以下では、図面を参照して本発明の一実施形態をより詳細に説明する。図面における各種要素の形態および寸法は、あくまでも例示にすぎず、実際の形態および寸法を反映するものではない。
本発明の一実施形態の特徴部分を説明するに先立って、光ビームの照射により複数の固化層を逐次形成する方法を利用して金型又は金型の構成要素として用いる三次元形状造形物を製造する態様に説明する。かかる方法としては、「粉末床溶融結合法」および「LMD(Laser Metal Deposition, レーザーメタルデポジション)法」が挙げられる。
[粉末床溶融結合法]
以下、粉末床溶融結合法について説明する。特に粉末床溶融結合法において三次元形状造形物の切削処理を付加的に行う光造形複合加工を例として挙げる。図11は、光造形複合加工のプロセス態様を模式的に示しており、図12および図13は、粉末床溶融結合法と切削処理とを実施できる光造形複合加工機の主たる構成および動作のフローチャートをそれぞれ示している。
光造形複合加工機1は、図12に示すように、粉末層形成手段2、光ビーム照射手段3および切削手段4を備えている。
粉末層形成手段2は、金属粉末または樹脂粉末などの粉末を所定厚みで敷くことによって粉末層を形成するための手段である。光ビーム照射手段3は、粉末層の所定箇所に光ビームLを照射するための手段である。切削手段4は、積層化した固化層の表面、すなわち、三次元形状造形物の表面を削るための手段である。
粉末層形成手段2は、図11に示すように、粉末テーブル25、スキージング・ブレード23、造形テーブル20および造形ベース部21を主に有して成る。粉末テーブル25は、外周が壁26で囲まれた粉末材料タンク28内にて上下に昇降できるテーブルである。スキージング・ブレード23は、粉末テーブル25上の粉末19を造形テーブル20上へと供して粉末層22を得るべく水平方向に移動できるブレードである。造形テーブル20は、外周が壁27で囲まれた造形タンク29内にて上下に昇降できるテーブルである。そして、造形ベース部21は、造形テーブル20上に配され、三次元形状造形物の土台となるものである。
光ビーム照射手段3は、図12に示すように、光ビーム発振器30およびガルバノミラー31を主に有して成る。光ビーム発振器30は、光ビームLを発する機器である。ガルバノミラー31は、発せられた光ビームLを粉末層22にスキャニングする手段、すなわち、光ビームLの走査手段である。
切削手段4は、図12に示すように、エンドミル40および駆動機構41を主に有して成る。エンドミル40は、積層化した固化層の表面、すなわち、三次元形状造形物の表面を削るための切削工具である。駆動機構41は、エンドミル40を所望の切削すべき箇所へと移動させる手段である。
光造形複合加工機1の動作について詳述する。光造形複合加工機1の動作は、図13のフローチャートに示すように、粉末層形成ステップ(S1)、固化層形成ステップ(S2)および切削ステップ(S3)から構成されている。粉末層形成ステップ(S1)は、粉末層22を形成するためのステップである。かかる粉末層形成ステップ(S1)では、まず造形テーブル20をΔt下げ(S11)、造形ベース部21の上面と造形タンク29の上端面とのレベル差がΔtとなるようにする。次いで、粉末テーブル25をΔt上げた後、図11(a)に示すようにスキージング・ブレード23を粉末材料タンク28から造形タンク29に向かって水平方向に移動させる。これによって、粉末テーブル25に配されていた粉末19を造形ベース部21上へと移送させることができ(S12)、粉末層22の形成が行われる(S13)。粉末層22を形成するための粉末材料としては、例えば「平均粒径5μm〜100μm程度の金属粉末」および「平均粒径30μm〜100μm程度のナイロン、ポリプロピレンまたはABS等の樹脂粉末」を挙げることができる。粉末層22が形成されたら、固化層形成ステップ(S2)へと移行する。固化層形成ステップ(S2)は、光ビーム照射によって固化層24を形成するステップである。かかる固化層形成ステップ(S2)においては、光ビーム発振器30から光ビームLを発し(S21)、ガルバノミラー31によって粉末層22上の所定箇所へと光ビームLをスキャニングする(S22)。これによって、粉末層22の所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させ、図11(b)に示すように固化層24を形成する(S23)。光ビームLとしては、炭酸ガスレーザ、Nd:YAGレーザ、ファイバレーザまたは紫外線などを用いてよい。
粉末層形成ステップ(S1)および固化層形成ステップ(S2)は、交互に繰り返して実施する。これにより、図11(c)に示すように複数の固化層24が積層化する。
積層化した固化層24が所定厚みに達すると(S24)、切削ステップ(S3)へと移行する。切削ステップ(S3)は、積層化した固化層24の表面、すなわち、三次元形状造形物の表面を削るためのステップである。エンドミル40(図11(c)および図12参照)を駆動させることによって切削ステップが開始される(S31)。例えば、エンドミル40が3mmの有効刃長さを有する場合、三次元形状造形物の高さ方向に沿って3mmの切削処理を行うことができるので、Δtが0.05mmであれば60層分の固化層24が積層した時点でエンドミル40を駆動させる。具体的には駆動機構41によってエンドミル40を移動させながら、積層化した固化層24の表面を切削処理に付すことになる(S32)。このような切削ステップ(S3)の最終では、所望の三次元形状造形物が得られているか否かを判断する(S33)。所望の三次元形状造形物が依然得られていない場合では、粉末層形成ステップ(S1)へと戻る。以降、粉末層形成ステップ(S1)〜切削ステップ(S3)を繰り返し実施して更なる固化層の積層化および切削処理を実施することによって、最終的には積層化した固化層24から成る所望形状の三次元形状造形物を得ることができる。なお、最下層として形成される固化層24は造形ベース部21と結合した状態になるので、三次元形状造形物と造形ベース部21とは一体化物を成すことになり、その一体化物を金型として使用できる。
[LMD法]
以下、LMD(Laser Metal Deposition, レーザーメタルデポジション)法について説明する。「LMD法」とは、造形ベース部上にて原料の供給と光ビーム照射とを実質的に同時に行って固化層を形成する方法である。上記の粉末床溶融結合法と比べると、LMD法は、固化層を得るに際して粉末層の形成工程を含まない点に特徴を有する。
