JP6783602B2 - 潤滑構造 - Google Patents
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車両の変速機構のための潤滑構造には、オイルが一時的に貯留される凹部としてのオイル貯留部が設けられ、凹部に溜まった貯留オイルにギヤなど回転体の一端が油没するように構成されたものがある。このような構成では、回転体の回転により貯留オイルが巻き上げられて、回転体の潤滑や冷却が行われるが、回転体の回転時に貯留オイルの攪拌抵抗が生ずることにより、エネルギー損失が発生し伝達効率の悪化を招来してしまう。
下面に排出孔が設けられることにより、オイル貯留部に溜まったオイルがオイルストレーナへと排出される。
これにより、オイル貯留部からフロート弁を介してオイルストレーナに排出されたオイルは、オイルフィルタで金属粉などの異物が除去された後にオイルポンプによって再び吸い上げられる。
空気が十分に充填されたフロート弁は、オイルに対して浮力を有する。
これにより、オイル貯留部に多量のオイルが存在する場合に、フロート弁が排出孔から離れ過ぎてしまうことを防止することが可能となる。
フランジ部が排出孔よりも径が大きい円盤状とされることで、排出孔の縁部とフランジ部の下面によって閉弁が確実に行われる。
これにより、オイル貯留部に貯留されたオイルに偏りが生じた場合であっても、いずれかのフロート弁を介してオイルがオイルストレーナに排出され易い。
実施の形態におけるオイル循環機構の構成について説明する。
図1は、車両100の内部に配置されたオイル循環機構及び関連する部分の構成の一例を示した図である。
変速機構1は油圧を用いて変速比の変化を行う。油圧は、オイル循環機構3によって供給される。
変速機構1の各部に与える油圧の制御は、ECU(Electronic Control Unit)などの制御ユニット4が行う。
オイル循環機構3は、オイルが貯留され変速機構1の下方に配置されているオイルパン5と、例えばトルクコンバータにおけるインペラ軸に連結されているポンプギヤを介してエンジン2からの動力に基づき駆動されてオイルパン5に集められたオイルを吸い上げるオイルポンプ6と、オイルを吸い上げる際にオイルに含まれる不純物を除去するためのオイルフィルタ7が内部に配設されたオイルストレーナ8を備えている。
バルブユニット9は、オイルポンプ6から吐出されたオイルを変速機構1に供給する際の元圧としてのライン圧を調圧するためのライン圧制御バルブ10と、ライン圧制御バルブ10から供給されるオイルを変速機構1の各部に供給するために配設された複数の油路を切り換えるための油路切替機構11を備えている。
制御ユニット4は、バルブユニット9を制御することにより、変速機構1の各部に与える油圧を制御する。
尚、図2には示していないが、オイル循環機構3は、変速機構1を構成する外壁の一部や内部に配置された壁なども含んで構成されていてもよい。
そこで、一つの対策としては、オイル貯留部13の内面形状を回転体12の外形に沿うように形成することが考えられる。例えば、出力軸19の軸方向から見たオイル貯留部13の断面形状は、回転体12の外形に沿った略円弧状とされている。
また、回転体12とオイル貯留部13のクリアランスを小さくすることも有効である。
オイル潤滑機構3の中で下方に位置するオイルパン5には、変速機1の各所から滴下してきたオイルが流れ込み貯留されている。尚、図中に梨地で示す部分は、オイルを示している。
オイルパン5内には、下端が油没した状態でオイルストレーナ8が配置されている。
濾過前室15に位置する濾過前のオイルはオイルポンプ6のポンプ動作によって生じる負圧によってオイルフィルタ7を通過して濾過後室16へ移動する。オイルはオイルフィルタ7を通過する際に金属粉などの不純物が除去されて濾過される。
オイルストレーナ8の上面には、図示しない油路を介してオイルポンプ6の吸入ポートに接続される流出口18が形成されている。
即ち、オイルパン5に貯留されたオイルは、オイルポンプ6のポンプ動作によって生じる負圧によって流入口17からオイルストレーナ8に流入した後、オイルフィルタ7を通過して濾過されて流出口18からオイルポンプ6へ向けて流出する。
オイルが供給される変速機1の各所には、ギヤなどの回転体12も含まれる。
図3には、回転体12の一例として、CVTにおけるセカンダリプーリ12Aが図示されている。
