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JP6776187B2 - 電子回路、発振器、量子ビット及び計算装置 - Google Patents
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JP6776187B2 - 電子回路、発振器、量子ビット及び計算装置 - Google Patents

電子回路、発振器、量子ビット及び計算装置 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、電子回路、発振器、量子ビット及び計算装置に関する。
ジョセフソン接合を有するループを含む電子回路を利用した非線形素子、及び、非線形素子のネットワークを利用した計算装置が提案されている。
特開2017−73106号公報
本発明の実施形態は、新規な電子回路、共振器、量子ビット及び計算装置を提供する。
本発明の実施形態によれば、第1電流経路と、第2電流経路と、第3電流経路と、を含む電子回路が提供される。前記第1電流経路は、第1ジョセフソン接合を含む。前記第2電流経路は、第2ジョセフソン接合を含む。前記第3電流経路は、複数の第3ジョセフソン接合を含む。前記第2電流経路の一端は、前記第1電流経路の一端と電気的に接続される。前記第2電流経路の他端は、前記第1電流経路の他端と電気的に接続される。前記第3電流経路の一端は、前記第1電流経路の前記一端及び前記第2電流経路の前記一端と電気的に接続される。前記第3電流経路の他端は、前記第1電流経路の前記他端及び前記第2電流経路の前記他端と電気的に接続される。
第1の実施形態に係る電子回路を例示する模式図である。 図2(a)及び図2(b)は、第2の実施形態に係る発振器を例示する模式図である。 図3(a)及び図3(b)は、第2の実施形態に係る別の発振器を例示する模式図である。 発振器の特性を例示するグラフ図である。 図5(a)及び図5(b)は、参考例の発振器を例示する模式図である。 第3の実施形態に係る計算装置の一部を例示する模式図である。 図7(a)及び図7(b)は、第4の実施形態に係る量子ビットを例示する模式図である。 図8(a)及び図8(b)は、参考例の量子ビットを例示する模式図である。 第5の実施形態に係る計算装置を例示する模式図である。
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電子回路を例示する模式図である。
図1は、第1の実施形態に係る電子回路100を回路図により模式的に表す。電子回路100は、基板上に設けられた、第1電流経路10と、第2電流経路20と、第3電流経路30と、を含む。
第1電流経路10は、少なくとも1つのジョセフソン接合(第1ジョセフソン接合J1)を含む。図1に示す例では、第1電流経路10が有するジョセフソン接合の数N1(1以上の整数)は、1である。例えば、第1電流経路10は、導電部11(超伝導体)、及び、導電部12(超伝導体)を含む。導電部11と導電部12とは第1ジョセフソン接合J1により互いに接合されている。ジョセフソン接合においては、例えば2つの超伝導体(例えば導電部11、12)の間に絶縁層が設けられる。
第2電流経路20は、少なくとも1つのジョセフソン接合(第2ジョセフソン接合J2)を含む。図1に示す例では、第2電流経路20が有するジョセフソン接合の数N2(1以上の整数)は、1である。例えば、第電流経路0は、導電部21(超伝導体)、及び、導電部22(超伝導体)を含む。導電部21と導電部22とは第2ジョセフソン接合J2により互いに接合されている。
第3電流経路30は、例えば、第1電流経路10及び第2電流経路と同一面(例えば平面)内にある。第3電流経路30は、例えば、第1電流経路10と、第2電流経路20と、の間に位置する。第3電流経路30は、少なくとも2つのジョセフソン接合(第3ジョセフソン接合J3)を含む。図1に示す例では、第3電流経路30が有するジョセフソン接合の数N3(2以上の整数)は、2である。例えば、第3電流経路30は、導電部31〜33(超伝導体)を含む。導電部31と導電部32との間に導電部33が設けられる。導電部31と導電部33とは第3ジョセフソン接合J3により互いに接合されている。導電部32と導電部33とは第3ジョセフソン接合J3により互いに接合されている。このように、第1〜第3電流経路のそれぞれにおいて、複数のジョセフソン接合が設けられる場合、複数のジョセフソン接合は直列に並べられる。
例えば、N3は、N1及びN2のそれぞれよりも大きい。すなわち、第3ジョセフソン接合J3の数は、第1ジョセフソン接合J1の数よりも大きく、第2ジョセフソン接合J2の数よりも大きい。但し電子回路100において、N3は、N1以下であってもよく、N2以下であってもよい。
例えば、N1はN2と等しい。すなわち、第1ジョセフソン接合J1の数は、第2ジョセフソン接合J2の数と等しい。但し電子回路100において、N1とN2は異なっていてもよい。
電子回路100は、ループ構造を有する。
