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JP6788414B2 - 土壌物性調整材の製造方法及び土壌物性調整材 - Google Patents
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JP6788414B2 - 土壌物性調整材の製造方法及び土壌物性調整材 - Google Patents

土壌物性調整材の製造方法及び土壌物性調整材 Download PDF

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Description

本発明は、汚染物質を含む汚染土壌に鉄粉を添加して、該汚染土壌から汚染物質が吸着した鉄粉を乾式磁選により回収除去する際に、前記汚染土壌に添加して該汚染土壌の物性を調整するために用いられる、土壌物性調整材の製造方法、及び、土壌物性調整材に関する。
従来から、道路工事やトンネル工事等に伴って生じる残土は、所定の残土処理施設で処理したり、他の用途に用いたりしているが、これらの方法は、汚染物質を含む汚染土壌の場合には適用できない。
このような汚染物質を含む汚染土壌の処理方法として、下記特許文献1には、ヒ素やセレン等の汚染物質を含む汚染土壌に対して鉄粉を添加する鉄粉添加工程と、磁選前の汚染土壌の水分含有量を36質量%以下に調整する水分含有量調整工程と、水分含有量が36質量%以下である汚染土壌から鉄粉を乾式磁選により回収除去する乾式磁選工程とを含む、汚染土壌の無害化処理方法が記載されている。
この方法は、ヒ素やセレン等の重金属が鉄粉に吸着する性質を利用するものであって、汚染土壌に鉄粉を添加して、汚染土壌中の重金属を吸着させて、その鉄粉をドラム型の磁選機等によって磁選することによって、汚染土壌から汚染物質を除去する。ただし、汚染土壌の水分量が多いと、ドラム型の磁選機等によって土壌から鉄粉を分離することが困難となる。そのため、磁選前の汚染土壌の水分含有量を調整するために、例えば、半水石膏や無水石膏等の石膏を、汚染土壌に添加して磁選するようにしている(乾式磁選)。また、石膏は、吸湿性を有し且つ汚染土壌よりも平均粒径が小さいため、汚染土壌に石膏を添加することによって、汚染土壌の水分含有量を低下させて、汚染土壌の平均粒径を小さくして、磁選しやすくさせる。
ところで、下水脱水汚泥を焼却した際には、焼却灰が生じる。下記特許文献2には、汚泥焼却炉の排ガスを700℃以上で高温セラミックフィルタに供給して、高温集塵灰を捕集し、捕集された高温集塵灰を粗粒灰と微粒灰とに分級する、汚泥焼却炉排ガスの集塵方法が記載されており、その実施形態には、焼却灰(特に粗粒灰)を、セメント材料や、セメントを固化するための添加剤として用いることが記載されている(特許文献2の段落0016)。
特許第5647371号公報 特開2008−221206号公報
しかしながら、上記特許文献1の汚染土壌の無害化処理方法において、汚染土壌の水分含有量を調整するための石膏は、汚染土壌に大量に添加する必要があるので、磁選後の処理後土壌が多くなり、土壌保管設備の過大化、処理後土壌の運搬量の増加等が生じていた。そのため、磁選前における、汚染土壌の水分調整に利用可能な、石膏に代わる材料が求められていた。
本出願人らは、有機性廃棄物の焼却により生じる焼却灰が、汚染土壌よりも平均粒径が小さく、焼却設備から回収したときに乾いていることから、汚染土壌の水分等の物性調整に利用可能であることを見出した。
しかしながら、汚染土壌の物性調整に焼却灰を利用する際には、焼却灰の粒径や組成、吸湿性などが、土壌物性調整材として適合し、かつ、焼却灰自体が所定の土壌汚染対策法で定められている汚染状態に関する基準(以下、汚染状態に関する基準)に適合している必要があった。
