以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の電気機器を詳細に説明する。図1には、本発明の一実施形態の電気機器100の一例が模式的に示されている。また、図2には、一実施形態の電気機器100内の電気的な接続を示すブロック図が示されている。
図1に示されるように、本実施形態の電気機器100は、第1回路基板31と、第2回路基板32とを有している。第1回路基板31は電気回路6を備えており、電気回路6は、経時的に負荷が変動する負荷部3を含んでいる。第2回路基板32は、所定の機能(以下、第1機能とする)を有する信号処理手段4、および、負荷部3の負荷の変動による第1機能への影響を少なくするように構成される電流制御手段1を備えている。信号処理手段4は、第1機能の一部または全部を担うように構成されている。第2回路基板32は、たとえばコネクタ43a、43bのような接続手段によって、第1回路基板31に着脱可能に連結される。なお、図1に示される第1回路基板31と第2回路基板32の位置関係は一例に過ぎず、両者は任意の位置関係で配置され得る。たとえば、第1回路基板31と第2回路基板32は並置されてもよい。また、図1では、電流制御手段1、負荷部3、信号処理手段4および電気回路6が形成される領域の大きさや第1回路基板31または第2回路基板32内での位置を正確に示すことは意図されていない。また、図1では、電流制御手段1などは、個々に一体的な外形を有するように描かれているが、これらは模式的に描かれているに過ぎない。電流制御手段1などは、実際には、後述のように半導体装置や抵抗などの電気部品と、これらを接続する配線とにより構成されている。また、電流制御手段1などは、半導体装置内の記憶素子に書き込まれたソフトウェアを含んでいてもよい。
ここで、「(経時的に負荷が)変動する」は、負荷の変動により負荷部3に流れる電流が単位時間あたり一定の大きさ以上の変化量で変化することを意味している。具体的には、この「変動する」は、その変化により、たとえば本実施形態の電流制御手段1を備えていない場合に、第1機能に支障が生じるほど急激に負荷部3の電流が変化することを意味している。たとえば、本実施形態の電流制御手段1などを備えていない場合、負荷部3に流れる電流の変化により電気機器100内のグランドラインを流れる電流が変化し、その変化が急激な場合グランド電位の変動を引き起こすことがある。そして、そのグランド電位の変動に伴って信号処理手段4内の信号のレベルも変動し、第1機能に支障が生じることがある。なお、「経時的に変動」は、定期的な変化および不定期の変化の両方を含んでいる。
本実施形態では、本実施形態の電流制御手段1が備えられていない場合に負荷部3の負荷変動の影響を受け得る第1機能を担う信号処理手段4と、この負荷部3の影響を少なくする電流制御手段1(電流制御手段1の作用については後述される)とが、第2回路基板32に纏めて形成されている。そして、第2回路基板32は、電流制御手段1および信号処理手段4以外の電気的要素からなる電気回路6を備える第1回路基板31と、着脱可能に連結される。このような構成とすることによって、負荷部3の負荷変動による第1機能における誤動作を少なくすることができ、しかも、第1機能を有さない機能削減型の電気機器が好まれる場合は、第2回路基板32を連結しない構成とすることにより、第2回路基板32の削減効果を含めて大幅に、かつ、容易に、コストダウンや小型化を図ることができる。
また、それぞれ別の機能を有する複数種の電気機器に第1機能を付加する場合に、機能の異なる電気機器ごとに大幅な改造をすることなく第1機能を付加することができる。すなわち、各電気機器の回路基板に小規模な改造(たとえば第2回路基板32を接続する部分の付加)を施して第1回路基板31とし、各電気機器に共通の第2回路基板32を連結するだけで、異なる機能を有する複数種の電気機器に第1機能を付加することができる。従って、既存の複数種の電気機器のグレードアップなどを効率よく行うことができる。たとえば、比較的ノイズの影響を受け難い伝送方式による通信機能を有する複数種の電気機器に前述のHARTプロトコルによる通信(以下、単にHART通信という)機能を付加する場合、HART通信機能を担う手段(信号処理手段4)と、グランド電位の変動を抑制する回路(電流制御手段1)とが、1つの回路基板(第2回路基板32)に形成される。この第2回路基板32を複数種の電気機器間に共通に用いて、電気機器の種類ごとに異なる回路基板(第1回路基板31)と連結することにより、複数種の電気機器に効率よく、しかも、グランド電位の変動による誤動作の少ないHART通信機能を付加することができる。
また、本実施形態では、第1機能を担う信号処理手段4と、負荷部の負荷変動による第1機能への影響を少なくする電流制御手段1とが、第1回路基板31と別個の第2回路基板32に備えられる。電気機器が筐体を有し、この筐体の内部に確保される空間内に電気機器の電気回路が配置される場合、内部空間の形状や大きさに応じて第1回路基板31と第2回路基板32との相対位置を選択することができる。たとえば、筐体の内部空間に回路基板(第1回路基板)が配置されている電気機器に第1機能を付加する場合、この内部空間の空き領域に応じて第2回路基板の位置を選択することができる。たとえば、第1回路基板と平行な方向には内部空間の空き領域は余り無いが、第1回路基板と直交する方向には空き領域がある場合は、第2回路基板を第1回路基板の上方に、すなわち、第2回路基板の一部または全部が第1回路基板と平面視において重なるように配置することができる。本実施形態によれば、このように、信号処理手段4および電流制御手段1が第1回路基板31に形成される場合に比べて、信号処理手段4および電流制御手段1のレイアウトの自由度が高いため、既存の筐体の形状や大きさの変更を回避しながら、電気機器100に所定の機能を付加することも可能となり得る。前述の安全規格などとの関係で筐体構造の変更が困難な場合でも、電気機器への機能追加が可能となることがある。
