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JP6779524B2 - 封じ込め性能検査システム - Google Patents
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JP6779524B2 - 封じ込め性能検査システム - Google Patents

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Description

本発明は、人体や環境に影響を及ぼす高薬理活性医薬品などの物質が外部環境に漏洩することのないように、製造設備などの封じ込め性能を確認するための封じ込め性能検査システムに関するものである。なお、本システムは、クリーン環境内の浮遊物質の飛散状況をモニタリングする際にも使用することができる。
抗がん剤や免疫抑制剤のような高薬理活性医薬品などの製造・取扱い設備では、例えば、封じ込めアイソレーターなどの装置を使用して当該薬品が作業者や外部環境を汚染しないように管理することが必要である。通常、非無菌製剤などを取り扱う封じ込めアイソレーターにおいては、アイソレーター内を外部環境より陰圧にして管理することが行われる。しかし、陰圧管理においては、外部環境からの誘引物質でアイソレーター内が汚染される懸念がある。従って、無菌製剤用アイソレーターなどにおいては、陰圧管理を採用することが難しい。そして、厚生労働省の「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針(2011年改正版)」においては、アイソレーター内の差圧は設置室に対して最低17.5Pa程度の陽圧管理を求めている。
例えば、注射液剤などを凍結乾燥製剤とする操作においては、注射液剤を凍結乾燥用バイアルに充填する場合には、高度な無菌環境が要求され、アイソレーター内の陽圧管理は有効である。ところが、このような操作において注射液剤がこぼれ、またバイアルが破損した場合には、飛散した注射液剤が飛沫(ミスト)となってアイソレーター内に広がると共に、陽圧状態のアイソレーター内から外部環境に漏洩するというリスクがある。一方、凍結乾燥後の粉末薬剤がバイアルの破損によって、陽圧状態のアイソレーター内から外部環境に漏洩するというリスクがある。
このように、高薬理活性医薬品などの製造・取扱い設備においては、アイソレーターなどの装置内を陽圧管理すると共に、封じ込め管理を徹底することが求められる。これらの背景から、アイソレーターなどの装置の封じ込め性能を予め評価することが重要となる。例えば、封じ込めアイソレーターの場合には、その封じ込め性能を予め検査することにより、事前に漏洩を確認して修復することができる。また、何処から漏洩が生じる可能性が高いのかを把握でき、その位置にサンプラーを設置するなどの事前対処が可能となる。
アイソレーターなどの装置の封じ込め性能を予め評価する際に、薬理活性の高い医薬品そのものを使用すると、皮膚への付着や吸引などによって作業者に悪影響が生じるおそれがある。このため、通常、安全性の高い代替物質を模擬汚染物質とし、この模擬汚染物質を使用することによって封じ込め性能を検査することが行われる。
例えば、下記非特許文献1は、微粒子可視化技術を用いたアイソレーターのリークリスクマネジメントに関するものである。これによると、人体に無害で、水に溶けやすく、安定性が良好なラクトース(乳糖)の粉体を模擬汚染物質として使用する。そして、ラクトースの飛散を生じさせ、空間中の光の膜(レーザーシート)にある粒子の散乱光をカメラで捉えることで、模擬汚染物質の飛散・漏洩の様子を観察する。しかし、下記非特許文献1においては、特定の位置の飛散状態は可視化することができるが、その為にはレーザー光源システム、撮像システム、画像処理システムなどの大掛かりな装置を必要とする。
なお、上記各システムを使用するだけでは可視化はできるが、模擬汚染物質を定量化することができない。なお、下記非特許文献1においても定量化する方法が説明されており、その為には、検査位置のサンプラーで補足したラクトースの量を高速液体クロマトグラフで分析して、位置と飛散量の関係を定量的に評価する。しかし、ラクトースを模擬汚染物質とした場合には、定量分析に高価で大がかりな装置が必要になり、短時間で評価が行えないという不都合があった。