図1に示すように、第2電流経路20の一端20aは、第1電流経路10の一端10aと電気的に接続される。一端10a及び一端20aは、同一点であってもよい。一端10aと一端20aとの間に別の導電部(超伝導体)が設けられても良い。
第2電流経路20の他端20bは、第1電流経路10の他端10bと電気的に接続される。他端10b及び他端20bは、同一点であってもよい。他端10bと他端20bとの間に別の導電部が設けられても良い。
このように、電子回路100は、第1電流経路10と第2電流経路20とを含む1つのループを含む。
第3電流経路30は、このループを2つに分割する。
第3電流経路30の一端30aは、第1電流経路10の一端10a及び第2電流経路20の一端20aと電気的に接続される。一端30aは、一端10a及び20aと同一点であってもよい。一端30aと一端10aとの間に別の導電部(超伝導体)が設けられても良い。一端30aと一端20aとの間に別の導電部(超伝導体)が設けられても良い。
第3電流経路30の他端30bは、第1電流経路10の他端10b及び第2電流経路20の他端20bと電気的に接続される。他端30bは、他端10b及び20bと同一点であってもよい。他端30bと他端10bとの間に別の導電部(超伝導体)が設けられても良い。他端30bと他端20bとの間に別の導電部(超伝導体)が設けられても良い。このように第1電流経路〜第3電流経路は、並列に接続される。これにより、電子回路100は、第1ループLP1及び第2ループLP2を含む。
第1ループLP1は、第1電流経路10と第3電流経路30とによって形成されるループである。第2ループLP2は、第2電流経路20と第3電流経路30とによって形成されるループである。第1ループLP1と第2ループLP2とは、第3電流経路30を共有している。
図1に示すように、第1方向D1における第3電流経路30の一部の位置は、第1方向D1における第1電流経路10の一部の位置と、第1方向D1における第2電流経路20の一部の位置と、の間である。ここで、第1方向D1は、例えば、第1電流経路10から第2電流経路20の一部に向かう方向である。
第1方向D1における第3ジョセフソン接合J3の位置は、第1方向D1における第1ジョセフソン接合J1の位置と、第1方向における第2ジョセフソン接合J2の位置と、の間である。ここで、第1方向D1は、例えば、第1ジョセフソン接合J1から第2ジョセフソン接合J2へ向かう方向である。
電子回路100の導電部(導電部11、12、21、22、31〜33)は、例えば、基板上に設けられた配線である。これらの配線は、例えばアルミニウム(Al)やニオブ(Nb)等を含み、冷却により超伝導体に転移する。ジョセフソン接合に設けられる絶縁層は、例えば、酸化アルミニウムを含む。
実施形態によれば、このような新規な電子回路100が提供される。電子回路100は、例えば、発振器や量子ビットに用いられる。
電子回路100を発振器に用いた場合について、以下説明する。
(第2の実施形態)
図2(a)及び図2(b)は、第2の実施形態に係る発振器を例示する模式図である。
図2(a)及び図2(b)は、第2の実施形態に係る発振器110、111の一部を回路図により模式的に表している。
図2(a)に示すように、第2の実施形態に係る発振器110は、電子回路100と、電磁波印加部40(第1電磁波印加部)と、導波路部51(第1導波路部)と、を含む。
発振器110は、ジョセフソン接合を有する超伝導非線形共振器である。発振器110は、上述したループ構造(第1ループLP1及びLP2)を有する。このようなループ構造においては、複数のジョセフソン接合による実効的なジョセフソンエネルギーをループ内の磁束によって制御することが可能である。発振器110(電子回路100)は、第1ループLP1及び第2ループLP2内の磁束の変化に応じて発振することができる。
電磁波印加部40は、電磁波を電子回路100に印加する。電磁波印加部40は、例えば、ループの発振モードを励起する外部電流が流れる導電部である。電磁波印加部40に高周波電流が流れることにより、変動磁界が発生する。これにより、電磁波印加部40は、ループ内の磁束を制御する磁束調整機構として機能する。
すなわち、電磁波印加部40は、第1電流経路10と第3電流経路30とを含む第1ループLP1内(第1電流経路10と第3電流経路30とによって囲まれた第1領域R1)に電磁波を印加する。これにより、電磁波印加部40は、第1領域R1内の磁束(第1磁束MF1)を変調する。
電磁波印加部40は、第2電流経路20と第3電流経路30とを含む第2ループLP2内(第2電流経路20と第3電流経路30とによって囲まれた第2領域R2)に電磁波を印加する。これにより、電磁波印加部40は、第2領域R2内の磁束(第2磁束MF2)を変調する。第1磁束MF1の変調及び第2磁束MF2の変調によって、電子回路100が発振する。
電磁波印加部40は、例えば、第2領域R2内の磁束のdc成分(時間的に変化しない直流成分)を、第1領域R1内の磁束のdc成分の0.8倍以上1.2倍以下とする。より好ましくは、第2領域R2内の磁束のdc成分は、第1領域R1内の磁束のdc成分と実質的に等しい(例えば0.9倍以上1.1倍以下である)。
