前記公報に開示の鉄筋構造材では、ラチス筋の下方凹部の屈曲部分が鉄板ベースの上面にスポット溶接されているから、鉄筋トラスと鉄板ベースとが一体になり、打設したコンクリートの養生期間が経過した後、鉄筋トラスから鉄板ベースを取り外すことができず、打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することができない。
なお、打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築するには、鉄筋を配筋しつつ型枠を組み立て、型枠にコンクリートを打設し、打設したコンクリートの養生期間が経過した後、型枠を取り外す。したがって、鉄筋の配筋作業や型枠の組立作業、型枠の取り外し作業が必要になり、その分の工期を要するのみならず、鉄筋の配筋技術や型枠の組立技術が必要となり、鉄筋の配筋技術を備えた鉄筋工や型枠の組立技術を備えた型枠工以外の作業者が打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することは困難である。
本発明の目的は、鉄筋の配筋技術や型枠の組立技術を必要とせず、短い工期で打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することができる鉄筋構造材を提供することにある。本発明の他の目的は、鉄筋の配筋技術や型枠の組立技術を必要とせず、短い工期で打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することができる鉄筋コンクリート構造物構築方法を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の第1の前提は、打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物の構築に使用され、打設されたコンクリートと一体になる鉄筋構造材である。
前記第1の前提における本発明の鉄筋構造材の特徴は、鉄筋構造材が、前後方向へ延びる両側縁部および前後方向と交差する幅方向へ延びる両端縁部を有する所定面積の鉄板ベースと、鉄板ベースの上面に配置されて前後方向へ所定寸法離間して並ぶ複数の鉄筋ブリッジと、それら鉄筋ブリッジの上に配置されて前後方向へ延びる主鉄筋と、鉄筋ブリッジに装着されたPコーンと、Pコーンの頂部に位置するワッシャとから形成され、鉄筋ブリッジが、鉄板ベースの上面から上方へ離間して幅方向へ延びていて主鉄筋を固定する固定ロッドと、固定ロッドの両端から鉄板ベースに向かって厚み方向へ延びる一対の脚ロッドとを備え、脚ロッドが、鉄板ベースを貫通して鉄板ベースの下面から露出し、固定手段によって鉄筋ブリッジを鉄板ベースに取り付ける脚下部と、鉄板ベースの上面と固定ロッドとの間に位置して厚み方向へ延びる脚上部とを有し、脚上部が、脚上部の残余部分よりも厚み寸法が小さく、脚上部を折曲するように脚下部に力を加えることで脚上部を二分可能な狭窄部分を有し、ワッシャが、脚ロッドの脚上部に挿通されてPコーンの頂部に当接し、Pコーンが、脚ロッドの脚上部に装着されてその底部が鉄板ベースの上面に当接しつつ鉄板ベースの上面とワッシャとの間に位置し、脚上部の狭窄部分が、Pコーンの内側に位置していることにある。
本発明の鉄筋構造材の一例としては、主鉄筋が、鉄筋ブリッジから上方へ離間して前後方向へ延びる上端筋と、鉄筋ブリッジの固定ロッドに固着されて前後方向へ延びる一対の下端筋と、上端筋と下端筋との間で厚み方向へ波状に曲折を繰り返しながら前後方向へ延びる一対の第1および第2ラチス筋とから形成され、第1および第2ラチス筋が、上端筋に固定されて凸状に折れ曲がる上方凸部と、下端筋に固定されて凹状に折れ曲がる下方凹部と、上方凸部と下方凹部との間に延びる中間部とを有し、第1および第2ラチス筋の中間部が、上方凸部から下方凹部に向かって末広がりになっている。
本発明の鉄筋構造材の他の一例として、鉄筋構造材では、鉄板ベースの上面にコンクリートが打設され、コンクリートが硬化した後、狭窄部分において脚ロッドの脚上部が二分され、脚下部がつながる脚上部の略下半分と鉄板ベースとPコーンとが取り外されて鉄筋ブリッジと主鉄筋とがコンクリートと一体になっている。
前記課題を解決するための本発明の第2の前提は、打設されたコンクリートと一体になる前後方向へ長い複数の鉄筋構造材を利用し、打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築する鉄筋コンクリート構造物構築方法である。