LMD法で用いる原料としては、粉末または溶加材を用いてよい。つまり、LMD法では、原料供給箇所に光ビームが照射されると共に、原料としての粉末または溶加材が供給されることにより、その供給される粉末または溶加材から固化層を形成する。
粉末の種類は、粉末床溶融結合法で用いる粉末の種類と同じであってよい。一方、溶加材は、溶接原料のことを指しており、光ビームが照射されると溶融し得るものを指す。溶加材の材質は、特に限定されるものではないが金属であってよい。溶加材の形状は、特に限定されるわけではないが、光ビームが照射される原料供給箇所への原料としての溶加材の供給のし易さの観点からワイヤー形状又は棒形状等の細長い形状が好ましい。
原料として粉末が用いられる場合、供給された粉末を光ビーム照射によって焼結又は溶融固化させて粉末から固化層を直接的に形成する。好ましくは、光ビームの照射部分に対して粉末を噴霧供給して、粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成する。
一方、原料として溶加材が用いられる場合、光ビームの照射部分に溶加材を供給し、溶加材の一部を光ビームによって溶融させ、それにより溶融させた溶加材の一部から固化層を形成する。
上記の粉末床溶融結合法と同様に積層化した固化層が所定厚みに達すると、切削ステップへと移行し、最終的には積層化した固化層から成る所望形状の三次元形状造形物を得ることができる。なお、最下層として形成される固化層は造形ベース部と結合した状態になるので、三次元形状造形物と造形ベース部とは一体化物を成すことになり、その一体化物を金型として使用できる。
[本発明の金型の製造方法]
本願発明者らは、図14に示すように三次元形状造形物100’の表面100a’を金型200’のキャビティ形成面200a’として用いる場合、かかる表面100a’にポア50’が生じ得ることに起因して最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面200a’の転写精度が低下し得る虞があることを見出した。そこで、本願発明者らはかかる技術的課題を解決するために鋭意検討し、本発明の一実施形態に係る金型の製造方法を案出するに至った。
本発明の一実施形態は、光ビームの照射により複数の固化層を逐次形成する方法で得られる三次元形状造形物の表面を金型のキャビティ形成面として用いるというこれまでの態様とは異なる態様で対応している点に特徴を有する。
具体的には、本発明の一実施形態は、光ビームの照射により複数の固化層を逐次形成する方法により形成される三次元形状造形物と当該三次元形状造形物と接合する造形ベース部との一体化物を金型として用いる際に、造形ベース部を有効活用する点に特徴を有する。
本明細書でいう「造形部」とは、光ビームの照射により複数の固化層を逐次形成する方法、例えば粉末床溶融結合法および/又はLMD法により得られるものを指し、従来態様(図14参照)における「三次元形状造形物」に対応するものを指す。本明細書でいう「造形ベース部」とは、広義には造形部を形成(造形)するためのベース(土台)となるものを指す。本明細書でいう「造形ベース部」とは、狭義には上記の粉末床溶融結合法および/又はLMD法ではなく、溶融させた金属材料を例えば所定形状の鋳型等に流し込んで得られる金属溶製部材、または、溶融させた金属材料に圧延処理を施した金属溶製部材によって構成されたものを指す。なお、得られる金属溶製部材に対して切削加工処理が更に施されたものでもよい。本明細書でいう「キャビティ」とは、一方の可動側金型と他方の固定側金型との型合わせ時に形成される空間領域(空洞)を指す。本明細書でいう「キャビティ形成面」とは、一方の可動側金型と他方の固定側金型との型合わせ時に形成される空間領域(空洞)を形作る面を指す。
本発明の一実施形態に係る金型200Aの製造方法は、造形ベース部21A上に、光ビームLの照射により複数の固化層24Aを逐次形成することによって造形部100Aを形成する工程と、造形ベース部21Aにキャビティ形成面21A11を設ける工程とを含む(図1参照)。つまり、本発明の一実施形態に係る金型200Aの製造方法は、造形ベース部21A上に造形部100Aを形成することと、造形ベース部21Aにてキャビティ形成面21A11を設けることとを組み合わせている点に特徴を有する。より端的に言うと、本発明の一実施形態に係る金型200Aの製造方法は、造形ベース部21Aにキャビティ形成面21A11を設ける点に特徴を有する。かかる特徴が、三次元形状造形物の表面を金型のキャビティ形成面として用いる従来の態様と顕著に異なる点である。なお、造形ベース部21A上に造形部100Aを形成し、かつ造形ベース部21Aにキャビティ形成面21A11を供することが可能ならば、造形ベース部21Aの全体的形状は特に限定されるものではない。一例を挙げると、造形ベース部21Aは直方体状、円柱状等の形態を採り得る。但し、第1に、所望形状を有する造形部100Aを造形ベース部21A上にて安定して形成する観点から、造形部100Aの構成要素である固化層24Aと造形ベース部21Aとの界面領域では、造形ベース部21Aの表面(主面)は平面形態を有することが好ましい。又、第2に、造形ベース部21Aの厚みは、所望形状および寸法を有するキャビティ形成面21A11を好適に形成可能な厚さを有することが好ましい。又、第3に、造形ベース部21Aに供されるキャビティ形成面21A11は、成形時に当該形成面にかかる力に耐え得る構造強度を達成可能な硬度を有することが好ましい。そのため、造形ベース部21Aは、剛性が相対的に高い鉄系材料から構成されていることが好ましい。一方、本発明では、造形ベース部21A側にキャビティ形成面21A11を形成しているため、剛性が相対的に高い鉄系粉末を造形部100Aの形成に際して必ずしも用いる必要がない。従って、造形部100Aを形成するための金属粉末として、熱伝導性が相対的に高い銅系粉末および/またはアルミニウム系粉末を主成分とした粉末を用いることが可能である。詳細については後述する。