図2(a)に示す例では、さらに磁場印加部41(第1磁場印加部)が設けられている。磁場印加部41は、例えば外部電流が流れる導電部である。磁場印加部41に直流電流が流れることにより、磁場印加部41は、第1ループLP1内のdc磁束及び第2ループLP2内のdc磁束(磁束のdc成分)を調整する。磁場印加部41は、電磁波印加部40と同一であってもよい。言い換えれば、電磁波印加部40を流れる電流によって、ループ内のdc磁束を調整してもよい。この場合、磁場印加部41を省略してもよい。以下の各発振器において、磁場印加部41は省略する。
例えば、第2ループLP2の形状は、第1ループLP1の形状と略同じである。例えば、第2ループLP2の形状は、第3電流経路30を対称軸として、第1ループLP1の形状と線対称である。例えば、第2領域R2の面積は、第1領域R1の面積の0.9倍以上1.1倍以下である。
導波路部51は、電子回路100と電気的に接続された導電部である。導波路部51は、第1電流経路10の一端10a、第2電流経路20の一端20a、及び、第3電流経路30の一端30aのそれぞれと電気的に接続される。例えば、導波路部51の第2方向D2に沿った長さL1は、電子回路100の第3方向D3に沿った長さL0よりも長い。第2方向D2は、例えば導波路部の伝送方向(例えば導波路部が延在する方向)である。第3方向D3は、例えば、第3電流経路30が延在する方向である。
第1電流経路10の他端10b、第2電流経路20の他端20b、及び、第3電流経路30の他端30bのそれぞれは、接地電位に接続されている。
図2(b)に表した発振器111は、導波路部52(第2導波路部)をさらに含む。導波路部52は、電子回路100と電気的に接続された導電部である。発振器111においては、第1電流経路10の他端10b、第2電流経路20の他端20b、及び、第3電流経路30の他端30bのそれぞれは、導波路部52と電気的に接続される。例えば、導波路部52の第2方向D2に沿った長さL2は、電子回路100第3方向D3に沿った長さL0よりも長い。上記以外については、発振器111は、図2(a)に示した発振器110と同様である。
導波路部51及び導波路部52のそれぞれの材料には、例えば、電子回路100の導電部と同様の材料が用いられる。導波路部51及び導波路部52のそれぞれの材料は、電子回路100の導電部の材料と異なっていてもよい。導波路部51及び導波路部52のそれぞれを介して、発振器110(電子回路100)の発振状態を読み出すことができる。
図3(a)及び図3(b)は、第2の実施形態に係る別の発振器を例示する模式図である。
図3(a)及び図3(b)は、第2の実施形態に係る発振器112、113の一部を回路図により模式的に表している。
図3(a)に表した発振器112においては、第3電流経路30におけるジョセフソン接合の数(N3)は、3である。
図3(b)に表した発振器113においては、第1電流経路10におけるジョセフソン接合の数(N1)は、2である。第2電流経路20におけるジョセフソン接合の数(N2)は、2である。第3電流経路30におけるジョセフソン接合の数(N3)は、4である。
上記以外については、発振器112及び発振器113のそれぞれは、図2(a)に示した発振器110と同様である。
図4は、発振器の特性を例示するグラフ図である。
図4の横軸は、K/2π(GHz:ギガヘルツ)を表す。Kは、カー係数であり、発振器の非線形性の大きさに対応する。図4の縦軸は、発振器内の平均光子数の最大値(nmax(個))を表す。nmaxは、発振器の発振パワーの最大値に対応する。
図4は、参考例の発振器190の特性、および、第2の実施形態に係る発振器(発振器110、112、113)の特性を表している。
図5(a)及び図5(b)は、参考例の発振器を例示する模式図である。
図5(a)及び図5(b)は、参考例に係る発振器190、191の一部を回路図により模式的に表している。
図5(a)に示すように、発振器190は、1つのループLP(dc SQUID構造)と、導波路部51Rと、電磁波印加部40Rと、を含む。ループLPは、1つのジョセフソン接合を含む電流経路10Rと、1つのジョセフソン接合を含む電流経路20Rと、によって形成されている。参考例の発振器190は、図2(a)に示した発振器110において、第3電流経路30が省略された構成に相当する。
図5(b)に示すように、発振器191は、発振器190に比べて、さらに導波路部52Rを含む。発振器191は、図2(b)に示した発振器111において、第3電流経路30が省略された構成に相当する。
本願発明者は、図4に示すように、参考例の発振器190においては、非線形性と発振パワーの最大値との間にトレードオフの関係があることを見出した。第2の実施形態に係る発振器(発振器110、112、113)によれば、非線形性に対して発振パワーを向上させることができる。これについて以下説明する。
まず、参考例の発振器190について説明する。以下では、発振器190について説明するが、発振器191についても同様である。
共振角周波数ωを決定する共振条件は次式で与えられる。
Figure 0006776187