これに対し、下記特許文献1においては、医薬品粉体の飛散状態評価方法及び当該方法に用いる飛散状態評価用模擬粉体が提案されている。この評価方法によると、中空や多孔質の粒子、又は金属酸化物微粒子などを核粒子として、その表面に蛍光発光物質を設けた模擬粉体を使用する。この模擬粉体を飛散させ、これを検査位置のサンプラーで補足して蛍光検出装置で蛍光発光量を直接測定する。この蛍光発光量を予め作成した検量線と対比して模擬粉体の空気中濃度を求めるというものである。
PDA Journal of GMP and Validation in Japan Vol.14,No.1,P.1−10(2012)
特許第5861863号公報
ところで、上記特許文献1の評価方法においては、模擬汚染物質の飛散・漏洩の様子を定量的な値でリアルタイムに求めることができる。しかし、上記特許文献1の評価方法では、核粒子の表面に蛍光発光物質を設けた特殊な模擬粉体を準備しなければならず、煩雑な製造作業を必要とする。また、検査後にアイソレーターなどの装置の内壁に付着した模擬粉体を完全に除去しなければならず、洗浄作業に労力を要するという問題があった。
そこで、本発明は、上記の諸問題に対処して、煩雑な製造作業を必要とせず検査後の装置からの除去が容易な模擬汚染物質を使用し、当該模擬汚染物質の飛散・漏洩の様子を定量的な値でリアルタイムに求めることができる封じ込め性能検査システムを提供することを目的とする。
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、鋭意研究の結果、模擬汚染物質として粉体ではなく液体のミストを採用し、このミストの中に所定濃度の蛍光発光物質を予め溶解しておくことにより、蛍光発光粒子の検知手段を用いて当該ミストを模擬汚染物質の粒子として検知できることを見出して本発明の完成に至った。
即ち、本発明に係る封じ込め性能検査システムは、請求項1の記載によれば、
作業室(12)の内部から外部環境への模擬汚染物質の漏洩を検知して、当該作業室の封じ込め性能を検査するための検査システム(20)であって、
前記作業室の内部に前記模擬汚染物質のミスト(22)を発生させるミスト発生手段(23)と、
前記外部環境において、前記模擬汚染物質の漏洩を確認する位置の検査空気を捕集する捕集手段(24)と、
前記捕集手段で捕集された検査空気に含まれる前記模擬汚染物質を検出する検出手段(25)とを有することを特徴とする。
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の封じ込め性能検査システムであって、
前記検出手段は、微粒子検出部と蛍光検出部とを有し、
前記微粒子検出部において、前記検査空気中の前記模擬汚染物質の総粒子濃度を検出すると共に、
前記蛍光検出部において、前記検査空気中の陽性粒子濃度を検出することにより、
前記総粒子濃度と陽性粒子濃度とから陽性粒子比率を算出して、前記模擬汚染物質の漏洩を確認することを特徴とする。
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項2に記載の封じ込め性能検査システムであって、
前記蛍光検出部は、レーザー励起蛍光法によって前記検査空気中の前記模擬汚染物質を検出することを特徴とする。
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項1〜3のいずれか1つに記載の封じ込め性能検査システムであって、
前記ミスト発生手段は、超音波霧化装置であることを特徴とする。
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項1〜4のいずれか1つに記載の封じ込め性能検査システムであって、
前記模擬汚染物質は、蛍光発光物質の水溶液であることを特徴とする。
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項5に記載の封じ込め性能検査システムであって、
前記蛍光発光物質の水溶液は、リボフラビン又はその誘導体を溶解した水溶液であることを特徴とする。
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項6に記載の封じ込め性能検査システムであって、
前記蛍光発光物質の水溶液は、リボフラビンリン酸エステルナトリウムの0.1質量%〜5.0質量%水溶液であることを特徴とする。