前記第2の前提における本発明の鉄筋コンクリート構造物構築方法の特徴は、鉄筋構造材が、前後方向へ延びる両側縁部および前後方向と交差する幅方向へ延びる両端縁部を有する所定面積の鉄板ベースと、鉄板ベースの上面に配置されて前後方向へ所定寸法離間して並ぶ複数の鉄筋ブリッジと、それら鉄筋ブリッジの上に配置されて前後方向へ延びる主鉄筋と、鉄筋ブリッジに装着されたPコーンと、Pコーンの頂部に位置するワッシャとから形成され、鉄筋ブリッジが、鉄板ベースの上面から上方へ離間して幅方向へ延びていて主鉄筋を固定する固定ロッドと、固定ロッドの両端から鉄板ベースに向かって厚み方向へ延びる一対の脚ロッドとを備え、脚ロッドが、鉄板ベースを貫通して鉄板ベースの下面から露出し、固定手段によって鉄筋ブリッジを鉄板ベースに取り付ける脚下部と、鉄板ベースの上面と固定ロッドとの間に位置して厚み方向へ延びる脚上部とを有し、脚上部が、脚上部の残余部分よりも厚み寸法が小さく、脚上部を折曲するように脚下部に力を加えることで脚上部を二分可能な狭窄部分を有し、鉄筋コンクリート構造物構築方法が、脚ロッドの脚上部にワッシャを挿通するとともに、脚ロッドの脚上部にPコーンを装着して狭窄部分をPコーンの内側に位置させた後、鉄板ベースの貫通孔に脚ロッドの脚下部を挿入し、鉄板ベースの下面に露出する鉄筋ブリッジの脚下部を固定手段によって鉄板ベースに取り付ける組立工程と、鉄板ベースの側縁部どうしを接続してそれら鉄筋構造材を幅方向へ連結する連結工程と、幅方向へ連結されたそれら鉄筋構造材の鉄板ベースの上面にコンクリートを打設して鉄筋ブリッジおよび主鉄筋をコンクリートに埋没させる打設工程と、コンクリートの養生期間が経過してコンクリートが硬化した後、脚ロッドの脚上部を折曲するように脚下部に力を加え、狭窄部分において脚上部を二分する二分工程と、二分された脚上部のうちの脚下部がつながる脚上部の略下半分と鉄板ベースとPコーンとを鉄筋構造材から取り外す取り外し工程とを有し、組立工程では、ワッシャが脚ロッドの脚上部に挿通されてPコーンの頂部に当接し、Pコーンが脚ロッドの脚上部に装着されてその底部が鉄板ベースの上面に当接しつつ鉄板ベースの上面とワッシャとの間に位置し、脚上部の狭窄部分がPコーンの内側に位置することにある。
本発明の鉄筋コンクリート構造物構築方法の一例としては、主鉄筋が、鉄筋ブリッジから上方へ離間して前後方向へ延びる上端筋と、鉄筋ブリッジの固定ロッドに固着されて前後方向へ延びる一対の下端筋と、上端筋と下端筋との間で厚み方向へ波状に曲折を繰り返しながら前後方向へ延びる一対の第1および第2ラチス筋とから形成され、第1および第2ラチス筋が、上端筋に固定されて凸状に折れ曲がる上方凸部と、下端筋に固定されて凹状に折れ曲がる下方凹部と、上方凸部と下方凹部との間に延びる中間部とを有し、第1および第2ラチス筋の中間部が、上方凸部から下方凹部に向かって末広がりになり、打設工程では、鉄筋ブリッジと主鉄筋の上下端筋と第1および第2ラチス筋とをコンクリートに埋没させ、鉄筋コンクリート構造物では、鉄筋ブリッジと主鉄筋の上下端筋と第1および第2ラチス筋とが硬化したコンクリートと一体になっている。
本発明に係る鉄筋構造材によれば、固定手段によって鉄筋ブリッジが鉄板ベースに取り付けられ、脚ロッドの脚上部を折曲するように脚下部に力を加え、狭窄部分において脚上部を二分することで、鉄筋構造材のうちの脚下部がつながる脚上部の略下半分と鉄板ベースとPコーンとを取り外すことができるから、硬化したコンクリートのコンクリート面が露出する打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を容易に構築することができる。鉄筋構造材は、主鉄筋や鉄筋ブリッジが鉄筋となり、鉄板ベースが型枠になるから、鉄筋の配筋作業や型枠の組立作業、型枠の取り外し作業をする必要はなく、短い工期で打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することができるとともに、鉄筋の配筋技術や型枠の組立技術を必要とせず、鉄筋の配筋技術を備えた鉄筋工や型枠の組立技術を備えた型枠工以外の作業者でも打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することができる。