したがって、本発明の目的は、乾式磁選工程を含む汚染土壌の無害化処理方法において、汚染土壌の物性を調整するために、好適に利用することができる土壌物性調整材を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一つは、汚染物質を含む汚染土壌に鉄粉を添加して、該汚染土壌から汚染物質を吸着した鉄粉を乾式磁選により回収除去する際に、前記汚染土壌に添加して該汚染土壌の物性を調整するために用いられる、土壌物性調整材の製造方法であって、炉内温度を500〜900℃とした流動炉に有機性廃棄物を投入し、該流動炉内に空気を吹き込みつつ、前記有機性廃棄物を焼却する有機性廃棄物焼却工程と、該有機性廃棄物焼却工程で前記有機性廃棄物が焼却されることにより生成された高温排ガスを、内部温度を500℃〜900℃としたサイクロン式集塵機に供給して高温排ガスに含まれる焼却灰を回収する集塵工程と、を含むことを特徴とする。
上記土壌物性調整材は、石膏と同等あるいはそれ以上の吸湿性を有し、高温排ガスから回収された焼却灰からなるので、低沸点の重金属(例:ヒ素、セレン等)の濃度が通常の焼却灰と比較して低くなり、汚染状態に関する基準を満たしやすくすることができる。そして、この土壌物性調整材を、鉄粉を添加混合した汚染土壌に添加することによって、土壌物性調整材が汚染土壌中の水分を吸湿して、汚染土壌の団粒構造が形成されにくくなって、汚染土壌の粒径を小さくすることができる。それによって、乾式磁選による、汚染土壌からの鉄粉の回収率を高めることができる。
本発明に係る土壌物性調整材の製造方法においては、前記有機性廃棄物焼却工程において、空気比を1.0以下とした空気を吹き込みつつ、前記有機性廃棄物を焼却することが好ましい。この態様によれば、焼却灰に炭素を含有させ、その平均粒径がより小さい土壌物性調整材を得ることができる。また、炭素成分は、その吸湿性が大きいため、炭素を含有する土壌調整材を土壌と混ぜると、その土壌粒子と接触し、土壌に含まれる水分の吸湿性を高めることができる。その結果、汚染土壌に添加したときに、汚染土壌の水分を効果的に吸湿して、汚染土壌の粒径をより小さくすることができる。
本発明に係る土壌物性調整材の製造方法においては、前記有機性廃棄物焼却工程における空気比mを、0.6〜0.9とすることが好ましい。この態様によれば、焼却時において、少ない燃料使用量で焼却灰に一定の炭素含量を含ませて、吸湿効果がより高まるように調整することができる。
本発明に係る土壌物性調整材の製造方法においては、前記集塵工程において、前記サイクロン式集塵機の分離限界粒子径を5〜20μmの範囲で設定することが好ましい。この態様によれば、捕集される集塵灰の平均粒径を小さくし、汚染土壌に添加混合した際に、汚染土壌に含まれる水分の吸湿性を高めることができると共に、土壌の平均粒径を小さくすることができる。
本発明に係る土壌物性調整材の製造方法においては、前記有機性廃棄物焼却工程において、前記有機性廃棄物にCa源を添加することが好ましい。この態様によれば、有機性廃棄物焼却工程において、焼却される有機性廃棄物に、CaCO、CaO、Ca(OH)等のCa源を添加することにより、有機性廃棄物由来の硫黄(S)から発生するSOが、炉内脱硫されて、中性の鉱物である石膏(半水石膏(CaSO・1/2HO)及び無水石膏(CaSO)となって焼却灰に含有されるので、それによって、焼却灰中に水を吸着する性能を有する成分を増やすことになり、汚染土壌の水分をより吸収させやすくすることができ、更には汚染土壌のpHを変えることなく利用できる。
また、本発明のもう一つは、汚染物質を含む汚染土壌に鉄粉を添加して、該汚染土壌から汚染物質を吸着した鉄粉を乾式磁選により回収除去する際に、前記汚染土壌に添加して該汚染土壌の物性を調整するために用いられる、土壌物性調整材であって、炭素を5〜40質量%含む有機性廃棄物焼却灰からなることを特徴とする。
上記発明によれば、土壌物性調整材が、炭素を5〜40質量%含む有機性廃棄物焼却灰からなるので、この土壌物性調整材を、汚染土壌に添加混合することによって、汚染土壌の水分を効率良く吸湿して、汚染土壌の水分含有量を低くし、土壌の団粒化を抑制して、汚染土壌の平均粒径を小さくすることができ、汚染土壌を磁選する際に、汚染土壌から汚染物質が付着した鉄粉を乾式磁選により回収する際の鉄粉の回収率を高めることができる。