セカンダリプーリ12Aは、車輪を回転させるための出力軸19に取り付けられており、エンジン2に接続された入力軸に取り付けられた図示しないプライマリプーリの回転に従動して出力軸19の軸回り方向に回転する。
オイル貯留部13には、上方や側方から流入したオイルが貯留される。
排出孔20は、排出油路14に接続されている。排出油路14は、オイルストレーナ8の濾過前室15へと繋がっている。
オイルポンプ6のポンプ動作に応じて、オイル貯留部13に溜まったオイルは排出孔20から排出され、排出油路14を経由して濾過前室15へと流れ込む。
フロート弁21の構造について、一例を図4に示す。
フロート弁21は、挿入部22と、Oリング23と、蓋部24を備えている。
挿入部22の内壁に囲まれた空間は空室27とされている。
開放端25は、外周に沿って外縁部25aが形成され、内周に沿って内縁部25bが形成されている。
内縁部25bは外縁部25aよりも一段低くされている。
1本の規制凸部28の先端部28aと、反対方向に突出する1本の規制凸部28の先端部28aとの距離は、排出孔20の径よりも長くされている。
図示するように、挿入部22の内周部25bと蓋部24の円盤部29の間には空間が設けられ、該空間にはOリング23が配置される。従って、空室27は密閉され、フロート弁21の外部と空室27は遮断された状態となる。尚、図示は省略したが、挿入部22の内周と突出部29の外周には互いに噛み合う螺旋状の凹凸が形成されており、挿入部22に対して蓋部24を回し入れることにより挿入部22と蓋部24が螺合される。
規制凸部28とフランジ部29aは、請求項にいう規制部とされる。
フランジ部29aの下面と規制凸部28の上面の距離は、排出孔20の深さよりも長くされている。
間隙部31は、オイル貯留部13に貯留されたオイルが排出孔20を介して排出される際にオイルが通過する油路の一部とされる。
排出孔20に設置されたフロート弁21の動作について、図6乃至図8を参照して説明する。
図6は、オイル貯留部13にオイルが溜まっている状態を示している。この状態においては、空室27に空気が充填されていることによる浮力がフロート弁21に対して働くため、フロート弁21は上方へ移動する。
フロート弁21には挿入部22の下端(閉塞端26)に4本の規制凸部28が設けられているため、規制凸部28の上面がオイル貯留部13の下面に当接した状態でフロート弁21の上方への移動が規制される。
図7に示す状態においては、間隙部31が上方及び下方に開放されている。従って、オイル貯留部13に溜まったオイルが排出油路14へ排出される。従って、図6と同様に、オイル貯留部13と間隙部31と排出油路14を繋ぐ油路Rが形成されている。
図8に示す状態は、フロート弁21が下方へ移動し、蓋部24のフランジ部29aの下面がオイル貯留部13の内壁に当接した状態とされる。
この状態では、排出孔20がフロート弁21の円盤部29によって閉塞されるため、図6や図7に示した油路Rは形成されない。
従って、オイルポンプ6のポンプ動作によって排出油路14内の圧力が負圧となったとしても、オイル貯留部13のオイルが排出油路14内へ移動することがなく、空気がオイル貯留部13内から排出油路14へ移動することもない。従って、オイルポンプ6が空気を吸入してしまうことによる様々な弊害(騒音の発生や変速機1の各部の焼き付きや摩擦抵抗の増加による燃費性能の低下など)を防止することができる。
そして、オイルポンプ6のオイル吸い上げ量が大きく低下し、排出油路14内の負圧が軽減(或いは負圧が解消)された場合には、フランジ部29aの下面がオイル貯留部13の内壁に押しつけられる力も低下して車両100の振動等によるフロート弁21のガタつきが生じるため、仮に排出油路14内に空気が入り込んだとしても該空気が間隙部31を介してオイル貯留部13へと抜けやすくされる。これにより、再度オイルポンプ6の吸い上げ量が増加した際に排出油路14内に存在する空気が略存在しない状態にすることが可能なため、この点からもオイルポンプ6のポンプ動作による空気の吸い込みが起き難くされる。
一つのオイル貯留部13に対して複数の排出孔20及びフロート弁21が設けられた例を説明する。
図9に示す例では、オイル貯留部13の底面において、出力軸19の軸方向における両端に二つのフロート弁21が設けられている。