ここで、
Figure 0006776187

は、共振角周波数ωに対応する波数(L、Cは、それぞれ、導波路部の単位長さ当たりのインダクタンスとキャパシタンス)、lは導波路部の長さ、
Figure 0006776187

は、還元量子磁束(Φは磁束量子)、
Figure 0006776187

はdc SQUIDの実効的な臨界電流(Iは、dc SQUIDの各ジョセフソン接合の臨界電流、Φは、dc SQUID内の磁束)である。
ハミルトニアンは次式で与えられる。
Figure 0006776187

ここで、φは導波路の磁束であり、次のように量子化される。
Figure 0006776187

ここで、
Figure 0006776187

は、発振器中の光子の生成消滅演算子であり、無次元量Aは、
Figure 0006776187

と定義される。
非線形性を表すカー係数の大きさKは次式で与えられる。
Figure 0006776187

一方、発振状態を平均光子数nのコヒーレント状態とするとき、dc SQUIDにおける電流の期待値Iは次式で与えられる。
Figure 0006776187

これがdc SQUIDの実効的な臨界電流よりも小さいという条件から、平均光子数の最大値が次式のように得られる。
Figure 0006776187

ここで、最後の等式は共振条件を用いて書き換えた。
以上から、非線形性Kと発振パワーの上限を決めるnmaxの間のトレードオフが明らかになる。つまり、Kを大きくするにはAcоsklを大きくする。しかし、nmaxは、Acоsklに反比例するため、Kを大きくするとnmaxが小さくなってしまう。すなわち、Kとnmaxとを同時に大きくすることは困難である。
次に、第2の実施形態に係る非線形発振器について説明する。既に述べた通り、第2の実施形態においては、ジョセフソン接合を有する電流経路(第3電流経路30、以下ではジョセフソン電流経路と呼ぶ)によって、参考例の発振器のdc SQUIDのループLPが2つに分割される。
以下では、発振器110について説明するが、発振器111、112、113についても同様である。
ジョセフソン電流経路が臨界電流I´のジョセフソン接合を2個有する場合を説明する。また、上と同様に、
Figure 0006776187

として、
Figure 0006776187

の場合を考える(Ieffは負の値である場合もある)。
このとき、共振角周波数ωを決定する共振条件は次式で与えられる。
Figure 0006776187

ハミルトニアンは次式で与えられる。
Figure 0006776187

ここで、φは導波路の磁束であり、次のように量子化される。
Figure 0006776187

ここで、
Figure 0006776187

は発振器中の光子の生成消滅演算子であり、無次元量Aは、
Figure 0006776187

と定義される。
非線形性を表すカー係数の大きさKは次式で与えられる。
Figure 0006776187

一方、発振状態を平均光子数nのコヒーレント状態とするとき、dc SQUIDにおける電流の期待値Iは次式で与えられる。
Figure 0006776187

これがジョセフソン電流経路で分割されたdc SQUIDの実効的な臨界電流Ieff´よりも小さいという条件から、平均光子数の最大値が次式のように得られる。
Figure 0006776187

