JP6776908B2 - 成形品の製造方法、及び成形品 - Google Patents
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Description
上記理由から,例えば、従来の自動車の外板の製品は、製品面に付与される歪量を金属板の板厚減少率10%未満となる加工量に制限して生産されている。すなわち肌荒れ発生を避けるため、加工条件に制約がある。しかしながら、より複雑な自動車の外板製品形状が要求されており,成形加工時の金属板の板厚減少率10%以上と肌荒れ抑制との両立できる方法が望まれている。
また、他の本発明の課題は、fcc構造を有し、二軸引張変形が生じた形状の金属板の成形品であって、成形品の最大板厚をD1とし、成形品の最小板厚をD2としたとき、式:10≦(D1−D2)/D1×100≦30の条件、又は成形品の最大硬度をH1とし、成形品の最小硬度をH2としたとき、式:15≦(H1−H2)/H1×100≦40の条件を満たした成形品であっても、肌荒れの発生が抑制され意匠性に優れた成形品を提供することである。
そこで、発明者らは、fcc構造を有する金属板においても、金属板の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の面積分率、及び、金属板の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の面積分率に着目した。その結果、発明者らは、これら結晶粒の面積分率によって、凹凸の発達を抑え、肌荒れの発生が抑制され意匠性に優れた成形品を得られることを見出した。
fcc構造を有し、金属板の表面において下記(a)又は(b)の条件を満たす金属板に対して、二軸引張変形が生じ、かつ前記金属板の少なくとも一部が板厚減少率10%以上30%以下となる成形加工を施し、成形品を製造する成形品の製造方法。
(a)前記金属板の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の面積分率が0.20以上0.35以下である。
(b)前記金属板の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の、面積分率が0.45以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
<2>
fcc構造を有し、金属板の表面において下記(A)又は(B)の条件を満たす金属板に対して、二軸引張変形が生じ、かつ前記金属板の少なくとも一部が板厚減少率10%以上30%以下となる成形加工を施し、成形品を製造する成形品の製造方法。
(A)前記金属板の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の面積分率が0.25以上0.55以下である。
(B)前記金属板の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の、面積分率が0.55以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
<3>
fcc構造を有し、二軸引張変形が生じた形状の金属板の成形品であって、
成形品の最大板厚をD1とし、成形品の最小板厚をD2としたとき、式:10≦(D1−D2)/D1×100≦30の条件を満たし、
かつ成形品の表面において下記(c)又は(d)の条件を満たす成形品。
(c)前記成形品の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の面積分率が0.20以上0.35以下である。
(d)前記成形品の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の、面積分率が0.45以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
<4>
fcc構造を有し、二軸引張変形が生じた形状の金属板の成形品であって、
成形品の最大板厚をD1とし、成形品の最小板厚をD2としたとき、式:10≦(D1−D2)/D1×100≦30の条件を満たし、
かつ成形品の表面において下記(C)又は(D)の条件を満たす成形品。
(C)前記成形品の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の面積分率が0.25以上0.55以下である。
