。
即ち、酸素含有基として、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アセトキシ基、エチルカルボキシレート基、t−ブチルカルボキシレート基、フェニルカルボキシレート基などを挙げることができる。
窒素含有基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基などを挙げることができる。
硫黄含有基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオ−n−プロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオ−n−ブトキシ基、チオ−t−ブトキシ基、チオフェノキシ基、p−メチルチオフェノキシ基、p−メトキシチオフェノキシ基などを挙げることができる。
リン含有置換基としては、ジメチルフォスフィノ基、ジエチルフォスフィノ基、ジ−n−プロピルフォスフィノ基、シクロヘキシルフォスフィノ基などを挙げることができる。
セレン含有基としては、メチルセレニル基、エチルセレニル基、n−プロピルセレニル基、n−ブチルセレニル基、t−ブチルセレニル基、フェニルセレニル基などを挙げることができる。
前記したように、R4及びR5は嵩高い方が好ましい。したがって、これらのうち、ヘテロ原子を含有していてもよい脂環式炭化水素基、又はヘテロ原子を含有していてもよいアリール基が好ましく、ヘテロ原子を含有していてもよいアリール基が最も好ましい。こうしたアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスラセニル基などを挙げることができる。
なお、メチレン基を介してヘテロ原子含有基が芳香族骨格に結合する場合、メチレン基の数は1個が好ましい。また、置換位置としては、R4及びR5中の芳香族骨格のうち、リンに結合した炭素に対してオルト位が好ましい。このようにすることによって、R4及びR5中のヘテロ原子がニッケルと相互作用を持つように空間的配置をとることができる。
R10、R11、R12、R13の例を具体的に挙げると、炭化水素基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスラセニル基、2−アンスラセニル基、9−アンスラセニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、9−フルオレニル基、シクロヘキシル基などを、ヘテロ原子含有炭化水素基として、トリフルオロメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリフェニルシリル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、シクロヘキシルアミノ基などを挙げることができる。
これらのうち、特に好ましいR13として、t−ブチル基、トリメチルシリル基、フェニル基、9−アンスラセニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
本発明に係る遷移金属錯体は、必要により、活性化剤、担体などを併用することができる。
粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェンなどのアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイトなどのカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイトなどのハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライトなどの蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族、バーミキュライトなどのバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群などが挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトなどが挙げられる。
本発明において、重合形式に特に制限はない。媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行なう気相重合、又は高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが好ましく用いられる。
また、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの形式でもよい。リビング重合であってもよいし、連鎖移動を併発しながら重合を行なってもよい。
連鎖移動剤を使用する場合には、従来公知の連鎖移動剤を用いることができる。例えば、水素、メタルアルキルなどを使用することができる。また、極性基含有オレフィン自身が一種の連鎖移動剤となる場合には、極性基含有オレフィンのα−オレフィンに対する比率や、極性基含有オレフィンの濃度を制御することによっても分子量調節が可能である。
金属触媒中のリガンド構造を制御して分子量調節を行なう場合には、遷移金属Mの周りに嵩高い置換基を配置したり、遷移金属Mに置換基を有してもよいアリール基やヘテロ原子含有置換基などの電子供与性基が相互作用可能となるように配置したりすることができる。
(1)Tm
以下のDSC測定により求めた。セイコー電子工業株式会社製「EXSTAR6000」を使用し、40℃で1分等温維持、10℃/分で40〜160℃までの昇温、160℃で10分等温維持、10℃/分で160〜10℃まで降温、10℃で5分等温維持の後、10℃/分で10〜160℃までの昇温時の測定により求めた。