かかる特徴によれば、金型200Aの造形部100A側の表面100A1にキャビティ形成面が形成されないこととなる。光ビームLの照射により複数の固化層24Aを逐次形成する方法、例えば粉末床溶融結合法で得られる造形部100A(従来態様(図14参照)における三次元形状造形物100’に相当)の表面にはポアが生じ得る。しかしながら、本発明の一実施形態では、かかるポアが生じ得る造形部100A側の表面100A1ではなく、かかるポアが生じ得ない造形ベース部21Aにキャビティ形成面21A11(最終的に得られる金型200Aにおける符号200A1に相当)が形成され得る。ポアが生じ得ない造形ベース部21Aにキャビティ形成面21A11を形成すると、ポアが生じ得ないことに起因して当該キャビティ形成面200A1により形作られるキャビティ内に成形材料を好適に充填することができ得る。従って、かかるキャビティ内への好適な成形材料の充填により、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面200A1の転写精度の低下を回避することが可能となる。つまり、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面200A1の転写精度を向上させることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る製造方法は、下記態様を採ることが好ましい。
本発明の一実施形態では、キャビティ形成面21A11を造形ベース部の造形土台底面側に形成することが好ましい(図1参照)。本明細書でいう「造形土台底面」とは、広義には造形部を形成(造形)するための土台の底面を指し、狭義には造形部を形成するための土台となる造形ベース部の底面を指す。なお、ここでいう「底面」とは、造形部を形成するための土台(造形ベース部)の下面または土台面を指す。
上述のように、造形ベース部21Aは造形部100Aを造形するためのベース(土台)となるものである。そのため、かかる造形部100Aを安定した状態で形成する観点および金型200A全体の寸法サイズの低減化の観点から、造形ベース部21Aの主面21A1は一般的に造形土台底面21A12を含む面領域であり得る。より具体的には、断面視において、造形土台底面21A12を含む造形ベース部21Aの主面21A1の幅寸法は、造形ベース部21Aの側面21A3の高さ寸法よりも相対的に大きくされ得る。かかる点を考慮し、キャビティ形成面21A11を造形ベース部21Aの造形土台底面21A12側に形成すると、以下の効果が奏され得る。具体的には、造形土台底面21A12を含む造形ベース部21Aの主面21A1の幅寸法が相対的に大きいことに起因して、造形部100Aを安定した状態で形成でき得ると共に、キャビティ形成面21A11の寸法の自由度を向上させることができ得る。なお、安定した状態での造形部100Aの形成と、キャビティ形成面21A11の寸法自由度の向上の両立の観点から、断面視においてキャビティ形成面21A11を、図1に示すように造形土台底面21A12に挟まれるように構成することがより好ましい。すなわち、断面視においてキャビティ形成面21A11を、一方の造形土台底面21A12と他方の造形土台底面21A12との間に連続するように位置付けることがより好ましい。
本発明の一実施形態に係る製造方法は、下記態様を採ってよい(図2参照)。
一態様では、図2(a)および図2(b)に示すように、造形ベース部21Bにキャビティ形成面21B11を設ける。特に限定されるものではないが、エンドミル等の回転切削工具を用いて造形ベース部21Bの主面21B1(例えば造形土台底面21B12を含む下側主面)に切削加工を施すことで、かかるキャビティ形成面21B11を形成してよい。なお、ここでいう「回転切削工具」とは、切削加工処理に際して回転駆動させて使用する工具のことを意味する。具体的な回転切削工具としては、例えばフラットエンドミル、ボールエンドミル等のエンドミルを挙げることができる。ある好適な態様では、回転切削工具としてフラットエンドミルを用いて切削加工処理を行う。なお、回転切削工具の表面には、耐熱性を向上させるため合金コーティング(例えばAlTiNコーティング)が設けられたものであってもよい。
上記粉末床溶融結合法では相対的に複雑な形状面を形成するのに適当であるのに対して、切削加工処理では相対的に簡易な形状面を形成するのに適当である。かかる点に鑑み、特に限定されるものではないが、切削加工を施すことで形成され得るキャビティ形成面21B11は断面視で例えば矩形、正方形、三角形、半円、又は半楕円形状(一例として図2(b)に示すレンズ形状)を有するように構成されてよい。
造形ベース部21Bにキャビティ形成面21B11を形成した後、図2(c)に示すようにキャビティ形成面21B11を備えた造形ベース部21B上にて光ビームLの照射により複数の固化層24Bを逐次形成することによって造形部100Bを形成する。
以上により、図2(d)に示すように、キャビティ形成面21B11が形成された造形ベース部21B、および造形ベース部21B上に形成された造形部100Bを備えた本発明の一実施形態に係る金型200Bが得られる。
本発明の一実施形態に係る製造方法は、下記態様を採ってよい(図3参照)。
一態様では、図3(a)および図3(b)に示すように、造形ベース部21C上にて光ビームLの照射により複数の固化層24Cを逐次形成することによって造形部100Cを形成する。
造形ベース部21C上に造形部100Cを形成した後、造形ベース部21Cにキャビティ形成面21C11を設ける。特に限定されるものではないが、エンドミル等の回転切削工具を用いて造形ベース部21Cの表面(例えば下側主面21C1)に切削加工を施すことで、かかるキャビティ形成面21C11を形成してよい。なお、用いる回転切削工具の回転数、回転切削工具の種類、および回転切削工具に対する表面処理については上記態様と同様であり得るため、説明を省略する。
以上により、図3(c)に示すように、キャビティ形成面21C11が形成された造形ベース部21C、および造形ベース部21C上に形成された造形部100Cを備える本発明の一実施形態に係る金型200Cが得られる。
更に、本発明の一実施形態に係る製造方法は、下記態様を採ってよい。
一態様では、流体通路(例えば温調媒体路)を内部に有して成る金型を製造してよい(図4参照)。以下、特に限定されるものではないが粉末床溶融結合法を用いる場合を例にとる。
本明細書でいう「流体通路」とは、広義には流体を流すための通路を指し、狭義には流体として例えば温調媒体を流すための温調媒体路に相当するものを指す。また、本明細書でいう「温調媒体」とは、後述するキャビティ内の成形材料に対して加熱エネルギー又は冷却熱エネルギーを供するための媒体を指す。