図1および図2に示されるように、第1回路基板31上に形成されている電気回路6は、さらに、電源部2を含んでおり、電源部2は、第1電圧V1で電気機器100内の構成要素に電力を供給する。第2回路基板32に形成されている電流制御手段1には、第1回路基板31上の電源部2から第1電圧V1で電力が供給される。電流制御手段1は、電源部2から電力を受けて動作し、負荷部3に第2電圧V2で電流を供給するように構成されている。すなわち、第1回路基板31上に形成されている負荷部3は、第1回路基板31上に形成されている電源部2から第1電圧V1で直接電力供給を受けるのではなく、第2回路基板32に設けられている電流制御手段1を介して第2電圧V2で電力供給を受ける。換言すると、電源部2から負荷部3に向って流れる電流は、第1回路基板31から流れ出して、一旦、第2回路基板32側に渡り、電流制御手段1を通ってから再び第1回路基板31側に戻って負荷部3に流入する。ここで、第1回路基板31または第2回路基板32に「形成され」、「構成され」、「設けられ」、「実装され」または「備えられ」は、電流制御手段1などを構成する電気部品などが、その本体部分を各基板に物理的に接触させて載置されることだけを意味するものではない。これらは、各回路基板から離れた位置に配置された電気部品の入出力端子などが、配線などによりそれぞれの回路基板上の導体部分に電気的に接続されていることも含んでいる。
負荷部3は、電気機器100の動作状態に応じて経時的に内部の負荷の大きさが変化し、その変化に応じて、負荷部3に流入する電流の大きさが変動する。電気機器100の構成要素のうち、このように内部の負荷の大きさが変化する任意の要素が、負荷部3と見做され得る。負荷部3は、電気機器100の主要な機能を果たす部分であってもよく、副次的な機能、たとえば、表示部や操作部などのユーザーとのインターフェース機能を果たす部分であってもよい。負荷部3としては、電気機器100の中央処理装置、ROMやRAMなどの記憶装置、電気機器100が通信機能を有する場合のモデム、各種センサ、ディスプレイなどの表示装置、LEDなどの灯火装置、または、キーボードやタッチパネルなどの入力装置、およびこれらの周辺回路などが例示される。
電源部2は、商用電源や電池などからの電力に基づいて、第1電圧V1を供給する。たとえば、電源部2としては、安定電圧を出力するリニアレギュレータやスイッチングレギュレータを構成する電気回路や、そのようなレギュレータとして構成された集積回路装置およびその周辺回路などが例示される。また、外部電源Bから第1電圧V1で安定電圧が印加される場合などのように、電気機器100内に第1電圧V1の生成または安定化機能が必要無い場合は、外部の電気回路との接続部101(図2参照)が電源部2に該当する。また、電気機器100にセットされる電池(図示せず)の電力により電気機器100が動作する場合は、電源部2は、電池を保持すると共に電池のセットに伴って電池電圧を電気機器100内の構成要素に供給する電池保持部であってもよい。なお、図2に示される接続部101は、外部電源Bと電気機器100とを接続するコネクタやカプラ、または、外部電源Bに接続された外部の線材を電気機器100に接続するための端子やパッドなどであってよい。
電流制御手段1は、電気機器100のグランド電位の変動を低減することにより、負荷部3の負荷変動による第1機能への影響を少なくするように構成されている。具体的には、電流制御手段1は、電源部2から供給される電流を、負荷部3に流入する電流i1と、電流i1の変動に応じた電流値を有する電流i2とに分流させるように構成されている。図2の例では、電流制御手段1は、定電流生成部11と定電圧生成部12とを含んでいる。定電流生成部11は、定電流Icを定電流生成部11から流出させるように構成されている。定電圧生成部12は、一定電圧である第2電圧V2を負荷部3に供給する。定電圧生成部12は、負荷部3に流入する電流i1の変動に応じた大きさの電流i2が定電流生成部11から流入するように構成されている。定電流生成部11からは定電流Icが流出するため、定電圧生成部12は、電流i1の増加量(減少量)とほぼ同量だけ電流i2が減少(増加)するように構成されている。このような電流制御手段1の作用によって、電源部2から流出する電流、およびグランドラインを介して電源部2に戻る電流の変動が、負荷部3に流れる電流i1の変動よりも少なくなり、グランド電位の変動が抑制される。その結果、負荷部3の負荷変動による第1機能への影響が抑制される。なお、電流制御手段1の具体的な回路例は後述される。
信号処理手段4は、電気機器100内で生成される、または、電気機器100が外部から受け取る任意の電気信号を処理することにより所定の機能(第1機能)の一部または全部を果たしている。信号処理手段4は、信号処理手段4が担う信号処理が可能なように構成された、集積回路装置や個別半導体素子、および抵抗などの受動部品などからなる電気回路などのハードウェアにより構成される。また、信号処理手段4は、集積回路装置に所定の処理を行わせる命令が書き込まれたプログラムなどのソフトウェアを含んでいてもよい。
