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JP6793312B2 - 多層膜用エッチング液とエッチング濃縮液およびエッチング方法 - Google Patents
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多層膜用エッチング液とエッチング濃縮液およびエッチング方法 Download PDF

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Description

本発明は、液晶、有機EL等のフラットパネルディスプレイの配線用に用いられる銅およびチタンの多層膜をエッチングする際に用いる、多層膜用エッチング液とエッチング濃縮液およびエッチング方法に関する。
液晶や有機EL(Electro−Luminescence)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)のTFT(Thin Film Transistor)は、配線材料としてアルミニウムが使用されてきた。近年、大画面で高精細度のFPDが普及し、使用される配線材料には、アルミニウムよりも低抵抗のものが求められた。そこで、近年アルミニウムより低抵抗である銅を配線材料として用いられるようになった。
銅を配線材料として用いると、基板との間の接着力と、半導体基材への拡散という2つの問題が生じる。つまり、ゲート配線で用いる場合は、比較的基材への衝突エネルギーが大きいとされるスパッタリング法を用いても、ガラスなどの基板の間で接着力が十分でない場合がある。また、ソース・ドレイン配線で用いる場合は、付着した銅が下地となるシリコンへ拡散し、半導体の電気的設計値を変えてしまうという問題が生じる。
この問題を解決するため、半導体基材上にモリブデン膜を最初に形成しておき、その上に銅膜を形成する多層構造が採用された。しかし、下地とのアイソレーションおよび接着性をより確実にするため、銅膜の下地層としてチタンが採用されてきている。
また、大型のFPDが普及に伴い、より抵抗の低い銅配線パターンが求められた。画面が広くなると、画素に給電するための配線長が長くなり、また高精細にするために線幅を狭くする必要がある。そこで、銅膜の厚みを厚くして抵抗を低下させることが検討されている。
FPDの配線は、スパッタリング法で形成された多層膜をウエットエッチングによって形成される。大面積を一気に形成できるので、工程の短縮化が可能だからである。ここで、配線のウエットエッチング用のエッチング液には、以下の点が重要とされている。
(1)加工精度が高く基板全面にわたり一様に加工できること。
(2)加工後の配線断面が所定の角度の順テーパーであること。
(3)銅イオンが含まれることでエッチングレートが変化しないこと(バスライフが長いこと)。
(4)析出物の発生が少ないこと。
特許文献1には、銅/チタンの積層膜のエッチング液として、
(A)過酸化水素、
(B)硝酸、
(C)フッ素イオン供給源としてフッ化アンモニウム及び/又は酸性フッ化アンモニウム、
(D)5−アミノ−1H−テトラゾール、
(E)第四級アンモニウムヒドロキシドとしてテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド及び/又は(ヒドロキシアルキル)トリアルキルアンモニウムヒドロキシド及び
(F)フェニル尿素及び/又はフェノールスルホン酸を含み、
pHが1.5〜2.5である多層膜用エッチング液が開示されている。
特許文献1のエッチング液は、下層のチタン膜および上層の銅膜のサイドエッチングの指標であるトップCDロス、ボトムCDロス、バリア膜テイリング、テーパー角などに関して好適な範囲でエッチングできることが示されている。
一方、特許文献1のエッチング液は、上記の特性を維持できる範囲(バスライフ)を4000ppmとしている。金属イオン量がこの値以上になると、過酸化水素や硝酸の分解が進み、性能を維持できないからとされている。
国際公開2011−093445号(特許5685204号)
銅の膜厚が増えると、サイドエッチングの挙動も変化する。したがって、膜厚に応じたエッチング液組成の調整が必要となる。しかし、銅の膜厚が増えると、エッチング液中の金属イオン濃度の上昇も早くなる。結果、エッチング液の成分管理のための追添の手間が多く必要となるという課題が生じる。
本発明は上記の課題を解決するために想到されたものであり、エッチング液中の金属イオン濃度が高くなっても、エッチングの性能の変化を許容範囲に収めることができ、組成管理の手間を軽減することができる銅/チタン用エッチング液を提供することにある。
より具体的に、本発明に係る多層膜用エッチング液は、
銅とチタンの多層膜をエッチングするエッチング液であって、
(a)過酸化水素と、
(b)フッ素イオン供給源と、
(c)アゾール類と、
(d)過酸化水素安定剤と、
(e)有機酸と、
(f)アミン類と、
(g)水を含み、
前記有機酸はエッチング液全量に対してメタンスルホン酸と乳酸から選ばれ、
前記有機酸にメタンスルホン酸を含む場合は、前記メタンスルホン酸は、エッチング液全量に対して0.2質量%〜1.5質量%含み、
さらに、少なくとも乳酸、コハク酸、グルタル酸、マロン酸のうち一種の有機酸が併用され、
前記併用される有機酸に乳酸を含む場合は、前記乳酸は、エッチング液全量に対して2.0質量%〜10.0質量%であり、
前記併用される有機酸にコハク酸を含む場合、前記コハク酸は、エッチング液全量に対して4.5質量%〜5.5質量%であり、
前記併用される有機酸にグルタル酸を含む場合、前記グルタル酸は、エッチング液全量に対して9.5質量%〜10.5質量%であり、
前記併用される有機酸にマロン酸を含む場合、前記マロン酸は、エッチング液全量に対して4.5質量%〜5.5質量%であり、
前記有機酸が乳酸だけの場合は、前記乳酸はエッチング液全量に対して4.0質量%〜5.0質量%であることを特徴とする。