特に限定されるものではないが、一例として、図4(a)に示すように、造形テーブル20D上に造形ベース部21Dを設ける。造形テーブル20D上に造形ベース部21Dを安定配置する観点から、例えばネジ部材等の固定手段を用いて造形テーブル20D上に造形ベース部21Dを固定することが好ましい。造形ベース部21Dを設置後、造形ベース部21Dの主面21D1にエンドミル40Dを用いて切削加工を施してキャビティ形成面21D11を形成する。なお、特に限定されるものではないが、図4(a)に示すように切削加工に加えて研磨具42D等を用いて研磨加工を更に施してもよい。
造形ベース部21Dの主面21D1にキャビティ形成面21D11を形成した後、かかる造形ベース部21Dを上下反転させる。この際、造形テーブル20Dと造形ベース部21Dとの固定を解除する観点から、ネジ部材等の固定手段を取り外すことが好ましい。造形ベース部21Dを上下反転させた後、造形ベース部21Dの主面21D1とは反対側の主面21D2にエンドミル40D等を用いて切削加工を施す。
造形ベース部21Dの主面21D2に切削加工を施した後、図4(c)および図4(d)に示すように造形ベース部21D上に造形部100Dを形成してよい。例えば、粉末床溶融結合法によりスキージング・ブレード23Dを用いて粉末層22Dを形成する工程と、粉末層22Dの所定箇所に光ビームLを照射して固化層24Dを形成する工程とを繰り返して造形ベース部21D上に造形部100Dを形成してよい。なお、この時、造形ベース部21Dの主面21D2に切削加工を施して得られる切削加工面21D21上に形成する粉末層22Dの所定箇所に光ビームLを照射しないことで非照射部を形成する。そして、かかる非照射部の粉末19Dを除去することで、例えば温調媒体路60D1として用いる流体通路60Dを形成し得る。以上により、造形ベース部21Dに形成されたキャビティ形成面21D11と、内部に温調媒体路として用いる流体通路60Dとを有して成る金型200Dを製造し得る。
本態様は、造形ベース部21Dの主面21D1に対するキャビティ形成面21D11の形成に加え、造形ベース部21Dの主面21D2に切削加工面21D21を形成することで切削加工面21D21を流体通路60Dの形成面の少なくとも一部とする点に特徴を有する。
上述のように、造形ベース部の表面にはポアが生じ得ない。そのため、当該造形ベース部21Dにキャビティ形成面21D11を形成すると、ポアが生じ得ないことに起因して当該キャビティ形成面により形作られるキャビティ内に成形材料を好適に充填することができ得る。
これに加えて、本態様では、流体通路60Dの少なくとも一部が造形ベース部21D側に形成されているため、造形ベース部21Dの主面21D1に形成したキャビティ形成面21D11と流体通路60Dの形成面との間の距離を相対的に小さくし得る。従って、最終的に得られる金型200Dのキャビティ形成面200D1(上記の造形ベース部21Dのキャビティ形成面21D11に相当)により形作られるキャビティ内に充填した成形材料に温調媒体の熱エネルギーをより好適に供することができ得る。
従って、造形ベース部にポアが生じ得ないことによるキャビティ内への好適な成形材料の充填と、キャビティ形成面と流体通路の形成面との間の距離が相対的に小さいことによるキャビティ内の成形材料のより好適な加熱又は冷却により、以下の効果が奏され得る。すなわち、成形品に対するキャビティ形成面の転写精度の低下をより好適に回避することが可能となる。つまり、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面の転写精度をより向上させることが可能となる。
なお、上記態様では、キャビティ形成面21D11を形成する工程を実施した後に流体通路60Dを形成する工程を実施しているが、これに限定されず、例えば以下の態様を採ってよい。
まず、上記態様と同様に、造形ベース部21Eの主面21E2に切削加工を施した後、例えば粉末床溶融結合法により粉末層を形成する工程と固化層24Eを形成する工程とを繰り返して造形ベース部21E上に造形部100Eを形成する(図5(a)参照)。なお、この時、造形ベース部21Eの主面21E2に切削加工を施して得られる切削加工面21E21上に形成する粉末層の所定箇所に光ビームを照射しない非照射部を形成し、かかる非照射部の粉末を除去することで、流体通路60Eを形成する。
流体通路60Eを形成した後、造形部100Eが造形ベース部21Eの下方に位置するように造形部100Eと造形ベース部21Eとの一体化物を上下反転させる(図5(b)参照)。上下反転させた後、造形ベース部21Eの主面21E2に切削加工を施して得られる切削加工面21E21とは反対側の造形ベース部21Eの主面21E1にエンドミル40Eを用いて切削加工を施してキャビティ形成面21E11を形成する。なお、特に限定されるものではないが、図5(b)に示すように切削加工に加えて研磨具42E等を用いて研磨加工を更に施してもよい。キャビティ形成面21E11を形成した後、造形部100Eが造形ベース部21Eの上方に位置するように造形部100Eと造形ベース部21Eとの一体化物を更に上下反転させる(図5(c)参照)。以上により、造形ベース部21Eに形成されたキャビティ形成面21E11と、内部に温調媒体路60E1として用いる流体通路60Eとを有して成る金型200Eを製造し得る。
本態様は、上記態様と同様に造形ベース部21Eの主面21E2に切削加工面21E21を形成することに起因して、かかる切削加工面21E21を流体通路60Eの形成面の少なくとも一部としている点に特徴を有する。かかる特徴により、上記態様と同様に、流体通路60Eを温調媒体路として用いる場合に、キャビティ形成面21E11に温調媒体の熱エネルギーをより好適に供することが可能となる。また、本態様では、上述のように造形ベース部の表面にはポアが生じ得ない。そのため、当該造形ベース部21Eにキャビティ形成面21E11を形成すると、ポアが生じ得ないことに起因して当該キャビティ形成面により形作られるキャビティ内に成形材料を好適に充填することができ得る。