信号処理手段4が、その一部または全部を担う第1機能は、電気機器100が有する機能のうちの任意の機能であってよい。たとえば、第1機能は、電気機器100の特定の部分の制御機能、各種情報の記録機能、電気機器100と電気機器100のユーザーとの間のインターフェース機能、および、電気機器100と外部の機器との間の通信機能などであってよい。図2に示される例は、信号処理手段4が、電気機器100と外部機器Eとの間の通信機能の一部を担っている例である。第1機能が通信機能である場合、信号処理手段4は、たとえば、外部機器との信号伝送に必要な信号処理を行うようにプログラムされた通信制御IC、電気機器100の内部の信号を所定のフォーマットの送受信信号に変調および送受信信号を復調するモデムIC、ならびに、これらのICの周辺回路で構成され得る。さらに、第1機能は、通信に関する機能のうち、特に、前述のHART通信を担うものであってもよい。その場合、信号処理手段4は、HART通信に用いられる制御信号を処理する通信制御IC、HART通信用のモデムなどを含んでいてもよい。なお、本実施形態では、電気機器100への第1機能の付加および電気機器100からの第1機能の除去が容易であるという点で、第1機能は、電気機器100が有する機能の一部であることが好ましい。換言すると、第1機能は、多くとも電気機器100が有する機能の全てではないことが好ましい。
図2の例では、信号処理手段4は、第2線路L2を介して外部機器Eに接続されている。電気機器100は、信号伝送に関して、第1線路L1、第2線路L2および第3線路L3で外部機器Eと結ばれている。すなわち、信号処理手段4は、所謂3線式の通信プロトコルで信号の送受信を行う通信機能の一部を担うように構成されている。ここで、第1線路L1は、電気機器100または外部機器Eのいずれか一方から他方に電力が供給される給電ラインであり、第2線路L2は、所望の情報を含む信号が伝送される信号伝送ラインであり、第3線路L3は、伝送される信号の電位の基準となるグランドラインである。なお、図2では、信号処理手段4と外部機器Eとが第2線路L2を介して直接接続されているが、信号処理手段4は、伝送信号を実際に送受信する手段を介して外部機器Eに接続されていてもよい。
第3線路L3は電源部2のグランドと接続されており、電源部2と信号処理手段4とは、外部機器Eとの間の給電および信号伝送に関して、1つの第3線路L3を共用している。信号処理手段4は、電源部2のグランドと同一の線路を共用するグランドを基準とする信号を外部機器Eとの間で所定のプロトコルに従って送受信する通信機能を担うように構成されている。本実施形態の電気機器100のように電流制御手段1を有していない場合、負荷部3に流入する電流i1の変動に応じてグランドGに流れ込む電流が変動する。電流i1の変化が急峻な場合、グランドGに流れ込む電流の変化に伴ってグランドGの電位が変動し、グランドGに接続されている第3線路L3の電位も変動する。そのため、第3線路L3の電位(グランド電位)に対する、第2線路L2を介して伝送される信号の電位が変動し、電気機器100と外部機器Eとの間の正常な信号伝送が阻害されることがある。すなわち、電流制御手段1を有していない場合、信号処理手段4がその一部を担う第1機能が負荷部3の負荷変動の影響を受け得る。
特に前述のHART通信では、伝送されるデジタル信号の電流振幅が非常に小さいため、グランド電位の変動による伝送エラーや誤動作が生じ易いと考えられる。HART通信では、このようなグランドラインの共用がもたらす誤動作などを防止するために、給電ラインのグランドと、信号伝送ラインのグランドとを分離する、所謂4線式による通信も行われている。しかし、4線式は、2つのグランドラインを必要とするため、低コスト化や小型化の面で不利になることがある。
本実施形態では、前述のように電流制御手段1によって、負荷部3に流入する電流の変動によるグランド電位の変動が抑制されるので、所謂3線式のHART通信においても、伝送エラーや誤動作を生じさせることなく適切に、電気機器100と外部機器Eとの間で信号を伝送することができる。本実施形態の信号処理手段4が担い得る通信機能のプロトコルは、3線式のHART通信に限定されず、2線式もしくは4線式のHART通信であってもよい。また、その他にも、Modbus Protocol、FOUNDATION Fieldbus、Profibus、もしくは、イーサネット(登録商標)などが、信号処理手段4による通信のプロトコルとして例示される。しかし、微小な振幅の信号であっても少ない線路数で適切に信号を送受信し得るという点で、電流制御手段1を有する実施形態は、信号処理手段4が3線式のHART通信機能を担うように構成されている場合、より有益である。
電気機器100は、商用電源や電池などから電力の供給を受けて所定の機能を果たす機器であり、産業用途および民生用途のいずれの用途の電気機器であってもよく、その用途について特に限定されない。たとえば、電気機器100は、ノイズによる誤動作の防止が求められる自動車用の制御機器、通信機器、プラント内に構築される各種制御システムに組み込まれる制御機器、所謂白物家電を始めとする家庭用電化製品など、各種の電気機器のいずれであってもよい。従って、電気機器100は、負荷部3以外にも、その用途に応じた特定の機能を果たす部分であって、電源部2からの電流が流入する1つまたは2つ以上の負荷部分を有していてもよい。