本発明に係る土壌物性調整材は、平均粒径が100μm以下とされていることが好ましい。この態様によれば、汚染土壌に添加混合した際に、土壌粒子と均一に混ざりやすく、吸湿効果を高めることができると共に、土壌粒子をより細かくすることができる。
本発明によれば、高温排ガスに含まれる焼却灰を回収するので、石膏と同等あるいはそれ以上の吸湿性を有し、かつ、汚染状態に関する基準も満たしやすい土壌物性調整材を製造することができる。この土壌物性調整材を、鉄粉を添加混合した汚染土壌に添加することによって、土壌物性調整材が汚染土壌中の水分を吸湿して、汚染土壌の団粒構造が形成されにくくなって、汚染土壌の平均粒径を小さくすることができ、汚染土壌から汚染物質が付着した鉄粉を乾式磁選により回収する際の鉄粉の回収率を高めることができる。
本発明に係る土壌物性調整材が用いられる、汚染土壌の処理方法のフロー図である。 本発明に係る土壌物性調整材の製造方法の説明図である。 同土壌物性調整材の製造方法に用いられるサイクロン式集塵機の説明図である。 同サイクロン式集塵機における、粒径と、頻度及び通過分積算との関係を示すグラフである。 同土壌物性調整材の製造方法における、石膏(半水石膏(CaSO・1/2HO)及び無水石膏(CaSO)の生成反応図である。 比較例1における汚泥焼却方法の説明図である。 吸湿性試験の試験結果を示しており、経過日数と吸湿量との関係を示すグラフである。 磁選効果確認試験の試験結果を示しており、平均粒径と磁着物回収量との関係を示すグラフである。 (a)には、土壌物性調整材を添加しない土壌を、乾燥させた状態の写真であり、(b)は、半水石膏を添加した土壌を磁選分離して乾燥させた状態の写真であり、(c)は、本発明における実施例3の土壌物性調整材を土壌に添加し、該土壌を磁選分離した写真である。
以下、図面を参照して、本発明に係る土壌物性調整材の製造方法の、一実施形態について説明する。
本発明の土壌物性調整材は、例えば、図1に示すような汚染土壌の処理方法に適用されるものである。すなわち、この汚染土壌の処理方法は、汚染土壌に、鉄粉や、硫酸等の酸を添加して混合する工程(ステップS1)と、鉄粉が混合された汚染土壌に、土壌物性調整材を添加・混合して、汚染土壌の物性(水分、粒度等)を調整する工程(ステップS2)と、物性調整された汚染土壌を、ドラム型の磁選機等によって磁選する工程(ステップS3)とを含むものである。
そして、ステップS3の磁選工程によって、ヒ素、鉛、六価クロム、カドミウム、セレン、水銀、シアン、フッ素及びホウ素や、それらの化合物を含む有害物質は、鉄粉と共に、磁選機によって磁選されて、磁着物として回収される。この磁着物は、所定の処理方法(埋め立て等)によって処理される。一方、磁選されなかった非磁着物は、浄化土として、土木工事等に利用される。
本発明の土壌物性調整材の製造方法は、炉内温度を500〜900℃とした流動炉に汚泥などの有機性廃棄物を投入し、該流動炉内に空気を吹き込みつつ、前記有機性廃棄物を焼却する有機性廃棄物焼却工程と、該有機性廃棄物焼却工程で前記有機性廃棄物が焼却されることにより生成された高温排ガスを、内部温度を500℃〜900℃としたサイクロン式集塵機に供給して高温排ガスに含まれる焼却灰を回収する集塵工程とを含むものである。
図2には、上記製造方法を実施するための製造装置の一例が示されている。この製造装置は、有機性廃棄物を焼却する流動炉10と、該流動炉10から発生する高温排ガス中に含まれる焼却灰を回収するためのサイクロン式集塵機15と、このサイクロン式集塵機15を通過した高温排ガスから熱交換を行う熱交換器20と、この熱交換器20を通過した排ガスから、サイクロン式集塵機15で捕集できなかった焼却灰を捕集するためのろ過式集塵機25(バグフィルター等)と、ろ過式集塵機25を通過した低温排ガスから有害ガス除去を行う洗浄塔30(スクラバー等)とを備えている。流動炉10とサイクロン式集塵機15とは配管L1で接続され、サイクロン式集塵機15と熱交換器20とは配管L2で接続され、熱交換器20とろ過式集塵機25とは配管L3で接続され、ろ過式集塵機25と洗浄塔30とは配管L4で接続されている。