従って、図4に示す態様と同様に造形ベース部にポアが生じ得ないことによるキャビティ内への好適な成形材料の充填と、キャビティ形成面と流体通路の形成面との間の距離が相対的に小さいことによるキャビティ内の成形材料のより好適な加熱又は冷却により、以下の効果が奏され得る。すなわち、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面の転写精度の低下をより好適に回避することが可能となる。
なお、図4および図5に示す態様はあくまでも一例にすぎない。例えば、キャビティ形成面により形作られるキャビティ内に充填した成形材料に温調媒体の熱エネルギーを好適に供することが可能ならば、例えば温調媒体路として用いる流体通路は造形部側のみに設けられてよい(図9(i)および図9(ii)参照)。また、これに限定されることなく、例えば、キャビティ内に充填した成形材料に温調媒体の熱エネルギーを好適に供することが可能ならば、例えば温調媒体路として用いる流体通路は造形ベース部側のみに設けられてよい。
つまり、本態様では、例えば温調媒体路として用いる流体通路を造形ベース部および造形部の少なくとも一方に形成すればよい。
一態様では、流体通路(例えばガス抜き路)を内部に有して成る金型を製造してよい(図6参照)。以下、特に限定されるものではないが粉末床溶融結合法を用いる場合を例にとる。本明細書でいう「流体通路」とは、広義には流体を流すための通路を指し、狭義には流体として例えばキャビティ内に生じるガスを抜くためのガス抜き路に相当するものを指す。
特に限定されるものではないが、例えば、図6(a)に示すように、造形テーブル20F上に造形ベース部21Fを設ける。造形テーブル20F上に造形ベース部21Fを安定配置する観点から、例えばネジ部材等の固定手段を用いて造形テーブル20F上に造形ベース部21Fを固定することが好ましい。造形ベース部21Fを設置後、造形ベース部21Fの主面21F2にエンドミル40F等を用いて切削加工を施して凹面21F21を形成する。
造形ベース部21Fの主面21F2の一部に凹面21F21を形成した後、図6(b)に示すようにかかる凹面21F21により形成される空間領域に例えば粉末供給手段70Fにより粉末19Fを充填する。かかる粉末19Fは、後刻の粉末層形成に用いる粉末と同じ種類であってよい。
凹面21F21により形成される空間領域に粉末19Fを充填した後、凹面21F21により形成される空間領域内の粉末19Fに相対的に小さい照射エネルギーの光ビームLを照射することが好ましい。具体的には、充填した粉末19Fから低密度領域(固化密度0〜95%(95%を含まず))が得られるように、当該空間領域内の粉末19Fに相対的に小さい照射エネルギーの光ビームLを照射することが好ましい。
次に、図6(c)に示すように、造形ベース部21F上に造形部100Fを形成してよい。例えば、粉末床溶融結合法によりスキージング・ブレード23Fを用いて粉末層を形成する工程と、粉末層の所定箇所に光ビームLを照射して固化層24Fを形成する工程とを繰り返して当該造形部100Fを形成してよい。なお、この時、積層される固化層24Fの一部は、粉末層の所定箇所に相対的に小さい照射エネルギーの光ビームLを照射して、断面視にて上述の凹面21F21により形成される空間領域に充填した粉末19Fから得られる低密度領域に連続して形成されることが好ましい。
以上により得られる低密度領域が、ガス抜き路60F1として用いる流体通路60Fとなり得る。一方、かかる低密度領域に相当する粉末層の所定箇所以外の箇所については、相対的に大きい照射エネルギーの光ビームLを照射して高密度領域(固化密度95〜100%)を形成することが好ましい。
なお、ここでいう「固化密度(%)」とは、三次元形状造形物の断面写真を画像処理することによって求めた固化断面密度(固化材料の占有率)を実質的に意味している。使用する画像処理ソフトはScion Image ver. 4.0.2(Scion社製のフリーウェア)である。断面画像を固化部(白)と空孔部(黒)とに二値化した後、画像の全画素数Px
allおよび固化部(白)の画素数Px
whiteをカウントすることで、以下の式1により固化断面密度ρ
Sを求めることができる。
[式1]
流体通路60F(具体的には、ガス抜き路)として機能し得る低密度領域が形成されるように造形ベース部21F上に造形部100Fを形成した後(図6(c)および図7(a)参照)、造形ベース部21Fと造形部100Fの一体化物を上下反転させる。この際、造形テーブル20Fと造形ベース部21Fとの固定を解除する観点から、ネジ部材等の固定手段を取り外すことが好ましい。上下反転後、造形ベース部21Fの主面21F1にエンドミル40Fを用いて切削加工を施してキャビティ形成面21F11を形成する(図7(b)参照)。なお、特に限定されるものではないが、図7(b)に示すように切削加工に加えて研磨具42F等を用いて研磨加工を更に施してもよい。具体的には、成形時にキャビティ内に生じるガス等を、流体通路60F(具体的には、ガス抜き路)を介して外部に抜き出し可能となるように、流体通路60Fとして機能し得る低密度領域が露出するまで造形ベース部21Fの主面21F1に切削加工等を施す。これにより、当該キャビティ形成面21F11を形成することが好ましい。
キャビティ形成面21F11を形成した後、造形ベース部21Fの上方に造形部100Fが位置するように造形ベース部21Fと造形部100Fの一体化物を更に上下反転させる(図7(c))。以上により、造形ベース部21Fに形成されたキャビティ形成面21F11と、内部にガス抜き路として用いる流体通路60Fとを有して成る金型200Fを製造し得る。
本態様は、キャビティ形成面21F11から造形部100Fの上面100F1(最上層の固化層24Fの表面)まで一方向に延在する流体通路60Fが形成されている点に特徴を有する。流体通路60Fは上述のように低密度領域(固化密度0〜95%(95%を含まず))であるため内部に空隙が存在し得る。かかる空隙の存在により、キャビティ形成面200F1により形作られるキャビティ内に充填した成形材料から生じるガスおよび/又はキャビティ内に元々存在する空気等を、流体通路60Fを介して好適に外部に抜き出し可能とし得る。なお、キャビティ形成面200F1は、上記の造形ベース部21Fのキャビティ形成面21F11に相当し得る。また、本態様では、上述のように造形ベース部21Fの表面にはポアが生じ得ない。そのため、当該造形ベース部21Fにキャビティ形成面21F11を形成すると、ポアが生じ得ないことに起因して当該キャビティ形成面21F11により形作られるキャビティ内に成形材料を好適に充填することができ得る。