鉄筋構造材は、脚ロッドに装着されて鉄板ベースの上面と固定ロッドとの間に位置するPコーンを含み、脚上部の狭窄部分がPコーンの内側に位置することで、Pコーンの内側にコンクリートが打設されることはなく、Pコーンの内側に位置する狭窄部分において脚ロッドの脚上部を容易に二分することができるとともに、鉄筋構造材のうちの脚下部がつながる脚上部の略下半分と鉄板ベースとPコーンとを簡単に取り外すことができるから、硬化したコンクリートのコンクリート面が露出する打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を容易に構築することができる。鉄筋構造材は、Pコーンの内側にコンクリートが存在せず、狭窄部分において脚ロッドの脚上部を二分したときに、脚ロッドの脚上部においてコンクリートが破損することがないから、脚ロッドの周辺におけるコンクリート補修を必要とせず、コンクリート補修の手間を省くことができ、打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を短い工期で効率よく構築することができる。
主鉄筋が前後方向へ延びる上端筋と前後方向へ延びる一対の下端筋と厚み方向へ波状に曲折を繰り返しながら前後方向へ延びる一対の第1および第2ラチス筋とから形成され、第1および第2ラチス筋が上端筋に固定されて凸状に折れ曲がる上方凸部と下端筋に固定されて凹状に折れ曲がる下方凹部と中間部とを有し、第1および第2ラチス筋の中間部が上方凸部から下方凹部に向かって末広がりになっている鉄筋構造材は、主鉄筋が鉄筋トラスを形成し、コンクリートと鉄筋トラスを形成する主鉄筋とが一体になることで、コンクリートに曲げ引張力や曲げ圧縮力、せん断力が作用したとしても、それらの外力に十分に抵抗することが可能な十分な強度を有する強固な打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することができる。
鉄板ベースの上面にコンクリートが打設され、コンクリートが硬化した後、狭窄部分において脚ロッドの脚上部が二分され、脚下部がつながる脚上部の略下半分と鉄板ベースとPコーンとが取り外されて鉄筋ブリッジと主鉄筋とがコンクリートと一体になっている鉄筋構造材は、コンクリートが硬化した後に狭窄部分において脚ロッドの脚上部を二分することで、脚下部がつながる脚上部の略下半分と鉄板ベースとPコーンとを容易に取り外すことができ、硬化したコンクリートのコンクリート面が露出するコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を容易に構築することができる。鉄筋構造材は、主鉄筋が鉄筋トラスを形成し、コンクリートと鉄筋トラスを形成する主鉄筋および鉄筋ブリッジとが一体になることで、コンクリートに曲げ引張力や曲げ圧縮力、せん断力が作用したとしても、それらの外力に十分に抵抗することが可能な十分な強度を有する強固な打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することができる。
本発明に係る鉄筋コンクリート構造物構築方法によれば、鉄板ベースの側縁部どうしを接続してそれら鉄筋構造材を幅方向へ連結し、幅方向へ連結されたそれら鉄筋構造材の鉄板ベースの上面にコンクリートを打設して鉄筋ブリッジおよび主鉄筋をコンクリートに埋没させ、コンクリートの養生期間が経過した後、脚ロッドの脚上部を折曲するように脚下部に力を加え、狭窄部分において脚上部を二分し、二分された脚上部のうちの脚下部がつながる脚上部の略下半分と鉄板ベースとPコーンとを鉄筋構造材から取り外すことで、打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することができるから、硬化したコンクリートのコンクリート面が露出する打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を容易に構築することができるとともに、短い工期で打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することができる。鉄筋コンクリート構造物構築方法は、主鉄筋や鉄筋ブリッジが鉄筋となり、鉄板ベースが型枠になるから、鉄筋の配筋作業や型枠の組立作業、型枠の取り外し作業をする必要はなく、鉄筋の配筋技術や型枠の組立技術を必要とせず、鉄筋の配筋技術を備えた鉄筋工や型枠の組立技術を備えた型枠工以外の作業者でも打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することができる。