次に、上記製造装置を用いた本発明の土壌物性調整材の製造方法の一実施形態について説明する。
まず、流動炉10を利用した有機性廃棄物焼却工程について説明する。流動炉10内の底部には、砂層3が堆積されており、この砂層3に、ブロワ5によって、空気が吹き込まれて、流動状態にされると共に(流動床)、炉内温度が500〜900℃に保持されている。そして、この流動炉10内に、有機性廃棄物が投入されることで、流動状態の砂層3に有機性廃棄物が攪拌・混合されて、有機性廃棄物が焼却されるようになっている。
有機性廃棄物として、この実施形態では、下水処理等から発生する汚泥が採用されているが、その他に、木質廃棄物や食品廃棄物、し尿汚泥等を採用することもできる。
前記流動炉10の炉内温度は、500〜900℃とされているが、750〜850℃であることが好ましい。なお、流動炉10の炉内温度が500℃未満の場合には、有機性廃棄物を十分に焼却あるいはガス化できなかったり、900℃を超えると、灰分が溶融してクリンカの生成原因となる。
また、ブロワ5によって吹込む空気の空気比mは、1.0以下とすることが好ましい。ここで、空気比mは、有機性廃棄物を完全燃焼させるのに必要な空気量を理論空気量Aとし、実際に流動炉10に吹込む空気量を実空気量Aとしたとき、実空気量A/理論空気量Aで求められる。空気比mを1.0以下とすることで、流動炉10内の空気がいわゆる不完全燃焼状態となって、焼却灰に、表面積が大きく吸湿性能が高い炭素を含ませることができる。更に、炭素はその粒径が比較的小さいので、このような炭素が焼却灰に含まれることによって、有機性廃棄物焼却工程の次の集塵工程において、粒径の小さい集塵灰を得ることができる。
ところで、炭化物を得ることを目的とする炭化炉においては、空気比mを0.5以下とすることが一般的である。しかし、土壌物性調整材を製造する際には、空気比mを0.5以下とすると、炭化物が多くなりすぎ、使用する補助燃料が過大となる傾向がある。また、炉内を高温に保ちにくく、炭化物の回収温度が低くなる傾向があり、重金属を十分に除去しにくくなる。このため、空気比mは、0.5よりも大きく、1.0以下であることが好ましい。
また、上記空気比mは、0.6〜0.9であることが好ましく、0.8〜0.9であることがより好ましい。空気比mを0.6〜0.9とすると、汚染土壌の水分調整に適当な性質となるように、焼却灰に適度な量の炭素分を含有させることができる。
本発明においては、上記空気比mを調整することにより、土壌物性調整材に含まれる炭素含量を5〜40質量%とすることが好ましく、5〜20質量%とすることがより好ましい。炭素含量を上記の範囲に設定することにより、土壌物性調整材の吸湿性をよりたかめ、かつ、土壌物性調整材の粒径を小さくして、汚染土壌に添加したときの土壌の細粒化をより促進することができる。
また、この実施形態においては、図2に示すように、有機性廃棄物焼却工程において、有機性廃棄物にCa源を添加する。
図5を参照して説明すると、流動炉10内に、CaCO(石灰石)、CaO、Ca(OH)等のCa源を添加することで、有機性廃棄物に由来する、SO等のSOxが炉内で添加されたCa源と反応して、半水石膏(CaSO・1/2H0)や、無水石膏(CaSO)等の石膏が生成される。
例えば、Ca源として、CaCOを添加した場合には、下記の反応式(1)のように、850℃付近でCOが分離する。
CaCO→CaO+CO・・・・・・・・・・・(1)
そして、CaOは、有機性廃棄物由来のSOに、下記反応式のように反応して、半水石膏(CaSO・1/2HO)や無水石膏(CaSO)が生成される。
CaO+SO+1/2O→CaSO・・・・・(2)
CaSO+1/2HO→CaSO・1/2HO・・・・・(3)
こうして、流動炉10に生成された石膏が、高温排ガスの組成成分として、サイクロン式集塵機15に送られて、サイクロン式集塵機15によって回収される。石膏は、吸湿性を有する物質であるため、これによって、回収された集塵灰に吸湿性を有する成分が増加し、土壌物性調整材としての集塵灰の吸湿性が高くなる。