従って、造形ベース部にポアが生じ得ないことによるキャビティ内への好適な成形材料の充填と、低密度領域である流体通路60Fを介したキャビティ内のガスの好適な外部への抜き出しとにより、以下の効果が奏され得る。すなわち、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面の転写精度の低下をより好適に回避することが可能となる。
なお、図6および図7に示す態様はあくまでも一例にすぎない。例えば、キャビティ内のガスの好適な外部への抜き出しが可能となるならば、例えばガス抜き路として用いる流体通路は造形部側のみに設けられてよい。この場合、ガス抜き路として用いる流体通路は、キャビティ内のガスの好適な外部への抜き出しの観点から、造形ベース部と造形部との界面領域から造形部の上面まで延在するように形成されることが好ましい。また、この場合、造形ベース部に形成されるキャビティ形成面の一部は、ガス抜き路として用いる流体通路を介してキャビティ内のガスを外部へと好適に抜き出しする観点から造形ベース部と造形部との界面領域に形成されていることが好ましい。
一態様では、造形部を形成するために粉末床溶融結合法および/又はLMD法で使用する粉末材料としては、用途が金型である点に鑑み金属粉末であることが好ましい。かかる金属粉末としては、例えば銅系粉末および/またはアルミニウム系粉末を主成分とした粉末であってよい。また、かかる金属粉末としては、銅系粉末および/またはアルミニウム系粉末を主成分とした粉末に必要に応じてニッケル粉末、ニッケル系合金粉末、および黒鉛粉末などから成る群から選択される少なくとも1種類を更に含んで成る粉末であってよい。その理由は以下のとおりである。
金型として用いる従来の三次元形状造形物(本発明における造形部に対応)には、三次元形状造形物の表面をキャビティ形成面として用いることに鑑み、成形時にてキャビティ形成面にかかる力に耐え得る構造強度が三次元形状造形物に要求され得る。そのため、金型として用いる従来の三次元形状造形物を形成するために粉末床溶融結合法および/又はLMD法で使用する粉末材料は、剛性が相対的に高い鉄系粉末を用いる必要があり得る。
一方、本発明の一実施形態では、造形ベース部にキャビティ形成面を形成しているため、粉末床溶融結合法および/又はLMD法で形成する造形部には成形時にキャビティ形成面にかかる力に耐え得る構造強度を相対的に小さくし得る。そのため、剛性が相対的に高い鉄系粉末を造形部の形成に際して必ずしも用いる必要がない。従って、造形部を形成するための金属粉末として、成形時において造形ベース部に設けたキャビティ形成面側へとより好適に熱エネルギーを供する観点から熱伝導性が相対的に高い銅系粉末および/またはアルミニウム系粉末を主成分とした粉末を用いることが可能である。また、銅系粉末および/またはアルミニウム系粉末は熱伝導性が相対的に高いという性質に加えて剛性が相対的に低いという性質も有し得る。そのため、剛性が相対的に低いという性質を有する銅系粉末および/またはアルミニウム系粉末を主成分とした粉末を用いると、以下の効果も奏され得る。すなわち、剛性が相対的に高い鉄系粉末を主成分とした粉末を用いる場合と比べて、剛性が相対的に低いことに起因して得られる造形部表面の切削加工を施し易くすることが可能である。
上述のように本発明の一実施形態では造形ベース部に所定形状および所定寸法を有するキャビティ形成面を形成する必要がある。かかるキャビティ形成面の所定形状および寸法は、所望の成形品の形状および寸法の如何によっては相対的に大きくする必要性がある。その一方で、本発明の一実施形態では造形部に所定形状および所定寸法を有したキャビティ形成面を形成する必要がない。以上の点に鑑み、一態様では例えば造形ベース部の高さ寸法を造形部の高さ寸法よりも相対的に大きくしてよい。
[本発明の金型]
本発明の一実施形態に係る金型は、光ビームの照射により複数の固化層を逐次形成する方法により形成される造形部と、当該造形部と接合した造形ベース部との一体化物を金型として用いる場合において、かかる造形ベース部を有効活用している点に特徴を有する。
具体的には、上記の製造方法により得られた本発明の一実施形態に係る金型は、以下の構成を採っている。
本発明の一実施形態に係る金型200Aは、図8に示すように、造形部100Aおよび造形部100Aと接合した造形ベース部21Aを有して成り、造形ベース部21Aがキャビティ形成面21A11を有している点に特徴を有する。つまり、本発明の一実施形態に係る金型200Aは、造形ベース部21Aにキャビティ形成面21A11が設けられている点に特徴を有する。かかる特徴が、造形部100Aに対応する三次元形状造形物の表面を金型のキャビティ形成面として用いる従来の態様と顕著に異なる点である。
上記の製造方法の欄でも述べたが、かかる特徴によれば、金型200Aの造形部100A側の表面100A1にキャビティ形成面が形成されないこととなる。光ビームLの照射により複数の固化層24Aを逐次形成する方法、例えば粉末床溶融結合法で得られる造形部100Aの表面にはポアが生じ得る。なお、当該造形部100Aは、従来態様(図14参照)における三次元形状造形物100’に相当し得る。しかしながら、本発明の一実施形態では、かかるポアが生じ得る造形部100A側の表面100A1ではなく、かかるポアが生じ得ない造形ベース部21Aにキャビティ形成面21A11(金型200Aにおける符号200A1に相当)が形成され得る。ポアが生じ得ない造形ベース部21Aにキャビティ形成面21A11を形成すると、ポアが生じ得ないことに起因して当該キャビティ形成面200A1により形作られるキャビティ内に成形材料を好適に充填することができ得る。従って、かかるキャビティ内への好適な成形材料の充填により、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面200A1の転写精度の低下を回避することが可能となる。つまり、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面200A1の転写精度を向上させることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る金型は、下記態様を採ることが好ましい。