(D)前記成形品の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の、面積分率が0.55以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
<5>
fcc構造を有し、二軸引張変形が生じた形状の金属板の成形品であって、
成形品の最大硬度をH1とし、成形品の最小硬度をH2としたとき、式:15≦(H1−H2)/H1×100≦40の条件を満たし、
かつ成形品の表面において下記(c)又は(d)の条件を満たす成形品。
(c)前記成形品の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の面積分率が0.20以上0.35以下である。
(d)前記成形品の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の、面積分率が0.45以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
<6>
fcc構造を有し、二軸引張変形が生じた形状の金属板の成形品であって、
成形品の最大硬度をH1とし、成形品の最小硬度をH2としたとき、式:15≦(H1−H2)/H1×100≦40の条件を満たし、
かつ成形品の表面において下記(C)又は(D)の条件を満たす成形品。
(C)前記成形品の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の面積分率が0.25以上0.55以下である。
(D)前記成形品の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の、面積分率が0.55以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
また、他の本発明によれば、fcc構造を有し、二軸引張変形が生じた形状の金属板の成形品であって、成形品の最大板厚をD1とし、成形品の最小板厚をD2としたとき、式:10≦(D1−D2)/D1×100≦30の条件、又は、成形品の最大硬度をH1とし、成形品の最小硬度をH2としたとき、式:15≦(H1−H2)/H1×100≦30の条件を満たした成形品であっても、肌荒れの発生が抑制され意匠性に優れた成形品を提供することができる。
発明者らは、成形加工する金属板の組織について種々検討を行った。
まず、発明者らは、bcc構造を持つ金属板の組織について種々検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
なお、図3B〜図5B中、31は{001}結晶粒3が存在する金属板の表面を示している。また、41は{001}近傍結晶粒4が存在する金属板の表面を示している。
一方で、{001}結晶粒3の面積分率が低すぎる場合、金属板の表面において、{001}近傍結晶粒4に局所変形が分散する。それにより{001}結晶粒3と共に{001}近傍結晶粒4でも局所変形が生じる。このため、浅い凹部が形成される領域が大きくなり、平坦部が比較的少なくなる(図4B参照)。
また、{001}結晶粒3の面積分率が高すぎる場合、金属板の表面において、{001}結晶粒3局所変形が生じ、浅い凹部が形成される領域が大きくなり、平坦部が少なくなる(図5B)。
具体的には、bcc構造を有する金属板の断面(例えば、図13〜図18)の結晶方位のすべり系をfcc構造を有する金属板のすべり系に変更し,金属板の表面の{001}結晶粒3の面積分率を変化させた。そのときの塑性ひずみによる金属板の表面荒れの影響を数値解析で調査した。
また、{001}結晶粒3の割合が低い場合、{001}結晶粒3の大きさが十分小さければ、加工中に生じる金属板の表面の凹凸が発達しても、金属板の表面に発達した凹凸は目立たず、成形品の外観上の美観を損ねる肌荒れとして認識され難くなる。
(a)前記金属板の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の面積分率が0.20以上0.35以下である。
(b)前記金属板の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の、面積分率が0.45以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