ここで、
Figure 0006776187

より、
Figure 0006776187

以上から、KがAcоsklの2乗に比例、nmaxがAcоsklに反比例するという意味でのトレードオフは残るが、各比例定数
Figure 0006776187

及び、
Figure 0006776187

が大きくなるようにIeffとI´とを選ぶことで、Kとnmaxを同時に大きくできる。特に、Ieffを負の値とすることでこれが可能となる。
ここではジョセフソン電流経路が有するジョセフソン接合が2個の場合を述べたが、ジョセフソン電流経路が有するジョセフソン接合の数を増やしたり、dc SQUIDが有するジョセフソン接合の数を増やしたりした場合でも、同様に、Kとnmaxを同時に大きくできる。
図4に示した特性の計算について説明する。ここでは典型的な値として、ω/2π=10GHz、L=0.46nH/mm、C0=0.18pF/mmとする。このとき、図5(a)に示した非線形発振器190では、図4の曲線で示したように、Kを大きくするとnmaxが小さくなってしまうというトレードオフがある(図4の曲線はIeffを変えながらKとnmaxを計算して得られる)。
それに対して、図4からわかるように、発振器110、112及び113のそれぞれにおいては、このトレードオフ曲線の上の領域の値を得ることができる。
図4に示す発振器110(臨界電流がI´のジョセフソン接合を2個有する電流経路で、臨界電流がIのジョセフソン接合を2個有する通常のdc SQUIDを分割する構造)においては、
Figure 0006776187

Figure 0006776187

と設定すると、K/2π=32MHz、nmax=850を得ることができる。よって、従来構造に比べてKとnmaxを同時に大きくすることができる。
図4に示す発振器112(臨界電流がI´のジョセフソン接合を3個有する電流経路で、臨界電流がIのジョセフソン接合を2個有する通常のdc SQUIDを分割する構造)においては、
Figure 0006776187

Figure 0006776187

と設定すると、K/2π=12MHz、nmax=690を得ることができる。よって、この構造の場合も、参考例に比べてKとnmaxを同時に大きくすることができる。
図4に示す発振器113(臨界電流がI´のジョセフソン接合を4個有する電流経路で、臨界電流がIのジョセフソン接合を2個ずつ計4個有する拡張されたdc SQUIDを分割する構造)においては、
Figure 0006776187

