JP6796943B2 - めっき層を有するチタン銅箔 - Google Patents
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Description
母材の表面にCuめっき層を0.01μm以上の厚みで形成する工程と、
を含むチタン銅箔の製造方法である。
本発明に係るめっき層を有するチタン銅箔においては、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部銅及び不可避的不純物からなる組成を有するチタン銅を母材として使用することができる。不可避的不純物とは、おおむね、金属製品において、原料中に存在したり、製造工程において不可避的に混入したりするもので、本来は不要なものであるが、微量であり、金属製品の特性に影響を及ぼさないため、許容されている不純物とすることができる。また、不可避的不純物の総量は一般的には50質量ppm以下であり、典型的には30質量ppm以下であり、より典型的には10質量ppm以下である。チタン銅は、溶体化処理によりCuマトリックス中へTiを固溶させ、時効処理により微細な析出物を合金中に分散させることにより、強度及び導電率を上昇させることが可能である。Ti濃度が1.5質量%未満になると、析出物の析出が不充分となり所望の強度が得られない。Ti濃度が5.0質量%を超えると、加工性が劣化し、圧延の際に材料が割れやすくなる。強度及び加工性のバランスを考慮すると、好ましいTi濃度は2.9〜3.5質量%である。
また、母材に対して、Ag、B、Co、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、Cr及びZrのうち1種以上を総量で0〜1.0質量%含有させることにより、強度を更に向上させることができる。これら元素の合計含有量が0、つまり、これら元素を含まなくても良い。これら元素の合計含有量の上限を1.0質量%としたのは、1.0質量%を超えると、加工性が劣化し、圧延の際に材料が割れやすくなるからである。強度及び加工性のバランスを考慮すると、上記元素の1種以上を総量で0.005〜0.5質量%含有させることが好ましい。
オートフォーカスカメラモジュールの導電性ばね材として好適なチタン銅に必要な引張強さは1100MPa以上であるところ、本発明に係るチタン銅においては、圧延方向に平行な方向での引張強さが1100MPa以上を達成することができる。本発明に係るチタン銅の引張強さは好ましい実施形態において1200MPa以上であり、更に好ましい実施形態において1300MPa以上である。
本発明に係るめっき層を有するチタン銅の母材は、厚みが0.018〜0.1mmの箔の形態として提供される。母材の厚みを0.018mm以上とすることで、ばね材として必要な強度を確保することができる。母材の厚みは好ましくは0.03mm以上である。また、母材の厚みを0.1mm以下とすることで、チタン銅箔を用いてばね材等の電子部品を形成するときに電子部品の小型化に寄与する。母材の厚みは好ましくは0.08mm以下であり、より好ましくは0.06mm以下である。
本発明に係るめっき層を有するチタン銅は、母材表面にCuめっき層を有することが特徴の一つである。理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、Cuめっき層を有することで、酸液やアルカリ液に対する耐性が高くなり、エッチング加工やめっき加工後に表面残渣が生じにくくなると考えられる。これによってチタン銅箔の変色が防止され、半田や樹脂等の部材との接着強度の低下も抑制される。また、Cuめっき層はエッチング加工性にも優れていることから、ばね材等の微細な電子部品を製造する場合も高い寸法精度を確保可能である。
本発明に係るめっき層を有するチタン銅箔は、優れた半田密着性を有することができる。好ましい実施形態において、本発明に係るめっき層を有するチタン銅箔は、下記の半田密着強度試験における平均密着強度を1N以上とすることができ、好ましくは2N以上とすることができ、より好ましくは5N以上とすることができ、更により好ましくは10N以上とすることができ、更により好ましくは15N以上とすることができ、更により好ましくは20N以上とすることができ、更により好ましくは25N以上とすることができ、更により好ましくは30N以上とすることができ、例えば1〜40N以上とすることができる。
本発明に係るめっき層を有するチタン銅箔は、限定的ではないが、スイッチ、コネクタ(特に、過酷な曲げ加工性を必要としないフォーク型のFPCコネクタ)、オートフォーカスカメラモジュール、ジャック、端子、リレー等の電子部品の材料として好適に使用することができる。また、本発明に係るめっき層を有するチタン銅箔と絶縁基板をめっき層が露出するように貼り合わせて銅張積層板を形成し、エッチング工程を経て配線を形成することでプリント配線板とし、プリント配線板の金属配線上に各種の電子部品が半田付けにより搭載されることにより、プリント回路板を製造することもできる。