また、電気機器100は、周囲の環境を監視して周囲環境が特定の状態にあることを検知する検知器や警報器であってもよい。このような検知器や警報器としては、特定の種類のガスが所定の濃度以上で存在することを検知するガス検知器をはじめ、煙検知器、火災警報器、人の侵入などを検知する防犯用の警報器などが例示される。電気機器100が検知器などである場合、電気機器100は、検知対象に応じた各種センサなどの検知手段(図示せず)を有し得る。このようなセンサとしては、一酸化炭素(CO)ガス、メタンガス(CH4)などを検知するガスセンサ、サーミスタからなる温度センサ、湿度センサ、および、煙センサなどが例示される(但しセンサはこれらに限定されない)。検知手段に、たとえば電源部2から電流が供給される場合、検知状態に応じて検知手段に流入する電流の大きさが変動し得る。従って、このような検知手段は負荷部3に含まれていてもよい。また、検知手段は、負荷部3と別に、電源部2または電流制御手段1に接続されていてもよい。
電気機器100が前述のように検知器である場合、図示しない検知手段の検知状態に応じて、検知手段への流入電流だけでなく、検知結果を表示する表示装置に流れる電流も検知手段の検知状態に応じて変動し得る。前述のように、負荷部3は、このような表示装置であってもよい。たとえば、負荷部3が後述のデジタル表示器29(図3A参照)である場合、検知手段の検知状態に応じて点灯するセグメントの数が変化し、負荷部3への流入電流が変動する。また、この場合、検知手段により検知される周囲の物理的環境の変化が緩やかであっても、デジタル表示器29の表示状態は、極めて短い時間、たとえば2ミリ秒の遷移時間で変化(1つまたは複数のセグメントが点灯から消灯に、またはその逆に変化)し得る。そのため、負荷部3への流入電流が、検知手段の検知状態に応じてグランド電位を変動させるほど急激に変化することがある。しかし、本実施形態では、電流制御手段1を有しているため、グランド電位の変動が低減される。従って、電気機器100の誤動作などを防止することができる。
つぎに、電気機器100が、3線式によるHART通信機能を備えた、可燃性ガスや有毒ガスを検知するガス検知器である場合を例に、本発明の一実施形態の電気機器の構造の一例について説明する。
図3Aおよび図3Bには、本発明の電気機器の一例であるガス検知器200の外観が示されている。図3Aは、ガス検知器200の設置時に設置面側となる面と反対側からみた正面図であり、図3Bは、図3A上、下方側からみた下面図である。図3Aおよび図3Bに示されるように、ガス検知器200は、本体側筐体21と蓋側筐体22とにより構成される筐体20を有している。本体側筐体21が筐体20の設置面側の部分を構成している。本体側筐体21と蓋側筐体22とは、ヒンジ部23によって係合されると共に、4本の筐体固定用ネジ24で結合されている。ガス検知器200は、検知対象のガスを検知するガスセンサを含む検知部25を備え、本体側筐体21の側面には、ガス検知器200と外部電源(図示せず)などとを電気的に接続するケーブル(図示せず)を挿し通すためのケーブル挿通部26を備えている。
ガス検知器200は、正面22aに、スティック状の操作ツールで外部から操作可能なガス検知器200の調整用の4つのスイッチ27、および、ガス検知器200の動作状態などが表示される3つのランプ部28を備えている。さらに、ガス検知器200は、正面22a側から蓋側筐体22の開口22bを通して視認し得るように設けられた、小数点を示すドット表示用を含めて1桁あたり8セグメントの点灯素子で数字を表示する4桁のデジタル表示器29を備えている。デジタル表示器29は、ガス検知器200の検知状態などを表示する。
図3Cには、図3AのIIIC−IIIC線での断面図が示されている(図3Bと異なり、本体側筐体21が、図3C上、上側に位置している)。また、図4には、本体側筐体21と蓋側筐体22とが分離されている状態で、ガス検知器200の内部が示されている(図4上、右側に本体側筐体21が示され、左側に蓋側筐体22が示されている)。なお、図4では、図3A〜3Cに示されているヒンジ部23、検知部25、およびケーブル挿通部26は省略されている。
図3Cおよび図4に示されるように、本体側筐体21および蓋側筐体22は、それぞれ凹部21cおよび凹部22cを有している。本体側筐体21の凹部21cと蓋側筐体22の凹部22cとにより、筐体20内に空間が確保され、この空間に第1回路基板31および第2回路基板32が収容されている。さらに、本体側筐体21の凹部21cには、第3回路基板33が配置され、第1回路基板31と第3回路基板33とは、複数の内部ケーブル30aによって電気的に接続されている。内部ケーブル30aと第1回路基板31とは、コネクタ35aを介して接続され、内部ケーブル30aと第3回路基板33とは、コネクタ35bを介して接続されている(図4では、コネクタ35aが結合されていない状態で、本体側筐体21および蓋側筐体22が示されている)。