Figure 0006776187

と設定するとK/2π=25MHz、nmax=1350を得ることができる。よって、この構造の場合も、参考例に比べてKとnmaxを同時に大きくすることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、非線形発振器のネットワークを利用する計算装置(量子計算機)に関する。
図6は、第3の実施形態に係る計算装置の一部を例示する模式図である。
図6は、第3の実施形態に係る計算装置200の一部を回路図により模式的に表している。計算装置200は、第2の実施形態に係る発振器を利用した量子計算機である。
図6に示すように、計算装置200は、第2の実施形態に係る発振器を複数含む。この例では、計算装置200は、複数の発振器110と、複数の結合共振器70(超伝導マイクロ波共振器)と、を含む。
複数の発振器110には、例えば、第1発振器110A、第2発振器110B及び第3発振器110Cが含まれる。複数の結合共振器70には、例えば、第1結合共振器70A及び第2結合共振器70Bが含まれる。
複数の結合共振器70のそれぞれは、導波路部71(第1結合導電部)と、導波路部72(第2結合導電部)と、第3ループLP3と、磁場印加部75(第2磁場印加部)と、を含む。第3ループLP3は、dc SQUID構造を有し、例えば、2つのジョセフソン接合(第4ジョセフソン接合J4)を含む。第3ループLP3のdc SQUID構造に用いられる材料は、前述したdc SQUID構造と同様である。
第3ループLP3は、導波路部71と導波路部72との間に設けられ、導波路部71及び導波路部72のそれぞれと、電気的に接続される。導波路部71及び導波路部72のそれぞれの材料は、例えば、導波路部51の材料と同様である。
第1発振器110Aと第2発振器110Bとは、結合共振器70(第1結合共振器70A)を介して、互いに結合する。第2発振器110Bと第3発振器110Cとは、結合共振器70(第2結合共振器70B)を介して、互いに結合する。
すなわち、第1結合共振器70Aの導波路部71は、例えば第1発振器110Aの導波路部51と容量性結合する。第1結合共振器70Aの導波路部72は、第2発振器110Bの導波路部52と容量性結合する。
第2結合共振器70Bの導波路部71は、例えば第2発振器110Bの導波路部51と容量性結合する。第2結合共振器70Bの導波路部72は、例えば第3発振器110Cの導波路部51と容量性結合する。
磁場印加部75は、第3ループLP3に電磁波を印加する。磁場印加部75には、dc SQUIDのモードを励起するための外部電流が流れる導電部である。磁場印加部75に直流電流が流れることにより、磁場印加部75は、dc SQUID内(第3ループLP3内)のdc磁束(第3磁束MF3)を調整(制御)することができる。
結合器(第1、2結合共振器)内の磁束を外部電流で調整することによって、複数の発振器同士の結合強度を調整し、量子計算が実行される。各発振器は、読み出し部を有し、発振器の状態が読み出し部を介して読み出される。例えば、読み出し部には、導波路部51と容量性結合した導体が用いられる。例えば、電子回路100の状態に応じた電磁波が、読み出し部を伝播し、読み出し部に接続された測定器により測定される。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、電子回路100を用いた量子ビットに関する。
図7(a)及び図7(b)は、第4の実施形態に係る量子ビットを例示する模式図である。
図7(a)及び図7(b)は、第4の実施形態に係る量子ビット120、121の一部を回路図により模式的に表している。
図7(a)に示すように量子ビット120には、電子回路100と、磁場印加部41と、電磁波印加部42(第2電磁波印加部)と、導電体部53と、が設けられる。図7(b)に示すように量子ビット121には、電子回路100と、磁場印加部41と、電磁波印加部42と、導電体部54と、導電体部55と、が設けられる。
電磁波印加部42、導電体部53〜55のそれぞれは、例えば、電子回路100の導電部と同様の材料が用いられた導体(超伝導体)である。電磁波印加部42、導電体部53〜55のそれぞれの材料は、電子回路100の導電部と異なっていてもよい。
図7(a)に示す例では、導電体部53は、第2方向D2に延びる第1部分61と、第4方向D4に延びる第2部分62と、を含む。第4方向は、第2方向D2と交差する方向である。第2部分62は、第1部分61と交差している。
第1部分61の一端61aは、第1電流経路10の一端10a、第2電流経路20の一端20a、及び、第3電流経路30の一端30aのそれぞれと電気的に接続される。第1電流経路10の他端10b、第2電流経路20の他端20b、及び、第3電流経路30の他端30bのそれぞれは、接地電位に接続されている。
第1部分61の他端61bは、例えば、キャパシタンス(C)を介して電磁波印加部42と容量性結合する。第2部分62の端部62aは、例えば、キャパシタンス(C)を介して接地電位と容量性結合する。電磁波印加部42は、キャパシタンス(C)及び導電体部53を介して、第1電流経路10の一端10a、第2電流経路20の一端20a、及び、第3電流経路30の一端30aの少なくともいずれかに電磁波を印加する。
図7(b)に示す例では、第1電流経路10の一端10a、第2電流経路20の一端20a、及び、第3電流経路30の一端30aは、それぞれ、導電体部54と電気的に接続される。第1電流経路10の一端10a、第2電流経路20の一端20a、及び、第3電流経路30の一端30aは、それぞれ、導電体部55と電気的に接続される。
導電体部55は、例えば、キャパシタンス(C)を介して導電部54と容量性結合する。導電体部54は、例えば、キャパシタンス(C)を介して電磁波印加部42と容量性結合する。電磁波印加部42は、キャパシタンス(C)及び導電体部54を介して、第1電流経路10の一端10a、第2電流経路20の一端20a、及び、第3電流経路30の一端30aの少なくともいずれかに電磁波を印加する。
本実施形態によれば、量子ビットにおいて、例えば、大きな非線形性が達成でき、より高速な操作が可能になる。この一例について以下説明する。
図8(a)及び図8(b)は、参考例の量子ビットを例示する模式図である。
図8(a)、図8(b)は、それぞれ、参考例に係る量子ビット192、193を表す(Nature 519, 66-69 (2015)、Nature Commun. 6, 6983 (2015))。
図8(a)に示した参考例の量子ビット192には、ループLP(dc SQUID構造)と、磁場印加部41Rと、電磁波印加部42Rと、導電体部53Rと、が設けられる。参考例の量子ビット192は、図7(a)に示した量子ビット120において、第3電流経路30が省略された構成に相当する。
図8(b)に示した参考例の量子ビット193には、ループLP(dc SQUID構造)と、磁場印加部41Rと、電磁波印加部42Rと、導電体部54Rと、導電体部55Rと、が設けられる。参考例の量子ビット193は、図7(b)に示した量子ビット121において、第3電流経路30が省略された構成に相当する。
例えば、参考例の量子ビットのハミルトニアンは次式で与えられる。
Figure 0006776187