複数のフロート弁21が設けられていることにより、オイル貯留部13に溜まったオイルが排出される時間を短くすることができるため、撹拌抵抗の低減効果を高めることができる。
本構成によれば、オイル貯留部13に溜まったオイルが出力軸19の軸方向に偏ったとしても、オイル貯留部13に二つ設けられているフロート弁21の少なくとも何れか一方がオイルを排出孔20から排出する機能を果たすため、回転体12による撹拌抵抗を低減させることができる。
上述した例では、オイル貯留部13の中で最も低い位置に排出孔20及びフロート弁21が設けられる例を説明したが、オイル貯留部13の最も低い位置から所定以上の高さに設けられていてもよい。
これにより、オイル貯留部13に貯留されたオイルが全て排出される可能性が低くなり、少量のオイルが貯留された状態となりやすい。従って、回転体12が回転によって巻き上げるオイルが少なからずオイル貯留部13内に存在することになり、回転体12へのオイル供給が不足してしまうことを防止することができる。
具体的に、図13を参照して説明する。
排出孔20の径をD1とし、規制凸部28を除いた挿入部22の径をD2とすると、挿入部22の径方向における間隙部31の最大の幅D3は(D1−D2)とされる。
このとき、規制凸部28の長さD4をD3(=D1−D2)よりも長くすることにより、図13のようにフロート弁21の挿入部22が排出孔20内の一方に偏ったとしても規制凸部28の上面の少なくとも一部がオイル貯留部13の下面に当接される。
これにより、排出孔20内からフロート弁21が上方へ外れてしまうことが防止される。
同様に、フロート弁21のフランジ部29aの長さD5をD3よりも長くすることにより、フロート弁21が排出孔20内から脱落してしまうことを防止することができる。
排出孔20は、径の異なる孔が軸方向に連続して設けられた構成とされる。具体的には、径の小さな小径部20aに連続して径の大きな大径部20bが設けられている。小径部20aと大径部20bの中心軸(図14中に一点鎖線で示す)は一致している。
フロート弁21の挿入部22は、規制凸部28を除いた部分の径が小径部20aの径よりも小さくされている。また、1本の規制凸部28の先端部28aと、反対方向に突出する1本の規制凸部28の先端部28aとの距離は、排出孔20の大径部20bの径の長さと略同じとされている。
大径部20bの深さは、フロート弁21のフランジ部29aの下面がオイル貯留部13の内壁に当接した状態において規制凸部28が大径部20bの内部に位置するだけの深さが確保されている。
これにより、フランジ部29aの下面がオイル貯留部13の内壁に当接していない状態、即ち、オイル貯留部13と間隙部31と排出油路14を繋ぐ油路Rが形成されている状態において、フロート弁21の挿入部22の外周略360°において間隙部31が形成される。
従って、挿入部22の周囲360°をオイルが通過するため、効率よくオイルを排出できると共に、オイルの偏りが生じてもオイルをオイル貯留部13から排出油路14へ排出できる可能性を高めることができる。
例えば、オイルよりも軽い材質且つオイルに溶融しない材質を用いてフロート弁21を形成することにより、本明細書に記載した各種の効果を得ることが可能となる。
上述した各構成例において記載したように、潤滑構造としてのオイル循環機構3は、車両100の動力伝達機構(例えば変速機1)に用いられる潤滑構造であって、不純物を除去するためのオイルフィルタ7が内部に配設され、オイルポンプ6の吸入動作(ポンプ動作)に応じてオイルパン5からオイルポンプ6にオイルを供給するオイルストレーナ8と、回転体12(回転体12A)の少なくとも下部を覆い内部に貯留されたオイルをオイルストレーナ8に排出するための排出孔20が下面に設けられたオイル貯留部13と、オイルに対して浮力を有するフロート弁21と、を備え、フロート弁21は、オイル貯留部13内のオイル量に応じて排出孔20の開弁(図6,図7に示す状態)及び閉弁(図8に示す状態)を行う。
オイル貯留部13の下面に排出孔20が設けられることにより、オイル貯留部13に溜まったオイルがオイルストレーナ8へと排出される。
これにより、オイル貯留部13に溜まったオイル量が低下するため、オイル貯留部13に配置された回転体12が回転する際に生じる撹拌抵抗を低減することができる。