第1回路基板31および第2回路基板32は、互いにほぼ平行に、厚さ方向において離間して、かつ、互いに重なるように蓋側筐体22に固定されている。このような配置にすることで、ガス検知器200が設置される設置面上の占有面積に関して小型のガス検知器200を得ることができる。第1回路基板31は、2つの第1回路基板固定用ネジ39で蓋側筐体22に固定されている。第2回路基板32は、第2回路基板32の固定用プレート34を介して蓋側筐体22に固定されている。固定用プレート34を用いることで、第1回路基板31に対する所定の相対位置に安定して第2回路基板32を配置することができる。第1回路基板31は、一部を除いて、固定用プレート34に覆われている。固定用プレート34は、4つのプレート固定用ネジ41によって4隅を蓋側筐体22に固定されている。第2回路基板32は2つの第2回路基板固定用ネジ44で固定用プレート34に固定されている。なお、図3Cに示される例と異なり、第1回路基板31よりも第2回路基板32が蓋側筐体22側に配置されてもよい。その場合、第1回路基板31が固定用プレートを介して蓋側筐体22に固定されてもよい。第1回路基板31および第2回路基板32の配置位置は、各基板に搭載される電気部品などに応じて任意に選択され得る。
第1回路基板31の凹部22cの底面側の面(図3C上、下側の面、以下、単に裏面という)には、デジタル表示器29が実装されている。デジタル表示器29は、ガス検知器200の外部から、その表示を視認し得るように蓋側筐体22の開口22bに対応する位置に実装されている。デジタル表示器29の電気的な負荷は、前述のように、ガス検知器200の検知状態に応じて、すなわち経時的に変化する。従って、デジタル表示器29は、ガス検知器200である本実施形態の電気機器の負荷部3と見做され得る。図示されていないが第1回路基板31にはLEDなどの灯火装置が実装されており、図示されない灯火装置の光をランプ部28まで導く導光部材28aが、蓋側筐体22の凹部22c内に配置されている。なお、第1回路基板31、固定用プレート34および第2回路基板32の固定手段は、符号39、41または44で示されるようなネジに限定されない。たとえば、第1回路基板31、固定用プレート34および第2回路基板32の固定手段は、リベットや接着材であってもよく、締り嵌めとなるように設計された、蓋側筐体22の突起部と第1回路基板31などの貫通孔との単なる嵌め合いであってもよい。
第3回路基板33は、本体側筐体21の凹部21cの底部付近に、第1回路基板31および第2回路基板32とほぼ平行に配置されている。第3回路基板33は、図示されていないが、ネジなどの任意の固定手段で本体側筐体21に固定されている。第3回路基板33には、外部ケーブル用コネクタ36が実装されている。外部電源などとの接続用の複数の外部ケーブル30bが、ケーブル挿通部26を通して本体側筐体21内に導入され、外部ケーブル用コネクタ36に接続されている。外部ケーブル用コネクタ36は、外部ケーブル用コネクタ36の実装面(第3回路基板33と対向する面)に対して、外部ケーブル30bが斜めに挿入されて固定されるタイプのコネクタである。従って、外部ケーブル30bは、第3回路基板33や第1および第2回路基板31、32に対して、垂直方向でも平行方向でもなく、ケーブル挿通部26側から斜め方向に外部ケーブル用コネクタ36に挿し込まれている。このような挿入方向とすることにより、外部ケーブル30bを容易に外部ケーブル用コネクタ36に挿入することができる。しかも、外部ケーブル30bの柔軟性が比較的低い場合でも、固定用プレート34と第3回路基板33との間に、両基板および外部ケーブル30bに過度なストレスを与えることなく外部ケーブル30bを収めることができる。図示されていないが、第3回路基板33には、外部ケーブル用コネクタ36の他に、ガス検知器200内の電気回路を外来のサージ電圧などから保護する保護回路などが実装され得る。本体側筐体21の凹部21cの周囲にはOリング37が設けられている。
固定用プレート34は、その平面図および正面図が図5(a)および図5(b)にそれぞれ示されるように、全体として矩形の板材により形成され、本体部341、および、外周上の対向する2辺それぞれの近傍の部分からなる側端部342を有している。本体部341と側端部342とは、両者の間に段差が生じるように繋げられており、固定用プレート34は、側端部342の無い縁部側からみたときに、図5(b)に示されるように、全体として凸形状を有している。本体部341には、第2回路基板固定用ネジのための2つの貫通孔34dが設けられ、側端部342には、プレート固定用ネジのための4つの貫通孔34eが設けられている。また、固定用プレート34には、3つの切り欠き34a、34bおよび34cが設けられている。
再度図3Cおよび図4を参照すると、第1回路基板31には、コネクタ35の他に、第1回路基板31内に構成される電気回路の所定のノードと電気的に接続された端子部38が設けられている。端子部38は、図3Cおよび図4の例ではコネクタにより形成されているが、第1回路基板31の導体層に形成された導体パッドなどでもよい。端子部38は、たとえば、第1回路基板31に構成される電気回路の検査や、第1回路基板31に実装される記憶素子(図示せず)への情報の書き込みなどのために設けられる。図4の例では、固定用プレート34の、コネクタ35aに対応する位置に切り欠き34aが設けられ、切り欠き34a内にコネクタ35aが露出している。また、端子部38に対応する位置に切り欠き34bが設けられ、切り欠き34b内に端子部38が露出している。そのため、固定用プレート34を蓋側筐体22に固定した状態で、容易に、コネクタ35aを挿抜することができ、また、端子部38を介して記憶素子への書き込みなどを行うことができる。