また、本発明に係るエッチング方法は、
上記のエッチング液を銅とチタンの多層膜にレジストパターンが配された被処理基板に接触させる工程と、
前記接触させた状態を所定時間維持する工程を有することを特徴とする。
本発明に係るエッチング液は、エッチング液中の金属イオン濃度が8,000ppmでもサイドエッチングの各パラメータを好適な範囲に維持することができる。したがって、銅の膜厚を厚くした基板をエッチングする際にも、これまで通りの組成管理(成分や全量の追添等の量や時期の決定)を行うことができる。
エッチングされた配線の断面を表す概念図である。
以下本発明に係る銅およびチタンの多層膜用エッチング液について説明する。なお、以下の説明は本発明に係るエッチング液の一実施形態を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、以下の実施形態および実施例は改変されてもよい。なお、以下の説明において、数値範囲を「A〜B」で示した場合、「A以上、B以下」の意味である。すなわち、数値Aを含んで大きく、且つ数値Bを含んで小さい範囲を意味する。
本発明に係る多層膜用エッチング液は、過酸化水素と、フッ素イオン供給源と、アゾール類と、過酸化水素安定剤と、有機酸と、アミン類と、水を含む。以下、それぞれの成分について詳説する。
<過酸化水素>
銅のエッチングは、銅が酸化され、酸化銅(CuO)となり、酸(有機酸)により溶解される。過酸化水素は、銅を酸化する酸化剤として用いられる。過酸化水素は、エッチング液全量の4.0質量%〜8.8質量%が好ましく、5.0質量%〜7.0質量%であればより好ましく、5.5質量%〜6.5質量%であれば最も好ましい。
<フッ素イオン供給源>
チタンの溶解にはフッ素イオンが有用である。フッ素イオンの供給源としては、エッチング液中でフッ素がイオン化するものであれば特に限定はない。フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム等が好適に利用できる。特にフッ化アンモニウム(NH4F:CAS番号12125−01−8)は好適に利用することができる。フッ素イオン供給源は、ガラスを侵食するため含有量が多すぎると基板自体を腐食させる。エッチング液全量に対して0.2質量%〜1.0質量%が好ましい。
<アゾール類>
本発明に係る多層膜用エッチング液では、Cuのエッチングレートを抑制するためにアゾール類を含有する。アゾール類としては、トリアゾール類、テトラゾール類、イミダゾール類、チアゾール類等が好適に利用することができる。より具体的には、以下のものが列挙できる。トリアゾール類としては、1H−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−1H−トリアゾール等が好適に利用できる。
テトラゾール類としては、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール等が好適に利用できる。また、イミダゾール類としては、1H−イミダゾール、1H−ベンゾイミダゾール等が好適に利用できる。また、チアゾール類としては、1,3−チアゾール、4−メチルチアゾール等が好適に利用できる。
なお、これらのうち、テトラゾール類はエッチングレート抑制に効果が高く、とりわけ5−アミノ−1H−テトラゾール(CAS番号4418−61−5:以後「5A1HT」とも呼ぶ。)が好ましい。
これらのアゾール類は、エッチング液全量に対して、0.005質量%〜1.0質量%がよく、より好ましくは0.01質量%〜0.5質量%、最も好ましくは0.01質量%〜0.10質量%含有させるのがよい。
<過酸化水素安定剤>
本発明に係る多層膜用エッチング液では、酸化剤として過酸化水素を利用している。過酸化水素は、自己分解するため、その分解を抑制する分解抑制剤を添加する。過酸化水素分解抑制剤は、過酸化水素安定剤とも呼ぶ。
特に、本発明に係るエッチング液の場合、Cu濃度が8,000ppmまでエッチングレートの変化がわずかであることが必要である。本発明では、2−ブトキシエタノール(CAS番号111−76−2:以下「BG」とも呼ぶ。)が好適に用いられる。
従来、過酸化水素安定剤としては、フェニル尿素、アリル尿素、1,3−ジメチル尿素、チオ尿素などの尿素系過酸化水素安定剤のほか、フェニル酢酸アミド、フェニルエチレングリコールや、1−プロパノール、2−プロパノール等の低級アルコールなどがよく用いられていた。しかし、BGはCu濃度が8,000ppm以上の高い濃度になっても、過酸化水素の分解を抑制する顕著な効果を発揮することがわかった。
なお、BGは、エッチング液に一定以上入れることで効果があり、多量に入れても効果は飽和する。他の必要成分量を確保できれば、多量に入れてもエッチング液としての効果は発揮する。しかし、BGを多く加えることで、コストは高くなる。効果と価格を考慮するとエッチング液全量に対して5.0質量%を超えて添加する意味はない。
また、エッチング液中の過酸化水素の割合が上記に示した範囲内であれば、BGは、エッチング液全量に対して0.1質量%以上含有されていれば効果を奏する。したがって、過酸化水素安定剤としてのBGは、エッチング液全量に対して0.1質量%〜5.0質量%含有されていればよく、0.5質量%〜2.5質量%含有されていればより好ましく、0.7質量%〜1.5質量%含有されていれば最も好ましい。
なお、従来過酸化水素分解抑制剤として使われていたフェニル尿素は、エッチング液全量に対して0.2質量%を超えて含有させると、フェニル基と過酸化水素が反応し、アゾール類と過酸化水素の反応物とは異なる析出物を生じた。一方、BGはそのような析出物を発生させない。したがって析出物の生成という点からも、BGは好適な過酸化水素安定剤である。
<有機酸>