また、{111}結晶粒以外の結晶粒の割合が低い場合、{111}結晶粒以外の結晶粒の大きさが十分小さければ、加工中に生じる金属板の表面の凹凸が発達しても、金属板の表面に発達した凹凸は目立たず、成形品の外観上の美観を損ねる肌荒れとして認識され難くなる。
(A)前記金属板の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の面積分率が0.25以上0.55以下である。
(B)前記金属板の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の、面積分率が0.55以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
金属板には、二軸引張変形が生じる成形加工を施す。この成形加工としては、深絞り成形、張り出し成形、絞り張り出し成形、曲げ成形がある。具体的には、成形加工としては、例えば、図7Aに示すような、金属板10を張り出し成形加工する方法が挙げられる。この成形加工では、ダイス11と、ドロービード12Aが配されたホルダー12との間に金属板10の縁部を挟み込む。それにより、金属板10の縁部の表面にドロービード12Aに食い込ませて、金属板10を固定した状態とする。そして、この状態で、頂面が平坦のパンチ13を金属板10に押付けて、金属板10を張り出し成形加工する。ここで、図7Aに示す張り出し成形加工により得られる成形品の一例を図7Bに示す。
図7Aに示す張り出し成形加工では、例えば、パンチ10の頂面に位置する金属板10(成形品の天面)は、等二軸変形、又は比較的、等二軸変形に近い不等二軸引張変形が生じる。
図8Aに示す絞り張り出し成形加工では、例えば、パンチ10の頂面に位置する金属板10(成形品の天面)は、比較的、平面ひずみ変形に近い不等二軸引張変形が生じる。
・一軸引張変形: −0.5<β≦−0.1
・平面ひずみ引張変形: −0.1<β≦0.1
・不等二軸変形: 0.1<β≦0.8
・等二軸変形: 0.8<β≦1.0
[種類]
金属板は、fcc構造(体心立方格子構造)を有する金属板である。fcc構造を有する金属板としては、γ−Fe(オーステナイト系ステンレス鋼)、Al、Cu、Au、Pt、Pb等の金属板が挙げられる。
二軸引張変形が生じる成形加工を施す場合、fcc構造を有する金属板の表面において、金属板の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を有する結晶粒({001}結晶粒)は、次の(a)又は(b)を満たす。
(a){001}結晶粒の面積分率が0.20以上0.35以下である。
(b){001}結晶粒の、面積分率が0.45以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
ここで、金属板の表面にめっき層等が形成されている場合、めっき層等と接触している金属板の表面に該当する領域(線状の領域)について、{001}結晶粒3の面積分率を測定する。
二軸引張変形が生じる成形加工を施す場合、fcc構造を有する金属板の表面において、金属板の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を有する結晶粒({111}結晶粒)以外の結晶粒(つまり、金属板の表面に平行な{111}面から15°を超えた結晶方位を有する結晶粒)は、次の(A)又は(B)を満たす。
(A){111}結晶粒以外の結晶粒の面積分率が0.25以上0.55以下である。
(B){111}結晶粒以外の結晶粒の、面積分率が0.55以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
一方、{111}結晶粒以外の結晶粒の面積分率は、測定対象となる結晶粒が異なる以外は、{001}結晶粒と同じ方法で測定される。
第一の本発明の成形品は、fcc構造を有し、二軸引張変形が生じた形状の金属板の成形品である。そして、第一の本発明の成形品は、成形品の最大板厚をD1とし、成形品の最小板厚をD2としたとき、式:10≦(D1−D2)/D1×100≦30の条件、又は、成形品の最大硬度をH1とし、成形品の最小硬度をH2としたとき、式:15≦(H1−H2)/H1×100≦40の条件を満たし、かつ成形品の表面において下記(c)又は(d)の条件を満たす。
(c)成形品の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒({001}結晶粒)の面積分率が0.20以上0.35以下である。