ここで、Cは図8(a)又は図8(b)に示したキャパシタンス、Ieffは式(4)と同じく、dc SQUIDの実効的な臨界電流である。次式で定義される2つの周波数
Figure 0006776187

(hはプランク定数、eは素電荷)を用いて書き換えると、次のようになる。
Figure 0006776187

このとき、
Figure 0006776187

Figure 0006776187

が成り立つ。非線形性はキャパシタンスCのみで決まる。典型的な値としては、ν=200MHzである。これが量子ビットの操作の速さを制限する。操作をより高速にするために非線形性を大きくするにはCgを小さくすればよいが、そうすると電荷揺らぎに起因する位相緩和(dephasing)が大きくなってしまうため、通常はこの程度の値にする。
次に、実施形態の量子ビットのハミルトニアンは、例えば次式で与えられる。
Figure 0006776187

ここで、dc SQUID内の磁束を磁束量子に設定する(Φ=Φ)。このとき、磁束揺らぎの影響が最も小さく、かつ、Ieff<0となる。このときのハミルトニアンは次のようになる。
Figure 0006776187

ハミルトニアンを
Figure 0006776187

を用いて書き換えると、
Figure 0006776187

νは上記と同じ200MHzとし、E01/hが典型的な値である約6GHzになるようにν’=4ν=4×20GHzとしたとき、E01−E12≒−2GHzとなる。この非線形性の大きさは参考例の場合の約10倍である。このように、実施形態に係る量子ビットによれば、同じキャパシタンスを用いても参考例の量子ビットに比べて、より大きな非線形性(基底状態と第1励起状態のエネルギー差E01と、第1励起状態と第2励起状態のエネルギー差E12と、の差の大きさ|E01−E12|)が達成できる。
(第5の実施形態)
図9は、第5の実施形態に係る計算装置を例示する模式図である。
図9に示すように、第5の実施形態に係る計算装置は、第4の実施形態に係る量子ビット120又は量子ビット121を含む。この例では、計算装置201は、複数の量子ビット120を含む。複数の量子ビット120は、互いに結合され、ネットワークを形成する。各量子ビット120は読み出し部を有し、量子ビット120の状態が読み出し部を介して読みだされる。例えば、読み出し部には、導体部53と容量性結合した導体が用いられる。
実施形態において、電気的に接続される状態は、複数の導体が直接接する状態の他に、複数の導体が他の導体を介して接続される場合を含む。
実施形態によれば、新規な電子回路、発振器、量子ビット及び計算装置が提供できる。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、第1〜第3電流経路、電磁波印加部及び結合共振器などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した電子回路、発振器、量子ビット及び結合共振器を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての電子回路、発振器、量子ビット及び結合共振器も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…第1電流経路、 10R…電流経路、 10a…一端、 10b…他端、 11、12…導電部、 20…第2電流経路、 20R…電流経路、 20a…一端、 20b…他端、 21、22…導電部、 30…第3電流経路、 30a…一端、 30b…他端、 31〜33…導電部、 40…電磁波印加部(第1電磁波印加部)、 40R…電磁波印加部、 41…磁場印加部(第1磁場印加部)、 41R…磁場印加部、 42…電磁波印加部(第2電磁波印加部)、 42R…電磁波印加部、 51…導波路部(第1導波路部)、 51R…導波路部、 52…導波路部(第2導波路部)、 52R…導波路部、 53…導電体部、 53R…導電体部、 54…導電体部、 54R…導電体部、 55…導電体部、 55R…導電体部、 70…結合共振器、 70A…第1結合共振器、 70B…第2結合共振器、 71…導波路部(第1結合導電部)、 72…導波路部(第2結合導電部)、 75…磁場印加部(第2磁場印加部)、 100…電子回路、 110…発振器、 110A…第1発振器、 110B…第2発振器、 110C…第3発振器、 111〜113、190、191…発振器、 200、201…計算装置、 C、C、C…キャパシタンス D1…第1方向、 D2…第2方向、 D3…第3方向、 D4…第4方向、 J1…第1ジョセフソン接合、 J2…第2ジョセフソン接合、 J3…第3ジョセフソン接合、 J4…第4ジョセフソン接合、 L0、L1、L2…長さ、 LP…ループ、 LP1…第1ループ、 LP2…第2ループ、 LP3…第3ループ、 MF1…第1磁束、 MF2…第2磁束、 MF3…第3磁束、 R1…第1領域、 R2…第2領域

Claims (15)