図6には、第1回路基板31などが配置された蓋側筐体22の図4のVI−VI線での断面図が示されている(図6は、図3Cに示される断面図の視点とは反対の側からみた断面図となっている。なお、導光部材28aは省略されている)。図6に示されるように、蓋側筐体22の凹部22cの外周部に、本体側筐体21(図3C参照)との結合面22dよりも凹んだ位置に座ぐり面22eが設けられており、第1回路基板31が座ぐり面22e上に載置され、第1回路基板固定用ネジ39で蓋側筐体22に固定されている。また、固定用プレート34は、スペーサ40を介して、座ぐり面22eにプレート固定用ネジ41で固定されている。固定用プレート34には、スペーサ42を介して第2回路基板32が固定されている。
第1回路基板31には、基板対基板タイプのコネクタ43aが実装されており、第2回路基板32には、コネクタ43aに嵌合する基板対基板タイプのコネクタ43bが実装されている。第1回路基板31が蓋側筐体22に取付けられ、その後、第2回路基板32が固定用プレート34を介して蓋側筐体22に固定されるときに、コネクタ43aとコネクタ43bとが結合される。このとき、第1回路基板31が蓋側筐体22に対して正確な位置に固定されていないと、コネクタ43aとコネクタ43bとを適正に結合することができない。しかし、再度図4を参照すると、切り欠き34a、34c内に、第1回路基板31の固定手段である第1回路基板固定用ネジ39が露出している。すなわち、固定用プレート34には、第1回路基板固定用ネジ39と対応する位置に切り欠き34a、34cが設けられている。そのため、第2回路基板32が取付けられた固定用プレート34に第1回路基板31の大半の部分が覆われた状態でも、第1回路基板固定用ネジ39を回すことができる。すなわち、固定用プレート34を蓋側筐体22に取り付ける時点で、第1回路基板31が蓋側筐体22に固定されていなくてもよい。たとえば、事前にコネクタ43aとコネクタ43bとを結合させたうえで、第1回路基板31および固定用プレート34を蓋側筐体22に固定することができる。または、たとえば、第1回路基板31を蓋側筐体22に仮固定した状態、すなわち、第1回路基板31を僅かに動かし得る状態で、コネクタ43aとコネクタ43bとを位置合わせしながら結合させることができる。その後、第1回路基板固定用ネジ39を締め付けることにより第1回路基板31を完全に固定することができ、さらに固定用プレート34を蓋側筐体22に固定することができる。
図7には、図4に示される固定用プレート34が取り付けられていない状態で、蓋側筐体の凹部22c内の第1回路基板31が示されている。第1回路基板31には、コネクタ35、コネクタ43aおよび端子部38が設けられる他、ガス検知器200を構成する所定の電気回路6が形成されている。電気回路6は前述の電源部2を含んでいる。図示されていないが、電気回路6は第1回路基板31の裏面(図7に示されている面と反対側の面)にも形成されており、第1回路基板31の裏面には、前述のように負荷部3となり得るデジタル表示器29(図3C参照)が実装されている。
一方、ガス検知器200では、図8に示されるように、第2回路基板32上に電流制御手段1が形成されている(図8には、図4に示される固定用プレート34を図4上、左右方向に反転させた状態で、固定用プレート34に取付けられた第2回路基板32が示されている)。たとえば、後述のシャントレギュレータU1、基準電圧発生器U2、演算増幅器U3、トランジスタQ1、および抵抗R1〜R9(いずれも図9参照)などの電流制御手段1の構成要素は、第2回路基板32に実装される。また、第2回路基板32には、ガス検知器200において、3線式のHART通信の制御ならびにHART信号の変調および復調を行う電気回路により構成される信号処理手段4が形成されている。
図7および図8に示されるように、ガス検知器200では、電源部2は第1回路基板31に形成され、第2回路基板32上に設けられた電流制御手段1に電源部2から電流が供給される。電流制御手段1から流出する電流は、第1回路基板31側に戻って、デジタル表示器29を含む負荷部3(図6参照)に流入する。前述のように、電流制御手段1により、負荷部3への電流の変動によるグランド電位の変動が抑制される。グランド電位の変動の影響を受け易い3線式によるHART通信機能(第1機能)を担う信号処理手段4は、電流制御手段1と共に第2回路基板32に形成されている。すなわち、HART通信機能を担う部分と、正常に3線式のHART通信が行えるようにグランド電位の変動の抑制を担う部分とが、ガス検知器200の電気回路の他の構成部分が形成される基板(第1回路基板31)と別の基板(第2回路基板32)に纏めて形成されている。そのため、第2回路基板32の接続を省略するだけで、容易にHART通信機能を有さない廉価型のガス検知器を得ることができる。逆に、HART通信機能を有さない複数種のガス検知器に第2回路基板32を接続するだけで、既存の部分の大幅な改造を要することなく簡単に、HART通信機能を有する複数種のガス検知器200を得ることができる。しかも、負荷部3の電流の変動に影響されにくい、誤動作や伝送エラーの少ないHART通信機能を、既存のガス検知器に付加することができる。なお、第2回路基板32を用いない場合は、電源部2から負荷部3に直接電力が供給されるように、第1回路基板31に予め設けておいた接続用パッドにジャンパ部材などを実装して電源部2と負荷部3とを電気的に接続してもよい。