上記請求項1の構成によれば、本発明に係る封じ込め性能検査システムは、ミスト発生手段と捕集手段と検出手段とを有している。ミスト発生手段は、作業室の内部に模擬汚染物質のミストを発生させる。捕集手段は、外部環境において模擬汚染物質の漏洩を確認する位置の検査空気を捕集する。検出手段は、捕集手段で捕集された検査空気に含まれる模擬汚染物質を検出する。
これらのことにより、模擬汚染物質の飛散・漏洩の様子を定量的な値でリアルタイムに求めることができる。また、模擬汚染物質として液体のミストを使用することにより、煩雑な製造作業を必要としない。また、この模擬汚染物質は、検査後の装置からの除去が容易であって検査作業の労力を軽減できる。
また、上記請求項2の構成によれば、検出手段は、微粒子検出部と蛍光検出部とを有している。微粒子検出部においては、検査空気中の模擬汚染物質の総粒子濃度を瞬時に検出する。また、蛍光検出部においては、検査空気中の陽性粒子濃度を瞬時に検出する。更に、総粒子濃度と陽性粒子濃度とから陽性粒子比率を算出する。よって、上記請求項2の構成によれば、請求項1と同様の効果をより具体的に発揮することができる。
また、上記請求項3の構成によれば、蛍光検出部は、レーザー励起蛍光法によって検査空気中の模擬汚染物質を検出する。よって、上記請求項3の構成によれば、請求項2と同様の効果をより具体的に発揮することができる。
また、上記請求項4の構成によれば、ミスト発生手段は、超音波霧化装置である。よって、上記請求項4の構成によれば、請求項1〜3のいずれか1つと同様の効果をより具体的に発揮することができる。
また、上記請求項5の構成によれば、模擬汚染物質は、蛍光発光物質の水溶液である。よって、上記請求項5の構成によれば、請求項1〜4のいずれか1つと同様の効果をより具体的に発揮することができる。
また、上記請求項6の構成によれば、蛍光発光物質の水溶液は、リボフラビン又はその誘導体を溶解した水溶液である。よって、上記請求項6の構成によれば、請求項5と同様の効果をより具体的に発揮することができる。
また、上記請求項7の構成によれば、蛍光発光物質の水溶液は、リボフラビンリン酸エステルナトリウムの0.1質量%〜5.0質量%水溶液である。よって、上記請求項7の構成によれば、請求項6と同様の効果をより具体的に発揮することができる。
本発明の一実施形態により封じ込め性能を検査するアイソレーターの正面図及び左側面図である。 図1のアイソレーターにおけるサンプリングポイントを例示する正面図及び左側面図である。 図1のアイソレーターのチャンバー内部に模擬汚染物質を飛散させ、その封じ込め性能を検査する様子を示す概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本実施形態は、抗がん剤などの少量で人体に強い薬効作用を与える高薬理活性医薬品の製造施設や研究開発施設などで使用される封じ込めアイソレーターの封じ込め性能の検査に関するものである。なお、本発明は、高薬理活性医薬品の封じ込めに限らず、あらゆる汚染物質の飛散・漏洩を評価するために適用することができる。
図1は、本実施形態により封じ込め性能を検査するアイソレーター10の正面図A及び左側面図Bである。図1において、アイソレーター10は、床面上に載置される架台11と、この架台11の上に乗載される作業室(チャンバー)12と、このチャンバー12の上面の壁部に接合された制御部13とにより構成されている。
チャンバー12は、外部環境とは気密的に遮蔽されたステンレススチール製の箱体からなり、吸気用及び排気用のフィルタユニット14a、14b、14c、並びに、チャンバー12の内部の空気をフィルタユニットで濾過したのち外部に排気するためのブロワー15を備えている。また、チャンバー12の左側面の壁部に配設されたパスボックス16、及び、右側面の壁部に配設されたバグアウトポート17を備えている。
チャンバー12の正面の壁部には、開閉扉12aが設けられている。この開閉扉12aは、外部とチャンバー12の内部とを連通させる3つの円形のグローブポート12bを有する。これらのグローブポート12bには、それぞれ作業用グローブが気密的に装着されている。