有機酸は、銅膜をエッチングするとともに、エッチングされた配線の断面のテーパー角度を調整する役目を負う。また、過酸化水素の分解を抑制する機能もある程度有すると考えられる。有機酸には酸性有機酸を用いる。
有機酸としては、炭素数1〜18の脂肪族カルボン酸、炭素数6〜10の芳香族カルボン酸のほか、炭素数1〜10のアミノ酸、炭素数1〜10のスルホン酸などが好ましく挙げられる。
炭素数1〜18の脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ジグリコール酸、ピルビン酸、マロン酸、酪酸、ヒドロキシ酪酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、吉草酸、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、カプロン酸、クエン酸、プロパントリカルボン酸、trans−アコニット酸、エナント酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが好ましく挙げられる。
炭素数6〜10の芳香族カルボン酸としては、安息香酸、サリチル酸、マンデル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが好ましく挙げられる。
また、炭素数1〜10のアミノ酸としては、カルバミン酸、アラニン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、サルコシン、セリン、グルタミン、グルタミン酸、4−アミノ酪酸、イミノジ酪酸、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、ニトリロ三酢酸などが好ましく挙げられる。
また、炭素数1〜10のスルホン酸としては、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が好ましい。
上記有機酸のなかでも、酸性有機酸として乳酸、コハク酸、グルタル酸、マロン酸、メタンスルホン酸が好適に利用できる。
メタンスルホン酸(CAS番号:75−75−2)は、単独で用いられることはなく、必ず他の酸性有機酸と併用される。この場合、メタンスルホン酸はエッチング液全量に対して0.2質量%〜1.5質量%であるのが好ましい。
併用される酸性有機酸が乳酸(混合状態(DL−乳酸)CAS番号:50−21−5)の場合、乳酸はエッチング液全量に対して2.0質量%〜10.0質量%の範囲が好ましい。なお、乳酸はL−乳酸若しくはD−乳酸を単独で用いてもよい。
また、併用される酸性有機酸がコハク酸(CAS番号:110−15−6)の場合、コハク酸はエッチング液全量に対して4.5質量%〜5.5質量%の範囲が好ましい。
また、併用される酸性有機酸がグルタル酸(CAS番号:110−94−1)の、グルタル酸はエッチング液全量に対して9.5質量%〜10.5質量%の範囲が好ましい。
また、併用される酸性有機酸がマロン酸(CAS番号:141−82−2)の場合、マロン酸はエッチング液全量に対して4.5質量%〜5.5質量%の範囲が好ましい。
なお、乳酸は単独で用いることができる。乳酸を単独で用いた場合は、エッチング液全量に対して4.0質量%〜5.0質量%の範囲が好ましい。
<アミン化合物>
アミン化合物はエッチング液のpH調整を担う。アミン化合物としては、炭素数2〜10のものが好適に利用できる。より具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2,4−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、トリエチルエチレンジアミン、1,2,3−トリアミノプロパン、ヒドラジン、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラ(アミノメチル)メタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルペンタミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナエチレンデカミン、ジアザビシクロウンデセンなどのポリアミン;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、N−プロピルイソプロパノールアミン、2−アミノプロパン−1−オール、N−メチル−2−アミノ−プロパン−1−オール、N−エチル−2−アミノ−プロパン−1−オール、1−アミノプロパン−3−オール、N−メチル−1−アミノプロパン−3−オール、N−エチル−1−アミノプロパン−3−オール、1−アミノブタン−2−オール、N−メチル−1−アミノブタン−2−オール、N−エチル−1−アミノブタン−2オール、2−アミノブタン−1−オール、N−メチル−2−アミノブタン−1−オール、N−エチル−2−アミノブタン−1−オール、3−アミノブタン−1−オール、N−メチル−3−アミノブタン−1−オール、N−エチル−3−アミノブタン−1−オール、1−アミノブタン−4−オール、N−メチル1−アミノブタン−4−オール、N−エチル−1−アミノブタン−4−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、2−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノペンタン−4−オール、2−アミノ−4−メチルペンタン−1−オール、2−アミノヘキサン−1−オール、3−アミノヘプタン−4−オール、1−アミノオクタン−2−オール、5−アミノオクタン−4−オール、1−アミノプパン−2,3−ジオール、2−アミノプロパン−1,3−ジオール、トリス(オキシメチル)アミノメタン、1,2−ジアミノプロパン−3−オール、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、ジグリコールアミンなどのアルカノールアミンが好ましく挙げられる。これらの有機酸は、単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、トリイソプロパノールアミン(CAS番号122−20−3)が特に好ましい。また、アミン化合物はエッチング液全量に対して、0.5質量%〜3.0質量%含有させるのが好ましく、0.6質量%〜2.5質量%であればより好ましく、0.7〜2.0質量%なら最も好ましい。