なお、図7や図8に示される電源部2、ならびに、電流制御手段1および信号処理手段4は、単にこれらが第1回路基板31、または、第2回路基板32上に形成されることを示しているに過ぎず、その大きさや各回路基板上での正確な位置を示すことは意図されていない。電源部2や電流制御手段1などは、図7および図8に示される面と反対の面に形成されていてもよく、第1および第2の回路基板31、32の両面に形成されていてもよい。たとえば、電流制御手段1の一部または全部が、図8に示される面と反対の面(固定用プレート34に対向する面)に形成されていてもよい。また、その場合、電流制御手段1の構成要素と固定用プレート34とが、直接、または熱伝導可能に間接的に接していてもよい。電流制御手段1には負荷部3への流入電流に応じた電流が流れ込むため、電流制御手段1の構成要素、たとえば集積回路装置、個別半導体素子または電気抵抗などは、動作中に発熱を伴うことがある。そのような構成要素を、たとえば、アルミニウムやステンレス鋼などの金属材料により形成され得る固定用プレート34と直接、または熱伝導可能に接するように配置することにより、これらが過熱状態となることを回避することができる。ここで、「熱伝導可能に間接的に(接する)」は、少なくとも空気よりも熱伝導率の高い材料を介して固定用プレート34に接することを意味している。
図8に示される第2回路基板32では、第2回路基板32に構成される電気回路の検査や、第2回路基板32に実装される記憶素子(図示せず)への情報の書き込みなどのために設けられるコネクタ45が、第2回路基板32の縁部に実装されている。コネクタ45の相手側のコネクタとの嵌合面は、第2回路基板32の側方に向けられている。そのため、固定用プレート34が蓋側筐体22(図4参照)に固定された状態でも、コネクタ45の相手側のコネクタを第2回路基板32の側方からコネクタ45に挿入して、記憶素子への書き込みなどを行うことができる。
図9には、電流制御手段1の定電流生成部11および定電圧生成部12を構成する具体的な電気回路の一例が示されている。図9の例では、定電流生成部11は、演算増幅器U3、基準電圧発生器U2、Pチャネル電界効果トランジスタ(以下、単に「トランジスタ」という)Q1、および抵抗R1〜R6で構成されている。アノード端子に対して一定の基準電圧Vr2を基準電圧出力端子U2rに出力するシャントレギュレータが、基準電圧発生器U2として用いられ、基準電圧出力端子U2rとカソード端子とが接続されている。トランジスタQ1のソース端子に、電源部2(図1参照)から電流Ic1が流入し、抵抗R6のトランジスタQ1のドレイン側と反対側の一端R6aから定電流Icが流出する。演算増幅器U3には市販の演算増幅器を用いることができる。トランジスタQ1も、定電流Ic1を上回る定格ドレイン電流を有するものであれば特に限定されない。抵抗R1〜R3およびR6の抵抗値は、所望の定電流Ic、および基準電圧発生器U2の基準電圧Vr2の大きさに応じて適宜選択される。
図9の例では、定電圧生成部12は、シャントレギュレータU1および抵抗R7〜R9で構成されている。シャントレギュレータU1は、所望の精度の第2電圧V2を生成し得る基準電圧Vr1の精度を有し、電流i1の変動に応じて流入する電流i2に対して十分な電流容量を有するものであれば特に限定されない。なお、直列接続された2つの抵抗R7およびR8が用いられているが、所望の抵抗値および公差を満たし得る場合は、1つの抵抗が、シャントレギュレータU1のカソード端子と基準電圧出力端子U1rとの間に接続されてもよい。
図9に示される定電流生成部11および定電圧生成部12の動作について説明する。抵抗R1および抵抗R2の直列回路の両端には、基準電圧発生器U2の基準電圧Vr2が印加され、抵抗R1の一端R1aと他端R1bとの間には定電圧で電位差が発生する。また、演算増幅器U3の非反転入力端子には、抵抗R1の他端R1bの電圧Vinが入力され、演算増幅器U3の反転入力端子に接続されている抵抗R6の一端R6aの電圧が、負帰還回路が形成された演算増幅器U3によって、電圧Vinとほぼ同じになるように制御される。その結果、抵抗R6の両端にも抵抗R1の両端間と同じ一定電圧の電位差が生じることとなり、固定抵抗である抵抗R6には定電流Icが流れる。この定電流Icが、負荷部3および定電圧生成部12に供給される。一方、定電圧生成部12では、シャントレギュレータU1により、基準電圧Vr1、および抵抗R7〜R9の抵抗値に基づいて第2電圧V2が生成される。
前述のように、定電流生成部11からは定電流Icが供給され、一方、負荷部3に流れる電流i1は経時的に変動する。図9の例では、定電圧の第2電圧V2が生成されるように、シャントレギュレータU1によってカソード電流が調整される。そのため、定電流Icと、負荷部3への電流i1との差分の電流i2は、第2電圧V2が一定に保たれるように、カソード電流としてシャントレギュレータU1側に分流され、グランドGを介して電源部2に戻される。負荷部3への電流i1が変動しても、その変動に応じた電流i2がシャントレギュレータU1によって分流される。それにより、定電流生成部11は、負荷部3の負荷の変動に影響されずに定電流Icを流し続けることができる。また、定電圧生成部12によって定電圧の第2電圧V2が生成されることにより、抵抗R1の一端R1aや基準電圧発生器U2のカソード端子の電圧もほぼ一定となる。そのため、基準電圧発生器U2や抵抗R1に流れる電流もほぼ一定となり、電源部2から定電流生成部11に流入する電流Ic1もほぼ定電流となる。その結果、電源部2から流出する電流、およびグランドラインを介して電源部2に戻る電流の変動が抑制されると共に、電源部2のグランド電位が安定し、電気機器100の誤動作などを防ぐことができる。