また、オイル量に応じて排出孔20の開弁と閉弁を行うフロート弁21が設けられ、更にオイル貯留部13のオイルがほとんどオイルストレーナ8に排出された際に排出孔20の閉弁を行うことにより、オイルストレーナ8に空気が供給されてしまうことを防止することができる。
オイル貯留部13からフロート弁21を介してオイルストレーナ8に排出されたオイルは、オイルフィルタ7で金属粉などの異物が除去された後にオイルポンプ6によって再び吸い上げられる。
これにより、オイルと共に異物がオイル循環機構3内を循環してしまうことによるオイル性能の低下してしまうことを防止できる。
空室27に空気が十分に充填されたフロート弁21は、オイルに対して浮力を有する。
また、オイルに対する浮力を得るためにフロート弁21の材料を選択する必要がないため、フロート弁21に用いる材料の選択幅を広げることができる。従って、安価な材料や成形容易な材料やオイルに溶けない材料の選択が容易となる。
これにより、オイル貯留部13に多量のオイルが存在する場合に、フロート弁21が排出孔20から脱落してしまうことや排出孔20から外れてしまうことを防止することが可能となる。
従って、オイル貯留部13に溜まったオイル量に応じて自動的に開弁と閉弁が行われるため、フロート弁21の開閉状態をコントロールするための制御機構が不要である。つまり、簡易な構造で実現することができる。
フランジ部の外径が排出孔よりも大きくされることで、排出孔20の縁部(オイル貯留部13の内壁)とフランジ部29aの下面によって閉弁が確実に行われる。
また、フランジ部29aの下方の挿入部22が排出孔20よりも径が小さい円柱形状とされることにより、排出孔20の内壁と挿入部22の外面の間に空間(空隙部31)が形成され、オイル貯留部13からオイルを排出するための排出経路Rを確保することができる。
そして、挿入部22の下端から径方向に延びる規制凸部28が設けられることで、フロート弁21が排出孔20から抜け切ってしまうことが防止される。
これにより、オイル貯留部13に貯留されたオイルに偏りが生じた場合であっても、いずれかのフロート弁21を介してオイルがオイルストレーナ8に排出され易い。また、オイル貯留部13に貯留されたオイルに大きな偏りが生じたとしても、オイルが排出されやすい。
従って、オイル貯留部13に配置された回転体12が回転する際に生じる撹拌抵抗の更なる低減を図ることができる。
特に、オイル貯留部13の下面の中央を挟んだ対角に設けられた排出孔20にそれぞれフロート弁21が配置される構成とした場合には、車両100の前後方向及び車幅方向の何れにオイルが偏った場合にもオイルの排出を効率的に行うことが可能となる。
これにより、撹拌抵抗の低減効果をより高めることができる。
Claims (6)
- 車両の動力伝達機構に用いられる潤滑構造であって、
不純物を除去するためのオイルフィルタが内部に配設され、オイルポンプの吸入動作に応じてオイルパンから前記オイルポンプにオイルを供給するオイルストレーナと、
回転体の少なくとも下部を覆い内部に貯留されたオイルを前記オイルストレーナに排出するための排出孔が下面に設けられたオイル貯留部と、
前記排出孔と前記オイルストレーナの内部空間とを接続する排出油路と、
オイルに対して浮力を有し、前記オイル貯留部内のオイル量に応じて前記排出孔を開閉するフロート弁と、を備え、
前記フロート弁は、
前記オイル貯留部内のオイル量が所定量未満である場合に前記排出孔を閉塞する
潤滑構造。 - 前記オイル貯留部内のオイルは、前記排出孔を介して前記オイルフィルタの上流側に排出される
請求項1に記載の潤滑構造。 - 前記フロート弁は、空気が充填された内部空間を有する
請求項1に記載の潤滑構造。 - 前記フロート弁は、前記排出孔に対する垂直方向の移動を規制する規制部を有する
請求項1に記載の潤滑構造。 - 前記フロート弁は、
前記排出孔よりも径が小さい円柱形状とされ少なくとも一部が前記排出孔に挿入される挿入部と、
前記フロート弁の下方への移動を規制する前記規制部として設けられ、前記挿入部の上部に設けられ外形が前記排出孔よりも大径とされたフランジ部と、
前記フロート弁の上方への移動を規制する前記規制部として設けられ、前記挿入部の下端から径方向に延びる複数の規制凸部とを備えた
請求項4に記載の潤滑構造。 - 一つのオイル貯留部に対して前記排出孔及び前記フロート弁が複数設けられた
請求項1に記載の潤滑構造。
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