本実施形態においては、このチャンバー12の封じ込め性能を検査する。なお、チャンバー12には、開閉扉12a、パスボックス16、バグアウトポート17など複数の箇所で、その封じ込め性能にリスクを有している。そこで、アイソレーター10を封じ込めアイソレーターとして使用する前に、これらの箇所を中心にして封じ込め性能を検査することが重要である。図2は、アイソレーター10におけるサンプリングポイントPを例示する正面図A及び左側面図Bである。なお、図2のサンプリングポイントは一例であって、これらに限定されることなく漏洩リスクを有する多くのポイントを検査する必要がある。
ここで、アイソレーター10のチャンバー12の封じ込め性能の検査について概要を説明する。図3は、チャンバー12の内部に模擬汚染物質を飛散させ、その封じ込め性能を検査する様子を示す概略図である。図3において、封じ込め性能検査システム20は、蛍光発光物質の水溶液(後述する)と、これを収容する容器21と、これらに超音波振動を与えてミストを発生させる超音波霧化装置23と、発生したミストを捕集する捕集器24と、捕集したミストを検出する検出装置25と、捕集器24と検出装置25との間を連通させる吸引配管25aとを備えている。
本実施形態においては、チャンバー12の内部で高薬理活性医薬品の飛沫(ミスト)又は紛体に替えて、模擬汚染物質のミスト22を発生させる。具体的には、模擬汚染物質は蛍光発光物質の水溶液であって、容器21に収容された水溶液に超音波霧化装置23による超音波振動を与えてミスト22を発生させる(図3参照)。
ここで、本実施形態で採用する蛍光発光物質の水溶液について説明する。上記特許文献1で採用した特殊な模擬粉体、或いは蛍光物質の粉体をそのまま模擬汚染物質として飛散させると、飛散粉体量が多く薬品コストが高くなるだけでなく、上述のように、アイソレーターの内壁に付着した粉体を完全に除去する洗浄作業に過大な労力を必要とする。
そこで、本実施形態においては、水溶性の蛍光物質を使用し、これを水で希釈した水溶液のミスト22を模擬汚染物質として採用する。なお、蛍光物質の水溶液のミスト22は、実際の高薬理活性医薬品(凍結乾燥前の液剤)が飛散した際のミスト22と飛散挙動が類似する。なお、本発明者らは、ミスト22が実際の高薬理活性医薬品(凍結乾燥後の粉剤)とも類似した飛散挙動を示すことを確認した。
ここで、本実施形態で採用する蛍光発光物質について説明する。本発明で使用する蛍光発光物質については、蛍光を発する物質であれば特に限定するものではない。なお、本実施形態においては、人体に安全で環境汚染性のない物質であって、水溶性であることが好ましい。蛍光発光物質が水溶性であることにより、他の溶媒を使用することなく容易に水溶液を調整できてミストにすることができる。そのことにより、飛散ミスト量に比べ実際の蛍光発光物質の飛散量が非常に少なくなり、薬品コストが低減できるだけでなく、アイソレーターの内壁に付着した蛍光発光物質を除去する洗浄作業が容易になる。
なお、人体に安全で環境汚染性がなく水溶性である蛍光発光物質としては、種々のものを採用することができる。なお、本実施形態においては、本技術領域において実績のあるリボフラビン(ビタミンB2)又はその誘導体を採用する。具体的には、リボフラビンリン酸エステルナトリウムを採用した。このリボフラビンリン酸エステルナトリウムの水に対する溶解性は50g/Lであり、十分な水溶解性を有している。
使用する蛍光発光物質の水溶液の濃度は、その蛍光発光物質の溶解度以下であることが必要である。また、実際に使用する超音波霧化装置と検出装置との組合せにおいて、その蛍光発光物質の存在を明確に検出できる濃度以上であれば、特に限定するものではない。なお、蛍光発光物質としてリボフラビンリン酸エステルナトリウムを使用する場合には、0.1質量%〜5.0質量%水溶液の範囲で使用することが好ましい(後述する)。リボフラビンリン酸エステルナトリウムの濃度が0.1質量%以上であれば、検出感度が良好であり、5.0質量%以下であればリボフラビンリン酸エステルナトリウムの溶解が容易となるからである。なお、本実施形態においては、リボフラビンリン酸エステルナトリウムの0.2%水溶液を使用した。
次に、蛍光発光物質の水溶液をミストとするミスト発生手段について説明する。図3において、蛍光発光物質の水溶液(リボフラビンリン酸エステルナトリウムの0.2%水溶液)を収容した容器21をミスト発生手段としての超音波霧化装置23の震動面に載置して、蛍光発光物質のミスト22を発生させる。なお、超音波霧化装置23の構造と性能については、特に限定するものではない。但し、蛍光発光物質の水溶液を模擬汚染物質として適正な液滴径を有するミストとすることが好ましい。模擬汚染物質として適正な液滴径とは、実際の高薬理活性医薬品のミスト(凍結乾燥前の液剤)又は紛体(凍結乾燥後の粉剤)と類似した飛散挙動を示すことをいう。そのために、模擬汚染物質のミスト22の比重と液滴径を考慮して超音波霧化装置23の周波数と出力を調整する。