なお、シャントレギュレータU1には、このように負荷部3への電流i1の変化に応じて電流i2が流入する。そのため、シャントレギュレータU1は、その動作において発熱を伴うことがある。従って、シャントレギュレータU1は、好ましくは、第2回路基板32の固定用プレート34側の面に配置され、かつ、固定用プレート34と直接、または熱伝導可能に間接的に接するように配置される。
実施例1
図9に示される定電流生成部11および定電圧生成部12からなる電流制御手段1を、ガス検知器(新コスモス電機株式会社製:KD−12B)に付加して、グランド電位の変動の低減効果について調べた。ガス検知器は、図3Aに示されるようなデジタル表示器29およびLEDによる光を放射するランプ部28を有していた(ただし、HART通信機能は有していない)。このデジタル表示器29およびランプ部28の光を発するLEDの状態を経時的に変化させ、デジタル表示器29およびLEDなどを含む負荷部3(図2参照)に流れる電流i1の変動に対する、ガス検知器のグランドラインに流れる電流の変動を調べた。
この調査では、ガス検知器KD−12Bが備える電源部が切り離され、電源部2として、テキサスインスツルメンツ社のスイッチングレギュレータIC:LM2501の評価ボードが接続され、この電源部2に、外部電源から24Vの電圧が供給された。電源部2はスイッチング周波数を500kHz、出力電圧を3.6Vに設定された。すなわち、本実施例では、第1電圧V1(図2参照)は3.6Vであった。シャントレギュレータU1にはルネサスエレクトロニクス社のμPC1093が用いられ、第2電圧V2が3.18Vとなるように、抵抗R7〜R9が選択された。基準電圧発生器U2には、テキサスインスツルメンツ社のシャントレギュレータTLV431Aが用いられ、基準電圧発生器U2は、TYP値として1.24Vの基準電圧Vr2を有していた。演算増幅器U3およびトランジスタQ1には、テキサスインスツルメンツ社のOPA170、ローム社のRQ5E035ATが、それぞれ用いられ、定電流Icが57.4mAとなるように、抵抗R1〜R3およびR6が選択された。
各電流の測定は、各桁8セグメント×4桁のデジタル表示器29の最上位桁だけを8ミリ秒毎に全セグメント点灯させると共に、ランプ部28への光を発する3つのLEDを1秒周期、デューティ比50%で点滅させながら行った。なお、負荷部3への電流i1の測定は、電流制御手段1と負荷部3との間に0.5Ωの抵抗を挿入し、この抵抗による電圧降下を測定することにより行った。同様に、グランドラインに流れる電流は、外部電源と電源部2との間のグランドラインに20Ωの抵抗を挿入し、その電圧降下を測定することにより行った。各電流の測定は、いずれもオシロスコープを用いて行った。
図10Aおよび図11Aは、負荷部3に流れる電流i1の測定結果であり、図10Bおよび図11Bはグランドラインの電流の測定結果である。ここで、図10Aおよび図10Bは、オシロスコープの時間軸の設定を1divisionあたり5秒として観測したものであり、図11Aおよび図11Bは、時間軸の設定を1divisionあたり0.1秒に拡大して観測したものである。また、図10Bおよび図11B中、符号igは本実施例において測定されたグランドラインの電流を示し、符号ixは、比較のために測定された、電流制御手段1が付加されていない比較例におけるグランドラインの電流を示している。なお、負荷部3への電流は、本実施例および比較例の間で違いはないため、図10Aおよび図11Aには、1つの電流波形(電流i1)だけが示されている。
図10Aに示されるように、負荷部3への電流i1は、LEDの点滅周期(1秒)に合わせて、約1秒の周期P1で、その大きさが変化している。また、時間軸を拡大して測定された結果である図11Aに示されるように、デジタル表示器29の8ミリ秒周期の表示状態の変化に合わせて、約8ミリ秒の周期P2で電流i1の大きさが変動している。すなわち、電流i1は、図10Aでは黒く塗りつぶされて帯状に描かれているが、デジタル表示器29に流れる電流量に応じて約8ミリ秒周期で細かく変動し、かつ、ランプ部28の光を発するLEDに流れる電流量に応じて約1秒周期で変動している。なお、図11Aおよび図11Bは、LEDが点灯状態にある0.2秒間(時間t1秒から(t1+0.2)秒までの間)の測定結果を示している。また、図10Aにおいて、時間T1以降は、LED表示灯28が常時点灯状態にされたので、電流i1の1秒周期の変動は生じていない。また、電流i1は、デジタル表示器29やLED以外のガス検知器の構成要素にも流れているため、図10Aや図11Aにおいてゼロレベルまで低下することなく流れ続けている。
負荷部3への電流i1が図10Aおよび図11Aに示されるように変動している状況において、比較例では、グランドラインの電流ixは、図10Bに示されるように電流i1の変動に応じて1秒周期で変動し、さらに、図11Bに示されるように8ミリ秒周期で変動している。これに対して、本実施例では、図10Bおよび図11Bの符号igに示されるように、電流i1の変動に影響されることなくほぼ一定の電流値でグランドラインの電流igが流れていることがわかる。従って、デジタル表示器29などに流れる電流の変動によってガス検知器内の信号ラインの電位に変動が生じることがなく、正常なガス検知器の動作を得ることができる。また、前述のHART通信では、500Hz〜10kHzの周波数帯において、負荷抵抗500Ωの場合に、2.2mVrms以下というグランドレベルの変動についての規格が定められているが、本実施例ではグランドレベルの変動はほぼ0mVrmsであり、図9に例示される一実施形態の電流制御手段1を用いることにより、このHART通信の規格を満たすことができる。