<銅イオン>
通常の多層膜用エッチング液は、Cuイオン濃度が2,000ppmから4,000ppm程度になるように、希釈用のエッチング液が追添される。過酸化水素の分解速度が速くなるため、過酸化水素濃度が低下してしまうからである。しかし、本発明に係るエッチング液は、過酸化水素の分解速度を抑制するので、より高いCuイオン濃度になっても、Cuイオンの希釈のためのエッチング液の追添は不要である。より具体的には、エッチング液のCu濃度が少なくとも8,000ppmまでは、希釈のためのエッチング液を追添する必要はない。
<その他>
本発明の多層膜用エッチング液には、これらの成分の他、水と、エッチング性能を阻害しない範囲で通常用いられる各種添加剤が添加されてもよい。水は、精密加工を目的とするため、異物が存在しない物が望ましい。純水若しくは超純水であれば好ましい。また、上記に説明した各成分の含有比率の範囲は、エッチング液総量で100質量%になるように適宜それぞれ調整されるのは言うまでもない。
<pH、温度>
本発明に係る多層膜用エッチング液は、pH1〜4、より好ましくはpH1.5〜2.5の範囲で使用されるのが好ましい。また、エッチング液は、20℃から60℃の間で使用することができる。より好ましくは30℃から55℃であり、最も好ましくは35℃から50℃がよい。
<保存>
本発明に係る多層膜用エッチング液には、過酸化水素が用いられる。過酸化水素は自己分解する。そのためエッチング液には、過酸化水素分解抑制剤が含まれている。しかし、保存の際には、過酸化水素(若しくは過酸化水素水)とその他の液体を分けて保存しても良い。また、過酸化水素(若しくは過酸化水素水)、水および銅イオンを除いた原料(「エッチング液原料」と呼ぶ。)だけをまとめて保存してもよい。なお、エッチング液原料には、液体のものと液体以外の形態のものが存在してもよい。すなわち、本発明に係る多層膜用エッチング液は、エッチング液原料と、水と、過酸化水素(若しくは過酸化水素水)を合わせて完成させてもよい。
また、エッチング液原料と水を混ぜ合わせ、エッチング液原料の溶液を作製しておいてよい。この溶液は、後述する実施例で示すエッチング液の水の割合より少ない割合の水であってもよい。エッチング液原料と水で作製したエッチング液原料の溶液を「エッチング濃縮液」と呼ぶ。これに対して過酸化水素を所定の割合で混合し完成されたエッチング液を「完全エッチング液」と呼んでもよい。エッチング濃縮液は、完全エッチング液と比べると過酸化水素および水の一部が無い分だけ体積が少ないので、保存や移送の際には便利である。したがって、本発明の多層膜用エッチング液(完全エッチング液)は、エッチング濃縮液と水と過酸化水素を合わせて完成させてもよい。
したがって、エッチング濃縮液は、本発明に係る完全エッチング液から過酸化水素を除いた成分で構成され、過酸化水素と水を所定の濃度になるように添加すれば、本発明のエッチング液が完成する。すなわち、エッチング濃縮液は、過酸化水素を所定の濃度になるように調製した完全エッチング液にした時の各成分の組成比を規定することで表すことができる。
ここで、エッチング濃縮液の水は、エッチング液原料が溶解するだけの量があればよい。つまり、過酸化水素が水溶液である過酸化水素水として供給されると考えると、本発明の多層膜用エッチング液は、エッチング濃縮液と水と過酸化水素水の3つを合わせて完成させることができる。
また、水はエッチング濃縮液若しくは過酸化水素水に含めてしまえば、エッチング濃縮液と過酸化水素水の2つを合わせて完成させることもできる。また、本明細書において、エッチング濃縮液の各成分比率は、エッチング液が完成したときの全量に対する比率で表す。したがって、エッチング濃縮液の各成分の合計は、100質量%にはならない。
<エッチング方法>
本発明に係る多層膜用エッチング液を用いる対象は、チタン若しくはチタン合金(チタン合金を含め単に「チタン」とも呼ぶ。)が下層で、銅若しくは銅合金(銅合金を含め単に「銅」とも呼ぶ。)が上層となった銅/チタンの多層膜である。下層のチタンの厚みは、上層の銅の厚みより薄い。下層の厚みをt0とし上層の厚みをt1とすると、t1/t0の範囲が16から32までの範囲の構成である。t1/t0の範囲がこの範囲を外れて、チタン層が厚すぎると、チタン層の残渣が生じやすく、逆に薄すぎるとCu層の下地層としての役割を果たさなくなる。
本発明に係る多層膜用エッチング液は、保存の際に、過酸化水素とエッチング液原料および水を分けて保存しておくことで長期保存が可能になる。そして、実際に使用する際には、これらを調合してエッチング液を完成させる。調合の方法は、最終的に過酸化水素の濃度が所定の濃度になれば、限定されるものではない。
一例を示すと、一定量の水にエッチング液原料を混ぜたエッチング濃縮液を調製しておく。過酸化水素は通常本発明に係る多層膜用エッチング液の過酸化水素濃度より高い濃度の過酸化水素水として供給される。そこで、過酸化水素水とエッチング濃縮液(さらに水があってもよい)を所定量ずつ調合する。この工程を多層膜用エッチング液を調合する工程と呼んでもよい。なお、この工程は、エッチングの直前に行う必要はなく、予め過酸化水素を含めて調製されたエッチング液を用いてエッチングしてもよい。
エッチングを行う際は、上記の通り、pH1〜4で、20℃から60℃の条件でエッチング液を使用する。したがって、エッチングの被対象物(被処理基板)も、この温度に余熱されるのが望ましい。被処理基板をエッチング液に接触させる方法は、特に限定されない。シャワー式のように上方からエッチング液を被処理基板に対して散布してもよいし、エッチング液のプールに被処理基板をディップさせる方法でもよい。これを多層膜用エッチング液を被処理基板に接触させる工程と呼んでも良い。