鉄筋コンクリート構造物構築方法は、鉄板ベースの貫通孔に脚ロッドの脚下部を挿入し、鉄板ベースの下面に露出する鉄筋ブリッジの脚下部を固定手段によって鉄板ベースに取り付ける組立工程を含み、鉄板ベースの下面に露出する鉄筋ブリッジの脚下部を固定手段によって鉄板ベースに取り付けることができ、型枠となる鉄板ベースと鉄筋となる主鉄筋や鉄筋ブリッジとを容易に連結することができるから、鉄筋の配筋作業や型枠の組立作業、型枠の取り外し作業をする必要はなく、打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を容易に構築することができるとともに、短い工期で打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することができる。
鉄筋コンクリート構造物構築方法は、鉄筋構造材が脚ロッドの脚上部に装着されて鉄板ベースの上面と固定ロッドとの間に位置するPコーンを含み、脚上部の狭窄部分がPコーンの内側に位置し、組立工程において、脚ロッドの脚上部にPコーンを装着して狭窄部分をPコーンの内側に位置させた後、鉄板ベースの貫通孔に脚ロッドの脚下部を挿入し、取り外し工程において、脚下部がつながる脚上部の略下半分および鉄板ベースとともにPコーンを鉄筋構造材から取り外すから、Pコーンの内側にコンクリートが打設されることはなく、Pコーンの内側に位置する狭窄部分において脚ロッドの脚上部を容易に二分することができるとともに、鉄筋構造材のうちの脚下部がつながる脚上部の略下半分と鉄板ベースとを簡単に取り外すことができ、硬化したコンクリートのコンクリート面が露出する打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を容易に構築することができる。鉄筋コンクリート構造物構築方法は、Pコーンの内側にコンクリートが存在せず、狭窄部分において脚ロッドの脚上部を二分したときに、脚ロッドの脚上部においてコンクリートが破損することがないから、脚ロッドの周辺におけるコンクリート補修を必要とせず、コンクリート補修の手間を省くことができ、打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を短い工期で効率よく構築することができる。
主鉄筋が前後方向へ延びる上端筋と前後方向へ延びる一対の下端筋と厚み方向へ波状に曲折を繰り返しながら前後方向へ延びる一対の第1および第2ラチス筋とから形成され、第1および第2ラチス筋が上端筋に固定されて凸状に折れ曲がる上方凸部と下端筋に固定されて凹状に折れ曲がる下方凹部と中間部とを有し、第1および第2ラチス筋の中間部が上方凸部から下方凹部に向かって末広がりになり、鉄筋ブリッジと主鉄筋の上下端筋と第1および第2ラチス筋とが硬化したコンクリートと一体になっている鉄筋コンクリート構造物構築方法は、主鉄筋が鉄筋トラスを形成し、コンクリートと鉄筋トラスを形成する主鉄筋とが一体になることで、コンクリートに曲げ引張力や曲げ圧縮力、せん断力が作用したとしても、それらの外力に十分に抵抗することが可能な十分な強度を有する強固な打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物を構築することができる。
一例として示す鉄筋構造材10の斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る鉄筋構造材および鉄筋コンクリート構造物構築方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、鉄筋構造材10の部分拡大側面図であり、図3は、鉄筋構造材10の正面図である。図4は、鉄筋構造材10の部分拡大正面図であり、図5は、構築された鉄筋コンクリート構造物38の一例を示す正面図である。図1〜図3では、前後方向を矢印A、幅方向を矢印Bで示し、厚み方向を矢印Cで示す。図5では、構築された鉄筋コンクリート構造物38を部分的に示す。
鉄筋構造材10は、所定面積を有する前後方向へ長い鉄板ベース11と、鉄板ベース11の上面12に配置された複数の鉄筋ブリッジ14と、鉄筋ブリッジ14の上に配置された主鉄筋15と、鉄筋ブリッジ14に装着されたPコーン16(プラスチックコーン)とから形成されている。鉄筋構造材10は、所定面積の天井スラブや床スラブ、外壁等の打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物38の構築に使用される。