ただし、本発明において、有機性廃棄物焼却工程において、有機性廃棄物にCa源を添加することは、必須ではない。
次に集塵工程について説明する。
上記集塵工程で有機性廃棄物が焼却されることにより生成された高温排ガスは、配管L1を介してサイクロン式集塵機15に供給される。この種のサイクロン式集塵機15は、従来から周知の構造であるので、詳細な説明は省略するが、図3に示すように、この実施形態におけるサイクロン式集塵機15は、円筒状の本体16と、該本体16の下方に連設された、次第に縮径する円錐形状のホッパー17とを有している。
また、本体16の外周には、本体16の接線方向に延びると共に、本体16の内部空間に連通した流入口18が設けられている。この流入口18が、前記流動炉10に配管L1を介して接続されており、該流入口18から、上記の有機性廃棄物焼却工程で生じた焼却灰を含む高温排ガスが本体16内に流入するようになっている。
更に、本体16の上方中央からは、本体16の内部空間に連通した筒状の排出部19が立設されており、一部の焼却灰の成分が分離された排ガスが排出されるようになっている。この排出部19は、配管L2を介して、次工程で用いられる熱交換器20に接続されており、上記排ガスが熱交換器20へと供給される。
そして、配管L1を介して、前記流入口18から本体16内に流入した焼却灰を含む高温排ガスは、本体16の円筒状内壁にぶつかって旋回し、それによって、所定の粒径より大きい焼却灰の成分はホッパー17を通って落下し、所定の粒径より小さい焼却灰の成分は排ガスと共に排出部19から排出され、配管L2を介して次の熱交換工程の熱交換器20へと供給される。
サイクロン式集塵機15によって分離できる粒径(分離限界粒子径δmin(μm))は、下記数式(1)により求めることができる。
上記数式(1)中、μは高温排ガス(ここでは焼却灰)の粘度(Pa・S)、bは流入口18の入口幅(mm)、nは高温排ガスの旋回回数、ρは粒子の密度(kg/m)、uiはサイクロンの入口速度(流入口18における速度:m/s)である。すなわち、入口幅bや、入口速度uiによって、分離限界粒子径δminを規定することができ、分離限界粒子径δminよりも大きい粒径の物質を、捕集可能となっている。
図4には、サイクロン式集塵機15における、粒径(横軸:μm)と、頻度(左側の縦軸:%)や通過分積算(右側の縦軸:%)との関係が示されているが、破線の縦線で示した分離限界粒子径δminの設計ポイントA,B,C,Dよりも、図中右側の範囲の粒径の物質を捕集可能であることを意味している。例えば、設計ポイントDにおいては、粒径100μm以上の物質を捕集でき、その捕集された焼却灰の平均粒径は150μmであることを意味している。同様に、設計ポイントCにおいては、粒径60μm以上の物質を捕集でき、その捕集された焼却灰の平均粒径は100μmであることを意味し、設計ポイントBにおいては、粒径30μm以上の物質を捕集でき、その捕集された焼却灰の平均粒径は80μmであることを意味している。よって、例えば、分離限界粒子径δminの設計ポイントを、Cより小さくすることで、平均粒径100μm以下となる焼却灰を捕集可能となる。
本発明において、上記分離限界粒径δmin(μm)は、5〜60μmの範囲で設定することが好ましく、5〜20μmの範囲で設定することがより好ましい。
本発明においては、分離限界粒径δmin(μm)を上記のような範囲にすることにより、高温排ガスから回収される焼却灰からなる土壌物性調整材の平均粒径を100μm以下とすることが好ましく、50μm以下とすることがより好ましい。土壌物性調整材の平均粒径を上記のように小さくすることにより、汚染土壌に添加したときの土壌の細粒化をより促進することができる。
なお、本発明において、平均粒径とは、メジアン粒径D50を示し、土壌の団粒状態の粒度分布から求めている。すなわち、例えば土壌を有姿の状態で標準篩を用いて質量基準での頻度分布を測定し、50%分級点の粒径(D50)を求めることによって規定される粒径を意味する。