本発明の一実施形態では、キャビティ形成面200A1が、造形部100Aと造形ベース部21Aとの接合面21A2側とは反対側に位置する造形ベース部21Aの主面21A1に設けられていることが好ましい(図8参照)。本明細書でいう「造形部100Aと造形ベース部21Aとの接合面21A2側」とは、造形部100Aと造形ベース部21Aとの境界面側を実質的に指す。
造形ベース部21Aは造形部100Aを造形するためのベース(土台)となるものである。そのため、安定した状態で造形部100Aを形成する観点および金型200A全体の寸法サイズの低減化の観点から、断面視において、造形ベース部21Aの主面21A1の幅寸法は、造形ベース部21Aの側面21A3の高さ寸法よりも相対的に大きくされ得る。かかる点を考慮し、キャビティ形成面21A11を、造形部100Aと造形ベース部21Aとの接合面21A2とは反対側に位置する造形ベース部21Aの主面21A1側に形成すると、以下の効果が奏され得る。すなわち、造形ベース部21Aの主面21A1の幅寸法が相対的に大きいことに起因して、キャビティ形成面21A11の寸法の自由度を向上させることができ得る。
本発明の一実施形態では、造形ベース部21Aの主面には、キャビティ形成面21A11に加えて造形土台底面21A12が更に含まれることが好ましい。
上述のキャビティ形成面21A11が形成され得る造形ベース部21Aの主面21A1に関して、かかる造形ベース部21Aの主面21A1は、造形部100Aと造形ベース部21Aとの接合面21A2とは反対側に位置し得る。そのため、造形ベース部21Aの主面21A1を、造形ベース部21A上に安定した状態で造形部100Aを形成して金型200Aを得るための底面とする必要がある。そこで、かかる造形ベース部21Aの主面21A1には、造形ベース部21A上にて造形部100Aを安定した状態で形成する観点からキャビティ形成面21A11のみならず造形土台底面21A12を形成することが好ましい。なお、造形部100Aの安定した状態での形成と、キャビティ形成面21A11の寸法自由度の向上の両立の観点から、断面視においてキャビティ形成面21A11は、図8に示すように造形土台底面21A12を挟むように構成されることがより好ましい。すなわち、断面視においてキャビティ形成面21A11が、一方の造形土台底面21A12と他方の造形土台底面21A12との間に連続するように位置付けられることがより好ましい。
本発明の一実施形態に係る金型は、下記態様を採ってよい。
一態様では、本発明の一実施形態に係る金型は内部に流体通路を有して成ってよい。
ここでいう「流体通路」とは、広義には流体を流すための通路を指し、狭義には流体として温調媒体を流すための温調媒体路および/又は流体としてキャビティ内に生じ得るガス等を抜くためのガス抜き路に相当するものを指す。
本態様は、上述の造形ベース部の主面にキャビティ形成面が形成されていることに加えて、金型の内部に流体通路が設けられている点に特徴を有する。
以下、流体通路として温調媒体路が用いられる場合について説明する(図9参照)。
図9に示す態様では、本発明の一実施形態に係る金型200Dは内部に温調媒体路として用いられる流体通路60D(60D1〜60D3)を有して成ってよい。上述のように、造形ベース部21Dの表面にはポアが生じ得ない。そのため、当該造形ベース部21Dにキャビティ形成面21D11を形成すると、ポアが生じ得ないことに起因して当該キャビティ形成面により形作られるキャビティ内に成形材料を好適に充填することができ得る。
これに加えて、本態様では、金型200Dの内部に流体通路60D(60D1〜60D3)が設けられている。そのため、金型200Dのキャビティ形成面200D1(上記の造形ベース部21Dのキャビティ形成面21D11に相当)により形作られるキャビティ内に充填した成形材料に温調媒体の熱エネルギーを好適に供することができ得る。
従って、造形ベース部21Dにポアが生じ得ないことによるキャビティ内への好適な成形材料の充填と、金型200Dの内部に温調媒体路として用いる流体通路60Dの設置によるキャビティ内に充填した成形材料への温調媒体の熱エネルギーの好適な供給により、
以下の効果が奏され得る。すなわち、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面の転写精度の低下をより好適に回避することが可能となる。つまり、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面の転写精度をより向上させることが可能となる。
一例として、図9(i)に示すように温調媒体路として用いられる流体通路60D1が、造形部100Dおよび造形ベース部21Dの両方の内部を延在するように設けられていてよい。図9(i)に示す態様は、温調媒体路として用いられる流体通路60D1が、キャビティ形成面200D1を形成する造形ベース部21D側にも設けられている点に特徴を有する。
図9(i)に示す態様では、流体通路60D1が造形ベース部21D側にも設けられている。そのため、キャビティ形成面200D1とキャビティ形成面200D1に対向する流体通路60D1の形成面との間の距離Sを相対的に小さくし得る。かかる相対的に小さな距離に起因して、キャビティ内の成形材料により好適に温調媒体の熱エネルギーを供することができ得る。従って、造形ベース部21Dにポアが生じ得ないことによるキャビティ内への好適な成形材料の充填と、流体通路60D1が造形ベース部21D側にも設けられていることによるキャビティ内に充填した成形材料への温調媒体の熱エネルギーのより好適な供給により、以下の効果が奏され得る。すなわち、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面の転写精度の低下を“更に”より好適に回避することが可能となる。つまり、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面の転写精度を“更に”より向上させることが可能となる。
別例として、図9(ii)および図9(iii)に示すように温調媒体路として用いられる流体通路60D2が、造形部100D側のみの内部を延在するように設けられていてよい。