鉄板ベース11は、前後方向へ延びる両側縁部17と幅方向へ延びる両端縁部18とを有するとともに、フラットな上面12およびフラットな下面13を有する。鉄板ベース11には、鉄板の他に、アルミニウム板やステンレス板等を使用することができる。鉄板ベース11には、その上面12から上方へ凸となる複数の凸条19(凸部)が形成されている。それら凸条19は、前後方向へ延びるとともに、幅方向へ所定寸法離間して並んでいる。鉄板ベース11には、その上下面12,13を貫通する複数の貫通孔20が穿孔されている。
鉄板ベース11の一方の側縁部17には、第1係合部21が作られ、他方の側縁部17には、第2係合部22が作られている。第1係合部21は、鉄板ベース11の下面14側に折れ曲がるフックであり、鉄板ベース11の一方の側縁部17を折り曲げることから作られている。第2係合部22は、鉄板ベース11の上面12側に折れ曲がるフックであり、鉄板ベース11の他方の側縁部17を折り曲げることから作られている。
それら鉄板ベース11は、一方の鉄板ベース11の第1係合部21(フック)に他方の鉄板ベース11の第2係合部22(フック)を嵌め込み、それら係合部21,22どうしを互いに係合させることで、各鉄板ベース11を幅方向へつなげ、複数の鉄板ベース11を連結した状態で幅方向へ並べることができる。なお、鉄板ベース11の縦横寸法や厚み寸法、面積に特に制限はなく、縦横寸法や厚み寸法、面積を自由に変えることができる。
それら鉄筋ブリッジ14は、鉄棒から作られ、鉄板ベース11の上面12において前後方向へ所定寸法離間して並んでいる。鉄筋ブリッジ14は、鉄板ベース11の上面12から上方へ離間して幅方向へ直状に延びる固定ロッド23と、固定ロッド23の両端から鉄板ベース11に向かって厚み方向へ直状に延びる一対の脚ロッド24とを有する。脚ロッド24は、鉄棒の両端部を折り曲げることから作られている。
脚ロッド24は、鉄板ベース11の貫通孔20に挿通されて鉄板ベース11を貫通し、鉄板ベース11の下面13から下方へ露出(延出)して厚み方向へ延びる脚下部25と、鉄板ベース11の上面12から上方へ露出(延出)して厚み方向へ延びる脚上部26とを有する。脚下部25には、螺子が形成されている。脚上部26は、鉄板ベース11の上面12と固定ロッド23との間に位置している。脚上部26の略中央には、脚上部26の残余部分27よりも厚み寸法が小さい(太さが残余部分27よりも細い)狭窄部分28が形成されている。
脚ロッド24では、脚下部25の螺子(固定手段)にナット29(固定手段)が螺着されることで、鉄筋ブリッジ14の脚下部25が鉄板ベース11に取り付けられている。脚ロッド24では、その脚上部26を折曲するように脚下部25に力を加えることで狭窄部分28が折れ、それによって脚上部26を略上半分と脚下部25がつながる略下半分とに二分(略上半分と脚下部25がつながる略下半分とに分離)することができる。
主鉄筋15は、鉄筋ブリッジ14の上に位置して前後方向へ延びている。鉄筋構造材10では、2つの主鉄筋15が使用されているが、主鉄筋15の数に特に制限はなく、鉄板ベース11の面積や主鉄筋15の大きさ等に応じて鉄板ベース11に配置する主鉄筋15の数を自由に決めることができる。主鉄筋15は、1本の上端筋30と2本(一対)の下端筋31と2本(一対)の第1および第2ラチス筋32a,32bとから形成されている。上端筋30と下端筋31と第1および第2ラチス筋32a,32bとからなる主鉄筋15は、鉄筋トラスを形成している。
上端筋30は、鉄棒またはその周面に複数の節(リブ)を有する異形鉄棒(異形鉄筋)から作られている。上端筋30は、鉄筋ブリッジ14(鉄板ベース11の上面12)から上方へ離間して前後方向へ直状に延びている。各主鉄筋15において幅方向へ並ぶ上端筋30の前後方向の長さ寸法や太さは略同一であり、それら上端筋30が幅方向へ並行して並んでいる。上端筋30の太さについて特に制限はなく、構築する床スラブや天井スラブ、外壁等の鉄筋コンクリート構造物38の大きさや鉄筋コンクリート構造物38に必要な強度に合わせて上端筋30の太さを自由に変えることができる。
それら下端筋31は、鉄棒またはその周面に複数の節(リブ)を有する異形鉄棒(異形鉄筋)から作られている。下端筋31は、第1および第2ラチス筋32a,32bの内側に位置し、上端筋30の下方であって上端筋30の横方向両側に位置している。それら下端筋31は、鉄板ベース11の上面12から上方へ所定寸法離間して前後方向へ直状に延びている。なお、下端筋31が第1および第2ラチス筋32a,32bの外側に位置していてもよい。