本発明に係るチタン銅の母材の製造方法の一例について説明する。まず、溶解及び鋳造によりインゴットを製造する。溶解及び鋳造は、チタンの酸化磨耗を防止するため、基本的に真空中又は不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。溶解において添加元素の溶け残りがあると、強度の向上に対して有効に作用しない。よって、溶け残りをなくすため、FeやCr等の高融点の第三元素は、添加してから十分に攪拌したうえで、一定時間保持する必要がある。一方、TiはCu中に比較的溶け易いので第三元素の溶解後に添加すればよい。従って、Cuに、Ag、B、Co、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、Cr及びZrから選択される1種以上を添加し、次いでTiを所定量添加してインゴットを製造することが望ましい。
(2)研削:熱間圧延で生成した酸化スケールをグラインダーで除去した。研削後の厚みは9mmであった。
(3)冷間圧延1:最終の箔厚が得られるように、冷間圧延2の圧下率を考慮して圧下率を調整した。
(4)溶体化処理:800℃に昇温した電気炉に材料を装入し、5分間保持した後、試料を水槽に入れて急冷却した。
(5)冷間圧延2:圧下率98%で圧延した。この際、冷間圧延の最終パスにおける圧延速度を表1に記載の速度に調整することで光沢度を変化させた。
(6)時効処理:材料を300℃に加熱して2時間、Ar雰囲気中で加熱した。
Cuめっき層は以下の電気めっき条件で形成した。
・Cuイオン:62g/L
・浴温度:60℃
・電流密度:4.0A/dm2
・時間:めっき厚さによって調整
Niめっき層は以下の電気めっき条件で形成した。
・Niイオン:20g/L
・pH:3.0
・浴温度:50℃
・電流密度:5A/dm2
・時間:めっき厚さによって調整
なお、実際のめっき層中には不可避的不純物が存在する。めっき厚みは上述した蛍光X線膜厚計により測定した。
圧延加工によって得られた各チタン銅箔の表面を脱脂及び酸洗して清浄化した後、JIS B0601−2001に準拠して、当該表面の圧延方向に平行な方向の算術平均粗さRaを(株)小坂研究所製の接触式粗さ計(SE−3400)によって測定した。
特に、圧延によって製造される銅箔の場合は、その表面状態は粗さ(Ra等)だけでなく光沢度で示すことができる。先述のように光沢度はオイルピット量によって変化する数値であり、同じ表面粗さを持つ材料でも光沢度が異なる場合があるため、オイルピットによるアンカー効果への影響を考慮する必要がある。したがって、圧延加工によって得られた各チタン銅箔の表面を脱脂及び酸洗して清浄化した後、JIS Z8741−1997に準拠した日本電色工業(株)製光沢度計ハンディーグロスメーターPG−1を使用し、圧延方向の入射角60度で表面処理前の銅箔の光沢度を求めた。
先述した半田密着強度試験の手順に従って、半田密着強度を測定した。めっき後の各サンプル箔(比較例1はめっき無し)及び純銅箔(C1100、箔厚0.035mm)を千住金属工業(株)製Pbフリー半田(ESC M705、組成:Sn−3.0質量%Ag−0.5質量%Cu)を介して接合し、アイコーエンジニアリング(株)製の精密荷重測定器(MODEL−1605NL)を用いて180°引き剥がし試験を100mm/minの速度で行うことにより、その平均密着強度を測定した。半田接合後、密着強度の測定を、加熱前と加熱後の両方について行い、加熱条件は温度85℃、100時間とした。加熱後の密着強度については、加熱前の密着強度に対して加熱後の密着強度の低下が5%未満であった場合を○、5%以上であった場合を×と評価した。
各サンプル箔を温度85℃、相対湿度85%の恒温槽内で100時間保持したときの変色度合いを調査した。0.1μmのNiめっき材(比較例2)と比べて同等であった場合を◎、裸材(比較例1)と比較して変色が小さかった場合を○、裸材(比較例1)と比較して変色が同等であったか又は大きかった場合(比較例1を含む)を×で評価した。本試験により、耐変色性が高いという結果が得られた場合、それはサンプル箔表面における残渣発生量(金属間化合物発生量)が少ないことを間接的に示すこととなる。
37質量%、ボーメ度40°の塩化第二鉄水溶液を用いて、各サンプル箔に対してエッチングを行い、線幅100μm、長さ150mmの直線回路を形成した。走査型電子顕微鏡(日立製、S−4700)を用いて回路を観察し(観察長さ200μm)、最大回路幅と最小回路幅の差が4μm未満であるものを◎、4〜10μmであるものを○、10μmを越えるものを×で評価した。
実施例1のめっき後のサンプル箔について、引張試験機を用いて上述した測定方法に従い圧延方向と平行な方向の引張強さを測定したところ、1415MPaであった。
チタン銅箔にNiめっきを行った比較例2はチタン銅箔の裸材と比較して半田との密着強度が向上し、複合環境試験後における変色も小さいが、エッチング性が悪化した。
比較例3は、Cuめっき層が薄すぎたために、加熱前及び加熱後の半田密着性及び耐変色性が実施例より劣った。