蛍光発光物質の水溶液がミスト22となることにより、チャンバー12の内部全体に模擬汚染物質が空気中にミストとして飛散する。なお、チャンバー12の内部は、実際に封じ込めアイソレーターとしての使用時と同様に陽圧に管理されている。図3においては、図2に示したサンプリングポイントのうち、バグアウトポート17を対象として封じ込め性能を確認する。図3において、チャンバー12の右側面の壁部に配設されたバグアウトポート17が、外部環境側から捕集手段としての捕集器24によって被覆されている。また、捕集器24は、検出装置25と吸引配管25aによって連通している。
この状態において、バグアウトポート17周辺から模擬汚染物質のミスト22が漏洩した場合には、ミスト22は周辺空気と共に検査空気として捕集器24によって捕集される。捕集器24によって捕集された検査空気は、吸引配管25aを介して検出手段としての検出装置25に送られる。なお、検出装置25には、検査空気を吸引するポンプ(図示せず)が内蔵されている。
ここで、検出装置25について説明する。本実施形態においては、検出装置25として微生物迅速検査法(RMM)で使用される微生物迅速検査装置を利用することができる。この微生物迅速検査装置は、一般にパーティクルカウンタと浮遊菌カウンタとを備えている。これらのカウンタは、吸引配管から送られてくる検査空気の一定量をサンプルとして捕集口から吸引し、その中のパーティクル(微粒子)や浮遊菌(微生物微粒子)を光学系計測器などで検出するものである。特に近年、光学系計測器を利用した微生物迅速検査装置は、瞬時に微生物由来の微粒子を判別できる方法として、従来の培養法に比べ大幅に作業効率を図ることができるとされている。本実施形態においては、浮遊菌(微生物微粒子)を測定するわけではないが、蛍光発光するミストを検出するために微生物迅速検査装置を利用するものである。
本実施形態においては、検出装置25の微粒子検出部として、光散乱法による粒径選別を利用したパーティクルカウンタを採用した。このパーティクルカウンタは、検査空気中の微粒子の総数を瞬時に検出するものである。なお、本実施形態においては、パーティクルカウンタの検出した微粒子の総数を検査空気中の「総粒子濃度(個/L)」とする。
一方、検出装置25の蛍光検出部として、レーザー励起蛍光法による蛍光識別を利用した浮遊菌カウンタを採用した。レーザー励起蛍光法とは、検査空気中に浮遊する微粒子のうち微生物や細胞生存性と関係する微粒子が、紫外線に励起されて蛍光を発することを利用するものである。この浮遊菌カウンタは、検査空気中の蛍光発光微粒子の総数を瞬時に検出するものである。なお、本実施形態においては、浮遊菌カウンタの検出した蛍光発光微粒子の総数を検査空気中の「陽性粒子濃度(個/L)」とする。
次に、本実施形態においては、パーティクルカウンタが検出した総粒子濃度(個/L)と浮遊菌カウンタが検出した陽性粒子濃度(個/L)とから陽性粒子比率(%)を算出する。そして、この陽性粒子比率(%)がバックグラウンド(蛍光発光物質を含まない水のミスト)の陽性粒子比率(%)と明らかに識別ができるときに、検査空気中に模擬汚染物質が存在すると判断することができる。
ここで、検出装置25によるミスト22の検出と、検査空気中に漏洩した模擬汚染物質の存在を判断する基準について説明する。なお、ここでは模擬汚染物質としてリボフラビンリン酸エステルナトリウム水溶液のミストについて説明する。
まず、本発明者らは、濃度を変化させた数種類のリボフラビンリン酸エステルナトリウム水溶液(サンプル)、及び、蛍光発光物質を含まない水(比較サンプル)を準備した。次に、これらのサンプルに対して、図3において説明した容器21及び超音波霧化装置23を用いて、各サンプルのミスト22を発生させた。次に、発生したミスト22を含む空気を検査空気として捕集器24で捕集した。この捕集器24で捕集した検査空気は、吸引配管25aを介して検出装置25に供給し、蛍光発光物質の検出を行った。その結果、各サンプルに対する総粒子濃度(個/L)、陽性粒子濃度(個/L)、及び算出した陽性粒子比率(%)を得た。