装置:日本ウォーターズ社製Alliance GPCV2000型
検出器:GPCV2000内蔵の示差屈折計検出器
試料の調製 :4mLバイアル瓶に試料3mg及びオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤採し、樹脂製スクューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行った。溶解終了後、不溶成分がないことを目視で確認した。
カラム:昭和電工社製Shodex HT−806M×2本+同 HT−G
較正曲線の作成:4mLガラス瓶を4本用意し、それぞれに下記(i)〜(iv)の組み合わせの単分散ポリスチレン標準試料又はn−アルカンを0.2mgずつ秤り採り、続いてオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤り採り、樹脂製スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行った。
(ii)Shodex S−1950,同S−152,n−テトラコンタン
(iii)Shodex S−3900,同S−565,同S−5.05
(iv)Shodex S−7500,同S−1010,同S−28.5
試料溶液が入ったバイアル瓶を装置にセットし、前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1sでクロマトグラム(保持時間と示差屈折計検出器の応答のデータセット)を記録した。得られたクロマトグラムから各ポリスチレン標準試料の保持時間(ピーク頂点)を読み取り、分子量の対数値に対してプロットした。ここで、n−エイコサン及びn−テトラコンタンの分子量は、それぞれ600及び1,200とした。このプロットに非線形最小自乗法を適用し、得られた4次曲線を較正曲線とした。
H’=H/[1.032+189.2/M(PE)]
クロマトグラムの記録(データ取り込み)及び平均分子量計算は、Microsoft社製OS・Windows(登録商標)・XPをインストールしたPC上で自社製プログラム(Microsoft製Visual Basic6.0で作成)を用いて行った。
なお、ポリスチレンからポリエチレンへの分子量変換は、下記式を用いた。
M(PE)=0.468×M(PS)
測定温度:145℃ 濃度:20mg/10mL 注入量:0.3ml 溶媒:オルソジクロロベンゼン 流速:1.0ml/分
本発明に関わる極性基含有オレフィン共重合体の撥水性は、以下の水接触角試験で測定した。
(i)水接触角試験用サンプル作製方法
極性基含有オレフィン共重合体を、寸法:50mm×60mm、厚さ1mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで樹脂を溶融すると共に溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持した。その後、4.9MPaの圧力をかけた状態で、10℃/分の速度で徐々に冷却し、温度が室温付近まで低下したところでモールドから成形板を取り出した。得られた成形板を温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で48時間以上、状態調節した。
上記試験片を用い、JIS R 3257−1999の静液法を参考として蒸留水で水接触角を測定した。なお、JIS R 3257−1999と異なるのは、試験片のみである。その他測定条件などに関しては、JIS R 3257−1999に準じた方法で試験を実施した。
・測定装置:協和界面科学(株)製、接触角計DM−501型 ・測定雰囲気:温度23±2℃、湿度50±5% ・水滴容量:1〜4μL ・接触角計算方法:θ/2法
金属触媒は、B−27DM/Ni錯体として、特開2013−043871号公報に記載された合成例に従い合成し、以下の化学式で示されるリガンドB−27DMを使用した。また、国際公開WO2010/050256号の実施例に準じて、ビス−1,5−シクロオクタジエンニッケル(0)(Ni(COD)2と称する)を用いて、B−27DMとNi(COD)2とが1対1で反応したニッケル錯体を合成した。
エチレンとアクリル酸1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル(FHA;ダイキン工業社製、商品名:R1420)との共重合:
内容積2.4リットルの攪拌翼付きオートクレーブに、乾燥トルエン(1.0リットル)と、トリn−オクチルアルミニウム(TNOA)を36.6mg(0.1mmol)及び所定量のアクリル酸1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル(FHA)を2.2ml(10mmol)仕込んだ。攪拌しながらオートクレーブを90℃に昇温し、窒素を0.5MPaまで供給した後、エチレンをオートクレーブに供給し、圧力が3.0MPaになるように調整した。調整終了後、B−27DM/Ni触媒12ml(120μmol)を窒素で圧入して共重合を開始させた。
90分間重合させた後、冷却、脱圧して反応を停止した。反応溶液は、1リットルのアセトンに投入してポリマーを析出させた後、ろ過洗浄を行い回収し、更に減圧下で恒量になるまで乾燥を行なった。結果を表1に示す。
B−27DM/Ni触媒の量を6ml(60μmol)とし、重合時間を14分とした以外は、実施例1と同様にしてエチレン−FHA共重合を行なった。結果を表1に示す。
(実施例3)
FHAを8.7ml(40mmol)、重合時間を30分とした以外は、実施例1と同様にしてエチレン−FHA共重合を行なった。結果を表1に示す。
エチレンとアクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(HFiPA;ダイキン工業社製、商品名:R7210)との共重合:
内容積2.4リットルの攪拌翼付きオートクレーブに、乾燥トルエン(1.0リットル)と、トリn−オクチルアルミニウム(TNOA)を36.6mg(0.1mmol)及び所定量のアクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルを1.6ml(10mmol)仕込んだ。攪拌しながらオートクレーブを90℃に昇温し、窒素を0.5MPaまで供給した後、エチレンをオートクレーブに供給し、圧力が3.0MPaになるように調整した。調整終了後、B−27DM/Ni触媒24ml(240μmol)を窒素で圧入して共重合を開始させた。
30分間重合させた後、冷却、脱圧して反応を停止した。反応溶液は、1リットルのアセトンに投入してポリマーを析出させた後、ろ過洗浄を行い回収し、更に減圧下で恒量になるまで乾燥を行なった。結果を表1に示す。
エチレンとアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(TFEA;ダイキン工業社製、商品名:R1110)との共重合:
内容積2.4リットルの攪拌翼付きオートクレーブに、乾燥トルエン(1.0リットル)と、トリn−オクチルアルミニウム(TNOA)を36.6mg(0.1mmol)及び所定量のアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルを1.3ml(10mmol)仕込んだ。攪拌しながらオートクレーブを90℃に昇温し、窒素を0.5MPaまで供給した後、エチレンをオートクレーブに供給し、圧力が3.0MPaになるように調整した。調整終了後、B−27DM/Ni触媒12ml(120μmol)を窒素で圧入して共重合を開始させた。
30分間重合させた後、冷却、脱圧して反応を停止した。反応溶液は、1リットルのアセトンに投入してポリマーを析出させた後、ろ過洗浄を行い回収し、更に減圧下で恒量になるまで乾燥を行なった。結果を表1に示す。
メタロセン触媒を用いて重合された低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、商品名:カーネル KF260)を用いて水接触角試験を行なった。
(比較例2)
メタロセン触媒を用いて重合された線状低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、商品名:ハーモレックス NF444N)を用いて水接触角試験を行なった。
(比較例3)
チーグラー系触媒を用いて重合された高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、商品名:ノバテックHD HS430P)を用いて水接触角試験を行なった。
表1,2より、本発明の請求項1の規定を満たす、実施例1〜5の共重合体では、接触角が100°を超えており、ポリエチレンの95〜100°より優れ、フッ素樹脂のPTFE(114°)に近い値を示しており、本発明の共重合体の撥水性が非常に良好であることが実証されている。比較例1〜3では、接触角は94〜98°程度であり、ポリエチレンと同等の撥水性である。
また、実施例3はコモノマー含量が実施例1,2に比べて高いので、接触角が実施例1,2より高く、実施例4は実施例5に比べてフッ素原子数が多いので、接触角が実施例5より高くなっている。
更に、本発明の共重合体の、13C−NMRにより算出されるメチル分岐数は、1.0以下であり、機械的強度が優れていることも実証されている。
したがって、本発明の構成が、有意性と合理性及び有用性並びに従来技術に対する卓越性を備えていることが明らかにされている。
Claims (5)
- エチレン及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィンと、一般式(1)で表されるモノマー群より選ばれる極性基含有オレフィンモノマーから構成され、フッ素原子を含有し、13C−NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり5以下であることを特徴とするオレフィン共重合体。
[式中、T1、T2、T3及びT4はそれぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、フッ素原子を有する炭素数2〜20のエステル基より選択される置換基であり、T1〜T4のいずれか1つ以上はフッ素原子を含む置換基であり、フッ素原子の数は1以上の任意の数である。更に、T 1〜T4のいずれか1つ以上はフッ素原子を有する炭素数2〜20のエステル基であり、また、T1、T2、T3及びT4は、互いに結合して環を形成していてもよい。] - T1及びT2が水素原子であり、T3が水素原子又はメチル基であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン共重合体。
- 前記のオレフィン共重合体を、キレート性配位子を有する周期表第5〜11族金属の遷移金属触媒の存在下に重合することを特徴とする、請求項1又は2に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
- 前記の遷移金属触媒が周期表第10族の金属触媒であることを特徴とする、請求項3に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
- 前記の遷移金属触媒がニッケル又はパラジウムの金属触媒であることを特徴とする、請求項4に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
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