比較例4は母材の光沢が高すぎたために加熱前及び加熱後の半田密着性が低下した。
2 ヨーク
3 レンズ
4 マグネット
5 キャリア
6 コイル
7 ベース
8 フレーム
9a 上側のばね部材
9b 下側のばね部材
10a、10b キャップ
Claims (16)
- チタン銅箔であって、母材が1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部銅及び不可避的不純物からなる組成を有し、母材の厚みが0.018〜0.1mmであり、母材表面にCuめっき層を有し、次の手順に従う半田密着強度試験における密着強度が1N以上であるチタン銅箔。
(半田密着強度試験の手順)
めっき層を有するチタン銅箔及び純銅箔(JIS H3100−2012に規定する合金番号C1100、箔厚0.02mm〜0.05mm)を鉛フリー半田(Sn−3.0質量%Ag−0.5質量%Cu)を介して接合する。チタン銅箔は幅15mm、長さ200mmの短冊状とし、純銅箔は幅20mm、長さ200mmの短冊状とし、長さ方向に対して中央部30mm×15mmの面積に鉛フリー半田(直径0.4±0.02mm、長さ120±1mm)を上記の面積内に収まるように配置した上で、接合温度を245℃±5℃として接合する。接合後、180°引き剥がし試験を100mm/minの速度で行うことにより、その密着強度を測定する。引き剥がし変位の30mmから70mmまでの40mmの区間における荷重(N)の平均値を密着強度とする。 - 前記Cuめっき層の厚みが0.01〜2.0μmである請求項1に記載のチタン銅箔。
- 母材が更に、Ag、B、Co、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、Cr及びZrから選択される1種以上の元素を総量で0〜1.0質量%含有する請求項1又は2に記載のチタン銅箔。
- 圧延方向に平行な方向での引張強さが1100MPa以上である請求項1〜3の何れか一項に記載のチタン銅箔。
- 前記密着強度が20N以上である請求項1〜4の何れか一項に記載のチタン銅箔。
- 温度85℃で100時間加熱後の前記密着強度の加熱前に対する低下率が5%未満である請求項1〜5の何れか一項に記載のチタン銅箔。
- エッチング加工に用いられる請求項1〜6の何れか一項に記載のチタン銅箔。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載のチタン銅箔を備えた電子部品。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載のチタン銅箔と半田の接合体であって、チタン銅箔のめっき層表面に半田との接合部位を有する接合体。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載のチタン銅箔をエッチングにより形状加工する工程と、得られたチタン銅箔の形状加工品を前記めっき層を有する箇所において半田付けにより導電性部材と接合する工程とを含むチタン銅箔と導電性部材の接続方法。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載のチタン銅箔をばね材として備えたオートフォーカスモジュール。
- レンズと、このレンズを光軸方向の初期位置に弾性付勢する請求項1〜7の何れか一項に記載のチタン銅箔を材料としたばね部材と、このばね部材の付勢力に抗する電磁力を生起して前記レンズを光軸方向へ駆動可能な電磁駆動手段を備えたオートフォーカスカメラモジュールであって、前記電磁駆動手段はコイルを備えており、ばね部材は前記めっき層を有する箇所において半田付けによりコイルと接合されているオートフォーカスカメラモジュール。
- 1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部銅及び不可避的不純物からなる組成を有し、厚みが0.018〜0.1mmであり、JIS Z8741−1997に準拠した圧延方向の入射角60度で測定したときの鏡面光沢度として定義される表面の光沢度が100〜200である母材を準備する工程と、
母材の表面にCuめっき層を0.01μm以上の厚みで形成する工程と、
を含むチタン銅箔の製造方法。 - 前記Cuめっき層の厚みが0.01〜2.0μmである請求項13に記載のチタン銅箔の製造方法。
- 母材が更に、Ag、B、Co、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si、Cr及びZrから選択される1種以上の元素を総量で0〜1.0質量%含有する請求項13又は14に記載のチタン銅箔の製造方法。
- 表面の光沢度が100〜200である母材表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下である請求項13〜15の何れか一項に記載のチタン銅箔の製造方法。
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