その結果、蛍光発光物質の濃度の異なる各サンプルに対する陽性粒子比率(%)が、濃度に依存して変化することを確認した。また、蛍光発光物質の濃度が高い場合には、蛍光発光物質を含まない水(比較サンプル)に比べ明瞭な差異を確認した。その結果、検査空気の陽性粒子比率(%)から模擬汚染物質の漏洩を検出できることを確認した。
これらのことから、本発明者らは、模擬汚染物質としてリボフラビンリン酸エステルナトリウムを使用する場合には、0.1質量%〜5.0質量%水溶液の範囲で使用することが好ましいと判断した。なお、本実施形態においては、実際に使用する蛍光発光物質の種類及び超音波霧化装置と検出装置との組合せに対して、上述のような予備試験を行って使用する蛍光発光物質の濃度を確認することが好ましい。
以上のことから、本発明においては、煩雑な製造作業を必要とせず検査後の装置からの除去が容易な模擬汚染物質を使用し、当該模擬汚染物質の飛散・漏洩の様子を定量的な値でリアルタイムに求めることができる封じ込め性能検査システムを提供することができる。
なお、本発明の実施にあたり、上記実施形態に限らず、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)上記実施形態においては、蛍光発光物質としてリボフラビンリン酸エステルナトリウムを採用するが、これに限定するものではなく、リボフラビンそのものや他の水溶性の蛍光発光物質を使用するようにしてもよい。
(2)上記実施形態においては、封じ込めアイソレーターのチャンバーについて封じ込め性能を検査するものであるが、これに限定するものではなく、クリーンルームやRABS(アクセス制限バリアシステム)などの内部の各位置における汚染物質の飛散状況の把握(モニタリング)に本システムを使用するようにしてもよい。
10…アイソレーター、11…架台、
12…チャンバー、12a…開閉扉、12b…グローブポート、
13…制御部、14a、14b、14c…フィルタユニット、15…ブロワー、
16…パスボックス、17…バグアウトポート、
20…封じ込め性能検査システム、21…容器、22…ミスト、23…超音波霧化装置、24…捕集器、
25…検出装置、25a…吸引配管、
P…サンプリングポイント。

Claims (7)

  1. 作業室の内部から外部環境への模擬汚染物質の漏洩を検知して、当該作業室の封じ込め性能を検査するための検査システムであって、
    前記作業室の内部に前記模擬汚染物質のミストを発生させるミスト発生手段と、
    前記外部環境において、前記模擬汚染物質の漏洩を確認する位置の検査空気を捕集する捕集手段と、
    前記捕集手段で捕集された検査空気に含まれる前記模擬汚染物質を検出する検出手段とを有することを特徴とする封じ込め性能検査システム。
  2. 前記検出手段は、微粒子検出部と蛍光検出部とを有し、
    前記微粒子検出部において、前記検査空気中の前記模擬汚染物質の総粒子濃度を検出すると共に、
    前記蛍光検出部において、前記検査空気中の陽性粒子濃度を検出することにより、
    前記総粒子濃度と陽性粒子濃度とから陽性粒子比率を算出して、前記模擬汚染物質の漏洩を確認することを特徴とする請求項1に記載の封じ込め性能検査システム。
  3. 前記蛍光検出部は、レーザー励起蛍光法によって前記検査空気中の前記模擬汚染物質を検出することを特徴とする請求項2に記載の封じ込め性能検査システム。
  4. 前記ミスト発生手段は、超音波霧化装置であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の封じ込め性能検査システム。
  5. 前記模擬汚染物質は、蛍光発光物質の水溶液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の封じ込め性能検査システム。
  6. 前記蛍光発光物質の水溶液は、リボフラビン又はその誘導体を溶解した水溶液であることを特徴とする請求項5に記載の封じ込め性能検査システム。
  7. 前記蛍光発光物質の水溶液は、リボフラビンリン酸エステルナトリウムの0.1質量%〜5.0質量%水溶液であることを特徴とする請求項6に記載の封じ込め性能検査システム。
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