またエッチングは、被処理基板とエッチング液の接触を所定の時間維持しなければならない。これは被処理基板とエッチング液の接触を所定の時間維持する工程である。
なお、被処理基板とは、ガラス等の基材の上にチタン層と銅層が積層され、この積層膜にパターン形成のためのレジストパターンが形成されている状態の基板である。
<各種評価方法の説明>
本発明に係る多層膜用エッチング液に対しては、ジャストエッチングの際の、被処理基板を切断し、SEMによる観察でサイドエッチングの指標を調べた。
より具体的には、まず、ガラス基板上にスパッタ法でチタンを25nmの厚みで成膜し、その上に続けて銅を600nmの厚みで成膜し、Cu/Tiの多層膜サンプルを作製した。この銅膜の上に配線形状にパターニングしたレジストを形成し、テーパー角評価用の基材とした。つまり、基材は、ガラス基板とチタン膜とその上の銅膜と、銅膜上のパターニングされたレジスト層からなる。この基材をジャストエッチングする時間の間エッチング液に浸漬させ、エッチングを行った。エッチング後のサンプルを洗浄し、乾燥させた後、配線部分を配線方向に直角に切断し、切断面を観察した。
切断面の観測は、SEM(日立製:SU8020型)を用い、加速電圧1kV、30,000〜50,000倍の条件で行った。なお、ジャストエッチングは、エッチング開始から膜が光を透過するまでの時間である。膜が光を透過した時点は目視で確認した。ただし、エッチングを開始してから3分経過しても、まだ膜が残っている場合は、「測定不可」とした。
切断面形状の模式図を図1に示す。図1を参照して、切断面は、ガラス基板10と、チタン層12と、銅層14と、レジスト層16で構成される。レジスト層16の端16aからガラス基板10との間にできるガラス基板10に垂直な仮想面18が理想的なエッジ面である。現実のエッジ面は、膜の上面と下面でエッチング速度が異なり、図に示すような傾斜面となる。
レジスト層16の端16aの直下方の銅層14は、エッチングが進行し存在しない。したがって、レジスト層16の端16aは庇形状になっている。
また、銅層14は、ガラス基板10に近い方よりレジスト層16に近い方が仮想面18から深く浸食されている。銅層14の下層であるチタン層12は、銅とのエッチングレートの違いで仮想面18からの浸食具合は浅い。
ここで、銅層14の上面14aの端14aaと仮想面18(レジスト層16の端16a)との間の距離aを「トップCD(Critical Dimension:線幅)ロス」と呼ぶ。また、銅層14の下面14bの端14baと仮想面18との距離bを「ボトムCDロス」と呼ぶ。また、銅層14の下面14bの端14baから上面14aの端14aaまでの斜面の角度θを「テーパー角」と呼ぶ。
トップCDロス、ボトムCDロス、テーパー角は、それぞれ記号「a」、「b」、「θ」とする。なお、通常トップCDロス、ボトムCDロスは、線幅の両側で生じるため、測定値の2倍の値を評価値とする。すなわち、あるサンプルの断面を観測したときに、トップCDロスが0.5μmであったとすると、トップCDロスの評価値は、1.0μmとする。しかし、ここでは、配線の片側だけのトップCDロスaとボトムCDロスbの測定値を表に表記した。
なお、トップCDロスaは、0.5μm〜2.0μm、ボトムCDロスbは0.3μm〜1.0μmであるのが望ましい。またテーパー角θは、30°から80°であればよい。
「ガラス腐食速度」は、エッチング実験を行ったサンプルの浸食部分と非浸食部分の段差を段差測定器で測定し求めた。単位はnm/minである。ガラス腐食速度は30〜60nm/minであればよい。
「評価Cu濃度」は、サンプルとするエッチング液に、銅を所定量ずつ溶解させながらエッチングを行い、テーパー角θ、トップCDロスa、ボトムCDロスbの何れかが好ましい範囲からはずれた場合、若しくは他の原因で継続してエッチングができなくなった濃度の直前の濃度とした。「評価Cu濃度」が高いということはバスライフが長いと言ってもよい。
以下に実施例および比較例の組成を示す。
(実施例1)
酸性有機酸として、
メタンスルホン酸を0.3質量%、
乳酸を9.0質量%、
アミン化合物として、
トリイソプロパノールアミンを0.75質量%、
過酸化水素安定剤として、
2−ブトキシエタノールを0.90質量%、
アゾール類として、
5−アミノ−1H−テトラゾールを0.04質量%
フッ素イオン供給源として、
フッ化アンモニウムを0.4質量%
からなるエッチング液原料を水72.04質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。なお、エッチング濃縮液での各成分比率は、後述する過酸化水素水と混合しエッチング液が完成したときの総量に対する比率で表す。以下の実施例および比較例についても同様である。
35%過酸化水素水16.57重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.8質量%と水分が10.77質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.8質量%のエッチング液を調製した。なお、水は全量で82.81質量%となる。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表1に示す。なお、表1では、水の全量は「残部」と記載した。以下表2を含め同様である。
(実施例2)
酸性有機酸として、
メタンスルホン酸を1.0質量%、
乳酸を2.7質量%、
アミン化合物として、
トリイソプロパノールアミンを2.0質量%、
過酸化水素安定剤として、
2−ブトキシエタノールを0.90質量%、
アゾール類として、