(d)成形品の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒({001}結晶粒)の、面積分率が0.45以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
(C)成形品の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒({111}結晶粒)以外の結晶粒の面積分率が0.25以上0.55以下である。
(D)成形品の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒({111}結晶粒)以外の結晶粒の、面積分率が0.55以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
成形品に、二軸引張変形が生じる成形加工が施されていることを確認する方法は次の通りである。
成形品の3次元形状を測定し、数値解析用のメッシュを作製し、コンピュータによる逆解析によって、板材から3次元形状へ至るまでの過程を導出する。そして、前記各メッシュにおける最大主ひずみと最小主ひずみとの比(前記β)を算出する。この算出により、二軸引張変形が生じる成形加工が施されていることを確認することができる。
例えば、Comet L3D(東京貿易テクノシステム(株))等の三次元計測機により、成形品の三次元形状を測定する。得られた測定データを基に,成形品のメッシュ形状データを得る。次に、得られたメッシュ形状データを用いて、ワンステップ法(加工硬化算出ツール「HYCRASH(株式会社JSOL)」等)の数値解析により、成形品の形状を元にそれを一度平坦な板に展開する。そのときの成形品の伸び、曲げ状態などの形状情報から成形品の板厚変化、残留ひずみなどを計算する。この計算によっても、二軸引張変形が生じる成形加工が施されていることを確認することができる。
つまり、成形品の最大板厚D1は成形加工前の金属板の板厚と見なすことができ、成形品の最小板厚D2は成形加工後で最も板厚減少率が大きい部位の金属板(成形品)の板厚と見なすことができる。
つまり、成形品の最大硬度H1となる部位は成形加工後で最も板厚減少率が大きい部位の金属板(成形品)の硬度と見なすことができ、成形品の最小硬度H2は成形加工前の金属板の硬度と見なすことができる。
そして、上記(c)又は(d)で示される条件は、第一の本発明の成形品の製造方法で説明した上記(a)又は(b)で示される条件と、成形加工前の金属板に代えて、成形品の表面における{001}結晶粒の面積分率及び平均結晶粒径を条件としている以外は同義である。
同様に、上記(C)又は(D)で示される条件は、第二の本発明の成形品の製造方法で説明した上記(A)又は(B)で示される条件と、成形加工前の金属板に代えて、成形品の表面における{111}結晶粒以外の結晶粒の面積分率及び平均結晶粒径を条件としている以外は同義である。
[成形品の成形]
次に、表2に示す特性を持つ鋼板(bcc構造を有する鋼板)に対して、次に張り出し加工を施し、図11に示すように、成形品20の天板部20Aの直径R=150mm、成形品20の高さH=18mm、成形品20の縦壁部20Bの角度θ=90℃の皿状の成形品No.1〜5、8、10を成形した。また、成形品20の高さH=15mmとした以外は、成形品No.1〜5、8、10と同様にして、成形品No.6〜7、9を成形した。
なお、この成形は、天板部20Aとなる鋼板の板厚減少率(図11中、天板部20Aの評価部A(天板部20Aの中心部)の板厚減少率)が表2に示す板厚減少率となる加工量で実施した。
得られた各鋼板、及び各成形品に対して、次の測定試験及び目視評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
鋼板に対して、{001}結晶粒の平均結晶粒径の測定試験を実施した。測定試験には、EBSD法を用いた。図12は、鋼板を上部から観察した模式図である。図12を参照して、鋼板の幅方向における、端から1/4より中心部において、1mm四方の測定領域4を任意に3箇所選んだ。それぞれの測定領域4において、鋼板の表面での、鋼板表面と平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒({001}結晶粒3)を選択した。
鋼板に対して、{001}結晶粒の面積分率の測定試験を実施した。上述のとおり、鋼板から測定領域4を選び、EBSD法を用いて、{001}結晶粒3を選択した。各視野において、{001}結晶粒3の面積分率を算出し、その平均値を求めた。なお、成形品の{001}結晶粒3の面積分率も、鋼板の{001}結晶粒3の面積分率と同様の値となる。