更に、サイクロン式集塵機15の内部温度は、500〜900℃とされているが、750〜850℃であることが好ましい。サイクロン式集塵機15の内部温度が、500〜900℃であれば、例えば平成15年3月6日環境省告示第19号(以下、「環告19号」という)や、平成15年3月6日環境省告示第18号(以下、「環告18号」という)の分析方法で測定した場合、汚染状態に関する基準で規制される重金属及びその化合物のうちのいくつかのものの沸点より高くなるため、それらの重金属及びその化合物を減らして、汚染状態に関する基準を満たしやすくすることができる。
因みに、上記汚染状態に関する基準で規制されている重金属及びその化合物の沸点は、下記表1に示される通りである。
なお、サイクロン式集塵機15の内部温度が、500℃未満の場合には、上記のような汚染状態に関する基準に定める汚染物質を十分に除去しにくくなり、900℃を超えると、灰分の一部が溶融してクリンカを生成しやすくなる。
また、この実施形態においては、上述した集塵工程の次の工程として、熱交換工程を有している。この熱交換工程は、周知の熱交換器20を有しており、前記集塵工程により焼却灰から分離された排ガスが、配管L2を介して熱交換器20へと供給されて、図示しない配管を通して供給される水などの被加熱流体と熱交換して温度が低下し、低温排ガスとされる。
更に、この実施形態においては、上記熱交換工程の次の工程として、低温集塵工程を有している。この低温集塵工程は、いわゆるバグフィルター等の周知のろ過式集塵機25を有しており、前記熱交換工程により所定温度とされた排ガスが、配管L3を介してろ過式集塵機25へと供給されて、所定の汚染物質を含む低温集塵灰と、低温排ガスとに分離される。低温集塵灰は回収されて埋め立て等によって処理されて、低温排ガスはそのまま排出される。
なお、この実施形態においては、上記の低温集塵工程の次の工程として、ガス洗浄工程を含めてもよい。このガス洗浄工程は、周知のスクラバー等の洗浄塔30を有しており、前記低温集塵工程により分離された低温排ガスが、配管L4を介して洗浄塔30へと供給されて、それ以前の工程で捕集できなかったSOx等の有害物質を取り除くことが可能となっている。ただし、この実施形態においては、有機性廃棄物焼却工程において、有機性廃棄物にCa源を添加して脱硫されるので、洗浄塔30は不要か、必要であっても低負荷のものでよい。
以上のような製造方法によって、製造された土壌物性調整材は、前述した図1に示すような、乾式磁選による汚染土壌の処理方法に用いられる。
次に上記工程からなる土壌物性調整材の製造方法の作用効果について説明する。
すなわち、この製造方法は、図2に示すように、炉内温度を500〜900℃とした流動炉10に有機性廃棄物を投入し、該流動炉10内に空気を吹き込みつつ、有機性廃棄物を焼却する焼却工程を有する。このとき、本発明の好ましい態様として、空気比を1.0以下とした空気を吹き込みつつ、有機性廃棄物を焼却することにより、流動炉10から供給された高温灰ガスに、表面積が大きく吸湿性能が高い炭素を含ませることができる。
また、炭素は粒径が比較的小さいため、この炭素を含んだ高温排ガスが、集塵工程において、サイクロン式集塵機15に供給されて、遠心力によって一部の焼却灰の成分が排ガスから分離されて焼却灰として回収されることにより、粒径の小さい焼却灰を得ることができる。その結果、炭素を含み且つ粒径の小さい焼却灰からなる土壌物性調整材を製造することができる。また、この土壌物性調整材は、高温で集塵された集塵灰からなるので、低沸点の重金属(例:ヒ素、セレン等)の濃度が通常の焼却灰と比較して低くなり、環告19号や環告18号で分析した際に汚染状態に関する基準を満たしやすくすることができる。
こうして製造した土壌物性調整材を、鉄粉を添加混合した汚染土壌に添加することによって、土壌物性調整材が汚染土壌中の水分を吸湿して、汚染土壌の団粒構造が形成されにくくなって、汚染土壌の平均粒径を小さくすることができるので、汚染土壌から汚染物質が付着した鉄粉を、乾式磁選により回収する際の、鉄粉の回収率を高めることができる。