各主鉄筋15において横方向へ並ぶ下端筋31の前後方向の長さ寸法や太さは略同一であり、それら下端筋31が幅方向へ並行して並んでいる。それら下端筋31は、鉄筋ブリッジ14の固定ロッド23と交差する部分(交差箇所)が固定ロッド23にスポット溶接されることで鉄筋ブリッジ14(固定ロッド23)に溶着(固着)されている。下端筋31の太さについて特に制限はなく、構築する床スラブや天井スラブ、外壁等の鉄筋コンクリート構造物38の大きさや鉄筋コンクリート構造物38に必要な強度に合わせて下端筋31の太さを自由に変えることができる。
第1および第2ラチス筋32a,32bは、鉄棒を折り曲げることから作られている。それらラチス筋32a,32bは、上端筋30と下端筋31との間に位置し、鉄板ベース11の上面12から上方へ所定寸法離間している。各主鉄筋15において幅方向へ並ぶ第1および第2ラチス筋32a,32bの太さは略同一である。なお、ラチス筋32a,32bの太さについて特に制限はなく、構築する床スラブや天井スラブ、外壁等の鉄筋コンクリート構造物38の大きさや鉄筋コンクリート構造物38に必要な強度に合わせてラチス筋32a,32bの太さを自由に変えることができる。
第1および第2ラチス筋32a,32bは、上端筋30と下端筋31との間において厚み方向へ波状に曲折(起伏)を繰り返しながら前後方向へ延びている。それらラチス筋32a,32bは、上端筋30の側に位置して凸状に折れ曲がる上方凸部33と、下端筋31の側に位置して凹状に折れ曲がる下方凹部34と、上方凸部33および下方凹部34の間において前後方向へ傾斜して延びる中間部35とを有する。
各ラチス筋32a,32bの厚み方向へ波状に曲折を繰り返す角度は一定であり、単位長さ(たとえば1m)当たりのラチス筋32a,32bの曲折を繰り返す回数は同一である。ラチス筋32a,32bの上下方向へ波状に曲折を繰り返す角度は自由に変えることができ、その角度を調節(単位長さ当たりのラチス筋32a,32bの曲折を繰り返す回数を調節)することで、ラチス筋32a,32bの上方凸部33どうしの前後方向の離間寸法を調節することができ、ラチス筋32a,32bの下方凹部34どうしの前後方向の離間寸法を調節することができる。
第1および第2ラチス筋32a,32bは、上端筋30を挟んで幅方向へ対称型に配置されている。したがって、幅方向に並ぶそれらラチス筋32a,32bの上方凸部33どうしの位置が一致し、中間部35どうしの位置が一致しているとともに、下方凹部34どうしの位置が一致している。それらラチス筋32a,32bは、前後方向に隣接する上方凸部33どうしの離間寸法が等しく、上方凸部33が縦方向へ等間隔で並んでいるとともに、前後方向に隣接する下方凹部34どうしの離間寸法が等しく、下方凹部34が前後方向へ等間隔で並んでいる。
第1および第2ラチス筋32a,32bは、図3に示すように、鉄板ベース11に対して垂直ではなく、鉄板ベース11に対して所定角度で傾斜し、その上方凸部33から下方凹部34に向かって中間部35が幅方向外方へ末広がりになっている。それらラチス筋32a,32bの傾斜角度について特に制限はなく、その傾斜角度を自由に変えることができる。それらラチス筋32a,32bの上方凸部33は、上端筋30の周面に当接し、上方凸部33のうちの上端筋30と交差(当接)する部分(交差箇所)が上端筋30にスポット溶接されることで上端筋30に溶着(固定)されている。それらラチス筋32a,32bの下方凹部34は、下端筋31の周面に当接し、下方凹部34のうちの下端筋31と交差(当接)する部分(交差箇所)が下端筋31にスポット溶接されることで下端筋31に溶着(固定)されている。
Pコーン16は、合成樹脂から作られて円錐台形状に成型されている。Pコーン16は、脚ロッド24の脚上部26に装着され、鉄板ベース11の上面12と固定ロッド23との間に位置している。Pコーン16の頂部には、脚ロッド24の脚上部26に挿通されたワッシャ36が位置している。Pコーン16の内側には、脚ロッド24の脚上部26に形成された狭窄部分28が位置している。
鉄筋構造材10を使用した鉄筋コンクリート構造物38では、図5に示すように、鉄板ベース11の上面12にコンクリート37が打設され、コンクリート37の養生期間が経過してコンクリート37が硬化した後、狭窄部分28において脚ロッド24の脚上部26が略上半分と略下半分とに二分(分離)され、脚下部25がつながる脚上部26の略下半分と鉄板ベース11とが取り外され、さらに、Pコーン16が取り外されて鉄筋ブリッジ14と主鉄筋15(鉄筋トラス)とがコンクリート37と一体になっている。