成形品に対して、板厚の測定試験を行った。具体的には、成形品のコンピュータによる成形シミュレーションを実施し、板厚が最大及び最小となる部位を特定した。その後、成形品の板厚測定を板厚が最大及び最小となる部位それぞれにおいて、板厚ゲージを使用し、測定した。これにより、最大板厚D1、最小板厚D2を求めた。ただし、最大板厚D1は、成形品(成形品全体)の最大板厚を求め、最小板厚D2は、成形品の評価部の最小板厚を求めた。
成形品に対して、硬度の測定試験を行った。具体的には、成形品のコンピュータによる成形シミュレーションを実施し、相当塑性ひずみが最大及び最小となる部位を特定した。その後、成形品の硬度測定を板厚が最大及び最小となる部位それぞれにおいて、JIS規格(JIS Z 2244)に従い、測定した。これにより、最大硬度H1、最小硬度H2を求めた。ただし、最大硬度H1は、成形品(成形品全体)の最大硬度を求め、最小硬度H2は、成形品の評価部の最小硬度を求めた。
成形品に対して、成形品表面の凹凸高さの測定試験を行った。具体的には、成形品の評価部を切出し、接触式の粗さ計で、長手方位の凹凸を計測した。結晶方位を確認するために凹凸が最も顕著な部分を、クロスセクションポリッシャ(Cross section polisher)加工を用いて切断し、表層の結晶方位と凹凸の関係を分析した。
本来、化成処理後電着塗装を行うが、簡易的評価手法として、ラッカースプレーを均一に成形品の表面を塗装したのち、目視にて観察し、下記基準に従って、肌荒れの発生度合と評価面の鮮鋭度について調べた。
さらに、表面性状の優劣を示す他のパラメータとして、算術平均うねりWaの値をKeyence社製レーザーマイクロスコープにより測定した。測定条件は,評価長さを1.25mm,カットオフ波長λcを0.25mmとした。そして、カットオフ波長λcよりも長波長側のプロファイルを評価した。
評価基準は、以下の通りである。
A(◎): 成形品の天板部の評価部表面に目視で模様が確認されず、表面に艶があるもの(Wa≦0.5μm)。自動車外板部品としてより望ましく、高級車の外板部品としても利用できる。
B(○): 成形品の天板部の評価部表面に目視で模様が確認されないが、表面の艶が消えているもの(0.5μm<Wa≦1.0μm)。自動車部品として利用できる。
C(△): 成形品の天板部の評価部表面に目視で模様が確認されるが、表面に艶があるもの(1.0μm<Wa≦1.5μm)。自動車の外板部品として利用できない。
D(×): 成形品の天板部の評価部表面に目視で模様が確認され、表面に艶がないもの(1.5μm<Wa)。自動車の部品として利用できない。
ここで、参考例対応の成形品No.2、3、比較参考例対応の成形品No.1の断面ミクロ組織と表面凹凸を示す模式図を、図13〜図15に示す。図13〜図15は、成形品の断面を、EBSD法によって解析した模式図である。なお、図13〜図15中、NDは板厚方向を示し、TDは板幅方向を示す。
この図13〜図15の比較から、比較参考例対応の成形品No.1に比べ、参考例対応の成形品No.2、3は、成形品の表面の凹凸高さが低く、肌荒れが抑制され意匠性に優れることがわかる。ただし、図13と図14との比較から、成形品No.2に比べ、成形品No.3は、成形品の表面の凹凸高さが高いが、肌荒れが抑制され意匠性に優れることがわかる。これは、成形品の表面の凹凸が高くても、又は同等でも、凹部が深く微細であれば、肌荒れとして認識され難くなることもあるためである(成形品No.6と成形品No.7との比較も参照)。
参考例対応の成形品No.7と比較参考例対応の成形品No.9との比較から、{001}結晶粒の面積分率が0.20未満と低くても、{001}結晶粒の平均結晶粒径が15μm未満であれば、肌荒れが抑制され意匠性に優れることがわかる。
参考例対応の成形品No.10から、{001}結晶粒の面積分率が0.45と高くても、{001}結晶粒の平均結晶粒径が15μm未満であれば、肌荒れが抑制され意匠性に優れることがわかる。
[成形品の成形]
次に、表4に示す特性を持つ鋼板(bcc構造を有する鋼板)に対して、張り出し加工を施した。それにより、図11に示すように、成形品20の天板部20Aの直径R=150mm、成形品20の高さH=18mm、成形品20の縦壁部20Bの角度θ=90℃の皿状の成形品No.101〜105、108を成形した。また、成形品20の高さH=15mmとした以外は、成形品No.101〜105、108と同様にして、成形品No.106〜107、109、125を成形した。