  1. 第1ジョセフソン接合を含む第1電流経路と、
    第2ジョセフソン接合を含む第2電流経路と、
    複数の第3ジョセフソン接合を含む第3電流経路と、
    第1電磁波印加部と、
    を備え、
    前記第2電流経路の一端は、前記第1電流経路の一端と電気的に接続され、
    前記第2電流経路の他端は、前記第1電流経路の他端と電気的に接続され、
    前記第3電流経路の一端は、前記第1電流経路の前記一端及び前記第2電流経路の前記一端と電気的に接続され、
    前記第3電流経路の他端は、前記第1電流経路の前記他端及び前記第2電流経路の前記他端と電気的に接続され、
    前記第1電流経路の一部から前記第2電流経路の一部に向かう第1方向における前記第3電流経路の一部の位置は、前記第1方向における前記第1電流経路の前記一部の位置と、前記第1方向における前記第2電流経路の前記一部の位置と、の間に位置し、
    前記第3ジョセフソン接合の数は、前記第1ジョセフソン接合の数よりも大きく、前記第2ジョセフソン接合の数よりも大きく、
    前記第1ジョセフソン接合の前記数は、前記第2ジョセフソン接合の前記数と等しく、
    前記第2電流経路と前記第3電流経路とによって囲まれた領域の面積は、前記第1電流経路と前記第3電流経路とによって囲まれた領域の面積の0.9倍以上1.1倍以下であり、
    前記第1電磁波印加部は、前記第1電流経路と前記第3電流経路とによって囲まれた第1領域、及び、前記第2電流経路と前記第3電流経路とによって囲まれた第2領域のそれぞれに電磁波を印加する、電子回路。
  2. 請求項に記載の電子回路を備え、
    前記第1電磁波印加部が前記第1領域内の第1磁束、及び、前記第2領域内の第2磁束のそれぞれを変調することにより、前記電子回路が発振する発振器。
  3. 前記第1電磁波印加部は、前記第2領域内の第2磁束の直流成分を、前記第1領域内の第1磁束の直流の0.8倍以上1.2倍以下とする請求項記載の発振器。
  4. 前記第2磁束の前記直流成分は、前記第1磁束の前記直流成分の0.9倍以上1.1倍以下である請求項記載の発振器。
  5. 前記第1領域及び前記第2領域に磁場を印加する第1磁場印加部をさらに備え、
    前記第1磁場印加部は、前記第1領域内の前記第1磁束、及び、前記第2領域内の前記第2磁束の少なくともいずれかを調整する請求項記載の発振器。
  6. 前記第1電流経路の前記一端、前記第2電流経路の前記一端及び前記第3電流経路の前記一端のそれぞれと電気的に接続された第1導波路部をさらに備えた請求項記載の発振器。
  7. 前記第1電流経路の前記他端、前記第2電流経路の前記他端及び前記第3電流経路の前記他端のそれぞれと電気的に接続された第2導波路部をさらに備えた請求項記載の発振器。
  8. 請求項のいずれか1つに記載の第1発振器と、
    請求項のいずれか1つに記載の第2発振器と、
    を備え、
    前記第2発振器は、前記第1発振器と結合された、計算装置。
  9. 第4ジョセフソン接合を含むループを含む結合共振器をさらに備え、
    前記第1発振器は、前記第2発振器と前記結合共振器を介して結合された請求項記載の計算装置。
  10. 前記結合共振器は、
    前記第1発振器と容量性結合した第1結合導電部と、
    前記第2発振器と容量性結合した第2結合導電部と、
    をさらに含み、
    前記ループは、前記第1結合導電部及び前記第2結合導電部のそれぞれと電気的に接続された請求項記載の計算装置。
  11. 前記結合共振器は、前記ループ内の第3磁束を変調する第2磁場印加部をさらに含む請求項または1に記載の計算装置。
  12. 請求項1記載の電子回路を備えた量子ビット。
  13. 前記第1電流経路と前記第3電流経路とによって囲まれた第1領域内の第1磁束、及び、前記第2電流経路と前記第3電流経路とによって囲まれた第2領域内の第2磁束の少なくともいずれかを調整する第1磁場印加部をさらに備えた請求項1記載の量子ビット。
  14. 前記第1電流経路の前記一端、前記第2電流経路の前記一端、及び、前記第3電流経路の前記一端の少なくともいずれかに電磁波を印加する第2電磁波印加部を備えた請求項1または1に記載の量子ビット。
  15. 請求項1〜1のいずれか1つに記載の量子ビットを複数備えた計算装置。
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