図6は、鉄筋構造材10を使用した鉄筋コンクリート構造物構築方法のうちの組立工程を示す図であり、図7は、鉄筋コンクリート構造物構築方法のうちの打設工程を示す図である。図8は、鉄筋コンクリート構造物構築方法のうちの二分工程を示す図であり、図9は、鉄筋コンクリート構造物構築方法のうちの取り外し工程を示す図である。それら図では、鉄骨柱および鉄骨梁の図示を省略しているとともに、鉄骨柱および鉄骨梁の上部に設置されたアングル材の図示を省略している。
鉄筋コンクリート構造物構築方法は、複数の鉄筋構造材10を利用して打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物38を構築する。なお、鉄筋コンクリート構造物38として天井スラブを構築する場合を例として鉄筋コンクリート構造物構築方法を説明する。鉄筋コンクリート構造物構築方法は、組立工程、連結工程、打設工程、二分工程、取り外し工程を実施することによって鉄筋コンクリート構造物38を作る。なお、鉄筋構造材10では、鉄筋ブリッジ14の固定ロッド23と下端筋31とが溶着されているが、鉄板ベース11やPコーン16、ワッシャ36は取り付けられておらず、組み立て工程においてそれらを取り付ける。
組立工程では、脚ロッド24の脚上部26にワッシャ36を挿通するとともに、脚上部26にPコーン16を装着(挿通)し、脚ロッド24の脚上部26に形成された狭窄部分28をPコーン16の内側に位置させた後、鉄板ベース11に形成された貫通孔20に脚ロッド24の脚下部25を挿入する。貫通孔20に脚ロッド24の脚下部25を挿入すると、鉄板ベース11の下面13から下方へ脚ロッド24の脚下部25が露出し、Pコーン16の頂部がワッシャ36に当接するとともに、Pコーン16の底部が鉄板ベース11の上面12に当接する。Pコーン16が鉄板ベース11の上面12と固定ロッド23との間に位置し、脚ロッド24の脚上部26に形成された狭窄部分28がPコーン16の内側に位置する。
次に、鉄板ベース11の下面13に露出する脚下部25(螺子)にナット29(固定手段)を螺着して鉄筋ブリッジ14を鉄板ベース11に取り付け、鉄筋構造材10を組み立てる。脚下部25にナット29を螺着することで、Pコーン16が鉄板ベース11の上面12と固定ロッド23(ワッシャ36)との間に固定され、主鉄筋15および鉄筋ブリッジ14と鉄板ベース11とが連結される。なお、鉄板ベース11の上面12には剥離剤が塗布されている。
組立工程によって鉄筋構造材10を組み立てた後、連結工程が実施される。連結工程では、一方の鉄板ベース11の第1係合部21(フック)に他方の鉄板ベース11の第2係合部22(フック)を嵌め込み、それら係合部21,22どうしを互いに係合させ、鉄板ベース11の側縁部17どうしを接続して各鉄板ベース11を幅方向へつなげ、それら鉄筋構造材10を幅方向へ連結し、天井の面積と略同一面積の鉄筋構造材10に仕上げる。連結工程によって複数の鉄筋構造材10を幅方向へ連結した後、鉄骨柱および鉄骨梁の上部(天井となる位置)にL字状のアングル材を固定手段によって固定し、アングル材の水平部分と鉄筋構造材10の鉄板ベース11の側縁部21および端縁部22とを連結固定する。
連結工程によって複数の鉄筋構造材10を連結し、それら鉄筋構造材10を鉄骨柱および鉄骨梁の上部に設置固定した後、打設工程が実施される。打設工程では、それら鉄筋構造材10の鉄板ベース11の上面12にコンクリート37が所定の被り寸法で打設される。打設工程において鉄板ベース11の上面12にコンクリート37が打設されると、鉄筋ブリッジ14および主鉄筋15(上端筋30、下端筋31、第1および第2ラチス筋32a,32b)がコンクリート37に埋没する。なお、鉄筋構造材10の鉄板ベース11がコンクリート37の落下を防ぐ型枠になるとともに、アングル材の垂直部分がコンクリート37の漏れを防ぐ堤防になる。
打設工程によってコンクリート37を鉄板ベース11の上面12に打設し、コンクリート37の養生期間が経過してコンクリート37が硬化した後、二分工程が実施される。二分工程では、脚ロッド24の脚上部26を折曲するように鉄板ベース11の下面13から下方に露出(延出)する脚ロッド24の脚下部25に力を加える。脚下部25に力を加えるには、たとえば、ナット29から露出する脚下部25の周面を金槌やモンキーレンチ、バール等で殴打して脚上部26を折曲する。または、ナット29から露出する脚下部25をペンチやモンキーレンチで挟持し、ペンチやモンキーレンチの柄をひねって脚上部26を折曲する。