5−アミノ−1H−テトラゾールを0.04質量%
フッ素イオン供給源として、
フッ化アンモニウムを0.8質量%
からなるエッチング液原料を水75.99質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水16.57重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.8質量%と水分が10.77質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.8質量%のエッチング液を調製した。なお、水は全量で86.76質量%となる。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表1に示す。
(実施例3)
酸性有機酸として、
メタンスルホン酸を0.3質量%、
コハク酸を5.0質量%、
アミン化合物として、
トリイソプロパノールアミンを0.75質量%、
過酸化水素安定剤として、
2−ブトキシエタノールを0.90質量%、
アゾール類として、
5−アミノ−1H−テトラゾールを0.04質量%
フッ素イオン供給源として、
フッ化アンモニウムを0.4質量%
からなるエッチング液原料を水76.04質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水16.57重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.8質量%と水分が10.77質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.8質量%のエッチング液を調製した。なお、水は全量で86.81質量%となる。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表1に示す。
(実施例4)
酸性有機酸として、
メタンスルホン酸を0.5質量%、
グルタル酸を10.0質量%、
アミン化合物として、
トリイソプロパノールアミンを0.75質量%、
過酸化水素安定剤として、
2−ブトキシエタノールを0.90質量%、
アゾール類として、
5−アミノ−1H−テトラゾールを0.04質量%
フッ素イオン供給源として、
フッ化アンモニウムを0.4質量%
からなるエッチング液原料を水70.84質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水16.57重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.8質量%と水分が10.77質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.8質量%のエッチング液を調製した。なお、水は全量で81.61質量%となる。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表1に示す。
(実施例5)
酸性有機酸として、
メタンスルホン酸を0.3質量%、
マロン酸を5.0質量%、
アミン化合物として、
トリイソプロパノールアミンを1.5質量%、
過酸化水素安定剤として、
2−ブトキシエタノールを0.90質量%、
アゾール類として、
5−アミノ−1H−テトラゾールを0.04質量%
フッ素イオン供給源として、
フッ化アンモニウムを0.4質量%
からなるエッチング液原料を水75.29質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水16.57重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.8質量%と水分が10.77質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.8質量%のエッチング液を調製した。なお、水は全量で86.06質量%となる。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表1に示す。
(実施例6)
酸性有機酸として、
乳酸を4.5質量%、
アミン化合物として、
トリイソプロパノールアミンを0.75質量%、
過酸化水素安定剤として、
2−ブトキシエタノールを0.90質量%、
アゾール類として、
5−アミノ−1H−テトラゾールを0.04質量%
フッ素イオン供給源として、
フッ化アンモニウムを0.4質量%
からなるエッチング液原料を水76.84質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水16.57重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.8質量%と水分が10.77質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.8質量%のエッチング液を調製した。なお、水は全量で87.61質量%となる。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表1に示す。
(比較例1)
酸性有機酸として、
マロン酸を20.0質量%、
アミン化合物として、
水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH:CAS番号75−59−2)を5.7質量%、
過酸化水素安定剤として、
2−ブトキシエタノールを0.90質量%、
アゾール類として、
5−アミノ−1H−テトラゾールを0.2質量%
フッ素イオン供給源として、
フッ化アンモニウムを0.26質量%