図9(ii)および図9(iii)に示す態様では、流体通路60D2,60D3が造形部100D側にのみ設けられている。そのため、造形ベース部21Dにポアが生じ得ないことによりキャビティ内へ成形材料を好適に充填でき得る。更に、金型200Dのキャビティ形成面200D1(上記の造形ベース部21Dのキャビティ形成面21D11に相当)により形作られるキャビティ内に充填した成形材料に温調媒体の熱エネルギーを好適に供することができ得る。これに加えて、図9(ii)に示す態様では、造形部100Dは、上述の本発明の製造方法の欄でも述べているように例えば粉末床溶融結合法で形成される。そのため、金型200Dの使用環境に応じて温調媒体路として用いられる流体通路60D2,60D3の形状を自在に形成でき得る。
次に、以下、流体通路としてガス抜き路が用いられる場合について説明する(図10参照)。
図10に示す態様は、キャビティ形成面21F11から造形部100Fの上面100F1(最上層の固化層24Fの表面)まで一方向に延在するガス抜き路として用いられる流体通路60Fが形成されている点に特徴を有する。
ここでいう「流体通路60F」はガス抜き路60F1として機能するべく低密度領域(固化密度0〜95%(95%を含まず))となるように形成されている。そのため、低密度領域であることに起因して、流体通路60Fの内部には空隙が存在し得る。かかる空隙の存在により、金型200Fのキャビティ形成面200F1により形作られるキャビティ内に充填した成形材料から生じるガスおよび/又はキャビティ内に元々存在する空気等を、流体通路60Fを介して好適に外部に抜き出し可能とし得る。なお、金型200Fのキャビティ形成面200F1は、上記の造形ベース部21Fのキャビティ形成面21F11に相当し得る。また、図10に示す態様では、造形ベース部21Fにキャビティ形成面21F11が形成されている。そのため、造形ベース部にはポアが生じ得ないことに起因して当該キャビティ形成面21F11により形作られるキャビティ内に成形材料を好適に充填することができ得る。
従って、造形ベース部にポアが生じ得ないことに起因したキャビティ内への好適な成形材料の充填と、低密度領域である流体通路60Fを介したキャビティ内のガスの好適な外部への抜き出しとにより、以下の効果が奏され得る。すなわち、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面の転写精度の低下をより好適に回避することが可能となる。つまり、最終的に得られる成形品に対するキャビティ形成面の転写精度をより向上させることが可能となる。
なお、図10に示す態様はあくまでも一例にすぎない。例えば、キャビティ内のガスの好適な外部への抜き出しが可能となるならば、例えばガス抜き路として用いる流体通路は造形部100F側のみに設けられてよい。この場合、ガス抜き路として用いる流体通路は、キャビティ内のガスの好適な外部への抜き出しの観点から、造形ベース部21Fと造形部100Fとの界面領域から造形部100Fの上面まで延在するように形成されることが好ましい。また、この場合、造形ベース部21Fに形成されるキャビティ形成面の一部は、ガス抜き路として用いる流体通路を介してキャビティ内のガスを外部へと好適に抜き出しする観点から造形ベース部21Fと造形部100Fとの界面領域に形成されていることが好ましい。
最後に、上述のように、本発明の一実施形態に係る金型では、造形ベース部にキャビティ形成面が設けられている(図8等参照)。かかるキャビティ形成面は、特に限定されるものではないが、例えばエンドミル等の回転切削工具を用いて造形ベース部の主面(例えば造形土台底面21A12を含む下側主面)に切削加工を施すことで形成され得る。回転切削工具としては、例えばフラットエンドミル、ボールエンドミル等のエンドミルを挙げることができる。そのため、上記粉末床溶融結合法では相対的に複雑な形状面を形成するのに適当であるのに対して、切削加工処理では相対的に簡易な形状面を形成するのに適当である。かかる点に鑑み、特に限定されるものではないが、切削加工を施すことで形成され得るキャビティ形成面21B11は断面視で例えば矩形、正方形、三角形、半円、又は半楕円形状(一例として図8に示すレンズ形状)を有するように構成されてよい。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明の適用範囲のうちの典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。
なお、上述のような本発明の一実施形態は、次の好適な態様を包含している。
第1態様:
造形部および該造形部と接合した造形ベース部を有して成る金型であって、
前記造形ベース部がキャビティ形成面を有している、金型。
第2態様:
上記第1態様において、前記キャビティ形成面が、前記造形部と前記造形ベース部との接合面側とは反対側に位置する該造形ベース部の主面に設けられている、金型。
第3態様:
上記第2態様において、前記造形ベース部の前記主面には、前記キャビティ形成面に加えて造形土台底面が更に含まれる、金型。
第4態様:
上記第1態様〜第3態様のいずれかにおいて、前記金型は内部に流体通路を有して成る、金型。
第5態様:
上記第4態様において、前記流体通路が前記造形ベース部および前記造形部の少なくとも一方に設けられている、金型。
第6態様:
上記第4態様又は第5態様において、前記流体通路が、温調媒体路又はガス抜き路である、金型。
第7態様:
金型の製造方法であって、
造形ベース部上に、光ビーム照射により複数の固化層を逐次形成することによって造形部を形成する工程と、
前記造形ベース部にキャビティ形成面を設ける工程と
を含む、製造方法。
第8態様:
上記第7態様において、前記造形ベース部の造形土台底面側に前記キャビティ形成面を形成する、製造方法。
第9態様:
上記第7態様又は第8態様において、前記金型は内部に流体通路を有して成り、
前記流体通路を前記造形ベース部および前記造形部の少なくとも一方に形成する、製造方法。
第10態様:
上記第9態様において、前記流体通路として温調媒体路又はガス抜き路を形成する、製造方法。
第11態様:
上記第7態様〜第10態様のいずれかにおいて、前記キャビティ形成面を、前記造形ベース部に切削加工を施して形成する、製造方法。
第12態様:上記第7態様〜第11態様のいずれかにおいて、前記造形部を粉末床溶融結合法で形成する、製造方法。
本出願は、日本国特許出願第2016−230780号(出願日:2016年11月29日、発明の名称:「金型およびその製造方法」)に基づくパリ条約上の優先権を主張する。当該出願に開示された内容は全て、この引用により、本明細書に含まれるものとする。