脚ロッド24の脚上部26を折曲するように脚下部25に力を加えると、図8に示すように、脚ロッド24の脚上部26に形成された狭窄部分28が折れ、狭窄部分28において脚上部26が分かれ、脚上部26が略上半分と脚下部25がつながる略下半分とに二分(略上半分と脚下部25がつながる略下半分とに分離)される。Pコーン16の内側にコンクリート37が打設されることがないから、狭窄部分28を容易に折ることができ、Pコーン16の内側に位置する狭窄部分28において脚ロッド24の脚上部26を容易に二分することができる。また、Pコーン16の内側にコンクリート37が存在せず、狭窄部分28において脚ロッド24の脚上部26を二分したときに、脚ロッド24の脚上部26においてコンクリート37が破損することはなく、脚ロッド24の周辺におけるコンクリート補修を必要としない。
二分工程によって狭窄部分28を折り、脚上部26を二分した後、取り外し工程が実施される。取り外し工程では、図9に示すように、二分された脚上部26のうちの脚下部25がつながる脚上部26の略下半分(ナット29を含む)と鉄板ベース11とを下方に移動させ、脚下部25がつながる脚上部26の略下半分と鉄板ベース11とを鉄筋構造材10から取り外すとともに、Pコーン16を鉄筋構造材10から取り外す。脚下部25がつながる脚上部26の略下半分と鉄板ベース11とを鉄筋構造材10から取り外すと、硬化したコンクリート37のコンクリート面が天井面に露出する打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物38が完成する。
鉄筋構造材10は、脚ロッド24の脚下部25にナット29(固定手段)を螺着することで鉄筋ブリッジ14が鉄板ベース11に取り付けられて鉄筋構造材10を組み立てることができ、脚ロッド24の脚上部26を折曲するように脚下部25に力を加え、狭窄部分28において脚上部26を二分することで、鉄筋構造材10のうちの脚下部25がつながる脚上部26の略下半分と鉄板ベース11とを取り外すことができるから、硬化したコンクリート37のコンクリート面が露出する打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物38を容易に構築することができる。
鉄筋構造材10利用した鉄筋コンクリート構造物構築方法は、鉄板ベース11の側縁部21どうしを接続してそれら鉄筋構造材10を幅方向へ連結し、幅方向へ連結されたそれら鉄筋構造材10の鉄板ベース11の上面12にコンクリート37を打設して鉄筋ブリッジ14および主鉄筋15をコンクリート37に埋没させ、コンクリート37の養生期間が経過した後、脚ロッド24の脚上部26を折曲するように脚下部25に力を加え、狭窄部分28において脚上部26を二分し、二分された脚上部26のうちの脚下部25がつながる脚上部26の略下半分と鉄板ベース11とを鉄筋構造材10から取り外すことで、打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物38を構築することができるから、硬化したコンクリート37のコンクリート面が露出する打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物38を容易に構築することができるとともに、短い工期で打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物37を構築することができる。
鉄筋構造材10やそれを利用した鉄筋コンクリート構造物構築方法は、主鉄筋15(上端筋30、下端筋31、第1および第2ラチス筋32a,32b)や鉄筋ブリッジ14が鉄筋となり、鉄板ベース11が型枠になるから、鉄筋の配筋作業や型枠の組立作業、型枠の取り外し作業をする必要はなく、短い工期で打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物38を構築することができるとともに、鉄筋の配筋技術や型枠の組立技術を必要とせず、鉄筋の配筋技術を備えた鉄筋工や型枠の組立技術を備えた型枠工以外の作業者でも打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物38を構築することができる。
鉄筋構造材10やそれを利用した鉄筋コンクリート構造物構築方法は、主鉄筋15が鉄筋トラスを形成し、コンクリート37と鉄筋トラスを形成する主鉄筋15および鉄筋ブリッジ14とが一体になることで、コンクリート37に曲げ引張力や曲げ圧縮力、せん断力が作用したとしても、それらの外力に十分に抵抗することが可能な十分な強度を有する強固な打ち放しコンクリート素地仕上げの鉄筋コンクリート構造物38を構築することができる。