からなるエッチング液原料を水56.37質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水16.57重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.8質量%と水分が10.77質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.8質量%のエッチング液を調製した。なお、水は全量で67.14質量%となる。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表2に示す。
(比較例2)
酸性有機酸として、
メタンスルホン酸を2.3質量%
マロン酸を10.0質量%、
アミン化合物として、
水酸化テトラメチルアンモニウムを3.3質量%、
過酸化水素安定剤として、
2−ブトキシエタノールを0.90質量%、
アゾール類として、
5−アミノ−1H−テトラゾールを0.1質量%
フッ素イオン供給源として、
フッ化アンモニウムを0.26質量%
からなるエッチング液原料を水66.57質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水16.57重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.8質量%と水分が10.77質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.8質量%のエッチング液を調製した。なお、水は全量で77.34質量%となる。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表2に示す。
(比較例3)
酸性有機酸として、
メタンスルホン酸を0.3質量%
乳酸を13.5質量%、
アミン化合物として、
トリイソプロパノールアミンを1.5質量%、
過酸化水素安定剤として、
2−ブトキシエタノールを0.90質量%、
アゾール類として、
5−アミノ−1H−テトラゾールを0.01質量%
フッ素イオン供給源として、
フッ化アンモニウムを0.4質量%
からなるエッチング液原料を水66.82質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水16.57重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.8質量%と水分が10.77質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.8質量%のエッチング液を調製した。なお、水は全量で77.59質量%となる。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表2に示す。
(比較例4)
酸性有機酸として、
メタンスルホン酸を0.5質量%
アミン化合物として、
トリイソプロパノールアミンを0.75質量%、
過酸化水素安定剤として、
2−ブトキシエタノールを0.90質量%、
アゾール類として、
5−アミノ−1H−テトラゾールを0.04質量%
フッ素イオン供給源として、
フッ化アンモニウムを0.4質量%
からなるエッチング液原料を水80.84質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水16.57重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.8質量%と水分が10.77質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.8質量%のエッチング液を調製した。なお、水は全量で91.61質量%となる。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表2に示す。
(比較例5)
酸性有機酸として、
メタンスルホン酸を0.3質量%
グリコール酸を9.0質量%
アミン化合物として、
トリイソプロパノールアミンを0.75質量%、
過酸化水素安定剤として、
2−ブトキシエタノールを0.90質量%、
アゾール類として、
5−アミノ−1H−テトラゾールを0.04質量%
フッ素イオン供給源として、
フッ化アンモニウムを0.4質量%
からなるエッチング液原料を水72.04質量%と調合し、エッチング濃縮液を調製した。
35%過酸化水素水16.57重量%(エッチング液の全量に対して過酸化水素が5.8質量%と水分が10.77質量%)とエッチング濃縮液を混合し、過酸化水素濃度が5.8質量%のエッチング液を調製した。なお、水は全量で82.81質量%となる。また、液温は35℃で用いた。エッチング液全体に占める各成分濃度と、各評価事項の結果を表2に示す。
Figure 0006793312
Figure 0006793312
表1を参照する。実施例1乃至5は、有機酸としてメタンスルホン酸とその他の有機酸を併用したものである。これらの実施例においては、テーパー角、トップCDロスおよびボトムCDロスとも、好ましい範囲内でエッチングすることができた。また、これらの組成では、評価Cu濃度も8,000ppm以上であった。
実施例6は有機酸として乳酸だけのものである。本発明に係るエッチング液では有機酸は、乳酸だけでも銅/チタンの多層膜を好適にエッチングすることができた。
次に表2を参照する。表2は比較例を掲載したものである。比較例1および比較例2はいずれもフッ化アンモニウムが0.26質量%であり、表1に示した各実施例よりも少ない場合である。比較例1および2ともに、規定時間内にジャストエッチの状態になることができず、エッチング残りが生じた。したがって、テーパー角等のサイドエッチングの指標は測定できなかった。表2の備考には「時間切れ」と記載した。
比較例3は、有機酸としてメタンスルホン酸と乳酸を含んだ組成である。サイドエッチングの指標は値を掲載しているが、テーパー部分がテーパーになっておらず、形状が非常に乱れたエッチ面となっていた。表2の備考には「θ不良」と記載した。