また、有機性廃棄物焼却工程における空気の空気比を、0.8〜0.9とした場合には、焼却灰に含まれる炭素含量を、吸湿効果が高まるように調整することができ、同時に、焼却に必要となる燃料の添加量が少ないため、土壌物性調整材の製造コストを抑えることができる。
更に、集塵工程において、サイクロン式集塵機15の分離限界粒子径を5〜20μmの範囲で設定した場合には、捕集される集塵灰の平均粒径を小さくし、汚染土壌に添加混合した際に、汚染土壌に含まれる水分の吸湿性を高めることができると共に、土壌の平均粒径を小さくすることができる。
また、この実施形態においては、有機性廃棄物焼却工程において、焼却される有機性廃棄物に、CaCO、CaO、Ca(OH)等のCa源を添加して、有機性廃棄物由来の硫黄(S)から発生するSOと高温で反応させることによって、吸湿性を有する、石膏(半水石膏(CaSO・1/2HO)及び無水石膏(CaSO))が生成されて、焼却灰に含有される。このため、土壌物性調整材自体の組成が調整され、半水石膏や無水石膏が含まれることで、汚染土壌の水分をより吸収させやすくすることができる。
次に、本発明に係る土壌物性調整材の、一実施形態について説明する。
この土壌物性調整材は、汚染物質を含む汚染土壌に鉄粉を添加して、該汚染土壌から鉄粉を乾式磁選により回収除去する際に、汚染土壌に添加して汚染土壌の物性を調整するために用いられるものであって、炭素を5〜40質量%含む、有機性廃棄物の焼却灰からなるものである。
そして、この土壌物性調整材は、炭素を5〜40質量%含有する、有機性廃棄物の焼却灰からなるので、この土壌物性調整材を、汚染土壌に添加混合することによって、汚染土壌の水分を効率良く吸湿して、汚染土壌の水分含有量を低くし、土壌の団粒化を抑制して、汚染土壌の平均粒径を小さくすることができ、汚染土壌を磁選する際に、汚染土壌から汚染物質が付着した鉄粉を乾式磁選により回収する際の鉄粉の回収率を高めることができる。なお、前述したように、炭素の含有量は、5〜20質量%とすることがより好ましい。
また、前述したように、この土壌物性調整材の平均粒径は、100μm以下とすることが好ましく、50μm以下とすることがより好ましい。この態様によれば、汚染土壌に添加混合した際に、土壌粒子と均一に混ざりやすく、吸湿効果を高めることができると共に、土壌粒子をより細かくすることができる。
また、この土壌物性調整材は、前述したように、有機性廃棄物焼却工程においてCa源を添加することにより、Ca源と有機廃棄物が焼却に生じたSOxと高温の条件での化学反応により形成された石膏を含有するものであってもよい。この態様によれば、製造した土壌物性調整材の吸湿力が高くなり、汚染土壌の水分をより吸収させやすくすることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
1.試料の作製
下記表2に示す条件で、本発明に係る実施例1〜3、及び、比較例1,2の土壌物性調整材を製造した。
実施例1〜3は、図2に示した製造装置を用い、サイクロン式集塵機15で採取された焼却灰であって、有機性廃棄物焼却工程において、空気比を調整することによって、炭素含有量を変えて製造したものである。
比較例1は、図6に示される製造装置、すなわち、図2に示される製造装置において、サイクロン式集塵機15を設けず、流動炉10と熱交換器20とを配管L1を介して接続した製造装置を用い、ろ過式集塵機25で採取された低温で捕集された焼却灰からなるものである。
なお、比較例2は、半水石膏である。
2.吸湿性試験
実施例3、比較例1,2の土壌物性調整材をそれぞれ10g用いて、それらの吸湿性能を試験した。試験方法は、旧JIS M881 1−1976「石灰類及びコークス類のサンプリング方法並びに全水分・湿分測定方法」に準拠して行った。
この吸湿性試験の結果が、図7及び下記表3に示されている。図7及び表3に示すように、実施例3の土壌物性調整材は、比較例1、比較例2の土壌物性調整材に比べて、水分の吸湿量が多く、吸湿速度も早い(特に1日経過後の吸湿速度が早い)ことが分かった。
3.磁選効果確認試験