なお、この成形は、天板部20Aとなる鋼板の板厚減少率(図11中、天板部20Aの評価部A(天板部20Aの中心部)の板厚減少率)が表4に示す板厚減少率となる加工量で実施した。
使用した各鋼板、及び得られた各成形品に対して、1){111}結晶粒以外の結晶粒の平均結晶粒径及び面積分率、2)板厚の測定試験、3)硬度の測定試験、4)凹凸高さ測定試験、5)目視評価を、第一の参考例に準じて行った。結果を表4及び表5に示す。
ここで、参考例対応の成形品No.102、103、比較参考例対応の成形品No.101の断面ミクロ組織と表面凹凸を示す模式図を、図16〜図18に示す。図16〜図18は、成形品の断面を、EBSD法によって解析した模式図である。なお、図16〜図18中、NDは板厚方向を示し、TDは板幅方向を示す。
この図16〜図18の比較から、比較参考例対応の成形品No.101に比べ、参考例対応の成形品No.102、103は、成形品の表面の凹凸高さが低く、肌荒れが抑制され意匠性に優れることがわかる。ただし、図16と図17との比較から、成形品No.102に比べ、成形品No.103は、成形品の表面の凹凸高さが高いが、肌荒れが抑制され意匠性に優れることがわかる。これは、成形品の表面の凹凸が高くても、又は同等でも、凹部が深く微細であれば、肌荒れとして認識され難くなることもあるためである(成形品No.106と成形品No.107との比較も参照)。
そして、上記結果より、bcc構造を有する鋼板を成形加工した、参考例対応の成形品では、二軸変形場において、成形品の肌荒れが抑制されていることがわかる。
[成形品の成形シミュレーション]
参考例において使用したbcc構造を有する金属板の断面(例えば、図13〜図18)を用いて、fcc構造を有する金属板の断面の結晶粒をモデリングした。そして、fcc構造を有する金属板の断面の結晶粒の粒径を変化させると共に、{001}結晶粒又は{111}結晶粒以外の結晶粒の平均面積分率を変化させて、表6〜表7に示す特性を持つ仮想材をモデリングした。
次に、モデリングした仮想材に対して、張り出し加工による図11に示す成形品20の成形に相当する成形シミュレーションを実施した。つまり、モデリングした仮想材に対して、成形品の天板部20Aとなる仮想材の板厚減少率(図11中、天板部20Aの評価部A(天板部20Aの中心部)の板厚減少率)に相当する「相当塑性ひずみ」を付与する成形シミュレーションを実施した。
具体的には、まず、仮想材に表6〜表7に示す「相当塑性ひずみ」となる変位を付与するため、図8Bに示すモデル形状のプレス成形シミュレーション(以下、プレス成形シミュレーションという)を有限要素解析法で実施した。それにより、プレス成形シミュレーション実施後の仮想材における、「最大板厚D1(成形品の最大板厚D1に相当)」、「最小板厚D2(成形品の最小板厚D2に相当)」、最大硬度H1(成形品の最大硬度H1に相当)、及び「最小硬度H2(成形品の最小硬度H2に相当)」を算出した。
そして、このプレス成形シミュレーションに相当する仮想材の成形シミュレーションとして、仮想材の断面の左右、手前、及び奥行き方向に、表6〜表7に示す「相当塑性ひずみ」となる変位を付与し,2軸引張変形させる成形シミュレーション(以下、成形シミュレーションという)を結晶塑性有限要素解析法で実施した。
最大板厚D1は、プレス成形品の板面内で板厚が最大となる場所での板厚である。
最小板厚D2は、プレス成形品の板面内で板厚が最小となる場所での板厚である。
最大硬度H1は、成形前の硬度を仮想材の平均降伏強度YP1(MPa)から下記式により計算した。
・式:最大硬度H1=YP1(MPa)/3
最小硬度H2は、成形後(加工硬化後)の硬度を前記仮想材の平均降伏強度YP2(MPa)から下記式により計算した。
・式:最大硬度H2=YP2(MPa)/3
また、成形後(加工硬化後)の硬度を仮想材の平均降伏強度YP2(MPa)は、6000系アルミ合金板の機械特性を入力した前記プレス成形シミュレーションにより前記プレス成形品の板面内で板厚が最小となる場所での相当応力値を用いて算出した.
前記成形シミュレーション実施後の仮想材について、次の方法により、表面の凹凸高さを算出した。前記成形シミュレーション実施後の仮想材の表面プロファイルを仮想材の断面曲線とし,前記断面曲線の最大値と最小値から算出した.