比較例4は、有機酸としてメタンスルホン酸だけのものである。また比較例5は、有機酸としてメタンスルホン酸とグリコール酸を併用したものである。いずれの場合も、規定時間内にジャストエッチングの状態にならず、溶け残りがあった。表2の備考には「時間切れ」と記載した。
以上のことより、メタンスルホン酸は全量に対して0.2質量%〜1.5質量%の範囲であって、乳酸を併用する場合は乳酸は2.0質量%〜10.0質量%が望ましい。
また、コハク酸を併用する場合、コハク酸は4.5質量%〜5.5質量%がよく、グルタル酸を併用する場合、グルタル酸は9.5質量%〜10.5質量%がよく、マロン酸を併用する場合、マロン酸は4.5質量%〜5.5質量%が望ましい。
また、有機酸として乳酸は単独で使用することもできる。その際の乳酸は4.0質量%〜5.0質量%が好適である。
以上のように、過酸化水素と、フッ素イオン供給源と、アゾールと、過酸化水素安定剤と、有機酸と、アミンと水で構成されるエッチング液であって、有機酸は、メタンスルホン酸と乳酸、コハク酸、グルタン酸、マロン酸から選ばれる少なくとも1種を含むものは、銅/チタンの多層膜を好適にエッチングすることができ、また、バスライフも長い。したがって、銅の膜厚が厚くなっても、頻繁にエッチング液の組成調整を行う必要がない。
本発明に係るエッチング液は、チタンと銅の多層膜をエッチングする際に好適に利用することができる。特に、銅イオン濃度が非常に高くなっても、サイドエッチングの特性を維持することができるので、銅の膜厚が厚くなっても長期間にわたって所定のエッチングレートの範囲を維持することができる。
ガラス基板10
チタン層12
銅層14
(銅層14の)上面14a
(銅層14の上面14aの)端14aa
(銅層14の)下面14b
(銅層14の下面14bの)端14ba
レジスト層16
端16a
仮想面18
角度θ

Claims (8)

  1. 銅とチタンの多層膜をエッチングするエッチング液であって、
    (a)過酸化水素と、
    (b)フッ素イオン供給源と、
    (c)アゾール類と、
    (d)過酸化水素安定剤と、
    (e)有機酸と、
    (f)アミン類と、
    (g)水を含み、
    前記有機酸はエッチング液全量に対してメタンスルホン酸と乳酸から選ばれ、
    前記有機酸にメタンスルホン酸を含む場合は、前記メタンスルホン酸は、エッチング液全量に対して0.2質量%〜1.5質量%含み、
    さらに、少なくとも乳酸、コハク酸、グルタル酸、マロン酸のうち一種の有機酸が併用され、
    前記併用される有機酸に乳酸を含む場合は、前記乳酸は、エッチング液全量に対して2.0質量%〜10.0質量%であり、
    前記併用される有機酸にコハク酸を含む場合、前記コハク酸は、エッチング液全量に対して4.5質量%〜5.5質量%であり、
    前記併用される有機酸にグルタル酸を含む場合、前記グルタル酸は、エッチング液全量に対して9.5質量%〜10.5質量%であり、
    前記併用される有機酸にマロン酸を含む場合、前記マロン酸は、エッチング液全量に対して4.5質量%〜5.5質量%であり、
    前記有機酸が乳酸だけの場合は、前記乳酸はエッチング液全量に対して4.0質量%〜5.0質量%であるエッチング液。
  2. 前記フッ素イオン供給源は、フッ化アンモニウムである請求項1に記載されたエッチング液。
  3. 前記アゾール類は、5−アミノ−1H−テトラゾールである請求項1または2に記載されたエッチング液。
  4. 前記過酸化水素安定剤は、2−ブトキシエタノールである請求項1乃至3の何れか一の請求項に記載されたエッチング液。
  5. 前記アミン類はトリイソプロパノールアミンである請求項1乃至4の何れか一の請求項に記載されたエッチング液。
  6. 銅とチタンの積層膜をエッチングするエッチング液を濃縮したエッチング濃縮液であって、
    (b)フッ素イオン供給源と、
    (c)アゾール類と、
    (d)過酸化水素安定剤と、
    (e)有機酸と、
    (f)アミン類と、
    (g)水を含み、
    前記有機酸はエッチング液全量に対してメタンスルホン酸と乳酸から選ばれ、
    前記有機酸にメタンスルホン酸を含む場合は、前記メタンスルホン酸は、過酸化水素を全量の4.0質量%〜8.8質量%になるように混合した請求項1乃至5の何れかに記載された完全エッチング液の全量に対して0.2質量%〜1.5質量%含み、
    さらに、少なくとも乳酸、コハク酸、グルタル酸、マロン酸のうちもう一種の有機酸が併用され、
    前記併用される有機酸に乳酸を含む場合は、前記乳酸は、前記完全エッチング液の全量に対して2.0質量%〜10.0質量%であり、
    前記併用される有機酸にコハク酸を含む場合、前記コハク酸は、前記完全エッチング液の全量に対して4.5質量%〜5.5質量%であり、
    前記併用される有機酸にグルタル酸を含む場合、前記グルタル酸は、前記完全エッチング液の全量に対して9.5質量%〜10.5質量%であり、
    前記併用される有機酸にマロン酸を含む場合、前記マロン酸は、前記完全エッチング液全量に対して4.5質量%〜5.5質量%であり、
    前記有機酸が乳酸だけの場合は、前記乳酸は前記完全エッチング液の全量に対して4.0質量%〜5.0質量%であるエッチング濃縮液。
  7. 請求項1乃至5の何れか一の請求項に記載されたエッチング液を銅とチタンの多層膜にレジストパターンが配された被処理基板に接触させる工程と、
    前記接触させた状態を所定時間維持する工程を有するエッチング方法。
  8. 請求項6に記載されたエッチング濃縮液と過酸化水素および水を混合し、請求項1乃至5に記載されたエッチング液を調製する工程と、
    前記エッチング液を銅とチタンの多層膜にレジストパターンが配された被処理基板に接触させる工程と
    前記接触させた状態を所定時間維持する工程を有するエッチング方法。
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