実施例1、実施例2、比較例2の各試料について、汚染土壌に図8に付記した添加量(質量%)で添加して混合した後、周知の回転ドラム式の磁選機によって磁着させたときに、どの程度の量を回収できたかを測定した。また、回収した磁着物の、平均粒径についても測定した。
その結果を、図8に示した。図8に示すように、磁着物は、平均粒径が小さいほど増加する傾向であることが分かった。また、炭素を含有する実施例2の場合であって、特に汚染土壌への炭素添加量が3質量%のものは、実施例1や比較例2に比べて、磁着物の細粒化効果が最も高く、また、磁着物の回収量も大きいことが分かった。
4.各試料と汚染物質との関係について
実施例1〜3及び比較例1について、カドミウムや六価クロム等の汚染物質が、土壌に添加前の試料に、どの程度残留しているかを確認した。
その結果を下記表4に示す。
表4に示すように、高温集塵の実施例1〜3については、環告19号及び環告18号で分析した際に、汚染状態に関する基準を全て満たしていることがわかる。よって、汚染状態に関する基準を満たしやすい土壌物性調整材を得ることができることが分かった。
これに対して、低温集塵の比較例1は、土壌含有量の基準を満たすものの、セレン、ヒ素、ホウ素の値は、土壌溶出量の基準値を満たせなかったことがわかる。
5.土壌の団粒形成の抑制効果について
図9(a)には、土壌物性調整材を添加しない土壌の写真が示されており、図9(b)には、半水石膏を添加した土壌を磁選分離した写真が示されており、図9(c)には、本発明における実施例3の土壌物性調整材を土壌に添加して、該土壌を磁選分離した写真が示されている。これらに示されるように、本発明における土壌物性調整材を用いた場合には、土壌がパラパラに分離されて、粒径が小さくなっていることが分かる。
3 砂層
5 ブロワ
10 流動炉
15 サイクロン式集塵機
16 本体
17 ホッパー
18 流入口
19 排出部
20 熱交換器
25 ろ過式集塵機
30 洗浄塔
L1,L2,L3,L4 配管

Claims (5)

  1. 汚染物質を含む汚染土壌に鉄粉を添加して、該汚染土壌から汚染物質を吸着した鉄粉を乾式磁選により回収除去する際に、前記汚染土壌に添加して該汚染土壌の物性を調整するために用いられる土壌物性調整材の製造方法において、
    炉内温度を500〜900℃とした流動炉に有機性廃棄物を投入し、該流動炉内に空気を吹き込みつつ、前記有機性廃棄物を焼却する有機性廃棄物焼却工程と、
    該有機性廃棄物焼却工程で前記有機性廃棄物が焼却されることにより生成された高温排ガスを、内部温度を500℃〜900℃としたサイクロン式集塵機に供給して高温排ガスに含まれる焼却灰高温排ガスに含まれる焼却灰を回収する集塵工程と、
    を含み、
    前記有機性廃棄物焼却工程において、空気比を1.0以下とした空気を吹き込みつつ、前記有機性廃棄物を焼却することを特徴とする土壌物性調整材の製造方法。
  2. 前記有機性廃棄物焼却工程における空気の空気比を、0.6〜0.9とする、請求項記載の土壌物性調整材の製造方法。
  3. 前記集塵工程において、前記サイクロン式集塵機の分離限界粒子径を5〜20μmの範囲で設定する、請求項1又は2に記載の土壌物性調整材の製造方法。
  4. 前記有機性廃棄物焼却工程において、前記有機性廃棄物にCa源を添加する、請求項1〜のいずれか1項に記載の土壌物性調整材の製造方法。
  5. 汚染物質を含む汚染土壌に鉄粉を添加して、該汚染土壌から汚染物質を吸着した鉄粉を乾式磁選により回収除去する際に、前記汚染土壌に添加して該汚染土壌の物性を調整するために用いられる土壌物性調整材において、
    炉内温度を500〜900℃とした流動炉に有機性廃棄物を投入し、該流動炉内に空気比を1.0以下とした空気を吹き込みつつ、前記有機性廃棄物を焼却することで得られる、炭素を5〜40質量%含む、有機性廃棄物焼却灰からなり、平均粒径が100μm以下とされていることを特徴とする土壌物性調整材。
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