前記成形シミュレーション実施後の仮想材の表面性状について、仮想材の断面曲線を得た後、断面曲線の算術平均高さPaを算出した。そして、下記評価基準で評価した。
断面曲線の算術平均高さPaは、JIS B0601(2001)に規定された算術平均高さである。測定条件は、次の通りである。
・評価長さ:1mm
・基準長さ:1mm
A(◎):Pa≦0.5μm(自動車外板部品としてより望ましく、高級車の外板部品としても利用できる。)
B(○):0.5μm<Pa≦1.0μm(自動車部品として利用できる。)
C(△):1.0μm<Pa≦1.5μm(自動車の外板部品として利用できない。)
D(×):1.5μm<Pa(自動車の部品として利用できない。)
ここで、図19に、No.A1〜A10(図19中、丸を付した1〜10の番号で示す)の成形シミュレーション後の仮想材について、Pa評価の結果と、{001}結晶粒の平均結晶粒径及び結晶粒径との関係を示す。
上記のように、fcc構造を有する仮想材を、二軸変形が生じる成形シミュレーションを実施した結果、bcc構造を有する鋼板と同様に、fcc構造を有する金属板でも、{001}結晶粒の粒径及び面積分率、又は{111}結晶粒の粒径及び面積分率を制御することで、二軸変形が生じる成形加工を施しても、成形品の肌荒れが抑制されていることがわかる。
4 {001}近傍結晶粒
Claims (6)
- fcc構造を有し、金属板の表面において下記(a)又は(b)の条件を満たす金属板に対して、二軸引張変形が生じ、かつ前記金属板の少なくとも一部が板厚減少率10%以上30%以下となる成形加工を施し、成形品を製造する成形品の製造方法。
(a)前記金属板の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の面積分率が0.20以上0.35以下である。
(b)前記金属板の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の、面積分率が0.45以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。 - fcc構造を有し、金属板の表面において下記(A)又は(B)の条件を満たす金属板に対して、二軸引張変形が生じ、かつ前記金属板の少なくとも一部が板厚減少率10%以上30%以下となる成形加工を施し、成形品を製造する成形品の製造方法。
(A)前記金属板の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の面積分率が0.25以上0.55以下である。
(B)前記金属板の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の、面積分率が0.55以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。 - fcc構造を有し、二軸引張変形が生じた形状の金属板の成形品であって、
成形品の最大板厚をD1とし、成形品の最小板厚をD2としたとき、式:10≦(D1−D2)/D1×100≦30の条件を満たし、
かつ成形品の表面において下記(c)又は(d)の条件を満たす成形品。
(c)前記成形品の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の面積分率が0.20以上0.35以下である。
(d)前記成形品の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の、面積分率が0.45以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。 - fcc構造を有し、二軸引張変形が生じた形状の金属板の成形品であって、
成形品の最大板厚をD1とし、成形品の最小板厚をD2としたとき、式:10≦(D1−D2)/D1×100≦30の条件を満たし、
かつ成形品の表面において下記(C)又は(D)の条件を満たす成形品。
(C)前記成形品の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の面積分率が0.25以上0.55以下である。
(D)前記成形品の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の、面積分率が0.55以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。 - fcc構造を有し、二軸引張変形が生じた形状の金属板の成形品であって、
成形品の最大硬度をH1とし、成形品の最小硬度をH2としたとき、式:15≦(H1−H2)/H1×100≦40の条件を満たし、
かつ成形品の表面において下記(c)又は(d)の条件を満たす成形品。
(c)前記成形品の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の面積分率が0.20以上0.35以下である。
(d)前記成形品の表面に平行な{001}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒の、面積分率が0.45以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。 - fcc構造を有し、二軸引張変形が生じた形状の金属板の成形品であって、
成形品の最大硬度をH1とし、成形品の最小硬度をH2としたとき、式:15≦(H1−H2)/H1×100≦40の条件を満たし、
かつ成形品の表面において下記(C)又は(D)の条件を満たす成形品。
(C)前記成形品の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の面積分率が0.25以上0.55以下である。
(D)前記成形品の表面に平行な{111}面から15°以内の結晶方位を持つ結晶粒以外の結晶粒の、面積分率が0.55以下、かつ平均結晶粒径が15μm以下である。
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